7月6日
〇土橋みよ
★踏み台を降りて笊満つ鞘インゲン
網を伝って屋根まで大きく育ったインゲンを、踏み台に上って摘んだ後の実景を詠んだものですが、鞘インゲンは秋の季語なので、今日(7月6日)詠むためにはどのように直したらよいでしょうか。(みよ)
〇お答え(髙橋正子)
●歳時記には「隠元豆」とし、秋の季語になっています。これは、豆として熟したものを指します。歳時記の例句を見ますと、鞘インゲンを詠んだものと思われる句もあります。
●季語を含んだ句について、大まかに二つの詠み方があります。これは主として流派の違いでもあります。
①季語「隠元豆」をはじめに決めておき、その季語で詠む場合。これはホトトギス系の流派が詠む方法です。ですから、季語と実際がずれることはありません。
②一方、私たちのように、実景を見てそれを詠む方法をとると、季語と季節が少しずれることが、ときどきあります。
この場合は、そのまま詠みます。ですが、ここで大切なのは、季節感です。「季感」と言います。これが大事です。「鞘インゲン」となれば、これは青い鞘を思うわけですから、夏のものになります。
●みよさんの今回の句では、鞘インゲンとして詠んでさしつかえないです。これを秋の句とするか、夏の句とするかは、主宰の考えによります。実景を詠んだ場合は、ずれることがあります。
●今回の句の場合、一度に多くを言って少し無理があります。俳句は器が小さいので、一つの事しか言えません。
「踏み台を降りて笊満つ鞘インゲン」の
「踏み台を降りて笊満つ」は、なぜ、踏み台を降りて笊が満つのか、わかりにくいです。語順を変えるとわかりやすくなります。
★踏み台を降りて満ちたる鞘インゲン(正子添削)
★梅雨晴れや葉陰ふくらむズッキーニ(原句)
梅雨晴れや葉陰にふくらむズッキーニ(正子添削)
「葉陰ふくらむ」となった場合、「葉陰」が「ふくらむ」の意味になります。助詞の「に」は省略できません。(髙橋正子)
★明日七夕求肥の星を皿に置く(原句)
★明日七夕求肥の星を皿に置き(正子添削)
「皿に置く」は間違いではありませんが、説明的ですので、余情が少なくなります。「置き」と連用形で止めて余情を出しました。(髙橋正子)
7月1日
〇小口泰與
★空梅雨の上州の山くっきりと★★★
★滑らかに田植機駆ける田植かな(原句)
田植機が滑らに動いている様子ですが、「駆ける」は、速く走る意味ですので、そこまでのスピードはないと思えます。適切な語を選ぶ必要があります。
★滑らかに田植機進み田植かな(正子添削)
★まなかいの三山見事夏の朝(原句)
「見事」が散文てきなので、ここをなおします。
★まなかいの三山あざやか夏の朝(正子添削)
コメント
高橋正子先生
「滑らかに田植機駆ける田植かな」の句と「まなかいの三山見事夏の朝」の句を添削していただき有難う御座います。大変うれしく勉強になりました。今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
正子先生
いつも懇切丁寧にご指導いただき感謝しております。第1句については、季語の使い方と流派による違いについてよくわかりました。第2句については、助詞が不足していたこと、第3句については、下5を連用形で終えることによる余情の出し方について学習いたしました。さらに、各句の具体的な修正の仕方を添削句で示して頂き大変勉強になりました。有難うございます。