6月17日(名)
作業中
土橋みよ
常夏の一輪ひらき夕明かり★★★★
「夕明かり」は背景としてよいが、常套に落ちる危険性があるので、もう一段踏み込むと句のレベルが格段あがります。これは、句の伸びしろです。(髙橋正子)
揚羽蝶石に畳みし翅一重★★★
揚羽蝶の翅がぴたっと畳まれている感じは「翅一重」でわかりますが、実際の質感は「翅一重」ではとらえきれないものがあります。翅の厚み、翅の光り、翅の重さなど。それが少しの違和感として感じられるのが惜しいです。(髙橋正子)
昆布締めの夏の鮃の重さかな★★★
小口泰與
背なの子の指さす方に燕かな★★★
雲早し燕素早く飛びにけり★★★
せめてこの帽子に止まれ糸蜻蛉★★★
多田 有花
<伊勢神泉三句>
苺のせババロア光る銀の匙★★★
「光る」を直接言わないで、「苺のせババロア震う銀の匙」のようにする。「光る」は明快ですが、句が止まって余白がなくなります。どちらがいいかは、好みですが、詩としてみると、「震う」がよいです。(髙橋正子)
短夜に浸かる個室の露天風呂★★★
「個室」は説明的なので、「ひとり」にしてはどうでしょうか。情景をそのまま表出するのではなく、いったん心に入れて出すと違ってきます。(髙橋正子)
伊勢志摩名物並ぶ夏の朝餉★★★
6月16日(5名)
土橋みよ
日向ぼこ前肢を重ね猫眠る★★★
折れ枝の挿し木芽吹けり梅雨の雲★★★
「梅雨の雲」は挿し木が芽吹くと言う手もとの小さい世界から急に大きな雲の世界に飛びます。「梅雨曇」「雲低し」などとすれば、句に馴染みやすいと思います。句の世界を一つにまとめることが必要です。(髙橋正子)
青柿の落つる音して本を閉ず★★★★
上島祥子
俎に朝の音生むプチトマト
プチトマトが俎板に転がっているだけで、音が生まれるように読めます。「朝の音」が抽象的すぎます。(髙橋正子)
猫来るや空き家の庭の梅雨晴れ間★★★
材料はそろっているのに、句の中心がないのが、問題です。(髙橋正子)
梔子の一花毎に足を止め★★★
梔子が並んで咲いて、それを順番に見ているのでしょうか。梔子の香りや白さが滲まず、行動の報告になっています。(髙橋正子)
廣田洋一
木下闇水琴窟の響きおり★★★
「響きおり」が常套的になっているので、ここに作者の感しかたが欲しいところ。(髙橋正子)
バケツにて売られし鯵のこぼれおり★★★
卯の花や次々と散る朝かな★★★
卯の花の散る瞬間が見えると句が一段上がります。(髙橋正子)
小口泰與
すみやかに沼を横切る燕かな★★★
「すみやかに」は横切る燕の速さを言葉で説明してしまっているとことが問題です。(髙橋正子)
利根川の急く水激し夏の山★★★
「急く」「激し」の形態語が二つあり、句が散漫になっています。
燕の子反転するを覚えたり★★★
「覚えたり」は、俳句の言葉より日記の言葉です。(髙橋正子)
多田 有花
<伊勢神泉三句>
伊勢海老を真中に据えて夏料理★★★★
溶岩焼きトマトマリネの添えられて★★★
「添えられ」が説明的。(髙橋正子)
新じゃがと新玉葱の鍋にあり★★★
素材の列挙に終わっている。(髙橋正子)
6月15日(5名)
上島祥子
触れられる高さに伸びて蓮蕾★★★★
引き犬や日傘の中の朝歩き★★★
「日傘の中の朝歩き」は表現に無理があります。(髙橋正子)
夏燕空切る呼吸同じくし★★★
「呼吸同じくし」は、誰と誰の呼吸、あるいは、何と何の呼吸が同じなのか、わかりにくい。「空切る呼吸」は燕が空を切る間合いとも読めますが、その場合は、「呼吸」の言葉がやや不適切です。(髙橋正子)
土橋みよ
空に向くオクラの花や雲流る★★★
雨雫宿すオクラの芯紫★★★★
初茄子や風にめくるる献立帳★★★★
廣田洋一
木下闇地蔵の顔の仄白し★★★
鯵たたき酒を酌みつつ暮れにけり★★★
五月雨やビル群遠くけむりたる★★★
多田 有花
<おかげ横丁二句>
縁台に座してコロッケを食べる★★★
牛串にビールにプリン食べ歩く★★★
<伊勢神泉>
筍の入りたる蛤真丈かな★★★★
小口泰與
山の雨夏の大河の収まらず★★★★
木を切りて全身汗にまみれけり★★★
しなやかに反転せしや軒つばめ★★★
6月14日(3名)
多田 有花
<おかげ横丁三句>
薫風のおかげ横丁ひやかしぬ★★★
新茶あり伊勢茶老舗の店先に★★★
縁側にできたて赤福の涼し★★★★
小口泰與
夏の日を髪膚に浴びて渡渉せり★★★
すぺからくと利根川の鮎遡上せり★★★
葭切の明けの鋭声や曇り空★★★
廣田洋一
百合の花全力こめて匂い立ち★★★★
梅雨晴間川風わたる土手の道★★★
夏蝶や低く飛びゆく川の端★★★
6月13日(2名)
多田 有花
<伊勢内宮三句>
六月の風に御幌(みとばり)ふわりと揺れ★★★★
緑さす内宮やさしき神馬の目★★★
錦鯉ゆったり泳ぐ御池かな★★★
小口泰與
利根川の流れ荒きや夕立風★★★
すへからく夏の日強く射しにけり★★★
利根川を統ぶる水源緑雨かな★★★
土橋みよ
雨細し厨へ蛙の声の来る★★★★
柚子の葉やいずこより来し黒揚羽★★★
朝涼しスマホに草の名ひらきけり★★★★
6月12日(3名)
廣田洋一
先ず客に麦茶出したる応接間★★★
ミニトマト鈴なりに熟れプランター★★★
味噌付けて丸かじりせし胡瓜かな★★★
「応接間」「プランター」は日常に寄り過ぎ、「丸かじり」は説明になっており、句の凝縮が弱いです。(髙橋正子)
多田 有花
<伊勢内宮三句>
紫陽花の並べられたる飾り壇★★★
花菖蒲育てし人と歓談す★★★
夏台風御手洗場(みたらし)へは立ち入れず★★★
素材はよいですが、説明に寄り過ぎです。(髙橋正子)
小口泰與
向日葵の咲きし分校廃れおり★★★★
風薫る奇岩の山の鳥の声★★★
水槽へ増えし目高を分けしかな★★★
6月11日(2名)
多田 有花
<伊勢内宮三句>
六月や見上げて入りぬ伊勢鳥居★★★
宇治橋に夏台風の余波残る★★★★
くちなしの咲くや内宮神苑に★★★★
小口泰與
長き水尾引きて軽鴨進みけり★★★
山風に百合の揺れおり夕間暮れ★★★★
雀色どき冷酒を二合酌む★★★