自由な投句箱再開

お知らせ                             
8月1日~8月15にちまで夏休みを頂きました.
その間、花冠のブログをgoo blogからWordPress に移転する作業を行いました。新しくなったサイトでの活動をご期待ください。花冠ブログは8月16日から再開いたしますので、ひきつづきよろしくお願いいたします。                                                2025年8月15日
花冠発行所
代表 髙橋正子

自由な投句箱/8月16日~8月20日

※当季雑詠3句(夏の句・秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。メールアドレスは書かなくてよいです。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

8月16日~8月20日

8月16日(名)
作業中
小口泰與
色鳥や我を和ます山住まい
無花果へそっと近づく野鳥かな
端座せり秋の簗場の風音に

土橋みよ
汐トンボ止まりて揺れるオクラの葉
天からの玉虫一つ庭の石
縦笛の近づく夏の登校日

広田洋一
初秋の木の葉そよげる雨上がり
買わずとも西瓜をぽんと叩きけり
終わったのねと母の声聞く終戦日

多田有花
戦争を知らぬ子ばかり終戦日
終戦日より戦死者はなく八十年
終戦日を積み重ねていく終戦日

高橋 秀之
とんぼ舞う駅で友との待ち合わせ
盆休み子らが揃いて窮屈に
終戦日サイレン響く大空へ

川名ますみ
カラフルに匂える夏野菜カレー
ざくざくと氷菓に匙を挿し入れる
友三人ソルベにスプーン突き刺しぬ

【選者詠】髙橋正子
蓮の葉も花もテレビに蓮どころ
秋立ちて風は月より吹き来たり
秋簾夜風をとおしはじめたり

お知らせ/重要

お知らせ(重要)

暑中お見舞い申し上げます。
「自由な投句箱」をご利用いただき、ありがとうございます。このたび、現在利用しているNTTドコモが提供するgoo.blogが11月をもってサービスを終了します。

サービス終了にともない、花冠ブログをすべて移転します。移転先は移転終了後にみなさまにお知らせし、これまでどおりの活動ができるようにします。移転作業のために、下記の期間ブログへの書き込みを禁止します。またその期間を花冠の夏休みとします。8月月例ネット句会はお休みです。ご協力、よろしくお願いいたします。

   記
ブログ移転作業期間:8月1日(金)~8月15日(金)

花冠夏休み    :8月1日(金)~8月15日(金)

8月月例ネット句会:休会

(移転作業の進み具合により、予定が変更される場合がありますので、ご了承ください)。
                  2025年7月21日
                      花冠代表 髙橋正子

自由な投句箱/7月21日~7月31日

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

今日の秀句/7月21日~7月31日

※コメント欄への書き込みはできません。ブログ移転のためです。

7月31日(1句)

★炎熱の故郷へつづく九号線/桑本栄太郎
九号線と言うのは、京都から下関まで、福知山、鳥取、松江、浜田、益田 などを通る西日本最長の国道。
故郷へと辿るには、この炎熱の国道を通らねばならない。故郷への道がこんなにも暑い。しかし懐かしい人たちと会うにはこの道を通らねばと言う覚悟が見える。(髙橋正子)

7月30日(2句)

★姉妹行く有馬の湯へと谷崎忌/桑本栄太郎
谷崎文学の陰翳礼讃の世界に、姉妹の朗らかさが差し込んで、からっとした現代の句になっている。有馬の湯も関西文化を好んだ谷崎への追慕がしのばれる。(髙橋正子)

★いつの間に姿増えたり夏つばめ/多田有花
「いつの間に姿増えたり」のリズムが波形を描くように滑らかで軽ろやかさがあるのがいい。いつの間にか増えた夏つばめに夏のいよいよの深まりを実感する。(髙橋正子)

7月29日(1句)

★一木の重たげにあり蝉しぐれ/桑本栄太郎(正子添削)

一木の存在感を出すために「重たそうなり」を「重たげにあり」と添削した。蝉しぐれを重量として抱えている木の地についた存在感が感じられる。(髙橋正子)

7月28日(1句)

★晴れし朝磯鵯の窓辺に来る/多田有花

磯鵯と言えば、わが家近くの電線に止っているところを先日見かけた。都会の住宅地にもいる。晴れた夏の朝、窓辺まできた警戒感のない磯鵯の可愛らしさ、親しさがうれしい。(髙橋正子)

7月27日(3句)

★故郷の山を仰ぎて帰省かな/廣田洋一
佳句だが、帰省と山を仰ぐ所作には、類句が多くあって個人的な感情が薄まっているのが惜しい。山の描写をくわえると、既視感を超えることができると思う。(髙橋正子)
 
★音のみの花火や山の向こうより/多田有花
「山の向こうより」が説明的ではあるが、空間の隔たりがはっきりしているので、これはこれでよいと思う。音に焦点をあてて音の後のしずけさに余情がうまれていていい。(髙橋正子)

★青天へ峰雲湧き立つ鈴鹿嶺/上島祥子
見える構図として迫力がある。「青天へ峰雲湧き立つ」はやや定型的なので、自分の気持ちを少し入れてみるのもいいと思う。(髙橋正子)

7月26日(2句)

★田舎より昔のままのまくわ瓜/桑本栄太郎
黄色い昔のままのまくわ瓜がと送られてきて、懐かしい時代に引き戻された気持ちになったのだろう。この甘さのまくわ瓜に私も郷愁を覚える。(髙橋正子)

★淵に身を浮かべ少年泳ぎけり/多田有花
あおみどりの深い水深に、ほっかり浮いて泳ぐ少年のナイーブさが印象付けられる。(髙橋正子)

7月25日(2句)

★初物の梨瑞々しくて喉越しぬ/土橋みよ
初物の梨の瑞々しさをそのまま詠んでいるが、素直な詠み方が梨のさっぱりとしたみずみずしい味にふさわしく好感がもてる。(髙橋正子)

★雲の峰連なり高さを競う空/上島祥子
雲の峰がたくさん湧き立って、高さを競っている。力強い夏の空に気持ちが前向きに明るくなれる。(髙橋正子)

7月24日(1句)

★奥山のさらに彼方に入道雲/多田有花
雲はどこで生まれるのかは幼い心の疑問であったが、奥山のさらに彼方に入道雲が生まれるのだ。そこまで行ってみたい気がする。(髙橋正子)

7月23日(2句)

★炎天や前世のような浅間山/小口泰與
あまりにもの炎天に、あたりはしずまり返っている。動くものの気配も途絶え、浅間山は炎天の光を受けて噴煙を吐きながらも山の姿は止まっている。それらは前世かと思う感覚を募らせる。(髙橋正子)

 <七夕祭りの薬玉が飾られて>
★朝風に軽き音生む吹き流し/上島祥子
七夕飾りの吹き流しは、織姫の織り糸を表すとされている。朝のすずしい風に吹き流しがさらさらと軽い音を立ている。吹き流しのゆたかな色彩と朝涼の軽やかな音が七夕祭りにふさわしい。(髙橋正子)

7月22日

※該当句無し

7月21日(1句)

★土用波陽を返しつつうねり来る/廣田洋一

素直な表現のなかにも力強く土用波が詠まれている。「陽を返しつつうねり来る」の静かな観察に、読み手も土用波に一体化するような臨場感がある。(髙橋正子)

 

7月21日~7月31日

7月31日(4名)

多田有花
四十度超え高熱の酷暑かな★★★
雨傘を日傘に見立て駅までを★★★
夏休みの映画館には子らの声★★★

廣田洋一
子と二人冷酒酌みたる夕餉かな★★★
乾杯のあとの一口冷し酒★★★
太き葉に色濃き花や松葉牡丹★★★

桑本栄太郎
炎熱の故郷へつづく九号線★★★★
夕暮れの紅を競いぬさるすべり★★★
風呂洗いそのまま浴びぬシャワーかな★★★

小口泰與
釣人の竿にすいっと蜻蛉かな★★★
翡翠の偵察飛行沼一周★★★
玉ウキの風に流さる夏の沼★★★

7月30日(5名)

小口泰與
翡翠の鋭き視線山上湖★★★
青葦や高らかな蝦蟇の声★★★
一筋の雲を映すや夏の沼★★★

桑本栄太郎
夏萩の小径を抜けて散歩かな★★★
朝涼の空を切り裂きジェット雲★★★
姉妹行く有馬の湯へと谷崎忌★★★★

廣田洋一
津波来る肝が冷えたる夏の朝★★★
白波や川をさかのぼる夏の朝★★★
白鷺や静かにたたずむ川の中★★★

多田有花)
恐ろしきほどの快晴夏の朝★★★
風いまだ陸風蝉声始まりぬ★★★
いつの間に姿増えたり夏つばめ★★★★

上島祥子
卒寿越す隠居路掃く朝曇★★★
夜の更けて麦茶ボトルに二リットル★★★
夏の蜂蜜を集める影弾む★★★★

7月29日(4名)

小口泰與
滝のぼる魚の数多や峠道★★★
篁へ朝日差しけり蝦蟇の声★★★
麻服の皺数多なり見合い席★★★

廣田洋一
兄弟の家族を連れて帰省かな★★★
白鷺のぱっと飛び立つ水田べり★★★
さくらんぼ真っ赤に光るアメリカ産★★★

桑本栄太郎
一木の重たそうなり蝉しぐれ(原句)

一木の重たげにあり蝉しぐれ(正子添削)

朝涼や犬の散歩のつどう辻★★★
鳴かぬ蝉捕りてべそ掻く子供かな★★★

多田有花
わが部屋を包みて繁し蝉しぐれ★★★
涼しさは風にありけるゆらぎかな★★★
扇風機の孤軍奮闘凪の部屋★★★

7月28日(4名)

小口泰與
翡翠の巣をご存じの御婆かな★★★
釣上げし鮎の腸美味にして★★★
園児らの九九を諳んず夏期講習★★★

廣田洋一
砂浜に寝椅子を並べ爆暑かな★★★
歩きつつ氷菓しゃぶれる親子かな★★★
天然のかき氷食ぶ昼下がり★★★

多田有花
灼熱のひと日の暮れて夕三日月★★★
晴れし朝磯鵯の窓辺に来る★★★★
干し物の回転続く夏の風★★★

土橋みよ
 孫海洋観測2句
星涼し風の唸れる観測船(原句)「星涼し」には心理的な感覚があります。「風が唸る」ときに、「星涼し」と思えるのかどうか、判断しかねますが、状況をお知らせくだされば、と思います。(髙橋正子)

星涼し船上で聞く波の音

お知らせありがとうございます。こちらの俳句は、「星涼し」の季語が「船上に聞く波の音」とよくあって共感できます。「音」をどのように聞いたか、その音を聞いてどのような心境であったかが大事です。聞こえる音の感じ方に齟齬があったかもしれませんね。(髙橋正子)

夏潮や船底に響く波の音★★★★
黄緑の馬酔木の青葉枝の先★★★

7月27日(5名)

廣田洋一
故郷の山を仰ぎて帰省かな★★★★
炎天に燃え立つ如く百日紅★★★
水中花季節の花に替えにけり★★★

多田有花
白蓮や極楽の香を放ちけり★★★
音のみの花火や山の向こうより★★★★
境内に一本咲くや小鬼百合★★★

桑本栄太郎
木洩れ日の一点明るき木下闇★★★★
落ち蝉の白き腹見せあおのけに★★★
川ベリを歩む散歩や草いきれ★★★

小口泰與
翡翠や沼の巨石のまぎれ無し★★★
空さまの深きに舞うは海月かな★★★
蝦蟇の声西も東も砕くなり★★★

上島祥子
グランドの物音絶えて夏休み★★★
信号機独り占めする日陰かな★★★
青天へ峰雲湧き立つ鈴鹿嶺★★★★

7月26日(4名)

桑本栄太郎
田舎より昔のままのまくわ瓜★★★★
蝉からす鳴かぬ日盛り午後三時★★★
寒露忌やこのごろ玉子生まぬ鶏★★★

小口泰與
そちこちに鳥の鳴きけり夏の沼★★★
雲の峰奇岩巨石の聳ちて★★★
牧場の長き柵なり日照雨かな★★★

多田有花
淵に身を浮かべ少年泳ぎけり★★★★
夏真昼真空のごとき静寂に★★★
昼下がり遠くで夏鶯の鳴く★★★

土橋みよ
幼稚園の花壇いっぱい日々草★★★
若芽摘むアスパラ畑に夏が来て★★★★

 孫海洋観測
星涼し船上で聞く海の声★★★
「星涼し」は、臨場感が感じられてとても共感できますが、「海の声」が抽象的すぎるのが惜しいです。(髙橋正子)

7月25日(6名)

廣田洋一
三色の色鮮やかに冷やし中華★★★
砂場の子横に見ながら金魚草★★★
紫陽花の旅を終えたる薄茶色★★★

桑本栄太郎
街灯の明かりたよりに夜の蝉★★★
池めぐる朝の散歩やうしがえる★★★
河童忌の「蜘蛛の糸」読む木蔭かな★★★

小口泰與
今朝の空日は煌煌と夏の湖★★★
翡翠や翔けやすき淵に居りにける★★★
鳥を射よ草矢を渡す幅なりし★★★

多田有花
雀鳴きやがて熊蝉鳴く朝に★★★
夏空を防災ヘリが降りてくる★★★
万緑を映せる淵の静かなり★★★

土橋みよ
初物の梨瑞々しくて喉転がる(原句)
「転がる」の言葉にすこし、「違うかな」と言う感じがします。
初物の梨瑞々しくて喉すぎる(正子添削)

 孫富士登山競走出走二句
登山競走知らさるる夏の眠れぬ夜★★★
夏山を駆け登り白雲の上★★★★

上島祥子
夏雲の連峰高さ競う空(原句)
「夏雲の連峰」は雲の峰 のことですね。ややわかりにくさがあります。

雲の峰連なり高さを競う空(正子添削)

三辺を車が囲う青田かな★★★
塩飴や炎暑の坂を登りきり★★★

7月24日(5名)

多田有花
燃え尽きて破線の渦や蚊取線香★★★
奥山のさらに彼方に入道雲★★★★
川渡りくる夕風の涼しさよ★★★

廣田洋一
昼飯は冷素麵や独り暮らし★★★
カウンターに一人で座り冷し中華★★★
旧友とテーブル囲み生ビール★★★

桑本栄太郎
凌霄花の紅蓮となりぬ垣根かな★★★
朝焼けや公然と非を唱え居り★★★
川べりを歩み川面の夕焼けかな(原句)
川べりを歩めば川面夕焼ける(正子添削)

小口泰與)
翡翠の羽そぐ如く身づくろい★★★
七月や星の光のそこばくに★★★
夏の暁背向の山の鳥の声★★★

上島祥子
宙吊りの西瓜朝陽に縞立てり★★★

夏休み富士登頂の知らせ着く(原句)
夏休み富士登頂を知らさるる(正子添削)

百日紅梢の花は青空に★★★★

7月23日(5名)

小口泰與
翡翠やせせらぎ分かつ岩ひとつ★★★
口あけて親待つ燕あさぼらけ★★★
炎天や前世のような浅間山★★★★

桑本栄太郎
大輪の紅や白咲く蓮の池★★★
剣呑という大空や朝焼ける★★★
石垣のすき間に咲くやさるすべり★★★

多田有花
眼前に旋回続く夏つばめ★★★
夏すでに角を曲がりて去りゆけり★★★
窓よりの風に感じる秋接近★★★

廣田洋一
帰省子の先ず覗きたる井戸の中★★★
土用波夕焼空の晴れ渡り★★★★
紅蓮の開ききったる法の庭★★★

上島祥子
<市の七夕祭りの薬玉が飾られて>
朝風に軽き音生む吹き流し★★★★
夏川の堰の勢い流れ生み★★★★
水遊び喃語に答う姉の声★★★

7月22日(3名)

小口泰與
鳥声の盛んな沼や夏の朝★★★
方言は夕立のごと溢れけり★★★
せくぐまる翡翠狙い定めたる★★★

廣田洋一
水替えて泡を放てし水中花(原句)
水替えて泡を放てり水中花(正子添削①)
水替えて泡きらきらと水中花(正子添削②)

土用鰻特売場を独り占め★★★
外出でて身をすくめたる爆暑かな★★★

多田有花
ほろ苦き涼味やバスクチーズケーキ★★★
片陰の床几に座して人を待つ★★★

底紅を咲かせ酒蔵秋近し★★★
底紅は芙蓉の白花の底が紅色に染まっているものを差しますが、芙蓉は秋の季語なので、「秋近し」は一考です。(髙橋正子)

7月21日(5名)

小口泰與
炎天やわが身すこしく太りける★★★
須らく利根の川魚五月晴★★★
翡翠を見ずして鳥を語らずや★★★

多田有花
菰樽に迎えられたる夏真昼★★★
冷奴木匙を添えて突き出しに★★★
明石蛸鱧に穴子に夏料理★★★

廣田洋一
海の日や安全願い海開き★★★
土用波陽を返しつつうねり来る★★★★
プールにて歩行訓練続きおり★★★

桑本栄太郎
底紅の団地をめぐる赤き花★★★
幼木といえど艶やか合歓の花★★★
鳴き声のうねり一つに蝉しぐれ★★★

上島祥子
棕櫚大樹夏空葉より透かし見ぬ(原句)
「見ぬ」は口語になおすと「見ました」になります。主語は棕櫚大樹とするのが一般的な解釈なので、主語と述語の関係がすっきりしません。
棕櫚大樹葉より透かす夏の空(正子添削例)
十輪を数えて芙蓉咲き競い(原句)
「数えて」はこの句では、理屈っぽいので、芙蓉のイメージが弱くなっています。(髙橋正子)
十輪のはやも芙蓉の咲き競い(正子添削例)
夏雲に彩り映える夕日かな★★★

自由な投句箱/7月11日~7月20日

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

今日の秀句/7月11日~7月20日

7月20日(2句)

★酒蔵に桔梗咲き初め夏深む/多田有花
酒蔵に桔梗の取り合わせが涼しげ。桔梗は秋の七草に数えられ、秋の季語である。花は、おもに八月から九月にかけて咲く。この句は季語(季題)から発想してつくられた句ではないので、このような捉え方になる。「夏深む」なかにも秋の気配があるということ。(髙橋正子)

★蝉時雨大樹が続く朝の径/上島祥子
この句の蝉時雨は、「大樹が続く」「朝の径」に降り注ぐ蝉の声を詠んでいる。大樹の並木は木陰をつくり、朝の径は涼しい。蝉時雨がすずやかに聞こえる。(髙橋正子)

7月19日(1句)
<西国二十六番・法華山一乗寺>
★千年の塔億年の山盛夏/多田有花
千年の塔と、億年の山は誇張ではなく、実際に近い表現でスケールが大きな句。それぞれが夏真盛りの季節に風格を増している。(髙橋正子)
7月18日(2句)
★手も足も透ける泉へ鳥の声/小口泰與
「足も透ける」とあるので、泉に手を浸しただけでなく、入ってみたのだろう。そこへ鳥の声が聞こえて、泉の冷たさに心洗われたことだろう。(髙橋正子)
★川風に浮かび群れ居り夏あかね/桑本栄太郎
「川風」が、風のすずしさ、水の匂いや水音なども思い起させて一句を涼やかに仕立てている。川風に浮かんで群れ飛んでいる夏あかねの動きが見えるが、「居り」は、工夫の余地がある。(髙橋正子)

7月17日(1句)

★松落葉ふわりと踏みし石畳/廣田洋一

石畳の敷かれている庭。松の落葉が降り積もって踏むとふわりとした感触がある。季語「松落葉」の品を活きている好句。(髙橋正子)

7月16日(1句)

★向日葵の日の出の向きに咲き揃う/上島祥子

透明感のあるきらきらした句。日の出の方へ向日葵が一せいにさいているのだ。向日葵は当然、上ったばかりの日を受けている。朝も早い時間がいい。(髙橋正子)

7月15日(1句)

★大笹を傾けて置く星祭/川名ますみ

星祭の笹が、まっすぐ立てられるのではなく、大笹ゆえか、傾けて置かれている。さらさらと鳴る笹の葉に、短冊も色とりどりに下げられるだろう。七夕の景色がいい。(髙橋正子)

7月14日(1句)

★玄関に転がされている甜瓜/多田有花

玄関に転がされているのは、畑からも出で来た胡瓜であろう。とりあえず玄関に転がしてある。形も不揃いだろうが、そこに俳味がある。(髙橋正子)

7月13日(1句)

★明日開く蕾隣に蓮開く/多田有花

あすは開きそうな蕾の隣に今日の蓮が開いている。大きな蓮の葉の台(うてな)に蓮の花が次々に咲く季節が巧みに詠まれている。(髙橋正子)

7月12日(1句)

★釘を打つ音の続けり夏真昼/多田有花(正子添削)

夏の真昼というのに、釘を打つ音が止むことなく続いている。どこか家が建つのだろうか。夏の真昼が静謐に受け止められる句だ。(髙橋正子)

7月11日(1句)

★昇り来る強き夏月上つ枝(ほつえ)越ゆ/小口泰與

「強き夏月」は赤々と輝いている夏の月。その月が飛び出ている枝などを越え昇っているのだ。涼しげな景色がいい。(髙橋正子)