10月10日(木)

★鵙の声青空あればどこからも  正子
秋の青空へ、公園や山畑などで甲高い声で啼いている鵙の声が良く聞こえて参ります。この高啼きは縄張りのため威嚇して啼くと聞いていますが、秋晴れにあちこちで啼く鵙の声に周囲は益々活気に溢れて参ります。鵙日和は私たちも嬉しいです。(佃 康水)

○今日の俳句
満月や瀬戸の潮騒高まりぬ/佃 康水
月に左右される潮の干満。満月が昇ると、おだやかな瀬戸もざわざわと潮騒が高まる。潮騒の高まりに、ますます輝く満月となって、臨場感のある句となった。(高橋正子)

○犬升麻(イヌショウマ)

[犬升麻/横浜・四季の森公園]

★晒菜升麻狐のごとし霧かくれ/古賀まり子

★秋の野の不思議の花にイヌショウマ/高橋正子
★釣舟草の隣に咲いてイヌショウマ/高橋正子

イヌショウマ(学名:Cimicifuga japonica)は、キンポウゲ科サラシナショウマ属のひとつで、山地の林内に生える高さ60~80センチの多年草。地下茎が発達し横にのびる。根生葉は1~2回3出複葉。小葉はやや硬く掌状に裂け、裂片のふちに不ぞろいのするどい鋸歯がある。葉の両面とも脈に短毛がある。つぼみは紅梅色のような色で、花は白色で穂状に多数つく。つぼみが開くと花弁と萼は落ちてしまい、白色の雄しべが花のように見える。よく似た種類にサラシナショウマがあるが、サラシナショウマは花柄(有柄の白い花)が、はっきりとわかるが、イヌショウマは花に柄がないので違いがよく分かる。花期は7~9月。名前のイヌショウマは、サラシナショウマが薬用(茎葉が枯れてから根を日干しにして用いる。)として用いられるのに対し、薬用にならないためつけられている。分布は、本州(関東から近畿地方)

◇生活する花たち「十月桜・白ほととぎす・野葡萄」(横浜・東慶寺)

10月10日

●小口泰與
晩秋の湖心舟影長きかな★★★
名月や雲ひとつ無き明けの空★★★
朝寒と言葉かわせし庭越しに★★★

●桑本栄太郎
 白内障手術入院より
秋日眩し瞳孔開く点眼液★★★
秋愁や明日の手術を想いおり★★★

手術終え群青紺や秋の宵★★★★
前書きに白内障手術とある一連の句。白内障のためにぼんやり濁って見えた景色が、手術を終え物が鮮明に見えるようになった。なかでも秋の宵の群青紺の空の色は格別美しい。その色が見えて感激である。(高橋正子)

●小西 宏
絹雲に葉の紅極む花水木★★★★
花も可憐で美しい花水木であるが、秋の紅葉した葉も捨てがたい。高層圏にかかる絹雲との対比に紅が際立つ。(高橋正子)

竹揉まれ台風近し寺の奥★★★
振り向けば金木犀の葉隠れに★★★