●自由な投句箱/3月1日~10日●


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※投句は、一日1回3句に限ります。
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今日の秀句/3月1日~10日


[3月10日]

★蕗の薹高野へ登る電車来る/古田敬二
これから高野山へ参ろうとする電車を待っていると蕗の薹が目に入った。高野の麓には春が来ている。これから参る高野山はどうなんだろうか。高野への期待が湧く。(高橋正子)

[3月9日]

★草の芽やまさに瑞穂の国なれば/河野啓一
瑞穂の国は、日本の国の美称「豊葦原千五百秋瑞穂国」から来た言葉。稲がみずみずしく実る国のまず初めは、身近に草の芽が萌え出すところから。日本の季節は春から始まるのが頷ける。(高橋正子)

[3月8日]

★乗馬する視野に開ける花ミモザ/小川和子
馬に乗ると当然目の位置が高くなる。馬の背の高さに開ける視野には、黄色いミモザの花がふさふさとひろがる。欧米とも違うオーストラリアのロマンティックな風景。(高橋正子)

[3月7日]

★鶯やバスの中にも明らかに/廣田洋一
山間を走るバスなのであろう。鶯の鳴き声がバスの中まではっきりと聞こえてきた。すぐそこの山で鳴いていることは確か。驚きもあり、楽しさもあり、心軽くなるバスの中。(高橋正子)

[3月6日]

★蘆の角水面の空に芽吹きけり/桑本栄太郎
蘆が芽ぐみ始めた。水の中から鋭い緑の角のような芽を出す。まっすぐに、一面にそろって芽吹く景色は見事。水面には空が映って、空に芽吹いているようだ。(高橋正子)

[3月5日]

★山と川鳴り響きあう雪消かな/小口泰與
山国は雪消のときを迎えた。雪解けに川の水は増えて勢いを増し、山に木魂して轟きながら流れる。山と川の雪消の協奏曲と言えるだろう。(高橋正子)

[3月4日]

★鶲来て春の海岸道連れに/谷口博望(満天星)
春のうららかな海岸に鶲が来て、しばらくは鶲を道連れに歩く。まだ帰らぬ鶲と共にいること、ましてや共に歩くことはうれしく、楽しいことだ。(高橋正子)

★春潮の香を漂わせ少女来る/河野啓一
磯遊びをしてきた少女であろう。さわやかな、やわらかな春潮の香りを身にまとっている。自分も春の磯にいるような気持がしてくる。(高橋正子)

[3月3日]

★きらきらと川面の光り雛祭り/多田有花
少女のころを過ぎると、雛祭りを華やかに祝うことも少なくなるが、雛祭りはいつも女性の心を華やがせるもの。きらきら輝く川面を眺めていると、たしかに、雛祭りのころの陽の光りが届いているとうれしくなる。雛飾りの場面から離れると、雛を思いつつ来し方も却ってしのばれるものだろう。(高橋正子)

[3月2日]

★蒲公英のスケッチ膝を野に屈め/河野啓一
蒲公英の丈は低い。西洋蒲公英のように野にへばりつくように咲くのもある。スケッチしようとすれば、花は野に置いたまま、膝を折って、野に屈んでスケッチをする。(高橋正子)

[3月1日]

★弓と槍かざる山家の木の芽漬/小口泰與
木の芽漬は京都の鞍馬のものが有名だが、この句の山家はどこであろうか。弓と槍を飾る武士の流れを汲む家であろうが、木の芽漬を作り、質素に丁寧な山家の春の暮らしがしのばれる。(高橋正子)

3月1日~10日


3月10日(7名)

●古田敬二
(原句)蕗の薹高野山行き電車来る
蕗の薹高野へ登る電車来る★★★★(正子添削)
これから高野山へ参ろうとする電車を待っていると蕗の薹が目に入った。高野の麓には春が来ている。これから参る高野山はどうなんだろうか。高野への期待が湧く。(高橋正子)

芽吹き近き紀伊山並みの色優し★★★
初音聴く高野電車を待つ駅に★★★

●小口泰與
芽柳や風吹きのぼる山上湖★★★★
まとまって一村つくる蕗の薹★★★
小鳥引く同じ模様の寝間着干す★★★

●廣田洋一
(原句)十三湖山影遠し蜆汁
十三湖の山影遠く蜆汁(添削①)★★★★
十三湖の山影思い蜆汁(添削②)
※作り手のいる「位置」が大切です。

山と海の青取り込む蜆汁★★★
※「青」が不明瞭です。

春うららハヤシライスの昼餉かな★★★

●谷口博望 (満天星)
(原句)土佐水木トロイカ鈴の聞こえたり
土佐水木トロイカ鈴思いたり★★★★(正子添削)
※俳句では、比喩(・・ごとしなど)を嫌います。

三椏はちょうちん鮟鱇のごとし★★★
亀鳴くや電気で人の動き出す★★★

●河野啓一
春の雨止むを待ちかね散歩道★★★
ねや川の橋の袂のつくしんぼ★★★
雨上がりうす明りして桜芽木★★★★

●上島祥子
蓄えし色を放ちて初桜★★★★
咲き初めし桜雄蕊の黄の若さ★★★
渾身の紅深々と桜咲く★★★

●桑本栄太郎 (かつらたろう)
(原句)草萌や土手に日射しの桂川
草萌や土手に日射せる桂川★★★(正子添削)
※「の」は、気を付けて使ってください。

堰水の広き流れや風光る★★★★
みちのくの夜を思えり冴返る★★★

3月9日(5名)

●古田敬二
高野への道端で摘む蕗の薹★★★
膝濡らし高野の道に蕗をとる★★★★
蕗みそや高野の山の香り満つ★★★

●小口泰與
うぐいすの初音ひと声それっきり★★★★
石臼にこれは由由しき蛙の子★★★
頭より若鮎食す我と子と★★★

●河野啓一
草の芽やまさに瑞穂の国なれば★★★★
瑞穂の国は、日本の国の美称「豊葦原千五百秋瑞穂国」から来た言葉。稲がみずみずしく実る国のまず初めは、身近に草の芽が萌え出すところから。日本の季節は春から始まるのが頷ける。(高橋正子)

春の雨祖国遍く青み行く★★★
麗しの山河に注ぐ春の雨★★★

●桑本栄太郎
菜園の老いのふたりや豆の花★★★★
行きに見て帰りに眺む白木蓮★★★
白れんの今にも舞うや青空に★★★

●谷口博望(満天星)
谷の中山茱萸の花明りかな★★★★
亡き友の風の便りや沈丁花★★★
石楠花の蕾の中に紅を★★★

3月8日(6名)

●小口泰與
上州の端山奥山雪消かな★★★★
紅梅の小豆の色にふふみけり★★★
爺さんと婆さんの箸遅日かな★★★

●河野啓一
メジロ来て馬酔木の花にぶら下がり★★★
満開の馬酔木の花に遊ぶ鳥★★★★
花馬酔木白い蜜壺鳥のもの★★★

●廣田洋一
春の波一つ乗り越え不惑かな★★★
(原句)悠揚と一歩踏み出す春の波
悠揚と一歩踏み出し春の波★★★(正子添削)

川縁の草々伸びて風薫る★★★★

●多田有花
穴を出る小さき蜥蜴足元に★★★
竹林をさわさわとゆく春の風★★★
大霞する彼方の島の名を呼べり★★★★

●桑本栄太郎
<高瀬川三句>
沈丁の花の香りや高瀬川★★★
せせらぎの音に育む桜芽木★★★★
沈丁の咲いて別れをしのびけり★★★

●小川和子
乗馬する視野に開ける花ミモザ★★★★
馬に乗ると当然目の位置が高くなる。馬の背の高さに開ける視野には、黄色いミモザの花がふさふさとひろがる。欧米とも違うオーストラリアのロマンティックな風景。(高橋正子)

豪州を旅す思い出ミモザ咲く★★★
春暖炉燃えて草食む羊群れ★★★

●谷口博望(満天星)
初音かなこの一年も恙なく★★★★
頬白の飛び交う朝の清々し★★★
老夫婦河津桜で昼餉かな★★★

3月7日(6名)

●小口泰與
頬刺に湯呑みを満たす手酌かな★★★
たらの芽や上流へ打つてんから師★★★★
てんごうに春日闌けたる芝の中★★★

●廣田洋一
鶯やバスの中にも明らかに★★★★
山間を走るバスなのであろう。鶯の鳴き声がバスの中まではっきりと聞こえてきた。すぐそこの山で鳴いていることは確か。驚きもあり、楽しさもあり、心軽くなるバスの中。(高橋正子)

啓蟄や幸福の鐘響く丘★★★
春山の鳶を見下ろすケーブルカー★★★

●谷口博望(満天星)
水鳥の惜別の歌透き通る★★★
水鳥の帯を引きたる瀬戸の春★★★
雲雀鳴く祖父と登りし裏の山★★★★

●河野啓一
わかめ干す阿波の海辺の風の音★★★★
阿波の鳴門わかめは有名。細くて紐のようなわかめで高級なもの。若布を干す海辺では春先の強い風が吹く。この風が若布を乾かせる。その風の音は印象に残るものだ。(高橋正子)

春潮の寄せて浜辺の散歩道★★★
春の雨生駒の里の水車小屋★★★

●桑本栄太郎
株の間の草の萌え出づ田面かな★★★★
春川と云えど水無き水無瀬(みなせ)川★★★
笑みこぼれいよよ咲き初む白木蓮★★★

●多田有花
啓蟄の光あだし野念仏寺★★★
初蝶と隣あわせて頂に★★★★
山寺に鶯の声こだまする★★★

3月6日(5名)

●小口泰與
(原句)鳥影の一瞬にして窓の春
鳥影の一瞬よぎる春の窓★★★★(正子添削)

あけぼのや犬の駆け行く牧の春★★★
一両の吾妻線や利根の春★★★

●河野啓一
春禽の声かすかなる朝の空★★★★
お茶を汲みカリリと噛みし雛あられ★★★
オカリナの調べ漏れ聞く春の午後★★★

●桑本栄太郎
蘆の角水面の空に芽吹きけり★★★★
蘆が芽ぐみ始めた。水の中から鋭い緑の角のような芽を出す。まっすぐに、一面にそろって芽吹く景色は見事。水面には空が映って、空に芽吹いているようだ。(高橋正子)

風吹けば風に微笑む犬ふぐり★★★
つぴつぴと囀り聞こゆ枝の揺れ★★★

●多田有花
観梅のベンチに広げるお弁当★★★
三月や山歩く人急に増え★★★
風の音強き中より初音して★★★★

●谷口博望(満天星)
水鳥の鳴き声白く朝霞★★★
水鳥の浜を行き交う小舟かな★★★
雲雀鳴き時に草原横切りぬ★★★★

3月5日(5名)

●小口泰與
(原句)山と川オーケストラの雪消かな
山と川鳴り響きあう雪消かな★★★★(正子添削)
山国は雪消のときを迎えた。雪解けに川の水は増えて勢いを増し、山に木魂して轟きながら流れる。山と川の雪消の協奏曲と言えるだろう。(高橋正子)

朝寝して晩年のなお我が時間★★★
米寿まであと十年ぞ風光る★★★

●廣田洋一
(原句)黄水仙門の前にてお出迎へ
黄水仙門の前にて咲きそろう★★★(正子添削)

(原句)枝垂れ梅地にこびるごとしだれたり
枝垂れ梅地へと地へとしだれたり★★★(正子添削)

枝垂れ梅雨に打たれて匂い立つ★★★★

●河野啓一
木瓜の花無垢の姿の素晴らしき★★★
啓蟄やいかなる虫の這い出せる★★★★
縄文の土偶も梅見したるかな★★★

●桑本栄太郎(かつらたろう)
さえずりの高き梢に日射しけり★★★★
天井に飛行機ひびく春の昼★★★
老いふたり背なに日差しの梅見かな★★★

●谷口博望 (満天星)
亀鳴くや人口の減る局面に★★★
春眠の猫の如くに虎斑木菟(トラフズク)★★★
水鳥の北へのけはい春霞★★★★

3月4日(5名)

●谷口博望(満天星)
鶲来て春の海岸道連れに★★★★ 
春のうららかな海岸に鶲が来て、しばらくは鶲を道連れに歩く。まだ帰らぬ鶲と共にいること、ましてや共に歩くことはうれしく、楽しいことだ。(高橋正子)

鳶啼く優しき日なり春の浜★★★
うらうらと小舟往き交う瀬戸の海★★★

●小口泰與
西国へ飛び行く蝶よ硬き空★★★
雑草の芝をつかみし春の鳥★★★
(原句)山風に拡散せしや夜の梅
山風に匂い広がる夜の梅★★★★(正子添削)

●廣田洋一
(原句)若き葉の朝日に光りて山笑う
若き葉の朝日に光り山笑う★★★(正子添削)
※「光り」とし、そこに「切れ」を作ります。

(原句)逃げ水や追いかけおるは吾一人
逃げ水や追いかけいるは吾一人★★★★(正子添削)
蝶々や押し花のごと飾られし★★★

●河野啓一
春潮の香を漂わせ少女来る★★★★
磯遊びをしてきた少女であろう。さわやかな、やわらかな春潮の香りを身にまとっている。自分も春の磯にいるような気持がしてくる。(高橋正子)

青海苔をまぜて搗きたる餅の色★★★
青のりを焙って揉んでたこやきに★★★

●桑本栄太郎
風吹けば風に微笑む犬ふぐり★★★
木蓮の芽の立ち騒ぐ日差しかな★★★
むらさきの橡の芽光るバス通り★★★★

3月3日(6名)

●小口泰與
夕さりの火の見櫓に鴉の巣★★★
禅寺の庫裡寝静まる猫の恋★★★★
二千キロ飛び行く蝶やパネル板★★★

●谷口博望(満天星)
望遠の春の青鳩緑色★★★
群れ飛んでけたたましきや春の鵯★★★
春鶫距離を保ちて啄めり★★★★

●多田有花
きらきらと川面の光り雛祭り★★★★
少女のころを過ぎると、雛祭りを華やかに祝うことも少なくなるが、雛祭りはいつも女性の心を華やがせるもの。きらきら輝く川面を眺めていると、たしかに、雛祭りのころの陽の光りが届いているとうれしくなる。雛飾りの場面から離れると、雛を思いつつ来し方も却ってしのばれるものだろう。(高橋正子)

立ち止まり初音かと耳を澄ます★★★
春風が蓑虫を揺らし続け★★★

●廣田洋一
(原句)引鴨や羽ばたき猛く北を向く
引鴨の羽ばたき猛し北を向き★★★★(正子添削)

つくしん坊袴をはきて空に立つ★★★
逝きし子の下りて来そうな吊るし雛★★★

●桑本栄太郎
(原句)照る曇る日差し明るき春の雪
照る曇る日差しに明るき春の雪★★★★(正子添削)

花鳥のつつぴつつぴと垣根かな★★★
春興や嬰児つぶやくように泣く★★★

●河野啓一
(原句)ひな祭りデイの昼餉は散らし寿司
ひな祭りデイの昼餉の散らし寿司★★★(正子添削)

(原句)丘の樹々淡き色へと変わりゆく
丘の樹々淡き色へと日永し★★★★(正子添削)
元の句は、季語がないので添削した。

梅咲くや朝日を浴びてキラキラと★★★

3月2日(6名)

●広田洋一
山形にゆったり咲きし河津桜★★★

(原句)着物着て迎える乙女河津桜
河津桜と着物の乙女に迎えられ★★★(正子添削)

(原句)河津桜菜の花と頬寄せ合えり
菜の花と河津桜と咲き合えり★★★★(正子添削)

●小口泰與
春の野や伊兵衛も拳も忘れたる★★★
首傾ぐ犬の仕草よ初蛙★★★

(原句)嬬恋の山間を鋤く春田かな
春田鋤く嬬恋村の山間に★★★★(正子添削)

●谷口博望(満天星)
人口減少日本の春愁★★★
春愁や人種不明の浅草寺★★★
春愁や大東京はどこへ行く★★★

●多田有花
寺へゆく道たずねられ春の昼★★★★
蛇行する川は霞に消えゆけり★★★
紅梅に接写レンズを向ける人★★★

●河野啓一
春禽の声高らかに空に満ち★★★
残雪の比良山系や湖西線★★★
蒲公英のスケッチ膝を野に屈め★★★★

●桑本栄太郎
つちふるや遙か故郷は見えざりき★★★
なだらかに遙か生駒やうす霞★★★
菜園の春菜をささげ家事の主婦★★★★

3月1日(6名)

●河野啓一
時ならぬ白い花々春の雪★★★★
春雪の庭一面に花咲かせ★★★
隣屋の屋根雪消えて弥生かな★★★

●谷口博望 (満天星)
しんしんと春三月の牡丹雪★★★★
春愁や酔うて待ちたる終電車★★★
そわそわと帰り支度や鴨の陣★★★

●小口泰與
弓と槍かざる山家の木の芽漬★★★★
木の芽漬は京都の鞍馬のものが有名だが、この句の山家はどこであろうか。弓と槍を飾る武士の流れを汲む家であろうが、木の芽漬を作り、質素に丁寧な山家の春の暮らしがしのばれる。(高橋正子)

春を撮る何処にも所属して居らず★★★
小綬鶏を追いて連写の我が時間★★★

●廣田洋一
(原句)赤傘に色とりどりの吊るし雛
吊るし雛赤い傘より吊るされし(正子添削)★★★★

(原句)這い這いの子が見上げる吊るし雛
這い這いの子が見上げたる吊るし雛(正子添削)★★★

俳人の遺せし雛の句をせがむ★★★

●多田有花
三月や木々の枝先光りおり★★★
梅が香を胸いっぱいに吸う朝★★★★
三月の風花に靴紐を結ぶ★★★
 
●桑本栄太郎
(原句)春雪や朝より来たる救急車
春の雪朝より来る救急車★★★★(正子添削)

濯ぎもの軒端に揺るる春嵐★★★
春昼や尾根を越え来る放れ雲★★★

※廣田洋一さん(神奈川県・藤沢市)がこの度花冠に俳句添削教室より入会されました。別の機会に洋一さんの句をまとめてご紹介いたします。よろしくお願いいたします。

自由な投句箱/2月21日~29日●


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今日の秀句/2月21日-29日


[2月29日]

★大輪の椿堂々冴え返る/河野啓一
大輪の椿は花を咲かせたけれど、また寒い日に戻る。けれど、いったん花を咲かせた椿は、寒さにひるむことなく、堂々と咲いている。その見事さ。厳しい寒さあっての堂々ぶりといえる。(高橋正子)

[2月28日]

★震災の地すべり跡に芝桜/多田有花
震災のときの地滑りは、非常に無残な様相であったが、今では、その地滑りの傷跡を覆い尽くして芝桜が何事もなかったように咲いている。芝桜は、地滑りした地も、それを見る人の気持ちも癒してくれているようである。句意がはっきりしているのがよい。(高橋正子)

[2月27日]

★敷き紙を替えてスケート靴納め/上島祥子
一冬活躍したスケート靴も納める季節となった。楽しく滑った思い出とともに、靴箱に敷く紙をあたらしく替えて、またの出番に備えて納める。(高橋正子)

[2月26日]

★沖待ちの船が点灯冴え返る/高橋秀之
沖待ちの船に灯がともされ、「冴え返る」を身に染みて感じさせられる。港ではなく、沖待ちの船の「遠い灯」が冷たい空気にくっきりと灯っている。(高橋正子)

★陽を透かし虎杖紅く土手に萌ゆ/佃 康水
なんでも、生き生きとしているものは、見ているものの気持を励ましてくれる。虎杖の新芽の紅色が土手の陽を透かしている。見ていて、春が来た。暖かい季節ももうすぐだと思わせてくれる。(高橋正子)

[2月25日]

★水鉢に椿数多を浮かばせる/祝 恵子
鉢に水を張って、玄関先などに椿の花を浮かせているのを、ときどき見かける。数輪の椿の場合もあるし、この句のように、たくさんの椿を浮かせている場合もある。生活のなかに風雅を楽しんでいるのがいい。(高橋正子)

[2月24日]

★節々に硬き蕾を白木蓮/河野啓一
もう少し経てば、白木蓮が一斉に咲きだすが、それまでは、枝の節々にうぶ毛に包まれた銀色の蕾が寒さに耐え、日に輝きながら咲く日を待っている。「節々」「硬き蕾」に、花の生命力が象徴され、開花した時の美しさをも想像させている。写生が効いている。(高橋正子)

[2月23日]

★風光る藍染のれん真あたらし/小口泰與
真あたらしい藍染のれんに風が光る。真あたらしい藍染のれんの清潔さが風光る季節に特に鮮明目に入る。(高橋正子)

[2月22日]

★二ン月や小川の水の躍り居り/桑本栄太郎
まだまだ寒さが厳しい二月。けれども小川を流れる水は、水量も増えて、小躍りしているかのように、光りながら流れている。こんな様子を見るとたしかに春が来ている。(高橋正子)

[2月21日]

★ひな人形今日始まれる壇飾り/河野啓一
ひな人形を飾るのは、節分を過ぎてから、その家庭でまちまちであるが、啓一さんの家には、「今日」から飾られた。壇飾りのゆかしい雛が飾られると、一度に華やかな雛の間となる。「今日始まれる」が新鮮。(高橋正子)

★春の風梢の高みを通るらし/古田敬二
春の風がそよそよと高い梢を揺らして通り過ぎる。春の風は一番に梢を吹くようである。詩情のある句だ。(高橋正子)

2月21日~29日


2月29日(4名)

●小口泰與
白梅や犬のじゃれ付く撞木綱★★★
廃線となりし枕木冴返る★★★★
花林糖かりっと噛むや風光る★★★

●河野啓一
大輪の椿堂々冴え返る★★★★
大輪の椿は花を咲かせたけれど、また寒い日に戻る。けれど、いったん花を咲かせた椿は、寒さにひるむことなく、堂々と咲いている。その見事さ。厳しい寒さあっての堂々ぶりといえる。(高橋正子)

春寒の青空白き千切れ雲★★★
伊予絣父祖の地思う二月尽★★★

●桑本栄太郎
まんさくの川べり歩む地道かな★★★★
部活子のテニスコートや風光る★★★
春眠の目覚む入日や朝日とも★★★

●多田有花
春霞む大阪望む神呪寺(かんのうじ)★★★
桜すでに咲かせて甲山大師★★★★
春の山下りて生チョコシフォンケーキ★★★

2月28日(6名)

●河野啓一
蕗の薹草おし分けて青い空★★★
雑草のいじめに耐えて蕗の薹★★★
色のままからりと揚がる蕗の薹★★★★

●小口泰與
長閑さや親指の爪弧を描く★★★
かげろうや幼き頃の道の幅★★★
書肆出でて遅日の空を見上げたり★★★★(正子添削)

●多田有花
ミモザ咲く川べりの道を歩く朝★★★
震災の地すべり跡に芝桜★★★★
春空へ丸き稜線甲山(かぶとやま)★★★

●迫田和代
朝東風や遠くの山の茜色★★★(正子添削)
誰一人いない桜よもう咲くよ★★★★(正子添削)
力ない病躯で絞る春の水★★★

●谷口博望 (満天星)
肩に触る匂い優しき枝垂梅★★★
枝垂梅ふわりと宙に浮くごとし★★★★(正子添削)
松雪草あなたを待つわいつまでも★★★

●桑本栄太郎
さえずりや高き梢の空の青★★★★(正子添削)
歩みゆく嶺の彼方や霾ぐもり★★★
七段の堰水光り春淡し★★★

2月27日(7名)

●川名ますみ
緋寒桜つぼみも土を正面に★★★
富士の背に滲み眩しき冬茜★★★★
うたた寝へ早春の陽の眩げに★★★

●多田有花
島々を隠す霞や播磨灘★★★
頂に春の日差しの溢れ初む★★★
軽やかな水音を聞く春の山★★★★(正子添削)

●小口泰與
へら浮子や咫尺に居りし春の鳥★★★
公魚のかろき魚信(あたり)よ風の中★★★★
かげろうや鶏の産毛の舞う如し★★★

●谷口博望(満天星)
節分草恥ずかしそうに顔を上げ★★★
 ※「はずかしそうに」のところを、「写生」してください。
水琴や加賀の白梅人だかり★★★★
榛の雄花と雌花咲きいたり★★★

●河野啓一
そよ風に揺れて黄色いクロッカス★★★
池の端に今年も低くクロッカス★★★
春なれや箕面の山の滝の音★★★★

●桑本栄太郎
芽木かざす街路樹天の青空に★★★
川風の水面煌めき木の芽張る★★★★
信号灯のカタコト揺るる春の風★★★

●上島祥子
春玉子マヨネーズとなり昼食へ★★★
スカーフの衣摺れの音春の夜★★★
敷き紙を替えてスケート靴納め★★★★(正子添削)
一冬活躍したスケート靴も納める季節となった。楽しく滑った思い出とともに、靴箱に敷く紙をあたらしく替えて、またの出番に備えて納める。(高橋正子)

2月26日(7名)

●河野啓一
古池に溢れるばかり春の水★★★★
レース越し春光部屋に差してくる★★★
紅椿摘んで供えし亡き人に★★★

●小口泰與
薄氷の暁のかたちや風の中★★★
夕映えの木の芽さかんよ乾杯す★★★★
参道を踏むや道哭き冴返る★★★

●多田有花
球を打つコートに早春の満月★★★★
春寒の沖に横たう淡路島★★★
午後からは曇りがちなり枝垂梅★★★

●谷口博望(満天星)
帰る日や愛しき鴨にグッドバイ★★★
引揚げて七十年や鴨帰る★★★★
ひたすらに草萌を食むヌートリア★★★

●桑本栄太郎
音乾くテニスコートや春寒し★★★
青空の楽譜となりぬ銀杏の芽★★★★
田面抜く風に途切れる揚ひばり★★★

●高橋秀之
沖待ちの船が点灯冴え返る★★★★
沖待ちの船に灯がともされ、「冴え返る」を身に染みて感じさせられる。港ではなく、沖待ちの船の「遠い灯」が冷たい空気にくっきりと灯っている。(高橋正子)

春浅し夕陽の沈む三河湾★★★
公園の梅が一気に開く朝★★★

●佃 康水
陽を透かし虎杖紅く土手に萌ゆ★★★★
なんでも、生き生きとしているものは、見ているものの気持を励ましてくれる。虎杖の新芽の紅色が土手の陽を透かしている。見ていて、春が来た。暖かい季節ももうすぐだと思わせてくれる。(高橋正子)

丸めては樽に打ち込む味噌作り★★★
牛舎のみ残りし牧や冴え返る★★★

2月25日(4名)

●小口泰與
大利根の風に煽らる紙鳶★★★★
紙鳶担ぐ男の顔数多★★★
佐保姫や山川朝日響きける★★★

●祝恵子
水鉢に椿数多を浮かばせる★★★★(正子添削)
鉢に水を張って、玄関先などに椿の花を浮かせているのを、ときどき見かける。数輪の椿の場合もあるし、この句のように、たくさんの椿を浮かせている場合もある。生活のなかに風雅を楽しんでいるのがいい。(高橋正子)

探梅や能勢街道を通りゆく★★★
吾が影の伸びて春田の葉の上へ★★★

●谷口博望(満天星)
枝ぶりの金剛力や梅の花★★★★
梅の花可憐な雄蕊散らぬ間に★★★
梅の花乙女の睫毛輝きぬ★★★

●桑本栄太郎
紅梅の鉢にあまたの枝垂れ居り★★★
山茱萸のつぼみ希望の狭庭かな★★★
カタカタとポールの鳴りぬ春嵐★★★★

2月24日(4名)

●谷口博望 (満天星)
一望の大東京や春きざす★★★★
春めくや隅田川ゆく屋形船★★★
春寒の仲見世にぎわう浅草寺★★★

●小口泰與
鳥帰る幼き時の通学路★★★★
下萌や靴新しき乗馬服★★★
れんげ田や幼にもどるセーラ服★★★

●河野啓一
節々に硬き蕾を白木蓮★★★★
もう少し経てば、白木蓮が一斉に咲きだすが、それまでは、枝の節々にうぶ毛に包まれた銀色の蕾が寒さに耐え、日に輝きながら咲く日を待っている。「節々」「硬き蕾」に、花の生命力が象徴され、開花した時の美しさをも想像させている。写生が効いている。(高橋正子)

木蓮のつぼみ産毛に包まれて★★★
冴えかえる池の面滑る鴨の列★★★

●桑本栄太郎
田道行く春は名のみと言う風に★★★(正子添削)
揚ひばり風に逆らう声ばかり★★★★
白きもの混じる野風や春寒し★★★

2月23(4名)

●小口泰與
風光る藍染のれん真あたらし★★★★
真あたらしい藍染のれんに風が光る。真あたらしい藍染のれんの清潔さが風光る季節に特に鮮明目に入る。(高橋正子)

穴釣りの公魚朝日受けにける★★★
春光や朱の橋渡るメード服★★★

●河野啓一
梅蕾膨らみかけてまた閉じて★★★
冴えかえる予報を恨む翁かな★★★
春耕の庭土固くごつごつと★★★★

●谷口博望(満天星)
ヒヤシンス結婚式の顔と顔★★★
朧月半円状の夜景かな★★★★
遙かなる冠雪富士やオフィス街★★★

●桑本栄太郎
駒返る草の目ざとき日差しかな★★★
烏舞う天の茜や春夕焼け★★★
夕刊を取りに階下へ冴えかえる★★★★

2月22日(3名)

●小口泰與
猫柳猫の肉球やわきかな★★★
梅咲くを水面の雲へ告げしかな★★★★
しののめの雨の末黒の薄かな★★★

●河野啓一
山焼きの煙流れて春の野辺★★★
雀には雀の春よ虫咥え★★★★
いっぱいのコーヒー干して春の午後★★★

●桑本栄太郎
二ン月や小川の水の躍り居り★★★★
まだまだ寒さが厳しい二月。けれども小川を流れる水は、水量も増えて、小躍りしているかのように、光りながら流れている。こんな様子を見るとたしかに春が来ている。(高橋正子)

春きざす部活の声の運動場★★★
風落つや嶺の茜の春嵐★★★

2月21日(6名)

●多田有花
春の霜滑り台に鉄棒に★★★
梅が香に包まれ午後の陽の中を★★★★
久々に歩けば満開の梅林★★★

●河野啓一
ひな人形今日始まれる壇飾り★★★★
ひな人形を飾るのは、節分を過ぎてから、その家庭でまちまちであるが、啓一さんの家には、「今日」から飾られた。壇飾りのゆかしい雛が飾られると、一度に華やかな雛の間となる。「今日始まれる」が新鮮。(高橋正子)

麦青む街道沿いの車列かな★★★
消え残る峰の白雪惜しむ朝★★★

●小口泰與
寺に咲く梅一輪の余寒かな★★★
夕さりの尾長の声の余寒かな★★★★
枝笹の先の朽ちたる余寒かな★★★

●桑本栄太郎
夢の覚め夢に又落つ風邪寝かな★★★
山影と見れば雲影春の嶺★★★★
まんさくの枯葉の中に風生忌★★★

●古田敬二
春の風梢の高みを通るらし★★★★
春の風がそよそよと高い梢を揺らして通り過ぎる。春の風は一番に梢を吹くようである。詩情のある句だ。(高橋正子)

春の陽のぬくもり森のベンチにも★★★
春の陽の森の蕾を温める★★★

●迫田和代
向こう岸いぬのふぐりや寂しげに★★★
岩叩く音ものんびり春の海★★★★
もうすこしたてば桜の淡い色★★★

●自由な投句箱/2月11日~20日●


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今日の秀句/2月11日-20日


[2月20日]

★ほっこりと野の香の立ちて蓬餅/佃 康水
「ほっこりと」に、なごまされる。蓬餅の蓬の香りは、春の野の香りといってよい。蓬餅もまるまるとして、手作りの良さが見えておいしそう。(高橋正子)

[2月19日]

★沈みゆく日を見送りて春の橋/祝恵子
「沈みゆく日」には人はどこか感傷的な気持ちを持つが、この句はもっと自然体で、沈む日を心に収めつつ見送っているのがいい。日が永くなった春の橋は、沈む日の始終をよく見せてくれる。(高橋正子)

★さまざまの花芽蕾に春の朝/川名ますみ
さまざまな花芽が気づくと蕾になって、膨らんでいる。朝なので、「一夜にして蕾になった」ような気持もするのだろう。うれしいことだ。(高橋正子)

[2月18日]

※該当作品なし

[2月17日]

★日脚伸ぶ鳥は枯木の懐に/河野啓一
枯木には日が暖かそうに差し込んで、その中に鳥が遊んでいるのがよく見える。枯木のふところに居て、鳥は自由だ。(高橋正子)

[2月16日]

★飛び発ちて何処へ消えし春の鳥/河野啓一
枝移りする春の鳥を眺めていたら、飛び発ってしまった。何処へ消えてしまったのだろう。春の鳥へ慈しみ。(高橋正子)

★ごつごつと触れ合う船や春の潮/古田敬二
ゆったりと流れる春の潮もあるけれど、春一番などの風が吹くと潮が荒れる。繋いである船が船体と船体をぶつけて「ごつごつ」という音を立てる。それがリアルに詠まれている。(高橋正子)

[2月15日]

★青麦や光り弾くる鳩の胸/小口泰與
鳩の胸は丸く出っ張って、光りを虹色に弾いていることがある。麦はあおあおと光りを反射させ、風は寒くとも、光りは強く春本番へと近づいている。(高橋正子)

[2月14日]

★神護寺へ長き石段春淡し/多田有花
「神護寺」に私は参ったことはないが、その奥の方には栂尾「高山寺」があって、一度は行ってみたい寺である。京都高雄山の中腹にある紅葉の名所と知られ、日本寺院の中でもの重要な寺とされる。長い石段に覆いかぶさるような紅葉の写真からみると、古びた長い石段を上りつつ「春淡し」が身に感じられてくる。(高橋正子)

[2月13日]

★広い野に膨らみかけた蕗の薹/迫田和代
蕗の薹は山水のしみ出るところ、庭の片隅、野原にも蕗の薹がある。広い野に膨らみかけた蕗の薹は、空に憧れて花を咲かせようとしている風にも見える。心が広々となる句。(高橋正子)

★春泥をき踏み散らし来る孫二人/河野啓一
男のお孫さんの、中学生か、高校生を想像する。二人が元気よく、春泥も厭わず、春泥を踏み散らしてやってくる。飾り気がなくて、溌剌とした行動が頼もしい。(高橋正子)

[2月12日]

★テレビには雪山窓に梅蕾/河野啓一
テレビには凛とした雪山が映し出され春は遠いと見えるが、私の傍近くの窓には、梅の蕾が膨らんで、咲きそうである。日本列島、こうも季節が違うものか。(高橋正子)

[2月11日]

★茎立や菜園それぞれ仕切らるる/桑本栄太郎
菜園のに蕪やあぶら菜の薹が立って、あちこちにすっくと茎が伸びている。その茎立った様子を見れば、一目瞭然菜園が仕切られているのが分かる。早春の景色。(橋正子)

2月11日~20日


2月20日(6名)

●小口泰與
たらの芽や淵に佇むてんから師★★★
釣人の魚籠あふれけり蕗の薹★★★★
安曇野の畦の雪間に蕗の薹★★★

●小川和子
日当たれば幹温かき欅かな★★★★
日の少し差し込む藪の紅椿★★★
長閑さに莟ほのぼの枝だれ梅★★★

●多田有花
小綬鶏に呼ばれて窓を開けにけり★★★★
春眠をたっぷりとって風邪癒す★★★
春の雨更地となりし河川敷★★★

●古田敬二
ランナーの足音梅の咲き初むる★★★
豊かなり地にイヌフグリ枝に梅花★★★
蜜を吸うメジロとしばし遊びけり★★★★

●佃 康水
河原鶸零れて葦に啼きたつる★★★
ほっこりと野の香の立ちて蓬餅★★★★
「ほっこりと」に、なごまされる。蓬餅の蓬の香りは、春の野の香りといってよい。蓬餅もまるまるとして、手作りの良さが見えておいしそう。(高橋正子)

車窓より火事丸見へに冴え返る★★★

●上島祥子
梅枝の二心無く青空へ★★★
雪残る天満宮への路静か★★★
御嶽に向き合い座る春テラス★★★★

2月19日(4名)

●小口泰與
耕やダックスフント駆け抜けし★★★
犬ふぐりプラネタリウム出づる吾子★★★
鳥交る芝にあまねく日の差しぬ★★★★

●祝恵子
薄氷やバケツのヒシャク持てば割れ★★★
沈みゆく日を見送りて春の橋★★★★
「沈みゆく日」には人はどこか感傷的な気持ちを持つが、この句はもっと自然体で、沈む日を心に収めつつ見送っているのがいい。日が永くなった春の橋は、沈む日の始終をよく見せてくれる。(高橋正子)

春の鳥尾をひくひくと切り株に★★★

●古田敬二
春野行く故郷の夢見し朝★★★
春風の音せぬほどに梢揺れ★★★★
春の海三角波に風遊ぶ★★★

●川名ますみ
さまざまの花芽蕾に春の朝★★★★(正子添削)
さまざまな花芽が気づくと蕾になって、膨らんでいる。朝なので、「一夜にして蕾になった」ような気持もするのだろう。うれしいことだ。(高橋正子)

川縁の小さき梅苑白満つる★★★
しだれ梅萼の裏にも蕾あり★★★

2月18日(2名)

●小口泰與
川風のいまだ硬しや牡丹の芽★★★★
産土の砂利懐かしき蜆汁★★★
噴煙の先の細きや冴返る★★★

●多田有花
快晴の明石海峡春早し★★★
春の野を朝日に向かい新幹線★★★
春朝日白鷺城を薔薇色に★★★★

2月17日(4名)

●河野啓一
日脚伸ぶ鳥は枯木の懐に★★★★
枯木には日が暖かそうに差し込んで、その中に鳥が遊んでいるのがよく見える。枯木のふところに居て、鳥は自由だ。(高橋正子)

春昼の枯れ木に遊ぶ鳥の影★★★
梅が香や南部(みなべ)紀の国海青し★★★

●小口泰與
産土の鍋割山(なべわり)雪消鳥の声★★★
畑打や猫の足跡点点と★★★
下萌や里は寒風なお残り★★★★

●多田有花
廃屋の取り壊されて春寒し★★★★
春あられ年金引き出す人の列★★★
春の風邪鼻炎カプセル服用す★★★

●谷口博望 (満天星)
肩に触れ被爆柳や千羽鶴
肩に触る被爆の柳千羽鶴★★★★(正子添削)
ピーヒャラと鳶舞いたる日永かな★★★
手をつけば鯉の旋回水温む★★★

2月16日(4名)

●小口泰與
噴煙の見ゆる溶岩道すみれ咲く★★★★(正子添削)
朝晩の御勤めの如蜆汁★★★
摘草や子のスカートの揺れかすか★★★

●河野啓一
飛び発ちて何処へ消えし春の鳥★★★★
枝移りする春の鳥を眺めていたら、飛び発ってしまった。何処へ消えてしまったのだろう。春の鳥へ慈しみ。(高橋正子)

冴えかえる朝の生駒のあざやかに★★★
チューリップ伸び来る若葉やわらかに★★★

●桑本栄太郎
春眠の目覚め夢追い又ゆめに★★★
雲奔り雲影走る春の嶺★★★
目刺焼きひとり夕餉や妻の留守★★★★

●古田敬二
ごつごつと触れ合う船や春の潮★★★★
ゆったりと流れる春の潮もあるけれど、春一番などの風が吹くと潮が荒れる。繋いである船が船体と船体をぶつけて「ごつごつ」という音を立てる。それがリアルに詠まれている。(高橋正子)

立春や過る小鳥の羽透ける★★★
枝渡る鳥影多し春立つ日★★★

2月15日(3名)

●小口泰與
青麦や光り弾くる鳩の胸★★★★
鳩の胸は丸く出っ張って、光りを虹色に弾いていることがある。麦はあおあおと光りを反射させ、風は寒くとも、光りは強く春本番へと近づいている。(高橋正子)

前向ける尾長の嘴や春の土★★★
春の日や会釈なき子へ手を振りぬ★★★

●河野啓一
青年の合格を喜びて
大和なる明日香の里の初音かな★★★★
薄日さす二月はもはや半ば過ぎ★★★
冴えかえる池の氷の鈍き色★★★

●桑本栄太郎
姦しき田面の天(そら)や揚ひばり★★★★
屈みこみ一頻り愛づ犬ふぐり★★★
止まりて春の楽聞く小川かな★★★

2月14日(5名)

●古田敬二
反芻の黒牛の背に春陽濃し★★★
青き踏み放牧牛ののしのしと★★★
木蓮の蕾の向こうの空広し★★★★

●小口泰與
梢より落ち来るものよ牡丹雪★★★★
春の暮採餌に尾長来りける★★★
噴煙の先や真鳥の春の山★★★

●多田有花
神護寺へ長き石段春淡し★★★★
「神護寺」に私は参ったことはないが、その奥の方には栂尾「高山寺」があって、一度は行ってみたい寺である。京都高雄山の中腹にある紅葉の名所と知られ、日本寺院の中でもの重要な寺とされる。長い石段に覆いかぶさるような紅葉の写真からみると、古びた長い石段を上りつつ「春淡し」が身に感じられてくる。(高橋正子)

春の空錦雲渓の底に光る★★★
バレンタインデー終日風の音高し★★★

●桑本栄太郎
山裾の里のけぶりて揚ひばり★★★★
あるが儘咲いて競える野梅かな★★★
バレンタインデー愛は誤解と知りつつも★★★

●谷口博望(満天星)
梅見茶屋水琴窟の音を聴き★★★
梅咲いて久々に聞く孫の声★★★★
春一番からす毅然と橋の上★★★

2月13日(4名)

●小口泰與
春の鳥句会仲間と居るごとし★★★★
眠ぶさたの昼や畦道揚ひばり★★★
のったりと横たわりたる春の昼★★★

●迫田和代
広い野に膨らみかけた蕗の薹★★★★
蕗の薹は山水のしみ出るところ、庭の片隅、野原にも蕗の薹がある。広い野に膨らみかけた蕗の薹は、空に憧れて花を咲かせようとしている風にも見える。心が広々となる句。(高橋正子)

雨の中負けるものかと鶯や★★★
梅の花香りしらじら花も白★★★

●河野啓一
春泥をき踏み散らし来る孫二人★★★★
男のお孫さんの、中学生か、高校生を想像する。二人が元気よく、春泥も厭わず、春泥を踏み散らしてやってくる。飾り気がなくて、溌剌とした行動が頼もしい。(高橋正子)

春衣着せてマネキン若くなり★★★
春昼やどら焼きを手に舟を漕ぐ★★★

●桑本栄太郎
さみどりも赤きもありぬ新芽立つ★★★
野梅咲き遠きふるさと想い見る★★★★
野に立つや高き天なる揚ひばり★★★

2月12日(5名)

●河野啓一
テレビには雪山窓に梅蕾★★★★(正子添削)
テレビには凛とした雪山が映し出され春は遠いと見えるが、私の傍近くの窓には、梅の蕾が膨らんで、咲きそうである。日本列島、こうも季節が違うものか。(高橋正子)

杯を挙ぐ建国日なり青山河★★★
樹の洞に小鳥連れ立ち水を飲む★★★

●谷口博望 (満天星)
下萌や落ちて朽ちたる金鈴子★★★
春の風朽ちて破れし朴落葉★★★★
朽ちつつも二月の空の茨の実★★★

●小口泰與
払いてもとび来る虻ぞ浮子沈む★★★
小座布団ならぶ茶店や梅の花★★★
紅梅やほっと茶柱立ちにける★★★★

●多田有花
早春の人影まばらな高山寺★★★
お抹茶をいただく余寒の高山寺★★★
トレイルを歩き二月の池に出る★★★★

●桑本栄太郎
芽柳の青き枝垂れや小畑川★★★★
まんさくの青き空へと見上げ居り★★★
うらうらと歩む街道菜の花忌★★★

2月11日(5名)

●小口泰與
境内の一隅照らす梅の花★★★
隠れ沼へ一目散の雉子かな★★★
亀鳴くや非通知電話かかり来る★★★

●谷口博望(満天星)
春きざす猿の手温め確かなり★★★
春淡しさざ波光る被爆川★★★
川面照り顔ぶれ変る今日の鴨★★★★

●河野啓一
春温し縄文土偶のほほえみて★★★★
杯を挙げて談笑春の午後★★★
せせらぎは春を流れて水車へと★★★

●祝恵子
広き空求めて凧は高くあり★★★★
婆の木という椿の札に苦笑する★★★
降雪機子らにそそぎて春広場★★★

●桑本栄太郎
茎立や菜園それぞれ仕切らるる★★★★
菜園のに蕪やあぶら菜の薹が立って、あちこちにすっくと茎が伸びている。その茎立った様子を見れば、一目瞭然菜園が仕切られているのが分かる。早春の景色。(橋正子)

春禽の見えざる枝を探しけり★★★
紅梅のいつも青空丘の梅★★★

●自由な投句箱/2月1日~10日●


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