6月11日~20日

6月20日(5名)
廣田洋一
短夜や夕陽を惜しみ酒を汲む★★★
短夜の夢に出で来し若き友★★★
短夜の星を眺めし地中海★★★★
地中海での星の眺めはさぞやロマンティックなことだろう。短い夜のはかなさに、あまたの星をもらさず目の奥にしまいたいと思うほどか。星のが美しさは短夜だからこそ。(高橋正子)
小口泰與
梅雨空や酒をあたたむ割烹着★★★★
夏草や無言館への道暗し★★★
青芝へ伏すや赤城は雲の中★★★
古田敬二
梅雨に入る飛騨川瀬音の太くなる(原句)
飛騨川の瀬音太りて梅雨に入る★★★★(正子添削)
梅雨に入ると水量が増えて飛騨川の瀬音が、堂々と太くなる。生き物であるかのように瀬音が太る。飛騨川への愛着の深さ故、瀬音の変化に気づくのだ。(高橋正子)
梔子の強き香を分け夕散歩★★★
土割って白玉ねぎの太りけり★★★

桑本栄太郎

うす紅の遠く近くに合歓の花★★★
若竹の節の白さや薮の空★★★★
夾竹桃団地の空の青さかな★★★
多田有花
夏至近し夕餉は明るさの中で★★★
立葵田水に姿映しつつ★★★★
紫陽花の青さ深きが街角に★★★
6月19日(5名)
小口泰與
朝さなさな水面へ集う目高かな★★★★
枇杷の実や鞄を畦に家遠し★★★
餌を待っ目高水面へずいと出づ★★★
廣田洋一
梅雨晴間歩き出したる幼き子★★★★
色白の顔に似合へるサングラス★★★
真っ赤な車を運転サングラス★★★
桑本栄太郎
深梅雨や夜半の雨に目覚め居り★★★
青柿の溝に散らばり雨あがる★★★
桑の葉の土間にざわめき夏蚕飼う★★★★
蚕を飼っていた故郷の土間の思い出だろうか。夏蚕にやる桑の葉が青々として、葉の間に潜って葉を食べる蚕が、ざわざわと音をさせている。食欲旺盛な蚕の太り具合が想像できる。(高橋正子)
古田敬二
ヨシキリの姿隠して葦揺れる★★★★
インゲン蔓風にそよいで支柱探す★★★
池の面に夕焼け映る風涼し★★★

多田有花

梅雨寒の空家のカーテン開けて閉じ★★★
雨もまたよしと思いつ今日田植(原句)
「思いつつ」を「思いつ」とすることはできません。意味が違ってきます。「つ」と「つつ」を辞書でご確認ください。
今日田植え雨もよかりと思いつつ★★★★(正子添削)
田植えをするとき雨は厭うことではない。田植えに雨は好都合のようにも思える。雨に備えて身支度をして田に入ると、田水に、苗も人も馴染んでいくように思える。
(高橋正子)
巣の上に頭並べて燕の子★★★
6月18日(3名)
小口泰與
全身を揺らし水面へ目高かな★★★
ひなげしやかの日の夜行列車かな★★★
明時の味噌汁の香や日日草★★★★
朝食の味噌汁の香りに、朝のすがすがしさを思うことは毎日のごとくである。日日草が日々咲くように、明時の味噌汁の香りに日々のなにげない在り難さがある。(高橋正子)
廣田洋一
夏の蝶縺れ合ひつつ飛び去りぬ★★★★
低く来てさつと去りたる夏の蝶★★★
夏蝶のたまに止まれる白十字★★★
多田有花
棘という棘を纏いぬ夏薊★★★
夏の庭百合水仙の咲きにけり★★★
梅雨晴の真昼チャペルの鐘が鳴る★★★★
6月17日(4名)
小口泰與
曇天の雨蛙よぶ棚田かな★★★★
四十雀勾玉のよう幼虫を★★★
雷鳴の嬬恋治む野菜畑★★★
廣田洋一
網戸してエアコン止めて眠りけり★★★
網戸越し雨音響く夜の闇★★★★
虫除けを外に吊りたる網戸かな★★★
桑本栄太郎
雨の日のつづき今朝なる夏日さす★★★
カーテンのふくらみへこみ南風吹く★★★
夕日落つ風の涼しき窓辺かな(原句)★★★
夕日落ち風の涼しき窓辺かな(添削①)
夕日落つ風の涼しき窓辺には(添削②)
多田有花
昼顔の土手を登れば川見える★★★★
昼顔は、川の土手などにもよく咲く。花のうすもも色は、夢見るような色あい。土手の向こう側を想像して登ると、川がある。川はきらきらと輝き、まさしく夏の川。その川を見たよろこび。(高橋正子)
色彩の兆すおたふく紫陽花に★★★
合歓の花輝く日差しが似合う花★★★
6月16日(3名)
小口泰與
郭公や心休まる風の吹き★★★★
郭公の調子をつけた鳴き声は、緑の梢や緑の山からの声。そよそよと風が吹き、心地よさはこの上ない。郭公の声を聞きながら、ハンモックに揺られているような景色が見える。(高橋正子)
水筋の闇の中より滴れり★★★
人波を嘆く夜の街心太★★★
桑本栄太郎
みどり濃き枝に緋色やざくろ咲く★★★★
白雨止み一日暮れゆく入日かな★★★
雨止みて風の入日や梅雨寒し★★★
多田有花
歳時記の上に落ちたる蚊一匹★★★
梅雨晴の白鷺城を遠望す★★★★
雨しとどたっぷり散って栗の花★★★
6月15日(4名)
小口泰與
電線に止まる郭公恋の歌★★★
あんぱんを買って水辺の花菖蒲★★★
五月晴隠り沼の禽立にける★★★
廣田洋一
湘南の風の吹き抜け夏帽子★★★★
夏といえば、湘南。そこに住まっている人たちは、日常に湘南があるから、海からの風に夏をゆるやかに楽しむ。夏帽子にも風が吹きぬけて、湘南の風が涼しいのだ。(高橋正子)
虫捕りの林に入る麦藁帽★★★
つば広の帽子を選び夏の旅★★★
桑本栄太郎
梅雨荒のノアの方舟斯くありや★★★
雨音の止みて目覚めり梅雨荒るる★★★
ようやくに雨の上がりて大夕焼★★★★
多田有花
五日ぶりの日の光浴ぶ梅雨晴間★★★
朝の窓開ければ聞こゆ不如帰★★★
野萱草雲低けれど鮮やかに★★★★
野萱草の濃い朱色のの花は、青空の下にあっては、鮮烈な色。雲が低く雨をもちこたえているようなどきでも、やはり、鮮やかな朱色を見せる。つい、梅雨の滅入りそうな気分のときでも、鮮やかな朱は、人を目覚めさせる。(高橋正子)
6月14日(4名)
小口泰與
アイリスや傘に隠れし二人連★★★
郭公や書斎に聞きて庭に聴く★★★★
郭公の声を書斎に聞きとどめて、庭に下りてみれば、また郭公の声。郭公が近く来たうれしさが、読み手にも伝わる。(高橋正子)
山椒魚地震にも岩となりており★★★
廣田洋一
紫陽花の濃くなりさうな曇り空★★★★
富士山を横に見ながら虹二重★★★
橋消えて脚だけ残る昼の虹★★★
桑本栄太郎
雨雲の重く垂れ込み梅雨深し★★★
深梅雨や雨脚峰を走りゆく★★★
雨とぎれ泰山木の花白し★★★★
多田有花
どくだみや真白き十字を地に開く★★★★
花好きの人が住む家松葉菊★★★
紫陽花にまた午後の雨降り出しぬ★★★
6月13日(4名)
小口泰與
桑の実や疎開児等の口満たし★★★★
今年竹赤城の風に武者震い★★★
催しは全て中止や菖蒲園★★★
廣田洋一
竹林の緑濃きまま落葉せり★★★
ひらひらと光撒きつつ竹落葉★★★★
盛土するシャベルをよけて竹落葉★★★

多田有花

梅雨の川水難捜索訓練中★★★★
気候変動のせいで、思わぬ豪雨に見舞われることが多くなった。これまでどおり洪水に対する備えだけでは足りず、水難捜索なども想定されて、訓練が行われているのを見ると、災害が身に迫るものとして受け止められる。(高橋正子)
梅雨降るを聞きつつ夕餉の支度かな★★★
目覚めれば今朝も雨音梅雨の朝★★★
桑本栄太郎
梅雨荒れのバイク去り行く未明かな★★★
鳴くものと飛ぶもの見えず梅雨荒るる★★★★
梅雨空のひと日暮れ行く雨の音★★★
6月12日(4名)
廣田洋一
夕立の雫零せる並木道★★★★
夕立が来て並木道を濡らしていった。あおあおと茂った並木は降り込んだ夕立の雫を再び雨が降るかのように零している。(高橋正子)
駅出でて未だ降り止まぬ梅雨の空★★★
梅雨入りの空青々と晴れ渡り★★★
小口泰與
浮石や脚を取られし岩魚釣★★★
緑陰や婆三人の茶飲み会★★★
魚の斑のパールマークやえごの花★★★★
桑本栄太郎
との曇る空の低さやざくろ咲く★★★★
降りそうで降らぬ天とや梅雨曇り★★★
梅雨雲のとどまりいたる峰の奥★★★
多田有花
赤紫蘇をジュースにすべくたっぷりと★★★
犬連れて河原を散歩夏の朝★★★
雲低く山肌に咲く栗の花★★★★
6月11日(4名)
小口泰與
鮎の斑のゆれる銀鱗岩の間に★★★★
梅雨晴や白樺牧場山羊五匹★★★
郭公やトーストを焼く手をとめて★★★
廣田洋一
街中の橋渡り来る夕立かな★★★★
夕立が橋を渡ってこちらへ向かってやってくる様子が手に取るように分かり、面白い。街中の橋に市中の生活が見える。(高橋正子)
大夕立車を止めし坂の道★★★
突然に昼の闇来て大夕立★★★
多田有花
おもしろや茗荷若葉を薬味とす★★★★
薬味によって料理は趣を変えて、楽しいものになる。夏らしいのは茗荷の子の薬味だが、茗荷の若葉も薬味として味わって、それがおもしろいと思えたのだ。涼しげな薬味。(高橋正子)
梅雨入りの発表ありぬ雨の朝★★★
本降りとなりしみじみと梅雨に入る★★★

桑本栄太郎

あぢさゐの色の濃くあり雨しとど★★★★
カーテンの膨らみ凹む梅雨入りかな★★★
ワイパーの激しく振るる梅雨の荒れ★★★

自由な投句箱/6月1日~10日

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
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今日の秀句/6月1日~10日

6月10日(3句)
★緑陰や丸太小屋よりジャズ流れ/小口泰與
丸太小屋は、北アメリカの西部開拓の象徴のようなものだが、日本にも伝わって丸太小屋を楽しむ人たちがいる。その人たちはやはり開拓時代の文化にあこがれるのか、ジャズが好きで、緑陰の丸太小屋でジャズを流して、ゆとりある生活を楽しんでいる。(高橋正子)
★冷麦や一箸ごとに鳴る氷/廣田洋一
俳句でこそ詠みたいシーン。氷水に浮かべた冷麦を箸で掬うとそのたびに氷がふれて涼しそうな音を立てる。氷の音もごちそうに。(高橋正子)
★真夜中の月こうこうと植田を渡る/多田有花
真夜中の月は空高くのぼり、植田をこうこうと渡ってゆく。植田の月は、すばらしく美しい。(高橋正子)
6月9日(2句)
★噴煙の伸び行く先の青葉かな/小口泰與
日々眺めている浅間山の噴煙は、今日は青葉の方へ伸びていった。生き生きとした青葉と噴煙の伸びる様子が力強くて夏らしい。(高橋正子)
★皮脱ぎし竹のすらりと瑞々し/多田有花
皮を脱いだ竹がすらりと天にのびている姿は、見ていて気持ちがいい。「瑞々しい」と感じるのは、その若竹の色としなやかな戦ぎのせいだろう。(高橋正子)
6月8日(3句)
★紫陽花の香にむせたるや茶を喫す/廣田洋一
紫陽花の花がたくさん咲いている傍にいるのか。紫陽花は、近くにいると、力強い青くさい匂いがする。お茶を飲もうとすると、むせるような匂いだ。紫陽花を視覚だけでなく、嗅覚でとらえた句で、梅雨時のうっとしさを感じるリアルさがある。(高橋正子)
★集落の水音高く植田へと/多田有花
「集落」というは把握の仕方で、植田の水音が集中して高らかに聞こえる。単純化されたとらえ方がいい。(高橋正子)

★つつましき小花くりやに花南天/桑本栄太郎

くりやの窓などに小さな花を置いて楽しむことは、私もよくする。なんの花でも、一輪あれば台所仕事がたのしくなる。花南天の花がつつましく活けられて、いい暮らしがしのばれる。(高橋正子)
6月7日(2句)
★早苗田に棟映りて真昼なる/多田有花
うす緑の早苗を溺らすほど水が張られて、薄紫の花の棟を映している。「真昼なる」で、静かな明るさがたしかなものとなった。(高橋正子)
★サングラス掛けて歩めば影の濃く/桑本栄太郎
サングラスを掛けると、景色はうす暗くなるのだが、単に、うす暗くなるのではなく、
影となっているところは、濃いと、意外な発見。サングラス姿が粋になる。(高橋正子)
6月6日(1句)
★あめんぼの堰に至りて慌てけり/桑本栄太郎
水の流れも気にせず、あめんぼが気持ちよく泳いでいたが、堰のところにきて、席を落ちそうになり、そのはずではなかったと、慌てて脚を動かす。水の生き物ながら、その様子がおかしい。(高橋正子)
6月5日(2句)
★青胡桃利根上流の石の間に/小口泰與
利根川の上流には胡桃の木があって、風などで落ちた青胡桃が石の間に流れることもなく、挟まっている。青胡桃の小さな運命をそこに見た。(高橋正子)
★ショーウィンドウ薄暑の街を映しおり/多田有花
薄暑の街には、ショーウィンドウが強くなりはじめた日差し返している。日差しを強く反射して、街ゆく人や車、向こう側のビルなど映して、もうひとつ街を作っている。こんな景色に初夏の明るさが見える。(高橋正子)
6月4日(1句)
★青空に染まらぬ黄金麦の秋/廣田洋一
麦が熟れると畑は黄金色になる。熟れ麦の黄金色は、けっして青空を染めることはなく、截然と青と黄金を際立たせている。麦の熟れる季節のからっとした明るさがいい。
(高橋正子)
6月3日(1句)
★駅前に鐘を鳴らして氷菓売/廣田洋一
アイスキャンデーを売って移動する人をあまり見かけなくなったが、駅前で、チリンチリンを鐘を鳴らしてアイスキャンデーを売っている。これぞ夏の風物詩という光景だ。
(高橋正子)
6月2日(1句)
★木洩れ日の高き梢や青銀杏/桑本栄太郎
日を透かす銀杏の木に青い実がついている。緑の葉の中の青銀杏は、目に涼やかで気持ちのよいものだ。(高橋正子)
6月1日(1句)
★あめんぼうはや水捉ふ棚田かな/小口泰與
棚田に水が入れば、すぐに水の生き物たちが動き始める。あめんぼうも早速、水を捉えて、泳ぎ始めた。「捉える」にあめんぼうの手始めの慎重さがあって面白い。(高橋正子)

6月1日~10日

6月10日(4名)
小口泰與
万緑や湖より下る温泉(ゆ)の街へ★★★
緑陰や丸太小屋よりジャズ流れ★★★★
丸太小屋は、北アメリカの西部開拓の象徴のようなものだが、日本にも伝わって丸太小屋を楽しむ人たちがいる。その人たちはやはり開拓時代の文化にあこがれるのか、ジャズが好きで、緑陰の丸太小屋でジャズを流して、ゆとりある生活を楽しんでいる。(高橋正子)
里山の渓流沿いや桐の花★★★
廣田洋一
冷麦の赤を取り合ふ兄妹★★★
冷麦や薬味刻むに大わらは★★★
冷麦や一箸ごとに鳴る氷★★★★
俳句でこそ詠みたいシーン。氷水に浮かべた冷麦を箸で掬うとそのたびに氷がふれて涼しそうな音を立てる。氷の音もごちそうに。(高橋正子)
多田有花
夕風に夏鶯の声続く★★★
真夜中の月こうこうと植田を渡る★★★★
真夜中の月は空高くのぼり、植田をこうこうと渡ってゆく。植田の月は、すばらしく美しい。(高橋正子)
入梅にぱらつくほどの雨があり★★★

桑本栄太郎

かさこそと病葉道や泰山木★★★
アマリリス咲いて園児ら登園す★★★
時の日や近江神社の漏刻祭★★★★
6月9日(4名)
小口泰與
夕さりの禽に狙わる杏子かな★★★
若葉風素振り百回繰り返し★★★
噴煙の伸び行く先の青葉かな★★★★
日々眺めている浅間山の噴煙は、今日は青葉の方へ伸びていった。生き生きとした青葉と噴煙の伸びる様子が力強くて夏らしい。(高橋正子)
廣田洋一
竹林の隙間を埋める竹落葉★★★
毬により色違へたる七変化★★★
青色の未だ見えざる七変化★★★★
多田有花
薄曇る空へもくもく栗の花★★★
残る田に早苗植わりて宅地を映す★★★
皮脱ぎし竹のすらりと瑞々し★★★★
皮を脱いだ竹がすらりと天にのびている姿は、見ていて気持ちがいい。「瑞々しい」と感じるのは、その若竹の色としなやかな戦ぎのせいだろう。(高橋正子)

桑本栄太郎

浮雲の峰の彼方や夏日さす★★★
天上の小鳥の声や木下闇★★★★
黄金の色となりたる小判草★★★
6月8日(4名)
小口泰與
未央柳琥珀の酒の瓶の揺れ★★★
靴ひもの緩むや雨の額の花★★★
浮き石を踏みし釣人時鳥★★★★
廣田洋一
昨日は赤今日は紫七変化★★★
垣根をば少しはみ出す額の花★★★
紫陽花の香にむせたるや茶を喫す★★★★
紫陽花の花がたくさん咲いている傍にいるのか。紫陽花は、近くにいると、力強い青くさい匂いがする。お茶を飲もうとすると、むせるような匂いだ。紫陽花を視覚だけでなく、嗅覚でとらえた句で、梅雨時のうっとしさを感じるリアルさがある。(高橋正子)
多田有花
六月の空に一朶の雲もなし★★★
青鷺が流れに一歩踏み出せり★★★
集落の水音高く植田へと★★★★
「集落」というは把握の仕方で、植田の水音が集中して高らかに聞こえる。単純化されたとらえ方がいい。(高橋正子)

桑本栄太郎

木々の上の天の高きや木下闇★★★★
つつましき小花くりやに花南天★★★★
くりやの窓などに小さな花を置いて楽しむことは、私もよくする。なんの花でも、一輪あれば台所仕事がたのしくなる。花南天の花がつつましく活けられて、いい暮らしがしのばれる。(高橋正子)
真夏日のひと日暮れゆく茜かな★★★
6月7日(4名)
小口泰與
あじさいや雨後の渓流石運ぶ★★★★
退職後長き余生や百日紅★★★
さつき咲く魚影瞬時岩の淵★★★
廣田洋一
ふんわりと真白に広げ百合の花★★★★
門前に砲列しきし百合の花★★★
夫々が夫々の顔百合の花★★★
多田有花
早苗田に棟の映りて真昼なる(原句)
早苗田に棟映りて真昼なる★★★★(正子添削)
うす緑の早苗を溺らすほど水が張られて、薄紫の花の棟を映している。「真昼なる」で、静かな明るさがたしかなものとなった。(高橋正子)
巣立ちし子夏つばめとなり電線に★★★
蚊取線香朝の光に燃え残る★★★

桑本栄太郎

青梅の頬に紅さす軒端かな★★★
サングラス掛けて歩めば影の濃く★★★★
サングラスを掛けると、景色はうす暗くなるのだが、単に、うす暗くなるのではなく、
影となっているところは、濃いと、意外な発見。サングラス姿が粋になる。(高橋正子)
心地良き葉擦れの音に若葉風★★★
6月6日(4名)
小口泰與
定刻や水面震わす目高どち★★★
忽然と篠突く雨の今朝の薔薇★★★★
十一の滝の名なづく秋桜子よ★★★
廣田洋一
日々新た花登り行く立葵★★★★
大雨に姿勢正しく立葵★★★
重石載せ漬け終わりたる梅の実かな★★★
多田有花
涼風の通りし部屋でフィットネス★★★
薄曇る空に響きぬ初ほととぎす★★★
高低の虚空自在に夏つばめ★★★★

桑本栄太郎

咲き初むる空の曇りや夾竹桃★★★
シャンソンの調べの斯くやアマリリス★★★
あめんぼの堰に至りて慌てけり★★★★
水の流れも気にせず、あめんぼが気持ちよく泳いでいたが、堰のところにきて、席を落ちそうになり、そのはずではなかったと、慌てて脚を動かす。水の生き物ながら、その様子がおかしい。(高橋正子)
6月5日(4名)
廣田洋一
群れを成す飛魚競ふ観光船★★★★
尾ひれにて海面叩く飛魚かな★★★
羽広げあご(飛魚)の刺身大皿に★★★
小口泰與
青胡桃利根上流の石の間に★★★★
利根川の上流には胡桃の木があって、風などで落ちた青胡桃が石の間に流れることもなく、挟まっている。青胡桃の小さな運命をそこに見た。(高橋正子)
青りんご佐久の台地の鯉の池★★★
石楠花や嶺より雲を吐き出しぬ★★★
多田有花
ショーウィンドウ薄暑の街を映しおり★★★★
薄暑の街には、ショーウィンドウが強くなりはじめた日差し返している。日差しを強く反射して、街ゆく人や車、向こう側のビルなど映して、もうひとつ街を作っている。こんな景色に初夏の明るさが見える。(高橋正子)
快晴に紫陽花色づき初めし朝★★★
梅雨を待つ岸辺の石の白く光る★★★★

桑本栄太郎

朝の日に風を誘いぬ金糸梅★★★★
芒種早や足元絡む草の道★★★
一動作ごとの気合や溽暑来る★★★
6月4日(4名)
小口泰與
ばら剪や昨夜の雨粒浴びにける★★★★
雨蛙家を覆いし大合唱★★★
花桐や火の見櫓の錆びており★★★
廣田洋一
裏山に一閃二閃竹落葉★★★
青空に染まらぬ黄金麦の秋★★★★
麦が熟れると畑は黄金色になる。熟れ麦の黄金色は、けっして青空を染めることはなく、截然と青と黄金を際立たせている。麦の熟れる季節のからっとした明るさがいい。
(高橋正子)
空の青山の緑や麦の秋★★★
多田有花
スナップえんどうバター炒めの昼餉かな★★★
アイマスクつけて昼寝を日課とす★★★
短夜の街灯残る明けの空★★★★

桑本栄太郎

さなぶりや婆の酔いたる安来節★★★★
立ち居ごと声の出で居り溽暑来る★★★
カーテンの膨らみへこむ夏日かな★★★
6月3日(4名)
小口泰與
斑猫や林の中の無言館★★★★
太古より蜘蛛の子散りて輪廻かな★★★
花ばらや夫ゆったりと湯あみせる★★★
廣田洋一
三輪車見守る親や氷菓舐む★★★
駅前に鐘を鳴らせる氷菓売(原句)
駅前に鐘を鳴らして氷菓売★★★★(正子添削)
アイスキャンデーを売って移動する人をあまり見かけなくなったが、駅前で、チリンチリンを鐘を鳴らしてアイスキャンデーを売っている。これぞ夏の風物詩という光景だ。
(高橋正子)
氷菓手にそぞろ歩きの渚かな★★★
多田有花
絹さやを味噌汁の具とする朝餉★★★
六月は薄曇りにて明けにけり★★★★
銭葵ありしいずこも畑のそば★★★

桑本栄太郎

鳧鳴いて団地の空の曇りけり★★★
矍鑠(かくしゃく)と老鶯鳴くや池のやぶ★★★★
距離を取り目と目が合いぬ夏マスク★★★
6月2日(4名)
小口泰與
忽然と祈願の花火西の空★★★
郭公やここらは寺のあととかや★★★
榛名湖へ道ひと筋や道教え★★★★
廣田洋一
連れ立ちて道渡りくる竹落葉★★★
裏山の閃々として竹落葉★★★
竹垣の無きが如くに竹落葉★★★
多田有花
動画にて体動かす五月尽★★★
日よけされ早苗並びし淡路島★★★★
せせらぎの音に包まれ夕涼み★★★

桑本栄太郎

木洩れ日の高き梢や青銀杏★★★★
日を透かす銀杏の木に青い実がついている。緑の葉の中の青銀杏は、目に涼やかで気持ちのよいものだ。(高橋正子)
青柿のいとけなき実の側溝に★★★
緑陰の木洩れ日ありぬ太極拳★★★
6月1日(3名)
小口泰與
渓流の砂地へ五頭黒揚羽
大木を揺らす地震あり兜虫★★★
あめんぼうはや水捉ふ棚田かな★★★★
棚田に水が入れば、すぐに水の生き物たちが動き始める。あめんぼうも早速、水を捉えて、泳ぎ始めた。「捉える」にあめんぼうの手始めの慎重さがあって面白い。(高橋正子)

廣田洋一

畝一つ黄色く染めし胡瓜の花★★★★
畝一つ黄色く染めし花胡瓜(添削例)
五七五にそろえれば添削例のようにしてもよいと思います。(高橋正子)
通る度花の増えたる胡瓜畑★★★
ジョギングの親子駆け抜け花胡瓜★★★
桑本栄太郎
蔵の無き道端なれど小判草★★★
ひらひらと時を舞たる竹落葉★★★
風呂洗い孫の来ぬ日や浮人形★★★★

自由な投句箱/5月21日~31日

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今日の秀句/5月21日~31日

5月31日(2句)
★雨雲の峰肌昇る走り梅雨/桑本栄太郎
峰を添うように昇る雨雲の動きは、走り梅雨を思わせて、墨絵のような景色を見せる。心静かに眺めれば神秘的にも。(高橋正子)
★峠越え細道下る麦の秋/多田有花
この句は景色がいい。峠を越えると道は細くなり、眼下には畑や町が広がっている。麦の秋が郷愁を誘う。(高橋正子)
5月30日(2句)
★亡き息子甘党なりし柏餅/廣田洋一
子に先立たれることはよほどに悲しい。柏餅を、まさに男児の柏餅を見るにつけ、亡き子がうれしそうに食べていた顔を思い出す。そんな思いが、俳句となってよかったと思う。(高橋正子)
★風五月ふうせんかづらの種をまく/川名ますみ
風は五月。真夏には風船のような緑の実が膨らむふうせんかずら。そんな風に膨らんだようなふうせんかずらは、五月の風の中に播くのがふさわしい。(高橋正子)
5月29日(2句)
★銭湯の灯りともされ夏の雨/廣田洋一
銭湯に灯りが灯っているとうれしいものだ。夏は汗を流しにみんなが寄って来る。雨もつかの間の涼しさとも、また蒸し暑さともなる。これも日本の夏の情緒で捨てがたい。(高橋正子)
★風一夜フロントガラスにおうち散る/多田有花
おうちは栴檀の古い呼び方で、薄紫の花のかたまりも、「おうち」の音も優しい印象だ。おうちの木陰に車を止めたりすると、風や雨があると、花が落ちたり葉が散ったり、その有様にも風情がある。(高橋正子)
5月28日(2句)
★夏の川空を映して流れゆく/多田有花
夏の空をぴったりと映して流れてゆく川は、すっきりとして見た目にも夏らしい。(高橋正子)

★薫風の買物かごに子犬かな/桑本栄太郎
買い物かごに入れられた子犬は、気持ちよさそうに薫風に吹かれている。ふわふわとした子犬のかわいらしさが詠まれている。(高橋正子)
5月27日(1句)
★田の隅に肩を寄せ合う余り苗/桑本栄太郎
余り苗は田の隅に置かれて、植えた苗が、枯れたり傷んだりしたときは、補充に使われる。植えられなかった苗は、肩を寄せ合うように、田の隅で育っている。その苗に思思いを入れた句。(高橋正子)
5月26日(1句)
★石楠花や峰々雲を生みにける/小口泰與
石楠花と峰々から生まれる雲の取り合わせが柔らかくて、いい。山へ行きたくなる。(高橋正子)
5月25日(1句)
★青空の甘さ蓄へさくらんぼ/廣田洋一
青空に甘さがあるかは、主観によるが、輝くばかりのさくらんぼを見れば、青空の甘さが蓄えられたようにも思う。青空とさくらんぼのイメージが明るい。(高橋正子)
5月24日(1句)
★河川工事のクレーン高々時鳥/廣田洋一
河川工事をするクレーンが高々と伸びて、その上の方を時鳥が鳴きつつ飛んでゆく。
工事のクレーンと時鳥の取り合わせが新鮮で、広々とした空を思う。(高橋正子)
5月23日(2句)
★薔薇清し路地に遊べる子らの声/多田有花
薔薇を咲かせている住宅地の路地。車が来ない路地なのか、子供たちが楽しく遊んでいる。そこに咲く薔薇は、「美し」ではなく、「清し」。「清し」が遊ぶ子の純真さをあらわしているように思える。(高橋正子)
★畦に沿い早苗の曲がる棚田かな/桑本栄太郎
棚田に植えられた早苗は、まさにこの様子。畦なりに、畦に沿って植えられた早苗の列は曲がっている。その曲線が美しい。棚田を育てる人々の暮らしも美しいと言えようか。(高橋正子)
5月22日(2句)
整然と田の一画に早苗あり/多田有花
田の一画で稲の苗を育てている。育ってくれば田に植え付けるが、今はまだ田植前。
整然とした姿で早苗が育っているのを見るにつけ、田植の時が待たれる。(高橋正子)
★梔子にあたらしき白咲ける朝/川名ますみ
咲いたばかりの新しい梔子のは、純白で、朝の新しさを強く印象付けてくれる。甘く強い匂いが湿っぽい空気に花の存在を知らせている。(高橋正子)
5月21日(2句)
★夏の灯や小舟の櫂の音聞ゆ/小口泰與
時代劇にでもありそうな場面。夏の灯が灯る川辺に小舟を操る櫂の音が聞こえる。
(髙橋正子)
★山影の映る植田や日暮れ居り/桑本栄太郎
山影が映る植田は、山の陰の植田で、その田にも日暮れが押し寄せる。日暮れは寂しいけれど、山の植田の日暮れはなお寂しい。(高橋正子)

5月21日~31日

5月31日(日)
小口泰與
垂涎の魚拓見せらる山女かな★★★
我が影の寄れば寄りくる目高かな★★★★
風絶ゆる池にあきとう金魚かな★★★
廣田洋一
草むしり取るのが惜しき花もあり★★★
ここまでと思ひつつまた草むしる★★★
草むしる根元の虫の目覚めけり★★★★

桑本栄太郎

コロナ禍の失せよ風吹く五月尽★★★
風抜ける木蔭の径や筒あじさい★★★
雨雲の峰肌昇る走り梅雨★★★★
峰を添うように昇る雨雲の動きは、走り梅雨を思わせて、墨絵のような景色を見せる。心静かに眺めれば神秘的にも。(高橋正子)
多田有花
峠越え細道下る麦の秋★★★★
この句は景色がいい。峠を越えると道は細くなり、眼下には畑や町が広がっている。麦の秋が郷愁を誘う。(高橋正子)
森の気を深呼吸して夏の山★★★
自転車を停め大緑陰にくつろぎぬ★★★
5月30日(4名)
小口泰與
風鈴や芝の醜草数多生ゆ★★★★
次次に堰き飛ぶ鮎や雲一朶★★★
釣糸をぴんぴん鳴らす岩魚かな★★★
廣田洋一
老舗前幟はためく柏餅★★★
亡き息子甘党なりし柏餅★★★★
子に先立たれることはよほどに悲しい。柏餅を、まさに男児の柏餅を見るにつけ、亡き子がうれしそうに食べていた顔を思い出す。そんな思いが、俳句となってよかったと思う。(高橋正子)
柏餅みそ餡も良し茶を汲みぬ★★★
桑本栄太郎
泰山木の花の甘き香抓みみる★★★
心地良き風の小径や青葉闇★★★
桑の実や想い出遠き故郷へ★★★★
川名ますみ
花も葉も梅花空木の丸きこと★★★
風五月ふうせんかづらの種をまく★★★★
風は五月。真夏には風船のような緑の実が膨らむふうせんかずら。そんなふうせんかずらは、心地よい風の中に播くのがふさわしい。(高橋正子)
新緑の夢見ヶ崎の果てに富士★★★
5月29日(4名)
廣田洋一
大丈夫かと声かけられし夏の雨★★★
銭湯の灯りともされ夏の雨★★★★
銭湯に灯りが灯っているとうれしいものだ。夏は汗を流しにみんなが寄って来る。雨もつかの間の涼しさとも、また蒸し暑さともなる。これも日本の夏の情緒で捨てがたい。(高橋正子)
コーヒーを飲む間に止みし夕立かな★★★
小口泰與
上州は鶴のかたちや麦の波★★★
夏燕棚田の空を袈裟斬りに★★★★
忙しく蜜から蜜へ目白かな★★★
多田有花
駐車場の上に広がり花楝★★★
風一夜フロントガラスにおうち散る★★★★
おうちは栴檀の古い呼び方で、薄紫の花のかたまりも、「おうち」の音も優しい印象だ。おうちの木陰に車を止めたりすると、風や雨があると、花が落ちたり葉が散ったり、その有様にも風情がある。(高橋正子)
競い合い竹皮を脱ぎ空目指す★★★

桑本栄太郎

吾立てば緋鯉寄り来る朝の池★★★★
緑陰の影の揺るるや枝の風★★★
晶子忌の歌碑の堺やみだれ髪★★★
5月28日(4名)
小口泰與
つつがなく浮島に沿う浮巣かな★★★★
青鷺や利根の大岩微動だに★★★
白鷺や棚田へ夕日差しにける★★★
廣田洋一
木々の葉の重たげに揺れ梅雨兆す★★★
不惑をば一つ越えし子豆の飯★★★★
川べりの畑の匂ひ豆の飯★★★
多田有花
夏の川空を映して流れゆく★★★★
夏の空をぴったりと映して流れてゆく川は、すっきりとして見た目にも夏らしい。(高橋正子)
紋黄揚羽横断歩道を渡りおり★★★
退院のお迎え薔薇咲く病院へ★★★

桑本栄太郎

薫風の買物かごに子犬かな★★★★
買い物かごに入れられた子犬は、気持ちよさそうに薫風に吹かれている。ふわふわとした子犬のかわいらしさが詠まれている。(高橋正子)
一天の放れ雲のみ五月晴れ★★★
夕日透く窓の若葉や風に揺れ★★★
5月27日(3名)
小口泰與
老鶯や山のホテルのコック帽★★★
翡翠や釣人川を渡渉せる★★★
老鶯や清き流れの分水界★★★
廣田洋一
門前に三個百円玉葱かな★★★
サクサクと赤玉葱のサラダかな★★★★
玉葱を隠し味とすカレーかな★★★
桑本栄太郎
緑陰のつづく木蔭やバス通り★★★
田の隅に肩を寄せ合う余り苗★★★★
余り苗は田の隅に置かれて、植えた苗が、枯れたり傷んだりしたときは、補充に使われる。植えられなかった苗は、肩を寄せ合うように、田の隅で育っている。その苗に思思いを入れた句。(高橋正子)
あはあはと嗤う鴉や梅雨寒し★★★
5月26日(3名)
小口泰與
朝刊の解除の文字や閑古鳥★★★
馴染みたるテレワークとや鳥巣立つ★★★
石楠花や峰峰より雲を生みにける(原句)
石楠花や峰々雲を生みにける★★★★(正子添削)
石楠花と峰々から生まれる雲の取り合わせが柔らかくて、いい。山へ行きたくなる。(高橋正子)
廣田洋一
ガーナにて出会ひし鯖缶かな★★★
黒々と焦げ目付きたる鯖二匹★★★
竹林の荒れたるままに落葉せり★★★
桑本栄太郎
青梅の古木矜持や二つ三つ★★★
若竹の三日見ぬ間の背丈かな★★★
天に向き気勢上げたり山法師★★★
5月25日(4名)
小口泰與
蟾出づや夜の湖畔の赤提灯★★★
遊学の友の下宿に守宮かな★★★★
あけぼのの八千穂の里の時鳥★★★
廣田洋一
自粛てふ難行続く若葉寒★★★
公園の日差し陰りて若葉寒★★★
青空の甘さ蓄へさくらんぼ★★★★
青空に甘さがあるかは、主観によるが、輝くばかりのさくらんぼを見れば、青空の甘さが蓄えられたようにも思う。青空とさくらんぼのイメージが明るい。(高橋正子)

桑本栄太郎

十薬の木蔭となりぬ十字花★★★
うす日射す狐の雨や走り梅雨★★★
サンバイザー光るふたりの川辺行く★★★★
多田有花
パイナップル舌痛みしは幼き日★★★
紺青に晴れて雲なし夏夜明け★★★
夏の庭とりどりの花いっぱいに★★★★
5月24日(4名)
小口泰與
助手席に脚投げ出して昼寝かな★★★
亀の子や末は乞食か成金か★★★
奥利根の渓を震わす河鹿かな★★★★
多田有花
マーガレット農家の隅の畑にあり★★★
溝浚えの音の始まる午前九時★★★★
角曲がる風に吹かれてカラー咲く★★★

廣田洋一

夏風邪や次々なめる浅田飴★★★
杜鵑竹の奥より聞こえけり★★★
河川工事のクレーン高々時鳥★★★★
河川工事をするクレーンが高々と伸びて、その上の方を時鳥が鳴きつつ飛んでゆく。
工事のクレーンと時鳥の取り合わせが新鮮で、広々とした空を思う。(高橋正子)

桑本栄太郎

十薬の地に落つ星の木蔭かな★★★
プロペラのうす紅ありぬ若楓★★★
早苗田に水張り農夫立ちつくす★★★★
5月23日(4名)
小口泰與
鯉釣の鈴の鳴りたる夜釣かな★★★
桷の花ルアー持つ手に魚信かな★★★
土合駅尾根縦走の日焼かな★★★★
廣田洋一
きっちりと四隅固めし額の花★★★★
垣根越し真白く咲きし額の花★★★
夏めくや海軍カレー特売日★★★★
多田有花
薔薇清し路地に遊べる子らの声★★★★
薔薇を咲かせている住宅地の路地。車が来ない路地なのか、子供たちが楽しく遊んでいる。そこに咲く薔薇は、「美し」ではなく、「清し」。「清し」が遊ぶ子の純真さをあらわしているように思える。(高橋正子)
明易き空にはや鶯の声★★★
外に出てみれば良きこと石竹咲く★★★

桑本栄太郎

畦に沿い早苗の曲がる棚田かな★★★★
棚田に植えられた早苗は、まさにこの様子。畦なりに、畦に沿って植えられた早苗の列は曲がっている。その曲線が美しい。棚田を育てる人々の暮らしも美しいと言えようか。(高橋正子)
出番無き事を願えり余り苗★★★
夏蝶の数多のもつれ舞いにけり★★★
5月22日(4名)
小口泰與
頑固なる蕎麦屋の主麻のれん★★★
香水やサイドカーより湖畔へと★★★
風鈴はかんかん石の風奏で★★★★
多田有花
整然と田の一画に早苗あり★★★★
田の一画で稲の苗を育てている。育ってくれば田に植え付けるが、今はまだ田植前。
整然とした姿で早苗が育っているのを見るにつけ、田植の時が待たれる。(高橋正子)
生垣のさつき鮮やか遠目にも★★★
柿の花人声近く咲きにけり★★★★

桑本栄太郎

川風に沿いて地道や草茂る★★★
流れ来し今の在所やえごの花★★★
ででっぽと山鳩遠く夕薄暑★★★★
川名ますみ
梔子にぎゅっとしぼりし蕾立つ★★★
梔子の碧きつぼみの裂け目より★★★
梔子にあたらしき白咲ける朝★★★★
咲いたばかりの新しい梔子のは、純白で、朝の新しさを強く印象付けてくれる。甘く強い匂いが湿っぽい空気に花の存在を知らせている。(高橋正子)
5月21日(4名)
小口泰與
夕日差すレトロな窓や夏館★★★
夏の灯や小舟の櫂の音聞ゆ★★★★
時代劇にでもありそうな場面。夏の灯が灯る川辺に小舟を操る櫂の音が聞こえる。
(髙橋正子)
三山の風を賜わる夏座敷★★★
廣田洋一
十薬や読み始めたる「ペスト」かな★★★★
ちらほらと川に落ちたる桜の実★★★
鯖一匹持て余したる独り者★★★
多田有花
芍薬咲く空き家となりし庭の隅★★★
草を刈る音遠くより夏の朝★★★★
上流へ今朝も一羽の白鷺飛ぶ★★★

桑本栄太郎

紫陽花の蕾つぶつぶ控えけり★★★
雨雲の晴れて明るき若葉谷★★★★
山影の映る植田や日暮れ居り★★★★
山影が映る植田は、山の陰の植田で、その田にも日暮れが押し寄せる。日暮れは寂しいけれど、山の植田の日暮れはなお寂しい。(高橋正子)

自由な投句箱/5月11日~20日

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之
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今日の秀句/5月11日~20日

5月20日(2句)
★蜜豆や湖畔の帽子様ざまに/小口泰與
湖畔に集う様々な帽子を冠った女性たち。蜜豆を食べながらおしゃべりに花が咲く。
楽しげな湖畔の風景が絵画的に詠まれている。(高橋正子)
★通院を終えて食せり豆ご飯/多田有花
白いご飯に緑のえんどうを散りばめた豆ご飯は、いかにも爽やかで健康的。通院のあとの一区切りの安堵で、豆ご飯がおいしい。(高橋正子)
5月19日(2句)
★道のべの白き灯りや花いばら/廣田洋一
道のべの花いばらは、つつましやかな白い花ながら、かたまり咲くと、白い灯りのように思える。楚々とした美しさのある花を称えた。(高橋正子)
★思い出は雲の彼方や揚羽蝶/桑本栄太郎
思い出を引き出す初めの点としての揚羽蝶。揚羽蝶が飛んでゆく雲の彼方、故郷のほうかもしれないが、そこに思い出がある。思い出ははるかなもの。(高橋正子)
5月18日(1句)
★妹に亡き母の声若葉風/小口泰與
年を取ると、兄弟姉妹に父や母そっくりの声や仕草を見ることがある。この句では、妹の声を聞いて、ふと母の声と似ていることに気付く。若葉風が心地よく吹き、母似の妹の声がきれいに響く。(高橋正子)
5月17日(1句)
★青空に浮き立ちてをり牡丹かな/廣田洋一
たおやかに咲く牡丹もあれば、浮き立って咲く牡丹もある。青空があれば、牡丹もかろやかに花を浮かせたように晴れやかに咲く。「浮き立ちて」は、丁寧な観察。(高橋正子)
5月16日(1句)
★山の常陰や代田の水の濃紺よ/小口泰與
いつも山の陰になっている代田ながら、水は濃紺。こんこんと湧く水が引かれいるのだろう。濃紺の色を見せる水に驚きの感動。(高橋正子)
5月15日(1句)
★噴井にも硬貨投げいる異邦人/小口泰與
泉に硬貨を投げ入れると願いが叶うとされて有名なのは、ローマのトレヴィの泉。きれいな泉を見るとコインを投げ入れたくなる心理が働くのか、日本の噴井にも外国人がコインを投げ入れていた。ちなみにトレヴィの泉には、年間1億9千万円くらいのコインが投げ込まれるという。(高橋正子)
5月14日(1句)
★肉じゃがや新じゃが皮を剥かぬまま/多田有花
新じゃが芋が出回るようになった。小さい新じゃが芋は、皮を剥かなくて丸のまま肉じゃがなどにするとおいしい。季節感たっぷりのうれしいお菜だ。(高橋正子)
5月13日(2句)
★仰ぎ見る一ノ倉沢夏燕/小口泰與
荒々しい谷川岳を象徴する一の倉沢。仰ぎ見ると夏燕がさっそうと翻っている。潔い景色に夏山が恋われる。(高橋正子)
★田植え花咲いて故郷を想い居り/桑本栄太郎
田植え花はタニウツギのこと。この花が咲くと田植えをしてよいと目安にされた。今はさまざまな稲の品種があって、これに限らないが、故郷ではこう言われていたのだろう。タニウツギが咲いて故郷のことを思い出した。(高橋正子)
5月12日(2句)
★コンバイン道をふさぎて麦の秋/廣田洋一
麦刈りは最近めっきり見なくなったが、季節としての麦の秋には、なつかしさが漂う。コンバインがわが物顔に道を占領しているが、取り入れときは、主役のコンバインに道を譲らねばならぬだろう。(高橋正子)
★歩みゆく妻の出掛やサングラス★★★★
妻が出かけるのか、歩いてくる。見れば、サングラスをかけているせいか、いつもの妻と少しちがって、新鮮な妻である。(高橋正子)
5月11日(1句)
★さわさわと光振りまく柿若葉/廣田洋一
柿若葉に対して「さわさわ」との感覚は新しい。風がなければ、「さわさわ」とはうまれない言葉だろう。柿若葉に風が吹き、柿若葉は光を振りまくことになる。(高橋正子)

5月11日~20日

5月20日(3名)
小口泰與
甘酒や尾根くだり来た岳人と★★★
蜜豆や湖畔の帽子様ざまに★★★★
湖畔に集う様々な帽子を冠った女性たち。蜜豆を食べながらおしゃべりに花が咲く。
楽しげな湖畔の風景が絵画的に詠まれている。(高橋正子)
信濃の国は母のおはこや洗鯉★★★
多田有花
病院を丸ごと包み青嵐★★★
通院を終えて食せり豆ご飯★★★★
白いご飯に緑のえんどうを散りばめた豆ご飯は、いかにも爽やかで健康的。通院のあとの一区切りの安堵で、豆ご飯がおいしい。(高橋正子)
明易し朝日は部屋の深くまで★★★

桑本栄太郎

睡蓮の柵を越え入り池の中★★★
吾が立てば風を呼びたり蘆茂る★★★
風薫る木蔭に集い太極拳★★★★
5月19日(4名)
小口泰與
郭公や軽き風吹く軽井沢★★★★
四膳目の筍飯や都会の子★★★
夏帽や浮子を手ぐさに湖の風★★★
廣田洋一
道のべの白き灯りや花いばら★★★★
道のべの花いばらは、つつましやかな白い花ながら、かたまり咲くと、白い灯りのように思える。楚々とした美しさのある花を称えた。(高橋正子)
花茨大鯉二匹寄り添ひぬ★★★
締め鯖に負けぬ香りの赤ワイン★★★
多田有花
鮮やかや風吹くたびに薔薇の散る★★★★
検温を済ませて入る若葉風★★★
夏つばめ検査を受ける窓の外★★★

桑本栄太郎

思い出は雲の彼方や揚羽蝶★★★★
思い出を引き出す初めの点としての揚羽蝶。揚羽蝶が飛んでゆく雲の彼方、故郷のほうかもしれないが、そこに思い出がある。思い出ははるかなもの。(高橋正子)
黒雲の集い来たりぬ青嵐★★★
柿の花咲いて地に落つ溝の中★★★
5月18日(4名)
小口泰與
妹に亡き母の声若葉風★★★★
年を取ると、兄弟姉妹に父や母そっくりの声や仕草を見ることがある。この句では、妹の声を聞いて、ふと母の声と似ていることに気付く。若葉風が心地よく吹き、母似の妹の声がきれいに響く。(高橋正子)
滴りや笹生い茂る峠道★★★
秋桜子の名付けし滝や天の原★★★

廣田洋一

プリンセスてふ気品も高く薔薇の花★★★
豆の数しっかり見せて莢豌豆★★★★
花豌豆高く伸びけり鳥の声★★★
桑本栄太郎
ひな芥子や早やも坊主となり来たる★★★
甘き香のリカーショップや夕薄暑★★★★
ととととと樋のしずくや走り梅雨★★★
多田有花
収穫すスナップえんどう莢えんどう★★★
青空を向いてそら豆育ちけり★★★★
収穫の後緑陰に談笑す★★★
5月17日(3名)
廣田洋一
青空に浮き立ちてをり牡丹かな★★★★
たおやかに咲く牡丹もあれば、浮き立って咲く牡丹もある。青空があれば、牡丹もかろやかに花を浮かせたように晴れやかに咲く。「浮き立ちて」は、丁寧な観察。(高橋正子)
休校の庭を明るく薔薇の花★★★
ピンク色丸く浮き立つ薔薇の花★★★
小口泰與
牡丹の散り初めし中なお莟★★★
無人駅出づや渓谷新樹光★★★★
ばら散るやぬか雨の中艶めきぬ★★★
桑本栄太郎
歩みゆく丘の田道や谷卯木★★★
木洩れ日を伝い歩めり聖五月★★★
若竹の天まで届く青さかな★★★★
5月16日(4名)
小口泰與
木の間より日の綾なせる泉かな★★★
青空へ峰峰定かなり新樹光★★★
山の常陰や代田の水の濃紺よ★★★★
いつも山の陰になっている代田ながら、水は濃紺。こんこんと湧く水が引かれいるのだろう。濃紺の色を見せる水に驚きの感動。(高橋正子)
廣田洋一
梅の実やほんのり紅く色付けり★★★
青梅やかくれんぼする子らの声★★★★
長き脚すらりと伸びる水着かな★★★
多田有花
いただきしトマトを朝の食卓に★★★
茄子紺の深きを三つ求めけり★★★
画面越しに友と再会若葉寒★★★★

桑本栄太郎

山頂の雨や筍流しかな★★★★
溝川の流るる丘や谷卯木★★★
木斛の花の夕闇明るかり★★★
5月15日(4名)
廣田洋一
ほの白き竹林に青今年竹★★★★
登校子の声かけて行く花あやめ★★★
花あやめ並び咲きたる白あやめ★★★
小口泰與
妻と差す縁台将棋ほととぎす★★★
代掻の棚田や鳶は空均し★★★
噴井にも硬貨投げいる異邦人★★★★
泉に硬貨を投げ入れると願いが叶うとされて有名なのは、ローマのトレヴィの泉。きれいな泉を見るとコインを投げ入れたくなる心理が働くのか、日本の噴井にも外国人がコインを投げ入れていた。ちなみにトレヴィの泉には、年間1億9千万円くらいのコインが投げ込まれるという。(高橋正子)
桑本栄太郎
あまき香の道のすがらや忍冬花★★★
山際の映る水田や蛙鳴く★★★
夕刻の雨の卯の花腐しかな★★★★
多田有花
少しずつ斑点増えるバナナかな★★★
マグカップ今日より新し新樹光★★★
楠若葉囲む煉瓦の美術館★★★★
5月14日(4名)
小口泰與
二年とか目高の寿命いわれけり★★★
草を切る利鎌一閃夏燕★★★★
園庭を縦横無尽蟻の列★★★
廣田洋一
水遊び家族総出で見守れり★★★
白き塀建物囲ひ街薄暑★★★★
散歩道人と出会はぬ夕薄暑★★★
多田有花
肉じゃがや新じゃが皮を剥かぬまま★★★★
新じゃが芋が出回るようになった。小さい新じゃが芋は、皮を剥かなくて丸のまま肉じゃがなどにするとおいしい。季節感たっぷりのうれしいお菜だ。(高橋正子)
たたずんでまた走り出す蜥蜴かな★★★
沖縄の思い出アロハシャツを出す★★★

桑本栄太郎

山の端と甍を映す代田かな★★★★
じゃが芋の花の盛りや丘の畑★★★
山すその里に臨むや風五月★★★
5月13日(4句)
小口泰與
仰ぎ見る一ノ倉沢夏燕★★★★
荒々しい谷川岳を象徴する一の倉沢。仰ぎ見ると夏燕がさっそうと翻っている。潔い景色に夏山が恋われる。(高橋正子)
業績を衒う人おり夏出水★★★
磴上りくる人おらず夕牡丹★★★
廣田洋一
赤シャツに白スカートの金魚かな★★★
大甕に空けし袋の金魚かな★★★★
花の色少し控えめさつきかな★★★
多田有花
夏野菜たっぷり育つわが畑★★★
明易き窓仰ぎ見てひと眠り★★★
あの羽音に蚊取線香を出しぬ★★★

桑本栄太郎

わらわらと葉裏白きや風薫る★★★
田植え花咲いて故郷を想い居り★★★★
田植え花はタニウツギのこと。この花が咲くと田植えをしてよいと目安にされた。今はさまざまな稲の品種があって、これに限らないが、故郷ではこう言われていたのだろう。タニウツギが咲いて故郷のことを思い出した。(高橋正子)
木々の枝の大きく揺るる青嵐★★★
5月12日(4名)
小口泰與
夏霧や神の隠せし牧の馬★★★
九嶺を隠す榛名の雲の峰★★★
逞しきD51駆ける日雷★★★★
廣田洋一
麦秋の野に声上げる親子連れ★★★
コンバイン道をふさぎて麦の秋★★★★
麦刈りは最近めっきり見なくなったが、季節としての麦の秋には、なつかしさが漂う。コンバインがわが物顔に道を占領しているが、取り入れときは、主役のコンバインに道を譲らねばならぬだろう。(高橋正子)
麦秋や笠智衆に原節子★★★
多田有花
太公望並ぶ突堤夏浅し★★★★
鹿よけの柵に囲まれしゃが咲きぬ★★★
少し影ある場所が好きしゃがの花★★★

桑本栄太郎

こつ然と塀の中より揚羽蝶★★★
歩みゆく妻の出掛やサングラス★★★★
妻が出かけるのか、歩いてくる。見れば、サングラスをかけているせいか、いつもの妻と少しちがって、新鮮な妻である。(高橋正子)
母の日の母はなけれど夢に乞う★★★

5月11日(4名)
小口泰與
薫風や水の石切り子も真似て★★★★
上野(こうずけ)は赤城を楯に麦の秋★★★
古代より水の森てふ夏の雨★★★
廣田洋一
さわさわと光振りまく柿若葉★★★★
柿若葉に対して「さわさわ」との感覚は新しい。風がなければ、「さわさわ」とはうまれない言葉だろう。柿若葉に風が吹き、柿若葉は光を振りまくことになる。(高橋正子)
車椅子しばし休めり柿若葉★★★
赤目高一緒に入れる金魚鉢★★★
桑本栄太郎
老鶯と云えど確たり朝の藪★★★
若竹の早くも届く天の丈★★★
陸橋の高さにありぬ橡の花★★★★
多田有花
雨音のにわかにジャーマンアイリスへ★★★
蚕豆を初めて育て塩ゆでに★★★
晴れし午後遠くに夏の雲生まる ★★★★