今日の秀句/7月1日~10日


7月10日(1句)

<沖縄平和祈念公園>
★梅雨晴や広々と海見えるところまで/多田有花
梅雨晴で、心がひろびろと広がる。海が見えるところまで、すっきりと晴れている。梅雨晴の開放感がいい。平和祈念公園ともなれば、思いははるかとなる。(高橋正子)

7月9日(1句)

★青柿の葉影に暗く太りけり/桑本栄太郎
青柿は葉隠れに実を付けて、葉の色に紛れている。実を付けたばかりは頑ななほど堅そうで、緑が暗い。「暗く太り」が発見。(高橋正子)

7月8日(3句)

★水平線に白雲並ぶ夏の朝/廣田洋一
水平線に何もない日もある。今朝は、白い雲が並んび、作者を呼んでいるような感じがする。すっきりとした夏の朝だ。(高橋正子)

★海晴れて夏の青さの戻りけり/多田有花
海が晴れると海の色が変わる。今日は夏の青さだ。記憶にある夏海の青が蘇った。(高橋正子)

★蛇行せる岸辺にひとつ青胡桃/小口泰與
蛇行をする川の岸辺。川上から運ばれてきたのだろう、青胡桃が引っかかっている。青胡桃は風で落ちたのか、落とされたのか、青胡桃の旅を想像する。(高橋正子)

7月7日(1句)

<ぱいかじ島唄ライブ>
★夏の夜は沖縄料理と島唄と/多田有花
沖縄を体験するのには、料理はもっともなのだが、それに島唄を聞くと、島民の心と気持ちが重なるような思いになるのではないだろうか。「島唄」が効いた。(高橋正子)

7月6日

該当句なし

7月5日(2句)

★柔らかき緑溢れるフィヨードル/廣田洋一
フィヨールドの夏は、緑が際立つ。「柔らかき緑」がやさしく夏を彩って旅を和ませてくれるようだ。(高橋正子)

 世界遺産・中城城跡
★夏空や残りし石垣の緻密/多田有花
残りった石垣に思いがある。緻密に積み上げられた石垣に人の歴史が刻まれている。(高橋正子)

7月4日(2句)

★オスロの空赤く光れる桜の実/廣田洋一
「オスロの空」と「桜の実」が北欧のメルヘンを想起させてくれるきれいな句だ。(高橋正子)

★石垣に座れば鳥来る夏の海/多田有花
石垣に座って海を見ていると、つぎつぎ、いろんな鳥がやって来る。見ていて楽しくなる。少年少女にかえれるような世界。(高橋正子)

7月3日(1句)

★雨蛙覚満淵を圧倒す/小口泰與
「覚満淵」は小尾瀬と呼ばれる湿原。雨蛙がその湿原を圧倒し、湧き上がるかのように鳴いている。湿原の夏を謳歌する雨蛙。覚満淵に支えられた句。(高橋正子)

7月2日(2句)

★陽の温み残るピーマン五つ取る/古田敬二
家庭菜園のピーマン。五つがちょうど取りごろ。それをもぐと陽の温みが残っている。夏の日差しに育ったピーマンだ。(高橋正子)

首里城
★海見える石垣に揺れハイビスカス/多田有花
海、石垣、ハイビスカスの取り合わせが夏らしく涼しそうだ。(高橋正子)

7月1日(1句)

★ででっぽと山鳩鳴きぬ梅雨晴間/桑本栄太郎
夏の朝、山鳩の声を聞くとあたりに涼しさが漂う。そんな印象が私にあるせいか、山鳩の声を聞くと夏が来たと思う。梅雨の晴間、のどかに涼しい。(高橋正子)

7月1日~10日


7月10日(4名)
小口泰與
ソーダ―水舟より降るる二人連★★★
兄弟は皆八十路なり雲の峰★★★★
梅雨寒の和紙にぽとりとインクかな★★★

多田有花
<沖縄平和祈念公園三句>
夏の海望みし平和祈念堂★★★
平和祈念公園夏の蝶が舞う★★★
梅雨晴や広々と海見えるところまで★★★★
梅雨晴で、心がひろびろと広がる。海が見えるところまで、すっきりと晴れている。梅雨晴の開放感がいい。平和祈念公園ともなれば、思いははるかとなる。(高橋正子)

廣田洋一
咲ききりて横になりたる百合の花★★★
役終えし百合の頭を切り落とす★★★
俳人か枯れし紫陽花見詰めをり★★★

桑本栄太郎
晴れ居ても又雨雲の梅雨晴間★★★
川べりの地道歩めばきりぎりす★★★★
梔子の甘き香風の夕闇に★★★

7月9日(4名)

小口泰與
雨蛙赤城全山支配せり★★★
冷汁や貨物列車の長き列★★★
冷麦や明治時代のガラス窓★★★

多田有花
太陽の下沖縄のアロハシャツ★★★
<ひめゆりの塔二句>
乙女らの慰霊碑に手向けハイビスカス★★★
夏の花彩るひめゆり資料館★★★

桑本栄太郎
花びらの下向く頃や額の花★★★
青柿の葉影に暗く太りけり★★★★
青柿は葉隠れに実を付けて、葉の色に紛れている。実を付けたばかりは頑ななほど堅そうで、緑が暗い。「暗く太り」が発見。(高橋正子)

校庭のフェンスに沿いぬ夾竹桃★★★

廣田洋一
飯笊の飯を掬ひてお茶漬けとせり★★★
猫飯や海外出張のご馳走なり★★★
お茶漬けや猫飯と言ふ人の有り★★★

7月8日(4名)

廣田洋一
はまなすや河口に近き道の端★★★
水平線に白雲並ぶ夏の朝★★★★
水平線に何もない日もある。今朝は、白い雲が並んび、作者を呼んでいるような感じがする。すっきりとした夏の朝だ。(高橋正子)

川縁の色とりどりに夏の花★★★

多田有花
<ホテルモントレ沖縄>
貝殻を皿に飾りし夏の朝★★★
海晴れて夏の青さの戻りけり★★★★
海が晴れると海の色が変わる。今日は夏の青さだ。記憶にある夏海の青が蘇った。(高橋正子)
リゾートの真白き教会夏の朝★★★★

小口泰與
蛇行せる岸辺にひとつ青胡桃★★★★
蛇行をする川の岸辺。川上から運ばれてきたのだろう、青胡桃が引っかかっている。青胡桃は風で落ちたのか、落とされたのか、青胡桃の旅を想像する。(高橋正子)

登校の列乱れしや蟻の列★★★
鳥声や農夫昼寝の畦十字★★★

桑本栄太郎
煙為すミストシャワーや商店街★★★★
しみじみと裸身横たえ梅雨の風呂★★★
湯上りの夜気心地良き梅雨の宵★★★

7月7日(3名)

多田有花
<ぱいかじ島唄ライブ>
紅芋もシークワーサーもある梅酒★★★
夏の夜は沖縄料理と島唄と★★★★
沖縄を体験するのには、料理はもっともなのだが、それに島唄を聞くと、島民の心と気持ちが重なるような思いになるのではないだろうか。「島唄」が効いた。(高橋正子)

<ホテルモントレ沖縄>
胡蝶蘭飾られ朝のテーブルに★★★

小口泰與
ハンカチを置き忘れたり無言館★★★
真白な和紙かぶせある夏料理★★★★
くちなしの待合室に佳人かな★★★

桑本栄太郎
初蝉のその一声が蝉しぐれ★★★★
心地良き風の窓辺や夕映えに★★★
梔子の甘き香風に日暮れけり★★★

7月6日(4名)

廣田洋一
夏花の屋根を覆へる農家かな★★★
水鏡街を映せる夏の海★★★★
古の王妃を囲む夏の花★★★

多田有花
<琉球村>
水牛やハイビスカス咲くサーターヤー★★★★
(サーターヤーは沖縄言葉で砂糖屋のこと)
<ぱいかじ島唄ライブ二句>
島唄やオリオンビールを飲みながら★★★
海ぶどうたっぷり盛られ夏料理★★★★

小口泰與
一円の噴井に踊る朝かな★★★
滝の前カメラすっぽり水飛沫★★★★
岩を打つ水の切っ先男滝★★★

桑本栄太郎
朝涼の夜気のこりたる未明かな★★★
との曇る空に陰なし溽暑来る★★★
昼寝子に近づき去りぬ選挙カー★★★

7月5日(4名)

廣田洋一
水しぶき真白にはねて滝落ちる★★★

滝を背に跳ね踊りたる「妖精」かな(原句)
妖精の跳ね踊るかな滝を背に★★★★(正子添削例①)
滝を背に青衣の妖精跳ね踊る(正子添削例②)

柔らかき緑溢れるフィヨードル★★★★
フィヨールドの夏は、緑が際立つ。「柔らかき緑」がやさしく夏を彩って旅を和ませてくれるようだ。(高橋正子)

多田有花
<世界遺産・中城城跡>
夏空や残りし石垣の緻密★★★★
残りった石垣に思いがある。緻密に積み上げられた石垣に人の歴史が刻まれている。(高橋正子)

<琉球村二句>
夏服が訪ねる琉球古民家を(原句)
夏服で訪ねる琉球古民家を★★★★(正子添削)
添削句も「で」が問題ですが、お考えいただければと思います。

琉球の踊りを見たり夏座敷★★★

小口泰與
たっぷりの田水に風の植田かな★★★
山裾の噴井に銭の光かな★★★★
鳥声や赤城のすそ野青田風★★★

桑本栄太郎
校庭の金網に沿う夾竹桃★★★

捩花の下草刈られ捩れけり(原句)
捩花の下草刈られ捩じれ立つ★★★★(正子添削)

葉柳の風に凭るる川辺かな(原句)
葉柳の茂りて風に凭るるよ★★★★(正子添削)

7月4日(4名)

廣田洋一
銅像も噴水浴びる花壇かな★★★★
オスロの空赤く光れる桜の実★★★★
「オスロの空」と「桜の実」が北欧のメルヘンを想起させてくれるきれいな句だ。(高橋正子)

フィヨルドの切り立つ崖や夏の川★★★

多田有花
<世界遺産・中城城跡三句>
梅雨曇いくつも石のアーチを潜る★★★
梅雨空を幾度も飛びぬ空軍機★★★★

鳥が来る夏の海見ゆ石垣に(原句)
石垣に座れば鳥来る夏の海★★★★(正子添削)
石垣に座って海を見ていると、つぎつぎ、いろんな鳥がやって来る。見ていて楽しくなる。少年少女にかえれるような世界。(高橋正子)

小口泰與
水槽に寄るや目高の目の光★★★
五月野や衣装ぬれたる二人連★★★
夏畑や動作せわしき人と鶏★★★★

桑本栄太郎
鳩鳴けば”ノアの箱舟”梅雨晴間★★★
蒼き灯の点る夜道や誘蛾燈★★★
どの子等も幼顔なり夜振の火★★★★

7月3日(4名)

小口泰與
雨蛙覚満淵を圧倒す★★★★
「覚満淵」は小尾瀬と呼ばれる湿原。雨蛙がその湿原を圧倒し、湧き上がるかのように鳴いている。湿原の夏を謳歌する雨蛙。覚満淵に支えられた句。(高橋正子)

鳥声や畝間にひょこと雨蛙★★★
梅雨晴や短パン破棄し女の子★★★

多田有花
<那覇市立城西小学校>
南西風にシーサー戴く小学校★★★
<世界遺産・中城城跡二句>
万緑へ護佐丸カートで向かいけり★★★
城跡に蘇鉄の花の咲きにけり★★★★

桑本栄太郎
雨雲の峰ふところに五月闇★★★
との曇る侭に暮れ行く梅雨の山★★★
早風呂の宵の口なり梅雨の闇★★★★

古田敬二
梔子の厨に白く香りけり★★★
法面を紫に染めアガパンサス★★★★
新じゃがを切れば包丁に残る影★★★

7月2日(4名)

古田敬二
二杯目の豆のご飯の塩加減★★★
赤黄色緑紺色夏野菜★★★
陽の温み残るピーマン五つ取る★★★★
家庭菜園のピーマン。五つがちょうど取りごろ。それをもぐと陽の温みが残っている。夏の日差しに育ったピーマンだ。(高橋正子)

多田有花
<首里城三句>
海見える石垣に揺れハイビスカス★★★★
海、石垣、ハイビスカスの取り合わせが夏らしく涼しそうだ。(高橋正子)

守礼門夏の日差しの戻りけり★★★★
沖縄そばにソフトクリームを添えて★★★

小口泰與
梅雨寒や木の長椅子の軋みおり
大沼小沼(おの、この)の赤城七峰梅雨の雷★★★
茶柱の立ちたる朝餉目高の子★★★★

桑本栄太郎
 団地改装工事本日終了
工事終え安堵しきりや玉の汗★★★
涼風の葉擦れの音の並木かな★★★
かしましくすずめ塒へ宵涼し★★★★

7月1日(4名)

多田有花
<首里城三句>
梅雨空や琉球伝統菓子を食ぶ★★★
さみだれの上がりぬ城を巡るうち★★★
龍こそは王の象徴夏盛ん★★★★

小口泰與
三山の見ゆる我家や夏霞★★★
折も折妻の指さす二重虹★★★★
滔滔と田川流るる夏燕★★★

廣田洋一
この道の先に架かれる虹の橋★★★
堰落ちる水のかけたる小さき虹★★★★
高きビルをまたぎて虹の立ちにけり★★★

桑本栄太郎
深梅雨や雨音止みて目覚め居り★★★
ででっぽと山鳩鳴きぬ梅雨晴間★★★★
夏の朝、山鳩の声を聞くとあたりに涼しさが漂う。そんな印象が私にあるせいか、山鳩の声を聞くと夏が来たと思う。梅雨の晴間、のどかに涼しい。(高橋正子)

山梔子の花に夕闇迫りけり★★★

自由な投句箱/6月21日~30日


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今日の秀句/6月21日~30日


6月30日(1句)

★首里城の赤鮮やかに梅天へ/多田有花
首里城の瓦の特徴ある赤が梅雨空を見据えるかのようにそびえている。沖縄の力強さのようなものを感じる。(高橋正子)

6月29日(1句)

★ナイロビの夜を赤々と夏暖炉/廣田洋一
ケニアは赤道直下でも高地では、夏は零下にも冷え込むことがあるらしい。暖炉が必要。あかあかと燃える暖炉を囲み、暖炉の火を顔に映して、楽しい話が続いた夜だったのだろう。(高橋正子)

6月28日(1句)

★帰省して先ず井戸水に喉鳴らす/廣田洋一
帰省して、懐かしいもの、うれしいものは、さまざまあるけれど、井戸水は一番懐かしく、うれしいものではなかろうか。おいしく、冷たい井戸水に生き返る思いだ。(高橋正子)

6月27日(2句)

★曇れども雨まだ遠し睡蓮に/多田有花
空はどんより曇っているが、降りそうにもない。重たそうな雲の下に睡蓮が可憐に咲いている。重い雲と睡蓮の
微妙な力関係が面白い。(高橋正子)

★米を研ぐ音たからかに梅雨晴間/川名ますみ
梅雨の晴れ間。この晴れ間を使って家事をいろいろ済ませたい。活動的になる。米を研ぐにも力が入る。シャキシャキと高らかな音は快い。(高橋正子)

6月26日(2句)

★五月雨や棚田の水へ足を入れ/小口泰與
五月雨が降る中、棚田へ。植田の雑草を抜くために足をいれたか。五月雨の振り込む水の感触は、棚田のもの。(高橋正子)

★見上ぐれば合歓の花なり橋袂/桑本栄太郎
見上げたら、合歓のやさしい花が咲いていた。なにか慰められる気持ちだ。そこは橋の袂。川風が吹いてくるだろう、空も見えるだろう。橋を行き来する人や車。そんな景色も見える句。(高橋正子

6月25日(1句)

★蓬蓬とD51止まる青芒/小口泰與
D51と青芒の取り合わせがいい。青芒の青とD51の黒が力強く、しかも涼しそうだ。(高橋正子)

6月24日(2句)

★梅雨の晴れ間に島が見えると、気持ちが晴れやかに遠くへと広がる。島の名は伊江島。平らな離島がすっきりと見えて納得。伊江島は美ら水族館から眺められ、30分ほどフェリーニ乗れば到着できるとのこと。(高橋正子)
伊江島のすっきり見える梅雨晴間/多田有花

★久々の雨に色濃き茄子の花/廣田洋一
茄子の花の紫は、濡れてこそ涼しく思える。久々の雨もうれしいが、すずやかな茄子の花を見るのもも嬉しい。(高橋正子)

6月23日(1句)

<沖縄美ら海水族館>
★ジンベイザメその大きさよ涼しさよ/多田有花
ジンベエザメのその名前も愛嬌があるが、それが、大きな体でゆっくりと泳ぐ。その所作が水中では、涼しさを誘うのだ。(高橋正子)

6月22日(1句)

<沖縄美ら海水族館>
★泳ぐたび水を涼しくする海月/多田有花
海月は、夏の季語。これまで歳時記に載っている句は、海月の哀れな姿を詠んだものが多い中、この句は、水族館の海月であるが、哀れどころか、生き生きと、水をさらに涼しくするかのようにひらひら、自在に泳ぐ姿が詠まれている。(高橋正子)

6月21日(1句)

★朝茶事に花束抱へ夏衣/廣田洋一
朝茶事に使う涼しそうな花をいろいろと抱えている夏衣の婦人。それは、静ではなく、動であって、茶事の場を作る行いが人間的。(高橋正子)

6月21日~30日


6月30日(4名)

多田有花
<ホテルモントレ沖縄>
荒梅雨を聞きつつ朝のバイキング★★★
<首里城二句>
梅天へ首里城の赤鮮やかに(原句)
首里城の赤鮮やかに梅天へ★★★★(正子添削)
首里城の瓦の特徴ある赤が梅雨空を見据えるかのようにそびえている。沖縄の力強さのようなものを感じる。(高橋正子)

首里城のハイビスカスの雨に濡れ★★★

廣田洋一
昼食後机に伏せて昼寝かな★★★
新築の雨戸を閉めて三尺寝★★★
うつらうつら舟を漕ぎつつ昼寝せり★★★

小口泰與
あけぼのの植田へ禽とそよ風と★★★
山影を映す植田や老農婦★★★
夏霧や犬のリードの山羊の群★★★★

桑本栄太郎
あぢさゐの彩の変化や高瀬川★★★
木槿咲く紅の花芯の揺れながら★★★
涼風の窓より来たる雨止む夜(原句)
涼風の窓より来たり雨止む夜★★★★(正子添削)

6月29日(4名)

多田有花
<沖縄料理二句>
銘柄はオリオンビールと決まりけり★★★
もちもちとジーマーミ豆腐の冷奴★★★
夏の夜の東シナ海沖望む★★★

小口泰與
短夜や小唄の稽古ほどほどに★★★
妙義より荒船山へ風薫る★★★
毛の国の溶岩原豊か大夕立★★★

廣田洋一
夏暖炉赤々燃えるナイロビの夜(原句)
ナイロビの夜を赤々と夏暖炉★★★★(正子添削)
ケニアは赤道直下でも高地では、夏は零下にも冷え込むことがあるらしい。暖炉が必要。あかあかと燃える暖炉を囲み、暖炉の火を顔に映して、楽しい話が続いた夜だったのだろう。(高橋正子)

夏炉の火眺めつつ飲むウイスキー★★★
焚かねども茶釜を据えし夏炉かな★★★

桑本栄太郎
蠅除を取りて夕餉や残業に★★★
暑気払ふ心算が仇に晩酌の★★★
信号に赤き尾灯や夏ともし★★★

6月28日(4名)

多田有花
<沖縄・備瀬のフクギ並木>
そぞろ歩く福木並木の風涼し★★★

<名護市役所>
役所とは思えぬ建物驟雨去る★★★
シーサーに迎えられたる夏の夕★★★

小口泰與
縦横に土竜の道や梅雨の月★★★★
頭髪は親譲りなり夏の星★★★
空は蒼暁の赤城の風青し★★★

廣田洋一
帰省して先ず井戸水に喉鳴らす★★★★
帰省して、懐かしいもの、うれしいものは、さまざまあるけれど、井戸水は一番懐かしく、うれしいものではなかろうか。おいしく、冷たい井戸水に生き返る思いだ。(高橋正子)

帰省子を迎へる母の声髙し★★★★
帰省子の大の字になる座敷かな★★★

桑本栄太郎
芙美子忌や夫婦の仲も米櫃に★★★
雨降れば旋回したる夏つばめ★★★★
山桃の綺羅のルビーや雨のあと★★★

6月27日(5名)

多田有花
曇れども雨まだ遠し睡蓮に★★★★
空はどんより曇っているが、降りそうにもない。重たそうな雲の下に睡蓮が可憐に咲いている。重い雲と睡蓮の
微妙な力関係が面白い。(高橋正子)

涼風を集めし午後の頂に(原句)
「頂が涼風を集める」という意味なので、意味を取るのにちょっとぎくしゃくしました。
涼風の集まる午後の頂に★★★(正子添削)

柏葉紫陽花水路に沿いて咲きにけり★★★

小口泰與
起重機のかき回しける皐月空★★★
山羊の子の青春早し夏の雲★★★★
秋桜子の名付けし滝の小ささよ★★★

廣田洋一
葛餅や冷えし黒蜜舌を打つ★★★
葛餅や幟はためく老舗有り★★★★
葛餅や小町通を風の抜け★★★

桑本栄太郎
木槿咲く紅の花芯の揺れながら★★★
堰水の音を聞きつつ蘆の風★★★
朝刊のビニール袋に梅雨荒るる(原句)
朝刊のビニール袋や梅雨荒るる★★★(正子添削)

川名ますみ
米を研ぐ音たからかに梅雨晴間★★★★
梅雨の晴れ間。この晴れ間を使って家事をいろいろ済ませたい。活動的になる。米を研ぐにも力が入る。シャキシャキと高らかな音は快い。(高橋正子)

ゼラニウム蕾をもたげ梅雨の月(原句)
もとの句だと、梅雨の月と、ゼラニウムの関係性が薄くなります。
梅雨月に蕾もたげしセラニウム★★★★(正子添削①)
梅雨月に蕾をもたげゼラニウム(正子添削②)

梅雨の月雲の動きの紛れなき★★★

6月26日(4名)

多田有花
<世界遺産・今帰仁城跡三句>
城跡へ紅芋アイスを食べてのち★★★
城跡から梅雨の晴間の水平線★★★★
白百合の咲きぬ今帰仁城跡に★★★

小口泰與
青梅雨や弓道場の一年生★★★

五月雨や棚田へ一歩足を入れ(原句)
五月雨や棚田の水へ足を入れ★★★★(正子添削)
五月雨が降る中、棚田へ。植田の雑草を抜くために足をいれたか。五月雨の振り込む水の感触は、棚田のもの。(高橋正子)

夏日影小犬は頑と動かざる★★★

廣田洋一
百合の花開くにつれて傾きぬ★★★
色百合や日毎に色の透き通り★★★
百合開くここを曲がれば我家かな★★★★

桑本栄太郎
梔子の花に夕闇迫りけり★★★
堰水の音を聞きつつ夏の土手★★★

見上ぐれば橋の袂や合歓の花(原句)
「見上げれば橋の袂」は、具合が悪いのでは?

見上ぐれば合歓の花なり橋袂★★★★(正子添削)
見上げたら、合歓のやさしい花が咲いていた。なにか慰められる気持ちだ。そこは橋の袂。川風が吹いてくるだろう、空も見えるだろう。橋を行き来する人や車。そんな景色も見える句。(高橋正子)

6月25日(5名)

多田有花
樹にあるは森青蛙の卵かな★★★
水音の近くに雨待つ額の花(原句)
「近くに」の「に」が説明なので、散文的な句になってしまいます。

水音を近く雨待つ額の花★★★★(正子添削)
夏至の日やあべのハルカスを望む★★★

小口泰與
青芝や快音発す一年生★★★
雨音と梅の実落つる音したり★★★
蓬蓬とD51止まる青芒★★★★
D51と青芒の取り合わせがいい。青芒の青とD51の黒が力強く、しかも涼しそうだ。(高橋正子)

廣田洋一
丈低き金柑の木に白き花★★★
金柑の花を揺すれる地震あり★★★★
一つの枝に並び咲きたる金柑の花★★★

桑本栄太郎
嶺上の夕焼雲や寺の鐘★★★★
まくなぎを払い歩めり夕の川★★★
夕映えや雲染まりたる嶺の上★★★

川名ますみ
色も香も味も青々夏料理★★★

幾たびも大きく咲ける泰山木(原句)
「大きく咲く」が、具体的にどんなことなのか、曖昧なのです。

幾たびも大きな花を泰山木★★★★(正子添削①)
泰山木大きな花の咲きつづく(正子添削②)

紫陽花に囲まれ静か女学園★★★

6月24日(4名)

多田有花
<沖縄美ら海水族館三句>
南瓜食ぶマナティー二頭夏の日に★★★
伊江島のすっきり見える梅雨晴間★★★★
梅雨の晴れ間に島が見えると、気持ちが晴れやかに遠くへと広がる。島の名は伊江島。平らな離島がすっきりと見えて納得。伊江島は美ら水族館から眺められ、30分ほどフェリーニ乗れば到着できるとのこと。(高橋正子)

海亀の耳に届きし波の音★★★

小口泰與
夏祭磨き上げたる床柱★★★★
床替ふる犬の居場所の暑さかな★★★
峰雲や長きすそ野の赤城山★★★

廣田洋一
茄子の花横に揺れをる濃紫★★★
久々の雨に色濃き茄子の花★★★★
茄子の花の紫は、濡れてこそ涼しく思える。久々の雨もうれしいが、すずやかな茄子の花を見るのもも嬉しい。(高橋正子)

手入れ良き畑の隅や茄子の花★★★

桑本栄太郎
万緑の古戦場なり天王山★★★
ベランダを飾る鉢なり七変化★★★
退屈と云うは幸せ梅雨きのこ★★★

6月23日(4名)

多田有花
<沖縄美ら海水族館三句>
ジンベイザメその大きさよ涼しさよ★★★★
ジンベエザメのその名前も愛嬌があるが、それが、大きな体でゆっくりと泳ぐ。その所作が水中では、涼しさを誘うのだ。(高橋正子)

黒潮の海を間近くアイスティー★★★
南風やマッコウクジラの骨見上ぐ★★★

廣田洋一
十薬や葉の天麩羅を揚げてみる★★★
雨上がり十薬の匂ひ立ち上がり★★★
大雨や十薬の蕊高くなり★★★★

小口泰與
新しき朝の赤城山(あかぎ)やアイスティー★★★★
妻の炊く筍飯に皆多弁★★★
滔滔と田水や畦の残り鴨★★★

桑本栄太郎
山梔子の花に滴や雨あがる★★★
京なれや朝より浴衣乗客に★★★★
※(正子注)「なれや」は、断定の助動詞「なり」+疑問の係助詞「や」
「京なれや」は「京だからだろうか」の意味。

廃屋の工場跡に枇杷熟るる★★★

6月22日(4名)

多田有花
<沖縄美ら海水族館三句>
チンアナゴゆらゆら揺れる涼味かな★★★

泳ぐたび水を涼しくする海月★★★★
海月は、夏の季語。これまで歳時記に載っている句は、海月の哀れな姿を詠んだものが多い中、この句は、水族館の海月であるが、哀れどころか、生き生きと、水をさらに涼しくするかのようにひらひら、自在に泳ぐ姿が詠まれている。(高橋正子)

夏服の観光客とコブシメと★★★

小口泰與
水飛沫立てて田水へ通し鴨★★★
捻花に丈しのがるるチワワかな★★★
D五一の利根川(とね)をしりへや夏燕★★★

廣田洋一
サバンナの強き日を浴びサンドレス★★★★
夏服やサファリスーツと決めた日々★★★
夏服や二の腕白き受験生★★★

桑本栄太郎
凌霄花の風に揺るるは炎かな★★★

夕昏を歩む香りや青無花果(原句)
「歩む香り」は、論理的にいかがでしょうか。そうでなく、「歩む」で切ると、3段切れになります。
夕昏を歩みて匂う青無花果★★★★(正子添削)

山の端の入日茜や風涼し★★★

6月21日(5名)

多田有花
<沖縄美ら海水族館三句>
生涯を涼しき水に過ごしけり★★★
六月の伊勢海老あでやかに揃う★★★
美しき毒持ち夏の海に舞う★★★

小口泰與
夏風邪や悪魔の涙どどと出づ★★★
ため息の聞こゆ事務所や旱星★★★
外に出づや蜥蜴と見合う吾子の顔★★★

廣田洋一
端然と椅子に座れる夏衣★★★
朝茶事に花束抱へ夏衣★★★★
朝茶事に使う涼しそうな花をいろいろと抱えている夏衣の婦人。それは、静ではなく、動であって、茶事の場を作る行いが人間的。(高橋正子)

老い隠す明るき色や夏衣★★★

古田敬二
池の面を急旋回の夏燕★★★
涼風に夕餉の香り乗りてくる★★★
涼しさはメタセコイアを抜けてくる★★★

桑本栄太郎
さらさらと葉擦れ涼しき並木かな★★★
山梔子の花の香りや雨催い★★★
硝子戸を慌て閉めたり大夕立★★★

自由な投句箱/6月11日~20日


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※投句は、一日1回3句に限ります。
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今日の秀句/6月11日~20日


6月20日(2句)

★原色の乱舞を見せて熱帯魚/多田有花
熱帯魚の乱舞は、この世のことではないような、美しさ。(高橋正子)

★通るたび黄色濃くなり花胡瓜/廣田洋一
胡瓜の花の露けさがよく詠まれた句。夏の朝の涼しさが快い。(高橋正子)

6月19日(1句)

★ポスターの流れに夏の来たりけり/古田敬二
ポスターには、旅への誘いか、涼しそうな流れの写真が貼られている。それを見ると、「夏来たりけり」が実感される。(高橋正子)

6月18日(2句)

★江の島や湘南ビールの泡高し/廣田洋一
江の島、湘南の言葉が続くと夏を思わずにいられない。地ビールの「湘南ビール」も夏を盛り上げる一役をかる。「泡高し」が爽快。(高橋正子)

★筋白くついつい伸ぶや青すすき/桑本栄太郎
青すすき。それは、伸びようと思わなくても「ついつい」伸びる。自然の力に押された感じだ。青すすきが伸び盛り。まもなく本格的な夏に。(高橋正子)

6月17日(1句)

★もろこしの雄花すつくと伸びる青き空/廣田洋一
もろこしの雄花は、もろこしの先端に咲く。雌花のふさふさした柔らかさとは違ってすっくと空を指して伸びる。青空へ伸びる姿は、夏の象徴とも思える。(高橋正子)

6月16日(1句)

★畦川の流れ早きや水馬/小口泰與
畦川の流れをのぞくと意外も早い。そこに水馬が流れに抵抗しながら浮いている。いきいきとした畦川の景色が快い。(高橋正子)

6月15日(3句)

★青空に紫陽花だけが揺れており/川名ますみ
青空の静寂。青空のような紫陽花の花だけが、風を受けて揺れている。紫陽花が若々しい花となっている。(高橋正子)

★コックスの声高らかに夏の川/廣田洋一
夏川にボートを漕ぐ若者たち。コックスの声が高らかに響く。オールさばきもそろって見事で、コックスの力も重要なのだ。(高橋正子)

★溶岩原の地力あふるる夕立かな/小口泰與
溶岩原をたたきつける夕立。溶岩原も地球のラバの力を見せつけるように夕立を跳ね返す。それを「地力あるるる」と言った。(高橋正子)

6月14日(2句)

★梅雨を待つ空へ赤々ブラシノキ/多田有花
ブラシノキは、真っ赤な、一見プラスチックのような光沢を放つ、ブラシのような形状の花。その
名前の通りの花だが、面白い形状と、赤い色は、梅雨入り前の季節を南国めいたものにしてくれる。(高橋正子)

★時鳥田水いろどる大樹かな/小口泰與
時鳥が鳴き、周りに大樹が茂る田。大樹の色が田水に映り、緑濃い季節を思わせてくれる。(赤橋正子)

6月13日(2句)

★木道の狭間へひらく水芭蕉/小口泰與
水芭蕉が木道の間から清楚な花を見せている。湿原に白い可憐な花を見て、心愉しくなる。(高橋正子)

★坂道をとんとん下り風涼し/桑本栄太郎
坂道を、足も軽く、子供のような気持ちで「とんとん下る」。涼しい風が吹いて、気持ちもすずやかで、軽くなる。こんな気持ちになりたい。(高橋正子)

6月12日(句)

★あけぼのの庭に鳥来る涼しさよ/小口泰與
あけぼのの庭のすがすがしさ。そこに鳥がやって来て囀り、かわいい仕草を見せる。涼しさもいいそうのこと。(高橋正子)

★梅の実の色づき採らる天満宮/桑本栄太郎
天満宮の花と言えば、梅。花を愛でた梅も実を付け、色づくと、採られている。天満宮に仕える人も、人としての暮らしぶりが伺える。(高橋正子)

6月11日(2句)

★六月や猩々蜻蛉まっかっか/多田有花
草木が茂り、強い日差しについと現れる火をつけたような猩々蜻蛉。その赤の強さにはっとさせられる。(高橋正子)

★梅雨寒の水音高し山の道/廣田洋一
梅雨の山道。冷え冷えとして、草の葉をくぐるように流れる水の音。その水音は、梅雨で水嵩をまして、「水音高し」となっている。季節に身を入れてみて、わかることである。(高橋正子)

6月11日~20日


6月20日(4名)

多田有花
<沖縄への旅>
梅雨曇フレンチトーストやわらかし★★★
<沖縄美ら海水族館二句>
まず向かうハイビスカス咲く水族館★★★

原色の乱舞を見せし熱帯魚(原句)
原色の乱舞を見せて熱帯魚★★★★(正子添削)
熱帯魚の乱舞は、この世のことではないような、美しさ。(高橋正子)

廣田洋一
道端の小さき畑や胡瓜咲く★★★

通るたび色濃くなりし胡瓜の花(原句)
通るたび黄色濃くなり花胡瓜★★★★(正子)
胡瓜の花の露けさがよく詠まれた句。夏の朝の涼しさが快い。(高橋正子)

胡瓜の花実らぬ花を落としけり★★★

小口泰與
カメラマンしとどの汗の髪膚かな★★★
眼裏に目高の目玉目覚めたり★★★
下草のしどろと伸びし四十雀★★★

桑本栄太郎
焼板と白壁民家や風薫る★★★★
おさな児の歩み初め居り金糸梅★★★
泰山木の葉のはらり落つ花の白★★★

6月19日(5名)

小口泰與
あかあかと日や下山の吾は一夜酒★★★★
※一夜酒(いちやざけ・ひとよざけ)は、甘酒のこと。(注:正子)

球場の蟻の門渡りいずくにか★★★
あじさいや朝から灯る赤提灯★★★

多田有花
梅雨入りとはならずに終わる今日の雨★★★
棘持ちて寄るな触るな夏薊★★★
金糸梅蝶とまらせて風に揺れ★★★

廣田洋一
遊水池きらきら光る梅雨晴間★★★★
散歩がてら覗いて見たる茄子の花★★★
茄子の花あとに実れる濃紫★★★

桑本栄太郎
青柿の舗道にまろぶ雨の後★★★
発着のバスのしきりに立葵★★★★
凌霄花の炎と燃ゆる図書館前★★★

古田敬二
百球の紫陽花の色の鮮やかに★★★
目高生る五ミリの命くねらせて★★★
ポスターの流れに夏の来たりけり★★★★
ポスターには、旅への誘いか、涼しそうな流れの写真が貼られている。それを見ると、「夏来たりけり」が実感される。(高橋正子)

6月18日(4名)

小口泰與
太古より明けぬ朝無し二重虹★★★
夏の夜や麻雀卓におさげ髪★★★
夏の朝散歩の距離の伸びにけり★★★

多田有花
<沖縄への旅三句>
夏の夕沖縄料理を堪能す★★★
雪塩ソフトクリームをちょっと食べる★★★
買い求むシーサー柄のアロハシャツ★★★

廣田洋一
夕空の暮れるに合わせビールかな★★★
午後四時やもう良かろうと生ビール★★★
江の島や湘南ビールの泡高し★★★★
江の島、湘南の言葉が続くと夏を思わずにいられない。地ビールの「湘南ビール」も夏を盛り上げる一役をかる。「泡高し」が爽快。(高橋正子)

桑本栄太郎
凌霄花の炎の揺るる雨の風★★★
幼児の歩み初め居り金糸梅★★★
筋白くついつい伸ぶや青すすき★★★★
青すすき。それは、伸びようと思わなくても「ついつい」伸びる。自然の力に押された感じだ。青すすきが伸び盛り。まもなく本格的な夏に。(高橋正子)

6月17日(4句)

多田有花
<沖縄への旅三句>
六月や沖縄の氷上に舞う★★★
ショーの余韻抱いて夕立の中へ★★★
夕立のあがりし那覇の街へ出る★★★★

小口泰與
下校時の子ら囃されし田植時★★★
生姜湯を五臓六腑へ五月雨★★★
夏暁や車にカメラ三脚と★★★★

廣田洋一
もろこしの雄花すつくと伸びる青き空★★★★
もろこしの雄花は、もろこしの先端に咲く。雌花のふさふさした柔らかさとは違ってすっくと空を指して伸びる。青空へ伸びる姿は、夏の象徴とも思える。(高橋正子)

手入れせぬ糠床覆ふ黴の花★★★
青かびのチーズを愛でて赤ワイン★★★

桑本栄太郎
風吹けば雨となりたり金糸梅★★★
昼寝子の起きて泣き居り保育園★★★★
みみず出で捩れ干乾ぶ舗道かな★★★

6月16日(4名)

多田有花
<沖縄への旅三句>
夕立ちや紅型飾られしホテル★★★★
南国にアイスショーを見る仲夏★★★
ウチナーンチュの熱き声援響く夏★★★

小口泰與
渓流の磷磷とあり閑古鳥★★★
畦川の流れ早きや水馬★★★★
畦川の流れをのぞくと意外も早い。そこに水馬が流れに抵抗しながら浮いている。いきいきとした畦川の景色が快い。(高橋正子)
六月の赤城の風の柔きかな★★★

廣田洋一
公園や来る人もなく草茂る★★★
遠目にも紅く光れる実梅かな★★★
へうへうと風に乗りをる揚羽蝶★★★★

桑本栄太郎
発着のバスの頻りに立葵★★★★
のうぜんの花の炎や図書館に★★★
枇杷の実やふるさと遠く想い居り★★★

6月15日(5名)

川名ますみ
白あじさい医科大学の古き門★★★
青空に紫陽花だけが揺れており★★★★
青空の静寂。青空のような紫陽花の花だけが、風を受けて揺れている。紫陽花が若々しい花となっている。(高橋正子)

朝来れば紫陽花の色深まりぬ★★★

廣田洋一
濁流の地獄見せたり夏の川★★★
コックスの声高らかに夏の川★★★★
夏川にボートを漕ぐ若者たち。コックスの声が高らかに響く。オールさばきもそろって見事で、コックスの力も重要なのだ。(高橋正子)

草伸びし川面の光る夏の川★★★

小口泰與
鳥声や八千穂の里の苔茂る★★★
藻の花の綾なす流れ白き雲★★★
溶岩原の地力あふるる夕立かな★★★★
溶岩原をたたきつける夕立。溶岩原も地球のラバの力を見せつけるように夕立を跳ね返す。それを「地力あるるる」と言った。(高橋正子)

多田有花
<沖縄への旅三句>
明易し空港へ向かうバスに乗る★★★
夏空へミッキーマウスの機体かな★★★
梅雨空の沖縄ソーキそばを食ぶ★★★

桑本栄太郎
梅雨冷や救急車輌の横づけに★★★
黒雲の峰駆け昇り梅雨いまだ★★★
梅雨寒やエンジン高く刈られゆく★★★

6月14日(4名)

廣田洋一
隅々の水黴流す風呂掃除★★★
青黴を浮かべしチーズまろやかに★★★
抽斗に黴の生えたる腕時計★★★

多田有花
梅雨を待つ空へ赤々ブラシノキ★★★★
ブラシノキは、真っ赤な、一見プラスチックのような光沢を放つ、ブラシのような形状の花。その
名前の通りの花だが、面白い形状と、赤い色は、梅雨入り前の季節を南国めいたものにしてくれる。(高橋正子)

河骨の下をゆっくり錦鯉★★★
河骨や亀がぼちゃんと滑り落ち★★★

小口泰與
時鳥田水いろどる大樹かな★★★★
時鳥が鳴き、周りに大樹が茂る田。大樹の色が田水に映り、緑濃い季節を思わせてくれる。(赤橋正子)

実権は夫婦のどちら捻り花★★★
彼の昔蛍ふくろを灯したり★★★

桑本栄太郎
夕暮れの涼風頬に散歩かな★★★
青柿の舗道に落つや二個三個★★★
峰よりの夕風来たる青田波(原句)

峰よりの夕風来たり青田波★★★★

6月13日(3名)

小口泰與
木道の狭間へひらく水芭蕉★★★★
水芭蕉が木道の間から清楚な花を見せている。湿原に白い可憐な花を見て、心愉しくなる。(高橋正子

河骨や刻刻迫る黒き雲★★★
鋭声せり目の爛爛と親鴉★★★

廣田洋一
青き毬ぽんぽん跳ねる紫陽花園★★★
葉隠れにほんのり紅き実梅かな★★★

白き花頬紅付けし夏椿(原句)
夏椿紅ほんのりと白き花★★★★(正子添削)

桑本栄太郎
坂道をとんとん下り風涼し★★★★
坂道を、足も軽く、子供のような気持ちで「とんとん下る」。涼しい風が吹いて、気持ちもすずやかで、軽くなる。こんな気持ちになりたい。(高橋正子)

金網の風を越え居り筒あじさい★★★
早苗田のビルの間や夕日落つ★★★

6月12日(4名)

小口泰與
目ん玉へ雨粒のせて梅雨の蝶★★★
八重葎手鎌を研ぎて日の暮れし★★★
あけぼのの庭に鳥来る涼しさよ★★★★
あけぼのの庭のすがすがしさ。そこに鳥がやって来て囀り、かわいい仕草を見せる。涼しさもいいそうのこと。(高橋正子)

桑本栄太郎
梅雨寒や目覚めて今も母の夢★★★
梅の実の色づき採らる天満宮★★★★
天満宮の花と言えば、梅。花を愛でた梅も実を付け、色づくと、採られている。天満宮に仕える人も、人としての暮らしぶりが伺える。(高橋正子)

夕日落つビルの間の早苗田に★★★

廣田洋一
四葩なれど三葩の花を咲かしけり★★★

せせらぎの音のそよげる青葉風(原句)
せせらぎの音にそよげる青葉風★★★(正子添削)
石仏やなだれ咲きたる岩煙草★★★★

多田有花
蛇苺きっと名前で損してる★★★
代掻へ出動準備整いぬ★★★★
谷埋める羊歯の若葉の鮮やかに★★★

6月11日(5名)

古田敬二
麦秋の故里を継ぐ人おらず★★★
その下の道は薄闇夏木立★★★
夏空へメタセコイアの三角形★★★★

多田有花
県境や青葉若葉の山はるか★★★
六月や猩々蜻蛉まっかっか★★★★
草木が茂り、強い日差しについと現れる火をつけたような猩々蜻蛉。その赤の強さにはっとさせられる。(高橋正子)

卯の花のほろほろこぼれ落ちるかな★★★

小口泰與
梅雨寒や待合室の硬き椅子★★★
鳥声や照葉峡より滝の音★★★
十一の小滝や渓の風さやか★★★

廣田洋一
梅雨寒や朝日昇るを待ちわびぬ★★★
梅雨冷や紫陽花寺の地図開く★★★★
梅雨寒の水音高し山の道★★★★
梅雨の山道。冷え冷えとして、草の葉をくぐるように流れる水の音。その水音は、梅雨で水嵩をまして、「水音高し」となっている。季節に身を入れてみて、わかることである。(高橋正子)

桑本栄太郎
おちょぼなる口の実ありぬざくろ咲く★★★
惚けたる穂の揺れ茅花流しかな★★★
雄叫びのように響けり梅雨の雷★★★

自由な投句箱/6月1日~10日


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