■10月月例ネット句会/入賞発表2025年■New!
10月月例ネット句会の入賞発表をを月例ネット句会のブログにしました。ご確認ください。入賞のみなさま、おめでとうございます。
発表ブログ:月例句会 | 花冠
句会主宰:高橋正子
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
10月21日(1句)
★学校の始業のチャイムや秋澄めり/上島祥子
学校の始業を知らせるチャイムは、しずまった朝の音として、遠くまで聞こえる。始業という朝の緊張感と、秋の澄んだ空気感が、よく響き合っている。(髙橋正子)
10月21日(3名)
※当季雑詠3句(秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
10月20日(1句)
★去る人の靴の音速き秋の暮/小口泰與
秋の暮は、「釣瓶落とし」といわれたほど、急に日が暮れる。その暮れの速さに急かされるように、去っていく人の靴音は足ばやである。日暮れの早さが実感される。(髙橋正子)
10月19日(1句)
★音立てて飛行機雲や秋深し/廣田洋一
飛行機雲は、空に引かれる白い雲の航跡を詠まれることが多いが、この句は、「音」を詠んでいる。秋が深まり、辺りが静かになると、空に引かれる飛行機雲に音が残されたように響いてくる。静かさのかなで聞く、「音の深さ」が「時の深さ」を表している。(髙橋正子)
10月18日(2句)
★文机に座れば見ゆる刈田かな/小口泰與
文机に座って、愛読書を読んでいるのだろうか。目を休めて外に目をやると、刈田が見える。それが作者の住む家のたたずまいであるが、刈田の景色に「何をか思わんや」である。(髙橋正子)
★ガラス越し雀の影や秋深し/多田 有花
「ガラス越し」は、つまり、作者は室内にいて雀の影を見ている。すりガラスか、模様ガラスを通しているので、雀の姿ははっきりしないが、雀とわかる影。「秋深し」が室内の充実感として伝わってくる。(髙橋正子)
10月17日(1句)
★山あいの稲穂伏せたる棚田かな/桑本栄太郎
山あいの棚田のどこもが稲穂が伏せている。稲穂がきれいに揃って立ち並んでいるのが、普通の光景だ。雨や風の影響でそうなったのか。棚田と言う労力のかかる田に見る異変に心を寄せた句。(髙橋正子)
10月16日(1句)
★柿剥きて吊るせば夕陽に包まるる/土橋みよ
吊るし柿にしようと、柿を剥いだ。剥き終わり、紐に通して、縄に枝を挟み込むやり方もあるだろうが、吊り下げると、夕陽に包まれたのだ。夕陽に照らされ、柿は、色を一層強めて、夕陽の色にでもなりそう。「夕陽に包まるる」が美しい。(髙橋正子)
10月15日(2句)
★ひつじ田の青々として陽を浴びぬ/多田有花
いったん、刈り取られた稲株に、また再び青々と茎がのび、陽を浴びて育っている。再生するものの力強さと明るさに当たり前の良さを感じる。(髙橋正子)
★麻紐に括られて立つ葉鶏頭/上島祥子
葉鶏頭のたくましさと、麻紐のごつごつした粗っぽさの出合に、面白さがある。葉鶏頭と麻紐のそれぞれの本質に響き合うものがありそうだ。(髙橋正子)
10月14日(1句)
★あおぞらや鳩吹く風に吹かれ行く/桑本栄太郎
「鳩吹く」の季語に支えられた句。あおぞらの下を、「鳩吹く」ような風に吹かれて行く、ただそれだけのことだが、その風を「鳩吹く」と思えば、ぞぞろ面白さが湧く。(髙橋正子)
10月13日
該当句無し
10月12日(1句)
★文机や秋の夕日の平らなる/小口泰與
部屋の片隅置かれている文机に、夕日が差している。夕日は、明るく、あまりに静かで、文机にぴったり映るように差している。机の平が、そのまま夕日の平になって、秋のしずかな明るさを思わせてくれる。(髙橋正子)
10月11日(1句)
★小鳥来る葉陰の揺れているばかり/桑本栄太郎
「葉陰ゆれ姿みえざり小鳥来る」が元の句。「姿みえざり」が説明になっており、これが、詩を壊している。一つの方法として、写生をすることがある。掲句はそれを念頭に添削した句。
小鳥が来ている。姿を見たいが、葉陰に隠れてなかなか姿が見えない。来る鳥を迎えるうれしさ、楽しさが詠まれている。(髙橋正子)
10月20日(5名)
多田 有花
芒揺れ光が揺れる風の午後★★★
音もなく木兎飛ぶや秋の森★★★
蔦紅葉石橋小さく彩りて★★★
小口泰與
一葉落つ山の御堂の主かな★★★
秋の雲野良犬ふつと消えにけり★★★
去る人の靴の音速き秋の暮★★★★
廣田洋一
曲がりくねる山道上り薄紅葉★★★
秋晴れの公園かける子らの声★★★
ミャクミャクの案山子も立てる見本市★★★
桑本栄太郎★★★
雨雲のとぎれあおぞら銀杏黄葉★★★
解けたる尾花の風にゆだねけり
トンネルの桜枝葉やうす紅葉★★★
土橋みよ
柿豊年三羽のヒヨの枝揺らし★★★
熟れ柿を啄むヒヨの目の澄めり★★★★
熟れ柿を啄むヒヨや空明かし★★★
10月19日(4名)
廣田洋一
菊の花一輪咲きし軒の下★★★
音立てて飛行機雲や秋深し★★★★
旧家の主自ら松手入れ★★★
小口泰與
秋の庭仏頂面のブルドック★★★
しずしずと雨音ありて秋深し★★★
肌寒や大きな空に水含む★★★
桑本栄太郎
引き返す朝の散歩や秋しぐれ★★★
虫食いとみどりもありぬ柿紅葉★★★
川ベリの小径被いぬ萩は実に★★★
多田 有花
子ら乗せる前のポニーは秋草を食む(原句)
子ら乗せる前のポニーの秋草食む(正子添削)
梛の葉や深まる秋に黄変す★★★
秋風の丘にたたずむアルパカの群れ★★★
10月18日(4名)
桑本栄太郎
<高速中国道>
秋空にクレーンの数基立上がる★★★
高速のバスの車窓や刈田晴れ★★★
<高速米子道>
見下ろせばはるか眼下や秋の里★★★
小口泰與
草津の湯くすぼる先の秋の月★★★
晩秋や我が前歩む我の影★★★★
文机に座れば見ゆる刈田かな★★★★
廣田洋一
法の庭あちらの木にも小鳥来る★★★
丹沢の尾根をけぶらす秋時雨★★★
粒ごとに雫をこぼす実紫★★★
多田 有花
ガラス越し雀の影や秋深し★★★★
空の青柿の柿色響きあう★★★
誠実に歩みし人よ野路菊へ★★★
10月17日(2名)
多田有花
艶やかな実を覗かせて栗の毬★★★
晩秋の始まり告げるこの黄色★★★
青空に黄花コスモス揺れる土手★★★
桑本栄太郎
<帰省の高速道車窓より>
山あいの稲穂伏せたる棚田かな★★★★
ハイウェイの明かりとなすや泡立草★★★
山畑の柿の色づく夢前町(ゆめさきちょう)★★★
10月16日(3名)
土橋みよ
長き夜手に贈られしアンソロジー★★★
若き友の話聞きつつ冬支度★★★
柿剥きて吊るせば夕陽に包まるる★★★★
多田 有花
ねこじゃらし銀の馬車道跡に揺れ★★★
ハナミズキの紅葉青空に透けて★★★
秋の蝶翅裏見せつつ蜜を吸う★★★
小口泰與
秋翡翠の背なに朝日の射しにけり★★★
ひるがえり太き腹見せ秋の鯉★★★
ふくよかに成る瓢のふくぶくし★★★
10月15日(3名)
多田 有花
パソコンを打つ手を止めてすがる虫★★★
ひつじ田の青々として陽を浴びぬ★★★★
黄落期始まっている大手門★★★
小口泰與
秋ばらの庭の見事や一礼す★★★
目礼の和服の人や梅擬★★★
枝垂れ木に集う雀や秋の雨★★★
上島祥子
碧色の葉に隠れ連く青銀杏★★★
日時計の目覚め待たるる秋の朝★★★
麻紐に括られて立つ葉鶏頭★★★★
10月14日(3名)
桑本栄太郎
あおぞらや鳩吹く風に吹かれ行く★★★★
花梨の実ごろり色づく道の辻★★★
迫り出して柿の色づく狭庭かな★★★
小口泰與
求愛の秋翡翠の仕草かな★★★
秋雨の中へ飛び立つ雀かな★★★
秋の森出できし人の笑顔かな★★★
多田 有花
天高し電子出版志す★★★
長き夜にファイル形式整える★★★
目次までようよう書き上げ灯火の秋★★★
10月13日(4名)
小口泰與
山宿の秋の囲炉裏を楽しみに★★★
やわやわな風に飛び出す稲雀★★★
「やわやわな風」がわかりにくいです。(髙橋正子)
蟋蟀の声のひろごる四畳半★★★
桑本栄太郎
山茱萸の赤き実となる葉蔭かな★★★
はらはらと解けて風に芒の穂★★★
弾けいて殻ばかりなる椿の実★★★
多田 有花
快晴の続きし後の秋曇★★★
秋深し友より届く新刊書★★★
更待の光見てのち床につく(原句)
「見てのち」が説明的で、詩情が薄いので、工夫が必要です。
更待の光見おさめ床につく(添削例①)
更待の光を胸に床につく(添削例②)
上島祥子
虫の音のさやかに続く夜の帳★★★
伸び切りのエノコロ揺れる風の朝★★★
遠雷の響きに崩るる人の波★★★
10月12日(3名)
廣田洋一
松手入れ師匠は高き所より★★★
秋うらら今日も散歩や同じ道★★★
栗飯や大きな栗を取り合いて★★★
小口泰與
秋深むひと日ひと日の駄句重ね★★★
秋の郷しとしおしずか子等居らず★★★
文机や秋の夕日の平らなる★★★★
桑本栄太郎
秋寒や鴉も鳴かぬ朝あける★★★
歩みゆきフィリリフィリリと昼の虫★★★
帽子脱ぎまろびて在りぬ櫟の実★★★
10月11日(3名)
桑本栄太郎
葉陰ゆれ姿みえざり小鳥来る(原句)
小鳥来る葉陰の揺れているばかり(正子添削)
「姿みえざり」が説明になっています。これが、詩を壊しているので、一つの方法として、写生をするとよいです。(髙橋正子)
山茱萸の実の色づきぬ川辺かな★★★
バザーより妻濡れ帰る秋しぐれ★★★
廣田洋一
秋時雨虚子と立子の句碑濡らす★★★
安産のお礼参りや実紫★★★
レインコート着こみて立てる案山子かな★★★
小口泰與
秋夕日ひたと浅間の山巓に★★★
ひたすらに駄句の浮かびし秋の夕★★★
利根川の流れ穏やか赤とんぼ★★★
※当季雑詠3句(秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
10月10日(1句)
★蒼天の高き梢や銀杏黄葉/桑本栄太郎
空の青と銀杏の黄色が対比され、秋の空気の澄んだ感じがよく伝わる。「高き梢」が天の高さ、深さを想起させてくれる。(髙橋正子)
10月9日(1句)
★青空の鳩吹く風やちぎれ雲/桑本栄太郎
「鳩吹く」は、狩の合図のために鳩の鳴く声を手で作る事を言うが、ここでは、それに似た青空が吹き起こす風の意味。その風が雲を千切れさせている。「鳩吹く」の情趣を活かした句。(髙橋正子)
10月8日(1句)
★秋夕焼富士を映せしビルの窓/川名ますみ
都市のビルの窓に、夕焼けと一緒に富士山が映るのは、奇跡的と思える。澄んだ秋夕焼けの美しい景色が詠まれている。(髙橋正子)
10月7日(3句)
★友の来て利平栗剥けば日の暮れる/土橋みよ
栗を剥きながらの友との語らいに、一日が暮れてしまった。季節の稔に触れながらの楽しい語らいに秋の日の楽しさが読み取れる。(髙橋正子)
★何処までも天の高きをバスの窓/桑本栄太郎(正子添削)
何処までも天の高きやバスの窓(原句)
原句は、「バスの窓」が取って付けられていますが、俳句は一章です。バスの限られた窓から見る天が、「何処までも高い」。限られた中にこそ見つけた天の高さに、実感がある。(髙橋正子)
★道はさみ稔り田刈田隣り合い/廣田洋一
道をはさんで、まだ刈られていない黄金色の稔田と、稲が刈られてしまった刈田とが並んでいる。それが同時にあることで、稔りの季節の時間の層が、それぞれ違って重なっているのが面白い。(髙橋正子)
10月6日(1句)
★朝焼けの刈田へ猫の出で行けり/柳原美知子
「朝焼け」の現象は夏うつくしく現れるので、夏の季語となっている。この句では「朝焼け」を季語として詠んでいるのではなく、刈田の実景としての扱いである。季語は「刈田」。朝焼けの空の下にひろがる刈田。その刈田へ猫が出て行った。猫の一瞬の出発で、その後の朝焼けの刈田の実景が想像できる。(髙橋正子)
10月5日(1句)
★特急の加速に流るる曼珠沙華/上島祥子
特急の加速によって、視界に入る曼殊沙華が目を掠めるように流れ去る。時間の速さに抗えない曼殊沙華のあやうさは、生きているものすべてに言えることである。(髙橋正子)
10月4日(1句)
★仲秋の夜空へ花火大輪を/多田有花
元の句は、「仲秋の夜空へ大輪の花火」でした。見た通りですが、
読み手の感動が伝わってこないのが難点。仲秋と言えば、空気が澄んでくるとき。夏の花火と違って、色も澄み、鮮やかさが増す。それも大輪の花火を咲かせる。印象の強い花火となった。(髙橋正子)
10月3日(1句)
★秋空に里遠く見せ琴平山/土橋みよ
琴平山から見た眺めがすっきり詠まれている。秋空が広がる下に、遠く人里が見える。なつかしいような広がりに、心が晴れやかになってくる。(髙橋正子)
10月2日(1句)
★川縁や刈田の匂い立ちにけり/廣田洋一
川のほとりの流れの音が聞こえる空間の広がりに、稲を刈った田んぼから立ちのぼる、土と稲のまじった匂いが秋の深まりを感じさせている。 その気づきを「立ちにけり」とほのかに詠嘆している。(髙橋正子)
10月1日(1句)
★曼殊沙華日を跳ね返す赤さかな/小口泰與
曼殊沙華は、花に近寄って見ると、花弁はつややかで、力強く、「日を跳ね返す」という表現そのままだ。曼殊沙華の持つ生命力や異界性を一瞬で切り取っているところがすばらしい。(髙橋正子)
10月10日(3名)
廣田洋一
愛し気に撫でる人あり秋桜★★★
強面の親爺に似たる案山子立つ★★★
秋晴れや句友親しく谷戸の径★★★
小口泰與
水中よりひたと出で来る秋翡翠★★★
ひそやかに秋翡翠の葉隠れに★★★
鳴き声のひたと止まりし尉鶲★★★
桑本栄太郎
蒼天の高き梢や銀杏黄葉★★★★
美味しそうに色づき来たり椿の実★★★
ぎんなんの踏まれ襤褸の並木かな★★★
10月9日(3名)
桑本栄太郎
きちきちの我の前跳ぶ地道かな★★★★
青空の鳩吹く風やちぎれ雲★★★★
妖艶な時のありしが芙蓉の実★★★
小口泰與
青眼に迎える秋の翡翠よ★★★
秋の沼密やかなりし忽と鯉★★★
三山は今ひたすらに落葉かな★★★
廣田洋一
秋鰹二切れつけて昼餉かな★★★
庭先にたわわに生れる実南天★★★
秋深し寿司屋の句会開きけり★★★
10月8日(5名)
小口泰與
密やかに亀の出で来る秋の沼★★★
ひたすらにカメラに収む懸巣かな★★★
散歩径亀水中へ秋の沼★★★
桑本栄太郎
谷あいのくっきり深し秋の嶺★★★★
蒼天に沈みゆくかに秋気澄む★★★
橡の実の落ちて殻割れまろびけり★★★
廣田洋一
夜明け前月皓皓と西の空★★★
寄せる波白々砕け秋の海★★★★
虚子句碑除幕読経の響く秋の空★★★
多田 有花
秋晴れにぷっつりパソコンそれっきり★★★
月代や流れる雲を光らせて★★★
十六夜はスーパームーンとなりにけり★★★
川名ますみ
シャガールからムンクの色へ秋夕焼★★★
秋夕焼富士を映せしビルの窓★★★★
手を取られ釣瓶落しを起ちて見る★★★
10月7日(6名)
多田 有花
薄明り残る中へと今日の月★★★
晴れれば鵙高らかに鳴く朝となる★★★★
月の出を待ちて東の空を見る★★★
土橋みよ
友の来て利平栗剥けば日の暮れる★★★★
森あれば朱の鳥居見ゆ秋日和★★★
秋の昼客あり厨に火を点ず★★★
川名ますみ
朝顔の後ろ姿のすっきりと★★★★
朝顔の後ろ姿に白濃かり★★★
チーズふり南瓜のサラダ粉雪めく★★★
桑本栄太郎
見上げればえくぼの少し月今宵★★★
濯ぎものの竿一杯に秋日ざし★★★
何処までも天の高きやバスの窓(原句)
何処までも天の高きをバスの窓(正子添削)
小口泰與
低き雲覆う棚田の曼殊沙華(原句)
低き雲覆うや棚田の曼殊沙華(正子添削)
足音をひそめやんまへ近づきし★★★
水面を見つめる鳥や秋の沼★★★
秋翡翠の羽のきららや朝日差す★★★
鶺鴒や石を叩きて翔けにける★★★
びいどろへ差し込む秋日湖の宿★★★
廣田洋一
いくたびか無月の空を見上げたり★★★
道はさみ稔り田刈田隣り合い★★★★
総裁選全員付けし赤い羽根★★★
10月6日(5名)
小口泰與
鉄旅の天は秋空鳥の声★★★
水澄むや長きすそ野の秀でたる★★★
青蜜柑採らず風雨にさらしける★★★
桑本栄太郎
野分めく風の音なる匂いかな★★★
雨あがり今宵の月を希み居り★★★
冷やかやブログ移転の能わざる★★★
多田 有花
中天に雲を光らせ小望月★★★
ついと一羽残る燕が横切りぬ★★★★
名月はいかにと昼の空を見る★★★
柳原美知子
朝焼けの刈田へ猫の出で行けり★★★★
コスモスの初花は白朝風に★★★
秋気満つ社に赤子と祓わるる★★★
廣田洋一
開きたる奥の細道素十忌かな★★★
太刀魚や箱に丸めて納められ★★★
さっそうと駆け行く少女天高し★★★
10月5日(5名)
上島祥子
特急の加速に流るる曼珠沙華★★★★
蕎麦の花母が先に句を作り★★★
秋雨の社に旅の無事祈り★★★
桑本栄太郎
秋雨や妻の出かけるコンサート★★★
見下ろせばかつら黄葉の舗道かな★★★
総裁選の議員バッジや赤い羽根★★★
廣田洋一
細腕で三児を育て温め酒★★★
太刀魚や二つに折りて売られおり★★★
地を這いて伸びし朝顔濃紫★★★
多田 有花
<EXPO2025三句>
秋の夜にライトアップの大屋根リング★★★
秋夜空ドローン編隊の光伸ぶ★★★
半月の隣をドローンの光舞う★★★
小口泰與
色鳥や沼を丸まる朝日にて★★★
遠き峰峰遥かな霧に包まれし★★★
ひあわいの秋の空より月明かり(原句)
「秋の空」と「月明り」はどちらも秋の季語です。
ひあわいの空より澄める月明り(正子添削)
10月4日(3名)
多田 有花
<EXPO2025三句>
秋の暮都心の明りきらめきぬ★★★
パビリオン色鮮やかに秋の夜へ★★★
仲秋の夜空に大輪の花火(原句)
仲秋の夜空へ花火大輪を(正子添削)
廣田洋一
母と子のボール蹴り合い秋高し★★★
大小の犬のじゃれ合い秋涼し★★★
玄関に咲く朝顔の濃紫★★★
桑本栄太郎
ひたひたと音の哀しき秋の雨★★★
秋雨や嶺も在所もけぶり居り★★★
秋雨のエンジン音や買物へ★★★
10月3日(5名)
廣田洋一
稲束の立ち並びたる刈田かな★★★
新築のアパート並び秋高し★★★
秋刀魚焼く我家の皿をはみ出せり★★★
小口泰與
腹立てて秋の白刃の治め何処★★★
はらはらと夕暮れの雨や冬隣★★★
夕暮の玻璃に攻め込む秋の雨★★★
多田 有花
<EXPO2025三句>
秋陽浴びアトムが屋根に座りおり★★★
秋天に巨大ガンダム手を挙げて★★★
秋の夕大屋根リングと大橋と★★★
桑本栄太郎
三日月の雲間にあそぶ今宵かな★★★
冷やかや在所の空の日差し無し★★★
藁塚と云えどロールの積まれけり★★★
土橋みよ
岩宿遺跡3句
霧晴れて太古の匂い赤土に★★★
赤土の問わず語りや虫の声★★★
秋空に里遠く見ゆ/琴平山(原句)
この句は、このように切れています。「琴平山」が付け足され、
一句の文法の中に組み込まれていません。これは、読者に読みの
混乱を招きます。
秋空に里遠く見せ琴平山(正子添削)
10月2日(5名)
上島祥子
秋蝶の樹形崩れし木に隠れ★★★
冷ややかなアスファルト行く小型犬★★★
下校児の駆け出す雷鼓合図にし★★★
桑本栄太郎
冷やかや君の夢みて目覚む朝★★★
濯ぎもの干すや見上げるいわし雲★★★
遠嶺のしかと見え居り天高し★★★
多田 有花
<EXPO2025三句>
秋空へユニオンジャックが翻る★★★
天高し大屋根リングに人数多★★★
噴水のショーが始まる秋晴れに★★★
小口泰與
曼殊沙華朝日を囃す風の中★★★
水音の囃す渓間の石たたき★★★
水に映ゆ秋翡翠の羽の色★★★
廣田洋一
故郷の新酒を酌みて夕餉かな★★★
川縁や刈田の匂い立ちにけり★★★★
川の鯉大口開けて天高し★★★
10月1日(4名)
小口泰與
あけぼのの秋翡翠や沼囃す★★★
曼殊沙華日を跳ね返す赤さかな★★★★
赤城より疾風に乗りて鵙の声★★★
多田 有花
<EXPO2025三句>
仲秋の日差し日傘の波の上★★★
大橋を望める秋の大阪湾★★★
六甲の上には秋の雲の出て★★★
桑本栄太郎
日差したる柿の色づく里の庭★★★
畦道を行くや憤怒の彼岸花★★★
首吊りのように垂れ居り藤は実に★★★
廣田洋一
秋茄子とろりと舌に溶け込みぬ★★★
堰落ちる水音澄みて秋うらら★★★
朗々と舟唄流れ天高し★★★
小口泰與
片雲の秋風に乗り消えにけり★★★
山の秀へ朝日差しけり運動会★★★
山風や秀つ枝下枝に青蜜柑★★★
桑本栄太郎
秋薔薇の真紅咲きたる狭庭かな★★★
川べりに沿いて明るき泡立草★★★
青柚子と云えどこぼれる塀の外★★★
上島祥子
学校の始業のチャイムや秋澄めり★★★★
積み上がる母の着物や秋の暮★★★
秋麗入れての声は元気よく★★★