◆ご挨拶/11月ネット句会◆


◆11月ネット句会◆
ご挨拶(高橋正子/主宰)

11月句会にご参加くださいまして、ありがとうございました。入賞の皆様おめでとうございます。
立冬を過ぎ、朝晩はすっかり冬と言えるようになりました。温かいお風呂や、炬燵が嬉しくなりました。一週間ほど前、久しぶりに大船の植物園に出かけましたら、菊花展がありました。冬桜や山茶花、石蕗の花も沢山咲いておりました。薔薇園も秋の薔薇がちょうど見ごろ。普段俳句を作るには、何でもないような所から海が見えたり、ちょっとした小川があったり、窓から木の葉が揺れるのが見えたりするのが一番よいように思いました。句会では、みなさんの句から、今日は何をされたのかな、どこへ行かれたのかななど思って、楽しさをおすそ分けいただいています。秀之さんの句に、みかんを箱で買って自転車に乗せて帰るというのがありましたが、みかんどころの愛媛にいるときは、そんなこともしていたな、と思い出しました。日常生活には楽しいことが沢山あるというのは本当でしょう。句会の度にそれを実感します。今月も句会の管理・運営は信之先生、集計は洋子さんにお願いいたしました。いつもお世話をありがとうございます。これで11月句会を終わります。

次回12月の月例ネット句会は、「漱石忌ネット句会」として12月9日(火)に行う予定です。詳細は追ってお知らせいたします。
多くの方のご参加をお待ちしています。

11月ネット句会入賞発表■

■11月ネット句会■
■入賞発表/2014年11月12日■

【金賞】
★清純な空の青さに小鳥来る/井上治代
「小鳥来る」ころの空の青さを「清純」と感じたのはユニーク。小鳥のかわいらしさがそう感じさせたのか。清新な青空を渡って来た小鳥が愛おしい。(高橋正子)

【銀賞2句】
★錦秋の雑木もみじに風どっと/小川和子
「風どっと」が生きている。雑木もみじの様々な色を吹き、揺るがせる風の大いなること。読めば、読み手をも風が大きく包んでくれるような気持になれる。(高橋正子)

★頂きし小さき種はハンカチに/祝恵子
植物の好きな近所の人と立話をしていて種をもらったのだろう。小さいので、ハンカチを取り出して、ハンカチに包んだ。気持が優しく、可愛らしささえある仕草。(高橋正子)

【銅賞3句】
★いきいきと立冬の朝の挨拶を/迫田和代
大変、はきはきとした句。立冬の朝を迎え、きびきびとした冬が来て、なんだか嬉しくなっている。朝の挨拶もいきいきと気持よく交わされる。(高橋正子)

★軒下に光集める吊るし柿/古田敬二
軒下の吊るし柿は、簾のようになって、暗かった軒下が柿の色で明るくなる。青空の日が当たると、まさに光を集めて輝くのだ。(高橋正子)

★初冬のメロディー報らす湯張りかな/桑本栄太郎
初冬のころは温かい風呂が恋しい。バスタブに湯が適量張られると、音楽で報せてくれる器具がある。「お風呂が沸いたよ」という、そのメロディーが何とも楽しい。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★初冬のメロディー報らす湯張りかな/桑本栄太郎
お風呂の湧きあがりを軽快なメロディーに知る現代の暮らし。寒さに向かいますが、「初冬の」の季語もよく効いて冬の日もあたたかです。 (小川和子)

★軒下に光集める吊るし柿/古田敬二
山里の吊るし柿ほど、澄んだ青空に似合うものはないと思います。あの明かるさに出会う度、しばし呆然と立ち尽くしてしまいます。光集めるという表現は、その輝かしさを見事に言い切っていらっしゃるように思います。 (福田ひろし)

★りんどうの一輪がよく陽にあたる/高橋句美子
清楚かつくっきりと力強いリンドウがいっぱいに陽を受けている。リンドウは地の恵みであり陽は天からの賜りものだ。 (小西 宏)

★日当たりの朝餉嬉しく冬に入る/桑本栄太郎
「冬に入る」季節となれば、「朝餉」の刻の日差しは、室内の奥へと伸びて、「日当たり」のいい「朝餉」となる。家族の会話も嬉しく、楽しい「朝餉」だ。季語「冬に入る」が生活と深く結びついて、いい生活句となった。(高橋信之)

★いきいきと立冬の朝の挨拶を/迫田和代
★頂きし小さき種はハンカチに/祝恵子
★清純な空の青さに小鳥来る/井上治代
★錦秋の雑木もみじに風どっと/小川和子

【高橋正子特選/8句】
★枯れてゆくさまの残菊薫りけり/小川和子
盛りの菊の薫りは勿論ですが、枯れてゆく菊にも薫りが残っている。花の生命力を思います。 (祝恵子)

★箱買いのみかんを荷台に自転車漕ぐ/高橋秀之
冬に入り、食後にお八つにいつも手元にあれば食べるみかんです。箱ごと買って持ち帰れば、子供たちの喜ぶ顔が目に浮かぶ事でしょう。 (桑本栄太郎)
冬になって、いよいよ蜜柑のシーズン。ご家族のために箱ごと買って、自転車の荷台に乗せ家へ持ち帰る。待ちわびるご家族の方々の笑顔も楽しく思い浮かべられます。 (小西 宏)
家族のための箱買いしたみかん。喜ぶ皆の姿を思いながらの、楽しい自転車での帰りです。 (祝恵子)

★いきいきと立冬の朝の挨拶を/迫田和代
★頂きし小さき種はハンカチに/祝恵子
★秋高し心が先に歩き出す/高橋信之
★軒下に光集める吊るし柿/古田敬二
★清純な空の青さに小鳥来る/井上治代
★錦秋の雑木もみじに風どっと/小川和子

【入選/9句】
★小雨のち晴れの週末おでんの香/福田ひろし
立冬ともなると晴れていても暖かくはない。まして雨が降ったあとは・・・ そんな夕餉におでんは嬉しい。  作っている時からするあの独特匂いのが堪らない。(内山富佐子)

★秋深む終着駅の箱根から/高橋句美子
晩秋、秋の気配が濃く趣が深まった小田急の終点箱根に着いて、まずはゆっくり温泉に入って英気を養ってから紅葉見学でも、と考えている作者。素晴らしい日をお過ごしになるのでしょう。 (小口泰與)
小田急線箱根行きの電車に乗り終着駅に着いてみれば、辺りはすっかり錦秋の光景である・・・。さてこれから、散策の始まりを・・とも想われ、上・中・下のそれぞれの語句から深まりゆく秋の光景へと、作者の心が動き行く様子が窺がえ素晴らしい。終着駅との措辞が効いている。(桑本栄太郎)

★土手を歩く小春の風と陽をまとい/小川和子
小春日の清々しい季節感を感じながら土手道を歩くのは、とても気持ちの良いことでしょう。 (高橋秀之)

★池の面の黄のさ揺らぐや石蕗の花/佃 康水
水辺に好んで群生する石蕗の花ですが、その黄色い花が池の面に映って頼りなげに風にゆれている。初冬の穏やかで優美な詠みが魅力です。「さゆらぐ」がいいですね。 (河野啓一 )

(故郷の山・妙高山を読む)
★立冬や妙高山の仁王立ち/ 内山富佐子
立冬を迎える頃は日の光も急に弱まり日脚も短く寒さのつのる厳しい季節になって参ります。立冬と百名山の一つ妙高山の仁王立ちとの取り合わせにより寒さに向かう一層の緊張感を感じさせ、大自然の中の堂々とした景が見えて参ります。 (佃 康水)

★雑木黄葉の窪地に鳥の声満つる/小西 宏
初冬となり、殆どの樹木が錦秋の光景です。窪地(谷地?)の中であってもそこだけは限られた明るい別天地となり、鳥達がが元気に謳歌している。 (桑本栄太郎)

★初冬のマルシェに求むフランスパン/河野啓一
晩秋から初冬になっても、日々の生活は淡々としていて変わらない。しかし、硬目のフランスパンは初冬に相応しいかも知れず、それをマルシェに求め袋からはみ出させて帰る光景は、如何にも洒落た感性である。 (桑本栄太郎)

★萩の寺に句碑見に行かん今朝の冬/矢野文彦
萩の花がまだ残っているかもしれない寺の句碑を見にきたくなった初冬の朝の作者。句碑がある萩寺と言えば、私にも懐かしい寺でもあります。 (祝恵子)

★冬ばらのみず枝をつつむ朝日かな/小口泰與
薔薇を大切に育てておられる泰與さん。薔薇の茎から、紅の柔らかなみず枝がすっと伸び、朝日が暖かく包んでいる。薔薇への細やかな愛情が感じられる。(高橋正子)

■選者詠/高橋信之
★秋高し心が先に歩き出す
晴れ渡った秋の空の下へ出かけようとする時、足より先に心が歩きだすという。心の充実感があふれだしそうにいきいきとした句。(古田敬二)
理屈でなく、言葉もなく、ただただ心と体が一緒になって歩き出す。そんな、高く澄んで大らかな秋空だったのだ。 (小西 宏)

★台風来つつありパソコン画面の緊張
★台風の眼がある今日のパソコンに

■選者詠/高橋正子
★冬はじめ一人紅茶の湯気たのしむ
まだ浅い冬のひと日にあるとは、どのようなことだろうか。とりたてての感慨があるわけではない。ただゆったりとした時の流れ。ほんの少し、冷めた空気を間接的に感じることがあるだけ。 (小西 宏)

★温室のブーベンビリアの楽園へ
大船フラワーセンターの句。「冬はじめ」の季節であったが、室外の季節とは違った冬の「温室」で、南の楽園を思わせるブーベンビリアが色とりどりの花を咲かせていた。(高橋信之)

★山茶花の花はたとえば二年生

■互選高点句
●最高点(6点)
★軒下に光集める吊るし柿/古田敬二

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)

※コメントのない句にコメントをお願いします。

◆11月ネット句会清記◆


■11月ネット句会■
■清記/17名51句

01.冬ばらのみず枝をつつむ朝日かな
02.冬ざれの一朶の雲のはやきかな
03.山道の落葉にすべる小犬かな
04.日当たりの朝餉嬉しく冬に入る
05.切干の笊に日当たるテラスかな
06.初冬のメロディー報らす湯張りかな
07.誰も居ぬコート落ち葉の演舞場
08.銀杏黄葉ほとばしる色ここに在り
09.立冬や妙高山の仁王立ち
10 青い空紅葉紅葉の間から

11 香につられつましくおける菊花展
12 いきいきと立冬の朝の挨拶を
13 カルデラの裂け目に立ちて冬来る
14 小雨のち晴れの週末おでんの香
15 さらさらと湯と流る来る落ち葉かな
16 頂きし小さき種はハンカチに
17 我が街も銀杏並木の黄が続く
18 晶子の碑色づく落葉に囲まれて
19 神おわす山くっきりと今朝の冬
20 楯のごと湖面に迫る峡紅葉

21 池の面の黄のさ揺らぐや石蕗の花
22 雑木黄葉の窪地に鳥の声満つる
23 土柔らか黄金落ち葉に陽の眩し
24 道掃くも午後の楽しみ彩落葉
25 温室のブーベンビリアの楽園へ
26 冬はじめ一人紅茶の湯気たのしむ
27 山茶花の花はたとえば二年生
28 秋深む終着駅の箱根から
29 温泉に紅葉落ち浮く湯気の中
30 りんどうの一輪がよく陽にあたる

31 秋高し心が先に歩き出す
32 台風来つつありパソコン画面の緊張
33 台風の眼がある今日のパソコンに
34 初冬のマルシェに求むフランスパン
35 谷紅葉まっかに燃えて瀬音かな
36 立冬の湖を背にして彦根城
37 軒下に光集める吊るし柿
38 ちりじりに分かれることが鰯雲
39 蒼天に漆紅葉の鮮やかに
40 清純な空の青さに小鳥来る

41 秋天へ工事現場の音高し
42 いけばな展苔むす古木堂々と
43 枯れてゆくさまの残菊薫りけり
44 土手を歩く小春の風と陽をまとい
45 錦秋の雑木もみじに風どっと
46 落葉舞う音のかそけき後の月
47 柿熟れて背景の空よそよそし
48 萩の寺に句碑見に行かん今朝の冬
49 黄葉の真っ直ぐ連なる御堂筋
50 齧りかけの林檎がひとつ皿の上

51 箱買いのみかんを荷台に自転車漕ぐ

◆互選のご案内◆
①選句は、清記の中から5句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、11月11日(火)午後8時から始め、同日(11月11日)午後12時までに済ませてください。
③選句の投稿は、下のコメント欄にご投稿ください。
※1) 入賞発表は、11月12日(水)正午
※2) 伝言・お礼等の投稿は、11月12日(水)正午~11月13日(木)午後6時です。

11月ネット句会のご案内

◆11月ネット句会のご案内◆
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠IDをお申し込みの上、取得してください。
②当季雑詠(秋か冬の句)計3句を下の<コメント欄>にお書き込みください。
③投句期間:2014年11月7日(金)午前6時~11月11日(火)午後6時
④選句期間:11月11(火)午後6時~11月11日(火)午後9時
⑤入賞発表:11月12日(水)正午
※投句を受け付けています。