10月20日(5名)
多田 有花
芒揺れ光が揺れる風の午後★★★
音もなく木兎飛ぶや秋の森★★★
蔦紅葉石橋小さく彩りて★★★
小口泰與
一葉落つ山の御堂の主かな★★★
秋の雲野良犬ふつと消えにけり★★★
去る人の靴の音速き秋の暮★★★★
廣田洋一
曲がりくねる山道上り薄紅葉★★★
秋晴れの公園かける子らの声★★★
ミャクミャクの案山子も立てる見本市★★★
桑本栄太郎★★★
雨雲のとぎれあおぞら銀杏黄葉★★★
解けたる尾花の風にゆだねけり
トンネルの桜枝葉やうす紅葉★★★
土橋みよ
柿豊年三羽のヒヨの枝揺らし★★★
熟れ柿を啄むヒヨの目の澄めり★★★★
熟れ柿を啄むヒヨや空明かし★★★
10月19日(4名)
廣田洋一
菊の花一輪咲きし軒の下★★★
音立てて飛行機雲や秋深し★★★★
旧家の主自ら松手入れ★★★
小口泰與
秋の庭仏頂面のブルドック★★★
しずしずと雨音ありて秋深し★★★
肌寒や大きな空に水含む★★★
桑本栄太郎
引き返す朝の散歩や秋しぐれ★★★
虫食いとみどりもありぬ柿紅葉★★★
川ベリの小径被いぬ萩は実に★★★
多田 有花
子ら乗せる前のポニーは秋草を食む(原句)
子ら乗せる前のポニーの秋草食む(正子添削)
梛の葉や深まる秋に黄変す★★★
秋風の丘にたたずむアルパカの群れ★★★
10月18日(4名)
桑本栄太郎
<高速中国道>
秋空にクレーンの数基立上がる★★★
高速のバスの車窓や刈田晴れ★★★
<高速米子道>
見下ろせばはるか眼下や秋の里★★★
小口泰與
草津の湯くすぼる先の秋の月★★★
晩秋や我が前歩む我の影★★★★
文机に座れば見ゆる刈田かな★★★★
廣田洋一
法の庭あちらの木にも小鳥来る★★★
丹沢の尾根をけぶらす秋時雨★★★
粒ごとに雫をこぼす実紫★★★
多田 有花
ガラス越し雀の影や秋深し★★★★
空の青柿の柿色響きあう★★★
誠実に歩みし人よ野路菊へ★★★
10月17日(2名)
多田有花
艶やかな実を覗かせて栗の毬★★★
晩秋の始まり告げるこの黄色★★★
青空に黄花コスモス揺れる土手★★★
桑本栄太郎
<帰省の高速道車窓より>
山あいの稲穂伏せたる棚田かな★★★★
ハイウェイの明かりとなすや泡立草★★★
山畑の柿の色づく夢前町(ゆめさきちょう)★★★
10月16日(3名)
土橋みよ
長き夜手に贈られしアンソロジー★★★
若き友の話聞きつつ冬支度★★★
柿剥きて吊るせば夕陽に包まるる★★★★
多田 有花
ねこじゃらし銀の馬車道跡に揺れ★★★
ハナミズキの紅葉青空に透けて★★★
秋の蝶翅裏見せつつ蜜を吸う★★★
小口泰與
秋翡翠の背なに朝日の射しにけり★★★
ひるがえり太き腹見せ秋の鯉★★★
ふくよかに成る瓢のふくぶくし★★★
10月15日(3名)
多田 有花
パソコンを打つ手を止めてすがる虫★★★
ひつじ田の青々として陽を浴びぬ★★★★
黄落期始まっている大手門★★★
小口泰與
秋ばらの庭の見事や一礼す★★★
目礼の和服の人や梅擬★★★
枝垂れ木に集う雀や秋の雨★★★
上島祥子
碧色の葉に隠れ連く青銀杏★★★
日時計の目覚め待たるる秋の朝★★★
麻紐に括られて立つ葉鶏頭★★★★
10月14日(3名)
桑本栄太郎
あおぞらや鳩吹く風に吹かれ行く★★★★
花梨の実ごろり色づく道の辻★★★
迫り出して柿の色づく狭庭かな★★★
小口泰與
求愛の秋翡翠の仕草かな★★★
秋雨の中へ飛び立つ雀かな★★★
秋の森出できし人の笑顔かな★★★
多田 有花
天高し電子出版志す★★★
長き夜にファイル形式整える★★★
目次までようよう書き上げ灯火の秋★★★
10月13日(4名)
小口泰與
山宿の秋の囲炉裏を楽しみに★★★
やわやわな風に飛び出す稲雀★★★
「やわやわな風」がわかりにくいです。(髙橋正子)
蟋蟀の声のひろごる四畳半★★★
桑本栄太郎
山茱萸の赤き実となる葉蔭かな★★★
はらはらと解けて風に芒の穂★★★
弾けいて殻ばかりなる椿の実★★★
多田 有花
快晴の続きし後の秋曇★★★
秋深し友より届く新刊書★★★
更待の光見てのち床につく(原句)
「見てのち」が説明的で、詩情が薄いので、工夫が必要です。
更待の光見おさめ床につく(添削例①)
更待の光を胸に床につく(添削例②)
上島祥子
虫の音のさやかに続く夜の帳★★★
伸び切りのエノコロ揺れる風の朝★★★
遠雷の響きに崩るる人の波★★★
10月12日(3名)
廣田洋一
松手入れ師匠は高き所より★★★
秋うらら今日も散歩や同じ道★★★
栗飯や大きな栗を取り合いて★★★
小口泰與
秋深むひと日ひと日の駄句重ね★★★
秋の郷しとしおしずか子等居らず★★★
文机や秋の夕日の平らなる★★★★
桑本栄太郎
秋寒や鴉も鳴かぬ朝あける★★★
歩みゆきフィリリフィリリと昼の虫★★★
帽子脱ぎまろびて在りぬ櫟の実★★★
10月11日(3名)
桑本栄太郎
葉陰ゆれ姿みえざり小鳥来る(原句)
小鳥来る葉陰の揺れているばかり(正子添削)
「姿みえざり」が説明になっています。これが、詩を壊しているので、一つの方法として、写生をするとよいです。(髙橋正子)
山茱萸の実の色づきぬ川辺かな★★★
バザーより妻濡れ帰る秋しぐれ★★★
廣田洋一
秋時雨虚子と立子の句碑濡らす★★★
安産のお礼参りや実紫★★★
レインコート着こみて立てる案山子かな★★★
小口泰與
秋夕日ひたと浅間の山巓に★★★
ひたすらに駄句の浮かびし秋の夕★★★
利根川の流れ穏やか赤とんぼ★★★
小口泰與
片雲の秋風に乗り消えにけり★★★
山の秀へ朝日差しけり運動会★★★
山風や秀つ枝下枝に青蜜柑★★★
桑本栄太郎
秋薔薇の真紅咲きたる狭庭かな★★★
川べりに沿いて明るき泡立草★★★
青柚子と云えどこぼれる塀の外★★★
上島祥子
学校の始業のチャイムや秋澄めり★★★★
積み上がる母の着物や秋の暮★★★
秋麗入れての声は元気よく★★★