自由な投句箱/添削教室/10月21日~10月31日

巖華園
弟(おと)の手を握り十月桜かな
足利の巖華園では、毎年この時期になると二季桜(十月桜)が咲きます。
弟が遠路訪ねてきてくれたので、まだ一人で砂利道を歩くのには不安があり、弟の手につかまって桜の近くまで行き、一緒に花を楽しみました。そのことを俳句にしたいと思いました。ところが、十月桜は季語ではなく、「秋桜」とするとコスモスを指し、「冬桜」とすると実際の季節と合わなくなってしまうため、季語をどうすればよいか迷っております。このような場合、どのように詠めばよいでしょうか。ご教示いただけましたら有難く存じます。

お答え
「十月桜」は、秋の季節感のある言葉として、そのまま使ってよいです。

巖華園
弟(おと)の手を握り十月桜かな
この句のままでよいです。この句には、季感があるので、このままでよいです。(髙橋正子)

10月26日
土橋みよ
10月23日に投句いたしました「路地裏に襷の光る秋の宵」について、改作いたしましたので、添削のご指導をお願い申し上げます。暗くなってきた路地裏に、まず短冊形の光が見え、そのあとに、交通事故防止のために蛍光色の襷を肩に掛けた人が現れました。その光景を句にしたかったのですが、思い描いた情景が十分に伝わらない句になってしまいました。そこで、次のように改作いたしました。「秋の宵光る襷に人の影」お手数をおかけいたしますが、ご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
お答え
★路地裏に襷の光る秋の宵(原句)
★秋の宵光る襷に人の影(改作)
★警備員の襷光れる秋の路地(正子添削)

10月23日
川名ますみ
〈10月19日(月)自由な投句箱より〉

美しき林檎が母に供えらる★★★
「美しき」が抽象的なので、「赤き林檎」など具体的な表現があるとよいと思います。(髙橋正子先生)
青空と鱗雲とに包まれぬ★★★
「包まれぬ」は、誰(何)が包まれたのでしょうか。それがあるとよいと思います。(髙橋正子先生)

〇貴重なご指導を賜りまして、ありがとうございます。
●林檎の句は、母の親友が仏壇に林檎を供えてくださり、その鮮やかな赤が印象的で俳句にしました。下記のように推敲してみましたが、いかがでしょうか。
母の友赤き林檎を手向けくる
供えられ林檎の赤は母のもと

●鱗雲の句は、通院の帰り道、車窓から青空と鱗雲を望み、それに包まれているような安心感を得て、作りました。ただ、ご指摘の通り、誰(何)が包まれたのか、はっきりと自覚しておりませんでした。あらためて、自分自身も含め、間もなく自宅という場所から見た「わが街」としてみました。
わが街を包む青空うろこ雲

〇お答え
供えられ林檎の赤は母のもと
「母のもと」に、しずかな思いがあります。「美しき林檎」よりも「林檎の赤さ」への実感があり、それが母への思いにつながっているのがいいです。かなり、レベルアップです。「景を立てること」が、大切と思います。

わが街を包む青空うろこ雲
「青空」と「うろこ雲」と詠まれている対象が二つになり、景が立ちにくいです。鱗雲といえば青空は自然に想像できますので「青空」を消して、読者に任せる手もあります。
わが街の上を流るる鱗雲(添削例①)
「包む」感覚を活かすと、断定を避けてやわらかくし、「包むほどにも」と言うこともできます。

わが街を包むほどにも鱗雲(添削例②)

 

 

 

自由な投句箱/10月11日~10月20日

※当季雑詠(秋)3句を〈コメント欄〉にご記入ください。

※投句は一日1回3句までといたします。
※登録のない俳号・ペンネームでの投句は削除させていただきます(例:唐辛子など)。
※★印について
「心が動いている」句を良い句として選び、★印を付けています。

(※多くの方にご覧いただき、心より感謝申し上げます。この「自由な投句箱」は花冠会員を対象としておりますので、どうぞご理解ください。)
花冠代表 髙橋正子

今日の秀句/10月11日~10月20日

10月20日(2句)
★柿熟れてそれぞれの影宿しおり/多田有花
柿の実が熟し、葉も散るころになると、木や実のつくる影が際立って見えてくる。柿の実の丸みと熟れた朱の色が印象深い。それぞれの影を見いだした、丁寧な観察から生まれた一句である。(髙橋正子)

★やや寒し蝶の飛びゆく垣根かな/廣田洋一
「やや寒し」がよく効いている。蝶が垣根を越えて飛んでゆく姿に、秋の深まりがさりげなく映し出されている。蝶と垣根とのほどよい距離感にも味わいがある。(髙橋正子)

10月19日
該当句無し

10月18日(3句)
★秋晴に浮かべる如き航空機/多田有花
秋晴の静かさと透明感が印象的である。(髙橋正子)

★終活の記事に目を留め温め酒/廣田洋一
「温め酒」の温みがほのかに身体をめぐり、「終活」への思いに静かにかさなっている。そのよさ。(髙橋正子)

★駅前に友の子抱けば秋日和/高橋秀之
駅前で偶然出会った幼子を連れた友人。秋日和の麗らかさに思わず友の子を抱いた。ほのぼのとしたひとときが読み手にも伝わる。(髙橋正子)

10月17日(2句)
★晴れ続くなり背高泡立草/多田有花
いい放しの素朴さと「晴れ」と「背高泡立ち草」の取り合わせが明快である。(髙橋正子)

★敷石の目地に朱の実秋深し/土橋みよ
敷石の白さと木の実の朱の対比が美しく、敷石に木の実が自然においている景色は秋の深まりでもある。それを的確に捉えている。(髙橋正子)

10月16日(1句)
★林檎もぐ今日のひと日の幸せに/小口泰與
林檎の赤い色は、人に温かい感情をもたらします。木から林檎をもぐ行為は人を幸せな気持ちにします。今日のささやかな幸せが伝わる心の安らぐ句です。(髙橋正子)

10月14日、15日
該当句無し

10月13日(2句)
★菊月の朝日を浴びる丘の家/多田有花
「菊月」は長月の子季語で。菊の香、花の清らかさ、葉の濃さなどの余韻を含んでいる。朝日はまず丘の家に当たるが、その朝日は、菊月の菊の花の余韻を含んで、静かな明るさで丘の家を包んでいる。菊月の季語が効いている。(髙橋正子)

★仏壇の十日の菊の水を替え/廣田洋一
「十日の菊」は、一般には重陽の節句に一日ずれて咲く菊をいうが、ここでは、重陽をすぎてもなお咲き続ける菊の命を詠んでいる。仏前の菊を大切に、水を替える行為を素直に詠んで、静かで、清々しい。(髙橋正子)

10月12日
該当句無し

10月11日(2句)
★秋雲や快速電車走り行く/小口泰與
「秋雲」は「快速電車走り行く」に合わせるなら、「あきぐも」と読ませたい。その方が、快速電車の速度にあうからである。ふわりと浮く秋雲の下を快速電車が走って行く、急行や特急ではなく、快速の速度が秋雲の下で心地良い。(髙橋正子)

★快晴や残る燕と目があいぬ/多田有花
もう燕は帰ってしまったかと思うと、十月になっても高い気温の日があると、まだ残っている燕がいる。快晴の青空に残る燕の姿が。はっきり目に入り、ふと目があった。一瞬、燕と心が通じ合えた感じがする。(髙橋正子)

 

10月11日~10月20日

10月20日(4名)
多田有花
晩秋の虎杖ぐっとたくましき★★★
爽やかにビル解体の進みけり★★★
柿熟れてそれぞれの影宿しおり★★★★

廣田洋一
秋の野や大小の犬遊びおり★★★
やや寒し蝶の飛びゆく垣根かな★★★★
実を採りて枝剪定の無花果かな★★★

小口泰與
魚獲りし秋翡翠の高き声★★★
ひねもすを野鳥を追いて秋の森★★★
秘め事とのように隠れし秋の日よ★★★

上島祥子
秋天の深さをはかる水鏡(原句)
「秋天」と「水鏡」で十分美しい景色です。水鏡が「はかる」というのは、言葉の使い方としてずれて、無理があります。ずらして使う時は、詩として成り立っているか、など必然性を考慮する必要があります。(髙橋正子)

袖捲る一駅分の残暑かな★★★
「一駅分の残暑」を面白がる人もいますが、わかりにくいです。(髙橋正子)

風の道暑さを残す夜の湿り★★★

10月19日(2名)
多田有花
秋天にとまりて鳴きぬででぽっぽ★★★
紅葉して傾く日差しを浴びている★★★
秋の朝軒下雀のにぎやかに★★★
もう少し凝縮できると思います。(髙橋正子)

川名ますみ
美しき林檎が母に供えらる★★★
「美しき」が抽象的なので、「赤き林檎」など具体的な表現があるとよいと思います。(髙橋正子)

仏壇に林檎の赤の艶々と★★★
青空と鱗雲とに包まれぬ★★★
「包まれぬ」は、誰(何)が包まれたのでしょうか。それがあるとよいと思います。(髙橋正子)

10月18日(4名)
多田有花
秋晴に浮かべる如き航空機★★★★
ねこじゃらし空地となりて早一年★★★
秋風が紅き一重の薔薇揺らす★★★

小口泰與
ひと日かけ下りし鮎の釣られけり★★★
秋の夕ひとえに冷ゆる山の湖★★★
秋薔薇の夕日を受けて微笑みし★★★

廣田洋一
ひと欠片栗の入りたる最中かな★★★
残菊の淡き香りを放ちおり★★★
終活の記事に目を留め温め酒★★★★

高橋 秀之
秋の風夜の帳のバス停に★★★
秋茄子の煮びたし小鉢母の味★★★
駅前に友の子抱けば秋日和★★★★

10月17日(4名)
多田有花
一杯で頬に紅さす酔芙蓉★★★
晴れ続くなり背高泡立草★★★★
昼はまだやや暑かりし細き月★★★

廣田洋一
秋の野の風に吹かれて佇みぬ★★★

残菊を括りし紐の白々と(原句)
「白々と」はこの句の要ですが、印象がうすく、素材と呼吸があっていないのが惜しいです。言葉の精度が欲しい句です。(髙橋正子)

残菊を括りし紐の白映ゆる(添削例①)
残菊を括りし紐の白ほのと(添削例②)

八十はまだ若しと温め酒★★★

土橋みよ
干し柿を揉みて飴色くすみけり(原句)
「くすみ」と受け取るか、どうかですが。(髙橋正子)
干し柿を揉みて飴色深まりぬ(正子添削)

敷石の目地に朱の実秋深し★★★★

寒露かな片目を向ける池の鯉★★★
「片目を向ける」は、正直に言い過ぎています。言ってしまうと詩情を欠くことになります。(髙橋正子)

上島祥子
あかままの整地の隅に赤連ね★★★
{整地」がやや説明に寄っています。(髙橋正子)

泣増の微笑む午後や美術展(原句)
能面は光の加減によって表情が変わるので、季語があるとよくなると思います。

自然光の部屋だと「午後」は、光の入る方向を示し、必然性がありますが、美術館の午後は、また別の意味を帯びます。午後が違う方向に句を働かせています。(髙橋正子)

濡れ髪に猫の戯れつく秋の夜半★★★

10月16日(2名)
多田有花
秋の朝嘴ぬぐう鴉あり★★★
銀杏の散らばる道を散歩かな★★★
「散歩かな」が説明になって、「銀杏の散らばる道」が弱くなっています。(髙橋正子)

切藁の並びし田にはひつじ伸び★★★
「切藁の並びし」とはどんな様子なのでしょうか。(髙橋正子)

小口泰與
片隅へ日の当たりたる青蜜柑★★★
片隅はどこ(何)の片隅でしょうか。(髙橋正子)

ひそやかに秋の目高の孕みたる★★★
「ひそやか」は人の感情・態度の語ですが、それが目高に重ねると不自然になります。(髙橋正子)

林檎もぐ今日のひと日の幸せに★★★★

10月15日(2名)
小口泰與
秋風の商店街の錆にけり★★★
校庭に秋風吹きて子等居らず★★★
ひしめきて枝を震わす林檎かな★★★

多田有花
交響曲鳴る部屋出れば虫の夜★★★
秋うらら揃って下校の小学生★★★
一輪の名残の朝顔咲きにけり★★★

10月14日(3名)
多田有花
ハイドンの交響曲を聴く秋夜★★★
中華鍋に蒸し器を据えて栗を蒸す★★★
長月や夜明けは午前六時なり★★★
句が説明になっています。(髙橋正子)

小口泰與
ひそやかに秋雲覆う浅間かな★★★
するすると蜥蜴出でけり秋の芝★★★
枝に居る秋翡翠を垣間見る★★★

土橋みよ
刈り跡の真中にひとつ大南瓜★★★
「刈り跡」は、何の刈跡がよくわからないので、大南瓜が刈り跡にある必然性が受け取れないのが惜しいです。(髙橋正子)

ハナミズキの実散る墓地へ秋日さす★★★
「実散る」と「秋日さす」では、焦点が二つになります。特に、動詞が二つあるときは、どちらに重心を置くか気をつけるのがよいです。(髙橋正子)
饅頭の餡舌を滑る夜寒かな★★★

10月13日(3名)
小口泰與
赤城山の今ひたすらにもみずるや★★★
ひそやかに利根の落鮎下りけり★★★★
小鳥来る池波立ちて慌てけり★★★

多田有花
行く雲に旅する心広重忌★★★
菊月の朝日を浴びる丘の家★★★★
窓開けて走る車へ金木犀★★★

廣田洋一
仏壇の十日の菊の水を替え★★★★
やや寒や薄き上着を羽織りけり★★★
仏壇に栗飯ひとつ供えけり★★★

10月12日(3名)

多田有花
秋祭シデとりどりに道沿いに★★★
秋祭の太鼓鳴りだす午前七時★★★
長月朔月無き空を見上げおり★★★

小口泰與
御仏のお顔寂しき秋の風★★★
上州の風の秀づや秋赤城山(あかぎ)★★★
秋暑し日陰求めて歩みけり★★★

廣田洋一
初鴨の四羽並べる町の川★★★
青空に泡を吹き上げ泡立草★★★
アボカドや醤油たらして秋の夜★★★

10月11日(2名)
小口泰與
秋雲や快速電車走り行く★★★★
遙かなる虫声何処夜の闇★★★
四畳半玻璃より秋日差し込みぬ★★★

多田有花
住宅地香りほのかに金木犀★★★
快晴や残る燕と目があいぬ★★★★
稜線を釣瓶落しの日毎下り★★★

 

自由な投句箱/添削教室10月11日~10月20日

10月19日
土橋みよ
秋晴れに枝一段のイチイかな
秋麗撮り鉄よぎり行く列車

10月15日
土橋みよ
「刈り跡の真中にひとつ大南瓜」と
「ハナミズキの実散る墓地へ秋日さす」の改作を考えてみました。

草刈れば庭の真中に大南瓜
花水木の実の点々と秋の墓地

添削教室/10月11日~10月20日

10月19日
土橋みよ
秋晴れに枝一段のイチイかな(原句)
「枝一段」の景色がわかりにくいです。読者は、枝が一段しかないのか、下枝が一段なのか、一段だけ際立って見えるのか。
秋晴にイチイ一枝黒々と(添削例)

秋麗撮り鉄よぎり行く列車(原句)
秋麗撮り鉄をよぎり行く列車(添削)
撮り鉄がよぎるのか 列車がよぎるのかがあいまいです。「撮り鉄を」と「を」と入れ、句意をはっきりさせるとよいです。

※二句とも、作者にははっきりしている景色が、読み手には、あいまいにしか伝わらないことが問題です。(髙橋正子)

10月15日
土橋みよ

「刈り跡の真中にひとつ大南瓜」と「ハナミズキの実散る墓地へ秋日さす」の改作を考えてみました。

草刈れば庭の真中に大南瓜★★★
情景がよくわかるようになりました。南瓜が人知れず太っていて、驚かれたのですね。

花水木の実の点々と秋の墓地(原句)
「実の点々と」は、実が点々と付いているのか、落ちているのか、分からないので、そこをはっきりさせるとよいです。

花水木の実のこぼれたる秋の墓地(添削)
「実の散る」は、「散る」より、「こぼれ(零れ)」のほうが実の落ち方として自然と思います。(髙橋正子)

10月11日
小口泰與
遙かなる虫声何処夜の闇(原句)
虫の声闇のはるかに低く鳴き(正子添削)
夜の闇の遠くに虫の声が聞こえる。どこで鳴いているのだろうかと、その場所を思っている。こんな状況の句と読めました。
作者の思いを景に寄せた添削です。(髙橋正子)

秋雲や快速電車走り行く★★★★
四畳半玻璃より秋日差し込みぬ★★★

■10月月例ネット句会ご案内■

■10月月例ネット句会ご案内■
10月月例ネット句会を下記の通り開催しますので、ご参加くださいますよう、ご案内いたします。

期 日  :10月11日(日)
①投句:当季雑詠3句
10月5日(月)午前6時~10月11日(日)午後5時
②投句は、下記アドレスの月例ネット句会のの<コメント欄>にお書き込みください。
https://suien.ne.jp/getsureikukai
※どなたでも投句できます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:10月11(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:10月12日(月)(スポーツの日)
③伝言・お礼等の投稿は、10月12日(月)~
10月15日(木)
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏
※ここは、ご案内のみです。ご投句はなさらないでください。

自由な投句箱/10月1日~10月10日

※当季雑詠(秋)3句を〈コメント欄〉にご記入ください。
※投句は一日1回3句までといたします。
※登録のない俳号・ペンネームでの投句は削除させていただきます(例:唐辛子など)。
※★印について
「心が動いている」句を良い句として選び、★印を付けています。

(※多くの方にご覧いただき、心より感謝申し上げます。この「自由な投句箱」は花冠会員を対象としておりますので、どうぞご理解ください。)
花冠代表 髙橋正子

今日の秀句/10月1日~10月10日

10月10日(1句)
★こりこりと蝗を食むや山の宿/小口泰與
私は蝗を食べた事がないので、その食感は、パリパリ、あるいはカリカリする者かと想像していた。こりこりは思ってもみなかったが、酒肴としたり、ご飯と合わせたり、味わいながら食べると口深くに「こりこり」と感じられるのかもしれない。山の宿の気配を深くしている。(髙橋正子)

10月9日(1句)
★池すでに初鴨を迎え静かなり/多田有花
「初鴨」は、秋の季語。この季節はじめて北方から鴨を迎えた喜びと、早くも池に落ち着いた鴨の様子に安心の気持ちが窺える。「静かなり」はまだ工夫の余地がある。(髙橋正子)

10月8日(3句)
★物干しに翅を張りたる蜻蛉かな/土橋みよ
「翅を張り」は物干しに止まる蜻蛉の翅の透けた様子と緊張感をよく見せてくれている。物干しも蜻蛉の止まる場所として、日常のなかにも清潔感があり、場面と切り取りがいい。(髙橋正子)

★赤城より風のはつかに小鳥来る/小口泰與
冬には赤城颪が吹くところ。その赤城山から風が少し吹いてくる。小鳥来る季節でもあるのだ。生活に深く入り込んだ風と、小鳥たちの往来が、生活の一部となっているのがいい。(髙橋正子)

<玉丘史跡公園>
★澄む水に囲まれ玉丘古墳あり/多田有花
玉丘古墳は兵庫県の河西市にある。ふたりの皇子に恋された姫の悲恋物語と、史実とがあるようだ。その古墳を囲んで堀がありその水が澄んでいる。静かに古代が偲ばれる。(髙橋正子)

10月7日(3句)
<鶉野飛行場跡>
★滑走路跡の空澄み渡り広々と/多田有花
鶉野飛行場は特攻機の訓練が行われた場所で、地表にかつての滑走路の直線が地表に残っている。
周囲には遮るものが少なく、空が「どこまでも澄むように感じられる。澄み渡る空にもどこか戦争の翳りがあるように思える。(髙橋正子)

★帰り来し庭の小菊の初蕾/土橋みよ
しばらく留守にしていた庭に小菊が初々しく蕾をつけている。
その健気なほどの可愛さに迎えられ、安堵の気持ちが優しく詠まれている。(髙橋正子)

★多摩川に大橋架かり秋高し/川名ますみ
多摩川大橋の大規模な橋梁工事の様子なのであろうか。秋の高い空「秋高し」が、工事のスケールを際立たせている。普段目にしない橋の工事は、目を瞠らせるものがあり、その場に立ち会ったこと自体が、記念的な目撃であったろう。(髙橋正子)

10月6日(1句)
 退院
★金木犀匂いてわが門近きかな/土橋みよ(正子添削)
退院おめでとうございます。
退院してわが家に帰る道に、金木犀が匂ってきます。わが家の門に植えられているのでしょう。匂いにすぐわが家が近いことがわかります。生活に戻るよろこびが直に伝わります。(髙橋正子)

10月5日
該当句無し

10月4日(2句)
★真っ青はこの空の色天高し/多田有花
「真っ青」という色がある。それはこの空の色だという。この視点がユニーク。「天が高し」の季語そのもののを詠んでいるが、説明ではなく、
詩となっている。(髙橋正子)

★コスモスや白と赤とのもつれ合い/廣田洋一
コスモスの代表的な色は、ピンクやマジェンダ、白といった色だろう。それを大きく赤と白で捉えている。咲き満ちるコスモスの花が入り乱れ、もつれあっている。コスモスの性質を素直に表現している。(髙橋正子)

と10月3日(1句)
★残菊に挨拶のごと揚羽蝶/廣田洋一
「残菊」と「揚羽蝶」の取り合わせに妙がある。名残りに菊に、こちらも秋蝶となった揚羽蝶が離れては寄り、寄っては離れ、軽く挨拶をしている。残菊と揚羽蝶の世界にそっと自分を置いた自然さがいい。「挨拶のごと」の「ごと」は、一考の余地がある。(髙橋正子)

10月2日
該当句無し

10月1日(1句)
★夜のまだ浅し妻恋う鹿の声/多田有花(正子添削)
鹿は薄暮性の動物と言われ、夕方から早朝に、 とくに秋の繁殖期にはよく鳴く。 鹿の妻恋う声は古来、深夜の静寂・孤独・切迫感と結びつき、 多くは 夜の深まり を背景としている。この句の新しさは、「夜のまだ浅し」という時間層の鹿の声 を捉えたことにある。浅い夜に、「妻恋う」と言いながらも、ただ響く声として受けとめている。 その感覚は現代的とも言えよう。 (髙橋正子)

10月1日~10月10日

10月10日(3名)

多田有花
<玉丘史跡公園二句>
白鳥の飛来待つなり秋の池★★★
爽やかに愛染古墳のありにけり★★★
破産宣告貼られし工場の寒露★★★

廣田洋一
夜明け前明星ひとつ秋の空★★★
金木犀風の行方に香りけり★★★
十月や吾が湘南の秋祭り★★★

小口泰與
華やかに流るる紅葉数多かな★★★
こりこりと蝗を食むや山の宿★★★★
蜩や木の根の這ゆる山の道★★★

10月9日(2名)
小口泰與
はつはつに咲きし木犀花こぼす★★★
秋風のはずれに見ゆる九十九折★★★
落鮎のうろこ錆びたり寺の鐘★★★

多田有花
<玉丘史跡公園三句>
秋うらら古代の恋の物語★★★
中鷺や玉丘古墳の秋の濠★★★
池すでに初鴨を迎え静かなり★★★★

10月8日(4名)
土橋みよ
物干しに翅を張りたる蜻蛉かな★★★★
キタテハの熟柿に留まり葉の色に★★★
秋蝶の去りて柿枝揺れ残り★★★

小口泰與
秋翡翠の飛び込む声を端近に★★★
山彦の声の届きし秋の丘★★★
赤城より風のはつかに小鳥来る★★★★

廣田洋一
秋の雲千切れて長く連なりぬ★★★
堰落ちる水音清か秋の川★★★★
柿の実や次々来たる鳥の声★★★

多田有花
古墳前のとんかつ店に入る秋★★★
十月のフィレとんかつの熱さかな★★★
<玉丘史跡公園>
澄む水に囲まれ玉丘古墳あり★★★★

10月7日(5名)
小口泰與
落鮎や利根の大岩でんとあり★★★
雨降りて激しき流れ下り鮎★★★
天守より見ゆる大河や鶴来る★★★

廣田洋一
秋晴や八幡宮に鳶舞えり★★★
あの角を曲がればそこに金木犀★★★
墓原に色濃く咲ける萩の花★★★

多田有花
<鶉野飛行場跡三句>
紫電改間近に見たる秋日かな★★★
落下傘に残る墨痕秋気澄む★★★
滑走路跡の空澄み渡り広々と★★★★

土橋みよ
帰り来し庭の小菊の初蕾★★★★
立て膝に手を預け秋の更衣★★★
夜寒かな両の手湯呑を支えけり★★★
「支えけり」は、両手の力のありがたさを感じた表現と思いますが、読んですぐには、意味がとりにくいです。(髙橋正子)

川名ますみ
秋川にクレーン高々橋を架く★★★
秋川に空より架かる橋新た★★★
多摩川に大橋架かり秋高し★★★★

10月6日(3名)
多田有花
<鶉野飛行場跡三句>
海軍の飛行場跡天高し★★★
どこまでも空澄む日なり慰霊の碑★★★
秋空へ飛び立つ如し特攻機★★★

廣田洋一
高原の草々光る星月夜★★★★
川風の吹き抜けて行く野菊かな★★★★
柚子たわわ辺りの空を和ませて★★★

土橋みよ
秋白し脳をしゃもじの回りけり★★★
サイレンの二つ唸りて夜寒かな★★★
退院
金木犀匂いて門の近きかな(原句)
金木犀匂いてわが門近きかな(正子添削)
退院のうれしい気持ちを表すために、一般的な「門」ではなく、「わが門」としました。
退院おめでとうございます。お家でゆっくりなさってください。(髙橋正子)

10月5日(3名)
多田有花
澄む秋にガレージの屋根取り換える★★★
出かけんとする朝の月見上げ★★★
<鶉野飛行場跡>
特攻の遺跡に二十三夜月★★★
ほんの少し、一歩踏み込むと★四つとなります。(髙橋正子)

廣田洋一
秋晴や稲穂の光波打ちて★★★
道の辺の咲き乱れたる野菊かな★★★
団栗やひとつ転がる足の先★★★
どの句も無理がなく、素直な句で好感がもてますが、焦点が浮き上がらず句が弱いままになっています。ご自分なりの捉え方が一か所あると、★四つになります。(髙橋正子)

10月4日(3名)
多田有花
秋晴れや近く見えたり播磨富士★★★
真っ青はこの空の色天高し★★★★
日の出待つ山の間を霧流る★★★
「日の出を待つ」と「霧流る」は並列されているので、どちらかに重心を置くと句がまとまります。(髙橋正子)

廣田洋一
椿の実縦に切れ目の入りにけり★★★
コスモスや白と赤とのもつれ合い★★★★
花梨の実熟れて落ちたる用水路★★★
「熟れて落ちたる」が説明になっていて、これは省略できるところです。
俳句では「結果だけを置く」ことで景が澄みます。(髙橋正子)

上島祥子
放校のチャイムの澄める秋句会★★★
秋帽子山行き列車へ列揃え★★★
句材はいいです。視点が散っているなのが惜しいです。(髙橋正子)
新米の研ぎ音軽く厨の夕★★★

10月4日(3名)
多田有花
秋晴れや近く見えたり播磨富士★★★
真っ青はこの空の色天高し★★★★
日の出待つ山の間を霧流る★★★

廣田洋一
椿の実縦に切れ目の入りにけり★★★
コスモスや白と赤とのもつれ合い★★★★
花梨の実熟れて落ちたる用水路★★★

上島祥子
放校のチャイムの澄める秋句会★★★
秋帽子山行き列車へ列揃え★★★★
新米の研ぎ音軽く厨の夕★★★

 

★★★★
新米の研ぎ音軽く厨の夕★★★

10月3日(3名)
多田有花
おやすみと真夜中の月が顔を出す★★★
秋日和外壁リフォームの進む★★★
分解を諦め収納秋の扇風機★★★

廣田洋一
軒先に柿を吊るせし里の家★★★
月隠す雲の明るき空蒼し★★★
残菊に挨拶のごと揚羽蝶★★★★

小口泰與
野分来てすそ野の田畑荒れ狂う★★★
渡り鳥はかなき命預け飛ぶ★★★
なめらかな石に愛撫や石たたき★★★

10月2日(2名)
廣田洋一
高々と黄の穂を揺らす泡立草★★★
筆柿と種無しの柿並ぶ店★★★
焼き立ての鰯を盛りて夕餉かな★★★

小口泰與
落おちて鮎は釣られし利根下流★★★
三山を妬みて利根の川原石★★★
カンナ咲く本屋の引戸古りにけり★★★

10月1日(4名)
多田有花
夜はまだ浅し妻恋う鹿の声(原句)
夜のまだ浅し妻恋う鹿の声(正子添削)
「夜は」の「は」は限定の意味がありますので、「夜は」で止まって、読み手はいろいろ考えてしまいます。(髙橋正子)

アップデート待ちつつ眺め更待月★★★
有明や日差しはすでに山頂へ★★★

廣田洋一
通信塔白く光りて秋澄める★★★
紅の夢てふ赤肉の林檎かな★★★
新蕎麦の幟はためく定食屋★★★

小口泰與
遠嶺より日の出でたるや沼の秋(原句)
遠嶺より日の出でたるや秋の沼(正子添削)
「沼の秋」が抽象的のなりすぎています。「秋の沼」とするほうが、景色が具体的になり、イメージがはっきりします。(髙橋正子)

稲雀腹ふくらまし枝先へ★★★
二つ三つ残りし柿に鴉かな★★★

土橋みよ
青蜜柑なくて指先香りけり★★★
「青蜜柑なくて」は意味がとりにくいです。(髙橋正子)

また同じページへ戻り夜長かな★★★
秋光へ支えの手あり膝上がる★★★