日が沈む芽木のさみどり滲ませつ
花辛夷森の尽きたるそのところ
荒風の辛夷となってうすみどり
花淡し寺の甍がかがやけば
振りあおぎ眩しきばかりの花と空
散りはじむ花にのぼりて白き月
風あれば風の意を得て花散れり
夜桜の散れば街灯またたけり
ポピーの茎の曲線鋼の強さもち
柳青むふるさと遠く住みたれば
* *
のびのびと畑に枝張り大桜
花影を踏みつつ歩みわれら友
牡丹の蕾いくつや寺の内
花影の揺れは今生花の揺れ
リラは蕾強風鉢をなぎ倒し
アイロンの熱の匂いや花の朝
むくどりの走る地があり杉菜生う
フランス菓子食べに行く道春寒し
春朝日大路小路のかぎろえり
春朝日都市通勤の黒衣群
ポピー散る紙のようなる花びらを
鳥声のはずみておりぬ花の朝
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