3月11日~20日

3月20日(5名)
古田敬二
豌豆の花に白蝶同化する★★★
全身に陽を受け伸びる楤若芽★★★★
棒のような楤の木に若い芽が出ていて、その芽を掻いて食用にするが、そのの若芽は、山畑で全身に陽を受けて伸びている。全身に陽を受けて伸びる健やかさがいい。(高橋正子)
そら豆の風に揺られて実を育て★★★

小口泰與

黄水仙の群川風に哄笑す★★★
残雪の渓流遡上魚の影★★★
葦の芽や源流の水きららなり★★★★

廣田洋一
ぽつぽつと白く光れる桜かな★★★★
木蓮や散りし花弁白々と★★★
残雪の高く積まれし北の宿★★★

桑本栄太郎
菜の花や甍きらめく山の里★★★
百幹の竹の奏づる彼岸西風★★★
黒き目のまなこ見栄え切る豆の花★★★★

多田有花
<平等院三句>
木瓜の花ここより宇治の平等院★★★
宇治抹茶ソフトを舐める春の昼★★★
池に影映す彼岸の鳳凰堂★★★★

3月19日(4名)

小口泰與
蕗味噌を当てに独りの宴かな★★★
かたかごや遺跡の丘へなだれ咲き★★★
水草生ふ水の惑星太古より★★★★

廣田洋一
青空にひらひら舞へる辛夷かな★★★★
枝垂桜見上げる花の一二輪★★★
山裾の光を染めし桜の芽★★★★

多田有花
<大谷本廟三句>
円通橋ハクモクレンに迎えられ★★★
花で描く和顔愛語や彼岸寺★★★
彼岸会の読経聞くなり無量寿堂★★★

桑本栄太郎
山と言う名前あれども初桜★★★
 春潮のはるか遠くに隠岐の島★★★★

この句は、春潮と隠岐の島が醸す情緒がかなめ。隠岐の島は、島根県の北80kmにある。古く遠流の島として、また自然がそのま残る島として眺めれば、どんな思いになるだろう。「はるか遠くに」に作者の思いがある。(高橋正子)

父母の墓遠くに想う彼岸かな★★★

3月18日(4名)

小口泰與
薇の三和土に干され婆の顔★★★
かたかごや万葉集の三毳山★★★
 春蘭や源流の水光りける★★★★

渓流をさかのぼり、源流に至ると、そこに春蘭が咲いている。源流の水も春の光にかがやき、春蘭の花もはじけるように咲いている。確かな春だ。(高橋正子)

廣田洋一
芽を出せと声掛け蒔きぬ種袋★★★
誕生日の記念にかざす種袋★★★★
金星に座布団舞はぬ春場所かな★★★

桑本栄太郎
目まといの早やも出でたる川辺かな★★★
春泥の轍のままに乾きけり★★★★
歩数伸ぶ春の日差しや万歩計★★★

多田有花
犬と子を連れて梅見の夫婦かな★★★
 梅散るや風吹くたびに鈴が鳴る★★★


 初つばめ朝日に翼きらめかせ★★★★
初つばめが見られた。朝日に翼をきらめかせ、さっそうと飛ぶ姿に、なつかしささえ覚える。ずいぶん暖かくなった。(高橋正子)

3月17日(4名)

小口泰與
草の芽や運動靴の高く跳ね★★★
ばらの芽の朱き衣をほぐしけり★★★
 てんからの釣り人遡上初わらび★★★★

釣人に対して遡上というのかどうかわからないが、釣り竿をもって渓流をのぼってゆくとわらびがある。今年初めてわらびは、釣果もさることながら、春のうれしさだ。(高橋正子)

廣田洋一
彼岸来る行くのは未だと呟けり★★★
 姪甥と会うのも久し彼岸かな★★★★

彼岸の句に波郷の「兄妹の相睦みけり彼岸過」がある。彼岸は、身内のものたちの心がおだやかに通うときでもあるように思う。(高橋正子)

すぼめたる口を開きし木蓮かな★★★

多田有花
初花やこの地に何が起これども★★★
青空に憧れて咲くはくれんは★★★★
料峭の頂に立ち沖を見る★★★

桑本栄太郎
枝先の赤く色めき木の芽吹く★★★★
青空に紅の矜持や梅古木★★★
山茱萸の垣根明るく日差しけり★★★

3月16日(4名)

小口泰與
春宵や源氏の君の立ち居にて★★★
声を出し椅子から立つや老いの春★★★
還らざる人次次や草青む★★★★
 
廣田洋一
暖かや口を開けたる鯉二匹★★★
春の風邪癒えたる友よ暖かし★★★
 園児らのままごとの声暖かし★★★★

園児らがままごとをしているかわいらしい声を耳にした。日差しもあたたかく、ほっこりと和む気持ちに。(高橋正子)

桑本栄太郎
うかつにもこんな時間や朝寝人★★★
日照雨降る買物途次や冴え返る★★★
冴え返る嶺の入日や風の声★★★★

古田敬二
花屋から春の色と香溢れ来る★★★
 忙しげ風に揺られて初黄蝶★★★★

黄色を初めて目にしたものの、まだ冷たい風が吹いて、黄蝶はなぶられがち。小さきものの愛おしさ。(高橋正子)
風に揺れ話し合うよに犬ふぐり★★★

3月15日(4名)

小口泰與
坂東を横切る春の太郎川★★★
明るさは榛名の空や春の朝★★★★
春昼やラクビーボール飛び跳ねて★★★

廣田洋一
窓を打つ雨音消えて春の雪★★★★
雨空に淡き紅色江戸彼岸★★★
満開の彼岸桜に春の雪★★★

多田有花
春雨に午後のコーヒーの香り★★★
春の雨書類仕事を片付ける★★★
炒り卵茹でし分葱と味噌和えに★★★

桑本栄太郎
うつうつと夢のつづきや朝寝人★★★
歩みゆく程に雨雲春ならひ★★★
自転車の集結したり春休み★★★★
「集結したり」が青春らしく面白い。春休みになり、自転車をもって集まった生徒たち。これから大勢で出かけようというのだ。青春真っただ中のさわやかさがいい。(高橋正子)

3月14日(5名)

小口泰與
榛名湖の霞より出づ小舟かな★★★
浅間燃え襞黒黒と雪解かな★★★★
今なおA級活火山として噴煙をあげる浅間山は、燃える山と言えよう。雪解けに山の地熱が関係するかどうか知らないが、この句からは、山の熱が雪解けを促している印象だ。「襞黒黒」が実感。(高橋正子)

あえかなる朱きばらの芽ほどきける★★★

廣田洋一
白き枝ぱつと差し出す雪柳★★★
雪柳やはき風にも雪崩れけり★★★★
白皙の友思ひ出す雪柳★★★

桑本栄太郎
朝寝人二度寝の夢の果てしなく★★★
子供等の遊び見えざる菜種梅雨★★★
休園の塀に添いたりチューリップ★★★★

多田有花
春山路遠くで光る播磨灘★★★
春の谷囲む稜線を歩く★★★
下り来て八重紅梅に迎えられ★★★

古田敬二
じゃが芋の芽を温めて畝静か★★★★
じゃが芋を地中深く植えて、そのあとは、芽が地上に出るのを待つばかり。今は土が芽を静かに温めている時。静かな畝は生きている。(高橋正子)

春耕す分葱がこぼす土黒し★★★
引き寄せて故郷の梅の香かすかなり★★★

3月13日(4名)

古田敬二
四阿へ青きを踏んで十五段★★★★
四阿から見下ろす池に残り鴨★★★
道のべに木蓮光る昼餉時★★★

廣田洋一
白き花天を突きたる木蓮かな★★★
木蓮の反り返りたる花弁かな★★★
老舗にて馴染みし味や鶯餅★★★

小口泰與
駄菓子屋の子らの顔かおつくしんぼ★★★
遠き日の餓鬼大将や父子草★★★

茎立ちや独り暮らしの峡の家★★★★
山峡の集落。独り暮らしの家もあって食べ余した畑の菜は茎立っている。薹が立ったり花をつけたりして峡の村に春が確かに来ている。(高橋正子)

桑本栄太郎
溝川の早瀬となりぬ春の丘★★★
山里の崩れ土塀や桃の花★★★★
春なれやけぶり棚引く山の里★★★

3月12日(5名)

小口泰與
群雀翔つや裏庭諸葛菜★★★
さびき釣りに掛かる魚や華鬘草★★★

春の湖画布いっぱいの色使い★★★★
春の湖の色あいを見れば、絵心が誘われるというもの。春の湖を思い切り描いている人がいるのだろう。画布いっぱいの色使いに、春の色を見た。(高橋正子)

廣田洋一
春満月の浩々と照る曙かな★★★
手をかけて年を越したるシクラメン★★★
シクラメンワインレッドのあふれをり★★★★

古田敬二
蒲公英の丈をたがえて風に揺れ★★★★
蒲公英の丈は短くて皆同じように思えるのもあるが、野原をよく見れば、高低いろいろある。風が吹きすぎて蒲公英を揺らす。春の歌のような句。(高橋正子)

ぺんぺんと鳴らずナズナの風に揺れ★★★
夕暮れの池中央に残り鴨★★★

桑本栄太郎
追悼の祈りに合はせ春の虹★★★
白れんの今日は飛び翔つ日差しかな★★★★
白れんがほぼ満開となり、日差しを受けると花びらが開き空へ飛び翔つような姿勢になる。
「飛び翔つ日差し」に実感があって、上手。(高橋正子)

春風のあゆみ来たれば”南茶屋”★★★

多田有花
いっぱいにミモザ咲かせしカフェに入る★★★
春昼や壁一面の大時計★★★★
アーモンドトーストかりっと春の昼★★★

3月11日(4名)

廣田洋一
線路沿ひ街灯潤む町朧★★★
待ち人のなかなか見えぬ朧かな★★★★
女川の街思ひ出す朧月★★★

小口泰與
楓の芽ほぐるる刹那光りける★★★★
枸杞の芽や支流も利根も激つける★★★
楤の芽や渓流釣りの竹の魚籠★★★

多田有花
春の夕仏舎利塔より城眺む★★★
麗かや傾く陽を浴び仏舎利塔★★★
永き日の仏舎利塔に猫二匹★★★★
「永き日」がよく効いている。永き日だからこそ、二匹の猫も釈迦のほとりにいたがる。極楽にも似た雰囲気がある。(高橋正子)

桑本栄太郎
歩みゆく丘の田道や春帽子★★★★
なんでもないような句だが、「春帽子」に味わいがあっていい。春帽子をかぶるのは少々年取った男性がいい。風に寒さはあるもののあたたかい丘の田道が快い。(高橋正子)

さざ波の田面となりぬ春驟雨★★★
鳴き声の薮を占めたる初音かな★★★

自由な投句箱/3月1日~10日


※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
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今日の秀句/3月1日~10日


3月10日(1句)

★兄弟の競いて春の丘登る/多田有花
まだ幼い兄弟であろうか。二人で競争して草萌える丘を登る。競い合う遊びが春の丘を通して読むものに明るい輝きをくれる。(高橋正子)

3月9日(1句)

★フェンスには鴎の形風光る/多田有花
白く塗られたフェンスに鴎の形を切り抜いた板などを風見鶏のように取り付けられているのをよく目にする。それを思い浮かべた。光る風に、鴎は羽をひろげ、いきいきと飛んでいるように思える。おしゃれな風景。(高橋正子)

3月8日(2句)

★ごうごうと谿の流れや花辛夷/小口泰與
谿に咲く辛夷。雪解水を集めてごうごうと音を立てる谿川のほとりの辛夷は自然の花。花びらを振るわせていることだろう。(高橋正子)

★流木の薪を焚きたる磯開き/廣田洋一
磯開きは、一般的には、遠く潮の引いた磯辺で一日を過ごす行楽の風習で、陰暦3月3日(今年は3月26日)がそれにあたる。また翌日の4日を雛祭りの後祭りとして山や磯に遊ぶ地方もある。
まだ浜辺は寒いので、流木を拾い焚火をして暖をとったりする。みんなが囲む焚火に心を癒される。たのしい磯開きである。(高橋正子)

3月7日(2句)

★一斉に鳥の飛び來る初桜/小口泰與
桜が咲いた。蜜を求めて、鳥たちが一斉にやって来た。絵になる光景だ。(高橋正子)

★いま一度春の海へと浮きを投げ/多田有花
釣りが楽しめるのどかな春の海。釣り糸を垂らしている間も釣り人はたのしいのだが、釣れなくて、もう一度挑戦で浮きを投げた。その浮きの行方を目で追うのも面白い。臨場感が楽しめる句だ。

3月6日(1句)

★白梅や潮騒届く庭に咲く/多田有花
白梅と潮騒の取り合わせが新鮮だ。実際、潮騒の届く家々の庭にも白梅が植えられ楽しまれているが、それが、俳句に取り上げられているのは、めったに見ない。明るく、爽快な句だ。(高橋正子)

3月5日(1句)

★人形と共に仕舞へる紙雛(かみひひな)/廣田洋一
雛人形を仕舞うときに、紙の雛も一緒に仕舞った。紙雛とは言え、雛は形代。思いも大切にしまわれたのだ。(高橋正子)

3月4日(1句)

★北風の金具音立て校旗かな/桑本栄太郎
寒い春の北風が吹く空へ掲げられた校旗。風の寒さに校旗の金具がポールに当たって鳴る音が
卒業期と重なる料峭の感覚をよく伝えている。(高橋正子)

3月3日(1句)

★立子忌の夕のおさいは花菜和え/桑本栄太郎
立子の親しまれている句に、「まゝ事の飯もおさいも土筆かな」があって、それを踏まえた句。今日のおさいは花菜和え。花菜も土筆も春の香りいっぱいのもの。立子の句を追体験するようなしのぶ句となった。(高橋正子)

3月2日(1句)

★踏んで行く春の夕日の伸ばす影/古田敬二
日が永くなり、夕日に映る影も、どこか、のどかに見える。伸びた影を踏んで行く心愉しさが読み取れる。(高橋正子)

3月1日(2句)

★風光る禁漁解ける里の朝/小口泰與
釣りの好きな人には待ちどおしい春の漁解禁。「里の朝」とあるので、その里にも渓流があり、雪代山女なども釣れるのだろう。風光るにあかるい気持ちが見える。(高橋正子)

★こぼこぼと小流れ聞こゆ春の丘/桑本栄太郎
春の丘には、目に萌え出た草の緑、おおいぬのふぐりの青と目を楽しませてくれるものも多いが、耳にも春を感じさせてくれる音がある。ごぼごぼと小さい流れも水が走っている。楽しい春の丘だ。(高橋正子)

3月1日~10日


3月10日(4名)

小口泰與
橅の木へ耳寄せ春の鼓動かな★★★
ふっくらと笑し紅梅青き空★★★
夕映えの川風の中柳の芽★★★★

廣田洋一
和菓子舗の売切れ御免鶯餅★★★
鶯餅飛び立ちさうに盛られけり★★★
春の風邪ちょっと風邪では済まされぬ★★★

多田有花
暖かな丘より望む遠き島★★★

兄弟の競い合い春の丘登る(原句)
兄弟の競いて春の丘登る★★★★(正子添削)
まだ幼い兄弟であろうか。二人で競争して草萌える丘を登る。競い合う遊びが春の丘を通して読むものに明るい輝きをくれる。(高橋正子)

春の夕仏舎利塔より城眺む★★★

桑本栄太郎
道風の斯く愛でたるや柳の芽★★★
目覚むれば小雨となりぬ菜種梅雨★★★
パンジーの羽ばたきそうな小鉢かな★★★

3月9日(4名)

小口泰與
連翹や長きすそ野の赤城山★★★
米爆ぜの吹き出づ音や雪柳★★★★
はくれんの同じ方へと咲きにけり★★★

廣田洋一
伊予柑や思ひ切り爪立てて剥く★★★
伊予柑のジュースを絞る昼下がり★★★
草の葉の雨に打たれて寒戻る★★★★

桑本栄太郎
<山里散策より>
歩み行く丘の田道や揚雲雀★★★★
ミモザ咲く母屋なれども人気なし★★★
立ちのぼりその侭花に茎立菜★★★

多田有花
埋め立て地蘇鉄並木に春の雲★★★
とりどりのヨット浮かべて春の海★★★★

フェンスには鴎の形風光る★★★★
白く塗られたフェンスに鴎の形を切り抜いた板などを風見鶏のように取り付けられているのをよく目にする。それを思い浮かべた。光る風に、鴎は羽をひろげ、いきいきと飛んでいるように思える。おしゃれな風景。(高橋正子)

3月8日(4名)

小口泰與
切岸の枝垂桜や隠れ里★★★
老二人揃いて畑へ花辛夷★★★
ごうごうと谿の流れや花辛夷★★★★
谿に咲く辛夷。雪解水を集めてごうごうと音を立てる谿川のほとりの辛夷は自然の花。花びらを振るわせていることだろう。(高橋正子)

廣田洋一
磯開き布海苔掻きたる親子かな★★★

流木の薪を焚きたる磯開き★★★★
磯開きは、遠く潮の引いた磯辺で一日を過ごす行楽の風習で、陰暦3月3日(今年は3月26日)がそれにあたる。また翌日の4日を雛祭りの後祭りとして山や磯に遊ぶ地方もある。まだ浜辺は寒いので、流木を拾い焚火をして暖をとったりする。みんなが囲む焚火に心を癒される。(高橋正子)

春寒や更新したる非常食★★★

桑本栄太郎
春ひとり田道を行くや村の辻★★★
山すその里の甍や風光る★★★★
嶺の端の入日となりぬ夕ひばり★★★

3月7日(4名)

小口泰與
釣竿を振るや顔へと虻の音★★★
小流れの艶めく波や落椿★★★
一斉に鳥の飛び來る初桜★★★★
桜が咲いた。蜜を求めて、鳥たちが一斉にやって来た。絵になる光景だ。(高橋正子)

廣田洋一
啓蟄や旅の予定を立ててみる★★★★
梅の花鶯鳴きて絵となれり★★★
産土の社に幽か鶯の声★★★

桑本栄太郎
家中のとぼそ立ちたる枝垂れ梅★★★
うぐいすの薮を占めたる初音かな★★★
揚ひばり高き天なるヘリコプター★★★★

多田有花
春荒れに並び運ばるシニアカー★★★
春の海隔て並びし工場群★★★

いま一度春の海へと浮き投げる(原句)
いま一度春の海へと浮きを投げ★★★★(正子添削)
釣りが楽しめるのどかな春の海。釣り糸を垂らしている間も釣り人はたのしいのだが、釣れなくて、もう一度挑戦で浮きを投げた。その浮きの行方を目で追うのも面白い。臨場感が楽しめる句だ。

3月6日(4名)

廣田洋一
紅き粒一つ際立つ春の星★★★
マンションの明かりの消えて春の星★★★
子供らの駆け回る声水草生ふ★★★★

小口泰與
初蝶や水琴窟の淡き音★★★★
手水鉢へ尾長来ておる春炬燵★★★
初蝶の風にそしられ竹林へ★★★

多田有花
春昼のテトラポットに磯鵯★★★
春昼や小舟を囲み光る海★★★

白梅や潮騒届く庭に咲く★★★★
白梅と潮騒の取り合わせが新鮮だ。実際、潮騒の届く家々の庭にも白梅が植えられ楽しまれているが、それが、俳句に取り上げられているのは、めったに見ない。明るく、爽快な句だ。(高橋正子)

桑本栄太郎
白木蓮の遂に微笑む日差しかな★★★
春風やとんび高舞う丘の空★★★★
稜線のほのと赤きや春の宵★★★

3月5日(4名)

小口泰與
勇み来て木戸に堰かれし梅の園★★★
溶岩原の砂を咥えて蟻出づる★★★
初蝶や千里を越ゆる力とか★★★★

廣田洋一
壺焼や富士を背にして売られけり★★★
壺焼の汁溢れ出て炎立つ★★★

人形と共に仕舞へる紙雛かな(原句)
人形と共に仕舞へる紙雛(かみひひな)★★★★(正子添削)
雛人形を仕舞うときに、紙の雛も一緒に仕舞った。紙雛とは言え、雛は形代。思いも大切にしまわれたのだ。(高橋正子)

多田有花
三月の沖に家島小豆島★★★
春きざす港を巡り歩くかな★★★
突堤の春陽のなかでお弁当★★★★

桑本栄太郎
三月や君を振り切り上京す★★★
春北風の風雨まじりの一日果つ★★★
竜天に登ると見たり日矢のさす★★★★

3月4日(4名)

小口泰與)
アイフォンを傾け菫撮る少女★★★★
夕映えの梅の秀枝に群雀★★★
白鳥の帰りし沼の広びろと★★★

廣田洋一
北の空明るく見えて鳥帰る★★★★
小さき池跡を残さず鳥帰る★★★
春灯の点りて臨時休業日★★★

多田有花
島ありて大船小舟春の沖★★★★
春空へ奇岩屹立小赤壁★★★
春空をゆったり旋回パラグライダー★★★

桑本栄太郎
春風やけむり棚引く山の畑★★★
春北風の金具音立て校旗かな★★★★
寒い春の北風が吹く空へ掲げられた校旗。風の寒さに校旗の金具がポールに当たって鳴る音が
卒業期と重なる料峭の感覚をよく伝えている。(高橋正子)

のどけしや天空高くヘリコプター★★★

3月3日(4名)

小口泰與
川風に和蘭芥子哄笑す★★★
啓蟄や湖へボートの並び居り★★★★
どどどどと強き羽音やスワン引く★★★

桑本栄太郎
街の子のコロナ疎開や春寒し★★★
芽柳の見上ぐる天や昼の月★★★

立子忌の夕のおさいは花菜和え★★★★
立子の親しまれている句に、「まゝ事の飯もおさいも土筆かな」があって、それを踏まえた句。今日のおさいは花菜和え。花菜も土筆も春の香りいっぱいのもの。立子の句を追体験するようなしのぶ句となった。(高橋正子)

古田敬二
種芋を買って昼餉はうどんとする★★★
春の水吸い上げている森静か★★★★
春の木をコゲラがたたく森静か★★★

3月2日(4名)

小口泰與
黄水仙の群川風に哄笑す★★★
陽炎や忘する友の数多居り★★★
春繭の生糸を神に捧げける★★★★

廣田洋一
庭先に黄金の光り花山茱★★★
弘道館多彩にしたる山茱萸の花★★★
白き井筒据えて吐き出す春の水★★★★

桑本栄太郎
いつせいに蜂起と見たる桜芽木★★★
犬ふぐり昨日の夜の夢見かな★★★
パンジーのハンギングとや洋館に★★★★

古田敬二
公園の子らにぎやかに春夕べ★★★
今年また離れて一つクロッカス★★★

踏んで行く春の夕日の伸ばす影★★★★
日が永くなり、夕日に映る影も、どこか、のどかに見える。伸びた影を踏んで行く心愉しさが読み取れる。(高橋正子)

3月1日(4名)

小口泰與
風光る禁漁解ける里の朝★★★★
釣りの好きな人には待ちどおしい春の漁解禁。「里の朝」とあるので、その里にも渓流があり、雪代山女なども釣れるのだろう。風光るにあかるい気持ちが見える。(高橋正子)

小流れの瀬尻に釣し諸子魚かな★★★
雪代山女提灯釣の見事さよ★★★

廣田洋一
観梅や着物の似合ふ二人連れ★★★

みつしりと連なり咲きし八重の梅(原句)
切れを入れると句が締まります。
みつしりとつらなり咲けり八重の梅★★★★(正子添削例1)
みつしりと連なり咲けり梅は八重(正子添削2)

松の木の際立たせをる梅の花★★★

多田有花
申告の準備整え春の昼★★★
片付けに明けて暮れたり二月尽く★★★★
延期中止連なる中に三月来★★★

桑本栄太郎
くいくいと青空恋いぬ桜芽木★★★
紅梅の枝垂れ咲きたる売家かな★★★

こぼこぼと小流れ聞こゆ春の丘★★★★
春の丘には、目に萌え出た草の緑、おおいぬのふぐりの青と目を楽しませてくれるものも多いが、耳にも春を感じさせてくれる音がある。ごぼごぼと小さい流れも水が走っている。楽しい春の丘だ。(高橋正子)

自由な投句箱/2月21日~29日


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今日の秀句/2月21日~29日


2月29日(2句)

★花ゑんどう高き支柱の足もとに/桑本栄太郎
えんどうに支柱が立ててあるが、えんどうは支柱の足元に固まる程度の生長だが、すでに花を付けて、これから暖かくなれば、蔓がどんどん伸びていくのだ。支柱の足元で力を溜めている。(高橋正子)

★父母の墓覆う桜木芽吹きけり/古田敬二
父母の墓は故郷の桜の木の下に。桜が咲けば桜に覆われ、夏には葉桜が木陰を作ってくれる。
そんな桜が今芽吹いた。父母への優しい思いが伝わる。(高橋正子)

2月28日(2句)

★病室の向かいは梅咲く小学校/多田有花
病室からの眺めがいいと嬉しいものだ。この病室からは梅の花が咲いている小学校が見える。子供たちの声も聞こえるかもしれない。梅の花は精一杯咲いている。どこか楽しく、すがすがしい気分になる句だ。(高橋正子)

★祝日の学校花壇やチューリップ/桑本栄太郎
祝日の小学校の校庭。日当たりのいい花壇にはチューリップが明るく咲いている。子供たちのいない祝日の学校だが、子供たちに代わるような元気なチューリップだ。(高橋正子)

2月27日(1句)

★千代紙の雛の迎える緩和ケア/川名ますみ
緩和ケアの病棟に入院されたのだろうか。痛みを抱え、不安な思いで病室に入ると千代紙の雛が飾ってあった。雛様に会えるとは思わなかったであろうが、温かい心遣いがうれしく、気持ちが明るくなる。(高橋正子)

2月26日(1句)

★朝市のバケツに盛られ春大根/廣田洋一
通常の大根は初秋に種を播くが、春大根は晩秋に種を播いて収穫時期を遅らせ、春収穫する。
そんな大根が朝市のバケツにいっぱい盛られ売られている。採れたての大量の大根のみずみずしさがうれしい。(高橋正子)

2月25日(1句)

★渓流の水が水乗せ蕗の薹/小口泰與
蕗の薹が出ている渓流の沢辺。渓流は、雪解けの水で水が水を乗り越えるように急ぎ流れる。蕗の薹の淡い緑、渓流の水が織りなす早春の息吹がよく感じられる。(高橋正子)

2月24日(2句)

★残雪や鳥足跡と風の跡/小口泰與
残雪に跡を残したのは、鳥と風。鳥と風と残雪の世界が詩的な世界を見せている。(高橋正子)

★呼ぶ声に雪崩れて返す木霊かな/廣田洋一
積雪は人の呼ぶ声の振動で雪崩を起こすこともあると聞く。雪崩の木霊に、しんとした静けさが一層広がる。(高橋正子)

2月23日(2句)

★牛車をば転がし遊ぶ雛祭/廣田洋一
雛祭りの男の子であろう。雛のお道具いろいろは、なかなか興味深いものが多くて、牛車があれば、動かしてみたくなる。刀は抜いてみたくなる。子供の雛祭りが楽しそうだ。(高橋正子)

★妻戻り田舎土産や春大根/桑本栄太郎
出かけていた妻が帰って来た。田舎土産とあるから、故郷へ帰ったのであろう。土産に春大根をもらって帰った。春大根に故郷への愛着が感じられる。(高橋正子)

2月22日(2句)

★疎開児のいまも心に春の山/小口泰與
戦争中に疎開をした児童も今はどのくらいおられるだろうか。戦後すでに75年になろうとしている。その頃の疎開してきた子どもとの思い出。春の山や野で遊んだことが今も心にのこっている。しみじみと、なつかしさが湧いてくる。(高橋正子)

★ゆるやかにカーブする道梅開く/多田有花
車やバイクで道を辿ってゆくとゆるいカーブに差しかかる。それまで見えなかった梅の花がカーブにそってゆるやかに見え始める。うれしい光景だ。(高橋正子)

2月21日(1句)

★篩かけ日にさらしけり春の土/廣田洋一
春の日の土いじり。冬の間、寒さに耐え、固まったような土を、篩にかけて細かくし、種や苗を植える準備をする。篩うとらさらと春の土が明るく落ちる。春の土が効いている。(高橋正子)

2月21日~29日


2月29日(4名)

小口泰與
佐渡見ゆる桟橋に釣る細魚かな★★★★
田螺鳴く大ぼら吹きの選挙戦★★★
山を分け水に水追う春の利根★★★

廣田洋一
春暁の白雲細く流れけり★★★★
春暁や静寂を破る靴の音★★★
春眠や雨音聞きてまた眠る★★★

桑本栄太郎
花ゑんどう高き支柱の足もとに★★★★
えんどうに支柱が立ててあるが、えんどうは支柱の足元に固まる程度の生長だが、すでに花を付けて、これから暖かくなれば、蔓がどんどん伸びていくのだ。支柱の足元で力を溜めている。(高橋正子)

駒返る草のみどりや風の土手★★★
検査みな終えて安堵や二月尽★★★

古田敬二
父母の墓覆う桜木芽吹きけり★★★★
父母の墓は故郷の桜の木の下に。桜が咲けば桜に覆われ、夏には葉桜が木陰を作ってくれる。
そんな桜が今芽吹いた。父母への優しい思いが伝わる。(高橋正子)

おお咲いた今年は早き犬ふぐり★★★
軍用機春曇天の空を飛ぶ★★★

2月28日(4名)

多田有花
病室の向かいは梅咲く小学校★★★★
病室からの眺めがいいと嬉しいものだ。この病室からは梅の花が咲いている小学校が見える。子供たちの声も聞こえるかもしれない。梅の花は精一杯咲いている。どこか楽しく、すがすがしい気分になる句だ。(高橋正子)

雨あがり梅の彼方に虹かかる★★★★
春寒や古き箪笥を解体す★★★

小口泰與
囀りの高まり餌まく媼かな★★★
雀の巣拒む工法屋根工事★★★
針金のハンガー絡む烏の巣★★★★

廣田洋一
頼まれてマスク製作春寒し★★★
電動の車椅子行く遅日かな★★★
特急の座席を照らす遅日かな★★★★

桑本栄太郎
コンビニの新規開店春きざす★★★
料峭ののぼり旗めく売地かな★★★

祝日の学校花壇やチューリップ★★★★
祝日の小学校の校庭。日当たりのいい花壇にはチューリップが明るく咲いている。子供たちのいない祝日の学校だが、子供たちに代わるような元気なチューリップだ。(高橋正子)

2月27日(4名)

川名ますみ
医師の手にバレンタインの紙袋★★★

千代紙の雛の迎える緩和ケア★★★★
緩和ケアの病棟に入院されたのだろうか。痛みを抱え、不安な思いで病室に入ると千代紙の雛が飾ってあった。雛様に会えるとは思わなかったであろうが、温かい心遣いがうれしく、気持ちが明るくなる。(高橋正子)

木蓮の芽のさみどりに春の雨★★★★

小口泰與
榛名湖に白波立ちて雉子の声★★★★
囀りや朝の榛名の紫紺にて★★★
産土の山河やさしや鳥の恋★★★

廣田洋一
春雨や走り根黒く光りたる★★★★
春雨に丹沢の山煙居り★★★
笙の音に始まる挙式春燈★★★

桑本栄太郎
ふくふくと蕾ふふめり木瓜の花★★★★
料峭ののぼり旗めく売地かな★★★
コンビニの新規開店春きざす★★★

2月26日(4名)

小口泰與
隧道を抜けるや雉の鋭声して★★★
初雲雀深き青空かき分けて★★★
高みへと声を伸ばしぬ揚雲雀★★★

廣田洋一
春大根伸びたる足の細きかな★★★
切口の真白く透けし春大根★★★

朝市のバケツに盛られ春大根★★★★
通常の大根は初秋に種を播くが、春大根は晩秋に種を播いて収穫時期を遅らせ、春収穫する。
そんな大根が朝市のバケツにいっぱい盛られ売られている。採れたての大量の大根のみずみずしさがうれしい。(高橋正子)

多田有花
如月の窓に明るき鳥の影★★★★
晴れの日のさざめき地に満ついぬふぐり★★★★
春の雨振り出す中を戻りけ★★★り

桑本栄太郎
山すその村の甍や風光る★★★★
料峭のさざ波立つや休耕田★★★
土の香や春を耕すトラクター★★★

2月25日(2名)

小口泰與
渓流の水が水乗せ蕗の薹★★★★
蕗の薹が出ている渓流の沢辺。渓流は、雪解けの水で水が水を乗り越えるように急ぎ流れる。蕗の薹の淡い緑、渓流の水が織りなす早春の息吹がよく感じられる。(高橋正子)

百千鳥鍬置き腰を伸ばしける★★★
自転する水の惑星風光る★★★

廣田洋一
川底を舐める大鯉水温む★★★
水温む朝一番に米を研ぎ★★★★
向う傷負ひても懲りず猫の恋★★★

2月24日(3名)

小口泰與
けしきだつ坂東太郎雪解川★★★
春泥の轍の跡や子ども等は★★★
残雪や鳥足跡と風の跡★★★★
残雪に跡を残したのは、鳥と風。鳥と風と残雪の世界が詩的な世界を見せている。(高橋正子)

廣田洋一
呼ぶ声に雪崩れて返す木霊かな★★★★
積雪は人の呼ぶ声の振動で雪崩を起こすこともあると聞く。雪崩の木霊に、しんとした静けさが一層広がる。(高橋正子)

屋根雪の滑りて庇雪崩かな★★★
春雨や濡れるは嫌と相合傘★★★

桑本栄太郎
<洛西の山里>
人住まぬ家のとぼそや梅真白★★★
春風の頬をなぶりて心地良き★★★
山すその甍きらめき風光る★★★★

2月23日(3名)

小口泰與
公魚や水面へうつる榛名富士★★★
渓流の石の駆け來る雪解かな★★★★
吟行に来て榛名湖の春の雲★★★

廣田洋一
天井に届きし雛を見上げたる★★★
千に一つ欠けたる雛の吊るされし★★★

牛車をば転がし遊ぶ雛祭★★★★
雛祭りの男の子であろう。雛のお道具いろいろは、なかなか興味深いものが多くて、牛車があれば、動かしてみたくなる。刀は抜いてみたくなる。子供の雛祭りが楽しそうだ。(高橋正子)

桑本栄太郎
獺祭る川面きらめき流れけり★★★
妻戻り田舎土産や春大根★★★★
出かけていた妻が帰って来た。田舎土産とあるから、故郷へ帰ったのであろう。土産に春大根をもらって帰った。春大根に故郷への愛着が感じられる。(高橋正子)

目覚めても未だ明るき日永かな★★★

2月22日(4名)

小口泰與
亀鳴くやカメラに凝って六十年★★★
門柱へ見知らぬ春の鳥来たり★★★

疎開児のいまも心に春の山★★★★
戦争中に疎開をした児童も今はどのくらいおられるだろうか。戦後すでに75年になろうとしている。その頃の疎開してきた子どもとの思い出。春の山や野で遊んだことが今も心にのこっている。しみじみと、なつかしさが湧いてくる。(高橋正子)

多田有花
プリンターの突然逝ける余寒かな★★★
ゆるやかにカーブする道梅開く★★★★
車やバイクで道を辿ってゆくとゆるいカーブに差しかかる。それまで見えなかった梅の花がカーブにそってゆるやかに見え始める。うれしい光景だ。(高橋正子)

飛行機雲連なり春雨を告げる★★★

廣田洋一
うらやまし本音のままなる猫の恋★★★
人目をば気にせず走る猫の恋★★★
畦道の匂ひ立ちたる春時雨★★★★

桑本栄太郎
古草のそこだけ明るき雨の昼★★★★
嶺の端の雲の途切れや春の雨★★★
春雨の妻もどり来し本降りに★★★

2月21日(3名)

小口泰與
街角や目に飛び込みし犬ふぐり★★★
連れ立ちて餅草採りの老婆かな★★★
片栗や遺跡の丘へなだれ咲き★★★★

廣田洋一
ぽつぽつと小さき芽の出る春の土★★★

篩かけ日にさらしけり春の土★★★★
春の日の土いじり。冬の間、寒さに耐え、固まったような土を、篩にかけて細かくし、種や苗を植える準備をする。篩うとらさらと春の土が明るく落ちる。春の土が効いている。(高橋正子)

折紙の雛を一対飾りけり★★★

桑本栄太郎
春昼の青空裂きて飛機の雲★★★
歩みゆく土手の地道や風光る★★★★
川べりの蘆の角ぐむ日差しかな★★★

自由な投句箱/2月11日~20日


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今日の秀句/2月11日~20日


2月20日(1句)

★クロッカス合格の日の朝に咲く/古田敬二
土からふっくらとした花を咲かせるクロッカスは、ほほえみのような明るい花だ。合格おめでとうというように朝、喜びの花を咲かせてくれた。(高橋正子)

2月19日(2句)

★雛飾る雨水の空の晴上り/廣田洋一
雛を飾る日は、やはり晴れていてほしい。ちょうど雨水ながら、空は晴れて、飾られた雛も晴れやかなお顔だろう。(高橋正子)

★永き日の新調したるスニーカー/桑本栄太郎
日が永くなった。外を歩くのが楽しくなる。スニーカーを新調して、足取り軽く歩くのだ。なによりも足取りが軽いのがいい。(高橋正子)

2月18日(1句)

★下萌やフォークダンスの輪の中に/小口泰與
日本で歌声運動やフォークソングが流行った時代、フォークダンスは若者たちにが躍ったように思う。今はだれなのか。輪になってフォークダンスを踊る広場の中心は緑が芽生え始めている。あかるく楽しそうな景色だ。句の素直さ、平易さもいい。(高橋正子)

2月17日(2句)

★金縷梅や利根の目覚めの早かりし/小口泰與
早春にまず咲く花、金縷梅(まんさく)が、利根の流れに沿って咲いている。それよりも利根川は早く目覚めて流れを速めている。早春の空気感が伝わる景色だ。(高橋正子)

★白玉の香るがごとし春玉葱/廣田洋一
早くも玉葱が出回り始めた。春玉葱は、生食して美味で、真っ白な玉がうれしい。春玉葱のフレッシュさがいい。(高橋正子)

2月16日(1句)

★初午や日本酒一合供へられ/廣田洋一
今年の初午は2月9日。稲荷神社のお祭りだが、京都の伏見稲荷のような立派な神社から、祠のようは稲荷神社がある。狐を田の神(山の神)として祭り、好物の油揚げやお稲荷を供える。お神酒徳利にお神酒も供えられる。あまりにつつましい祭りがほほえましく思える。酒一合もつつましさ。(高橋正子)

2月15日(1句)

★ニン月の目覚めて遠き故郷かな/桑本栄太郎
二月と言う季節は、日差しは明るく、寒さも清らかなイメージとなって浮かんでくる。浅き春の目覚めに遠き故郷が浮かんでくるのも無理もない。(高橋正子)

2月14日(2句)

★春浅き空をゆっくり大観覧車/多田有花
「ゆっくり」が春らしくていい。春浅き空をゆっくり回る観覧車から、下界の景色はどう見えるだろうか。そんなことを思わせる句。(高橋正子)

★独りいて芽吹きの前の森静か/古田敬二
芽吹く前の森は、独りいれば、何か動く気配のようなものを感じるが、その気配がかえって静けさを呼び起こしている。燃え上がるような芽吹きの前の森が想像できる。(高橋正子)

2月13日(1句)

★一斉にふふむ紅梅通り雨/小口泰與
さあっと降って通り過ぎる雨に紅梅も動き出した感じだ。一斉に蕾が膨らみ雨、蕾は雨露を光らせている。これからが楽しみな紅梅である。(高橋正子)

2月12日(1句)

★白梅や梢の先に凛と咲き/廣田洋一
白梅はまっすぐ伸びた梢の先まで花をつける。梢の先だからと言って、力を抜くわけではなく、凛と花を咲かせている。梅の花の凛とした気品が読み取れる句。(高橋正子)

2月11日(1句)

★コーヒー飲む窓から春の海が見え/古田敬二
コーヒーを飲む席を窓側に取ると、そこからは、春の海が見える。映画の一コマのような、おしゃれでゆくっりした時間があるのが素敵だ。(高橋正子)