7月23日(木)

★睡蓮の花のひとつが離れ浮き  正子
 睡蓮の花は固まっていくつか咲いているのであろうが、一つだけ離れて浮いている。どことなく落ち着いた風景が浮かんできます。(高橋秀之)

○今日の俳句
早朝の池に蓮見の来訪者/高橋秀之
早朝、作者はジョギングか散歩で蓮池を訪ねたのだろう。そのとき、蓮見の来訪者が意外と大勢いるのに驚いた。蓮は早朝に開花するので、この開花の時間を狙っての蓮見客。(高橋正子)

○カサブランカ

[カサブランカ/横浜日吉本町]

★カサブランカ咲き特別な日々となる/山崎 杏
★今年またカサブランカの紅の蕊/稲森如風
★風そよぎカサブランカの薫りあり/中居秀童
★カサブランカに風あり白いと思う朝/高橋信之

 カサブランカがブームになって、田舎都市の松山でも愛好者が増えた。大変美しく豪華な百合であると知ったし、花屋でもまず目についた。それを自分で咲かせてみようと思ったのは、加入しているコープのパンフレットでカサブランカの球根の案内があったから。試しに注文して球根が届いた。秋に鉢植えにして花を楽しみにしていた。普通の百合のように芽がでるものとおもっていたが、筍ようような切っ先が伸びてきて驚いた。なんの手入れもなく、カサブランカの花を楽しんだ。翌年は咲かせようとはおもわなかったので、私が咲かせたカサブランカはこのときだけになっている。
 横浜・四季の森公園で山百合を見て、カサブランカほどの大きさだと思ったが、カサブランカのもとは日本の山百合であることを後で知った。私の大きさの認識については間違っていなかったということだろう。

  松山・衣山
★カサブランカ海をうしろに咲く今朝よ/高橋正子

 カサブランカの原産地は北半球の日本を含む亜熱帯~亜寒帯である。ユリ属のうちヤマユリ、タモトユリなどを原種とするオリエンタルハイブリッドの一品種。開花時期は7~8月。1970年代にオランダで作出され、世界的なブームを呼んだ。純白の大輪の花を咲かせ「ユリの女王」と言われる。結婚式の際のブーケをはじめ、主に贈り物の花束として喜ばれる花である。オリエンタル・ハイブリッドは、ヤマユリやカノコユリ、タモトユリなど森林のユリを交配して作られた品種群で、その中の「カサブランカ」が有名であるが、カサブランカを生み出す交配で主要な役割を果たしたトカラ列島口之島原産のタモトユリは、皮肉なことに自然状態ではほぼ絶滅してしまっている。なおカサブランカはモロッコの都市の一つ。なお、映画『カサブランカ(英語: Casablanca)』は、第二次世界大戦にアメリカが参戦した1942年に製作が開始され、同年11月26日に公開されたアメリカ映画で、フランス領モロッコのカサブランカを舞台にした。ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンが出演しており、映画スターベスト100(1999年)の男性1位にハンフリー・ボガート、女性4位にイングリッド・バーグマンが選ばれている。

◇生活する花たち「月見草・大賀蓮・のうぜんかずら」(横浜・四季の森公園)

■七月ネット句会入賞発表■


2015年7月ネット句会
■7月ネット句会■
■入賞/11名18句

■入賞発表/2015年7月24日
【金賞】
★歩くこと嬉しきあかご万緑へ/川名ますみ
赤子の「嬉しさ」がそのまま表現された。作者は赤子と同じ心を持つことができたので、そのことが素晴らしい。(高橋信之)

【銀賞2句】
★紫陽花を剪りつつ水の香を散らす/藤田洋子
雨に濡れた紫陽花を剪ると、まとっていた雨滴がぱらりと散ります。その時、放たれる香りを「水の香」と捉えられた。自然を五官で大切に受けとめる、すてきな生活ですね。 (川名ますみ)

★花南瓜明日咲く蕾地に立てり/柳原美知子
「明日咲く」と言い切ったところがいい。楽しみがあるのだ。明日を思って、楽しみがあるのだ。いい生活がある。(高橋信之)

【銅賞2句】
★停車駅車両に夏の風通る/高橋秀之
高原沿いのローカル線の車両でしょうか。電車が停車するたびに、さわやかな風が吹き込み旅情がさそわれるようです。(小川和子)

★明易や音の大きな母の杖/ 内山富佐子
早朝の大きな音に驚かされたのであるが、作者の嬉しさがある。杖をついてもまだまだ元気な母を嬉しく思う作者である。(高橋信之)

【高橋信之特選/8句】
★歩くこと嬉しきあかご万緑へ/川名ますみ
赤子の「嬉しさ」がそのまま表現された。作者は赤子と同じ心を持つことができたので、そのことが素晴らしい。(高橋信之)

★紫陽花を剪りつつ水の香を散らす/藤田洋子
雨に濡れた紫陽花を剪ると、まとっていた雨滴がぱらりと散ります。その時、放たれる香りを「水の香」と捉えられた。自然を五官で大切に受けとめる、すてきな生活ですね。 (川名ますみ)

★三角の水無月菓子の涼しさよ/高橋正子
三角の水無月は外郎生地の上に小豆餡をのせた和菓子ですね。三角は氷のかけらを模したもので、暑い季節に厄祓いの願を込めて頂く風習が有るようです。外郎生地が白く、口に滑らかで涼しそうな和菓子が目に浮かびます。(佃 康水)

★日盛りの病名癌もあっけらかん/高橋正子
夏の一日の日盛りの太陽を小気味よく感じながら、癌の手術を控えてはいるが、今この時の幸せに感謝しつつ、強く生きてみせるという強い気持ちの表明。(谷口博望)

★夏台風庭木支える杭を打ち/佃 康水
今年は夏の台風も大型化して日本へ来ることが多くなってます。被害のないように、杭を打つ。当たり前のようで夏台風の備えもまた大切です。 (高橋秀之)

★昇り来る日の壮大の青田かな/小口泰與
★花南瓜明日咲く蕾地に立てり/柳原美知子
★明易や音の大きな母の杖/内山富佐子

【高橋正子特選/8句】

★昇り来る日の壮大の青田かな/小口泰與
「壮大」がいい。作者の思いが読み手にそっくりそのまま伝わってくる言葉だ。読み手の眼前に「壮大の青田」がありありと浮かぶ。(高橋信之)

★歩くこと嬉しきあかご万緑へ/川名ますみ
歩き始めたあかちゃんが、万緑に向かって吸い込まれていくような景を、皆が見守っている嬉しさ、優しさが目に浮かびます。 (祝恵子)

★停車駅車両に夏の風通る/高橋秀之
単線の小さな駅に停まった電車という気がします。まわりに青田が広がっていたり、あるいは海岸のそばだったり、山の中かもしれません。人もそれほど乗っていない小さな電車の扉が開き、そこへすっと通る夏の風。そのむこうに入道雲が見えたり、蝉の声が聞こえたり、情景が見えてきます。(多田有花)

★蓮花に止まり雀のきてはやす/祝恵子
蓮池や沼、或いは庭の鉢などで茎を長く伸ばし白色、紅色に慎ましく咲いています。お盆の花としても良く使われますが其処へ雀達がとまり、喜びはやす晩夏の情景が活き活きと見えて参ります。(佃 康水)

★竹立てて流しそうめんデイの午後/河野啓一
竹を割りその中の流水へソーメンを流しながら頂くと言う趣向は何とも涼しく食欲をそそられますね。デイの皆様の楽しい風景が見えて参ります。(佃 康水)

★砂丘メロン冷やすゆかしき従姉妹たち/小川和子
砂丘メロンと聞けば風と太陽の恵みをいっぱいに浴びて自然豊かな場所で作られたものですね。そのメロンを従姉妹の皆様が冷やされています。従姉妹のみなさんの奥ゆかしい所作まで想われ、後で果汁一杯の甘いメロンを美味しく頂かれた事でしょう。(佃 康水)
従姉妹さん方で鳥取砂丘にでも旅されたときの情景でしょうか。メロン冷やす」がすっきりして「良い思い出になりますね。私事ですが、私どもでもいとこ会が計画されていましたが、先日の台風11号でどうにもならず、中止になりました。(河野啓一)

★花南瓜明日咲く蕾地に立てり/柳原美知子
私どもの裏庭でも偶々同じ景を見かけており、清楚でいきおいがあって、まさに御句のとおりでした。(河野啓一)

★明易や音の大きな母の杖/内山富佐子

【入選/6句】

★踏板を起こせば蟻の騒ぎかな/佃 康水
夏の今の時季には、地下の昆虫も動きが活発となります。普段は真っ暗な中で豊かな社会生活を営んでいたであろう蟻さんの生活が白日にさらされ、大慌てです。人の営みや他の動植物など、命あるものにとって自然界の営みは、予期せぬ事ばかりです。(桑本栄太郎)

★梅雨降れる妻入院のその朝は/高橋信之
奥様の入院を見送られたその朝の天気に託して、そこはかとない情愛を吐露されているのが印象的です。梅雨晴れの間近いことをお祈り致します。(河野啓一)
 
★青空に今朝咲き出でぬ百日紅/河野啓一
青空に咲き始めた百日紅が新鮮に目に映る、清々しい夏の朝です。これからの盛夏の到来を自ずと感じさせてくれます。(藤田洋子)

★日盛りの参道日傘増えゆけり/高橋正子
夏本番を迎え、参道を照らす日も夏の日差しになりました。増え行く日傘の数がその日差しの強さをあらわしてくれます。 (高橋秀之)

★裸子の逃げ足早しバスタオル/小口泰與
お風呂あがりの子供の様子ぴったり。思わず笑ってしまいました。もう昔になりますがうちの子もそうでした。(迫田和代)

★煮こぼるる麦茶の香り今日始まる/内山富佐子
猛暑の続く日々、水分補給のための麦茶を家族のためにたっぷり沸かすことから始まる1日。部屋中に麦茶の香ばしい匂いがたちこめ、明るく生き生きとした日々のお暮らしが伺えます。(柳原美知子)

■選者詠/高橋信之
梅雨降れる妻入院のその朝は
梅雨降れる吾も表参道の群に
梅雨降れる横浜も東京も

■選者詠/高橋正子
三角の水無月菓子の涼しさよ
日盛りの参道日傘増えゆけり
日盛りの病名癌もあっけらかん

■互選高点句
●最高点(7点)
★紫陽花を剪りつつ水の香を散らす/藤田洋子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)
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