11月11日~20日


11月20日(4名)

小口泰與
産土は鶴の容や神の旅★★★★
並びたる梢の雀小六月★★★
偵察に下りたる雀小春かな★★★

多田有花
<赤目四十八滝三句>
それぞれに名を持つ冬の滝めぐる★★★★
冬の滝は水量も少なくなって、厳冬期には凍ることもあるが、この句に詠まれた滝は、まだまだ水量が豊かなようだ。沢山の変化に富んだ滝を歩いて巡るのは白いことだろう。忍者修行の地の滝巡りに脚力は欠かせないのかもしれないが。(高橋正子)

冬の陽は斜めに渓谷の底へ★★★
とどまれば水は映しぬ冬紅葉★★★

桑本栄太郎
傾ぎても花の記憶や秋桜★★★
石蕗咲いてしるべと為すや建仁寺★★★★
紅葉客どつと吐き出す河原町駅★★★

廣田洋一
焼く肉の残り少なき焚火かな★★★
火吹竹吹きて守りし焚火かな★★★
通りがけ焚火に寄りて親しめり★★★★
通りがけに焚火をしているところに出会った。最近では焚火で温まることも少ないが、つい寄ってみたくなる。「親しめり」が懐かしい気持ちのあっていい。(高橋正子)

11月19日(4名)

小口泰與
山茶花や今朝も赤白散りにける★★★
湖へ差す日差しすべるや小六月★★★
冬の朝紺の山山新しき★★★★

廣田洋一
枯木にて空を見渡す尾白鷲★★★★
大鷲や背を伸ばしたる餌場かな★★★
烏乗せ空を遊覧大鷲かな★★★

桑本栄太郎
ぼうぜんと日向の中に枯尾花★★★
勇忌の落葉散り敷く勇歌碑★★★
マスク子の電車待つ間も日向かな★★★★
マスクをした子は、風邪をひいているのだろう。電車を待っている間も、日向で暖まりながら、ホームに立っている。その子を見守る眼差しがやさしい。(高橋正子)

多田有花
まっすぐに遠き焚火の煙かな★★★
冬紅葉囲む小さな山の駅★★★
行く水に冬の紅葉の映えており★★★★
冬紅葉のあでやかさが極まるころ。池や湖の水に映るのもよいが、流れ行く水に映る冬紅葉も、刻々新しい影を流れに映していいものである。(高橋正子)

11月18日(3名)

廣田洋一
青空に水面眩しき冬の海★★★
白き波崩れて白き冬の海★★★
冬の海水鳥飛ばす高き波★★★★
「冬の海」は湘南の海であろうか。からりと明るいイメージがあると、冬は曇れば色も寂しく、うねりが大きく高い波が寄せたりする。水鳥が高い波に弄ばされるかのように飛ぶ。生き生きとした冬海の風景。(高橋正子)

小口泰與
冬菊や良き酒のある諏訪の町★★★
むく犬は日向の匂い返り花★★★
裏庭の日の当りたる蜜柑かな★★★★

桑本栄太郎
冬空の広く青きや放れ雲★★★★
綿虫の吾を慕いて浮遊かな★★★
だれ一人採る人なきや柿灯る★★★

11月17日(3名)

廣田洋一
鳥の影一つも無きや冬耕は★★★★
耕しておれば、春ならば、小鳥の囀りがうららかに聞こえてくるが、冬の今は、鳥の影さえ見ない。耕した畑はしんとして力を溜めつつあるようにも思える。(高橋正子)

冬耕や鳥の声なく終わりたる★★★
冬耕す風無き午後の青き空★★★★

小口泰與
小春日や犬の欠伸につられける★★★
上州は雲早き郷返り花★★★★
上州はからっ風が名物になるほど。空を吹く風は雲を走らせる郷だ。そんな上州も小春日和が続くと、返り花が咲き、季節外れの花をかわいらしいと思う。(高橋正子)

葱の畦小犬駆けりて糞したり★★★

桑本栄太郎
小春日の畳彷徨うルンバかな★★★
又一葉モミジバ楓の落葉散る★★★
冬蝶の風によろめき道向こう★★★

11月16日(4名)

小口泰與
柊の花や三山靄の中★★★★
小春日や牧草ロールおちこちに★★★
野良猫の岸辺動かぬ北颪★★★

多田有花
冬紅葉合間に光る播磨灘★★★★
歯科医にて口開けている冬はじめ★★★
冬浅し薄き日差しが山頂に★★★

廣田洋一
冬茜富士の稜線くっきりと★★★
冬の蝶花無き里を飛び行けり★★★★
山茶花や白き花にも紅ほのか★★★★

桑本栄太郎
山影の黒く連なり冬没日★★★
踏みしだき舗道に色や落葉散る★★★
木の葉散る道を好みて歩きけり★★★★

11月15日(5名)

小口泰與
そっくりや赤子の声の寒鴉★★★
侘助や赤城の襞の彫深し★★★
小春日や欅大樹の鳶の笛(原句)
小春日や欅大樹へ鳶の笛★★★★(正子添削)

廣田洋一
茶の花や小さく俯き香り濃し★★★
用水路茶の花咲かせ水澄めり★★★★
小道行く日陰に白きお茶の花★★★

多田有花
チャペルの鐘小春日和の麓より★★★★
冬の雲戴く小豆島真昼★★★
冬晴れの六甲淡路小豆島★★★

桑本栄太郎
<新幹線の家路>
徳山の煙りあまたや冬入日★★★★
晩稲田の入日黄金や播州路★★★★
冬麗の電話に聞くや孫の歌★★★

川名ますみ
秋澄みぬ父親しかと抱っこひも★★★
雲過ぎてうすむらさきの秋薔薇★★★
冬灯読書する影映しけり★★★★

11月14日(4名)

廣田洋一
山茶花のこぼれし道や海近し★★★★
山茶花の散りて残れる蕊黄色★★★
山茶花や天地を赤く染めてをり★★★

小口泰與51
柊の花や浅間はとの曇★★★
噴煙の南へ流る花八手★★★
がっしりの浅間眼間冬林檎(原句)
浅間嶺のがっしりとあり冬林檎★★★★(正子添削)
「がっしりの」は不自然です。「がっしりと」となるべきところ。「がっしりと」は、近くにあるものをよく見て、よく感じてのことなので、「眼間」を省きました。
冬の浅間山。がっしりと眼前に聳え、手前には林檎が赤く実をつけている。遠景と近景の配合に、浅間山がぐっと身近に迫ってくる迫力がある。(高橋正子)

多田有花
小春日の頂に座し海を見る★★★★
はつ冬の皇帝ダリア風に揺れ★★★
連なりし雲より冬めく日差し漏れ★★★

桑本栄太郎
一枚の稲穂残れる刈田かな★★★
トンネルを出でて白砂や冬の川★★★
深々と音の冷えをり冬紅葉★★★★

11月13日(4名)

小口泰與)
冬紅葉水面いよいよ華やかに★★★
今朝赤城冷気放ちし冬薔薇★★★
茶の花や真直ぐに伸ぶ石畳★★★★

廣田洋一
掃く人の背中に光る落葉かな★★★
銀杏落葉実を潜ませて匂ひけり★★★★
銀杏落葉信号無視の車道かな★★★

多田有花
冬浅き陽が播磨灘照らしおり★★★
快晴に甘き香りよ枇杷の花★★★★
冬紅葉いま彩りの頂点に★★★

桑本栄太郎
<秋穂(あいお)温泉、秋穂荘>
秋穂なる冬の昼餉や周防灘★★★
冬日燦々はるか眼下に周防灘★★★★
冬日さすパノラマ景色や周防灘★★★

11月12日(4名)

小口泰與
木枯しや牛舎の隅に牛集う★★★
山風に向いて帰る冬田道★★★
撒き餌に二羽三羽四羽寒雀★★★

廣田洋一
江の島の白帆はためく神渡★★★
並木の葉はらはら散りて神渡★★★
産土の神旅立ちの風清か★★★★

多田有花
<宮島・弥山三句>
牡蠣たっぷり載せし広島焼を食ぶ★★★
ロープウェイ紅葉の谷を渡りけり★★★★
澄む秋の静かな瀬戸の海と島★★★

桑本栄太郎
<山口大神宮にて七五三より>
森閑と冬の木洩れ日大神宮★★★★
初めての羽織袴や着袴の儀★★★
七五三終へて安堵の昼餉かな★★★

11月11日(2名)

廣田洋一
畑の土黒々光る小春かな★★★
潟の蟹無心に食事小春かな★★★★
木間より鳥の声降る小六月★★★

小口泰與
秋櫻子の渓にかがよう輝葉かな★★★
小春日や水面に映る木木の影★★★
窓はみな薪に塞がる冬はじめ★★★★

自由な投句箱/11月1日~10日


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今日の秀句/11月1日~10日


11月10日(1句)

★浅間山かがやき増すや冬はじめ/小口泰與
冬はじめの日はよい天気だったのだろう。空気が冷たく冴えて、浅間山のかがやきが増して見える。毎日見上げる浅間山の変化である。(高橋正子)

11月9日(1句)

<世界遺産航路 原爆ドーム~宮島>
★指差せば小さき灯台秋の海/多田有花
瀬戸内海には、複雑に入りくんだ地形に危険と思われるところに小さな灯台がある。岬に立つような立派な灯台ではなく、指させば気づくような灯台もある。これも瀬戸内海の風景だ。(高橋正子)

11月8日(1句)

★秋水の尽きず流れるモニュメント/多田有花
モニュメントは石であろうか。澄んだ秋の水が尽きず流れているのだ。湧き出て流れ、去っていく水にモニュメントの表そうとしている意思が感じられる。(高橋正子)

11月7日(4句)

★心して杣道行くや秋深む/小口泰與
杣道を行くとき、心してゆくのはなんであろうか。細い杣道を外さないようにということもあろうが、深まる秋に、年相応に心しておくことを心に刻んだのだろう。(高橋正子)

★間より青空のぞく冬立つ日/廣田洋一
7日の立冬は、立冬とは思えない気温が20度ちかくになるという日和であった。雲間からのぞく青空がきれいだ。(高橋正子)

★蟹食べに行く話する帰路の車中/多田有花
冬が来れば蟹漁が始まる。友との楽しい登山の帰り、今度は、越前あたりに蟹を食べに行こうと話であろうか。車中が楽しい話で盛り上がる。(高橋正子)

★南座の秋の日差しや金の破風/桑本栄太郎
南座に秋の日差しが当たって、金の破風がきらびやかである。顔見世に始まる南座の新年が早くも思われる。(高橋正子)

11月6日(2句)

★牛乳の受け箱濡れて露寒し/廣田洋一
早朝に配達される牛乳を入れる受け箱。今朝は露に濡れ寒々しい。毎日配達される牛乳を取りに出ると、季節の進み具合が肌身感じ取られていることがわかる。(高橋正子)

★葉の裏に毬の実抱くやプラタナス/桑本栄太郎
プラタナスは秋にはとげとげの丸い実をつけるが、大きな葉に隠れて、気づかずにいる。あるとき気づけば、可愛い実だ。やがて葉が落ちると、プラタナスの実は鈴なりになった姿で立つことになる。(高橋正子)

11月5日(3句)

★秋雲や星を小出しに浅間山/小口泰與

<氷ノ山登山>
★避難小屋冬支度終えし頂に/多田有花
氷ノ山(ひょうのせん)は中国地方第2に高い山であるから、登ったこの時期には、避難小屋は冬支度を終えていた。山は細心の注意を払って準備がされていなければならないのだろう。(高橋正子)

★庭木手入れ恙なく終へ冬隣/廣田洋一
庭木の手入れが恙なく終わった。さっぱりとした庭はひろびろとして、空も広がるようだ。これで冬を、新年を安心して迎えられる。「冬隣」の感じが手入れの済んだ庭木によってもたらされた。(高橋正子)

11月4日(2句)

<氷ノ山登山>
★山行は黄葉の中に始まれり/多田有花
「氷ノ山(ひょうのせん)」は、兵庫県にある山で、中国地方では、大山(だいせん)に次ぐ高い山。絶景の楽しめるなかなかの名山とのこと。山行の始りは、黄葉にはじまった。櫟や楢の黄葉の美さは言い難いが、登ればもっと楽しみな景色が待っている。その期待を詠んだ句。(高橋正子)

★青空の紅葉且つ散る散歩かな/桑本栄太郎
「青空」がいい。紅葉が木の枝から降るというよりも青空から散るのだ。青空と紅葉の対比があって、いっそう晴れやかな句となった。(高橋正子)

11月3日(2句)

★白樺へ朝霧つつと下り来たり/小口泰與
朝霧が生き物のように「つつと」下りてくる。白樺の高原ならでは霧の動きが、幻想的だ。(高橋正子)

 丸駒温泉
★秘湯かな紅葉かつ散る湯の面/多田有花
丸駒温泉は、支笏湖の水面と湯面が同じらしい。熱い湯を温めるのに支笏湖の水が引いてあったり、湧く湯に砂をかけて温度を調節したりと、秘湯ならでは、めずらしいこともあるようだ。そんな秘湯を紅葉かつ散る中で楽しんた有花さん。温泉気分をいただいた。(高橋正子)

11月2日(2句)

★けぶり立つ浅間や佐久の刈田径/小口泰與
佐久平も刈田となった。浅間山の噴煙がけぶり立って、晩秋の気配に満ちている。(高橋正子)

★合歓の実や風の抜ゆく橋の上/桑本栄太郎
陸橋などに合歓の木が覆いかぶさっているところがある。そんな橋の上であろうか。間近に合歓の実が見えて、風が橋の上を抜けている。錚々とした秋の風だ。(高橋正子)

11月1日(2句)

★陽を受けて紺碧戻る支笏湖に/多田有花
支笏湖は札幌から一時間ほどで行ける距離にありながら、透明度では、摩周湖やバイカル湖に並ぶほどだ。
その支笏湖に陽が射すと紺碧が戻ったという。感激の一瞬であったろう。この句には、季語がないが、季感がある句と言える。(高橋正子)

★朝寒や中天の月白々と/廣田洋一
朝早く起きて寒さを覚えるのは、ただ体に冷気を感じるだけではなく、中天にまだある月の白々とした姿を見ても寒さを覚えるのではないかと、私などは、思ってしまう。(高橋正子)

11月1日~10日


11月10日(3名)

小口泰與
浅間山かがやき増すや冬はじめ★★★★
我いまや樗櫟となりて一冬木★★★
今日も事無し初冬の厨ごと★★★

多田有花
<宮島・厳島神社三句>
鳥居まで秋の干潟を歩きけり★★★★
天高く鳥居の上をドローン飛ぶ★★★
できたてのもみじ饅頭冬隣★★★

廣田洋一
青空に黄色き香りかりんの実★★★★
爆音にびくともせざる浮寝鳥★★★
大鷹や威儀を正して餌探す★★★

11月9日(4名)

廣田洋一
ふわふわと鈴を浮かべる花八手★★★★
緑の玉白く開きて八手の花★★★
虻来たり舐めまわしたる花八手★★★

多田有花
<世界遺産航路 原爆ドーム~宮島三句>
爽やかにドーム下から船出する★★★
秋晴れの本川をゆく高速船★★★
指差せば小さき灯台秋の海★★★★

小口泰與
山峡の落葉の嵩や鳥の声★★★★
あけぼのの雨に打たるる冬のばら★★★
湯豆腐や山風ながす利根川原★★★

11月8日(4名)

小口泰與
行く秋や寝所に入りて独りごつ★★★
行く秋に今日も事無き酒量かな★★★
ことごとく白樺林落葉せり★★★★

廣田洋一
夕映えや赤く光れる南天の実★★★★
実南天雲の消え行く西の空★★★
大銀杏熟れし実の香を漂わせ★★★

多田有花
<広島平和記念公園三句>
平和公園数多異国の人歩く
季語は?

秋水の尽きず流れるモニュメント★★★★
秋麗やあの日の記憶とどめつつ★★★

桑本栄太郎
大根の斯くも旨きや冬に入る★★★
残菊の匂いただよう今朝の庭★★★★
復活のイエス待ち居り帰り花★★★

11月7日(4名)

小口泰與
心して杣道行くや秋深む★★★★
杣道を行くとき、心してゆくのはなんであろうか。細い杣道を外さないようにということもあろうが、深まる秋に、年相応に心しておくことを心に刻んだのだろう。(高橋正子)

行く秋や長き裾野を仰ぎける★★★
長き夜や黴の古書をば開きける★★★

廣田洋一
雲間より青空のぞく冬立つ日★★★★
7日の立冬は、立冬とは思えない気温が20度ちかくになるという日和であった。雲間からのぞく青空がきれいだ。(高橋正子)

立冬と空を仰ぎて構へけり★★★
立冬や薄きコートを羽織りたる★★★

多田有花
<氷ノ山登山三句>
稜線から見下ろす冬待つスキー場★★★
秋の陽は釣瓶落しに山暮れる★★★
蟹食べに行く話する帰路の車中★★★★
冬が来れば蟹漁が始まる。友との楽しい登山の帰り、今度は、越前あたりに蟹を食べに行こうと話であろうか。車中が楽しい話で盛り上がる。(高橋正子)

桑本栄太郎
南座の秋の日差しや金の破風★★★★
南座に秋の日差しが当たって、金の破風がきらびやかである。顔見世に始まる南座の新年が早くも思われる。(高橋正子)

一木を被い尽くすや枯葎★★★
稲滓火のけむり真直ぐに入日かな★★★

11月6日(4名)

多田有花
<支笏湖三句>
冬近し北の小さな湖に★★★
人影は消え錦秋のキャンプ場★★★
足元に支笏湖の波秋晴るる★★★★

小口泰與
竜胆や木隠れ沢は日を飲みて★★★★
初鴨やカメラ構えて心当て★★★
肌寒の沼の冷気を吸わず済む★★★

廣田洋一
牛乳の受け箱濡れて露寒し★★★★
露寒や子地蔵白き道の端★★★
また一人古き友逝き露寒し★★★

桑本栄太郎
葉の裏に毬の実抱くやプラタナス★★★★
中州なる白きさざれや秋の川★★★
鉢植えのコキア紅葉や商店街★★★

11月5日(4名)

小口泰與
天地に大あくびせり豊の秋★★★
秋雲や星を小出しに浅間山★★★★
蒼天の長き裾野に鵙高音★★★

多田有花
<氷ノ山登山三句>
晩秋の陽が山上の笹原に★★★
避難小屋冬支度終えし頂に★★★★
冬隣る兵庫の屋根に立ちにけり★★★

廣田洋一
外套を洗濯に出し冬隣★★★
庭木手入れ恙なく終へ冬隣★★★★
家毀つクレーン上下冬隣★★★

桑本栄太郎
朝寒みメモリー深くトースター★★★
朝日透き照葉紅葉や丘の上★★★★
合歓の実のうすき莢揺れ川の風★★★

11月4日(4名)

多田有花
<氷ノ山登山三句>
山行は黄葉の中に始まれり★★★★
錦秋を縫いて流るる滝ひとつ★★★
どこまでも紅葉の道を歩きけり★★★

廣田洋一
ランタナの実黒く変わりて冬隣★★★
ランタナの赤く光りて秋時雨★★★
傘をさすまでもなきかな秋時雨★★★★

小口泰與
山霧の見る間に沼を覆いけり★★★★
白雲を背負う赤城や蔦紅葉★★★
穭穂や傘寿の仲間訪ね来る★★★

桑本栄太郎
青空の紅葉且つ散る散歩かな★★★★
土手上の風に光るや芒の穂★★★
陽に映えて更に明るき泡立草★★★

11月3日(4名)

小口泰與
頭に刻む吾妻峡の紅葉かな★★★
白樺へ朝霧つつと下り来たり★★★★
忽然と獣の鋭声霧の渓★★★

廣田洋一
よさこいとサンバの踊り秋祭り★★★
物干し竿に吊るされし柿粉を吹く★★★★
魚沼で買ひし新米とぐ夕べ★★★

桑本栄太郎
頂の雲の動かず秋の嶺★★★
古都描く阪急電車や紅葉号★★★★
カラオケのこぶし残響秋の宵★★★

多田有花
<丸駒温泉三句>
支笏湖の秋の湖面の湯に入りぬ★★★
秋の陽が湯の底までも入る温泉★★★
秘湯かな紅葉かつ散る湯の面★★★★

11月2日(3名)

廣田洋一
金柑の一つ黄色くなりにけり★★★
ぽつぽつと金柑生るは枝の先★★★★
金柑は咳止めに効く砂糖漬け★★★

小口泰與
初採りのブロッコリーをばお裾分け★★★
落鮎や結構ながき我が命★★★
けぶり立つ浅間や佐久の刈田径★★★★

桑本栄太郎
かしましき団地工事や庭紅葉★★★
合歓の実や風の抜ゆく橋の上★★★★
土堤上の穂芒なびき銀の波★★★

11月1日(4名)

多田有花
<支笏湖>
秋晴れや恵庭岳に雲残し★★★★
陽を受けて紺碧戻る支笏湖に★★★★
陽が差せば錦秋さらに鮮やかに★★★

小口泰與
花すすき光放てり小沼かな★★★
産土の山をつなぎて秋霞★★★
湯煙に包まる楓紅葉かな★★★★

廣田洋一
朝寒や中天の月白々と★★★★
朝寒し思はず声に出しにけり★★★
朝寒や新聞取りて急ぎ足★★★

桑本栄太郎
<嵐山三句>
せせらぎの底に襤褸や紅葉川★★★
竹春や隘路をぬって人力車★★★★
定家碑の背ナに秋日や小倉山★★★

自由な投句箱/10月21日~31日


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今日の秀句/10月21日~31日


10月31日(1句)

支笏湖温泉
★支笏湖の夜は晩秋の風荒れる/多田有花
ドラマを見ているような句だ。北海道の晩秋の支笏湖は、夜ともなれば、冬のように風が荒れる。それをそのまま詠んでいるが、それだけ情景がリアルだ。(高橋正子)

10月30日(1句)

★黄の蝶の二頭飛交ひ冬近し/廣田洋一
黄蝶が二頭、ひらひらと、交叉するかのように飛び交う。特に取り立てていうことがない景色だが、日のひかり、風の感じが目に肌に感じ取れて、冬が近いことが思われる。流れる時に少しだけ身を引いてみると、季節が移りゆくのがよくわかる。(高橋正子)

10月29日(1句)

小樽
★十月やランプの灯り満つホール/多田有花
灯が美しいのはやはり秋なのではないだろうか。十月という秋の真ん中にいてランプの灯りが満ちたホールは、あたたかく、心華やぐところだろう。(高橋正子)

10月28日(2句)

 小樽
★秋の夜の運河灯して観光船/多田有花
観光船で小樽運河を行く。運河沿いにともる灯は夢見るような灯であろう。(高橋正子)

★嵯峨野路や木洩れ日深き竹の春/桑本栄太郎
竹は春から夏にかけて竹の子が芽生え、親竹は衰えて黄葉したり落葉するが、秋には若竹が成長し、親竹も青々としてくる。それが竹の春。嵯峨野路の竹林の路は、木漏れ日に美しい時を迎えている。(高橋正子)

10月27日(1句)

★晩秋の光突き抜け新幹線/古田敬二
晩秋の光はどこか黄ばんでいて独特な雰囲気がある。その光を突っ切って新幹線が走る。新幹線が永遠へと走って行くかのようだ。(高橋正子)

10月26日(2句)

<ニッカウヰスキー余市蒸留所三句>
★原酒眠る冬が近づく蔵の中/多田有花
ウィスキーの原酒が蔵の中で醸成されている。「冬が近づく」に原酒の眠りはいよいよ深くなる。(高橋正子)

★三山の容比ぶや月明り/小口泰與
古風な感じのする俳句。月明かりに浮き上がる名だたる三山。その姿の素晴らしさが改めて印象付けられる。(高橋正子)

10月25日(2句)

★湖に散る楓紅葉の清らなり/小口泰與
湖に散る楓紅葉。枝から離れ湖に散る。その空間の空気が清らかに思える。秋気澄むである。(高橋正子)

★昼ちちろ昨日の草へ身を隠す/古田敬二
ちちろが身を隠した。昨日もこの草のあたりに隠れたではないか。ちちろはここを住処にしているのかもしらない。ちちろへの親しさが温かく感じられる句。(高橋正子)

10月24日(1句)

★一つだけ流星零し天の川/廣田洋一
天の川がきれいに見える山小屋のようなところだろう。天の川から流れ星がすっと一つ零れて飛んだ。たった一つの小さな流れ星に心がすっと魅かれた。(高橋正子)

10月23日(1句)

★鍬使えば太き蟋蟀身を隠す/古田敬二
蟋蟀がいるとも知らず鍬を使った。その瞬間まるまると太った蟋蟀は驚いて身を隠す。農作業をすれば、こんなこともあって、蟋蟀にも親しめる。(高橋正子)

10月22日(2句)

★色鳥や高原の沼かぐわしき/小口泰與
色鳥が集う高原の沼は、「なんと心ひかれることだらろう、実にすばらしい、」の声が聞こえそう。(高橋正子)

★輝いて木の実落ちそむ散歩道/古田敬二
散歩道に木の実が落ち始めた。木の実は熟れて充実して落ちる。「輝いて」落ちる。小さな木の実の輝きにふと散歩の足が止まる。秋も深い。(高橋正子)

10月21日(3句)

★見えていて遠き山かも渡り鳥/小口泰與
渡り鳥が渡る空、山。見えているが、本当は遠い山かもしれない。実景が心象の風景ともなって、哲学的思惟をそそられる句だ。(高橋正子)

★木曽の山隈無く照らす後の月/廣田洋一
後の月に照らされた木曽の山々は、美しい中にも一段ともの寂びて、感じられる。よいところで、後の月を観賞されたことだ。(高橋正子)

★落日につられ広がる羊雲/古田敬二
日が沈むにつられて、羊雲が茜に染まり広がっていく。優しく美しい景色が詠まれている。(高橋正子)

10月21日~31日


10月31日(4名)

小口泰與
けざやかに岸辺いろどる紅葉かな★★★
逆光の湖険しきや芒原★★★★
秋山の襞眼間に迫りけり★★★

多田有花
<支笏湖温泉三句>
秋深し支笏湖の岩の露天風呂★★★
会席に北海道の秋が満つ★★★
支笏湖の夜は晩秋の風荒れる★★★★
ドラマを見ているような句だ。北海道の晩秋の支笏湖は、夜ともなれば、冬のように風が荒れる。それをそのまま詠んでいるが、それだけ情景がリアルだ。(高橋正子)

廣田洋一
ハロウィンや魔女のドレスで10月尽★★★
ハロウィンの仮装の子らに袋菓子★★★★
ハロウィンや渋谷に出でしDJポリス★★★

桑本栄太郎
朝寒や靄の漂う峰の間に★★★
日を透かし色濃くなりぬ泡立草★★★★
おなもみや親しき仲にも礼儀あり★★★

10月30日(4名)

小口泰與
紅葉の空を仰ぐや万華鏡★★★
隧道を出づるや不意に紅葉かな★★★
秋ばらの薫ずや雨後の美術館★★★★

廣田洋一
色付きし葉のいや増して冬近し★★★
冬近し薪積み上げたる軒の下★★★
黄の蝶の二頭飛交ひ冬近し★★★★
黄蝶が二頭、ひらひらと、交叉するかのように飛び交う。特に取り立てていうことがない景色だが、日のひかり、風の感じが目に肌に感じ取れて、冬が近いことが思われる。流れる時に少しだけ身を引いてみると、季節が移りゆくのがよくわかる。(高橋正子)

桑本栄太郎
雑草と云えど名のあり草紅葉★★★
名を知りてよりの親しき草の花★★★★
せせらぎの底に紅葉や高瀬川★★★

多田有花
<小樽駅二句>
霜降のランプ連ねし小樽駅★★★★
むかい鐘小さく鳴らし秋の昼★★★
<小樽天狗山ロープウェイ>
ロープウェイすすきの原を発ちにけり★★★★

10月29日(5名)

小口泰與
赤城嶺を離れはじめし鰯雲★★★★
秋ばらがきれいですねと声かかる★★★
のど飴の廻って来たり秋の句座★★★

多田有花
<小樽三句>
蔦紅葉映す運河を描く人★★★
菓子店に変わりし倉庫秋の昼★★★
十月やランプの灯り満つホール★★★★
灯が美しいのはやはり秋なのではないだろうか。十月という秋の真ん中にいてランプの灯りが満ちたホールは、あたたかく、心華やぐところだろう。(高橋正子)

廣田洋一
名を知らぬ草の実赤く群れてをり★★★★
草の実の赤く光れる雨上がり★★★
草の実の弾けて命繋ぎけり★★★

桑本栄太郎
池の面にうす紅葉映ゆ天龍寺★★★
嵯峨野路のうすき紅葉や人力車★★★
門前の秋の日射しや二尊院★★★★

古田敬二
秋風や森のてっぺん通るらし★★★★
贅沢に満月を見る中天に★★★
中天に満月を見る贅沢に★★★

10月28日(5名)

川名ますみ
石垣を越えし枝より薄紅葉★★★
石垣を零れて濠へ薄紅葉★★★★
秋夕焼窓辺に友とその母と★★★

多田有花
<小樽三句>
秋の夜の運河灯して観光船★★★★
観光船で小樽運河を行く。運河沿いにともる灯は夢見るような灯であろう。(高橋正子)
プラタナスの落葉舞い散る坂下る★★★
晩秋の廃線跡をそぞろ歩く★★★

小口泰與
碧落に鵙の高音や利根川原★★★★
行く秋や地は暮れ急ぎ空もまた★★★
鵯や水面の影の動きおる★★★

廣田洋一
花屋でも南瓜売られるハロウィーンかな★★★
桜並木色付き増して秋の暮★★★
畦道を点々と染め草紅葉★★★★

桑本栄太郎
嵯峨野路や木洩れ日深き竹の春★★★★
竹は春から夏にかけて竹の子が芽生え、親竹は衰えて黄葉したり落葉するが、秋には若竹が成長し、親竹も青々としてくる。それが竹の春。嵯峨野路の竹林の路は、木漏れ日に美しい時を迎えている。(高橋正子)

うす紅葉水面に映す天龍寺★★★
去来忌や嵯峨野路をゆく人力車★★★

10月27日(4名)

小口泰與
裸木の霧の衣をまといけり★★★
彩雲に峙つ山も茸とき★★★
山装う青天井の握り飯★★★

多田有花
<小樽天狗山>
ロープウェイ登る紅葉の頂へ★★★
晩秋の小樽眺めつザンギ丼★★★
錦秋や遥かに望む石狩湾★★★★

古田敬二
秋揺れる癌病棟のガラス窓★★★
秋の森癌病棟のガラス窓に★★★
晩秋の光突き抜け新幹線★★★★
晩秋の光はどこか黄ばんでいて独特な雰囲気がある。その光を突っ切って新幹線が走る。新幹線が永遠へと走って行くかのようだ。(高橋正子)

桑本栄太郎
<京都にて鳥取の中学校同窓会、三句>
想い出を語る夜長や同窓会★★★★
嵯峨野路の人力車ゆくうす紅葉★★★
落柿舎に蓑と笠あり柿熟るる★★★

10月26日(3名)

多田有花
<ニッカウヰスキー余市蒸留所三句>
一位の実たわわに余市蒸留所★★★
ウヰスキー創業の地の蔦紅葉★★★
原酒眠る冬が近づく蔵の中★★★★

小口泰與
コスモスの今くずおれし風雨かな★★★
悔いに悔ゆ踊終わりし後なるや★★★
三山の容比ぶや月明り★★★★

廣田洋一
釈迦牟尼や苔の衣に散る紅葉★★★★
わらじ絵馬健脚祈る秋の暮★★★
八海山朝霧晴れて走り酒★★★

10月25日(4名)

小口泰與
椋の群一斉に立つダンプカー★★★
白波の来向かう利根や冬隣★★★
湖に散る楓紅葉の清らなり★★★★

古田敬二
夜ごと夜ごと句作進まずちちろ啼く★★★
仕舞い湯に窓の外からちちろ啼く★★★
昼ちちろ昨日の草へ身を隠す★★★★

多田有花
<北海道旅行三句>
秋晴れの北の大地に降り立ちぬ★★★★
紅葉の盛りを歩く天狗山★★★
支笏湖を囲む紅葉の中走る★★★

廣田洋一
谷川の六年水や秋高し★★★★
大草鞋絵馬を吊り下げ秋の暮★★★
揺るぎなき柱状節理秋深し★★★

10月24日(3名)

小口泰與
流れ星気散じの歩を床屋まで★★★★
みせばやや山門を掃く里の子等★★★
丸沼の楓もみじの際やかに★★★

廣田洋一
小屋の前寝転び仰ぐ天の川★★★
一つだけ流星零し天の川★★★★
天の川がきれいに見える山小屋のようなところだろう。天の川から流星がすっと一つ零れて飛んだ。たった一つの小さな流星に心がすっと魅かれた。(高橋正子)

白き雲薄く浮きける天の川★★★

桑本栄太郎
椋鳥の去りて降りくる種の雨★★★
木蓮の葉の色付くや秋芽吹く★★★
軒下に莢の影あり蘇芳の実★★★★

10月23日(4名)

小口泰與
かろがろと水きり石や秋の空★★★
熟寝せる知りの辺りのそぞろ寒

湖のかりがねの空透き通り★★★★

廣田洋一
とんび二羽舞ひ上がりたる刈田かな★★★
葡萄園過ぎれば続く刈田かな★★★★
甲州の煙棚引く刈田かな★★★

桑本栄太郎
露けしや着衣に迷う今朝の晴れ★★★
推敲の句に倦み見遣る秋の雲★★★★
秋蝶のためらいつつも車道越え★★★

古田敬二
肌寒し癌病棟の人思う★★★
身にしむや癌病棟の見舞い品★★★
鍬使う太き蟋蟀身を隠す(原句)
鍬使えば太き蟋蟀身を隠す★★★★(正子添削)
蟋蟀がいるとも知らず鍬を使った。その瞬間まるまると太った蟋蟀は驚いて身を隠す。農作業をすれば、こんなこともあって、蟋蟀にも親しめる。(高橋正子)

10月22日(4名)

小口泰與
蔦紅葉浅間ははやも白きかな★★★
色鳥や高原の沼かぐわしき★★★★
色鳥が集う高原の沼は、「なんと心ひかれることだらろう、実にすばらしい、」の声が聞こえそう。(高橋正子)

釣道具仕舞う手入の夜長かな★★★

廣田洋一
黄葉の中炎立つごと紅葉の木★★★
濃く淡く紅葉連なる八ケ岳路★★★
秋晴れやきりりと高き富士の山★★★★

桑本栄太郎
吹きぬける風の水面や蘆の花★★★
鈴鳴らすように鳴きをり昼の虫★★★★
飛行機の夜間ライトや秋の宵★★★

古田敬二
輝いて木の実落ちそむ散歩道★★★★
散歩道に木の実が落ち始めた。木の実は熟れて充実して落ちる。「輝いて」落ちる。小さな木の実の輝きにふと散歩の足が止まる。秋も深い。(高橋正子)

秋冷や風呂の窓から雨の音★★★
秋冷や雨降りやまず日暮れけり★★★

10月21日(4名)

小口泰與
邯鄲のなく産土をかえりみる★★★
見えていて遠き山かも渡り鳥★★★★
渡り鳥が渡る空、山。見えているが、本当は遠い山かもしれない。実景が心象の風景ともなって、哲学的思惟をそそられる句だ。(高橋正子)

吹くからに浅間の秋気身の内に★★★

桑本栄太郎
青空に日射し透きをり山茱萸の実★★★★
京へ行く阪急電車や紅葉号★★★
莢の実の風に干乾ぶ蘇芳の実★★★

廣田洋一
簾2枚下げられしまま秋の暮★★★
日を浴びて大菊香る道の端★★★★
木曽の山隈無く照らす後の月★★★★
後の月に照らされた木曽の山々は、美しい中にも一段ともの寂びて、感じられる。よいところで、後の月を観賞されたことだ。(高橋正子)

古田敬二
落日につられて広がる羊雲(原句)
落日につられ広がる羊雲★★★★(正子添削)
日が沈むにつられて、羊雲が茜に染まり広がっていく。優しく美しい景色が詠まれている。(高橋正子)

間引かれる命運もある大根蒔く★★★
花芒中央線沿い白光す★★★★

自由な投句箱/10月11日~20日


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今日の秀句/10月11日~20日


10月20日(2句)

★柿照るや道を挟みて直売所/廣田洋一
柿の実がよく熟れている。見れば道を挟んで、柿の直売所があって、そこで山盛りの柿が売られて、うまそうである。ほっこりと心が温まる風景だ。(高橋正子)

★銀杏をお布施に添えて渡しけり/多田有花
銀杏はお寺のものかと思うが、お布施に添えて渡すというのもお寺との関係が近く親しくてその心遣いこそがお布施ではないかと思う。幼い頃生家のすぐ上手のお寺で祖母と銀杏を拾ったことを思い出した。(高橋正子)

10月19日(2句)

★山霧の利根の川音(かわと)を取り込みぬ/小口泰與
山霧が深く閉ざす利根川の流域。霧の底を流れる利根川の川音は、霧が取り込んでしまわれる。だが、川音は消えることはない。深々とした景色だ。(高橋正子)

★木曽駒ケ岳へ続く斜面の蕎麦の花/古田敬二
木曽駒ヶ岳へと続く蕎麦の花。敬二さんには、蕎麦の花も木曽駒ヶ岳も心に沁みついたけしきなのであろうと、この景色を思い浮かべている。(高橋正子)

10月18日(2句)

★敗荷や午後には雲が増えるころ/多田有花
蓮池の蓮も葉が枯れ、蓮の実をつけた枯れ色の茎も折れ曲がり、さびさびとした景色を見せている。その上の午後からは雲が増え、どんよりとした曇り空となり、いっそう侘しさを増してくる。(高橋正子)

★噴煙の先に数多の刈田かな/小口泰與
泰與さんは浅間山の噴煙を朝な夕な見ておられる。刈田となったいくつもの田に噴煙の先が流れる。晩秋の
のわびしさが浅間嶺の麓に広がっている。(高橋正子)

10月17日(2句)

★秋深きテニスコートに人あふれ/多田有花
秋が深まり、秋日和のうららかさにテニスコートには人があふれるほど。テニスを楽しむ人たちの健康な笑顔や姿態がまぶしい。(高橋正子)

★夕風や休耕田の泡立草/桑本栄太郎
泡立草は都会の空き地でも休耕田でも見られ、風に吹かれる泡立草にもよく出会う。そんな時は、泡立草も風に吹かれるのであるが、自分も同じ風に吹かれて、秋風のわびしさを知る。夕風ならば、さらにわびしさも募る。(高橋正子)

10月16日(1句)

★伐り出され山膚白き秋の嶺/桑本栄太郎
木が切り出され、無残にも山膚が見えるが、その山膚は白い。さびさびとした秋の嶺となった。(高橋正子)

10月15日(2句)

★青天にそよぐことなし薄紅葉/川名ますみ
うっすらと紅葉がはじまるとき、空は真っ青に晴れている。気づけば、薄紅葉はそよいでは、いない。青天と対照的な色に染まろうとしている。(高橋正子)

★稲架かけて浅間の風を賜りぬ/小口泰與
稲架に稲を掛け、穂先を下に垂らしておくと、稲の養分が穂先に下りてゆくと聞く。浅間山からの風を受けて、十分に乾き脱穀される日を待つ。よい風を「賜りぬ」だ。(高橋正子)

10月14日(1句)

★九十九折視界にふいにななかまど/小口泰與
九十九折の山道を上って行くと、曲がったとたん、ななかまどの赤い実が目に入った。可愛らしい赤い実に九十九折の道を行く楽しみが増える。(高橋正子)

10月13日(1句)

★大根蒔く吹奏楽を聞きながら/廣田洋一
大根の種を蒔いていると、吹奏楽が聞こえてくる。近隣の学校からであろう。運動会や文化祭へ向けて練習が繰り返される。その音を相伴しながらの種蒔き。少し心が浮き立つ。(高橋正子)

10月12日(1句)

★澄む空に描かれてゆく飛行雲/多田有花
飛行機雲はいろんな季節に描かれるが、「澄む空」に描かれる飛行機雲がことに新鮮に思えた。空が澄むのは、大陸上空からの乾燥した大気が流れ込むため。(高橋正子)

10月11日(1句)

★秋麗影一つなき花時計/廣田洋一
秋の花が植えこまれた花時計。日は真上に高いのであろ、影は一つさえない。うららかな秋日和が見事に詠まれている。(高橋正子)

10月11日~20日


10月20日(4名)

廣田洋一
柿の木や道を挟みて直売所(原句)
「柿の木」は、季語にはなりませんので、添削しました。「柿の木」に「柿」の言葉が入っていても、「柿の木」を詠んでいるので、これは季語となりません。

柿照るや道を挟みて直売所★★★★(正子添削)
柿の実がよく熟れている。見れば道を挟んで、柿の直売所があって、そこで山盛りの柿が売られて、うまそうである。ほっこりと心が温まる風景だ。(高橋正子)

今年米また新しき特選米★★★
新米を早速握り遊園地★★★

小口泰與
磧湯の瀬音かすかや星月夜★★★
烈風を支(か)う大木の鵯の声★★★
竜胆やまた靄かへす峠道★★★★

桑本栄太郎
たぷたぷと小波岸辺に秋の風★★★★
軒下の莢に入日や蘇芳の実★★★
葉を落とし赤き日差しや水木の実★★★

多田有花
法要を済ませし寺の薄紅葉★★★
銀杏をお布施に添えて渡しけり★★★★
銀杏はお寺のものかと思うが、お布施に添えて渡すというのもお寺との関係が近く親しくてその心遣いこそがお布施ではないかと思う。幼い頃生家のすぐ上手のお寺で祖母と銀杏を拾ったことを思い出した。(高橋正子)

城ありてうしろは秋の播磨灘★★★

10月19日(5名)

小口泰與
枡酒の木肌に塩や新秋刀魚★★★
萩こぼる鴉鋭声の鄙の寺★★★
山霧の利根の川音(かわと)を取り込みぬ★★★★
山霧が深く閉ざす利根川の流域。霧の底を流れる利根川の川音は、霧が取り込んでしまわれる。だが、川音は消えることはない。深々とした景色だ。(高橋正子)

廣田洋一
近づきて確かめにけり返り花★★★
子規先生幾つ召さるや種無し柿★★★★
柿熟るる下には広き駐車場★★★

多田有花
日ごとゆく山の辺の草末枯るる★★★
草むらへ斜めの日差し残る虫★★★
歌碑ふたつ並ぶ頂すすき立つ★★★★

古田敬二
木曽駒ケ岳頂上のぞかせ秋の靄★★★
木曽駒ケ岳へ続く斜面の蕎麦の花★★★★
木曽駒ヶ岳へと続く蕎麦の花。敬二さんには、蕎麦の花も木曽駒ヶ岳も心に沁みついたけしきなのであろうと、この景色を思い浮かべている。(高橋正子)

花芒時速80㎞の風に揺れ★★★

桑本栄太郎
もやもやと君想いをり藤袴★★★
信号の赤に尾灯や秋入日★★★
玄関の脇に色づく老爺柿★★★

10月18日(4名)

多田有花
雲間より一条の日差し初時雨★★★
敗荷や午後には雲が増えるころ★★★★
蓮池の蓮も葉が枯れ、蓮の実をつけた枯れ色の茎も折れ曲がり、さびさびとした景色を見せている。その上の午後からは雲が増え、どんよりとした曇り空となり、いっそう侘しさを増してくる。(高橋正子)

ひそやかに昼も鳴きおり残る虫★★★

小口泰與
噴煙の先に数多の刈田かな★★★★
泰與さんは浅間山の噴煙を朝な夕な見ておられる。刈田となったいくつもの田に噴煙の先が流れる。晩秋の
のわびしさが浅間嶺の麓に広がっている。(高橋正子)

釣糸の縺れの解けて秋の霜★★★
ふわり下る明けの鴉の落穂かな★★★

廣田洋一
行く秋や狭庭の草のきつね色★★★
行く秋の旅の約束取り交わす★★★★
行く秋の体重計に乗つてみる★★★

桑本栄太郎
季(とき)はまだ花つなぎをり酔芙蓉★★★★
信号の赤に映へをり秋入日★★★
椋鳥の大群去りぬ静寂かな★★★

10月17日(4名)

小口泰與
秋雷に耳をたてたる小犬かな★★★
朝晩に山と語らう小鳥かな★★★
見晴るかす野辺山駅の秋桜★★★★

廣田洋一
壊されし要塞守る君が代蘭★★★
散り初めし山茶花惜しむ秋の蜂★★★★
毬一つ返り咲きたる紫陽花かな★★★

多田有花
秋深きテニスコートに人あふれ★★★★
秋が深まり、秋日和のうららかさにテニスコートには人があふれるほど。テニスを楽しむ人たちの健康な笑顔や姿態がまぶしい。(高橋正子)

秋の夜の驟雨に遭いしテニスコート★★★
粧いの始まる山を見る朝★★★

桑本栄太郎
秋あはれ目覚めて遠き友の夢★★★
夕風や休耕田の泡立草★★★★
泡立草は都会の空き地でも休耕田でも見られ、風に吹かれる泡立草にもよく出会う。そんな時は、泡立草も風に吹かれるのであるが、自分も同じ風に吹かれて、秋風のわびしさを知る。夕風ならば、さらにわびしさも募る。(高橋正子)

谷間を鳶の高舞う秋入日★★★

10月16日(3名)

小口泰與
庭師来て色変えぬ松鳥の声★★★
かた時の小雨や渓の紅葉狩★★★
日は山へかたぶきにけり桐一葉★★★

桑本栄太郎
ハイウェイの土手に沿いをり泡立草★★★
伐り出され山膚白き秋の嶺★★★★
木が切り出され、無残にも山膚が見えるが、その山膚は白い。さびさびとした秋の嶺となった。(高橋正子)

夕風や休耕田の泡立草★★★

廣田洋一
剥きだしの木の根の走る秋の山★★★
Z旗や紅葉且つ散る三笠公園★★★
釣舟の秋鯵狙ふ親子かな★★★

10月15日(4名)

川名ますみ
項より秋冷そつとまとうたり★★★

青天にそよぐことなし薄紅葉★★★★
うっすらと紅葉がはじまるとき、空は真っ青に晴れている。気づけば、薄紅葉はそよいでは、いない。青天と対照的な色に染まろうとしている。(高橋正子)
つみれ汁秋思の夕に届きたる★★★

小口泰與
秋澄むや神の創作秋津島★★★
稲架かけて浅間の風を賜りぬ★★★★
稲架に稲を掛け、穂先を下に垂らしておくと、稲の養分が穂先に下りてゆくと聞く。浅間山からの風を受けて、十分に乾き脱穀される日を待つ。よい風を「賜りぬ」だ。(高橋正子)

木の実落ち幽かに静寂やぶりける★★★

廣田洋一
土手道を黄色く染めし女郎花★★★
すくと立ち一輪咲きぬ秋明菊★★★
畦道に白際立てる秋明菊★★★★

桑本栄太郎
<中国道~米子道を法事帰省>
ハイウェイの遥か眼下やコスモスに★★★
ゆく雲の影走り居り刈田晴★★★★
山柿の熟れ来る頃や米子道★★★

10月14日(3名)

多田有花
静けさがそこに来ている残る虫★★★★
新しきテーブルに触れひいやりと★★★

金色にすすき光りし頂に(原句)
金色にすすき光りぬ頂に(正子添削)
金色にすすき光れり頂に(正子添削)

小口泰與
九十九折視界に入るるななかまど(原句)
九十九折視界にふいにななかまど★★★★(正子添削)
九十九折の山道を上って行くと、曲がったとたん、ななかまどの赤い実が目に入った。可愛らしい赤い実に九十九折の道を行く楽しみが増える。(高橋正子)

そば立てる朝の稲田の鳥の声★★★
草の実にさやぐ夕べの群雀★★★

廣田洋一
枝毎に群れたる柿の家族かな★★★
日の光吸ひ込み伸びし黄花コスモス★★★★
身にしむや元上司たる人逝きぬ★★★

10月13日(3名)

小口泰與
更地にもうる覚えあり秋の寂★★★
湖に白波立つは夜寒かな★★★
夕映えの浅間の雲や虫時雨★★★★

廣田洋一
一粒の巨峰噛みしめ日暮かな★★★
赤い羽根お願いしますと回覧板★★★
大根蒔く吹奏楽を聞きながら★★★★
大根の種を蒔いていると、吹奏楽が聞こえてくる。近隣の学校からであろう。運動会や文化祭へ向けて練習が繰り返される。その音を相伴しながらの種蒔き。少し心が浮き立つ。(高橋正子)

多田有花
晩秋の沖ゆく船のすれ違う★★★★
秋の昼ぱたんとテーブル折りたたむ★★★
秋の夜の模様替えせし部屋に座す★★★

10月12日(3名)

廣田洋一
畦道の横から聞こゆ虫の声★★★
公園の紅葉且つ散る潦★★★
ボール蹴りもう帰ろうと秋の暮★★★

多田有花
秋雨や見下ろす街の傘の花★★★
晩秋やはや指先の冷たさに★★★
澄む空に描かれてゆく飛行雲★★★★
飛行機雲はいろんな季節に描かれるが、「澄む空」に描かれる飛行機雲がことに新鮮に思えた。空が澄むのは、大陸上空からの乾燥した大気が流れ込むため。(高橋正子)

小口泰與
喧騒と言うほかは無し稲雀★★★
夕映えに浅間驕るは紅葉かな★★★
松茸を一本がぶり食しけり★★★

10月11日(4名)

多田有花
頂から見下ろす秋の姫路城★★★
秋の雲連なる海の彼方まで★★★
真青なる空に響きし鵙高音★★★★

小口泰與
浅間嶺の靄にかげろう信濃柿★★★
かげろえる雨後の稲田や鳥の声★★★
どっさりと老いの薬や秋高し★★★

廣田洋一
秋麗影一つなき花時計★★★★
秋の花が植えこまれた花時計。日は真上に高いのであろ、影は一つさえない。うららかな秋日和が見事に詠まれている。(高橋正子)

秋麗爺婆多き遊園地★★★
喜寿祝うクラス会とや秋うらら★★★

桑本栄太郎
小走りの買物道や秋しぐれ★★★
雨ながら紅葉明りや庭の木々★★★
色づきし葉蔭にありぬ銀杏の実★★★