多田有花句集『蒼き氷河』の印刷版について

多田有花句集『蒼き氷河』は花冠俳句叢書・電子版1 としてKindle で出版されています。総句数は292句あります。

簡単な冊子ですが、
【表紙・扉・序・本文(俳句)・あとがき・奥付】
があり、本の体裁として整っています。本としての要件はそろっていますので、句集として十分手に取っていただけるものです。

有花さんからメールで電子版がお手もとに届いていると思います。
発行所からは、会員の皆さまに、簡易な冊子に印刷してお送りしました。こちらもご覧ください。

冊子はペーパーファスナーで留めています。そのままでもいいですが、これはすぐ外せますので、ホッチキスで留めめたり、お好きな紐やリボンを通してもよいです。読みやすいようににして、ご鑑賞ください。

●多田有花句集『蒼き氷河』について、ご感想をコメント欄にお書きいただければ、うれしいです。

感想は長くなくてもよいです。好きな句を挙げていただくだけでも結構です。感想は、2027年1月号(No.376)に掲載予定です。暑い折ですが、どうぞよろしくお願いします。
花冠代表 髙橋正子
2026年8月15日

 

 

8月1日(土)

曇り、時に晴れ
咲き始め臭木の花の白すずし    正子
空蝉のかるさ手に置きすぐに捨つ  正子
梨の実を冷蔵庫へとひとつずつ   正子

●朝3時半ごろ目が覚める。冷房をつけていても、眠りにくい。しかたなく、枕元に置いている歳時記と『マルテの手記』をところどころ読む。読むといっても頭には入らない。そうこうするうち5時を過ぎた。昨日は散歩に行かなかったので、いつもの散歩コースの5丁目の丘へ行った。
欅の葉が赤くなって、かなり道に落ちている。これは暑さのせいだろうと思った。病葉というのでもなさそうだ。蝉もよく鳴いているが、尾長が電線に三羽。いい具合の配置で止まっている。三羽の関係は、と思うが。

●みよさんが栃木の梨を送ってくださった。栃木の梨は有名だが、丁寧に育てられた雰囲気がある梨。仏壇に供えた。すぐ冷蔵庫へ。

●英訳詩集の表紙の装丁に一日かかった。やったと納得する色になった。それを記号で示すと枠線の色は#AFA7D5で、青寄りの灰色が買った藤色。線の太さは、1.0。
奥付も出来上がった。枠の大きさと余白。これは勘に頼るしかない。奥付も完成した。花冠俳句叢書・別巻②をどう表わすか。
Kakan Haiku Series—Special Volume ② とした。

15篇の詩の英訳が10日でできた。英訳にどのくらい日数がかかるか、わからなかったが、思ったより速かった。英語俳句の経験が生きたとしか言いようがない。翻訳の技術として知らぬうちに身について、我ながら驚き。気になる言葉がまだまだあるので、点検しないといけない。9月11日に入稿予定。なぜなら、集中力が途切れると、感覚が途切れ、覚えていることを忘れそうになるから、集中力が続いているうちに入稿したい。これは、散文ではおきないこと。
詩は集中力。

自由な投句箱/8月1日~8月10日

※当季雑詠(夏・秋)3句を〈コメント欄〉にご記入ください。
※投句は一日1回3句までといたします。
※登録のない俳号・ペンネームでの投句は削除させていただきます(例:唐辛子など)。
※★印について
「心が動いている」句を良い句として選び、★印を付けています。

(※多くの方にご覧いただき、心より感謝申し上げます。この「自由な投句箱」は花冠会員を対象としておりますので、どうぞご理解ください。)
花冠代表 髙橋正子

●「自由な投句箱・添削教室」は、下方↓ の欄にあります。

今日の秀句/8月1日~8月10日

8月10日(2句)
★新秋のトランペットの音軽し/多田 有花
「新秋」の語の響きに爽やかな空気感がある。そこに鳴るトランペットの音も軽くなる。爽やかさと軽快感が新秋の気配をよく伝えている。(髙橋正子)

★風立ちぬ池の端なる女郎花/廣田洋一
池の端に立つ女郎花の景色がいい。風もやわらかく、生まれ出てくる。「風立ちぬ」が女郎花のやさしさに相応しい。(髙橋正子)

8月9日
該当句無し

8月8日(2句)
★空の色鮮やかにして今朝の秋/多田有花
すっきりと秋を迎えた気持ちが、衒いなく詠まれていて、読む者にもすっきりした気持ちをもたせてくれる。(髙橋正子)

★向日葵に肩触れ風の秋めけり/土橋みよ
向日葵が婦と肩に触れた瞬間、少し、乾いた音を聞き取ったのであろうか、秋めく季節を感じた。季節の微妙な移り変わりを「肩に触れ」でさりげなく表現している。(髙橋正子)

8月7日(1句)
夏の夜のちりばむ星や赤城山/小口泰與
★夏の夜や星ちりばめて赤城山(正子添削例)
元の句は焦点がしぼられていません。惜しい句です。雄大な赤城山の景色が詠まれ、星の散らばる夏の夜の涼やかさが伝わってきます。(髙橋正子)

8月6日(1句)
★ほつほつと白雲生まれ原爆忌/廣田洋一
「原爆忌」という重い季語を、「ほつほつ」と生まれる白い雲の軽さで静かに受けとめているのがよい。「ほつほつ」がこの句の生命線で、原爆忌の静かな朝が祈りの気持ちとともに詠まれている。(髙橋正子)

8月5日(1句)
★冷酒は辛口と決め青き瓶/廣田洋一
「辛口と決め」は作者の嗜好の決断。辛口の冷酒は、冷たさとすっきりした感覚を目覚めさせる。青い瓶に清涼感があり、きりっとした冷酒の美味さが美意識として伝わってくる。(髙橋正子)

8月4日(1句)
★振り返る猫に三歩の夕涼み/土橋みよ
ちょっと庭先に出たのでしょう。三歩の小さな夕涼みが、ゆとりを感じさせてくれます。振り返る猫と目があったのでしょうか、夕方の涼しいひとときです。(髙橋正子)

8月3日(2句)
★水面をすれすれに飛ぶ夏燕/小口泰與
水面をすれすれに飛ぶ燕の姿が、涼しそうです。夏燕が生き生きしています。(髙橋正子)

★金色の夕日を通す夏柳/上島祥子
視覚的に美しい景色です。金色の夕日、夏柳も静かさ。ひととき、作者だけが捉えた景色と思われます。(髙橋正子)

8月2日
★須磨沖をゆく帆船や夏盛ん/多田有花
「須磨」の地名のゆかしさが読みとれ、夏の盛りの沖をゆく帆船の帆の白さが印象に残ります。夏沖の爽快さが伝わります。素直に景が立ち上がり、季語が生きている秀句です。(髙橋正子)

8月1日
該当句無し

8月1日~8月10日

8月10日(2名)
多田 有花
初秋や布巾を固く絞り拭く★★★
新秋のトランペットの音軽し★★★★
秋はまず夜明けの窓を入る風に★★★

廣田洋一
新涼や文を待ちたる日暮れ時★★★
絵画展入口飾る花桔梗★★★
風立ちぬ池の端なる女郎花★★★★

8月9日(2名)
小口泰與
山の沼翡翠常に鳶まれに★★★
常ならぬ朝の赤城の夏の雲★★★
夏草や山のすそ野の遭難碑★★★

多田 有花
閉店の幟の立ちぬ八月に★★★
かなかなや夜明けの光を連れて来る★★★
新涼に目覚めて朝の体操を★★★

8月8日(4名)
多田 有花
空の色鮮やかにして今朝の秋★★★★
開けし窓秋立つ風の入りにけり★★★
爽やかに磯鵯の声響く★★★

土橋みよ
毛蟹から泡のこぼるる秋の浜★★★★
向日葵に肩触れ風の秋めけり★★★★
石狩の蛇行の川や早稲の風★★★

廣田洋一
高校野球の飲水タイム秋暑し★★★
生垣の底紅光る朝かな★★★
桃を剥き滴る汁を手に受ける★★★

小口泰與
大木に夏梟の動かざる★★★
音立てて竹伝い来る夏の雨★★★★
大沼へ九十九折なり時鳥★★★

8月7日(3名)
多田 有花
原爆忌折り鶴を二羽折にけり★★★★
ありがたくゆく夏送る心地かな★★★
扇風機の寿命尽きたり夏終わる★★★

廣田洋一
立秋や雲の動きの忙しなく★★★
珊瑚樹より一羽飛び去りまた一羽★★★
そのあたり青く染めたる露草かな★★★★

小口泰與
夏の夜のちりばむ星や赤城山★★★★
夏の海お日様全て支配せり★★★
山風に波も崩れし夏の沼★★★

8月6日(3名)
多田 有花
未明ほどよきものはなき晩夏かな★★★
朝風呂や湯上り囲む蝉の声★★★★
夕立や光の中を過ぎゆけり★★★

廣田洋一
ほつほつと白雲生まれ原爆忌★★★★
牧草のロール連ねて夏の果★★★★
梅の実のまた太りたる雨上がり★★★

小口泰與
山裾の千草の原や飛ぶ蛍★★★★
沼の波千千なり夏の風次第★★★
眠そうな顔の数多や夏集会★★★

8月5日(3名)
小口泰與
たおやかに流るる雲や麦の秋★★★
梅の実のたわわに生りて空隠す★★★
利根川の瀬瀬上りゆく鮎数多★★★

多田 有花
扇風機孤軍奮闘午後三時★★★
がっつりと酷暑に抑え込まれし日★★★
救急車走り抜けたる熱帯夜★★★

廣田洋一
落蝉やベルを押すかにドアの前★★★
蝉時雨団地の木々の匂い立ち★★★
冷酒は辛口と決め青き瓶★★★★

8月4日(4名)
土橋みよ
屋根越しに実の赤み初むナナカマド★★★
 猫と留守番2句
空き箱の底より猫や夏座敷★★★
振り返る猫に三歩の夕涼み★★★★

小口泰與
とまる事知らぬ湖上の夏燕★★★
青柿のたわわに生りて鳥も来ず★★★
誰かれも列に並びし夏のくじ★★★

多田 有花
花びらに昇る朝日を受けし蓮★★★
蓮あまた紅白黄色八重一重★★★
晩夏光午後の空気の粘度かな★★★

廣田洋一
地震の街酷暑の空に水を乞う★★★
駅前に雲水の立つ夏の果★★★
老いては孫に従うプールかな★★★

8月3日(4名)
多田 有花
大阪駅いま夕立の通り過ぎ★★★
夕立や芦屋の街をさっぱりと★★★
朝涼のカフェは開店準備中★★★

小口泰與
水面をすれすれに飛ぶ夏燕★★★★
日を受けて蚯蚓干からびころころと★★★
蜻蛉の水面つんつん水輪かな★★★

廣田洋一
川縁の並木抜け来る風涼し★★★
病葉や風に吹かれて裏返り★★★
紫陽花や変化を終えて乾きおり★★★

上島祥子
展望の窓に重たく夏曇★★★
金色の夕日を通す夏柳★★★★
風鈴の澄む音続く端居かな★★★

8月2日(3名)
多田 有花
蓮育てし人と会話の日の出どき
「育てし」が説明で、季節も曖昧です。「咲かせし」にしてはどうでしょうか。咲いている季節に焦点があたります。(髙橋正子)

須磨沖をゆく帆船や夏盛ん★★★★

着陸す入道雲を背景に★★★
何が着陸するのか、読み手に委ねすぎです。(髙橋正子)

小口泰與
鮎釣りの長き釣竿たもとおる★★★
暑き日を髪膚に浴びし沼の釣★★★
鮎釣りの長竿重し風の中★★★

廣田洋一
夫婦して木の枝払ふ朝の庭★★★
代表選手旗振り送る夏の空★★★

チェンソーや杉林へと枝払う★★★
惜しい句です。(髙橋正子)

8月1日(4名)
廣田洋一
ふわふわと尾びれの白き金魚草★★★
団地の風捉えて揺るる夾竹桃★★★
園児らの今日も挨拶百日草★★★

どの句も素材は良いですが、俳句としての焦点が少し甘いので惜しいです。(髙橋正子)

多田 有花
不如帰一声鳴いて八月に★★★
朝涼や巣立ち間近の雛つばめ★★★
万国の蓮を咲かせる休耕田★★★★
「咲かせる」が説明的なので「咲かせる」では、蓮の花の様子が想像しにくいです。「咲かせる」は省略可能です。蓮の広がりをどう一句に凝縮するかが鍵。(髙橋正子)
【改作】万国の蓮に朝日や休耕田/多田有花

小口泰與
赤城より風の道あり植田風★★★
たもとおる利根の川原や鮎釣師★★★
一瞬に沼を横切る夏燕★★★

句材は良いですが、言葉の選択で損をしています。(髙橋正子)

土橋みよ
 北海道大学キャンパス3句
風涼し古き校門人絶えず★★★
青葉風学生走る構内路★★★
水掬う夏川かつて鮭のみち★★★

句の焦点が散っているで惜しいです。(髙橋正子)

自由な投句箱/添削教室/8月1日~8月10日

8月8日
土橋みよ
妹背牛の米の重さや夏の雲」を作り直してみました。
姉の米提げて帰れば鰯雲

8月2日
土橋みよ
①「開拓碑欅を鳴らす夏の風」を作り直してみました。

欅鳴る夏風に立つ開拓碑

②「水掬う夏川かつて鮭のみち」を作り直してみました。
立秋後に、投句することを想定して、
水の秋昔昇りし鮭のみち

添削教室/8月1日~8月10日

8月8日
8月8日
土橋みよ
妹背牛の米の重さや夏の雲」を作り直してみました。
姉の米提げて帰れば鰯雲

【ご返事】
「姉の米」の意味が曖昧です。「帰れば」は、必要でしょうか。この二つのことを考えて添削しました。上五が字余りになっていますが、上五の字余りは意味が充実していれば許されます。(髙橋正子)
姉の作りし米を提げれば鰯雲(正子添削)

8月2日
土橋みよ
①「開拓碑欅を鳴らす夏の風」を作り直してみました。

欅鳴る夏風に立つ開拓碑
【ご返事】
「欅鳴る」が力強く立ち上がっています。「立つ」は開拓碑の様子なので、イメージがはっきりしました。北海道の夏の爽やかさが詠めていると思います。(髙橋正子)

②「水掬う夏川かつて鮭のみち」を作り直してみました。
立秋後に、投句することを想定して、
水の秋昔昇りし鮭のみち
【ご返事】
「水の秋」が効いています。「昇りし」の「し」は過去の意味を表わす助動詞「き」の連体形なので、この一語で過去のことであることがわかります。やや説明的な「昔」を使わないでよくなります。

水の秋鮭の昇りし川のみち(正子添削)
では、いかがでしょうか。(髙橋正子)