NEW

■10月月例ネット句会入賞発表■
2026年10月11日

【金賞】
16.糸瓜忌の糸瓜の水透く一升瓶/柳原美知子
糸瓜忌は正岡子規の忌日。肺結核であった子規は痰を切るために糸瓜水を飲んでいた。絶筆三句として次の句がある。
糸瓜咲て痰のつまりし仏かな
痰一斗糸瓜の水も間にあはず
をととひのへちまの水も取らざりき
美知子さんの句の「糸瓜忌」には、これらの句が下敷きにある。糸瓜水が一升瓶に透けている。この「糸瓜の水透く」が子規の死後の平安を思わせてくれる。一方で、今の俳句の状況は必ずしもいい状況とは言えない気持ちも感じ取れる一句である。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
20.見渡せば空いっぱいの鱗雲/高橋秀之
ためらわず「空いっぱい」と言い切った人柄の大きさが読み取れる句である。鰯雲は青空全体に広がることが多いが、その情景こそが「空いっぱい
」なのである。単純な言葉に十分に気配が立ち上がっている。(髙橋正子)

30.波打てる稲田を後に夕雀/上島祥子
夕方の明るさがはっきりとイメージできる句である。波打った稲穂田を後に一日を終えて塒に帰る雀たちに名残惜しささえ覚える。「夕雀」には、やわらかな美しい響きがあって、その響きは「波打てる」の稲田の景色におだやかに呼応している。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
07.午後の陽や紅帯び初めし酔芙蓉/多田有花
酔芙蓉は、朝の白い花が午後には酒に酔ったかのように薄紅色に変わることからついた名前。午後の陽が射すと、紅を帯び始める。たしかに名の通りである。それを確かめるような句。(髙橋正子)

13.秋澄めりヤマメの谷の底石に/吉田 晃
「ヤマメの谷の底石に」は語順に少し問題があるので惜しい句だが、渓流の底石にいるヤマメの清らかさが「秋澄めり」を実感させてくれたのである。(髙橋正子)

28.木犀のほのかに香る夜の湿り/上島祥子
夜気の湿りに、木犀がほのかに香ってくる。「夜の湿り」を感じ取った感受性は鋭く、句を端正にしている。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
16.糸瓜忌の糸瓜の水透く一升瓶/柳原美知子
糸瓜は簡単に栽培出来て、生活に貴重な植物。晩夏から秋口になると、蔓を切って一升瓶に挿す。糸瓜水を取るのである。肌にいいと言われていて、化粧品が高価で買えなかった時代、女性に重宝された。そして、実のスポンジは風呂に入った時の垢落としとて使った。子どもの頃、父が小さな庭に植えて、糸瓜水を取っていたのを懐かしく思い出させてくれた。(吉田 晃)

24.木犀の香のうすうすと病棟へ/川名ますみ
「病棟」という人の命を支える神聖な場所に、外の世界から、秋の木犀の香りが「うすうすと」入り込んでくる情景が目に浮かびました。静けさの中に、季節の移ろいとほのかな温もりが感じられました。一日も早いご快復を心よりお祈り申し上げます。(土橋みよ)

30.波打てる稲田を後に夕雀/上島祥子
風に波立つ稲田の広がり、それを後景にする夕雀が秋の夕方らしい余韻を醸し出しています。今年は「秋」が感じられる季節があってよかったなと思います。(高橋秀之)

07.午後の陽や紅帯び初めし酔芙蓉/ 多田有花
13.秋澄めりヤマメの谷の底石に/吉田 晃
20.見渡せば空いっぱいの鱗雲/高橋秀之
28.木犀のほのかに香る夜の湿り/上島祥子

【入選/12句】
01.壁打ちのテニスボールや秋晴るる/廣田洋一
雨続きの9月が過ぎて、秋晴れの下のテニスの壁打ちに、素直な喜びを感じます。(上島祥子)

21.秋晴れの海に流れる銅鑼の音/高橋秀之
秋晴れの紺碧の海に流れる銅鑼の音には、新たな旅への出帆の胸の高まりを感じます。心も晴れ晴れと大海原へと解放されます。(柳原美知子)

02,子の忌日や散り零れたる萩の花/廣田洋一
04.運動会あちらこちらへ駆ける子よ/西村友宏
08.日本晴れとりわけ鵙の盛んなる/多田有花
09.花よりも香が知らせけり金木犀/多田有花
14.晩稲の刈り入れ間近風の音/吉田 晃
15.秋雨に夜が静かに濡れ更ける/吉田 晃
17.コスモス咲く地に手足着け初歩き/柳原美知子
18.秋晴れや御旅所整い神輿待つ/柳原美知子
25.両の手で湯呑を包む秋の暮/土橋みよ
26.物干しの三つ目揺るる吊るし柿/土橋みよ

■選者詠/髙橋正子
11.露草の青濃し山路深くきて
秋が深まってくる中、咲き残るツユクサの色に深みが増したようです。山路を歩かれて里に近づいたときそこで見えた青の印象深さを感じます。(多田有花)

12.秋冷に取りだす句集夫のもの
秋の冷気を肌に覚える頃は、寂しさも感じます。「夫の句集を」ではなく、下五に「夫のもの」と言い切ることで、その尊さが際立ちます。(川名ますみ)

10.網ほおずき朱の実の透け池畔なり

互選高点句(4点/同点3句)
16.糸瓜忌の糸瓜の水透く一升瓶/柳原美知子
24.木犀の香のうすうすと病棟へ/川名ますみ
30.波打てる稲田を後に夕雀/上島祥子

集計:髙橋正子
※コメントのない句に、コメントをよろしくお願いいたします。

 

NEW■10月月例ネット句会清記■

■10月月例ネット句会清記■
2026年10月11日
30句(10名)

01.壁打ちのテニスボールや秋晴るる
02.子の忌日や散り零れたる萩の花
03.くっきりと目鼻描かれし南瓜かな
04.運動会あちらこちらへ駆ける子よ
05.秋雨やお子様ランチ平らげる
06.秋晴れや芝生に足を触れぬ吾子
07.午後の陽や紅帯び初めし酔芙蓉
08.日本晴れとりわけ鵙の盛んなる
09.花よりも香が知らせけり金木犀
10.網ほおずき朱の実の透け池畔なり

11.露草の青濃し山路深くきて
12.秋冷に取りだす句集夫のもの
13.秋澄めりヤマメの谷の底石に
14.晩稲の刈り入れ間近風の音
15.秋雨に夜が静かに濡れ更ける
16.糸瓜忌の糸瓜の水透く一升瓶
17.コスモス咲く地に手足着け初歩き
18.秋晴れや御旅所整い神輿待つ
19.並び立つ新築マンション天高し

20.見渡せば空いっぱいの鱗雲
21.秋晴れの海に流れる銅鑼の音
22.秋の陽の頬に届けばほの紅し
23.多摩川に大橋架かり秋高し
24.木犀の香のうすうすと病棟へ
25.両の手で湯呑を包む秋の暮
26.物干しの三つ目揺るる吊るし柿
27.踊り場に足踏みするスポーツの日
28.木犀のほのかに香る夜の湿り
29.北窓に虫の音運ぶ夜の風
30.波打てる稲田を後に夕雀

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

NEW10月10日(土)

晴れ
秋高しふいに鳴きだす法師蝉  正子

●句美子の家へ。ゆうまくんは、鼻水で、風邪薬を飲んでいる。いつも何か病気だが、機嫌よくしている。今日は揚げ出汁豆腐を初めて食べるが、
しょうゆをかけると「おいしい」と、もっと欲しがったが、量が少なすぎた。豆腐好きらしい。

ステッドラーの幼児用の色鉛筆を渡す。赤ちゃんと思いきや、力を入れて描く。力持ち。折りたたんで作ってある色鉛筆の箱を「あけて、あけて」と言いながら、開いてしまった。元にもどそうとするが、なかなか。それでもなんとなく、箱らしい形になって満足。
●8時すぎ帰宅。メールのチェック。秀之さんから、総合俳誌から原稿依頼がきているとのあるので、電話で詳しく聞く。来年は未年なので、1月号に還暦の人特集に掲載されるとのこと。秀之さんも六十になるのだ。みんな平等に年は取っているのだが、へえーという感じ。でも、編集長、よく秀之さんを選んでくれたとありがたく思う。

●疲れていたが、四行詩の「抽象的な緑」が気になっているので、西洋の伝統色「緑」にはどんな色があるのじか調べた。
たいだい5つの系統がある。それに画家の特長的な色、文化的印象の色などがある。フェルメール・ホワイト、マリー・アントワネット・ブルーなども。緑には画家の名前の付いた色はない。ボトル・グリーンというワイン瓶の色から付けられた色名もある。世の中、色に溢れている。色の無いものはないのでは。考え出すときりがなさそうだ。