今週の秀句/2月11日~20日


2月20日(2句)

★さえずりや和紙につつまる金平糖/小口泰與
「金平糖」は、私にとっても、子供の頃の懐かしいお菓子だ。その形といい、その色といい、懐かしいのだ。上5の「さえずり」、中7の「和紙」、下5の「金平糖」と続く、その取り合わせのイメージも懐かしさをかき立てる。(高橋信之)

★暖かや明るき川に黒き土/廣田洋一
「黒き土」にいきいきとした喜びがある。暖かくなった川の明るさにも長い冬に耐えた心をほっとさせる力がある。
自然はいいものだと思う。(高橋正子)

2月19日(6句)

★産土は良したらの芽と蕗の薹/小口泰與
「たらの芽」と「蕗の薹」は季節のもので、私の好物。見て良し、食べて良し、である。(高橋信之)

★梅が香のなかを通るを日課とす/多田有花
特に詩的だというわけではないが、下五の「日課とす」がいい。「生活の中」であることがいいのだ。(高橋信之)

★綿帽子ちぎって投げて青い空/河野 啓一
上五から中七への作者の行為が下五の「青い空」という大自然とうまく溶け合って一句が完成した。いい句だ。日常のさり気ない行為が大自然の中の一風景となった。いい風景だ。(高橋信之)

★三世代揃いて暮らす枝垂梅/廣田洋一
「三世代」を俳句に詠みこむことは簡単ではないが、いい句だ。下五の季題「枝垂梅」の働きがいい。(高橋信之)

★衒いなき雑木林の野梅かな/桑本栄太郎
季語「野梅」をうまく捉え、作者の想いが表された。(高橋信之)

★朴の芽よ高きをめざせ山よりも/谷口博望(満天星)
中七の「高きをめざせ」はやや大仰なのだが、「大仰」であることも時には良しとされてもいい。(高橋信之)

2月18日(2句)

★枝垂梅動き出したる池の鯉/谷口博望(満天星)
冬の間動きが大変に鈍かった池の鯉は、梅が咲き始めると、水の温みに動き始める。生き生きとした暖かい季節がまた廻って来たことが心よりうれしい。(高橋正子)

★見るたびに移る狭霧や奥丹波/河野啓一
奥丹波の山深さを「見るたびに移る狭霧」に、あきらかに指し示された実感がある。空気の冷涼感と共に狭霧の動きが目に見える。因みに「狭霧」は秋の季語。(高橋正子)

2月17日(1句)

★春一番一つ踏ん張り歩き出す/廣田洋一
17日は3月下旬ごろの暖かさ。いきなりの大風は春一番。風に向かうには、一つ踏ん張って歩き出さねばならない。髪は乱され、足元も掬われそうになる。けじめの春一番に踏ん張って歩み出す。ここがいい。(高橋正子)

2月16日(3句)

★あけぼのの山は紫紺や揚雲雀/小口泰與
日常の生活で発見した美しい風景だ。生活を詠んで、佳句となった。(高橋信之)

★パンジーや新しき庭を際立てり/廣田洋一
嬉しい言葉が並んだ。「パンジー」、「新しき」、「際立てり」と嬉しい言葉が並び、春を讃えた。(高橋信之)

★少女らの縄跳び興ず風光る/桑本栄太郎
素直な句だ。下五の季題「風光る」が効いた。俳句の命は、やはり季題だ。季題を下五に置き、一句を力強く終えた。「少女ら」がひ弱でなく、生き生きとしているのが嬉しい。春の「風光る」季節だ。(高橋信之)

2月15日(2句)

★菜の花や並び咲きたる線路際/廣田洋一
線路際の枯れた草々にまじり、明るく菜の花が並んで咲いている。伸びる鉄路と菜の花の取り合わせの景色がいい。(高橋正子)

★探梅や川の流れと歩を合わせ/上島祥子
探梅の頃は、川は遠い山々の雪解けの水を集めて流れている。水量を増やしている川の流れに沿って行けば、ほちほちと梅が咲き始めている。川の流れがあって、探梅の季節がより大きく捉えられている。(高橋正子)

2月14日(1句)

  <おかげ横丁>
★赤福餅春の火鉢のかたわらで/多田有花
赤福は伊勢の名物。作り立てはまた格別らしい。春は名のみの寒さに火鉢の暖かさがうれしい。こんなところに幸せがある。(高橋正子)

2月13日(2句)

★御厩の神馬の香り二月早や/多田有花
神馬にも春の訪れがある。二月というのに早やも牧の馬のような香りが神馬にもある。感覚的な句だ。(高橋正子)

★梅の花ひとかたまりに天に伸ぶ/廣田洋一
梅の花が満開となれば、ひとかたまりの白い花となって、青空に伸びている。光も強くなってきたころの梅の花の真白さが印象的だ。(高橋正子)

2月12日(2句)

内宮参拝
★参宮の二月の青空を仰ぐ/多田有花
伊勢神宮参拝の句。私にも、その体験があり、「五十鈴川」の風景も記憶に残っている。私のいい記憶を呼び覚ましていただいた。伊勢神宮参拝の記憶は、今なお鮮明であり、「二月の青空」がいい。「仰ぐ」がいい。中7と下5の破調も効果的で、一句に現実味を与えた。(高橋信之)

★野放図に畑を占め居る野梅かな/桑本栄太郎
いい風景を捉えた。無理がない表現だ。「野放図」がいい。「野梅」がいい。(高橋信之)

2月11日(1句)

★金剛のごとき幹なり梅真白/谷口博望(満天星)
風雪に耐えた梅の幹はごつごつとしてたくましい。その幹や枝からとは思えないほど真っ白ですがすがしい香りの花が開く。梅の花の良さを端的に詠んだ。(高橋正子)

2月11日~20日


2月21日(6名)

●小口泰與
千切れ雲触れればやわき猫柳★★★
風走るシャッター街の風車★★★★
巻頭と同人になる春の夢★★★

●多田有花
青空を背景に紅梅を写す★★★★
素直な句だ。その「素直な」写生がいい。「青空」と「紅梅」の唯それだけで、風格を感じさせる句だ。(高橋信之)

梅の咲く寺に響きし人の声★★★
紅白の梅青空に枝交え★★★

●廣田洋一
せせらぎの流れ早まり風光る★★★
女子アナのお腹ふくらみ風光る★★★
風光る初めてできた逆上がり★★★★
写生句であろうか。それとも思い出の句であろうか。いずれにしてもいい句だ。上五に置いた季題の「風光る」は、まさに「季」であり、「題」である。そして、それに続く「初めて」がいい言葉だ。作者の想いを載せた「いい言葉」なのだ。(高橋信之)

●古田敬二
七草になれずひそやかいぬふぐり★★★
猫車いぬのふぐりを踏まぬよう★★★
全身に森の春光俳誌読む★★★★

●桑本栄太郎
窓を開け春の吹雪の躍りけり★★★
蒼天の楽譜となりぬ銀杏芽木★★★
土くれの白き田面や風光る★★★★

●満天星
橡の木の芽吹く枝々体育館★★★
栴檀のひこばえ伸びる遊園地★★★★
碧空へ右往左往の辛夷の芽★★★

2月20日(6名)

●小口泰與
さえずりや和紙につつまる金平糖★★★★
「金平糖」は、私にとっても、子供の頃の懐かしいお菓子だ。その形といい、その色といい、懐かしいのだ。上5の「さえずり」、中7の「和紙」、下5の「金平糖」と続く、その取り合わせのイメージも懐かしさをかき立てる。(高橋信之)

菜の花や園児を乗せしひも電車★★★
梅一輪いちりん程の瀬の流★★★

●廣田洋一
友逝きし斎場の灯の冴え返る★★★
暖かや明るき川に黒き土★★★★
「黒き土」にいきいきとした喜びがある。暖かくなった川の明るさにも長い冬に耐えた心をほっとさせる力がある。
自然はいいものだと思う。(高橋正子)

ぼんやりと居間に座れり暖かき★★★

●多田有花
囀りの音はすれども姿は見えず★★★
冷凍庫の清掃をする雨水かな★★★
人の声遠ざかり梅のまた静か★★★★

●満天星
髭振つて蜷の行く先珍道中★★★
開裂の神通力や藤の莢★★★★
白梅の歓喜の泪蜜光る★★★

●桑本栄太郎
鞍馬嶺の顕となりぬ春の雪★★★★
土くれの白き田面や風光る★★★
控え目に紅を誇るや藪つばき★★★

●川名ますみ
春北風咲くべき花は残りおり★★★
春嵐倒れし鉢に芽の碧し★★★★
春北風に猫の喰む音かさなりぬ★★★

2月19日(6名)

●川名ますみ
寒禽の動かぬほどに真っ直ぐに★★★★
春一番白き紅きの揺れひとし★★★
しらうめの一際白し曇天に★★★

●小口泰與
青柳や蒼深まりて赤城山★★★
産土は良したらの芽と蕗の薹★★★★
「たらの芽」と「蕗の薹」は季節のもので、私の好物。見て良し、食べて良し、である。(高橋信之)

白鷺の瀬尻に居るや犬ふぐり★★★

●多田有花
猪が道掘り返す雨水かな★★★
梅が香のなかを通るを日課とす★★★★
特に詩的だというわけではないが、下五の「日課とす」がいい。「生活の中」であることがいいのだ。(高橋信之)

午後からは何度も雨水の時雨あり★★★

●河野 啓一
綿帽子ちぎって投げて青い空★★★★
上五から中七への作者の行為が下五の「青い空」という大自然とうまく溶け合って一句が完成した。いい句だ。日常のさり気ない行為が大自然の中の一風景となった。いい風景だ。(高橋信之)

箕面山若竹林にスズメの子★★★
稜線に明るさも見え六甲山★★★

●廣田洋一
三世代揃ひて暮らす枝垂梅★★★
「三世代」を俳句に詠みこむことは簡単ではないが、いい句だ。下五の季題「枝垂梅」の働きがいい。(高橋信之)

竹垣に枝垂れ咲きける梅の花★★★
園児らに手を振るごとく枝垂梅★★★

●桑本栄太郎
延々と朝寝の夢のいつまでも★★★
衒いなき雑木林の野梅かな★★★★
季語「野梅」をうまく捉え、作者の想いが表された。(高橋信之)

靴跡にさざ波生まる春の泥★★★

●谷口博望(満天星)
朴の芽よ高きをめざせ山よりも★★★
中七の「高きをめざせ」はやや大仰なのだが、「大仰」であることも時には良しとされてもいい。(高橋信之)

蜷行かば太鼓叩いて珍道中★★★
ぎこちなく鴎の歩く春の川★★★

2月18日(6名)

●谷口博望(満天星)
藤の莢の産みの苦しみ拾ひけり★★★
枝垂梅動き出したる池の鯉★★★★
冬の間動きが大変に鈍かった池の鯉は、梅が咲き始めると、水の温みに動き始める。生き生きとした暖かい季節がまた廻って来たことが心よりうれしい。(高橋正子)

来し方や紆余曲折の蜷の道★★★

●多田有花
小綬鶏の鳴き続けたる日の出前★★★
春きざす頂何度もジャンプする★★★★
一日の雨があがりて雨水かな★★★

●小口泰與
谷川へ掛かる雲梯春霞★★★
淡雪に緊まる砂場や鴉二羽★★★
魔の山の残雪白し鳶の笛★★★★

●河野啓一
見るたびに移る狭霧や奥丹波★★★★
奥丹波の山深さを「見るたびに移る狭霧」に、あきらかに指し示された実感がある。空気の冷涼感と共に狭霧の動きが目に見える。因みに「狭霧」は秋の季語。(高橋正子)

箕面山東へ伊吹伊賀上野★★★
鳥渡る表六甲裏六甲★★★

●桑本栄太郎
「爆発」の母や岡本かの子の忌★★★
歌いつつ小川の流る雨水かな★★★
おそ春の群れて塒へすずめどち★★★★

●廣田洋一
クロッカス黒き土より涌き出でし★★★
日を貯めて土に広げるクロッカス★★★★
白黄色咲き乱れをるクロッカス★★★

2月17日(5名)

●多田有花
梅林に帰る日近きじょうびたき★★★★
頂から見やる大霞の播磨灘★★★
頂に春の日差しの溢れおり★★★

●小口泰與
梅が香や赤城榛名の襞定か★★★★
交番の電話鳴りけり春嵐★★★
凍返る空は青きよ醇乎たり★★★

●谷口博望(満天星)
大鯉の浮き上りたる春の池★★★★
かいつぶり川を行くなり山頭火★★★
天窓を駆け行く雲や春疾風★★★

●廣田洋一
春一番頬に刺し込む砂ぼこり★★★
荒ぶとも空の青さよ春一番★★★
春一番一つ踏ん張り歩き出す★★★★
17日は3月下旬ごろの暖かさ。いきなりの大風は春一番。風に向かうには、一つ踏ん張って歩き出さねばならない。髪は乱され、足元も掬われそうになる。けじめの春一番に踏ん張って歩み出す。ここがいい。(高橋正子)

●桑本栄太郎
下萌や雷鳥号の金沢へ★★★★
春寒し群れて塒へすずめどち★★★
春きざすビルの茜の夕日かな★★★

2月16日(5名)

●谷口博望(満天星)
枝垂梅せせらぎ川の水光る★★★
かいつぶり浮かば潜りて一人旅★★★
春浅し声いとけなき四十雀★★★★

●多田有花
<北摂・三草山登山三句>
春雪が遠きビル群を隠す★★★★
春の雪何度も通り過ぎてゆく★★★
茅葺と棚田二月の雪化粧★★★

●小口泰與
淡雪につまずく我の覚束無★★★
洗髪の乾く早さや名残雪★★★
あけぼのの山は紫紺や揚雲雀★★★★
日常の生活で発見した美しい風景だ。生活を詠んで、佳句となった。(高橋信之)

●廣田洋一
庭の隅色鮮やかに三色菫★★★
川べりに薄く光れる菫かな★★★
パンジーや新しき庭を際立てり★★★★
嬉しい言葉が並んだ。「パンジー」、「新しき」、「際立てり」と嬉しい言葉が並び、春を讃えた。(高橋信之)

●桑本栄太郎
若枝の青きしだれや軒の梅★★★
春日射すバスの家路や遠回り★★★
少女らの縄跳び興ず風光る★★★★
素直な句だ。下五の季題「風光る」が効いた。俳句の命は、やはり季題だ。季題を下五に置き、一句を力強く終えた。「少女ら」がひ弱でなく、生き生きとしているのが嬉しい。春の「風光る」季節だ。(高橋信之)

2月15日(6名)

●谷口博望(満天星)
ほつほつと垣根を越えて枝垂梅★★★★
水仙花日向の我へお辞儀して★★★
春の日やロープを揺らす尉鶲★★★

●小口泰與
毎朝の蜆汁とや見事なり★★★
あけぼのの赤城山(アカギ)むらさき揚雲雀★★★★
初虹や父の齢を越えにける★★★

●多田有花
<伊勢>
おはらい町干物焼く香の冴返る★★★
春未明雪降る中を出勤す★★★★
ひっそりと葉陰に咲き初め白椿★★★

●廣田洋一
牡丹雪地を強く打ち砕け散る★★★
菜の花や並び咲きたる線路際★★★★
線路際の枯れた草々にまじり、明るく菜の花が並んで咲いている。伸びる鉄路と菜の花の取り合わせの景色がいい。(高橋正子)

休耕の畑とりまく花菜かな★★★

●桑本栄太郎
冴え返る雲の嶺ゆく日射しかな★★★
芽柳の青きしだれや川風に★★★★
料峭の川に沿いつつ下りけり★★★

●上島祥子
探梅や川の流れと歩を合わせ★★★★
探梅の頃は、川は遠い山々の雪解けの水を集めて流れている。水量を増やしている川の流れに沿って行けば、ほちほちと梅が咲き始めている。川の流れがあって、探梅の季節がより大きく捉えられている。(高橋正子)

手摺より小さな子ばかり春の川★★★
山国の春木まだ遠き県境★★★

2月14日(6名)

●谷口博望(満天星)
曲りたる被爆九輪や春の雲★★★
観音の鯉浮き上る春の池★★★
春の日の道さきざきに鶲かな★★★★

●小口泰與
渓流のごうごうと吠ゆ蕗の薹★★★★
亀鳴くや公共事業遅延せる★★★
為政者の空事人や朧月★★★

●多田有花
<おかげ横丁>
赤福餅春の火鉢のかたわらで★★★★
赤福は伊勢の名物。作り立てはまた格別らしい。春は名のみの寒さに火鉢の暖かさがうれしい。こんなところに幸せがある。(高橋正子)

青空や山の向こうは春の豪雪★★★
慎重に下る凍結春の坂★★★

●廣田洋一
春浅し切られしままの枝の先★★★
春浅し朝の月光白々と★★★
陽だまりに子らの集へり春浅し★★★★

●上島祥子
冷たさを輝き放つ伊吹かな★★★
風花の落ちては解けるウィンドウ★★★
岐阜城を支える春の緑かな★★★★

●桑本栄太郎
いつまでも峡の白きやはだれ嶺★★★
芽柳の青き枝垂れや川風に★★★★
うじうじと一ト日待ち居りバレンタイン★★★

2月13日(5名)

●谷口博望 (満天星)
梅に来て空中ショーの目白かな★★★
蠟梅を花ごと毟る鵯の嘴★★★
料峭や鴎の雄姿上流へ★★★★

●多田有花
<内宮参拝三句>
みな静かに歩む神宮浅き春★★★
金色に鰹木光る春の朝★★★
御厩の神馬の香り二月早や★★★★
神馬にも春の訪れがある。二月というのに早やも牧の馬のような香りが神馬にもある。感覚的な句だ。(高橋正子)

●小口泰與
雛菊や遊具に興ず園児達★★★★
春暁の田川滔滔残る月★★★
さえずりや夜の薪水我知らぬ★★★

●廣田洋一
生垣の上に伸びたる梅の花★★★
梅の花ひとかたまりに天に伸ぶ★★★★
梅の花が満開となれば、ひとかたまりの白い花となって、青空に伸びている。光も強くなってきたころの梅の花の真白さが印象的だ。(高橋正子)

白と紅枝先絡め梅の花★★★

●桑本栄太郎
降り止みて空の青さよ斑雪嶺★★★★
川沿いに下る小路や風光る★★★
春北風の日射しきらめく川面かな★★★

2月12日(5名)

●谷口博望(満天星)
武士道は弱きを助く梅真白★★★
料峭や声もそぞろの四十雀★★★
天窓を流るる雲や春疾風★★★★

●多田有花
<内宮参拝三句>
参宮の二月の青空を仰ぐ★★★★
伊勢神宮参拝の句。私にも、その体験があり、「五十鈴川」の風景も記憶に残っている。私のいい記憶を呼び覚ましていただいた。伊勢神宮参拝の記憶は、今なお鮮明であり、「二月の青空」がいい。「仰ぐ」がいい。(高橋信之)

早春の光を浮かべ五十鈴川★★★
春浅き宇治橋渡り神苑へ★★★

●小口泰與
たんぽぽや榛名山(はるな)は夕日寄せ付けず★★★★
春落葉河原駆けるや夕鴉★★★
遠ざかる人の名遥か梅の花★★★

●廣田洋一
春の雪白く残れる道の端★★★
春の夜や遠回りして散歩せり★★★
公園のベンチ明るし春の夜★★★★

●桑本栄太郎
野放図に畑を占め居る野梅かな★★★★
いい風景を捉えた。無理がない表現だ。「野放図」がいい。「野梅」がいい。(高橋信之)
 
近鉄の路地の小坂や菜の花忌★★★
<田舎の追憶>
海苔掻やはるか果てなる隠岐の島★★★

2月11日(5名)

●小口泰與
蒼空へ長き裾野や暮長し★★★
山裾の寸馬豆人牧開き★★★★
目薬の日日の一滴冴返る★★★

●廣田洋一
顔ほてり体温測る春の風邪★★★
知らぬ間に眠りこけたる春の風邪★★★★
待ちかねし旅を取り消す春の風邪★★★
(お大事に。)

●(満天星)
幹の手は金剛のごと梅真白(原句)
金剛のごとき幹なり梅真白★★★★(正子添削)
俳句では、「ごとき」の使用を嫌うが、この句は、いい。下五の「梅真白」が見事だからだ。(高橋信之)

銀色に輝くジェット風花す(原句)
銀色に輝くジェット機風花す★★★(正子添削)
雛鳥や春動きたる西ノ島★★★

●桑本栄太郎
日もすがら明暗しきりや春の雪
父母の在りて故郷や磯菜摘む
降る注ぐ日射しきらめく建国日

●多田有花
春の宵湯を囲みける伊勢の杜
海山の幸を味わう春の伊勢
春の朝バイキングで食ぶ手こね寿司

自由な投句箱/2月1日~10日


※当季雑詠3句(冬・春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
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※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

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今週の秀句/2月1日~10日


2月10日(2句)

★さえずりや山の冷気を腹に吸い/小口泰與
さえずりが聞こえる春の山。春とは言え、山はまだ空気が厳しく冷えている。冷気を吸うのが「腹」であるのは身体深く吸い込んだ証拠。(高橋正子)

★そこだけは日当たりの良き犬ふぐり/廣田洋一
春の日射しが届くところに青い犬ふぐりの花が咲く。春が来たことをまず知らせてくれる大犬のふぐりは誰にとっても嬉しい花だ。(高橋正子)

2月9日(2句)

<お伊勢参り三句>
★早春の外宮の鳥居まずくぐる/多田有花
句の情景がありありと読み手の眼に浮かび、そして詠み手の思いが伝わってくる。いい句だ。(高橋信之)

★禽の巣の定かや空へ銀杏の木/小口泰與
中七の「定か」がいい。作者の想いがそこにある。(高橋信之)

2月8日(2句)

<伊勢の旅>
★春浅き床几で食べる伊勢うどん/多田有花
上五の季題「春浅き」がいい。そして、句の軽さがいい。俳句の良さを存分に生かした佳句だ。(高橋信之)

★水滴となりてきらめく木の芽かな/桑本栄太郎
ふと見た風景に詩心が動いた。詩が生まれたのだ。何気ない日常から詩が生まれた。それは、無から生まれた、大きな存在なのだ。(高橋信之)

2月7日(2句)

★夕暮れの空きしぶらんこ座ってみる/廣田洋一
下五「座ってみる」の「みる」がいい。作者の姿と心がリアルに見えてくる。自分自身の姿を写生した、いい句だ。(高橋信之)

★たんぽぽの土手の南を占めにけり/桑本栄太郎
懐かしい風景だ。おそらく、一人居る世界であろうが、それで充分であり、不足していない。(高橋信之)

[2月6日](2句)

★遅き日や田川を見入るランドセル/小口泰與
子供たちのいい生活だ。季題「遅き日」が「田川」、「ランドセル」と続き、子供たちを詠んだ、いい生活句が生まれた。(高橋信之)

★青空に膨らみ登る猫柳/廣田洋一
「猫柳」を詠んで、個性のある句。日常の生活の中に自分を発見した。中7の「膨らみ登る」は、作者自身の発見なのだ。そこがいい。(高橋信之)

[2月5日](2句)

★木の影のくっきり伸びて春立つ日/多田有花
春立つ日は良い天気。木の影がくっりと伸びている。「伸びる」が春立つ日に相応しい。(高橋正子)

★山すその甍きらめき春立ちぬ/桑本栄太郎
春はどこに来るかと問われたような句だ。山すその家々の甍がきらめき春の日を浴びている。そこに春がきている。(高橋正子)

[2月4日](2句)

★雲低く垂れ込め蝋梅匂うかな/多田有花
自宅の近くを散歩すると庭の蝋梅を見かける。早春の花として、私の好きな花の一つで、遠くからも匂ってくる。四国松山の郊外の砥部に住んでいた時の自宅にもあった。敷地が百坪を少し超えていたので、様々な草花を育てていた。その中に「蝋梅」もあった。私は、大阪生まれで、海外で育ったが、母も妻も農家の出身だったので、草花のことを教えてもらった。(高橋信之)

★春立ちぬ物干し台に光り満つ/廣田洋一
日常の生活を詠んだ句だが、身近な生活がもつ強さがあって、佳句となった。下五を「光り満つ」で終え、一句に力を与えた。(高橋信之)

[2月3日](2句)

★山の鬼街の鬼居り節分会/小口泰與
節分会に山の鬼、街の鬼がいる。物語めいて、どこがどう違うのか、見てみたいものだ。あらゆる邪気を払い福を呼び込みたい。(高橋正子)

★風花の舞えば日射しのきらめける/桑本栄太郎
風花に日射しが当たって、当たれば、日射しがきらめく。風花が儚くも美しい。(高橋正子)

[2月2日](1句)

★置き薬点検にくる春隣/多田有花
置き薬は、懐かしい。今は車で家庭を回っているのだろうが、私の記憶には、大きなくろっぽい風呂敷にの荷物を背負って富山から来ていた。四角な紙風船をくれたものだが、遠いところからいい便りを運んできてくれるイメージがある。「春隣」にもそういう感覚がある。(高橋正子)

[2月1日](1句)

★下校子の笛吹きながら日脚伸ぶ/桑本栄太郎
日脚が伸びると子供もなにかうれしくなるのだろう。笛を吹きながらの下校が伸び伸びと楽しくなる。
(高橋正子)

2月1日~10日


2月10日(5名)
作業中!

●小口泰與
春草のダックス犬の腹癒す★★★
揚ひばり朝月被く浅間山★★★
さえずりや山の冷気を腹に吸い★★★★

●多田有花
<外宮>
鴨群れる勾玉池の余寒かな★★★
<神宮徴古館>
遷宮の美を見に春寒を歩く★★★★
<伊勢>
家々に魔除けの注連縄春早し★★★

●廣田洋一
そこだけは日当たりの良き犬ふぐり★★★★
牡丹雪窓に当たりて光りける★★★
時にぼたぼたときにちらちら春の雪★★★

●桑本栄太郎
夢を追い二度寝となりぬ春の雪★★★
朝寝して何処か遠くに妻の声★★★★
降り止めば日射し明るき春の雪★★★

●谷口博望 (満天星)
ビル街にとんび舞いけり風花す★★★
かいつぶり浮けばくぐりて橋の下★★★★
吊り橋を渡れば下に蜆舟★★★

2月9日(6名)

●多田有花
<お伊勢参り三句>
早春の外宮の鳥居まずくぐる★★★★
句の情景がありありと読み手の眼に浮かび、そして詠み手の思いが伝わってくる。いい句だ。(高橋信之)

古殿地の向こうに正宮春淡し★★★
冴返る日本の神は簡素なる★★★

●小口泰與
たんぽぽや傘はおちょこのランドセル★★★
禽の巣の定かや空へ銀杏の木★★★★
中七の「定か」がいい。作者の想いがそこにある。(高橋信之)

鳴神山(なるかみ)も鍋割山も笑い初む★★★

●廣田洋一
汲み置きし水の氷れる余寒かな★★★★
コーヒーの香れる居間の余寒かな★★★
肺炎の完治してなほ余寒あり★★★

●満天星
料峭や梧桐の莢を風が抜け★★★★
人なくて隣家の梅のほつほつと★★★
水仙や挫折はじまる若き日よ★★★

●川名ますみ
立春の紫陽花の芽に増す力★★★★
ベランダにうすべにの円梅散りぬ★★★
斜めへと霙の窓に鳥の影★★★

●桑本栄太郎
白魚や宍道湖畔の舫い舟★★★★
待針のつまみ色褪せ針供養★★★
何もかも音鎮めたり春の雪★★★

2月8日(5名)

●多田有花
<伊勢の旅三句>
しまかぜは余寒の中を走りけり★★★
駅を出て輝く二月の風の中★★★
春浅き床几で食べる伊勢うどん★★★★
上五の季題「春浅き」がいい。そして、句の軽さがいい。俳句の良さを存分に生かした佳句だ。(高橋信之)

●小口泰與
ほつほつと梅のふふみし春の雨★★★★
榛名山(はるな)晴れ里は雪解の風被く★★★
帰省せる産土の湖百千鳥★★★

●満天星
春寒や皂莢の木に昼の月★★★
紅梅の色鮮やかや昼の月★★★★
昼の月濃さを増しつつ春暮るる★★★

●廣田洋一
事八日税務調査の終わりけり★★★
黒雲の動き急なる春寒し★★★★
春寒の風に吹き飛ぶ日の光★★★

●桑本栄太郎
また見ればすでに雨なり春の雪★★★
水滴となりてきらめく木の芽かな★★★★
ふと見た風景に詩心が動かされた。詩が生まれたのだ。何気ない日常から詩が生まれた。それは、無から生まれた、大きな存在なのだ。(高橋信之)

こはぜ縫う祖母の眼鏡や針供養★★★

2月7日(5名)

●多田有花
立ち並ぶクレーンのかなた春の城★★★★
春寒料峭貨物列車は光載せ★★★
春時雨くぐりぬけたり伊勢に立つ★★★

●小口泰與
春めくや露天の風呂へゆったりと★★★★
朧夜や鯵ヶ沢甚句口ずさみ★★★
冴返る風に舞い散る車券かな★★★

●満天星
麗しき白梅の目は潤みけり★★★
身をねじりいのちをつなぐ藤の莢★★★
残雪の山道行けば昼の月★★★★

●廣田洋一
ぶらんこの風待ちしをる木の葉かな★★★
夕暮れの空きしぶらんこ座ってみる★★★★
下五「座ってみる」の「みる」がいい。作者の姿と心がリアルに見えてくる。自分自身の姿を写生した、いい句だ。(高橋信之)

通りがけふとぶらんこ押してみる★★★

●桑本栄太郎
青空に鉄塔ならぶ春の山★★★
たんぽぽの土手の南を占めにけり★★★★
懐かしい風景だ。おそらく、一人居る世界であろうが、それで充分であり、不足してはいない。(高橋信之)

料峭の田面吹きゆく野風かな★★★

2月6日(4名)

●多田有花
立春の空にかかりし飛行機雲★★★★
早春の陽を照り返す照葉樹★★★
青空やいま梅が香の真ん中に★★★

●小口泰與
遅き日や田川を見入るランドセル★★★★
子供たちのいい生活だ。季題「遅き日」が「田川」、「ランドセル」と続き、子供たちを詠んだ、いい生活句だ。(高橋信之)

春暁の山風利根川(とね)を越えにけり★★★
春星や芸妓乗りたる人力車★★★

●廣田洋一
春の雪祭りの像に戯れる★★★
川べりの風受け光る猫柳★★★
青空に膨らみ登る猫柳★★★★
「猫柳」を詠んで、個性のある句。日常の生活の中に自分を発見した。中7の「膨らみ登る」は、作者自身の発見なのだ。そこがいい。(高橋信之)

●桑本栄太郎
括られて白菜並ぶ春の畑★★★★
木蓮の芽の色めける日射しかな★★★
青空をみな恋し居り桜芽木★★★

2月5日(5名)

●多田有花
雲間より漏れる日差しや冬終わる★★★
播磨灘沖より春の来たりけり★★★
木の影のくっきり伸びて春立つ日★★★★
春立つ日は良い天気。木の影がくっりと伸びている。「伸びる」が春立つ日に相応しい。(高橋正子)

●小口泰與
里は今榛名富士より春來り★★★★
あけぼの銀杏並木や春きざす★★★
春雪や木木を飛び交う禽の声★★★

●満天星
四十雀ツーピツーピと春を呼ぶ★★★
よちよちと野原に上がる春の鴨★★★★
春鶲馬鹿と云われて人が好き★★★

●廣田洋一
空向きて一輪咲きし赤椿★★★★
春立ちぬ桜一輪光添へ★★★
黄水仙二本並びて凛と立つ★★★

●桑本栄太郎
草の間に首を竦めし犬ふぐり★★★
山すその甍きらめき春立ちぬ★★★★
春はどこに来るかと問われたような句だ。山すその家々の甍がきらめき春の日を浴びている。そこに春がきている。(高橋正子)
水仙の風もてあそぶ矜持かな★★★

2月4日(4名)

●多田有花
雲低く垂れ込め蝋梅匂うかな★★★★
自宅の近くを散歩すると庭の蝋梅を見かける。早春の花として、私の好きな花の一つで、遠くからも匂ってくる。四国松山の郊外の砥部に住んでいた時の自宅にもあった。敷地が百坪を少し超えていたので、様々な草花を育てていた。その中に「蝋梅」もあった。私は、大阪生まれで、海外で育ったが、母も妻も農家の出身だったので、草花のことを教えてもらった。(高橋信之)

節分の法螺貝の音響きおり★★★
節分の山路にあいさつを交わす★★★

●小口泰與
春めくや榛名はなるる根無し雲★★★★
春むかし酒井氏治む厩橋★★★
早春や畷の左右桑の木木★★★

●廣田洋一
立春の雪くっきりと富士の山★★★
春立ちぬ物干し台に光り満つ★★★★
日常の生活を詠んだ句だが、身近な生活がもつ強さがあって、佳句となった。下五を「光り満つ」で終え、一句に力を与えた。(高橋信之)

紅き芽や春のはじける猫柳★★★

●満天星
緋鳥鴨ピューイと鳴けば類を呼ぶ★★★★
枯れ芦の鵙の目つきは爛々と★★★
翡翠のモデル可愛や春の堀★★★

2月3日(5名)

●谷口博望(満天星)
海風の港広場に凧一つ★★★★
裸木の医院に傘の忘れもの★★★
むく群れて樟の天辺裸木に★★★

●多田有花
はらはらと名残の雪の舞いにけり★★★
残照に金色の雲日脚伸ぶ★★★★
豆まきの豆は殻つきピーナッツ★★★

●小口泰與
節分の豆に羽ばたく鴉かな★★★
山の鬼街の鬼居り節分会★★★★
節分会に山の鬼、街の鬼がいる。物語めいて、どこがどう違うのか、見てみたいものだ。あらゆる邪気を払い福を呼び込みたい。(高橋正子)

掛け声は福は内のみ翁かな★★★

●廣田洋一
節分や昼間は笑顔鬼の面★★★★
節分や二度も入りしサウナ風呂★★★
今更に撒くことなきも豆を買ふ★★★

●桑本栄太郎
遠き子の登園思うはやり風邪★★★
風花の舞えば日射しのきらめける★★★★
風花に日射しが当たって、当たれば、日射しがきらめく。風花が儚くも美しい。(高橋正子)
豆まきの鬼は酔いたるこの爺に★★★

2月2日(5名)

●多田有花
置き薬点検にくる春隣★★★★
置き薬は、懐かしい。今は車で家庭を回っているのだろうが、私の記憶には、大きなくろっぽい風呂敷にの荷物を背負って富山から来ていた。四角な紙風船をくれたものだが、遠いところからいい便りを運んできてくれるイメージがある。「春隣」にもそういう感覚がある。(高橋正子)

切れのよきペーパーナイフ二月来る★★★
ジューサーに入れる人参真っ二つ★★★

●谷口博望 (満天星)
忽然と飛び立つ翡翠冬の堀★★★★
寒落暉浜辺に二つ人の影★★★
浮島へやさしき冬日亀眠る★★★

●小口泰與
司馬遷の史記を閉じたり日脚伸ぶ★★★★
快晴や雪の浅間の自ずから★★★
侘助や自ずと髪膚痛みける★★★

●廣田洋一
川縁のやはき光や春隣★★★★
あぢさゐの芽ほぐれそうに春隣★★★
恵方巻の試作頂く春隣★★★

●桑本栄太郎
爆睡となりし二度寝や春隣り★★★
へっついの少し焦げあり火吹竹★★★
雨垂れとなりし垂氷や里の昼★★★★

2月1日(5名)

●小口泰與
冬落暉田居を超えたる己が影★★★
春近し枯枝囃す群すずめ★★★★
鈴なりの雀飛び交う春隣★★★

●満天星
凍空の枝垂れ柳や電車行く★★★
鴎飛び辛夷の冬芽銀色に★★★★
原生林抜ければ瀬戸へ寒落暉★★★

●多田有花
山々の稜線優し春隣★★★★
寒中の山下り露天のジャグジーへ★★★
梅林に鳥の声あり一月尽★★★

●廣田洋一
雲一つ置かれぬ空に星冴ゆる★★★
夜明け前牛乳配る音冴える★★★★
寒菊やゆらゆら揺れる庭の隅★★★

●桑本栄太郎
窓開けてみずいろ空やニン月に★★★
三寒の四温となりぬ青き空★★★

下校子の笛吹きながら日脚伸ぶ★★★★
日脚が伸びると子供もなにかうれしくなるのだろう。笛を吹きながらの下校が伸び伸びと楽しくなる。
(高橋正子)

自由な投句箱1月21日~31日


※当季雑詠3句(冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
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※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
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主宰:高橋正子・管理:高橋信之

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今週の秀句/1月21日~31日


[1月31日]

★鬼やらいやられっぷりの練習す/廣田洋一
鬼やらいの鬼役は、役者とも言えて、やられっぷりが見せ所。練習の甲斐あって、楽しい鬼やらいとなること間違いなし。(高橋正子)

[1月30日]

★ぱっぱっと日ごと春待つ梅開く/多田有花
梅が開くのを「ぱっぱっと」とは、歯切れよく、梅の清潔感につながる。日ごとに梅が白い花を全開にする。春は「日ごと」近づくのだ。(高橋正子)

[1月29日]

★掌のひまわりの種に来る寒禽/多田有花
手のひらに小鳥が来て、驚くような嬉しさ。警戒心を解いた寒禽が可愛いい。もちろん、作者も。(高橋正子)

[1月28日]

★十能の燠を掻き混ぜ堀火燵/桑本栄太郎
懐かしい風景だ。昔はどこの家庭にも「堀火燵」があって、そこが家庭団欒の場であった。(高橋信之)

★カラフルなウィンドブレーカー持久走/上島祥子
「持久走」は70%ぐらいの力で5~30分間走ることであるが、学校現場では全力で走り競争を伴う長距離走と混同されていることが多い。長い距離を走ることは文科省の学習指導要領(小学校)では長距離走ではなく持久走として扱うこととしている。日本の小・中・高等学校ではしばしば持久走大会(もしくはマラソン大会)が行われる。私は、小・中・高を通じて、最も得意な競技は、持久走(マラソン)であった。(高橋信之)

[1月27日]

★群雀枯野を囃し忽と翔つ/小口泰與
蕭条とした枯野が雀の群れに一頻りにぎやかに囃されていた。と、思うと、雀らは忽然と飛び立って、枯野はもとの寂しい枯野に。稲雀とはまた違う雰囲気だ。(高橋正子)

★探梅や日射しに近き丘の上/桑本栄太郎
丘は太陽の日射しに近い。見晴らしもよく、暖かいところとなり、梅の花もまずこんなところから開く。探梅のころの日射しの明るさが嬉しい。
「日射しに近い」の表現に一瞬、戸惑ったが、「日射しに近い頭から帽子を冠り日射病を防ぐ」という例にあたった。(高橋正子)

[1月26日]

★群雀枯野を囃し忽と翔つ/小口泰與
蕭条とした枯野が雀の群れに一頻りにぎやかに囃されていた。と、思うと、雀らは忽然と飛び立って、枯野はもとの寂しい枯野に。稲雀とはまた違う雰囲気だ。(高橋正子)

★探梅や日射しに近き丘の上/桑本栄太郎
丘は太陽の日射しに近い。見晴らしもよく、暖かいところとなり、梅の花もまずこんなところから開く。
探梅のころの日射しの明るさが嬉しい。
「日射しに近い」の表現に一瞬、戸惑ったが、「日射しに近い頭から帽子を冠り日射病を防ぐ」という例にあたった。(高橋正子)

[1月25日]

★寒晴の日射し眩しきバスの窓/桑本栄太郎
特に珍しい風景ではないが、作者の実感が読み手に伝わってくる。私の好きな、いい句だ。(高橋信之)

[1月24日]

  法隆寺から松尾山登山
★振り向けば五重塔の春を待つ/多田有花
松尾山へ登り、振り返って五重塔を見れば、春はそこに来ているという光のある景色だ。五重塔が春を待つのも斑鳩の里の趣だ。(高橋正子)

★外つ国のお客もてなす敷松葉/廣田洋一
外国からのお客をもてなすときは特に、日本の風情を味わってもらいたいと思う心が働く。敷松葉は、苔の保護のため敷かれるが、「枯」の風情にもなっている。楽しんでもらえただろう。(高橋正子)

★寒梅や少年野球の河川敷/桑本栄太郎
「寒梅」に「少年野球」。いい風景だ。「寒」であれば、なお、いい風景だ。季語の「寒」が「季題」となった。(高橋信之)

[1月23日]

★二輪目は夕日へ向かい梅ひらく/川名ますみ
一輪目が開いたうれしさ。そして二輪目の梅の花を見たのは、夕日の中。夕日に花を向けて、夕日にあたたかく染まっている。二輪目の愛おしさ。(高橋正子)

★硝子戸の夜空美はし寒雷忌/桑本栄太郎
寒雷忌は、大須賀乙字の忌日で、1月20日。この日は大寒となった日であったから、厳寒の空気に夜空は美しく澄んでいた。(高橋正子)

[1月22日]

★探梅の里にもういいかいの声響く/上島祥子
探梅に出かけた里。思いかげず、子供の「もういいかいの声」。「もういいかい」に昭和の遊びがまだ残っているなつかしさ。探梅の里の昭和にタイムスリップしたような長閑さ。(高橋正子)

[1月21日]

★大寒の頂に立つ影法師/多田有花
季題を「大寒」とした、いい句だ。季節感がいい。(高橋信之)

1月21日~31日


1月31日(6名)

●多田有花
<千苅ダム放水>
寒の水ごうごうと我が眼前に★★★
<大岩岳登山二句>
春近き北摂の頂に立つ★★★
春隣る頂に茶をたてにけり★★★★

●谷口博望(満天星)
繊月に寄り添う星や冬夕焼★★★★
冬天や消失したる樗の実★★★
凍雲や干潟へ上る番鴨★★★

●小口泰與
有明のおとろう星や鶏つるむ★★★
句会済み外に出づるや日脚伸ぶ★★★★
夕暮のおとろう利根川(とね)や枯尾花★★★

●廣田洋一
鬼やらいやられっぷりの練習す★★★★
鬼やらいの鬼役は、役者とも言えて、やられっぷりが見せ所。練習の甲斐あって、楽しい鬼やらいとなること間違いなし。(高橋正子)

春を待ちきれず咲きたる花の有り★★★
明日もまた入試を受けて春を待つ★★★

●桑本栄太郎
雨雲の追いかけ行くや冬の虹★★★
雲途切れあおぞら覗く春隣り★★★
山すその田面のけぶる野焼かな★★★★

1月30日(6名)

●谷口博望(満天星)
万両の日向に立ちてビデオかな★★★
万両やゆるゆる泳ぐ池の鯉★★★
万両や道案内の尉鶲★★★★

●小口泰與
一筋の入日差しけり小白鳥★★★★
入日差す河やスワンの翔りける★★★
白鳥の羽霧り翔ける落暉かな★★★

●多田有花
新しきピークに座り春を待つ★★★
ぱっぱっと日ごと春待つ梅開く★★★★
梅が開くのを「ぱっぱっと」とは、歯切れよく、梅の清潔感につながる。日ごとに梅が白い花を全開にする。春は「日ごと」近づくのだ。(高橋正子)

春近し川波きらきらと光る★★★

●河野啓一
うす暗き狭庭の奥の水仙花★★★
隣屋の白うつくしき雪の庭★★★★
雪の色白く輝きとなり屋に★★★

●廣田洋一
春隣桜便りの届きけり★★★★
冬日和梅に椿に桜とは★★★
春節の踊り華やか春隣★★★

●桑本栄太郎
寒暁の仄と茜やビルの壁★★★★
部活子の雄叫び上ぐる春隣り★★★
寒晴の峰の白きや鞍馬山★★★

1月29日(5名)

●谷口博望(満天星)
浮島や春を待つなり鷺と亀★★★★
ひつそりと厠のそばの寒文目★★★
囲はれて遊女の二人冬牡丹★★★

●多田有花
大霜のなかをゆっくり車の列★★★
紅梅に寒青空のまぶしさよ★★★
掌のひまわりの種に来る寒禽★★★★
手のひらに小鳥が来て、驚くような嬉しさ。警戒心を解いた寒禽が可愛いい。もちろん、作者も。(高橋正子)

●廣田洋一
二股に割れし大根掘り出しぬ★★★
パック詰め鰤大根の売られけり★★★
日を浴びて紅梅開く植木鉢★★★★

●小口泰與
群の中エヘン顔なる大白鳥★★★
パン屑を競う白鳥入日かな★★★★
遅れたる白鳥一羽こうと啼く★★★

●桑本栄太郎
冬萌の稲株白き田面かな★★★
もくれんの雨に潤う冬芽どち★★★
枝先の赤き滲みや寒の雨★★★★

1月28日(6名)

●多田有花
マルビルの向こうに寒の朝日さす★★★★
真っ暗な空から雪の降ってくる★★★
コートにもベンチにも小さな霰★★★

●小口泰與
震動におづる小犬や雪起し★★★
寒鯉や白極まりし浅間山★★★★
初七日の友の遺影や花八つ手★★★

●廣田洋一
春節の旅人迎へ春間近★★★★
いそいそと旅支度する春近し★★★
用水路水量増えて春近し★★★

●満天星
うろうろとカメラ片手に梅見人★★★
探梅や鶲出てきてポーズとり★★★
白梅の蜜きらきらと蕊の奥★★★★

●桑本栄太郎
橡の芽のぬめり輝く冬芽かな★★★
ぽつこりと父を背中に掘火燵★★★
十能の燠を掻き混ぜ堀火燵★★★★
懐かしい風景だ。昔はどこの家庭にも「堀火燵」があって、そこが家庭団欒の場であった。(高橋信之)

●上島祥子
寒の朝雀の声の澄み渡る★★★
飼い猫の定位置となるファンヒータ★★★
カラフルなウィンドブレーカー持久走★★★★
「持久走」は70%ぐらいの力で5~30分間走ることであるが、学校現場では全力で走り競争を伴う
長距離走と混同されていることが多い。長い距離を走ることは文科省の学習指導要領(小学校)
では長距離走ではなく持久走として扱うこととしている。日本の小・中・高等学校ではしばしば
持久走大会(もしくはマラソン大会)が行われる。私は、小・中・高を通じて、最も得意な競技
は、持久走(マラソン)であった。(高橋信之)

1月27日(6名)

●多田有花
鴨浮かぶ斑鳩の里の池の朝★★★★
敬礼し車掌交代寒の朝★★★
六甲の山を煙らせ朝時雨★★★

●小口泰與
群雀枯野を囃し忽と翔つ★★★★
蕭条とした枯野が雀の群れに一頻りにぎやかに囃されていた。と、思うと、雀らは忽然と飛び立って、枯野はもとの寂しい枯野に。稲雀とはまた違う雰囲気だ。(高橋正子)

蒼天の銀杏並木や冬の禽★★★
心友の遺景の瞳冬菫★★★

●満天星
蠟梅や今年も主見ぬままに★★★★
曲り角蠟梅ほのと香りけり★★★
蠟梅や匂ひを放つ金の鈴★★★

●桑本栄太郎
探梅や日射しに近き丘の上★★★★
丘は太陽の日射しに近い。見晴らしもよく、暖かいところとなり、梅の花もまずこんなところから開く。
探梅のころの日射しの明るさが嬉しい。
「日射しに近い」の表現に一瞬、戸惑ったが、「日射しに近い頭から帽子を冠り日射病を防ぐ」という例にあたった。(高橋正子)

寒禽の小枝に潜む日射しかな★★★
白きもの峡にありけり寒の晴★★★

●廣田洋一
初句会折句を詠めど気付かれず★★★
初句会病持つ人多かりき★★★★
二次会はカラオケとなる初句会★★★

上島祥子
雪嶺の厳しさ吸い込む県境★★★
剥き出しの枝の先には冬の空★★★★
悴んだ手に靴紐のもどかしさ★★★

1月26日(5名)

●谷口博望(満天星)
雪景色行商の母まなうらに★★★★
いい句だ。風景がいいのだ。生活感がいいのだ。(高橋信之)

風花や観音様は母の顔★★★
風花や青桐の莢ざわめける★★★

●多田有花
山路ゆくあまたしずりを受けながら★★★★
駐車場に溶け残りたる雪だるま★★★
寒中の残雪踏んで山の道★★★

●小口泰與
長く伸ぶ飛行機雲の四温かな★★★
白鳥の毛衣に嘴をつつみける★★★
葉牡丹や富士山(ふじ)を見つけし園児達★★★★
季題の「葉牡丹」がいい。いい発見だ。大きな風景を引き締めている。(高橋信之)

●廣田洋一
週末は鋤焼き鍋の独り酒★★★
煮凝りや独り暮らしの残り物★★★★
鍋焼きの湯気に落ち着く昼の席★★★

●桑本栄太郎
冬ざれの農場跡の盛土かな★★★
冬の野や盛土を急ぐブルドーザー★★★
延々とコンテナ貨車や大枯野★★★★
私の好きな句だ。下五の季題「大枯野」がいい。その実感が読み手に伝わってくる。(高橋信之)

1月25日(5名)

●多田有花
<松尾山登山三句>
松尾寺厄除け願い寒詣★★★
春日山若草山も寒しぐれ★★★★
生駒山しぐれの雲に隠れたり★★★

●小口泰與
ほぐるるや紅をふふめる冬桜★★★
登校の始業のベルや霜柱★★★★
寒鯉の当りかすかや禽の声★★★

●廣田洋一
早梅や一輪咲きて勇みおり★★★
寒梅や二輪並びて人迎え★★★
寒梅を見に行く先に産土神★★★★

●谷口博望(満天星)
橋の名は雲霓(うんげい)橋や風花す★★★
イブ像へ風花一つ溶けにけり★★★★
麗しき観音様へ風花す★★★

●桑本栄太郎
寒晴の日射し眩しきバスの窓★★★★
特に珍しい風景ではないが、作者の実感が読み手に伝わってくる。私の好きな、いい句だ。(高橋信之)

送電線少し垂れいて山眠る★★★
冬ざるる農場跡の盛土かな★★★

1月24日(5名)

●多田有花
<法隆寺から松尾山登山三句>
法隆寺伽藍を抜けて寒の山★★★
振り向けば五重塔の春を待つ★★★★
軒先にしぐれを避けし松尾寺★★★

●小口泰與
瞬刻の東の空や冬の暁★★★
白雲の千切れし里の枯木立★★★★
大器開けて待ちけり大白鳥★★★

●谷口博望 (満天星)
探梅のリュックサックに電子辞書★★★★
冬桜ボルゾイ犬の細面★★★
残生のはらから遠き雪景色★★★

●廣田洋一
外つ国のお客もてなす敷松葉★★★★
寒肥や庭の枯葉を鋤き込めり★★★
白き粒溝に撒きける寒肥かな★★★

●桑本栄太郎
厳寒の早やも剪らるる幹の枝★★★
寒梅や少年野球の河川敷★★★★
「寒梅」に「少年野球」。いい風景だ。「寒」であれば、なお、いい風景だ。季語の「寒」が「季題」となった。(高橋信之)

兵隊の麦踏み征ける葦平忌★★★

1月23日(7名)

●多田有花
淡路島今日は近くに寒の晴れ★★★★
春を待つ川は蛇行して海へ★★★
寒の陽を背に浴び洗濯物を干す★★★

●小口泰與
一瞬の暁の攻防冬日かな★★★
寒暁の空や桃色桃源郷★★★★
ことさらに細きジーパン日脚伸ぶ★★★

●満天星
着ぶくれて上目づかいにイブの像★★★
冬空へ厳然として大銀杏★★★★
探梅や緋毛氈敷く野の茶店★★★

●廣田洋一
襷受け追いかく走者息白し★★★
寒稽古気合い鋭く三段突き★★★★
寒稽古終われば甘き汁粉かな★★★

●川名ますみ
二輪目は夕日へ向かい梅ひらく★★★★
一輪目が開いたうれしさ。そして二輪目の梅の花を見たのは、夕日の中。夕日に花を向けて、夕日にあたたかく染まっている。二輪目の愛おしさ。(高橋正子)

三つ目も四つ目も梅の開花云う★★★
梅ひらき残る莟の多さかな★★★

●桑本栄太郎
硝子戸の夜空美はし寒雷忌★★★★
寒雷忌は、大須賀乙字の忌日で、1月20日。この日は大寒となった日であったから、厳寒の空気に夜空は美しく澄んでいた。(高橋正子)

大阪府三島郡とや冬の原★★★
寒の雨天駆け走る天王山★★★

●上島祥子
花弁の鉢より溢れるビオラかな(原句)
花弁(はなびら)の鉢を溢れるビオラかな★★★★(正子添削)

倒れても色をとどめて水仙は★★★
桜草一段高きに鉢を置き★★★

1月22日(4名)

●上島祥子
冬雲のやがて無くなり掃き掃除★★★
雪嶺の静もり天と地の間★★★
探梅の里にもういいかいの声響く★★★★
探梅に出かけた里。思いかげず、子供の「もういいかいの声」。「もういいかい」に昭和の遊びがまだ残っているなつかしさ。探梅の里の昭和にタイムスリップしたような長閑さ。(高橋正子)

●小口泰與
昇り来る無辜の光や雪浅間★★★
冬菊の同じ方へと傾きぬ★★★
朝晩の赤城は美し囲炉裏端(原句)
朝晩の赤城美し囲炉裏端★★★★(正子添削)

●谷口博望 (満天星)
大寒の安芸路を駆ける襷がけ★★★
広島を走るアンカー風花す★★★★
手袋を外しボルゾイ犬を撫でにけり★★★

●桑本栄太郎
水禽の浅瀬に集う番かな★★★
四条よりはるか鞍馬や雪化粧★★★
木蓮の冬芽ときめく日差しかな★★★★

1月21日(2名)

●多田有花
大寒の頂に立つ影法師★★★★
季題を「大寒」とした、いい句だ。季節感がいい。(高橋信之)

大寒の梅に日差しのやわらかし★★★
大寒にはや啄木鳥のドラミング★★★

●小口泰與
笹鳴や里の社へ朝日差す★★★★
「朝日の笹鳴」だ。「笹鳴」は冬の季語だが、「笹子鳴く」ともいい、春を想う、いい季語だ。(高橋信之)

発条のブリキ玩具や寒卵★★★
毛糸編む妻は時おば違えおり★★★

自由な投句箱1月11日~20日/2017年


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今週の秀句/1月11日~20日


[1月20日]

★履き初めしスケート靴の尖りかな/上島祥子
(スケートは趣味で習っています。)
私の生まれは大阪だが、物心がついた頃は、旧満州の大連に家族と居た。住まいの近くに、当時東洋一と言われた陸上競技場があって、そこが私の遊び場であった。冬には、小学入学以前からスケートを履いて遊んでいた。スケートには、幼少のころの懐かしい思い出がある。アイスホッケーでは、学校代表の選手となって、市内小学校22校の頂点に立ったこともある。当時のメンバーで、アイスホッケーの日本代表選手になった者もいる。(高橋信之)

[1月19日]

★探梅や五戸より増えぬ峡の里/小口泰與
探梅に出かけたのは、毎年訪ねる峡の里なのだろう。五戸以上には増えない。ずっと昔のそのままが残されている。そんな小さな里にも梅がちらほら咲き始めるころがきた。(高橋正子)

[1月18日](3名)

★凍て防ぐために蛇口を少し開け/多田有花
いい生活俳句だ。何気ないところを詠んで、佳句となった。(高橋信之)

★重厚な雲は頭上に冬すみれ/小口泰與
「冬すみれ」は印象深い花だ。「冬」であれば、なお印象深い花だ。(高橋信之)

★一頻り凍雪踏みて登校生/桑本栄太郎
生まれは大阪だが、父の勤めが変わって、旧満州の大連に移り住んだ。冬は寒かった。「凍雪踏みて登校」には、懐かしい思い出がある。(高橋信之)

[1月17日](2名)

★雪時雨いま沖合いに陸を出て/多田有花
陸に降っていた雪時雨が、陸から去って沖合に出て行った。ここに降った雪時雨が今沖合にという、雪時雨の動きに、変化の面白さ、自然の姿を見せられる思い。(高橋正子)

★寒風に向かいて真白烏骨鶏/上島祥子
寒風に立ち向かう烏骨鶏の様子に迫力がある。寒風にあたり、白い羽毛はますます白く凄みさえ帯びてくる。(高橋正子)

[1月16日](2名)

★新刊書手に初雪の中へ出る/多田有花
新刊書を手にした心の弾み、初雪のうれしさが重なって、初雪が匂うように思える。(高橋正子)

★風花の自由に舞い飛ぶ青い空/上島祥子
風花が自由に舞う青い空。風花の雪片のはかなさが、冷たい青空を背景に美しい景色となっている。(高橋正子)

[1月15日](4名)

★枯蓮や平和の鐘の響きおり/谷口博望(満天星)
「平和の鐘」の「平和が」ことさらに「平和」を強めていないのがいい。枯の景色に自然に溶け合っている。(高橋正子)

★風さらに寒晴の空を磨きおり/多田有花
寒晴れの珠のような青色をさらに風が磨く。寒さの厳しさも快し思える。(高橋正子)

★蝋梅や一輪咲きて陽を透かす/廣田洋一
「一輪」が効いている。蝋梅の透明感が貴重だ。(高橋正子)

★初雪や幾度と窓に駆け寄れり/上島祥子
初雪のうれしさは、幼子でなくても。どんな具合が、幾度も窓によって見てみる。寒波に見舞われたここ二日であった。(高橋正子)

[1月14日](3名)

★一月の沖に希望の光あり/多田有花
作者の率直な言葉がいい。「希望」そして「光」といった言葉がいい。「一月」に相応しい言葉なのだ。(高橋信之)

★垣へだて風の中なる福寿草/小口泰與
「垣へだて」いても、「福寿草」であれば嬉しい。新年に相応しい「福」であり、「寿」である。(高橋信之)

★寒の窓開いてジャズの音もれ来たり/桑本栄太郎
日常の室内での写生句だが、いい句だ。季題の「寒」が効いたのだ。「ジャズ」が効いたのだ。(高橋信之)

[1月13日](2名)

★いつもより少し奥まで初掃除/川名ますみ
静かに過ごした正月も終わり、日脚が伸びた感じの室内。今年初めての掃除は、いつもより奥まで、奥の塵まできれいにしたい気持ち。心のすみまで清々しい。(高橋正子)

★寒晴や木々の枝先色付ける/桑本栄太郎
はるかまで冴え冴えと澄み渡る厳寒中の晴天。木々の枝先は、寒さに却って色付き、萌えだす気配が感じられる。
(高橋正子)

[1月12日](2名)

★くっきりと長き裾野や冬赤城/小口泰與
赤城山の裾野は、富士山に次いで長いと言われている。冬の赤城山がくっきりと裾野を引いて、その姿を明らかにしている。誇らしき雄姿である。(高橋正子)

★餅花や美容院の鏡に揺れ/佃 康水
美容院の鏡に餅花が映っているのだろう。髪をきれいにしてもらっている間、目には華やいだ餅花が揺れている。新年の華やぎが実生活のなかにもある。(高橋正子)

[1月11日](2名)

★小豆煮る匂い立ち込む鏡開/廣田洋一
「小豆」と「餅」は、日本人の昔からの食べ物で、私の好きなものだ。健康にいいとも思っている。(高橋信之)

★車窓より土手に早くも寒紅梅/桑本栄太郎
嬉しい風景だ。下五の「寒紅梅」がいい。句のおさまりがいいのだ。(高橋信之)