7月15日(金)

★梅雨月の光り増し来て萱の上   正子
今頃の月はまだ明るさの残った空に、思いがけなくレモン色に大きく浮かび、見とれてしまいます。萱は月光を受けて仄明るく、夜風にそよぎます。昼の暑さを忘れて風に吹かれ、月の光を浴びられている詠者を思います。(津本けい)

○今日の俳句
冷麦の一本紅き涼しさよ/津本けい
白い冷麦だけでも冷たく、涼しそうなのであるが、その中に一本紅い冷麦が混じると、涼味満点。(高橋正子)

○節電
原子力発電所の事故で、東電が節電を呼びかけている。我が家も協力している。主にしていることは、エアコンは使用しない、テレビはつけない、使っていない部屋の電灯は、すぐに消す、を実行している。今日電気の検針があり、去年の同時期の電気料金を比べると、300円少ない。この時期は、エアコンは使わない時期だから、節電してもわずかであろう。検針のときに東電が「節電のお願い」というパンフレットを置いていった。それを見ると、家庭での取り組みとして、使用電力削減の目安が書いてある。エアコンに関しては、エアコンを消して扇風機を使うと50%、すだれやよしずをすると10。そのほか、テレビを省エネモードにすると2%、照明を日中消し、夜間できるだけ使わないと5%などとある。これらを合計すると、我が家は、67%は軽く削減している。ただ、暑さをしのぐ工夫がいる。夜寝るとき、保冷剤を凍らせてタオルに巻いて水枕代わりにする。涼しい服を着る。汗をかいたらシャワー。ベランダの草花にたっぷりと水をやる。効く効かないは別として、料理は涼しそうなものを一品、野菜ジュースを飲むなど。冷房を使わないのが、一番の節電のようだ。

○全国俳誌協会IT事業部
私が、全国俳誌協会のIT事業部長の役目を引き受けて、IT事業部のブログを立ち上げました。信之先生を初めに、小西宏・藤田洋子・多田有花・高橋秀之・安藤智久・後藤あゆみの各氏にスタッフとして、快く協力していただけることになりました。現在のところ、信之先生が、「全国俳誌協会」のウェブサイトの骨格をを作ってくださり、内容を充実していく途中にあります。

全国俳誌協会は、昭和三十九年、見学玄氏を初代会長に設立されました。設立メンバーの一人、池田草舎氏は、「流派・傾向を越えた懇話会的な俳句サロン」を目指したと書き残しています。「協会(association)」の意味に添ったものと言えます。設立総会には、百三十誌が展示されたとあります。現在全国で出版されている俳誌は八百誌を超えていますが、俳誌協会には今三十二誌が加盟しています。

現在全国俳誌協会のウェブサイトは、次のような特徴をもっています。
①電子書籍化された雑誌、句集が十八冊あります。内訳は、機関紙「俳句展望」第150号、第151号の2冊。俳誌では、「銀杏」(242号5月刊)、花冠8月号(通巻332号)、「東京広軌」(平成二十二年度下院作品集3月刊)句集では、高橋信之句集「旅衣」を始め13冊。これらが、ネット上で電子書籍として読めるわけです。

②次に「Twitter公式」のツイートボタンをつけました。花冠では、ツイッター句会を行っていますが、東日本大震災のとき、また最近では、ローマ法皇がツイッターでお説教をしたなど、多方面で活用されているものです。

③「談話室」と「コラム」には、加盟各誌からのピックアップしたエッセイ、ミニエッセイなどがあります。

俳誌協会のウェブサイトの項目の表面に現れているだけを印刷しても、A4用紙28枚になります。それらの内容のリンクをクリックしてすると、開設三週間足らずで、すでに膨大な量となっています。

これらの特徴は、全国俳誌協会の設立趣旨に添ったもので、ITの活用で趣旨に合う効果が発揮できるものと思います。現代俳句協会、俳人協会、伝統俳句協会にない特徴になっています。加盟各誌の相互交流、会員相互の交流のために、協会のウェブサイトが効を発すると思います。精々ご活用ください。

◇生活する花たち「ヒメヒオウギスイセン・紫式部の花・百日草」(横浜・四季の森公園)

7月14日(木)

★花芭蕉掌にはつつめぬほどの花  正子
大きくて奇怪な形の花です。両手を伸ばし触れようとしたのでしょうか。むろん手に包めないだけでなく、高すぎて届きもしないのです。自然に対する作者の好奇心、驚きの表情が伝わってきます。(小西 宏)

○今日の俳句
舟虫の巌走れば光る海/小西 宏
舟虫は、まるで一族であるかのように群れて行動する。巌をちりぢりに走る様は、夏の磯らしい。光る海には日差しの強さがある。(高橋正子)

◇生活する花たち「野萓草・藪萓草・藪萓草」(横浜・四季の森公園)

7月13日(水)

★射干を活ける鋏が濡れてあり  正子
花色鮮やかな射干の傍らに、濡れて置かれる花鋏。暑さの中にあって、ひとときの涼気に接する思いがいたします。野趣あふれる季節の花を活けられ、心豊かな時間が流れます。(藤田洋子)

○今日の俳句
山の雨上り茅の輪の列に入る/藤田洋子
山の雨が、一句の雰囲気を作り出し、夏越し祭の茅の輪の緑が生き生きしている。茅の輪をくぐる順番の列に入って、無事に夏を越せることを祈る。(高橋正子)

◇生活する花たち「槿」(横浜日吉本町)

7月12日(火)

★ひるがおのこの世に透ける日のひかり  正子
昼顔は再生力の強い一種の雑草ですが、花の風情はたおやかです。一日花でその日のうちに咲いて萎んでしまうところは、はかない花でもあります。(多田有花)

○今日の俳句
緑陰に昼の草刈機が休む/多田有花
朝涼しいうちに使われた草刈機は、昼の暑い時間は、緑陰で休む。草刈機も人のようだ。(高橋正子)

◇生活する花たち「百合・花石榴・紫つゆ草」(横浜日吉本町)

7月11日(月)

★蕗の灰汁つきたる指のきしみがち  正子
蕗のすじを剥くと灰汁に染まりますが、そこを一歩踏み込んで指先が捉えた感覚を「きしみがち」と詠まれたところが観察の鋭さでしょうか。季節の食材を楽しまれ、その生活の中から生まれた句は素敵ですね。(後藤あゆみ)

○今日の俳句
ひたすらに編む独り居の涼しさよ/後藤あゆみ
平明な句に、生活の中の「涼しさ」が快く詠まれている。独り居の静かでたのしい時間を「ひたすら」好きな編み物で過ごす時間は至福の時。その心が「涼しさよ」となった。(高橋正子)

◇生活する花たち「百合・しもつけ草・青ぶどう」(横浜日吉本町)

7月10日(日)

 鎌倉街道
★竹林に夏の真青な水打たれ  正子
往時を偲びながら行く街道の道すがら、夏に生長した竹は、一際目を引く青さです。水が打たれ、なお生き生きと輝く竹林に、より一層の清々しい涼気を感じます。(藤田洋子)

○今日の俳句
雨雲の山を離れて合歓の花/藤田洋子
合歓の花を的確に捉えている。愛媛の久万高原などに出かけると、垂れていた雨雲が山を離れていって、合歓の花があきらかに浮かびあがってくるが、このようなところに合歓は自生する。(高橋正子)

○アクセスランキング入り
2011.07.09(土) 650 PV 231 IP 8622 位 / 1606001ブログ
2011.07.08(金) 762 PV 219 IP 6014 位 / 1605691ブログ
IPが、200以上あるのは、大変嬉しいです。文学系で200以上になるのは、むずかしいと聞いた。ご覧いただき、ありがとうございます。

◇生活する花たち「百日紅・蓮①・蓮②」(横浜日吉本町金蔵寺)

7月9日(土)

 愛媛・久万中学校
★教室の窓に夏嶺の高々と  正子
四国の軽井沢と呼ばれる愛媛県久万高原町は、標高800mの自然溢れる住みよい町。久万中学校は、暑い蒸れ返るような都会とは違い、涼しく澄んだ空気の中で、伸び伸びと学び遊んで成長してゆきます。窓辺には蒼嶺が聳え生徒達を見守るかのようです。(津本けい)

○今日の俳句
星涼し日暮れて青き山並みに/津本けい
日暮れて青い山並みに出た星を涼しく感じる感性がよい。 (高橋正子)

◇生活する花たち「ヒメヒオウギスイセン・半夏生・梔子」(横浜日吉本町)

7月8日(金)

★子が去りしことも静かや夏の歯朶  正子

○今日の俳句
若きらと歩く街かど氷菓食ぶ/黒谷光子
若い人たちと街を歩くのは少々疲れることもあるけれど、アイスクリームなど街角で食べる楽しさに気持ちが若返る。老若あい和して愉し。(高橋正子)

○今日の俳句
松生うる浜辺に立てば夏の霧/河野啓一
浜辺に生える松を夏の霧が幻想的に浮かばせて、夏の浜辺の涼しさが心地よい。(高橋正子)

○全国俳誌協会
6月25日の定期総会で、新設のIT事業部長に選出された。早速、IT事業部のブログを立ち上げ、6人のスタッフを花冠同人にお願いした。
▼全国俳誌協会IT事業部ブログ:
http://blog.goo.ne.jp/zhk2011

IT事業部の当座の仕事は、協会のホームページ作製となる。その骨格が出来上がった。全国規模の俳句協会は、いくつかあるが、それとは違った特徴を持たせた。俳誌相互の交流、会員相互の交流といったことで、俳誌の電子書籍作製、会員交流のツイッターなどである。
▼全国俳誌協会ウェブサイト:
http://internet-haiku.info/zenkokuhaishi/

○水無月(みなづき・旧暦6月・京都の和菓子)
昨日の七月七日は、新暦の七夕。朝から風がよく吹く。特に信之先生の部屋は簾越しに入る涼風でまるで避暑地。朝九時過ぎから、日吉本町二丁目あたりを写真を撮りながら信之先生と散策。朝顔を咲かせている家はないかと思うが、小学校の校庭にたった一つ咲いていた。金蔵寺の半夏生を見に行く。半夏生は、終わりかけている。花盛りのときは、なにやら恐ろしい。蓮の花はまだ。金蔵寺を出て駒林神社に行こうとして、途中、槿の垣根に出会う。「道のべの木槿は馬にくはれけり 芭蕉」を思い出だす。江戸時代なら、ここを馬が通りかかるのだろう。その道の突き当たりは、神社の崖下で、藪カンゾウが緑の中にひときわ目立っている。神社の境内に入るが。森閑として梔子の花だけが咲いている。お賽銭をあげる。水筒の冷茶を飲んで石段に座ってしばし休憩。石段から境内の端のお稲荷さんを眺めるが、狐もコンと応えそうにもない。

神社を出て二丁目の奥の方へ。のうぜんかずらが咲いている家があり、草原のどくだみを踏んで近寄って写真を撮る。どくだみの匂いが芬々と立つ。ところが、早速草に負けたらしく、腕がかゆい。空は曇っていて、風は良く吹く。何か作ろうとして竹を割っている老人がいるので、「今日はよく風が吹きますね。」と声をかけると、「そうだね、割合良く吹くね。」と。巻尺で道路幅を測っている初老の夫婦がいて、ちらっと見て会釈してくれる。若いお母さんが、自転車で自分の家に帰ってきたのか、「こんにちは。」という。今朝あった人は、みんな始めて出会う人だが、七夕という日のせいか、風がすずしいせいか、これまでと人の心が違っていると感じる。

荒れた畑に「はるしゃ菊」が群れ咲いて、それにヒメジョオンの白い花が混じり、なかなかいい景色だ。「はるしゃ菊」は「蛇の目草」とも言うが、コスモスのような黄色い花の中に、蛇の目傘のようなチョコレート色の模様が入っている。はるしゃ菊の荒れ畑を曲がると、お寺ののうぜんかずらが、花をたわわに咲かせている。花の下には、オシロイバナがたくさん蕾を付け、夕方が来るのを待っている。

今日は、これで打ち切り。家に向かう。十一時半ごろ家に着くが、やはり暑かった。信之先生用にそうめんを茹で、私は蕗の佃煮を作っていたのを出して、ご飯を食べる。食後は、冷茶とお菓子の「水無月」。「水無月」は、京都の老舗では六月三十日にしか売らないそうだが、今日の「水無月」は、コープに注文していたもの。白い外郎に小豆が載っている。三角形に包丁を入れて食べるが、三角形であるゆえに涼しさが湧く。

「水無月」は、ちょうど一年の半分に当たる六月三十日の「夏越祓(なごしのはらえ」に食されるお菓子。三角形に切られた白い外郎は、暑気を払う氷室の氷を表し、小豆には、魔よけの意味と、氷室の藁をイメージしたものということだ。。見た目といい、食感といい、涼しいお菓子だ。今年は、節電のため、家ではまだ一度もクーラーを使っていないが、なんの不便も感じない。「水無月」を食べて、少し昔の日本にもどったような気持ちになった。夜、外に出ると、田を吹き渡るような涼しい風が吹いている。七夕の空は、あいかわらず曇り。

◇生活する花たち「朝顔・槿・はるしゃ菊」(横浜日吉本町)

7月7日(木)

★学生食堂ひとりの顔に夏日あり  正子
学生食堂にも夏が近づいてきた。海や山で日焼けしたらしい顔も見える。レポートの提出で忙しい人もいるだろうが、キャンパスには今や若者の季節がやってきました。(河野啓一)

○今日の俳句
松生うる浜辺に立てば夏の霧/河野啓一
浜辺に生える松を夏の霧が幻想的に浮かばせて、夏の浜辺の涼しさが心地よい。(高橋正子)

◇生活する花たち「凌宵かづら・槿・はるしゃ菊」(横浜日吉本町)

7月6日(水)

★明け易き時をラジオのミサ合唱  正子
朝早くラジオからミサの合唱が流れてくると、敬虔な気持ちになり、清々しい一日が始まります。(井上治代)

○今日の俳句
青空を透かして網戸まっさらに/井上治代
網戸から青空が透けて、その網戸もまっさら。風もよく通り、目に涼しい。さわやかで、清潔感のある句。(高橋正子)

◇生活する花たち「ヤブカンゾウ・ノカンゾウ・マリーゴールド」(横浜・四季の森公園)