★囀りの抜け来る空の半円球 正子
遮るものもない、丸く大きな青空から囀りが聞こえてくる。何処からだろうか。声だけで姿は見えない。まるで遥か高みから空を通り抜けてくるようだ。・・・静かで揺るぎない春のひと日を感じることが出来ます。(小西 宏)
○今日の俳句
ひとつずつ地に触れ消える春の雪/小西 宏
春の雪の降る行方を見ていると、雪片は一つずつ地に触れて消えてゆく。水分を多く含んだ春の雪の美しくも儚い様子。(高橋正子)
●気温が上がって、ベランダの花がよく咲きだした。だのに水切れの鉢も。萎れた花には特にたっぷりと水をやる。鉢の水切れは、つまらない忙しさが続いたため。
朝日の日曜俳句の選者に金子兜太が消えたまま。次の人がでてきたのがこれまでであったが、どうなってるのだろう。
○菫(すみれ)

[菫/横浜日吉本町]
★花すもも散るや夜道の片側に 正子
夜の静けさに、らんまんと咲いたすももの花の、雪のようにはらはらと散るさまが美しいかぎりです。夜道の片側にこぼれる、花すもものひそやかな情景に、春の夜の淡く柔らかな空気感も伝わってまいります。(藤田洋子)
○今日の俳句
桃の花馴染みの声の店先に/藤田洋子
桃の花が店に活けてある。店先に馴染みの声が聞こえて、「あら」と思う。桃の花には、気取らない、明るい雰囲気があるので、「馴染みの声の店先に」言ってみるのだ。日常の一こま。(高橋正子)
●晴れ。ゆうべの風が運んだ埃で物干し竿もベランダの手すりも誇りまみれ。春埃とはよく言ったもの。
春埃の手すり歳月かく過ぎぬ 正子
更地なりラッパ水仙残さるる 正子
ネット短信No.345発信。
俳壇4月号の秀之さんの句をコピーし会員に郵送。
○辛夷(こぶし)

[辛夷/横浜都筑区緑道ふじやとの道]
★花すもも散るや夜道の片側に 正子
夜の静けさに、らんまんと咲いたすももの花の、雪のようにはらはらと散るさまが美しいかぎりです。夜道の片側にこぼれる、花すもものひそやかな情景に、春の夜の淡く柔らかな空気感も伝わってまいります。(藤田洋子)
○今日の俳句
桃の花馴染みの声の店先に/藤田洋子
桃の花が店に活けてある。店先に馴染みの声が聞こえて、「あら」と思う。桃の花には、気取らない、明るい雰囲気があるので、「馴染みの声の店先に」言ってみるのだ。日常の一こま。(高橋正子)
●曇りのち雨。雨のあと急に寒さがもどる。
現代俳句協会神奈川県支部の事務局長、尾崎さんから電話。3月25日の総会に新会員として紹介していただけるとのこと。11時30分までに神奈川県民センターに。
○辛夷(こぶし)

[辛夷/横浜都筑区緑道ふじやとの道]
★花丈の揃い真白なシクラメン 正子
シクラメンと言えば紅やピンクと思っていましたが白はたいへん珍しく思います。その白いシクラメンがプランターにでも植えられているのでしょう。思い浮かべて清らかな気持ちになりました。(黒谷光子)
○今日の俳句
下萌えの足裏にやさし池巡る/黒谷光子
池の土手を巡りながら、足裏に柔らかさを感じる。土手はもう下萌えている。足裏より全身に伝わる柔らかさが春の訪れを実感させている。
(高橋 正子)
●きのうより一段と暖かい。もう春なのだ。午後から曇る。
子ども俳句の髙橋成哉くんが神戸大学に合格。お祝いに図書カードを送る。成哉くんは幼稚園のときからずっと作り続けている。髙橋3兄弟の長男。受験中も休まず、はっとするような句を作って書き込んでくれた。さすがです。大人俳句の仲間入りを期待。大学の知名度をいうわけではないが、花冠の子ども俳句からは、東大はじめ有名大学に進んだ子供たちが大勢いる。ものを見る目、継続し努力する力の一部を俳句が養ったことは間違いないと思う。
俳句界5月号の結社広告の原稿をメールする。担当が、家氏千里さんから、伊藤友紀恵さんに代わる。
俳壇4月号が届く。花冠の髙橋秀之さんの「鰤しゃぶ」5句が「卯月の作品」のページに掲載された。
句美子が「俳壇5月号」の掲載予定の俳句を5句送ったと連絡あり。
○山茱萸(さんしゅゆ)

[山茱萸/横浜・四季の森公園]
★真っすぐな日の差すところ蕗のとう 正子
寒さが残るころ、日の差す方に蕗の薹が見えている。蕗の薹を見つけて春がそこに来ていることを喜んでいる詠者です。(祝恵子)
○今日の俳句
初摘みの土筆を持ちて病室へ/祝恵子
入院していれば、季節のもの、戸外のものがうれしい。初摘みの土筆に春が来たことが共に喜べることであろう。(高橋正子)
●気温が20度を超える。この前までの寒さはどこに行ったか。
髙橋信之全句集を来年の5月28日の誕生日にあわせて出版する。編集長さんと自宅で打ち合わす。
体裁と価格が決まる。年末までに新原稿を入稿。
○オキザリス(カタバミ科カタバミ属)

[オキザリス/横浜日吉本町(2013年3月10日)]_[かたばみ/横浜日吉本町(2011年5月13日)]
★オキザリス雨の茶房に人在らず/中谷朔風
★オキザリス野生育ちの強きこと/豊岡重翁
★石垣の裾に朝日のオキザリス/高橋正子
★雨降りのオキザリスなりみな蕾/高橋正子
★掘り起こされ芋きらめかすオギザリス/高橋正子
オキザリス(学名:Oxalis corymbosa(紫カタバミ)、Oxalis articulata(芋カタバミ))は、カタバミ科カタバミ属。世界中に800種類以上が分布する植物です。日本にもクローバーとよく間違われるカタバミ〔O.corniculata〕をはじめ、5種ほどが自生しています。花を咲かせて枯れてしまう一年草と、毎年花を咲かせる多年草があります。 球根を作るものや、低木になる種も知られています。世界中の色々な地域に分布しているだけに、地域によって様々な形態や性質をとり、開花期、草姿、花色、大きさなどは様々です。オキザリスだけで一年を途切れさせずに季節ごとに花を楽しむことができそうな気がします。花は筒状で、先端が数枚の花びらに分かれています。花は温度や光に敏感で、つぼみは日が射しているときは開きますが、天気の悪い日や夜は閉じています。また、日が当たっても温度の低いときは開きません。オキザリスの名前はギリシア語で「酸性」を意味するオクシス(oxys)に由来し、葉や茎にシュウ酸を含み酸っぱいところにちなみます。カタバミの葉っぱで10円玉をこすると黒ずみがとれてぴかぴかになるのは、このシュウ酸のせいです。園芸では地中に球根を作る種が主に栽培されており、球根植物として扱われることが多いです。特に南アフリカ原産種が多いです。栽培上は「春植え」と「夏・秋植え」に分けることもあります。
よく見かけるのは「紫カタバミ」と「芋カタバミ」だが、両者区別しにくい。両者ともピンク色の花びらで、紫カタバミは、花びらの中央がうすいピンク、芋カタバミは、花びらの中央が濃いピンク。花言葉は「喜び、母親の優しさ」。似ている花は、現の証拠、酢漿草(かたばみ)。似ている葉は、白詰草(クローバー)。
◇生活する花たち「桃の花蕾・藪椿・梅」(横浜日吉本町)

★春砂をゆきし足跡は浅し 正子
磯遊びなのか?或いは砂浜をお歩きになられたのか?後ろを振り返って見ると足跡の浅さに春の柔らかさを感じ取られたのでしょう。夏は沢山の人達の足跡が交差し賑やかさが有りますが、未だ人影も少なく、渚に打ち返す静かな波の音、さらさらとした美しい浅春の砂浜を想起致します。(佃 康水)
○今日の俳句
包み紙少し濡れいて蕗の薹/佃 康水
蕗の薹を包んでいる紙がうっすらと濡れている。朝早く採られた蕗の薹だろうか。蕗の薹の息吹であろうか。しっとりとした命の、春みずみずしさがある。(高橋正子)
●急に暖かくなる。近所の白木蓮が一斉に開花。
午前中そごうへ買い物。ワイングラスと珈琲スプーンを買う。ワイングラスは赤白両用の手ごろなボヘミアクリスタル。
脚がなくてひっくり返す危険がない。
○土佐水木(とさみずき)

[土佐水木/横浜日吉本町]
★土佐みづき山茱萸も咲きて黄をきそふ/水原秋桜子
★峡空の一角濡るる土佐みづき/上田五千石
★重い口開きたるかな土佐水木/遊歩
★大海の荒波見やる土佐水木/かるがも
★花揺らぎ潮の香りや土佐水木/かるがも
★料峭の空気の色に土佐水木/高橋正子
土佐水木(とさみずき、学名:Corylopsis spicata)は、マンサク科トサミズキ属。落葉低木。四国の山中に自生、また庭木とされている高さ2mほどである。高知(土佐)の蛇紋岩地に野生のものが多く見られるため、この名前がついている。また、葉の形がミズキ科の樹木と似てところからミズキといわれている。3-4月に葉に先立って短枝に明るい黄色の花を咲かせ、花穂は長く伸びて7輪前後の花をつける。レンギョウやマンサクと同様、江戸時代から庭木や盆栽、切り花として親しまれている。葉はまるっこい卵円形で、裏面は粉をふったように白っぽく毛がある。実は緑色で、熟すと中から黒い種子が出る。また海外へは19世紀、シーボルトにより紹介された。病害ではうどんこ病、虫害ではカイガラムシ類、テッポウムシなどによる被害がある。日向水木と比べて、一房の花の数が多くて花も大きい。土佐水木の仲間に支那水木がある。
◇生活する花たち「紅梅・赤花満作・山茱萸(さんしゅゆ)」(横浜・四季の森公園)

★片寄せに雪の残りて月おぼろ 正子
道路の除雪跡なのでしょうか。地面には片寄せされた雪が残っているけれど、夜空は、もう、おぼろながらも月があらわれ、幻想的な光景が感じられる夜となりました。(高橋秀之)
○今日の俳句
春暁の新しき水仏前に/高橋秀之
春の暁は、華やいだ感じはするが、空気がしんと冷えている。仏前に線香をあげ、汲みたての水をあげる。そこに充足した緊張感が生まれている。(高橋正子)
●美知子さんから松山銘菓六時屋のタルトが届く。久しぶりの六時屋タルト。六時屋は手作りで松山では六時屋が一番。オランダ人が伝えたもの。オランダ人が伝えたものは、餡ではもちろんなく、ジャムだったそうだ。ジャムのロールケーキ様のもの。
雪割一華(ゆきわりいちげ)

[雪割一華/東京白金台・自然教育園(2014年3月11日]
★春浅き一華うすうす紫に/高橋信之
雪割一華(ユキワリイチゲ)はキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草である。日本固有種である。本州の滋賀県から九州にかけて分布し、林の中や渓流沿いなどに生える。
「雪割」は早春植物を意味し、「一華」は一茎に一輪の花を咲かせるという意味である。草丈は20から30センチくらいである。根際から生える葉は3小葉からなる。小葉は三角状の卵形でミツバの葉に似ていて、裏面は紫色を帯びる。茎につく葉は茎先に3枚が輪のようになって生える(輪生)。
開花時期は3月から4月である。花の色は白く、淡い紫色を帯びている。花びらは8枚から12枚くらいである。ただし、花弁のように見えるのは萼片である。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
花言葉は「幸せになる」である。属名の Anemone はギリシャ語の「anemos(風)」からきている。種小名の keiskeana は明治初期の植物学者「伊藤圭介さんの」という意味である。圭介はオランダ商館のシーボルトのもとで植物学を学んだ。学名:Anemone keiskeana (「花図鑑・雪割一華/龍 2010年3月14日」より)
◇生活する花たち「シナマンサク・マンサク・猫柳」(東大・小石川植物園)

★蕎麦に摺る山葵のみどり春浅し 正子
早春の芽吹くものは殆どさみどりのものが多く、暖かい春への希望の色である。しかし時には寒の戻りの寒さもあり、寒暖定まらぬ早春の気候を山葵を通して情趣豊かに詠われた。 (桑本栄太郎)
○今日の俳句
京都四条~祇園界隈
建仁寺塀の高みの藪椿/桑本栄太郎
建仁寺塀は竹の塀で美しい。丈高く組まれることが多いが、その塀の上に覗く藪椿が自然の様で風趣がある。(高橋正子)
●春らしい陽気。クロッカスの白がたくさん開く。黄色、紫、薄紫、白の順番に開いた。スーパーで買った球根とは思えない。
3月月例ネット句会開催。
子ども俳句のブログに髙橋成哉君が、神戸大学に合格の書き込み。、今朝秀之さん宅に電話しお祝いを言う。本人は外出のようだった。それはそうでしょう。
右手の打撲はほとんど腫れが引いた。句会の進行を見ながら、掃除、片付け。
○土筆

[土筆/横浜日吉本町] [土筆/横浜・四季の森公園]
★土筆煮て飯くふ夜の台所/正岡子規
★土筆摘む野は照りながら山の雨/嶋田青峰
★土筆野やよろこぶ母につみあます/長谷川かな女
★子のたちしあとの淋しさ土筆摘む/杉田久女
★土筆伸ぶ白毫寺道は遠いれど/水原秋桜子
★白紙に土筆の花粉うすみどり/後藤夜半
★土ふかき音もたつなる 土筆摘む/皆吉爽雨
★まま事の飯もおさいも土筆かな/星野立子
★土筆なつかし一銭玉の生きゐし日/加藤楸邨
★山姥の目敏く土筆見つけたり/沢木欣一
★土筆摘む強腰にしてひとりもの/青柳志解樹
ツクシは、正しくは「杉菜(すぎな)」の胞子茎(ほうしけい)というもので、「付子」とも書く。
スギナ(杉菜、学名:Equisetum arvense)は シダ植物門トクサ綱トクサ目トクサ科トクサ属の植物の一種。日本のトクサ類では最も小柄である。浅い地下に地下茎を伸ばしてよく繁茂する。生育には湿気の多い土壌が適しているが、畑地にも生え、難防除雑草である。
春にツクシ(土筆)と呼ばれる胞子茎(または胞子穂、胞子体)を出し、胞子を放出する。薄茶色で、「袴(はかま)」と呼ばれる茶色で輪状の葉が茎を取り巻いている。丈は10-15cm程度。
ツクシ成長後に、それとは全く外見の異なる栄養茎を伸ばす。栄養茎は茎と葉からなり、光合成を行う。鮮やかな緑色で丈は10-40cm程度。主軸の節ごとに関節のある緑色の棒状の葉を輪生させる。上の節ほどその葉が短いのが、全体を見るとスギの樹形に似て見える。なお、ツクシの穂を放置すると、緑色を帯びたほこりの様なものがたくさん出て来る。これが胞子である。顕微鏡下で見ると、胞子は球形で、2本の紐(4本に見えるが実際は2本)が1ヵ所から四方に伸びている。これを弾糸という。この弾糸は湿ると胞子に巻き付き、乾燥すると伸びる。この動きによって胞子の散布に預かる。顕微鏡下で観察しながら、そっと息を吹きかけると、瞬時にその形が変化するのをみることが出来る。また、「ツクシ」は春の季語である。
◇生活する花たち「福寿草・節分草・榛の花」(東京白金台・自然教育園)

★受験子の髪ふっくらと切り揃う 正子
受験子は女の子でしょう。切り揃えた髪が肩の上で揺れます。清潔なたたずまいが浮かんできます。(多田有花)
○今日の俳句
弁当を誰か広げている梅林/多田有花
「誰か」がいい。梅の花を楽しみながら静かに弁当と広げている。静かに日差している梅林を思う。
●朝は気温が低いが昼からは暖かくなりそうなので、午後1時から白金台の自然教育園に出掛けた。水生植物園に来ると、温かで、土筆が出ていそうな日差し。目を凝らすと、やはり土筆が出ている。ここに2本、向こうに3本という感じだ。花は
雪割りいちげ、菊咲いちげ、アマナ、片栗の蕾、春蘭、藪椿、ウグイ蔓。むさしあぶみが筍のような感じで芽をのぼしていた。雑木が葉を落としているので、森の中に日がよく当たって明るい。枯草が刈られて、野が平ら。芽生えた草はまだ短い。野茨が芽吹いている。うすい黄土色のプラスチックのカプセルに入ったような患子の実がたくさん落ちている。
目黒線の目黒駅構内で佐賀の小城ようかんと、熊本の蓮根せんべいからし味を買う。蓮根せんべいは、からし蓮根そのもの。小城羊羹と、今日は売っていないが山口の外郎は、愛着のお菓子。山口の外郎があれば絶対買う。
同人誌「遊牧」の塩野谷仁氏から第8句集『夢祝』(邑書林刊)が届く。信之先生宛。「夢祝」は初夢で吉凶を占うこと。宝船の型押しした表紙カバー。「今は昔のけむり真っ白夢祝」からの命名。句の意味は分かりそうで私にはわからない。
「今は昔のけむり真っ白」と「夢祝」の関係に句意を解する手掛かりがない。あるとする人は良い解釈がうまれるだろうが、恣意的解釈になるのではと思う。不即不離の問題だろう。
春の日の真上より差す森歩く 正子
森の路踏むは春の日を踏むに 正子
真みどりに芽吹く野茨水に触れ 正子
遠きところアマナの花の群生す 正子
かたくりの固き蕾につい屈み 正子
○ミモザ(銀葉アカシア)

[ミモザ/横浜日吉本町(左:2014年2月28日)・右:2011年3月27日)]
原義のミモザは、マメ科オジギソウ属の植物の総称(オジギソウ属のラテン語名およびそれに由来する学名がMimosa)。ミモザ(英: mimosa、独: Mimose)は、本来はマメ科の植物であるオジギソウを指すラテン語名。葉に刺激を与えると古代ギリシアの身振り劇ミモス”mimos”(マイム、パントマイムの前身)のように動くことからこの名がついた。ラテン語本来の発音はミモサ、英語発音はマモゥサあるいはマイモゥサとなり、日本語のミモザはフランス語発音に由来する。
ミモザは、フサアカシア、ギンヨウアカシアなどのマメ科アカシア属花卉の俗称。イギリスで、南フランスから輸入されるフサアカシアの切花を”mimosa”と呼んだ事から。アカシア属の葉は、オジギソウ属の葉によく似るが、触れても動かない。しかし花はオジギソウ属の花と類似したポンポン状の形態であることから誤用された。今日の日本ではこの用例がむしろ主流である。鮮やかな黄色で、ふわふわしたこれらのアカシアの花のイメージから、ミモザサラダや後述のカクテルの名がつけられている。
◇生活する花たち「桃の花蕾・藪椿・梅」(横浜日吉本町)

★蕎麦に摺る山葵のみどり春浅し 正子
蕎麦の薬味にしようと山葵を擂る。その淡い緑に、迎えたばかりの春をそっと感じる。清流の音が聞こえてきそうな爽やかさです。(小西 宏)
○今日の俳句
海鳴りを柔らかに聞く春の浜/小西 宏
春の浜で沖を見やりながら聞く海鳴りは柔らかい。この柔らかな海鳴りに、寒さから解き放たれた春のうれしさが読める。(高橋正子)
●雨は上がる。暖かいく湿度がかなり高い。
○沈丁花

[沈丁花/横浜日吉本町]
★沈丁の四五花はじけてひらきけり/中村草田男
★沈丁やをんなにはある憂鬱日/三橋鷹女
★にはとりの置去り卵沈丁花/皆川盤水
★沈丁の風にころがる鉋屑/高橋将夫
★風下のベンチまた空く沈丁花/木暮陶句郎
★ポストヘの道沈丁の香にも寄り/藤田宏
★沈丁や気おくれしつつ案内乞ふ/星野立子
日本に栽培されているものは中国原産の常緑灌木で、高さい・5メートルに達し、生垣や庭先に植えられたものが多い。花は内面部が白く、外面が紫がかった桃色で、香気が強い。早春まだうそ寒い頃、または淡雪の下、夜気にこの花が匂うのは印象深い。
赤紫色の蕾が弾けると、内側の白い部分が表れて好対照をなす。うそ寒いころの、その香気が好きなために植えられる花であるかもしれない。砥部の庭にも門脇に一本あった。冷たい空気とともに吸うその香りは、肺深く入りこんで、今年も卒業や旅立ちの季節が来たなと思う。田舎の家の庭先にもよく植えられて、子供の間でも沈丁花が咲いたと話題になった。「じんちょうげ」というあの花くらいの重さの音が今も耳に残っている。
★沈丁の香の澄む中に新聞取る/高橋正子
★雪解けの雪が氷れる沈丁花/高橋正子
ジンチョウゲ(沈丁花)とは、ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木。チンチョウゲとも言われる。漢名:瑞香、別名:輪丁花。 原産地は中国南部で、日本では室町時代頃にはすでに栽培されていたとされる。日本にある木は、ほとんどが雄株で雌株はほとんど見られない。挿し木で増やす。赤く丸い果実をつけるが、有毒である。花の煎じ汁は、歯痛・口内炎などの民間薬として使われる。
2月末ないし3月に花を咲かせることから、春の季語としてよく歌われる。つぼみは濃紅色であるが、開いた花は淡紅色でおしべは黄色、強い芳香を放つ。枝の先に20ほどの小さな花が手毬状に固まってつく。花を囲むように葉が放射状につく。葉は月桂樹の葉に似ている。
沈丁花という名前は、香木の沈香のような良い匂いがあり、丁子(ちょうじ、クローブ)のような花をつける木、という意味でつけられた。2月23日の誕生花。学名の「Daphne odora」の「Daphne」はギリシア神話の女神ダフネにちなむ。「odora」は芳香があることを意味する。花言葉は「栄光」「不死」「不滅」「歓楽」「永遠」。
◇生活する花たち「紅梅・赤花満作・山茱萸(さんしゅゆ)」(横浜・四季の森公園)
