花冠発行所案内

●入会ご希望の方へ
下記発行所Emailへ、

①ご本名
②ご住所
③電話番号
④入会希望理由(簡潔で結構です)
をご記入のうえ、ご連絡ください。 入会をお待ちしております。
Email:haikukakan01@gmail.com

花冠発行所
▼住所:223-0062

   横浜市港北区日吉本町3丁目40-41-105
        花冠発行所 髙橋方
電話/Fax:045-561-5878
Email:haikukakan01@gmail.com

▼送金先:
○ゆうちょ銀行
[店名]〇二八(読み ゼロニハチ)
[店番]028
[預金種目]普通預金
[口座番号]6257389
[名義]花冠発行所(カカンハッコウショ)
↑※こちらを推奨。

○郵便振替
口座番号 00290-1-116469
口座名称 花冠発行所(カカンハッコウショ)

俳壇10月号に髙橋正子の俳句とエッセイ掲載

このたび、「俳壇」10月号の特集『秋の野鳥歳時記』に髙橋正子の俳句5句とエッセイが掲載されました。
この号を購入希望の方は、下のコメント欄にお名前をお書きください。
定価1000円ですが、著者割引が適用され800円になります。
送料は103円です。あわせて、800円+103円=903円となります。よろしくお願いします。
なお、出版社への発注は、みなさんの注文が出そろった時点でいたしますので、少しお待ちください。
2026年9月14日 髙橋正子
【感想】
②吉田晃
啄木鳥やリルケを慕い木を叩く
 ちょっと視点を変えて鑑賞してみたい。たいへんユニークな、「啄木鳥とリルケ」「リルケを慕う」「木を叩く」のこれらにどんな関係か成り立つのかを自分なりに想像してみた。
花冠には、正子先生のエッセイ「リルケと俳句と私」が連載されていて、第三七五号で四回になる。その中に以下の一文がある。
▽リルケの四行詩を読むことは、俳句の根に触れ直すことでもあった。短い詩形のなかで、沈黙と光が交錯し、風景が外界ではなく内面の深みに沈んでいく。その動きを俳句の呼吸で受け止めようとする時、私は自分の言葉の源泉にもう一度手を触れていると感じる。
▽私は俳句を読むとき臥風先生から「本人(の身)になって読む」方法を教わり、それを六十年近く実践してきた。その姿勢は、リルケの詩を読むときも引き継がれている。
つまり、挙句の啄木鳥を作者自身と理解すれば、啄木鳥が叩く木はリルケの文学である。そして、啄木鳥である作者は、リルケの心を知りたいと木を叩いて隠れているリルケの心に触れようとする。リルケを深く理解したいと叩くほどに、リルケに魅かれるのである。作者は、木を叩き始めたばかりであり、リルケを読み進めるほどに、更に心酔し、木を叩く作業はこれからも続くのであろう。
▽花冠第三七二号では、「リルケの初期の詩を読み始めたことで、彼の目と自分の俳句を読む視点が全く違うものではないと気付いた」と作者は言っている。では、そのリルケはどこからきたのだろう。
信之先生は、愛媛大学でドイツ文学を教えておられ、トーマス・マンを研究しておられた。そのための資料に購入されたのだろうか、遺された蔵書の中に「リルケ作品集」があるという。
作者は、その作品を紐解き、読み進むほどに作者の俳句の心と通じ合うことを知ったのである。そのリルケ文学への思いが挙句なのだと解釈した。

①柳原美知子
俳壇10月号の特集としてクローズアップされた秋の野鳥歳時記への正子先生の作品5句とエッセイのご掲載おめでとうございます。

5句とも別の鳥を詠まれ、それぞれの特徴をよく捉えられ、秋の水の清らかな流れや秋光に包まれた鳥たちが生き生きと眼前に見えるようです。
★啄木鳥やリルケを慕い木を叩く 正子
啄木鳥と同化されたような正子先生のリルケへの真摯な熱情がうかがえる若々しいお句に感動します。
★鵙の声夕べの月を呼び出だす  正子
鵙の鋭い声と姿、静かな夕べの空に浮かんだばかりの柔らかく温かい月の対比が美しく、孤高の鵙の淋しさも感じられ、物語がはじまりそうです。
エッセイも秋に飛来する鳥たちを迎え愛しみ、日々の生活のひそかな喜びとされる俳人らしい優しい文章で感動しました。

 

詩集『帰還』の文学館収蔵

●この度、6月10日発行の拙詩集『帰還』が、日本近代文学館(目黒区駒場)に収蔵されることになりました。収蔵番号は9616。受け入れられたのは8月8日でし。遅ればせながら、ご報告します。

無名の俳人の詩集が日本文学館に収蔵されたのは、名誉なことと思っています。が、それ以上に花冠の精神性が日本文学の系譜のなかに、しずかに組み入れられたことを私は嬉しく思っています。それを深く受け止め、みな様にご報告いたします。

日本近代文学館は、1962年の設立以来、近代文学(明治以降)の資料を体系的に保存することを目的とした、日本初の総合文学資料館です。寄贈された書籍は「受け入れ判断」を経て収蔵されるということです。

副題の「俳句的観照による」の作詩方法を示したことと、徹底的にそぎ落とした装丁が、視覚的に内容理解を補強したと思います。詩集『帰還』は、近代文学館が長く扱って来た日本語の精神史の系譜にあります。 俳句と詩の境界をまたぐような観照の姿勢は、 日本語の表現史のなかで、まだ十分に言語化されていない領域です。そのことを考えますと、身が引き締まる思いがしています。

●なお、神奈川近代文化館(横浜市山手町)にも収蔵されることになりましたので、併せてご報告いたします。
2026年9月10日
髙橋正子

■令和8年度会費納入者一覧

●令和8年度年会費は3万円です。どうぞよろしくお願いいたします。
2025年11月10日
花冠主宰/髙橋正子

■令和8年度会費納入者一覧(11名33万円)
2025年
◆11月06日:藤田洋子◆11月08日:川名ますみ◆11月09日:友田 修
◆11月09日:土橋みよ◆11月10日:小口泰與 ◆11月11日:高橋秀之
◆11月11日:吉田 晃◆11月12日:柳原美知子◆11月22日:廣田洋一
◆12月01日:多田有花◆12月12日:上島祥子◆

★令和9年年会費納入者一覧(1名3万円)
2026年1月14日:友田修

■令和8年度維持費納入者一覧(計48.5口)
2025年
◆11月09日:土橋みよ(10口)◆11月12日:柳原美知子(5口)
◆12月29日:藤田洋子(2口)◆12月12日:上島祥子(5口)
New2026年
◆1月06日:祝 恵子(10口)◆1月19日:川名ますみ(10口)
New◆5月25日:吉田晃(2.5口)◆9月25日:吉田晃(4口)

■誌代(計15冊12400円)
New2025年
12月29日:藤田洋子3冊2400円
12月31日:三谷美貴1冊800円
New2026年
1月05日:谷井紀夫 1冊800円
1月06日:小池郁子 1冊800円
1月06日:姫田みゆき1冊800円
1月19日:青野郁恵 1冊800円
1月19日:吉田晃   2000円
1月19日:川名ますみ2冊 1600円
1月23日:池田尊之1冊800円
2月10日:大久保美香子1冊800円
2月27日:上島祥子1冊800円

       ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

●令和7年度年会費は2万円です。物価高に対応するため、維持費(一口千円)をお願いしています。どうぞ、よろしくお願いいたします。
2024年10月15日
花冠主宰/髙橋正子

■令和7年度維持費納入者一覧(一口千円/計144口)
2025年
NEW◆2月12日:吉田晃(3口)◆7月12日:土橋みよ(5口)◆7月22日:吉田晃(10口)◆9月8日:森下朋子(2口)◆

■令和7年度会費(2万円)納入者一覧(計13名)
◆10月16日:小口泰與◆10月31日:藤田洋子◆11月03日:廣田洋一◆
◆11月07日:吉田晃◆11月07日:柳原美知子◆11月15日:友田修◆
◆12月02日:弓削和人◆12月12日:高橋秀之◆12月13日:川名ますみ◆
◆12月13日:土橋みよ◆12月13日:桑本栄太郎◆12月19日:上島祥子◆
◆12月30日:多田有花◆

2024年
◆10月16日:小口泰與(10口)◆
◆10月16日と12月13日:川名ますみ(20口)◆
◆10月31日:藤田洋子(10口)◆11月03日:廣田洋一(5口)◆
◆11月07日:吉田晃(10口)◆11月07日:柳原美知子(10口)◆
◆11月15日:友田修(10口)◆12月02日:弓削和人(4口)◆
◆12月4日:祝恵子(10口)◆12月12日:高橋秀之(10口)◆
◆12月13日:土橋みよ(5口)◆12月13日:桑本栄太郎(5口)◆
◆12月19日:上島祥子(5口)◆12月30日:多田有花(10口)◆

花冠・夏休みのお知らせ

夏休みのお知らせ
2026年8月16日(日)~8月31日(月)を花冠発行所の夏休みといたします。その間、「自由な投句箱」をお休みといたしますので、ご投句はご遠慮ください。

その間の発行所、会員各位へのご連絡などありましたら、下方↓の、「夏休み臨時伝言板」をご利用ください。

なお、再開は9月1日(火)となります。どうぞよろしくお願いします。
2026年8月15日
花冠代表 髙橋正子

◆花冠夏休み臨時伝言板(8月16日~8月31日)◆

◆花冠夏休み臨時伝言板(8月16日~8月31日)◆

花冠発行所は、8月16日から8月31日まで夏休みとなります。 この期間中、臨時伝言板を設けました。発行所、あるいは会員への連絡・伝言などがありましたら、下の<コメント欄>にご記入ください。 どうぞ有意義にご利用ください。
8月15日 花冠代表 髙橋正子

多田有花句集『蒼き氷河』紹介と感想

●多田有花句集『蒼き氷河』が、花冠俳句叢書・電子版1 として出版されました。有花さん、おめでとうございます。

花冠会員の皆さまには、有花さんからメールの添付ファイルで句集が届いていることと思います。読み方は、有花さんがメールで説明されていますので、お読みになって、その通りにしてください。
わからない時は、有花さんに直接、または発行所にお尋ねください。
『蒼き氷河』
https://amzn.to/4f3jpNv

有花さんの電子書籍での句集発行は花冠では初めてで、画期的なことです。句集を読まれましたら、有花さん、または発行所に感想をお寄せください。

【感想】
⑤川名ますみ
多田有花さまの句集『蒼き氷河』を、拝読しました。
俳句も写真も、迷いなく切り取られた、晴れやかな一瞬で、花冠の「明るくて深い」を目指されていることが、確かです。
写真が俳句を、邪魔しないのはもちろん、説明にもならず、引き立て合っていることにも驚きました。付きすぎも離れもしない関係は、俳句を作るゆえの技術かもしれません。
旅や登山の俳句からは、あったに違いない険しい道程を敢えて書くことなく、最も大切な発見だけを綴る姿勢に、感嘆いたしました。それは、日頃の生活の御句にも繋がる姿勢で、有花さまがぱっと取り出した景色に、はっとすることがしばしばです。
下記に好きな句を、思いつくまま、挙げてまいります。

インラインスケート春の弧を描く
四半世紀ほど前、若い友人がインラインスケートを楽しんでいました。当時は、検索結果で見るばかりだったその様子を、御句から、くっきりと感じ取ることができました。

<東北自転車行>
十和田湖の水の蒼さや蕗のとう
光る風追い越したくてペダル踏む
中学校の修学旅行が東北で、十和田湖へも行きました。長い冬の果てに待つ土地の春を、静かに、且つ、明確に感じます。お写真の自転車で回られたのでしょうか。「追い越したくて」ペダルを踏むお気持ちを想像しました。すてきですね。

畑より両手に熱き真桑瓜
収穫したばかりの真桑瓜を持ち帰られたのでしょう。「両手に熱き」から、気温の残りだけでなく、成長し熟す、真桑瓜の力を感じます。

<北八ヶ岳縦走>
秋澄むや明日踏む峰を指させり
実際に山を登る人でなければ、詠めない御句と存じます。さらに、母音のAと子音のSが爽やかな響きを成して、澄み渡る景色を映し出しています。

<大山登山>
寒晴れや真白き尾根を風が研ぐ
寒晴れの尾根の白さを「風が研ぐ」と表現されたこと、まさにその通りと感じました。雪を風が研ぎ、あの色と耀きが生まれるのでしょう。

帰る日の近き真鴨の鳴き交わす
春先の鴨を「帰る日が近い」と詠む優しさに、ほっとしました。間もなく帰るからこそ、彼らは鳴き交わしているのかもしれません。

<富士山頂俳句リーディング>
・七合目あたり
雲の峰富士の斜面を立ち上がる
・俳句リーディング
富士山頂風に我が句を唱えけり

私の「水煙」入会前ですが、富士山頂俳句リーディングには、有花さまの御句とあわせて憧れておりました。雲の峰が「斜面を立ち上がる」様子、山頂で「我が句を唱え」る開放感など、富士山頂俳句リーディングならではの描写が見事です。

<ケニア山・キリマンジャロ紀行>
空風にマント鮮やかマサイ来る
女たち頭上にバナナの房を載せ
サングラス空と氷河を映しけり
その場に立たなくては詠めない俳句。冬と夏が混在したような景色も、現地ならではのことと思います。からりとした強い光を感じ、同じ場所に立たせていただいた気分です。

<シャモニ・モンブラン>
ブルーベリー摘みつつ高きに登りけり
氷河より雲湧き出る秋空へ
登山には、厳しい環境や強い緊張が伴うものと思います。それを踏まえた上で、小さなブルーベリーを摘む楽しみから、氷河と空の繋がりまで、誇張なく捉えていること、感嘆いたします。

大いなる自由の響き夏休み
活動的で率直な、有花さまらしい御句と存じます。夏休みの度に思い出して、自由を謳歌したいです。

聴診器ことりと置いて冴返る
暖かくなりかけた頃、聴診器を机に「ことりと」置いた小さな音に、寒さの戻りを感じ、心身が透き通るような感覚を得られたのでしょう。静かで確かな描写が、印象に残ります。


④上島祥子
この度は、電子書籍での句集「蒼き氷河」の発表おめでとうございます。
電子書籍の句集で、1頁に七句を配置する試みが、多作である有花さんらしい 句集の型のように思いました。
俳句がシャワーのように 降って来る感覚があります。
読むスピードが、自然に上がりますが、これも有花さんの句を鑑賞するのに、丁度良い速度のように思います。
通常の紙媒体の句集における空白の余韻という慣習を外す、既存のルールに縛られない考え方の自由さに、感心いたしました。写真が多いのも、早いテンポに置かれた小休止のように、句集のリズムを整えているようです。山、ロード、オートバイ、自転車、植物の画像が、俳句を邪魔をせず置かれていて、巧みな構成だと思いました。

好きな句
暖かき七日の空へタオル干す
松の内の最後の日、穏やな暮らしが戻ってくる安心感があり、歳のスタートがつつがなく始まる喜びが感じられます。

蹴り上げしボールに先に春日あり
秋澄むや明日踏む峰を指させり
爆心にいまふたたびの若葉風
高速路曲がる先まで冬紅葉

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③廣田洋一
句集「蒼き氷河」のご出版おめでとうございます。
月毎に題を付けるのは初めてです。
気に入ったのはキリマンジャロの句です。
空風にマント鮮やかマサイ来る
マサイの特長は、狩猟民族としての長槍です。
都会では、自転車に乗っていても槍を背負っています。
この点が詠まれていないのが残念です。

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②高橋秀之
多田有花句集『蒼き氷河』ご出版、おめでとうございます。
Amazon KDPの電子書籍、新たな手法ですね。
きれいなお写真と合わせて拝見しております。普段は文字から情景を想像しておりますが、写真がセットになっていることで、同じ句であっても、感じ方が違ってくるから不思議です。

2001年から2005年の5年間。この時代がどんな時代であったかにも思いを寄せつつ、「好きな句」というより「直感的に気に入った句」をいくつかあげさせていただき、感想に代えさせていただきます。(ちなみに、デスクトップに貼り付いてので、いつでも見れる状況にあります)

陽光をひらりかわして初燕
燕の巣は軒下の太陽の光を避けたところにあります。そんな巣に戻ってくる親燕の様子が、ひらりかわして(躱している)と感じられたのでしょう。このころは大阪市内でもまだ見かけていたと記憶していますが、今は全くといっていいほど都市部では見かけなくなりました。

夏富士の空の青さへ日の丸を
この時期は、まだ水煙入会前でしたので、みなさまのお話でしたか存じ上げませんが、素晴らしいリーディングの会であったということは想像に難くありません。その素晴らしい句会がひとつのページになって、素敵な写真と対をなす。いいページだと思います。

秋風に水輝きて流れけり
水の輝きは、水の流れと同じで、同じ輝きはなく、その一コマ一コマが唯一無比の輝きです。流れゆく輝きは、20年のときを過ぎても悠久の輝きとして連綿と続いていることでしょう。

追記
たまたまこの時期は、長男、次男が産まれた時期に当たります。直接は関係ないことではありますが、そういった自分の歴史?も思い出させていただきました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

①土橋みよ(9月17日付け差替え原稿)
句集「蒼き氷河」の出版おめでとうございます。歴史的背景や社会的意味を備えた素晴らしい句が数多く収められており、その迫真性に深く感銘を受けました。例えば次のような句です。

蛇口より水迸る原爆忌
凍空に瞑すや平和祈念像
爆心にいまふたたびの若葉風
振り向けば冬の海あり天主堂

ここでは、私自身がお手本にしたい句を選び感想を記します。
柚子ひとつ置かれて卓の広さかな
小さな柚子一つによって、卓全体の広さが見えてきました。柚子の色や香りや丸みには何も触れていないのに、目に見えるようです。生活の場を詠みながら、清潔でとても品のある句だと思います。
花吹雪櫂のしずくに重なりぬ
この句を読んで、小学校唱歌「花」と、そのもとになっていると思われる源氏物語胡蝶巻の秋好中宮の女房の和歌「春の日の うららにさして 行く舟は 棹の滴も 花ぞ散りける」を連想しました。元の和歌は船楽の際の春の町の美しさを讃えたものですが、この句でも櫂から落ちる水滴と空から散る花びらの一瞬の重なりが美しいです。花吹雪が単なる美しい景色でなく、作者の身近で起きた出来事になるのが素敵だと感じました。
桐の花その高さより風が吹く
桐の花の高さを目には見えない風の出どころと感じられるような感性を私も持ちたいと思いました。高いところに咲く桐の花が揺れ、その動きや葉音によって、風の来る位置が感じられたのでしょうか。
薄氷や深山に戻る滝の音
滝の音が実際に山奥へ戻るわけではないと思いますが、薄氷の張る寒さと静けさの中で、滝音が遠ざかり、深山の奥深くへ吸い込まれていくように聞こえたということでしょうか。目の前の冬景色と耳に聞こえる滝の音の響き合いが素晴らしいと思いました。
青鷺は水の色して立ちにけり
青鷺が水辺に立ち、その羽色が周囲の水と溶け合ってどんなに美しかったことでしょう。「水の色して」という表現は是非真似したいです。青鷺が立った瞬間の静かな緊張感を思いました。
雨降れば雨の色して冬紅葉
前作に続いて、「雨の色」と捉えられた冬紅葉が、いろいろ想像させてくれており、色や形の具体的なことを言っていないのに美しく感じられます。
春雪が鏡の中を降りしきる
春雪を窓外の景色として直接詠みたくなるところですが、鏡に映った雪として捉えたことに驚きました。鏡の中に降る雪は現実の雪でありながら、どこか別の空間の出来事にも見えそうです。

 どの句も奇抜な言葉を使わず、日常の景色の注意深い観察から、具体的な物によって余情を残すところを是非見習いたいと思いました。

多田有花句集『蒼き氷河』の印刷版について

多田有花句集『蒼き氷河』は花冠俳句叢書・電子版1 としてKindle で出版されています。総句数は292句あります。

簡単な冊子ですが、
【表紙・扉・序・本文(俳句)・あとがき・奥付】
があり、本の体裁として整っています。本としての要件はそろっていますので、句集として十分手に取っていただけるものです。

有花さんからメールで電子版がお手もとに届いていると思います。
発行所からは、会員の皆さまに、簡易な冊子に印刷してお送りしました。こちらもご覧ください。

冊子はペーパーファスナーで留めています。そのままでもいいですが、これはすぐ外せますので、ホッチキスで留めめたり、お好きな紐やリボンを通してもよいです。読みやすいようににして、ご鑑賞ください。

●多田有花句集『蒼き氷河』について、ご感想をコメント欄にお書きいただければ、うれしいです。

感想は長くなくてもよいです。好きな句を挙げていただくだけでも結構です。感想は、2027年1月号(No.376)に掲載予定です。暑い折ですが、どうぞよろしくお願いします。
花冠代表 髙橋正子
2026年8月15日

 

 

新作6句「虎渓山]/上島祥子 紹介

●本阿弥書店発行の「俳壇」8月号に上島祥子さんの新作6句「虎渓山」が掲載されました。祥子さん、おめでとうございます。
下のコメント欄に感想をお書きください。よろしくお願いします。

虎渓山については、花冠7月号(No.375)の祥子さんの「ひとり吟行記」の散文に掲載していますので、あわせて、お読みください。

虎渓山
          上島祥子

一息に坂登り来て青紅葉
土岐川に若葉の潤む風の朝
青鷺の松に身を寄す水鏡
本堂の余香に拝し山の涼
滝音や巌に還る石仏
山涼し落石知らす手書き文字
     (「俳壇」8月号「現代俳句の窓」に掲載。)
————————————————-
【感想】

④吉田晃(2026年7月25日)
どの句も清らかで静かですね。作者の落ち着いた姿が見えるようです。言葉の遣い方が綺麗ですから、読み手にすんなり伝わってきます。
〔一息に坂登り来て青紅葉〕
季語青紅葉がいいですね。登り切ってかいた汗、息切れが季語によってす~っと消えていくようです。
土岐川に若葉の潤む風の朝
青鷺の松に身を寄す水鏡
〔本堂の余香に拝し山の涼〕
お寺独特の匂いの中に手を合わせる。大樹に囲まれたお寺の冷気の中に手を合わせている作者を思います。
滝音や巌に還る石仏
山涼し落石知らす手書き文字

③土橋みよ(2026年7月25日)
『俳壇』8月号掲載おめでとうございます。
『花冠』375号の「ひとり吟行記」を拝読した上で、以前、詩情豊かに、「ワイシャツの干されて自由春の風」と投句された祥子様が、名刹を歩き、その風景をどのように俳句として捉えられたのか、六句を興味深く読み進めました。

一句目の「一息に坂登り来て青紅葉」から、禅院へ向かう坂道における作者の息づかいと、登り切った先に広がる青紅葉の鮮やかさが伝わってきました。「一息に」という言葉で、寺院を包む清新で荘厳な世界へ一気に引き込まれました。
続く「土岐川に若葉の潤む風の朝」と「青鷺の松に身を寄す水鏡」には、朝の光や水、風の気配が静かに響き合う様子が感じられました。「若葉の潤む」という表現は特に素敵で、川辺の若葉が朝の湿気を含み、柔らかく輝いている様子が思われました。また、水鏡に臨む青鷺の句では、青鷺が「松に身を寄す」という慎ましい姿に、周囲の静寂へ溶け込んでいるように感じられた鳥を思いました。
「本堂の余香に拝し山の涼」では、「余香」という目には見えないものに導かれるように手を合わせ、再び山道へ歩み出していくお姿に、私自身も心が澄んでいくようで、とても高貴なものに思われました。
そして、一連の句も最高潮を迎え、「滝音や巌に還る石仏」と詠まれます。この寺の滝の音は仏の声にも例えられるそうですね。絶え間なく響く滝の音の中で、石仏が長い年月を経て、やがて巌そのものに還っていく時間の流れを作者と一緒に感じ取らせて頂きました。
そして最後の「山涼し落石知らす手書き文字」では、それまでの幽玄な世界から、急に現実の山道へ戻されました。「手書き文字」には、単なる注意書きにはとどまらない人の気配と温かさがありました。”落石への注意”という緊張を含みながらも、ほっとする余韻が残り、一連の句を静かに現実の世界に着地させている心地がしました。

六句を通して、実際に私自身が巡礼の道を辿ったような読後感がありました。自然、信仰、歴史、そしてこの世の人の営みがつながった、私にとって新たに記憶に残る一連の俳句となりました。

②多田有花(2026年7月日24日)
「俳壇」8月号への掲載おめでとうございます。
花冠7月号の『ひとり吟行記』も拝読しました。
YouTubeで「虎渓山永保寺」の動画を探してみました。
とても立派な庭園で観音堂に通じる無際橋の形が印象的です。
これだけのお寺と庭園が無料で拝観できるというのに驚きました。
土岐川に若葉の潤む風の朝
虎渓山永保寺の東を流れる土岐川。
愛知県に入ると庄内川になりますが、多治見市あたりでは
豊かな自然が残っていることでしょう。
滝音や巌に還る石仏
こちらは梵音岩から飛瀑泉へと流れ落ちる滝の音と
その反対側の斜面にある石仏の様を詠まれたものですね。
静かに移り行く時の流れを感じさせます。

①高橋秀之(2026年7月21日)
「俳壇」8月号「虎渓山」掲載おめでとうございます。

一息に坂登り来て青紅葉
最後の急な坂道を一息で登る切る。その先に広がる青紅葉。
やり切った充実感と相まって素晴らしい光景をそこに感じます。
滝音や巌に還る石仏
滝の音には不思議な落ち着きを感じさせてくれます。
その落ち着いた雰囲気が石仏さまをより厳かに見せてくれます。

 

 

 

 

花冠7月号(No.375)発送

●暑さの続くこのごろ、お変わりなくお過ごしでしょうか
本日7月9日(木)に花冠7月号(No.375)を南日吉郵便局
から発送しました。
皆様のお手元に届くのは、ノ7月13日(月)以降となります。
ごゆっくり、お読みください。

なお、受け取られましたら、下のコメント欄に、その旨お書きください。よろしくお願いいたします。
暑さの折、ご自愛くださいまして、ご健吟ください。

2026年7月9日
花冠代表 髙橋正子

【七月号の訂正】 
以下のように訂正します。
月例ネット句会報告のページ
●p43下段6行目
誤 読後に、口中が洗
↓
正 読後に、口中が洗われるような爽やかさが残る。

●p44上段2行目
誤 新しき日は名ばかり鳴る水たまり 川名ますみ
↓
正 新しき飛花ばかりなる水たまり 川名ますみ

大変失礼しました。 (髙橋正子)