■第3回芍薬忌ネット句会/入賞発表■

■第3回芍薬忌ネット句会入賞発表■
2026年5月24日
【金賞】
10.石楠花の玻璃一枚を咲きあふる/川名ますみ
石楠花の淡いピンクの花と玻璃が触れあう、光のような繊細な透明感が、「咲きあふる」とやわらかく受け止められている。透明感ある美しさの句で、精神の高さを感じさせてくれる。(髙橋正子)

【銀賞/1句】
21.青鷺の明けゆく水に佇つ忌日/柳原美知子
青鷺」と「明けゆく水」の色彩感、そして「水に佇つ」静けさが、故人を偲ぶ忌日にふさわしい。しずかで、品位のある佇まいをもつ一句である。(髙橋正子)

28.植付けし蜜柑若木の花真白/藤田洋子
手植えした蜜柑の若木に真っ白い花がつき、未来への期待が感じられる。景色は地味であるが、地味であるからこそ成り立つ「花真白」の強さがある。「花真白」には、白の色だけでなく、匂いの冴えもおのずと読みとれ、若木の存在をいっそう強めている。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
04.青山椒しごく指先香りけり/土橋みよ
季節を楽しむ生活の実感が確かに詠まれた句。「青山椒」がさわやかで、「指先香りけり」が、季節の愉しさを自然に伝えている。(髙橋正子)

09.自転車を止める音あり初夏の夜/高橋秀之
初夏の夜、自転車のスタンドをカチッと言わせて止める音が聞こえた。その一つの音が、初夏の夜を象徴する音となっている。その見事さは、無作為の美によるものであろう。(髙橋正子)

25.夏の風干されて小さき白い靴/吉田晃
「干されて」の使い方が洗練されている。夏の風に干されて、一呼吸おいて見ると、それが「小さい白い靴」なのだ。その無垢な可愛さが自然に立ち上がってくる句だ。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
07.こんがりと香る藁焼き初鰹/高橋秀之
美味しそうです。藁焼きの香りと初鰹の旨味。今の季節ならではの醍醐味です。(多田有花)

09.自転車を止める音あり初夏の夜/高橋秀之
静かな夜、外で自転車を止める音がする。生活音にほっとするとともに、ドラマも始まりそうな「初夏の夜」です。(川名ますみ)

10.石楠花の玻璃一枚を咲きあふる/川名ますみ
ガラス戸の向こうでいっぱいに咲く石楠花その圧倒的な美しさが伝わってきます。(多田有花)
見事に咲く石楠花の華やかな美しさ。玻璃一枚の季節の明るい彩りが眩しく目に映ります。(藤田洋子)
石楠花が明るく咲いている外の様子と、それガラス越しに見る詠者を想像して、光陰を強く感じます。(上島祥子)

25.夏の風干されて小さき白い靴/吉田晃
白い靴なので、学校で使う子ども用の靴なのでしょう。洗うことが多い靴も夏の風ですっきりと乾くのではないでしょうか。(高橋秀之)

04.青山椒しごく指先香りけり/土橋みよ
21.青鷺の明けゆく水に佇つ忌日/柳原美知子
28.植付けし蜜柑若木の花真白/藤田洋子

【入選/10句】
01.上流へ駆ける稚魚居り春の川/小口泰與
川をのぞき込めばそこに稚魚の群れて遡る姿がありました。生命の躍動の一端を身近に感じられています。(多田有花)

02.花びらに蕊の影あり二輪草/小口泰與
山野に自生する小さく可憐な二輪草。白い花びらと蕊を捉えた描写に、日陰に咲く二輪草の控え目な愛らしさを感じられます。(藤田洋子)

06.夕暮れて出会い頭の春の鹿/土橋みよ
夕暮れの穏やかな時間ふと出会われた春の鹿。冬毛から替わる春の鹿ならではの静かな柔らかな趣きを感じ取れます。(藤田洋子)

13.赤白黄色とりどりの満開ばら園に/多田有花
薔薇園に咲き誇る色鮮やかな満開の薔薇と漂う芳香に、自ずと心明るくなれます。豊かな薔薇の季節を迎えた喜びが伝わります。(藤田洋子)

16.黄菖蒲の神池めぐる水鏡/上島祥子
「神池めぐる水鏡」が神聖でとても格調高く、さらに、黄菖蒲の色合いが鮮やかでまるで絵葉書のように美しい光景が浮かび上がりました。(土橋みよ)

17.若葉風水路に抜ける香の青し/上島祥子
 稲作の仕事が多忙になる季節。水路はきれいな琉水に満たされていて、切られた畦から水が入っていく。「香の青し」そのものの風景がある。(吉田 晃)

19.指で割く釣果の豆鯵さくら色/柳原美知子
どなたかが釣りに行かれたのですね。そこで釣り上げられた小さな鯵を指で割いて下ごしらえをされます。その鯵の身の色合いが目に浮かびます。(多田有花)

26.水脈真白離岸の島の花蜜柑/吉田晃
島の花蜜柑の香りに包まれ、離岸する水脈が夏海の碧さに煌めく、のどかで美しい情景が目に浮かびます。(柳原美知子)

29.花蜜柑授乳の母子の窓辺より/藤田洋子
赤ちゃんにお母さんが授乳している静かな窓辺。窓の外の花蜜柑の香りが相まって母と子の温もりを感じる素敵なひとときですね。(高橋秀之)

30.濯ぎもの蜜柑の花の香の近く/藤田洋子
庭先の近くに蜜柑の木があるのでしょうか。濯ぎをしているときに、漂ってくる花蜜柑の香り。晴れの日の気持ちよい空間に清々しさを感じる句です。(高橋秀之)

■選者詠/髙橋正子
24.今年竹にごれる空を透かしたり/髙橋正子
今年竹がみずみずしい緑色となり、大空へすっくと伸びている。光を纏ったその姿は、どんよりと濁った空をも浄化し、透明にしてくれるようです。初夏の力強さとさわやかさを今年竹に感じられる作者です。(柳原美知子)
22.囀りにゆらぎ立ちたりヒメジョオン
23.階の青葉若葉のうす暗がり

互選高点句(6点)
10.石楠花の玻璃一枚を咲きあふる/川名ますみ

集計:髙橋正子
※それぞれの句に、コメントをありがとうございました。


コメント

  1. 多田有花
    2026年5月25日 16:47

    01.上流へ駆ける稚魚居り春の川/小口泰與
    川をのぞき込めばそこに稚魚の群れて遡る姿がありました。
    生命の躍動の一端を身近に感じられています。

    07.こんがりと香る藁焼き初鰹/高橋秀之
    美味しそうです。藁焼きの香りと初鰹の旨味
    今の季節ならではの醍醐味です。

    19.指で割く釣果の豆鯵さくら色/柳原美知子
    どなたかが釣りに行かれたのですね。
    そこで釣り上げられた小さな鯵を指で割いて下ごしらえをされます。
    その鯵の身の色合いが目に浮かびます。

  2. 藤田洋子
    2026年5月25日 18:02

    02.花びらに蕊の影あり二輪草/小口泰與
    山野に自生する小さく可憐な二輪草。白い花びらと蕊を捉えた描写に、日陰に咲く二輪草の控え目な愛らしさを感じられます。
    06.夕暮れて出会い頭の春の鹿/土橋みよ
    夕暮れの穏やかな時間ふと出会われた春の鹿。冬毛から替わる春の鹿ならではの静かな柔らかな趣きを感じ取れます。
    13.赤白黄色とりどりの満開ばら園に/多田有花
    薔薇園に咲き誇る色鮮やかな満開の薔薇と漂う芳香に、自ずと心明るくなれます。豊かな薔薇の季節を迎えた喜びが伝わります。

  3. 高橋 秀之
    2026年5月25日 21:18

    投稿が反映しないので再投稿します。
    二重投稿の場合はご容赦ください。

    29.花蜜柑授乳の母子の窓辺より/藤田洋子
    赤ちゃんにお母さんが授乳している静かな窓辺。
    窓の外の花蜜柑の香りが相まって母と子の温もりを感じる素敵なひとときですね。

    30.濯ぎもの蜜柑の花の香の近く/藤田洋子
    庭先の近くに蜜柑の木があるのでしょうか。
    濯ぎをしているときに、漂ってくる花蜜柑の香り。
    晴れの日の気持ちよい空間に清々しさを感じる句です

  4. 川名ますみ
    2026年5月26日 17:50

    正子先生、お忙しくご体調も優れぬ中、第3回芍薬忌ネット句会を開催くださいまして、ありがとうございます。
    この度は「石楠花」の句に、思いがけず金賞を賜りまして、お礼申し上げます。
    ベランダで育てている石楠花が、今年は、とりわけ大きく、たくさんの花を咲かせました。室内から眺めるそれは、一枚の窓を溢れるほどで、とても嬉しい光景でした。
    当初は「石楠花の玻璃一枚をあふれたり」としていましたが、正子先生のご指導により「咲きあふる」という、適切で美しい言葉に辿りつきました。
    同句にご共感のコメントをくださいました、有花さま、洋子さま、祥子さま、選を頂きました、みよさま、美知子さま、ありがとうございました。

  5. 柳原美知子
    2026年5月26日 23:56

    24.今年竹にごれる空を透かしたり/髙橋正子
    今年竹がみずみずしい緑色となり、大空へすっくと伸びている。光を纏ったその姿は、どんよりと濁った空をも浄化し、透明にしてくれるようです。
    初夏の力強さとさわやかさを今年竹に感じられる作者です。

  6. 柳原美知子
    2026年5月27日 0:34

    正子先生、お忙しい中、第3回芍薬忌句会を開催いただき、ありがとうございました。皆様の忌日詠にも信之先生を懐かしく偲ばせていただきました。
    「青鷺の明けゆく水に佇つ忌日」に銀賞と丁寧なご句評を賜り、大変嬉しく感謝申し上げます。信之先生が旅立たれたのは確か未明だったななどと思いながら、早朝の窓をあけると、何か気配がし、すぐ前の水田にふだんは見かけない大きな青鷺が背を向けてひっそり佇んでいて、ドキッとしました。しばらく見ていましたが、全く動かず、突然飛んでいってしまいました。
    信之先生に出会えたような気がしました。
    「指で割く釣果の豆鯵さくら色」も入選句にお加えいただき、ありがとうございました。
    洋子様、祥子様には「青鷺」の句に選を、有花様には「豆鯵」の句に温かいコメントと選を、みよ様、晃様、ますみ様には選をいただき、ありがとうございました。

  7. 土橋みよ
    2026年5月27日 14:25

    正子先生、芍薬忌ネット句会を開催して頂き有難うございます。私は信之先生を俳句からしか存じませんが、この日は俳句に向かう気持ちをより強く致しました。また、「青山椒」と「夕暮れて」の句をお選びいただき、「青山椒」の句には温かい句評を頂戴し、感謝申し上げます。洋子様には「夕暮れて」の句に親切な句評を頂き有難うございます。北海道ではあまり見られない植物や動物に遭遇し、新しい出会いへの感謝の気持ちをもって過ごしております。頂いた句評を励みにして進んで参りたいと思います。

  8. 藤田洋子
    2026年5月27日 20:58

    正子先生、句美子様、友宏様、芍薬忌ネット句会、お世話になりました。参加させていただき、皆さまとともに信之先生を偲ぶことができました。心よりお礼申し上げます。
    正子先生、蜜柑の花の俳句に、銀賞ならびこのような嬉しい句評をいただき、お忙しい中ありがとうございます。どうぞくれぐれもご自愛くださいますように。
    選句いただいた、美知子様、秀之様、祥子様、ますみ様、晃様、ありがとうございました。
    秀之様、2句も嬉しいコメントをいただき大変ありがとうございました。

  9. 高橋 秀之
    2026年5月27日 23:51

    高橋正子先生

    芍薬忌ネット句会開催ありがとうございました。
    また、自転車を止める音あり初夏の夜の句を銅賞に、
    こんがりと香る藁焼き初鰹の句も特選七句に
    それぞれお選びいただきありがとうございました。

    寝床でカチャンという感じで響く自転車の音は、
    子どもたちが家にいたころは帰宅の合図でした。
    今もその感覚が残っていて、あれ、次男が立ち寄った?、
    と期待をもたらしてくれます。

    同句に選とコメントをいただいた川名ますみさま、
    初鰹の句に選とコメントをいただいた多田有花さま
    ありがとうございました。

  10. 上島祥子
    2026年5月29日 23:47

    高橋正子先生 友宏様 句美子様
    第三回芍薬忌ネット句会開催ありがとうございました。
    皆様の追悼句に、改めて信之先生を思い出しました。
    「黄菖蒲の神池めぐる水鏡」と「若葉風水路に抜ける香の青し」を入選にお選びくださり、有難うございました。
    みよ様 晃様には貴重な選とコメントを有難うございました。秀之様 美知子様 ますみ様には貴重な選を有難うございました。