★三つ風景 ― 髙橋正子★
カナリヤ弾む七草粥を食ひをれば 臥風
ネクタイ吊るタンスの中も秋の空気 信之
水に触れ水に映りて蜻蛉飛ぶ 正子
三句は、日常を詠んでいるが、「情緒」「生活」「自然(現象)」という三つの相の句である。
【臥風】カナリヤや七草粥といった生活の情緒をとらえ、そこにほのかな抒情を見いだした一句。
【信之】ネクタイやタンスという、日常の場で季節と生活の触れ合う瞬間を描き、生活の実感を詠んだ一句。
【正子】蜻蛉が水に触れ、水に映る、その一瞬に生まれる光と動きの重なりを受け取り、自然がふっと姿を現す瞬間をしずかにとらえた一句。
(花冠No.375 7月号・コラム)
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