NEW9月14日(月)

晴れ
カーテンに陽はやわらかし法師蝉  正子
青萱を吹く風ありて友の家へ   正子
くらがりに萩の紅こそよく見ゆる 正子

●9月月例ネット句会の入賞発表。
https://suien.ne.jp/getsureikukai
金・銀・銅賞にコメントをつけるが、難しい。

●「俳壇」10月号の特集「秋の野鳥歳時記」は写真がなく、秋の野鳥の俳句と、秋の野鳥に関するエッセイのみ。なぜか、掲載者は11人と言う半端な数。4番目に掲載されている。掲載順に年齢順、ではない五十音順、地域別ではない。編集意図で順番が決まるそうだ。
息子、妹二人に送る準備。晴美さんには、持参し、郵便受けに入れておいた。
●「世紀末ウィーンの知の光景」第5章を読んでを、年頭随想として掲載できるよう、書き変える。著者への応答部分を減らしたので、わかりやすくなったと思う。応答部分を削ったのは惜しいが、3267字。この長さは巻頭随想としてはベスト。一段落。
●『RETURN』を彼岸の休み明けの24日に入稿予定で作業を進める。
18日金曜日は墓参。19日は運動会見物。20日~23日は雨のようなので、『RETURN』の編集作業。詩集の出来上がりが10月8日。10月15日に贈呈先に発送。20日にThe Moth Prizeに2篇を応募予定。
その後「リルケと俳句と私」(五)に取り掛かる。
今日、花冠No.376を少し編集した。原稿が多いので、散漫にならないようにする必要がある。

■9月月例ネット句会入賞発表■

■9月月例ネット句会入賞発表■
2026年9月14日
【金賞】
25.水の秋瀬せらぎ軽く堰を越え/上島祥子
季語「水の秋」が句の世界を立ち上げている。「瀬せらぎ」の表記の工夫もよい。そして瀬せらぎが「軽く」堰をこえる。これが、句を軽くし、流れる水の速さを読者に感じ取らせてくれる。「水の秋」が、秋を象徴する一景色として確かに、しかも軽やかに詠まれている。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
14.娘の隣家灯りて虫の鳴き始む/藤田洋子
「娘の隣家」という目の付けどころがユニークで、眼差しが優しい。娘さんの家はまだ誰も帰宅していない時間、その隣の家には灯りが灯っている。そして虫が鳴き始めた。夕暮れの繊細な時の移ろいが詠まれ、句詠の年季さえ思わせてくれる。(髙橋正子)

16.積乱雲眺む閑かな午睡の居間/吉田 晃
明快でありながら、閑な句。昼寝をする居間の窓に積乱雲が湧きあがっている。「午睡」と言う生活語によって「閑さ」にさえ、生活感があるのがいい。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
06.虫の声展望台に星ひとつ/土橋みよ
展望台のまわりに虫の声が聞こえ、星がひとつ出ている。暮れ始めたばかりの時間が、「虫の声」と「ひとつの星」で見事に表されている。(髙橋正子)

07.とんぼ舞う万博跡地の空広し/高橋秀之
「万博跡地」も歴史の流れに入ろうとしている。広い跡地の空を舞うとんぼと、華やかなだった万博が対比して想起され、時の交差がこの句に留められている。(髙橋正子)

23.退院す稔りの秋の只中へ/柳原美知子
退院おめでとうございます。
退院して驚いたのは、自分が身を置くところが、稔の秋の真っ最中だったこと。入院している間に田や畑は、すっかり稔りの季節を迎えていた。今、生活に戻る確かな実感が「稔の秋の只中へ」で力強く詠まれている。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
25.水の秋瀬せらぎ軽く堰を越え/上島祥子
稲の生育に必要なくなり、取り入れ口を閉められた水は側溝に戻っていく。取り入れ口の横には板で設えた小さな堰があって、役目を果たした水は堰を越えて流れ下る。役目を終えた秋の水は軽く、そして秋の日に光りながら下ってゆくのである。(吉田 晃)
秋の水は、曇りなく清らかです。その美しさを讃える季語「水の秋」に始まって、小川とその水音も届く「瀬せらぎ」が続き、それが「軽く」堰を越えていきます。秋の水の清らかな動きが、光や音をともなって感じられます。(川名ますみ)

29.新秋の風たしかなり熱のあと/川名ますみ
発熱から完治したあとの身体に感じられる風に新秋の訪れを実感されたうれしさが伝わってきます。「新秋」という季語が清新です。(柳原美知子)

06.虫の声展望台に星ひとつ/土橋みよ
07.とんぼ舞う万博跡地の空広し/高橋秀之
14.娘の隣家灯りて虫の鳴き始む/藤田洋子
16.積乱雲眺む閑かな午睡の居間/吉田 晃
23.退院す稔りの秋の只中へ/柳原美知子

【入選/13句】
01.夜通しの雨静まりて萩の花/友田 修
今年の夏は激しい雨に見舞われたところが多かったです。その雨がようやくあがった後、萩の花が咲いているのをご覧になったのでしょう。(多田有花)

02.風吹けばとぎれとぎれの虫の声/友田 修
虫が大きな声で鳴いているのではなく、風に揺られて途切れ途切れに聞こえる様子が静かな夜の秋の深まりを感じさせてくれます。(高橋秀之)

05.指の間を白波ぬける処暑の浜/土橋みよ
爽やかで涼しげです。処暑の頃の感覚が伝わってきます。厳しい残暑が少しずつ和らいでいく期待感とともに。(多田有花)
真夏の喧騒の去る“処暑”の浜。指間をすり抜ける白波の感触に、季節の静かな趣きを感じ取れます。(藤田洋子)

08.単線の線路脇より虫の声
単線のわきを夜に散歩している自分、虫の声が話し相手になっている。その虫は仲間と話しているのだろうけれど、無機物のレールはただそこにあるだけ。(友田 修)

10.新しい駅に降り立つ九月かな/多田有花
真新しい駅に降り立つ新鮮な感動。「九月」の澄んだ空気や爽やかな秋の訪れが感じられ、新しい季節の始まりへの期待感も高まります。(藤田洋子)

13.川縁を離るるほどに松虫の音/藤田洋子
夜の川べりを歩いて行かれた。そして川の流れから遠ざかると水音に変わって松虫の声の音が大きくなっていきます。(多田有花)

15.秋の薔薇夕べの雨を葉に残す/藤田洋子
秋の薔薇は、やや小ぶりで、色にも姿にも深みがあります。雨上がりの朝、その葉に「夕べの雨」を見ました。夏の勢いをそいだ薔薇に、物寂しい雨雫のなごり、大変優雅な句に心惹かれました。(川名ますみ)

17.真っ白な雲がちぎれて秋の峰/吉田 晃
真っ白な雲がちぎれてという表現がダイナミックな空模様に感じました。そのダイナミックさが秋の峰を一層引き立てます。(高橋秀之)

21.泣き顔や葡萄つかみて頬張りぬ/西村友宏
機嫌を損ねた幼子の情景でしょうか。泣きつつも自ら葡萄をつかみ、頬張る、その動作が明るく力強いです。季節の葡萄の甘さやみずみずしさも伝わります。(藤田洋子)

22.病室に伊予弁飛び交う雨の盆/柳原美知子
祖先を迎える特別な時期の雨の日、病気と対極にあるような明るく賑やかな伊予弁での語り合いが聞こえるようです。とても深い余韻を感じさせてくれました。(土橋みよ)

27.回送のバスドア固く秋出水/上島祥子
回送であるため乗客のいない運行バス。固く閉ざされたバスドアにバスの孤立感、そして刻々増水していく秋出水の荒々しさ、緊迫感が伝わります。(藤田洋子)

28.土の上の蝉避けすすむ車椅子/川名ますみ
車椅子に乗ってる人、押してる人 と同時に落ち蝉に気付いたのでしょうか。うまく方向を整えて車椅子を進め、蝉が土に帰る、蝉の最後を静かに見送る優しさを感じます。(上島祥子)

30.薄紅の見る間に藍へ秋夕焼/ 川名ますみ
見事な夕焼け空が広がりました。真夏の壮大で長時間のものと異なり、薄紅色が藍色へと変わっていく時間は短くなっています。(多田有花)

■選者詠/髙橋正子
31.水引草の赤いろ白いろ日に光り
32.応援歌数珠玉光るところまで
33.戸を閉めるときにひと際虫の声

互選高点句(5点)
05.指の間を白波ぬける処暑の浜/土橋みよ

集計:髙橋正子
※コメントのない句に、コメントをよろしくお願いいたします。