9月1日(3句)
北海道より帰る
★施錠せし厨の窓にかぼちゃの花/土橋みよ
旅行の間、施錠した家は時間が止まったようにしんとしていました。ところが、生活の匂いが濃い厨の窓には、南瓜の蔓が伸びてきて花が咲いています。旅の終わりと、新しい日常の始まりが同時に立ち上がる一句です。(髙橋正子)
★蜩や茶柱立つる昼の卓/廣田洋一
蜩は秋の季語で、夏から秋へ移り変わる静けさと寂しさがあります。静かな昼の卓で淹れたお茶に茶柱が立ち、静かな良い兆しの変化があります。季節の移ろいと生活のささやかな幸運が、ひとつの卓上に静かに集まっている句です。(髙橋正子)
★田はすでに二百十日の稔りの色/多田有花
「すでに」が効いています。二百十日の厄日は、以前は稲穂の出る時期でしたが、昨今では穂も稔の色となっています。その色に安心
の気持ちが湧きます。不安の季節が、いつのまにか安心の色へと変わっていたことを気づいた句です。 (髙橋正子)
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