9月30日(2名)
多田有花
臥待やまだ月影に暈残し★★★
長雨のようやく晴れし月仰ぐ★★★
本日は洗濯日和朝の月★★★
廣田洋一
雨上がり百合の木黃葉且つ散れり★★★
電話にてやや寒きことかこちけり★★★
枝先の青く膨らむ金柑かな★★★
9月29日(6名)
多田有花
夕刻や秋の長雨飽きず降る★★★
廃業の店に長蛇の列の秋★★★
壁にある貼り紙緩し秋湿り★★★
小口泰與
赤城榛名秋の紅葉を競い合う★★★
頂きし喉んどを滑る今年酒★★★
月出でて兎も跳ねる賑わいに★★★
廣田洋一
土手の草吹き伏せられて台風下★★★
膨らみて皮の裂けたる黃柚子かな★★★
身の細く値は鯛並みの秋刀魚かな★★★
川名ますみ
雨音に木槿の白の際立ちぬ★★★★
未明より濡れし木槿の白の果て★★★
そぼ濡れる木槿並木を通院す★★★
土橋みよ
夜長過ぐ耳元にある医師の声★★★
診る人の指をまた追い秋澄めり★★★
「秋澄めり」の季語と、「診る人の指をまた追い」の内容が、少しあっていないです。(髙橋正子)
甘薯へと箸の先ゆく昼餉かな★★★★
上島祥
秋白し松葉に留める雨の露(原句)
秋白し松葉に留まる雨の露(正子添削)
秋白し松葉の留める雨の露(正子添削)
何が主語なのか、よく見極めて「留まる」(自動詞)、「留める」(他動詞)の動詞を使う必要があります。(髙橋正子)
前髪を幾度と直す秋黴入★★★
越水の広場に赤萩咲き満ちて★★★
9月28日(3名)
多田有花
秋霖に置き薬屋の訪ね来る★★★
秋彼岸明けて雨降るばかりなり★★★
雨の朝なれど続きし虫の声★★★
廣田洋一
雨上がり街しんとして冷やかに★★★
草原の静もり深し居待月★★★★
道端に唐黍焼きて売る母子★★★
土橋みよ
病室より
枕辺のタオルにわれの名秋の朝★★★
看護師の足音消えて夜長かな★★★★
真夜中のカーテン揺れてなお夜長★★★
9月27日(4名)
多田有花
十六夜も雨の向こうの月となり★★★
秋夕焼中を鴉のねぐら入り★★★
残せしは壁の巣のみか燕去る(原句)
残せしは壁の巣ばかり燕去る(正子添削)
「巣のみか」の「か」は作者の判断ですが、この「か」の断定の揺れが句を弱めています。(髙橋正子)
廣田洋一
雨上がる街の静けさ冷やかに★★★
「冷ややかに」が抽象的なのが惜しいです。(髙橋正子)
焼き芋の香り漂う売場かな★★★
残菊や纏めて入れるごみ袋★★★
小口泰與
にぎわしき秋翡翠の交尾かな★★★
頃合いの魚を見事や秋翡翠★★★
秋雨や薔薇の赤葉の艶増せり
「艶増せり」は状態の説明になっています。状態を説明でなく、写し取るとよいです。たとえば「つやつやと」「つややかに」「光るなり」など。(髙橋正子)
上島祥子
秋の雨部屋着のままの昼の膳★★★
堰音の途絶えて秋の川深し★★★
洪水の泥つく木々に秋の雨★★★
9月26日(4名)
多田有花
中秋無月ベランダに数度出てみても★★★
風の音夜半に高き無月なり★★★
無月から雨月となりぬ一夜かな★★★
小口泰與
山の沼なんの水輪か秋うらら★★★
にぎわしき木犀の香を振りまきし★★★
月の出よ雲を破りし風の神★★★
廣田洋一
鎮まりし海に名月浮かびけり★★★★
秋の雨小町通りは川のごと★★★
海老蕎麦を食べて待ちたる月夜かな★★★
川名ますみ
秋の灯に鳴らす切子のロックグラス★★★
長き夜にロックグラスの音澄めり★★★
母に手をあわせし友と今年酒★★★
9月25日(5名)
多田有花
秋日和夢前川に沿い下る★★★
とろり九月の餡バタークロワッサン★★★
待宵や明るさ残る中に出る★★★★
小口泰與
台風来る何やかやと仕事増え★★★
秋雨ゃ水を豊かに使い慣れ★★★★
紅葉して汝は何と言う鳥ぞ★★★
川名ますみ
赤とんぼ垂直に降り真っ直ぐに★★★
秀麗の陽のあたりたる頬あかし★★★
秋うらら頬に届けば陽の紅く★★★★
土橋みよ
点滴の腕の重たき夜長かな★★★
看護師のスマホ差し出す今日の月★★★★
看護師の差し出すスマホ今日の月(正子添削)
(添削は、希望された時だけ致しますが、今回は例外です。)
元の句は、「看護師のスマホ」のイメージが強く、また「差し出す」行為が印象に残ります。「今日の月」とつなげるために添削のようにしました。(髙橋正子)
看護師の目尻柔らか秋日和★★★
上島祥子
雲流る東都に向ける秋嵐★★★
お供えの団子減らす無月の夜★★★
衛星の影空に曳く秋の宵★★★★
9月24日(3名)
多田有花
午前五時明るさ兆す秋彼岸★★★
同音す秋彼岸会の本堂に★★★★
秋分や遺影を側に食事会★★★
廣田洋一
白き花に群がる秋の揚羽かな★★★
我が肩に触れて行きたる散り黃葉★★★
一房を親子でつまむ葡萄かな★★★
小口泰與
波無くて沼に色立つ秋の空★★★
鬼やんま沼の水面をつんつんと★★★
ならわしの寝酒一合秋の夜★★★
9月23日(4名)
多田有花
分譲地に残る稲田の刈られたり★★★
わが頭上に東西南北うろこ雲★★★
秋晴やハーレーダビッドソンを磨く★★★
小口泰與
秋雨の中傘なまめかし二人連れ★★★
頓服で治る病や秋の風邪★★★
秋雨の細かき粒や硝子窓★★★
廣田洋一
門の前しばし佇む名月かな★★★
林檎畑後にそびゆ津軽富士★★★
白菊の豊けき光寺の庭★★★
土橋みよ
救急病棟3句
秋昼や看護師の影来ては消え★★★★
支える手離れ背の伸ぶ秋の午後★★★
医師の指先辿る秋の夕★★★
9月22日(4名)
多田有花
稲刈機始動の音や午前九時★★★★
朝顔やひとり暮らしの庭に咲く★★★★
面白し百日紅の下に彼岸花★★★
小口泰與
木犀につつまる家や山の風★★★★
秋翡翠畷の先の沼へ飛ぶ★★★
秋雨のなべてぐずつく昨日今日★★★
廣田洋一
台風去り青空燦と輝けり★★★★
どんぐりや雨に流され道渡る★★★★
石仏の磨きあげられ秋彼岸★★★
土橋みよ
急性めまい3句
電話まで届かぬ指先秋彼岸★★★
秋の朝二人がかりで畳まで★★★
救急車と潜めし声や秋時雨★★★★
急なめまいでしたのですね。お大事なさってください。こんなときにも俳句をお作りになって、気丈でいらっしゃいますね。見習いたいものです。(髙橋正子)
9月21日(3名)
多田有花
雲少し彼岸に入りぬ秋の空★★★
快晴や高く飛び来る赤とんぼ★★★★
風音の高まり遠き野分かな★★★★
小口泰與
秋高し何かと言いて妻太る★★★
縄跳びの輪の中秋の運動会★★★
「縄跳びの輪の中」がいいですね。(髙橋正子)
何くれと口だす人や肌寒し★★★
廣田洋一
川風に揺れる芒のひと処★★★★
避難指示出でたる街や台風来★★★
梨を剝くくるくると皮吊り下げて★★★