今日の秀句/9月1日~9月10日

9月2日(2句)
★とどまれば鵙の鋭声の聞こえけり/小口泰與
鵙の声は鋭いけれど、広い空や、街の騒音のなかでは、気をつけていなければ、聞き逃す声です。立ち止まると、鵙の鋭い啼き声が聞こえます。秋の澄んだ空気がよく感じられます。(髙橋正子)

★小魚の群れておりたる秋の潮/廣田洋一
秋の潮を覗くと、小魚の群れが見えます。小魚の動きもあざやかです。深く澄んだ秋の潮が小さい命を育んでいる透明感がきれいです。(髙橋正子)

9月1日(3句)
   北海道より帰る
★施錠せし厨の窓にかぼちゃの花/土橋みよ
旅行の間、施錠した家は時間が止まったようにしんとしていました。ところが、生活の匂いが濃い厨の窓には、南瓜の蔓が伸びてきて花が咲いています。旅の終わりと、新しい日常の始まりが同時に立ち上がる一句です。(髙橋正子)

★蜩や茶柱立つる昼の卓/廣田洋一
蜩は秋の季語で、夏から秋へ移り変わる静けさと寂しさがあります。静かな昼の卓で淹れたお茶に茶柱が立ち、静かな良い兆しの変化があります。季節の移ろいと生活のささやかな幸運が、ひとつの卓上に静かに集まっている句です。(髙橋正子)

★田はすでに二百十日の稔りの色/多田有花
「すでに」が効いています。二百十日の厄日は、以前は稲穂の出る時期でしたが、昨今では穂も稔の色となっています。その色に安心
の気持ちが湧きます。不安の季節が、いつのまにか安心の色へと変わっていたことを気づいた句です。 (髙橋正子)

 


コメント

  1. 多田有花
    2026年9月2日 8:41

    正子先生
    「田はすでに二百十日の稔りの色」を
    9月1日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
    最近では稲の出穂期が昔より早いものが多く作付けされるようになり
    二百十日にはもう稲穂が垂れてきている田も珍しくなくなりました。

  2. 小口泰與
    2026年9月2日 9:30

    とどまれば鵙の鋭声の聞こえけり
    との曇る浅間の空や冷ややかに
    早朝の鳥の鋭声や秋の沼

  3. 廣田洋一
    2026年9月2日 10:14

    正子先生
    9月1日の「蜩や茶柱立つる昼の卓」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な選評を賜り、真に有難うございました。
    今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。

  4. 土橋みよ
    2026年9月2日 18:21

    正子先生
    星の指導と「施錠せし」の句に対するコメントを有難うございます。約一か月留守にしている間にかぼちゃの蔓が伸びて台所の窓まで来ており、その先には大きな黄色い花が咲いておりました。南瓜の花は夏の季語ですが、あまりにも鮮やかで驚かされましたので、そのままの実景を詠ませていただきました。また、足利での新たな生活が始まることを実感いたしました。