花冠ブログは夏休み中です

お知らせ
暑中お見舞い申し上げます。
8月1日~8月15日まで花冠ブログは夏休みをいただきます。再開を楽しみにお待ちください。
        2025年7月31日
        花冠発行所
        代表 髙橋正子

お知らせ/重要

暑中お見舞い申し上げます。
花冠ブログをご利用、またご覧いただき、ありがとうございます。このたび、現在利用しているNTTドコモが提供するgoo.blogが11月をもってサービスを終了します。

サービス終了にともない、花冠ブログをすべて移転します。移転先は移転終了後にみなさまにお知らせし、これまでどおりの活動ができるようにします。移転作業のために、下記の期間ブログへの書き込みを禁止します。またその期間を花冠の夏休みとします。8月月例ネット句会はお休みです。ご協力、よろしくお願いいたします。

   記
ブログ移転作業期間:8月1日(金)~8月15日(金)
花冠夏休み    :8月1日(金)~8月15日(金)
8月月例ネット句会:休会
(移転作業の進み具合により、予定が変更される場合がありますので、ご了承ください)。
                  2025年7月21日
                      花冠代表 髙橋正子

ご挨拶/7月月例ネット句会を終えて

ご挨拶
7月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。入賞の皆様おめでとうございます。近年の天候不順で、これまで思い描いていた季節とは少し違うと感じることもあります。けれど、青田の眺めや風の流れ、夏越の祭、店に鮎が並んだり、一畝ごとの夏野菜の色が違ったり、翡翠がいたり、夏潮を走る船を見たり、など、確かな季節が俳句に詠まれて、季節の確かさを実感できた句会でした。
また、選とコメントをありがとうございました。今月は選者の私が、句会の途中体調をくずしまして、皆様にはご心配をおかけしました。年齢のせいかと思いますが、いつもより回復がおそいのですが、良くなっていますので、ご安心ください。これで7月月例ネット句会を終わります。暑さの折、みさなまお体大切に、ご健吟ください。
7月19日
髙橋正子

■7月月例ネット句会入賞発表■

■7月月例ネット句会入賞発表■
2025年7月16日
【金賞】
35.青田風四万十川へ抜けてゆく/吉田 晃
清流「四万十川」が青田すべての風を集めて、なお研ぎ澄まされた川になっていくようである。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
40.信号旗たなびく船に夏の潮/上島祥子
ここに溌溂とした詩がある。夏の潮をゆく船に信号旗がたなびいて、視覚にも夏をさやわかに訴えている。(髙橋正子)

25.鮎並ぶ淡く黄色の尾が透けて/髙橋句美子
「黄色の尾が透けて」の観察が正しく、清流の魚が魚店に並んでさえも清流を泳ぐ感がある。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
16.子ら走る夏越の杜の賑わいへ/藤田洋子
夏越(なごし)の祭は暑い夏を越えるために行われる。形代を持ってお参りし、茅の輪をくぐる。夜店が出ることも多く、子どもたちにとって楽しい祭りでもある。夏越の行われている神社の杜へと走るのだ。(髙橋正子)

19.水打てば葉陰に胡瓜のどっしりと/土橋みよ
真っ正直なものの見方に風格がある。水を打った葉蔭の胡瓜が「どっしりと」と思うくらい良く育っているのだ。(髙橋正子)

23.沐浴を終えし赤子に星祭/柳原美知子
沐浴を終え、汗をさっぱりとながした赤子も星祭に加わるのだ。健やかな成長をいのるばかりである。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
07.大空へひびく初蝉ぎこちなく/高橋秀之
蝉の鳴き始めは、8月の大合唱とは違い1匹だけで鳴きはじめ、鳴き方もやや不安定です。それだけだと少しの寂しさも感じますが、「大空へひびく」とあり、ぎこちなさの中にもとても堂々としている鳴き声が聞こえてくるようです。(土橋みよ)

19.水打てば葉陰に胡瓜のどっしりと/土橋みよ
胡瓜が夏の暑さにも負けずよく育っている様子が窺えます。(髙橋句美子)

23.沐浴を終えし赤子に星祭/柳原美知子
生後間もない赤ちゃん、沐浴を終えた安堵感のなか迎える星祭。ご誕生の赤ちゃんと今宵の星祭を迎える喜びとともに、これからの健やかな成長を願うお気持ちが伝わります。(藤田洋子)

25.鮎並ぶ淡く黄色の尾が透けて/髙橋句美子
清流の女王と呼ばれる鮎。「黄色の尾が透けて」にしっかりとした観察の目を感じます。塩焼きで食卓を飾ったのでしょうか。 (多田有花)

16.子ら走る夏越の杜の賑わいへ/藤田洋子
35.青田風四万十川へ抜けてゆく/吉田 晃
40.信号旗たなびく船に夏の潮/上島祥子

【髙橋句美子特選/7句】
03.端居して栞となせる五葉松/小口泰與
庭の見える縁側で涼みながら読書をしている様子が想像されます。五葉松の栞とは何と詩的で優雅でしょう。とても素敵な時間を過ごされているご様子が羨ましく思われました。(土橋みよ)

04.大薬缶並べ部活の氷水/桑本栄太郎
猛暑の中、アルマイトの大きな薬缶のかち割り氷でキンキンに冷えた氷水に一息つく部活動の子供たち。薬缶が並ぶ数だけの若さとエネルギー、夢が感じられ、この夏を元気で乗り越え、成長してほしいと願います。(柳原美知子)

19.水打てば葉陰に胡瓜のどっしりと/土橋みよ
胡瓜が夏の暑さにも負けずよく育っている様子が窺えます。(髙橋句美子)

22.ゆりかごを窓の青田へ揺らしおり/柳原美知子
涼しげです。青田の上を吹いて開け放たれた窓から入ってくる風、そのなかで揺れるゆりかご。穏やかで一枚の絵のようです。(多田有花)

29.目を丸く吾子はじめての稲光/西村友宏
生まれて初めての雷鳴と稲光、赤ちゃんが驚いてきょとんとしている様子が目に浮かびます。可愛いですね。(多田有花)

32.涼しさに熱のある児のよく笑う/髙橋正子
昔巷では、子供が知恵をつけるため頭をよく使うから出る熱と言われていたが、医学的な根拠はないようだ。6~7か月を過ぎると母親の免疫が無くなり、ちょっとした病気にかかりやすくなる。親は大変心配するが、これは子どもが自己免疫を獲得するために非常に重要のようだ。だが、乳児の発熱は心配なものだ。子育てをしたことのあるバアバでも心配。それでも当の本人が何事もないようにケラケラ笑っている姿をみて、安堵するバアバなのである。(吉田 晃)

35.青田風四万十川へ抜けてゆく/吉田 晃

【入選/18句】
01.翡翠や見事水面へ一直線/小口泰與
翡翠の敏捷な動き、一瞬の直線的な飛翔を見事に捉えられています。美しい翡翠を見る水辺がとても涼やかです。(藤田洋子)

02.しんしんと山白むなり夏の暁/小口泰與
夏の暁のものみな鎮まるひととき、山々のしろじろと明けていく様子がしんしんとによく表れていると思います。(柳原美知子)

06.夕立去り西山またも陽のあかり/桑本栄太郎
夕立が上がり、西山の空に陽が戻って夕焼となったのだろう。陽の明りが効いて、景が良く見える。 (廣田洋一)

09.冷奴窓からそよぐ昼の風/高橋秀之
冷奴の清涼感と窓からの風の心地よさに、猛暑の中でありながら、一抹の涼味とひと時の安らぎを感じさせていただきました。(藤田洋子)

10.涼風の吹き抜けて行く古都の路地/廣田洋一
古都の町並みには路地が広がっている。その路地を吹き抜ける風を感じている。その場に佇み気持ちよさを味わう様子が伺えます。(高橋秀之)
涼風が吹き抜けていく場所はいろいろあります。森の中、田園地帯、都会の一画など。古都の路地を吹く涼風にはまたそこならではの味わいがあります。(多田有花)

11.夏野菜一畝毎に色変わり/廣田洋一
夏野菜と言えばトマト 胡瓜 茄子 などでしょうか。実りが楽しみな気持ちが伝わります。 (上島祥子)

13.驚きて薮から出たる夏雀/友田 修
夏の雀たちは何に驚いたのでしょうか。大きな音、人の気配、ほかの動物などなど。そんなことを思いながらこの句を読ませてもらいました。(高橋秀之)

14,退院の手続きするや雲の峰/友田 修
入院している間に季節が進んで雲の峰が出来るようになっている。思いがけず長く入院していたと実感する気持ちが伝わります。 (上島祥子)

17.離れ住む娘の名も記す夏祓/藤田洋子
親元を離れて暮らしても、子どもたちのことは気になるもの。夏祓いに子どもの名前を記して健康、安全を祈願する。きっと名前を記しながら、子供たちが小さい頃の夏祭りなども思い出していらっしゃるのでしょう。(高橋秀之)

18.夏雲湧く城山街の真ん中に/藤田洋子
街空を仰げば真ん中に天守の見える松山城。折しも
城山の上の真青な空には真白い夏雲がむくむくと湧き、うつくしい夏景色とともに新たな季節の到来を告げてくれます。(柳原美知子)

28.式服に汗の滴るお食い初め/西村友宏
お食い初めを式服を着て格式を持って行うのが素晴らしいですね。夏は汗をかいて大人は大変では有りますが、その中心に少し大きくなった赤ちゃんが健やかにして居る様子が思われて幸せな気持ちになります。(上島祥子)
赤ちゃんの生後100ヶ日を祝って「お食い初め」を行います。丁度その頃が夏場とあっては、家族の特にご婦人達は汗が滴るほどの暑さの中です。祝い事は季節を待って呉れませんね。(桑本栄太郎)

36.ヤゴの背が割れて蜻蛉の生まれけり/吉田晃
背が割れて蜻蛉が生まれる、「変態」というという命の転換点をとらえているところに圧倒されます。 (友田修)

38.白雨来て夕刻の町清めけり/多田有花
自然な詠みぶりで、猛暑の中、一読して涼やかな気持ちになりました。白雨の後の町の余韻が感じられるようです。(柳原美知子)

39.クレチマス咲き上りたる濃紫/多田有花
様々な園芸品種のあるクレチマス。中でも「咲き上りたる濃紫」の描写が、クレチマスの見事に際立つ美しさ、夏陽に咲く逞しさを感じさせてくれます。(藤田洋子)

42.手水舎の吐水の龍に苔繁る/上島祥子
神社で、参拝者が手を洗い、口を漱ぐための手水舎の水の出口の龍の古びた様子が素敵な景ですね。(小口泰與)

24.万緑の雨滴こぼれて谷流る/柳原美知子
37.紅百合の雌しべのすべて天を指し/多田有花
41.紅蓮の百鉢並ぶ古刹かな/上島祥子

■選者詠/髙橋正子
22.涼しさに熱のある児のよく笑う  
昔巷では、子供が知恵をつけるため頭をよく使うから出る熱と言われていたが、医学的な根拠はないようだ。6~7か月を過ぎると母親の免疫が無くなり、ちょっとした病気にかかりやすくなる。親は大変心配するが、これは子どもが自己免疫を獲得するために非常に重要のようだ。だが、乳児の発熱は心配なものだ。子育てをしたことのあるバアバでも心配。それでも当の本人が何事もないようにケラケラ笑っている姿をみて、安堵するバアバなのである。(吉田 晃)

21.雷のあとのしじまの涼しかり
23.麦茶沸く匂いが隅に宵の口


■選者詠/髙橋句美子
27.夏帽子白さは雲に溶けそうに
「溶けそうに」がとてもユニークで、白い夏帽子と雲がよく似合っています。透明感溢れる句で詩的な美しさに惹かれました。(土橋みよ)
夏帽子の白さが溶けると言う表現で空の青さと雲の白さが際立つさわやかな夏の一コマが浮かびます。(西村友宏)

25.鮎並ぶ淡く黄色の尾が透けて
清流の女王と呼ばれる鮎。「黄色の尾が透けて」にしっかりとした観察の目を感じます。塩焼きで食卓を飾ったのでしょうか。 (多田有花)

26.汗拭いてやる赤子手を握りしめ
作者の愛情と優しい視点に惹きつけられます。赤ちゃんには生まれながらに把握反射が備わっていますが、それはわかっていても、人間らしい生命力と親子の触れ合いによる絆を感じられたのではないでしょうか。(土橋みよ)


互選高点句
●最高点句(5点)
36.ヤゴの背が割れて蜻蛉の生まれけり/吉田 晃
集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

■7月月例ネット句会清記■

■7月月例ネット句会清記■
2025年7月13日
42句(14名)
01.翡翠や見事水面へ一直線
02.しんしんと山白むなり夏の暁
03.端居して栞となせる五葉松
04.大薬缶並べ部活の氷水
05.濯ぎもの慌て取り込む雷雨かな
06.夕立去り西山またも陽のあかり
07.大空へひびく初蝉ぎこちなく
08.夜店からお焦げが香る風に乗り
09.冷奴窓からそよぐ昼の風
10.涼風の吹き抜けて行く古都の路地

11.夏野菜一畝毎に色変わり
12.吟行てふ名目掲げ船遊
13.驚きて薮から出たる夏雀
14.退院の手続きするや雲の峰
15.夏の薔薇整えたなり草いきれ
16.子ら走る夏越の杜の賑わいへ
17.離れ住む娘の名も記す夏祓
18.夏雲湧く城山街の真ん中に
19.水打てば葉陰に胡瓜のどっしりと
20.力込め鮃の皮引く夏本番

21.杖つかず掴まらず行くあじさい坂
22.ゆりかごを窓の青田へ揺らしおり
23.沐浴を終えし赤子に星祭
24.万緑の雨滴こぼれて谷流る
25.鮎並ぶ淡く黄色の尾が透けて
26.汗拭いてやる赤子手を握りしめ
27.夏帽子白さは雲に溶けそうに
28.式服に汗の滴るお食い初め
29.目を丸く吾子はじめての稲光
30.オルゴールに吾子と並んで大昼寝

31.雷のあとのしじまの涼しかり
32.涼しさに熱のある児のよく笑う
33.麦茶沸く匂いが隅に宵の口
34.合歓の花てんでに児が触れ眠らせる
35.青田風四万十川へ抜けてゆく
36.ヤゴの背が割れて蜻蛉の生まれけり
37.紅百合の雌しべのすべて天を指し
38.白雨来て夕刻の町清めけり
39.クレマチス咲き上りたる濃紫
40.信号旗たなびく船に夏の潮

41.紅蓮の百鉢並ぶ古刹かな
42.手水舎の吐水の龍に苔繁る


※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

■7月月例ネット句会ご案内/2025年■

■7月月例ネット句会ご案内/2025年■
7月月例ネット句会を下記の通り開きます。ご参加くださいますよう、ご案内いたします。

期日:7月13日(日)
①投句:当季雑詠3句
    7月7日(月)午前6時~7月13日(日)午後5時
②投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
 ※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:7月13(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:7月14日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、7月14日(月)正午~
                 7月17日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏

ご挨拶/6月月例ネット句会を終えて

ご挨拶
6月月例ネット句会に、ご参加ありがとうございました。終わりのご挨拶が遅くなりました。ここ数日梅雨が明けたかのような晴天が続いていましたが、昨日あたりから、梅雨空に戻ってまいりました。
入賞のみなさまおめでとうございます。また、丁寧なコメントをたくさん書き込んでいただき、ありがとうございました。
6月句会には、湿潤な日本の季節を丁寧に、いろんな視点から詠んだ句がたくさんあり、改めて、日本の気候や風土について思いをめぐらしました。日々の生活を丁寧に観察しながら暮らしておられる皆様の俳句姿勢は、季節感のうすれていく現代では、本当に貴重なものだと思えてなりません。
私事ですが、4月からわが家で過ごしておりました娘家族をおととい自宅に送って行ったところです。新生児だった赤ん坊も何やら話をするまでになり、お陰様で元気で、おもしろいところを見せております。句会の運営など、皆様にご迷惑をおかけしましたことお詫びいたします。
これで、6月月例ネット句会を終わります。来月の句会をたのしみに、ともに精進いたしましょう。蒸し暑い季節、ご自愛ください。
2025年6月24日
髙橋正子

■6月月例ネット句会/入賞発表

■6月月例ネット句会入賞発表■
2025年6月9日

【金賞】
08.残照の空へとあがる遠花火/多田有花
残照の空の華やかさに加わる遠花火が美しく詠まれている。これから夏本番へと移る季節への祝歌のような空を情緒豊かに詠んでいる。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
19.病窓に青嶺の迫り雲湧ける/柳原美知子
病を得て病室で過ごさねばならないとき、窓に青々とした青嶺が迫り、夏の白い雲が湧く景色は、大きな励ましと慰めになるにちがいない。生き生きとした句に、病はすでに退散したかのような印象を受ける。ご快癒をお祈りします。(髙橋正子)

47.青梅にまだ残りある陽のぬくみ/川名ますみ
もいだ青梅にまだ陽のぬくみが残っている。手のひらにあるリアルな「ぬくみ」の実感が、いとおしいまでの驚きとなって美しく詠まれている。(髙橋正子)
※おことわり:清記の「47.青梅にまだ残りある陽のぬくみ」に、「青梅」の「青」が抜けておりました。訂正していますので()、ご確認ください。失礼しました。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
09.水入れてひと日代田の澄みにけり/多田有花
代掻きをした田に水を入れると、田の水は一日かけて泥を沈殿させ澄んだ水になってゆく。これで田植の準備も整い、田植を待つばかりの田の安安らかで明るい田となっている。(髙橋正子)

34.吾子の蹴り日に日に強く夏の夜/西村友宏
夏はものみな旺んに生長する。薄着になった赤子が足を盛んに動かし蹴る動作をする。赤子と言えど侮れなく、日々日々蹴る力が強くなっている。これも夏の季節を迎えて特に実感することだ。(髙橋正子)

38.御木曳や夏正装の運転手/上島祥子
概ねを述べると、御木曳(おきひき)は、伊勢神宮の式年遷宮における大衆参加の行事。伊勢市で行われ、神宮の新しい社殿を建てるための檜材を運ぶ伝統的な儀式で、内宮の用材は五十鈴川を遡る「川曳」、外宮の用材は奉曳車で運ぶ「陸曳」といった形で行われる。ことし2025年6月、式年遷宮に向けた御樋代木奉迎送行事が開催されるとのこと。
祥子さんの句は、奉曳車の運転手の姿を通して、神事に対する敬意と厳粛な空気を詠んだもの。「夏正装」が夏の暑さの中でも儀式の格式を守る姿勢を際立てている。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
09.水入れてひと日代田の澄みにけり/多田有花
代掻きが終わり、その後田に水を張ります。夕方ともなれば代田の水が澄み、夕日に映えて美しい水鏡となりますね?。さあ~!!、明日は田植えが始まりそうです。(桑本栄太郎)

19.病窓に青嶺の迫り雲湧ける/柳原美知子
病室の窓のすぐ傍に、命が満ちる青々とした夏の山。そこから大きな白い雲が湧き上がっています。この力強い景色は、病躯に何よりの励みになることでしょう。ご快癒をお祈り申し上げます。(川名ますみ)

29.杜若水面に我のゆく影と/吉田 晃
現では杜若と自分は距離がありますが、水鏡に共に映る像が儚い美しさを感じます。 (上島祥子)

34.吾子の蹴り日に日に強く夏の夜/西村友宏
赤ちゃんを家族に迎え、足を強く蹴ることに成長を喜ぶ男親の深い愛情が伝わります。一読して自然と笑がこぼれます。 (上島祥子)

17.老鶯に誘われ参る山の寺/土橋みよ
38.御木曳や夏正装の運転手/上島祥子
42.時が止る朝の夏雲真っ白に/髙橋句美子

【髙橋句美子特選/7句】
08.残照の空へとあがる遠花火/多田有花
まだ暮れきらぬ空に遠くで花火が上がっているのが見える。残照と、おそらく時間差で聞こえてくる花火の音の組み合わせが、より一層感傷的にさせる。(友田修)
入り日の明るさが残る空に小さく花火が見えた瞬間 全ての意識が夜空へと向けられる。美しい一瞬ですね。(上島祥子)
遠くから眺める花火のやわらかい光が感じられます。夏野始まりを感じます。(髙橋句美子)

26.紫陽花の彩(いろ)濃くなりぬ青き空/友田修
紫陽花の花の色が日を追うごとに白から赤や青に変化して彩りが濃くなりました。それが晴天の青空を背景とすることによって、一層くっきりと美しく見えました。その鮮やかな情景が目に浮かびました。(土橋みよ)

32.柿の花いつしか小さき青き実に/藤田洋子
柿の花は小さくて目立ちませんが、気づかぬうちに季節が移ろい、「いつしか」青い実になっていました。穏やかな自然の時の流れの中にある生命の営みに対する感慨に共感いたしました。(土橋みよ)

34.吾子の蹴り日に日に強く夏の夜/西村友宏
赤ちゃんを家族に迎え、足を強く蹴ることに成長を喜ぶ男親の深い愛情が伝わります。一読して自然と笑がこぼれます。 (上島祥子)

47.青梅にまだ残りある陽のぬくみ/川名ますみ
5月から6月に梅の実は急速に育ちます。その梅に夕方の日が射して温みのある梅をもぎ取る楽しさがあふれ出ています。素敵な御句です。(小口泰與)

13.あめんぼう水速ければ流れゆき/髙橋正子
18.境内の青梅成りて手を合わす/土橋みよ

【入選/17句】
03.睡蓮や忽と水泡の沸き出でし/小口泰與
睡蓮の浮かぶ静かな水面に突然水泡が現れました。水中の生物の運動によるものでしょうか。呼吸や光合成でしょうか。有機物の分解でしょうか。いずれにしても何らかの生命によって生まれたものと思われます。一瞬の情景に自然の奥深さが感じられました。(土橋みよ)

07.雨音を透かして響く時鳥/多田有花
初夏になると飛来して夏を告げてくれる時鳥、その声は大きくよく響きます。雨の降る静けさの中、いっそう澄んだ時鳥の声が聞こえてくるようで、梅雨の始まりを感じさせてくれます。(藤田洋子)


10.紫陽花や妻の笑顔と陽の光/高橋秀之
陽光の中、奥様の明るい笑顔に、ひときわ鮮やかな紫陽花の咲く状景です。作者の晴れやかな心情が明るく伝わります。(藤田洋子)

16.肩に乗り伸びする子の手にさくらんぼ/土橋みよ
さくらんぼに心躍る子供の無邪気で微笑ましい素敵な日常の一コマが浮かびました。 (西村友宏)

20.病室へ初鮎の膳声ともに/柳原美知子
ご療養中なのでしょうか。病室でありながら、運ばれる初鮎の膳。聞こえてくる声も優しく、季節のものをいただくひと時に、心なごみ励まされます。ご快癒、心からお祈りいたします。(藤田洋子)

31.降り出して梅雨に入る日の雨の音/藤田洋子
梅雨入りの頃の景色と心境が見事に織り込まれ詠まれています。このころは雨が降り出せば「そろそろ梅雨だな」と思います。梅雨入りという正式な区切りを受けての心持の変化です。 (多田有花)

35.大仕事終えて仰げば若葉風
仕事に集中し一段落したあとに、若葉のきらめきを運ぶ風に気づく。屋外での大工仕事であろうか。夏が今日も近くまで訪れているのだ。(弓削和人)

45.夏シャツの腕まくりあげ山手線/弓削和人
薄暑の頃の感覚ですね。まだ半袖には少し早い気もする、特にビジネスマンとあっては尚更です。晴天で外に出れば汗がにじんできます。袖のボタンをはずしてロールアップ。 (多田有花)

46.柳の芽濠辺にひかり揺らしたり/川名ますみ
濠端といえば柳。その柳の芽という小さな動きが濠の水に映る光を揺らすように見える。夏の晴れの日の光景が浮かんできます (高橋秀之)
  ※ちなみに、「柳の芽」は春の季語です。(髙橋正子)

48.実梅もぐ手応えかるし実の重し/川名ますみ
梅をもぐときの掌の感覚を繊細にとらえられています。その微妙な感覚の変化、指への感覚の軽さ、そして掌に落ちた実の意外にずっしりとした重さ、その対比が見事です。 (多田有花)

06.黒蟻のためらい走る日差しかな/桑本栄太郎
22.鷺草や雨の合間に飛ぶ構え/廣田洋一
23.俗世とは縁を切りたる花菖蒲/廣田洋一
24.雨降りて空を取り込む紫陽花かな/廣田洋一
25.朝の陽を受け透き通るさくらんぼ/友田修
28.やわらかき足湯の音に浸る初夏/吉田 晃
36.夏服を色とりどりに干す晴天/西村友宏

■選者詠/髙橋正子
13.あめんぼう水速ければ流れゆき
水面を軽やかに動くあめんぼう、その観察眼に感じ入ります。水の流れの速さに応じて身を任すあめんぼうに、まるで生きる術を教えられるようです。 (藤田洋子)
高橋信之著「子規の写生論」で信之先生はこう述べておられる。俳句がリアリズムの文学であるとするならば、それは、ヨーロッパの社会的実証主義的リアリズムとは違い、俗世間を抜け切ったところのリアリズム(現実でありかつ真実である)世界、つまり個人の自由でひろぴろとした内面における真実を詠いあげるものなのである。             
 中略・・・・詩人の心の真実を詠いあげたものなのである。また臼田亜浪先生は、「まこと」と言っておられる。この句を見た時、このことを思い浮かべた。(吉田 晃)

14.あかるき夜わが影踏みて蛍狩
満月の夜、蛍狩りに出かけられました。地上に影ができる程の明るい月の光。その中で無数に飛び交うのか、あるいはちらほらと飛ぶのか、蛍の光。その取り合わせの情景が目に浮かびます。(多田有花)

15.青蛙煙れる月に鳴きとおす

■選者詠/髙橋句美子
40. 更衣小さな袖を洗う朝
赤ちゃんも早くも更衣の季節となり、可愛い夏衣に身を包み大きくなりました。これまでの小さな衣のいたいけな袖を洗いながら、成長を喜び、母としての万感の思いで迎える爽やかな夏の朝です。(柳原美知子)

42.時が止る朝の夏雲真っ白に
夏の朝、空を見上げた時の一瞬の爽やかな情景がまっすぐに詠われていて、強く印象に残りました。著者の明るい心持が伝わってくるようです。 (土橋みよ)

41.紫陽花の星散らばせ花開く

互選高点句
●最高点句(6点/同点2句)
13.あめんぼう水速ければ流れゆき/髙橋正子
47.青梅にまだ残りある陽のぬくみ/川名ますみ

集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

■6月月例ネット句会清記■

■6月月例ネット句会清記■
2025年6月8日
48句(16名)

01.夏燕くつがえる空の色
02.夏霧のたたよう朝の牧場かな
03.睡蓮や忽と水泡の沸き出でし
04.姫女苑の風のしがらみ断ち切れず
05.蜘蛛の囲や蜘蛛のゆすりて塵落とす
06.黒蟻のためらい走る日差しかな
07.雨音を透かして響く時鳥
08.残照の空へとあがる遠花火
09.水入れてひと日代田の澄みにけり
10.紫陽花や妻の笑顔と陽の光

11.真っ青な大空を背に夏の山
12.夏の雨合羽が全ての水弾く
13.あめんぼう水速ければ流れゆき
14.あかるき夜わが影踏みて蛍狩
15.青蛙煙れる月に鳴きとおす
16.肩に乗り伸びする子の手にさくらんぼ
17.老鶯に誘われ参る山の寺
18.境内の青梅成りて手を合わす
19.病窓に青嶺の迫り雲湧ける
20.病室へ初鮎の膳声ともに

21.網代籠にゼリーとりどり見舞いとて
22.鷺草や雨の合間に飛ぶ構え
23.俗世とは縁を切りたる花菖蒲
24.雨降りて空を取り込む紫陽花かな
25.朝の陽を受け透き通るさくらんぼ
26.紫陽花の彩(いろ)濃くなりぬ青き空
27.紫陽花の照らすいつもの散歩道
28.やわらかき足湯の音に浸る初夏
29.杜若水面に我のゆく影と
30.宅配の箱より新茶の香の嬉し

31.降り出して梅雨に入る日の雨の音
32.柿の花いつしか小さき青き実に
33.さくらんぼ置くテーブルに娘らの寄る
34.吾子の蹴り日に日に強く夏の夜
35.大仕事終えて仰げば若葉風
36.夏服を色とりどりに干す晴天
37.六月や魚類図鑑の塵祓い
38.御木曳や夏正装の運転手
39.鉢巻の汗滲む跡や木遣り歌
40.更衣小さな袖を洗う朝

41.紫陽花の星散らばせ花開く
42.時が止る朝の夏雲真っ白に
43.滴りの光彩いまも瞼(まぶた)かな
44.夏休み大人となりて何もせず
45.夏シャツの腕まくりあげ山手線
46.柳の芽濠辺にひかり揺らしたり
47.青梅にまだ残りある陽のぬくみ
48.実梅もぐ手応えかるし実の重し

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