7月21日~31日


7月31日(5名)

●小口泰與
あけぼののこぼれ凌霄花潦★★★
日を掬い青田の中に居りにける★★★★
電線に二羽の子つばめ寄り添いぬ★★★

●廣田洋一
かなかなと一声鳴きし森の隅★★★
子供らの先頭に立つ阿波踊り★★★★
ぎんやんま蓮の葉先に着地せり★★★

●谷口博望 (満天星)
向日葵や砂浴びしたる雀どち★★★
向日葵や対岸走る電車の音★★★★(正子添削)
対岸から電車の走る音が聞こえる。対岸は街だ。川を挟んだこちらは夏の日を浴びて向日葵が明るく咲いている。こちらの岸と対岸とが、過去と現在をいり交ぜたような世界と思える。(高橋正子)

みんみんや被爆で曲がる九輪塔★★★

●小川和子
海鳴りの聴こゆ砂丘のメロンかな★★★
夏波涛沖より寄せく海岸線★★★
鳥海を望む砂地やカンナ咲く★★★★

●桑本栄太郎
水匂う土の匂いや夕立風★★★★
ひぐらしの鳴いて故郷呼びにけり★★★
君逝きてすでに十年酔芙蓉★★★

7月30日(5名)

●谷口博望 (満天星)
ジュラ紀へのタイムスリップ夏休み★★★
恐竜の化石に触れる夏休み★★★★
美声なる卒寿の人や百合の花★★★

●小口泰與
朝曇りたどり着きたる金曜日★★★
雨後の庭蛙来ており芝刈機★★★★
丑三つの目高早くも争えり★★★

●廣田洋一
遠雷を聞きつつ読書続けたり★★★
雷光や梅雨空裂きて追い払う★★★

おにやんま低く飛びては水面打つ★★★★
とんぼが、飛んでは、水面をちょんちょんと打っている光景を見ることがある。とんぼは種類によって、いろんな産卵の方法や形態をとるらしく、おにやんまのこの行為がなんのためかよく知らないが、水辺の涼しそうな光景だ。(高橋正子)

●河野啓一
土用丑デイのお昼もウナギ入り★★★
ニイニイ蝉合唱に加わる昼下がり★★★
千里丘陵昔は多き月見草★★★★

●桑本栄太郎
夏朝の嬰児(ややこ)泣きおり哀しげに★★★
ひぐらしや古傷今に問はれても★★★
三伏の夜気の嬉しき寝床かな★★★★

7月29日(6名)

●古田敬二
背泳ぎで飛騨の流れに任せきり★★★★
パナマ帽不似合いと思えど街へ行く★★★
ごきっと採るもろこし実りを確かめて★★★

●小口泰與
夏富士や縄文人の家系なる★★★★
茂林寺の狸の臍や日雷★★★
キューピーも臍を押さえしはたた神★★★

●谷口博望(満天星)
いのち継ぐ旅へ飛翔の蝉の殻★★★
恐竜のタイムスリップ夏休み★★★
句づくりのスローライフや秋隣★★★★

●廣田洋一
燕の子横に並びて餌を待つ★★★
鳴声に人も寄りけり燕の子★★★
紫陽花や色落ちてなほ咲きてをり(原句)
紫陽花や色落ちてなほ咲きつづき★★★★(正子添削)

●桑本栄太郎
空蝉の幹の半ばに数多かな★★★
しがみつき幹に虚ろや蝉の殻★★★★
一つ見てあまた見つけし蝉の羽★★★

●河野啓一
月見草日暮れを待ちてほんのりと★★★
谷合いに灯ともし頃や月見草★★★

夜の空仰げば地には月見草★★★★
夜空を見上げ、そして、ふと足元を見ると月見草が咲いている。月や星の色も月見草も澄んだ黄色だ。大きな空間が感じられる涼やかな句だ。(高橋正子)

7月28日(6名)

●谷口博望 (満天星)
椋の実の色染めながらつくつくし★★★
橋に来て帽子を脱げば南風★★★★
夜を徹し歩く姿や蝉の穴★★★

●小口泰與
青メロン常陸と蝦夷の競いけり★★★
真直ぐな道の記憶や雲の峰★★★★
雲の峰に触発され思い起こされた記憶。真夏の白く乾いた真っすぐな道。こういう道の記憶は、私にもあるが、それが、どこだったか。画のなかだったか。(高橋正子)

雷雲のはや襲来やゴルフ場★★★

●廣田洋一
日日草明るく並ぶ出入口★★★★
芯の色違へて目立つ日日草★★★
向日葵や首折れしたる道の端★★★

●河野啓一
木立ちあり星降るごとき蝉しぐれ★★★★
緑陰を撥ねのけ咲ける向日葵よ★★★
街中に人家を分けて青田かな★★★

●桑本栄太郎
目覚め居て想い出たどる短夜かな★★★
誰が指揮をとつているやら蝉しぐれ★★★
自転車を降りて踏切炎天に★★★★

●川名ますみ
葉の色を羽に載せつつ蝉鳴けり★★★
梅の葉の色して蝉は梅の木に★★★★
青空を震わせつくる蝉の音★★★

7月27日(6名)

●小口泰與
電線はすべて曲線糸とんぼ★★★★
まず犬の白妙産まる牧の夏★★★
風薫る僧都の読経朗朗と★★★

●古田敬二
陽を浴びて葉陰のルビーミニトマト★★★
曝書かなガリ版刷りのセピア色★★★★
曝書をすることも少なくなったが、懐かしい風景だ。曝書しながら、ついつい読み入ってしまうこともしばしば。わら半紙に印刷されたガリ版刷りのものは、すっかりセピア色に変色している。その時代がありありと蘇られたことであろう。(高橋正子)

紙魚走るセピア色したわが青春★★★

●谷口博望(満天星)
榎木の実色づき初めて雲の峰★★★★
鴉飛ぶ陸軍墓地の蝉時雨★★★
雀どち砂浴びしたる夏の夕★★★

●廣田洋一
空蝉や木の葉の裏に雨宿り★★★
空蝉や雨の雫を滴らせ★★★★
向日葵や家の前にて頭下げ★★★

●桑本栄太郎
蝉穴の暗き樹下なり地獄とも★★★
夏草に高く積み上ぐ廃車かな★★★★
竹林の蔦の茂りや昼の闇★★★

●多田有花
熊蝉の声に包まれ目覚めけり★★★
地下鉄も今宵増便天神祭★★★★
浴衣着て祭りに向かう親子連れ★★★

7月26日(5名)

●河野啓一
コンチキチン都大路を鉾が行く★★★
舟渡御の岸離れ行く賑いに★★★★
大阪の天神祭の舟渡御の神事の句。「神霊をのせたに、御鳳輦奉安船がお囃子をする船や供奉船などが従い、天神橋のたもとから出航して造幣局や中之島のある大川を遡り、反転して下る。」ということだ。祭りの賑わいのなか、「岸離れ行く」のがいい。(高橋正子)

住吉祭境内埋めし夜店かな★★★

●小口泰與
八十路なお矍鑠たるや片抜手★★★
一呼吸於いて話すや合歓の花★★★
山積みのキャベツ湖を隠しけり★★★★

●廣田洋一
風鈴の風カーテンも揺らしけり★★★★
風鈴の音大きく聞こゆ一人部屋★★★
夕焼けや吾が行く手黄に染めてをり★★★

●谷口博望(満天星)
涼風の書斎の窓へ辿りけり★★★★
覆面の香水匂ふ女かな★★★
みんみんや沖縄の海民の海★★★

●桑本栄太郎
緑陰に地べた座りや高校生★★★
幼子の昼寝木陰やベビーカー★★★★
鳴き止みて雨降るを知る蝉の声★★★

●7月25日(5名)

●小口泰與
凌霄花の強き日の中草野球★★★★
逸ノ城蝦蟇の如くに歩みける★★★
雲の峰樹の亭亭の在り所★★★

●廣田洋一
背泳ぎの手ひらりひらり出で来たる★★★
顔上げてゆっくり進む平泳ぎ★★★
深々と一礼したるプールかな★★★★

●谷口博望(満天星)
被爆樹へみんな来てゐて遠花火★★★★
同年の禎子の像や蝉の声★★★
ポケモンと鳩を間違ふ夏の果★★★

●河野啓一
むくげ咲く何の花かと尋ねられ★★★★
花むくげどこか儚き風情して★★★
むくげ咲く薄桃色の美花なりき★★★

●桑本栄太郎
武庫川の風の涼しき川辺かな★★★
芦屋なる白き木槿やエントランス★★★
夏潮の運河にゆらぐ入日かな★★★★
夏潮が入り込む運河に入日が揺らぐ。運河は人工の切り拓いた河。工業的でありながら、ノスタルジックな風情が漂う。入日が余計そうさせる。(高橋正子)

7月24日(6名)

●谷口博望(満天星)
みんみんや針で折りたる千羽鶴★★★
被爆樹の陰に屯の夏のむく★★★
遠花火黒田歓喜の二百勝★★★★

●小口泰與
雲の峰矍鑠たるぞ声の主★★★
白日の畷の蚯蚓遠き畦★★★
二重虹二艘のヨット消えにけり★★★★

●河野啓一
遠蛙淀の川原の葦の間に★★★★
雨蛙啼き声途絶え王子池★★★
蛙とびサッカー少年猛練習★★★

●廣田洋一
露草の青く広がる道の端★★★★
みそ萩や川縁青く染めてをり★★★
一人用小玉西瓜の具合良し★★★

●多田有花
新しき装具で蝉時雨の中を★★★
正午かな初蜩の響く森★★★★
蜩は、朝夕に特に甲高い声で鳴くが、曇りの日や気温が低い日、森のような薄くらがりの中では、昼間にも鳴く。森の正午に蜩を聞いた。暑い盛りなのに、蜩が鳴き始め、正午の森の涼しさがうかがえる。(高橋正子)

盛夏なり風のもっとも心地よき★★★

●桑本栄太郎
祇園会の人の数多や後祭り★★★★
外つ人の地べた座りや夏祭り★★★
母親と幼児ペアなりサングラス★★★

7月23日(4名)

●谷口博望 (満天星)
大暑の日オバマの鶴は人だかり★★★
みんみんや禎子の像は同い年★★★
慰霊碑を横切り去りぬ黒揚羽★★★★

●廣田洋一
大鯰蒲焼にする丑の日かな★★★
プランターの葉陰に浮かぶ苺一つ★★★
梅雨明けてランタナ紅く変わりけり★★★★

●桑本栄太郎
黒瓦屋根に燃え咲く百日紅★★★
白壁の築地塀かな青田風★★★★
リュック背負い駅のホームや夏休み★★★

●河野啓一
長くなき命に啼くや蝉しぐれ★★★
蝉時雨自転車のベルも包み込み★★★
夕蝉の合唱すでに音沈む★★★★
「夕蝉は、そろそろ鳴き止もうと音を沈めている。夕蝉のさみしさが日の暮を速めているようだ。心深む句。(高橋正子)

7月22日(5名)

●小口泰與
夏祭り一枚板の長き卓★★★★
鴫焼や母の遺せし鯨尺★★★
目の前に眼は爛爛の蟬の殻★★★

●谷口博望(満天星)
西瓜割孫見ておれば子のしぐさ★★★
珍しく群れて遊べる四十雀★★★★
晩鐘や暮れ泥む日に赤蜻蛉★★★

●桑本栄太郎
早朝の喇叭部活や大暑来る★★★★
からからと風に乾ぶる蝉の殻★★★
崩れたる屋根に網咲く烏瓜★★★

●廣田洋一
ハモニカの全然合わぬ蝉の声★★★★
ハーモニカを誰かが吹いているのだろう。ご自分かもしれないが、蝉の声と合いそうで合わないハーモニカの音。それが、ちょっと寂しくておかしい。ユニークな視点の句。(高橋正子)

雨降りて長袖を出す大暑かな★★★
昼食は天そばに決め大暑なり★★★

●河野啓一
さざ波の川面早くも赤蜻蛉★★★★
川遊びザリガニがいて児ら暑し★★★
冷麺を啜りしばしの涼とせむ★★★

7月21日(6名)

●谷口博望(満天星)
満月に背中割れたる蝉の羽化★★★
暁や生まれし蝉はみどり色★★★★
殻割つて歓喜謳歌の蝉時雨★★★

●廣田洋一
窓際に大きく開く水中花★★★★
過ぎし日々出稼ぎてふ渡り鳥★★★
幼き日家族大移動鳥渡る★★★

●小口泰與
昼顔の駄駄に咲きけり草野球★★★★
甘藍の嬬恋村に入りにけり★★★
頭ごと鮎を頬張る爺と婆★★★

●佃 康水
瀬戸海を月の誘う管弦祭★★★
児が父を急かす夜店の灯りかな★★★

勝ち試合続くカープや夏盛ん★★★★
私の古い記憶では、カープと言えは弱い球団の代名詞のようだったが、広島市民だ育てたカープが今年は快進撃。勝ち試合が続いて、広島市民だけでなく、都会の若い女性までもがカープに声援を送っている。勝ち試合に暑さも吹っ飛ぶ。「夏盛ん」が快い。((高橋正子)

●河野啓一
富士登山せりと息より報せあり★★★
土用丑今年のウナギ浜名湖産★★★
川開き音は遠くで聞くとせむ★★★★

●桑本栄太郎
街なれば舗道に水を糸とんぼ★★★★
黒蟻の走り雨雲集い来る★★★
炎天にボール蹴る子や運動場★★★

●自由な投句箱/7月11日~20日●


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今日の秀句/7月11日~20日


[7月20日]

★夏の原明るい花々蝶も舞う/迫田和代
夏の野原には、太陽にも負けないほどの明るい色の花々が咲く。黄色い花が目立つかもしれないが、青や赤まで。揚羽蝶なども舞って、華麗な世界が繰り広げられる。(高橋正子)

[7月19日]

★梅雨明けて空を広々瀬戸の海/河野啓一
梅雨明けの開放感が快い。梅雨の間は、煙るように広がる瀬戸の海であったが、梅雨明けと同時に、瀬戸の海は空を広げ、光に満ちている。いよいよ盛夏だ。(高橋正子)

[7月18日]

★湯の町の磴の暮れ行き柚子の花/小口泰與
磴のある湯の町の暮れぎわに匂う柚子の花。湯の町の情緒をすがすがしくしてくれる柚子の花だ。(高橋正子)

[7月17日]

★坂道を上り来れば紗羅双樹/河野啓一
日本でいう「沙羅双樹」は、沙羅の木、夏椿と言われるもので、椿に似た白い五弁の花をつける。釈迦にゆかりがあるのは、インド菩提樹。
坂道を上来ると、つまり、坂道の果ては別の世界。そこに、夏椿とも呼ばれる沙羅双樹が花をつけている。白い五弁の花は、どこか、ありがたく清浄な雰囲気をたたえている。(高橋正子)

[7月16日]

★山盛りの茄子の浅漬け朝餉なる/桑本栄太郎
田舎への帰省したときの朝餉だろう。畑でたくさんとれた茄子を浅漬けにして、器に山盛りにして出された。存分に召し上がれ、であろうが、浅漬け茄子があれば、ほかのおかずはいらない。涼やかな朝餉だ。(高橋正子)

[7月15日]

★賜りて風鈴吊す家となり/川名ますみ
風鈴を贈られるというのも、風流だ。贈られて、それからは、風鈴が鳴る家となった。風鈴は、風の意のままに鳴る。それこそ自然のままに鳴ってくれる風鈴の音色が涼しい。(高橋正子)

[7月14日]

★夕焼けや次々染まるビルの窓/廣田洋一
夕焼けがわずかの時間の経過とともに、次々に窓を染めていく。夕焼けが窓を染めてゆく時間、しばし心が華やぐ。美しい時間だ。(高橋正子)

[7月13日]

★雲の峰バット鋭く振りにけり/小口泰與
雲の峰に負けないくらいに、バットを「鋭く」振る。「鋭く」には、「力」と「スピード」ある。思い切りのよい、スカッとする句だ。(高橋正子)

[7月12日]

★風に乗り羽根すりあわせきりぎりす/桑本栄太郎
風の透明感が漂う。風に乗ったきりぎりすが、羽根をすりあわせて鳴く。どこかに漂うさみしさに、風の透明感が際立つ。(高橋正子)

[7月11日]

★墨の香の我が句吊るして星祭る/佃 康水
七夕笹につるす願いは、時代とともに変わっているようだ。文字の上達を願ったり、裁縫の上達を願ったりした。今はそれぞれだろうか。「墨の香」が残る短冊の願いには、「込められた力」が感じられる。涼やかな句だ。(高橋正子)

7月11日~20日


7月20日(7名)

●河野啓一
夏涼し海越え句集贈らるる★★★★
雨止みてますます繁し青岬★★★
土用波カヌー漕ぐ人気をつけて★★★

●迫田和代
夏の原明るい花々蝶も舞う★★★★
夏の野原には、太陽にも負けないほどの明るい色の花々が咲く。黄色い花が目立つかもしれないが、青や赤まで。揚羽蝶なども舞って、華麗な世界が繰り広げられる。(高橋正子)

梅雨明けの報告受けた嬉しさよ★★★
夏らしき海風涼し通り抜け★★★

●小口泰與
友からの告知の知らせ木下闇★★★
古寺へあだに落ちけりはたた神★★★
凌霄花の赤城山(あかぎ)の雨に育みし★★★★

●満天星
梅雨明や足も軽やか月の道★★★
ビル陰に五弁開きぬ烏瓜★★★★
老鶯や墓地に轟く天の声★★★

●廣田洋一
硝子器に盛りし葡萄の黒光り★★★
黒葡萄日に透け赤く光りける★★★
甘き香の漂ひ流る葡萄畑★★★★

●多田有花
ビルの間から真夏の満月★★★
球を打つ土用夜風に吹かれつつ★★★
山盛りで盛夏のキウイ売られおり★★★★

●桑本栄太郎
ひと夜さの明けて晴れ居り喜雨亭忌★★★
梅雨明けや木蔭の風の囁ける★★★★
古くても身に添う靴や梅雨明ける★★★★

7月19日(5名)

●小口泰與
風鈴や蕎麦屋ののれん褪せにける★★★
扶桑花や水面に遊ぶ雲一朶★★★★
残照の褪せし浅間山(あさま)や熱帯夜★★★

●廣田洋一
向日葵や朝日を浴びて動かざり★★★★
大向日葵門柱のごと二本立つ★★★
向日葵の裏側照らす日の光★★★

●多田有花
夏の林檎ニュージーランドから届く★★★
ビル遠く望む梅雨明けの城跡★★★
渓流に水遊びしてバーベキュー★★★★

●河野啓一
雲の峰海をはるかに望みたり★★★

梅雨明けて空広々と瀬戸の海(原句)
梅雨明けて空を広々瀬戸の海★★★★(正子添削)
梅雨明けの開放感が快い。梅雨の間は、煙るように広がる瀬戸の海であったが、梅雨明けと同時に、瀬戸の海は空を広げ、光に満ちている。いよいよ盛夏だ。(高橋正子)

湖の色青く茜に夕焼ける★★★

●桑本栄太郎)
梅雨明けやものの蔭濃き身のほとり★★★
早風呂を終えて窓辺の端居かな★★★★
夕されば風の涼しき窓辺かな★★★

7月18日(5名)

●谷口博望(満天星)
夜の帳下りて花咲くからす瓜★★★
梯梧咲く受難の赤と碧き海★★★★
雲の峰増殖したる辛夷の実★★★

●小口泰與
湯の町の磴の暮れ行く花柚かな(原句)
湯の町の磴の暮れ行き柚子の花★★★★(正子添削)
磴のある湯の町の暮れぎわに匂う柚子の花。湯の町の情緒をすがすがしくしてくれる柚子の花だ。(高橋正子)

紅白とはや開花せる古代蓮★★★
親族の堂に集いし扇子かな★★★

●廣田洋一
梅雨茸切り株に人集めけり★★★
青蜻蛉水車を回し飛び去りぬ★★★★
桜の木八方に幹伸ばす夏★★★

●桑本栄太郎
夏草や主なき100坪街中に★★★
咲き登り天にいたるや立葵★★★★
青空の葉蔭にありぬ青銀杏★★★

●河野啓一
海の日や水練学校想い出す★★★
打ち水に門辺の鉢の生き返り★★★
青林檎ゼリーひと目の涼しさよ★★★★

7月17日(6名)

●小口泰與
天空の水溜まりれり七変化★★★
肺然を賜わるダムや岩魚釣★★★★
風交の途絶えし友や薫衣香★★★

●谷口博望(満天星)
蝉しぐれ観音様のほほとゆび★★★
蝸牛五感超えたるコンピューター★★★
青桐の歌は流れて花万朶★★★★

●河野啓一
坂道を上り来れば紗羅双樹★★★★
日本でいう「沙羅双樹」は、沙羅の木、夏椿と言われるもので、椿に似た白い五弁の花をつける。釈迦にゆかりがあるのは、インド菩提樹。
坂道を上来ると、つまり、坂道の果ては別の世界。そこに、夏椿とも呼ばれる沙羅双樹が花をつけている。白い五弁の花は、どこか、ありがたく清浄な雰囲気をたたえている。(高橋正子)

夏椿白ろきを揺らす鐘の音★★★
紗羅双樹妻は写経に出かけたり★★★

●多田有花
涼風の中ルーターが届く★★★
万緑の山法螺貝の音響く★★★★
開け放つ窓より夏の蜻蛉かな★★★

●桑本栄太郎
小雨降る祇園囃や河原町★★★★
見目の良き房のつらなり青葡萄★★★
白鷺の田中に黙や高槻に★★★

●廣田洋一
大鋏枯れし紫陽花切り落とす★★★
人工の川辺の森に蝉時雨★★★★
時を決め水流れ込む夏の朝★★★

7月16日(5名)

●谷口博望(満天星)
空蝉のたましひ何処夕茜★★★★
身寄りなき献体の碑や木槿咲く★★★
瓜の花負けじ魂育ちおり★★★

●廣田洋一
古き家の解体工事梅雨晴間★★★
松葉牡丹雨空照らし咲きにけり★★★★
蜘蛛の子の玄関通り入り来る★★★

●小口泰與
雨蛙赤城は雲を育てけり★★★
厨より紫煙の煙り夏暖簾★★★★
歳時記や我をよぎれる白目高★★★

●桑本栄太郎
突風のゲリラ豪雨や夜立ち来ぬ★★★
山盛りの茄子の浅漬け朝餉なる★★★★
田舎への帰省したときの朝餉だろう。畑でたくさんとれた茄子を浅漬けにして、器に山盛りにして出された。存分に召し上がれ、であろうが、浅漬け茄子があれば、ほかのおかずはいらない。涼やかな朝餉だ。(高橋正子)

垣根越え園の嬌声水遊び★★★

●河野啓一
空蝉のただ草の葉に残りたる★★★
蝉の仔の抜け出た穴の二つ三つ★★★
一生は刹那にありて蝉時雨★★★★

7月15日(6名)

●谷口博望 (満天星)
浜木綿や被爆の過去をつなぐ花★★★★
翡翠やチンチン電車橋渡る★★★
風鈴や地声の高き女の子★★★

●小口泰與
黒雲の中より日矢や日輪草★★★
里の田の声をひとつに雨蛙★★★★
青田へと黒雲襲い避雷針★★★

●河野啓一
ボート部の歌斉唱すデイの午後★★★★
三川を集め豊かな夏の川★★★
若鮎の夕日に跳ねる琵琶湖畔★★★

●廣田洋一
網戸開け隣の人と話し込む★★★
網戸より草の香の立つ夕べかな★★★
夕風を通さむ網戸洗いけり★★★★

●桑本栄太郎
日盛りの独り吟行木蔭なる★★★★
手花火の儚くあれば弾けけり★★★
窓よりの夜気さやさやと涼夜かな★★★

●川名ますみ
賜りて風鈴吊す家となり★★★★
風鈴を贈られるというのも、風流だ。贈られて、それからは、風鈴が鳴る家となった。風鈴は、風の意のままに鳴る。それこそ自然のままに鳴ってくれる風鈴の音色が涼しい。(高橋正子)

到来の風鈴にかつての間取り★★★
空色の南部風鈴何処に吊ろう★★★

7月14日(5名)

●谷口博望(満天星)
フラッシュに浮上がる花烏瓜★★★
みんみんや古刹を守る観音像★★★★
夕さるの梧桐の花の映えにけり★★★

●小口泰與
石積の畦の子山羊や青田風★★★
名も知らぬ鳥も来ておる植田かな★★★★
雲の峰ここのみ日矢の棚田かな★★★

●廣田洋一
今日もまた世は事もなし夏の夕★★★
乾杯のジョッキ音立て夏の夕★★★

夕焼けや次々染まるビルの窓★★★★
夕焼けがわずかの時間の経過とともに、次々に窓を染めていく。夕焼けが窓を染めてゆく時間、しばし心が華やぐ。美しい時間だ。(高橋正子)

●桑本栄太郎
里に着き松葉牡丹の迎えけり★★★★
仏間なる父の遺影や蚊遣香★★★
吹きぬける窓の夜風の涼しかり★★★

●河野啓一
雨上がり丘を飛び行く夏鴉★★★
疾風に逃げる水鳥一直線★★★
若鮎のフライの旨まき夕餉かな★★★★

7月13日(6名)

●小口泰與
妙案も無き故目高放ちけり★★★
雲の峰バット鋭く振りにけり★★★★
雲の峰に負けないくらいに、バットを「鋭く」振る。「鋭く」には、「力」と「スピード」ある。思い切りのよい、スカッとする句だ。(高橋正子)
  
ふんわりと玉子を巻くや落し文★★★

●廣田洋一
友逝きし新聞記事に朝曇★★★★
夏の夜西へ西へと雲流る★★★
行列しやっと舐めたるかき氷★★★

●谷口博望(満天星)
草むらの風船蔓秘密めく★★★
夏の灯や久方ぶりの宵の月★★★★
夕日射す入道雲はひんがしへ★★★

●桑本栄太郎
単線の風の涼しき無人駅★★★
葛茂る無人の駅や山陰線★★★
夏潮や小雲湧き居る日本海★★★★

●河野啓一
夕立ち去り草むらの緑鮮やかに★★★
阪奈道大きな虹のかかりたる★★★
訪れて風鈴の音を馳走さる★★★★

●川名ますみ
まっしろな空へ迎火立ちのぼる★★★★
迎火の細き煙の雲に入る★★★
門火焚く毎晩立っていた場所で★★★

7月12日(5名)

●谷口博望(満天星)
滝の水落ちてゆく時白色に★★★★
軽鴨や黄色の嘴を自慢げに★★★
美しき大紫蝶(オオムラサキ)の夏終る★★★

●小口泰與
産土の日の出したたる青田かな★★★★
大甕の中は混沌白めだか★★★
雨粒に目玉を映す雨蛙★★★

●河野啓一
織姫に会いたし今宵晴ならば★★★
裏山の笹竹切るや鄙の村★★★
上を向いて歩こう低き夏の月★★★★

●廣田洋一
夏痩せや努力の跡と受験生★★★★
夏負けや年に負けたと愚痴りけり★★★
夏痩せの友を羨む乙女かな★★★

●桑本栄太郎
風に乗り羽根すりあわせきりぎりす
風の透明感が漂う。風に乗ったきりぎりすが、羽根をすりあわせて鳴く。どこかに漂うさみしさに、風の透明感が際立つ。(高橋正子)

漁火の沖につらなる夏燈し★★★

7月11日(5名)

●小口泰與
夕立や手酌の酒の溢れける★★★
青りんご咫尺にどっと浅間山★★★★
氏筋用浴衣に包み湯の町へ★★★

●谷口博望(満天星)
残照の川辺に遊ぶ夏の鴨★★★
夏の鴨路面電車の走る音★★★★
凌霄のはらりと一花落ちにけり★★★

●廣田洋一
天高く花枝伸ばす百日紅★★★★
道沿いに赤き灯点す百日紅★★★
縮れ花雄蕊を囲む百日紅★★★

●佃 康水
病癒え夜濯ぎの音心地良し★★★
裏山の青より深し青田かな★★★
墨の香の我が句吊るして星祭る★★★★

●桑本栄太郎
<山陰の夏の日本海>
夏潮の白くたゆとう青き空★★★
うっすらとはるか島影夏の海★★★
まるく見ゆ水平線や夏の海★★★★

●自由な投句箱/7月1日~10日●


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今日の秀句/7月1日~10日


[7月10日]

★紙つなぐ機械の模型夏期講座/廣田洋一
紙をつないで、機械の模型を作る。紙と機械というまるで逆のような素材で作られた模型は精巧なのだろう。紙の精巧さが却って涼しさを呼ぶ。夏期講座らしい風景だ。(高橋正子)

[7月9日]

★鮎釣の坂東太郎徒渡る/小口泰與
(鮎釣の利根川を歩いて渡る)という意味で、生活感があり、それでいて、大きな句である。(高橋信之)

[7月8日]

★々の葉の静まり森は暮れんとす/河野啓一
暮れるときは、ものみな静まる。森の木々の葉がまず静まり、辺りよりも、森は早く暮れる。「静まり」がいい。(高橋正子)

[7月7日]

★薬草園涼しさ回す散水器/谷口博望(満天星)
薬草園であるので、散水器が撒く水が一層涼しく感じられる。薬草の香りがしてきそうだ。(高橋正子)

[7月6日]

★風鈴や一陣の風吹き抜けり/谷口博望 (満天星)
「一陣の風」がなんとも嬉しい。一陣の大きな風がさあっと吹き抜けると風鈴が鳴る。耳にも涼しさ。体ごと涼しくなる思い。(高橋正子)

[7月5日]

★分水嶺過ぎて眼下の夏の川/桑本栄太郎
分水嶺は、「分水界、分水境界などという。雨水が異なる方向に流れる境界 のことであり、至る所に分水界は存在するが、特に山岳地帯では山稜が境界になるので 分水嶺という。」と辞書に説明がある。
山岳地帯を車で走っていて、山稜を越えた。すると眼下に夏の川が青くきらめき流れている。別の世界が開ける新鮮な気持ちだ。(高橋正子)

[7月4日]

★土砂降りの雷雨のあとの鳥のこえ/谷口博望(満天星)
土砂降りと雷と、すざましい天気のあと、雨も上がり、雷も去ってしまうと、鳥の安心したような囀りが聞こえる。囀りに、心も洗われ、穏やかにすがすがしい気持ちになる。心境は大切にしたい。(高橋正子)

[7月3日]

★大滝のしぶきを浴びて戻り来る/河野啓一
滝のそばに寄ると、そこだけに涼しい風が立っている。大滝のしぶきが見物する人にまで届いて、少しぬれながらも、勇壮に落ちる大滝の涼しさを満喫されたことである。(高橋正子)

[7月2日]

★赤城嶺の屏風の如し雲の峰/小口泰與
赤城山は、泰與さんのお住いの前橋市のほうから見ると、屏風を立てたような山容だ。どっしりとした山々を下に、雲が高く湧き上がる。雄大な景色がいかにも夏らしい。(高橋正子)

[7月1日]

★日傘よりふいに見えたる白き帯/川名ますみ
日傘を肩にもたせ掛けるようにさしていたのだろうが、帯なども見えていなかった。それが、傘が動き、ふいに白い帯が目に入った。この人は白い帯をしていたのだという意外性と、白い帯の目に映る涼やかさは魅力だ。(高橋正子)

7月1日~10日


7月10日(3名)

●谷口博望(満天星)
百合の花八頭身は細すぎる★★★
夏の子のアメリカ芙蓉咲きにけり★★★
夏の鴨参院選のスピーカー★★★★

●廣田洋一
紙つなぐ機械の模型夏期講座★★★★
紙をつないで、機械の模型を作る。紙と機械というまるで逆のような素材で作られた模型は精巧なのだろう。紙の精巧さが却って涼しさを呼ぶ。夏期講座らしい風景だ。(高橋正子)

夏期講座窓開け放し風を呼ぶ★★★
先生の余興で開始夏期講座★★★

●小口泰與
一輌の足尾線抱き五月山★★★★
たよたよと雄しべのゆれし未央柳★★★
目標は芭蕉や一茶雷に耐う★★★

7月9日(4名)

●谷口博望(満天星)
メルヘンチックな昼咲月見草★★★
銀杏の実青々として地に触るる★★★★
猫の子の飛び上がりけり茂る草★★★

●廣田洋一
梅雨晴間犬の散歩に道譲る★★★
古き都電の木の椅子や風涼し★★★★
梧桐の花ぽろぽろと落ちにけり★★★

●小口泰與
翠巒の風や湖畔の時鳥★★★
残照の湖や忙しき時鳥★★★
鮎釣の坂東太郎徒渡る★★★★
(鮎釣の利根川を歩いて渡る)という意味で、生活感があり、それでいて、大きな句である。(高橋信之)

●迫田和代
山茶花や雨にぬれつつ色深め★★★
リヤカーでほおずきの花と水の音★★★★
美しい菓子を目の前梅雨の雨★★★

7月8日(3名)

●谷口博望(満天星)
パラボナのタイタンビカス交信中★★★
朝顔の巨大カーテン風に揺れ★★★
老鶯や瀬戸の島々見晴るかし★★★★

●小口泰與
足並みを揃える子馬夏のほか★★★
青梅をさくざく踏みし出社道★★★★
大漁旗翻りけり鰹船★★★

●河野啓一
ケアマネの辞されし後の蝉時雨(原句)
ケアマネジャー辞されし後の蝉時雨★★★(正子添削)

冷やし蕎麦デイの休みの昼餉かな★★★

木々の葉も静まり森は暮れんとす(原句)
木々の葉の静まり森は暮れんとす★★★★(正子添削)
暮れるときは、ものみな静まる。森の木々の葉がまず静まり、辺りよりも、森は早く暮れる。「静まり」がいい。(高橋正子)

7月7日(3名)

●谷口博望(満天星)
ふと見れば紫色の百日紅★★★
かたつむり重たき殻を宿にして★★★

薬草園涼しさ回る散水器(原句)
薬草園涼しさ回す散水器★★★★(正子添削)
薬草園であるので、散水器が撒く水が一層涼しく感じられる。薬草の香りがしてきそうだ。(高橋正子)

●小口泰與
風鈴や地酒は辛き香を放つ★★★
遠花火きりりとしたる地酒かな★★★★
空蝉やなお晩年も無能なる★★★

●廣田洋一
七夕や恋路見守る宇宙船★★★
七夕や七色の紙笹に揺れ★★★★
願い事七夕笹をしならせる★★★

7月6日(5名)

●小口泰與
大沼の声をひとつに木葉梟★★★★
青田波同じ方へとなびきける★★★
空蝉や資材置場の老社員★★★

●谷口博望 (満天星)
見はるかすたゆたうヨット右左★★★
ビオトープ涼気を誘う水の音★★★

風鈴や一陣の風吹き抜けり★★★★
「一陣の風」がなんとも嬉しい。一陣の大きな風がさあっと吹き抜けると風鈴が鳴る。耳にも涼しさ。体ごと涼しくなる思い。(高橋正子)

●廣田洋一
木陰に新聞広げ風涼し(原句)
風涼し木陰に新聞広げ読み★★★★(正子添削)

朝涼や新聞取りて立ち読みす★★★
朝涼し狭庭の草を毟りけり★★★

●桑本栄太郎
夏萩や微かな風も放すまじ★★★

青空に雲湧きあがる夾竹桃(原句)
青空に雲湧きあがらせて夾竹桃★★★★(正子添削1)
青空に雲湧きあがり夾竹桃(正子添削2)

甘き香の梔子朽ちて匂い立つ★★★

7月5日(5名)

●小口泰與
山風にささら波立つ植田かな★★★★
時鳥水の越えゆく丸木橋★★★
焼酎を湯飲み茶碗に我が時間★★★

●谷口博望 (満天星)
七月の狂い咲きたる紫木蓮★★★
夢うつつ近付きて来るはたた神★★★★
頭上舞う海猫見たり安芸の空★★★

●廣田洋一
梅雨晴れ間木の葉の撫でる古き句碑★★★★
羅や裾を捌きて茶を点てる★★★

羅の上着羽織りて客となる(原句)
羅の上着羽織りて茶の客に★★★(正子添削)

●河野啓一
下闇を踏み出す一歩眩しくて★★★★
万博の木下闇かな尚暗き★★★
古池やあえかに咲きてひつじ草★★★

●桑本栄太郎
南吹く沖の白波何処までも★★★
確かなる天の息吹や青田波★★★

分水嶺過ぎて眼下の夏の川★★★★
分水嶺は、「分水界、分水境界などという。雨水が異なる方向に流れる境界 のことであり、至る所に分水界は存在するが、特に山岳地帯では山稜が境界になるので 分水嶺という。」と辞書に説明がある。
山岳地帯を車で走っていて、山稜を越えた。すると眼下に夏の川が青くきらめき流れている。別の世界が開ける新鮮な気持ちだ。(高橋正子)

7月4日(5名)

●谷口博望(満天星)
見はるかすたゆたうヨットのどかなり★★★
「ヨット」は夏の季語、「のどか」は春の季語です。

夏来るジェットスキーの広き海★★★

土砂降りの雷雨のあとの鳥のこえ★★★★
土砂降りと雷と、すざましい天気のあと、雨も上がり、雷も去ってしまうと、鳥の安心したような囀りが聞こえる。囀りに、心も洗われ、穏やかにすがすがしい気持ちになる。心境は大切にしたい。(高橋正子)

●小口泰與
生垣の蜘蛛の囲定か雨後の朝★★★★
母目高最前列におりにける★★★
虹の橋茶釜に逢いに茂林寺へ★★★

●廣田洋一
赤カンナ首を折られたる食堂前★★★
地下広場七夕飾り華やかに★★★
七夕や平和の願いいや増せり★★★★

●桑本栄太郎
発電のプロペラ大きく南吹く★★★★
夏雲や凜と聳える伯耆富士★★★
ざわざわと走る風紋青田波★★★

●河野啓一
風涼し葉桜並木を通り抜け★★★
涼やかに髪刈り終えぬデイ床屋★★★★
白百合の涼しき花弁吾を見つめ★★★

7月3日(5名)

●満天星
フェニックスの花に戯る黒揚羽★★★
青桐の悲しき歌や花万朶★★★
青桐や被爆二世の花万朶★★★★

●小口泰與
整然と牧草ロール時鳥★★★
往来の蟻や生涯菓子問屋★★★★
地に近き空の音すや日雷★★★

●河野啓一
大滝のしぶきを浴びて戻り来る★★★★
一陣の涼気流れてアガパンサス★★★
球根を掘り上げ涼しひとときを★★★

●廣田洋一
飛鳥山石碑掠める風涼し★★★
噴水や飛沫と共に子ら跳ねる★★★★
緑陰の風を受けつつ茶を喫す★★★

●桑本栄太郎
<田舎鳥取の帰省より>
南吹く容くつきり伯耆富士★★★★
発電搭の風の伯耆や南吹く★★★
赤瓦屋根の田道や青田波★★★

7月2日(4名)

●谷口博望(満天星)
青苔の生えし石段東屋へ(原句)
青苔の石段踏みて東屋へ★★★★(正子添削)

挨拶に姿見せたる四十雀★★★
くすのきを征するごとく凌霄花★★★

●小口泰與
古九谷の壷ならべあり鮎の宿★★★
落款の真贋のほど五月闇★★★

赤城嶺の屏風の如し雲の峰★★★★
赤城山は、泰與さんのお住いの前橋市のほうから見ると、屏風を立てたような山容だ。どっしりとした山々を下に、雲が高く湧き上がる。雄大な景色がいかにも夏らしい。(高橋正子)

●河野啓一
七月の生駒参道水車小屋★★★
一年を真二つに割りて七月に★★★
七月や孫は大学三年生★★★★

●廣田洋一
釣人のまた一人来る鮎の川★★★
鮎追いて場所を変えたる釣り人も★★★
串の鮎泳ぐ姿にくねりおり(原句)
串の鮎泳ぐ姿に焼かれたり★★★★(正子添削)

7月1日(5名)

●河野啓一
枯蓮の街の池あり糸とんぼ★★★
朝ドラを見終えて庭の緑かな★★★
オカリナの音かすかなる夏の朝★★★★

●谷口博望(満天星)
百合の花たまにはしたき一人旅★★★
純白のジューンブライド沙羅の花★★★
花合歓の落ちて濡れけり手のひらに★★★★

●小口泰與
空蝉の殻の容は原始より★★★★
白波の手をつなぎ来る山背かな★★★
重そうに餌を追いける白目高★★★

●廣田洋一
幼子の手に乗せ撫でる金魚かな★★★
親の手は信用されぬ金魚掬い★★★
放課後の掃除当番金魚鉢★★★★

●川名ますみ
日傘よりふいに覗きし帯白し(原句)
日傘よりふいに見えたる白き帯★★★★(正子添削)
日傘を肩にもたせ掛けるようにさしていたのだろうが、帯なども見えていなかった。それが、傘が動き、ふいに白い帯が目に入った。この人は白い帯をしていたのだという意外性と、白い帯の目に映る涼やかさは魅力だ。(高橋正子)

ふり返り微笑む少年夏きざす★★★
掌で泰山木の花のまね★★★

●自由な投句箱/6月21日~30日●


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今日の秀句/6月21日~30日


[6月30日]

★すっきりと雨止む街の青田かな/河野啓一
「すっきりと」と「青田」の関係が、すがすがしい。街の青田なので、却って青田のすっきりとした感じがでている。(高橋正子)

[6月29日]

★ナイターはようやく勝利合歓の花/河野啓一
ナイターが面白いとき。夕べはロッテとソフトバンクが延長戦で、ソフトバンクが勝ったようだ。ひいきのチームが延長戦の末、勝利。ほっとして良い眠りにつけそうだ。合歓の花のような気分。(高橋正子)

[6月28日]

★合歓の郷海の香りも遠からず/河野啓一
合歓が夢見るように花を咲かせている里は、海の香りがかすかにしている。合歓の花と海の取り合わせに明るく優しい抒情が生まれている。(高橋正子)

[6月27日]

★青葉影古城への道ひた歩き/上島祥子
青葉影が連なる古城への道は、意外にも急だ。城に着こうと、青葉影をひたすら歩く。昔、武士が登城したときもこのようだったのかもしれない。(高橋正子)

[6月26日]

★夏帽子海の色をば取りこめり/廣田洋一
海にたたずみ、海を見ていると帽子のひさしに海が入り、海の色が同化していくように思える。夏海の色や輝きに、翻って自分の姿が見えてくる。(高橋正子)

[6月25日]

★みんなみの海風香る花ザボン/迫田和代
南から吹く海からの風にザボンの花の香りが乗ってくる。句のリズムが柔らかく、明るく、開放的な句となっている。(高橋正子)

[6月24日]

★雨に濡れ藍の色濃き額の花/桑本栄太郎
額の花は、毬のような紫陽花に比べると、地味であるが、小さな花の集まった中心部分は、藍色が特に美しい。雨にぬれれば、藍色がさらに美しくなる。(高橋正子)

[6月23日]

★露草や花弁の支う金の蕊/廣田洋一
やさしく、丁寧な観察に露草の花の愛らしさ、それでいて、凛とした花の風情が詠まれて、涼しい画を見ているようだ。(高橋正子)

[6月22日]

★雨あとの山襞きりり桐の花/小口泰與
雨に洗われた山。山襞がきりりとし、青い山が引き締まって見える。その山を背景にして桐の花が、気品高い姿となった。(高橋正子)

[6月21日]

★梅干しの握り飯かな梅雨晴間/河野啓一
梅雨の時季は、さっぱりとした口当たりのものがよい。いろんな具よりも、梅干しの握り飯は、正統派というべきか、おいしい。梅雨晴れの空の青さに似合うのも、白い握り飯だ。(高橋正子)

6月21日~30日


6月30日(3名)

●小口泰與
梅雨寒の朝の赤城山の墨絵かな★★★
立葵栗毛棒立雨後の牧★★★
口遊む友の軍歌や熱帯夜★★★★

●廣田洋一
道野辺に今年も咲きし花カンナ(原句)
道野辺に今年も咲くや花カンナ★★★(正子添削)

赤カンナ雨空にちと暑苦し★★★
カンナ咲く線路の火花下に見て★★★★

●河野啓一
すっきりと雨止む街の青田かな★★★★
「すっきりと」と「青田」の関係が、すがすがしい。街の青田なので、却って青田のすっきりとした感じがでている。(高橋正子)

雨上がり街の植田の静かなる★★★
水に屋根映して街の青田かな★★★

6月29日(5名)

●桑本栄太郎
緑陰のつづく並木やバス通り★★★★
雨あがり溽暑の午後となりしかな★★★
金網の高き垣根や花南瓜★★★

●小口泰與
白めだかぷっくりお腹重たそう★★★
あけぼのの植田を占めし赤き屋根(原句)
あけぼのの植田の水に赤き屋根★★★★(正子添削)
渓流の浮石踏めり岩魚釣★★★

●廣田洋一
昼寝覚休み時間を超過せり★★★
昼寝して宅配便に起こされる★★★
狭庭をば渡れる風の昼寝かな(原句)
狭庭をば渡れる風に昼寝かな★★★★(正子添削)

●小川和子
草叢の露草むかし引きよせる(原句)
露草の青がむかしを引きよせる★★★★(正子添削)
白百合のパールのごとき気品かな★★★
人見えぬ青田にものの声盛り★★★

●河野啓一
ナイターはようやく勝利合歓の花★★★★
ナイターが面白いとき。夕べはロッテとソフトバンクが延長戦で、ソフトバンクが勝ったようだ。ひいきのチームが延長戦の末、勝利。ほっとして良い眠りにつけそうだ。合歓の花のような気分。(高橋正子)

霧雨にけぶりて藪の合歓の花★★★
梅雨の夜ライトの霧に開く傘★★★

6月28日(5名)
●満天星
鷺の島羽ばたく雛や巣立の日★★★★
中洲よりかしましきかな行々子★★★
花石榴落ちて悲しきフラメンコ★★★

●小口泰與
食パンを抱へ立ち読み単足袋★★★
雨粒をくまなく乗せし蜘蛛の網★★★
雨粒の付きし白ばら貰いける★★★★

●河野啓一
丘の辺に今日見つけたる合歓の花★★★
森の中吾を見つけてと花合歓が★★★

合歓の郷海の香りも遠からず★★★★
合歓が夢見るように花を咲かせている里は、海の香りがかすかにしている。合歓の花と海の取り合わせに明るく優しい抒情が生まれている。(高橋正子)

●廣田洋一
さくらんぼアメリカンチェリーと食べ比べ★★★
桜桃のきらきら光る雨雫★★★★
さくらんぼルビーの玉の枝垂れおり★★★

●桑本栄太郎
とんがりの屋根に十字架夏の峰★★★★
こんもりとトトロの森か木下闇★★★
白川のかくかくに碑や額の花★★★

6月27日(6名)

●小口泰與
夏祭堂を支ふる柱かな★★★★
生垣の蜘蛛の囲白く波立ちぬ★★★
風の中樋を降り来る蟻の列★★★

●満天星
宴あと帰りのバスの梅雨の闇★★★
九条を守る選挙や蟇の声★★★
ゴーギャンのタヒチの女カンナ咲く★★★★

●廣田洋一
草いきれたまらず川に入りけり★★★
草いきれ少年の日の青き夢★★★★
停車場横の捨て畑草いきれ★★★

●上島祥子
夏草の雨を含んで緑濃し★★★

青葉影古城への道急ぎ足(原句)
青葉影古城への道ひた歩き★★★★(正子添削)
青葉影が連なる古城への道は、意外にも急だ。城に着こうと、青葉影をひたすら歩く。昔、武士が登城したときもこのようだったのかもしれない。(高橋正子)

石垣や万緑迫る名古屋城★★★

●河野啓一
霧雨に白紫陽花のつつましき★★★
ひおうぎの雨弾きたる朱い色★★★
雨の中負けじと赤い百合の咲く★★★★

●桑本栄太郎
嶺の端の蒼きうねりや青嵐★★★
深梅雨や又も降りだす曇り空★★★
竹林の一幹に初むや青嵐★★★★

6月26日(5名)

●谷口博望(満天星)
梅雨空へ椋鳥(むく)忽然とさんざめく★★★
梅雨晴れ間集めて早し水の音(原句)
梅雨晴れ間集まりて速き水の音★★★★(正子添削)
空蝉は諸行無常の世のごとく★★★

●小口泰與
残照の千曲川(ちくま)や佐久の洗鯉★★★
曇天の扉をあくる夏ひばり★★★★
五月晴部屋の子犬の恣意のまま★★★

●河野啓一
梅雨寒や昭和史文庫出してみる★★★★
蝸牛ほとんど見ずと人の言う★★★
荒梅雨やグレートブリテン分裂も★★★

●廣田洋一
電子図の熊本城や夏の空★★★
皇帝ダリア一輪高く咲にけり★★★
夏帽子海の色をば取りこめり★★★★
海にたたずみ、海を見ていると帽子のひさしに海が入り、海の色が同化していくように思える。夏海の色や輝きに、翻って自分の姿が見えてくる。(高橋正子)

●桑本栄太郎
地道行き水のにじむや木下闇★★★
さんざめく葉音頻りや青嵐★★★★
気の早きもののひとつやカンナ燃ゆ★★★

6月25日(6名)

●谷口博望 (満天星)
夏の磯歩く小鷺の指は黄色★★★
黄鶲の声筒抜けて森の中★★★★
夏燕ちぎれはためく日章旗★★★

●小口泰與
満目の赤城山を映す植田かな★★★
老鶯や覚満淵へ風の道★★★
白樺の中におちこち透百★★★★

●上島祥子
近づけば夏萩誘う寺の庭★★★
夏萩や開け放されし寺の門★★★★
寺多き通りをぬけて父たづぬ★★★

●迫田和代
直線は一人の世界くらべ馬★★★
みんなみの海風香る花ザボン★★★★
南から吹く海からの風にザボンの花の香りが乗ってくる。句のリズムが柔らかく、明るく、開放的な句となっている。(高橋正子)

南天の花の咲きたる故郷を★★★

●河野啓一
荒梅雨の雲は東へ茅渟の海★★★
向日葵の五本揃いてすくすくと★★★★
印刷は緑の枠に俳句吟(よ)む★★★

●桑本栄太郎
睡蓮の凜とあまたや朝の池★★★
木下闇曲がり奥なる祠かな★★★
早風呂を終えて窓辺に涼みけり★★★★

6月24日(5名)

●谷口博望(満天星)
水無月やゲリラ豪雨の北上す★★★
夏の陣改憲党の口車★★★
沖縄忌特攻隊の海白し★★★★

●小口泰與
薫風や年忌の僧の朗々と★★★★
法要の僧のお経や風薫る★★★
昼顔や次つぎ田水満たしける★★★

●河野啓一
柿の葉を透かして光る梅雨晴間★★★
草取りは今のうちぞと励む妻★★★
六月の木々の勢い展望台★★★★

●桑本栄太郎
夏萩や雨の小路を買物に★★★
雨に濡れ藍の色濃き額の花★★★★
額の花は、毬のような紫陽花に比べると、地味であるが、小さな花の集まった中心部分は、藍色が特に美しい。雨にぬれれば、藍色がさらに美しくなる。(高橋正子)

柵を超え池の真中へひつじ草★★★

●廣田洋一
倒れても上向きに咲く百合の花★★★
高き茎取り巻き咲ける百合の花★★★
門さきの空を見上げる百合二輪★★★★

6月23日(5名)
九州はじめ、瀬戸内や関西も豪雨でしたが、皆様に被害はございませんでしたか。お見舞い申し上げます。

●谷口博望(満天星)
太古へと節理這いけり青蜥蜴★★★
雲の峰ウィンドウズ10へ更新す★★★★
一夜明け毛虫消えけり桜の木★★★ 

●小口泰與
仏像の長き切れ目や朝涼し★★★
月涼し忠治の山の長き裾★★★★
夕立や鍋割山の画然と★★★

●廣田洋一
噴水のしぶき眺めつ人を待つ★★★

噴水二基競う池を風渡る(原句)
噴水二基競う池なり風渡る★★★(正子添削)

露草や花弁支う金の色(原句)
露草や花弁の支う金の蕊★★★★(正子添削)
やさしく、丁寧な観察に露草の花の愛らしさ、それでいて、凛とした花の風情が詠まれて、涼しい画を見ているようだ。(高橋正子)

●河野啓一
豪雨去り青空光る夏の午後★★★
もちの花白くかすみて雨の丘★★★
さやえんどうサッと茹でられ浅みどり★★★★

●桑本栄太郎
荒梅雨や夜半の雨に目覚め居り★★★
木下闇こんなところに祠かな★★★
雨雲の失せて茜や梅雨夕焼★★★★

6月22日(5名)

●谷口博望(満天星)
樟の凌霄上を競いけり★★★
白壁の凌霄屋根を越しにけり★★★
のうぜんや黒人霊歌きこえけり★★★★

●小口泰與
月涼し酒飲む前もその後も★★★

雨後の朝山襞きりり桐の花(原句)
雨あとの山襞きりり桐の花★★★★(正子添削)
もとの句は、盛りだくさんすぎます。
雨に洗われた山。山襞がきりりとし、青い山が引き締まって見える。その山を背景にして桐の花が、気品高い姿となった。(高橋正子)

こおり水湖に大波ささら波★★★

●廣田洋一
短夜や朝の体操長くなり★★★
短夜の夢の始まり忘れけり★★★★
明易しこむらがえりに痛む足★★★

●河野啓一
水無月や昔の願いさもあらん★★★
夕暮れてあじさい白く耀けり★★★★
豪雨とや気に懸りつつ夏至も過ぐ★★★

●桑本栄太郎
アガパンサス愁いの色の梅雨晴間★★★
走り根の太き土道梅雨晴間★★★★
ぱつくりと泰山木蓮天(そら)を向き★★★

6月21日(5名)

●谷口博望(満天星)
夏の日にシーサー怒る乙女の死★★★
梯梧咲くトロピカルなる赤き色★★★
白木槿花に連なる莟かな★★★★

●小口泰與
せせらぎや露台にありし古き椅子★★★
幾たびも我が手に触るる岩魚かな★★★★
昼寝する我が顔に触れし犬の舌★★★

●廣田洋一
鷺草や西を目指して飛びにけり★★★★
紫陽花や一枝残るピンクかな★★★
道の端青梅一つ転がりぬ★★★

●河野啓一
浮草よ池の藻類と共に棲む★★★
高野山啼き声低き仏法僧★★★

梅干しの握り飯かな梅雨晴間★★★★
梅雨の時季は、さっぱりとした口当たりのものがよい。いろんな具よりも、梅干しの握り飯は、正統派というべきか、おいしい。梅雨晴れの空の青さに似合うのも、白い握り飯だ。(高橋正子)

●桑本栄太郎
山並みの蒼きうねりや梅雨の闇★★★★
底紅の早くも咲きし垣根かな★★★
湯浴み終え夏至の入日を眺めけり★★★