■2019年12月月例ネット句会/入賞発表■


■2019年12月月例ネット句会■
■入賞発表/2019年12月8日

【金賞】
31 湧水飲む雑木落葉をぬらしつつ/柳原美知子
雑木落葉の季節が「湧水飲む」という人との関わりで、あたたかく深いものになっている。「ぬらしつつ」は臨場感がある。(高橋正子)

【銀賞/2句】
16 妻の忌の近づく日々や冬夕焼/廣田洋一
妻を亡くされ幾年が過ぎておられるのだろう。冬夕焼が美しい日、妻の忌日が近づく日々が静かに、懐かしく詠まれている。(高橋正子)

32 谷紅葉踏み仰ぎ入るコーヒー店/柳原美知子
上五の「谷紅葉」が主題だが、下五の「コーヒー店」がいい。作者の姿が見える。(高橋信之)

【銅賞/3句】
05 初氷園児の声の一段と/小口泰與
初氷を見つけた園児たちの喜びよう。喜々として氷を掴んだりしているのだろう。真っ赤になった手や一段と高い声に園児のかわいい姿を思う。(高橋正子)

21 大阪湾一気に染める冬夕焼/高橋秀之
冬は瞬く間に日が落ちる。夕焼も一気に空を、大阪湾を染める。「一気に」の勢いが、圧倒されるような冬夕焼を想像させてくれている。(高橋正子)

35 鬼怒川の山は初雪空晴れて/高橋句美子
鬼怒川は日光の山を流れる川。山は雪が来るのが早い。鬼怒川の流れる山々は初雪を冠っているが、空は良く晴れている。晴れた夜の冷えがいかに強かったかが想像できる句だ。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
10 冬苺摘む子に声をかけにけり/多田有花
声をかけたのは作者であろうか。あるいは親御さんであろうか。いずれにしても一心に冬苺を
05 初氷園児の声の一段と/小口泰與
16 妻の忌の近づく日々や冬夕焼/廣田洋一
21 大阪湾一気に染める冬夕焼/高橋秀之
31 湧水飲む雑木落葉をぬらしつつ/柳原美知子
32 谷紅葉踏み仰ぎ入るコーヒー店/柳原美知子
35 鬼怒川の山は初雪空晴れて/高橋句美子

【高橋正子特選/7句】
22 鬼怒川のせせらぎ沁みる冬銀河/西村友宏
夜空には大きく広がる冬銀河。その一方で足元には鬼怒川のせせらぎ。大いなる冬銀河が普段通りのせせらぎを心に染みる存在にしてくれてました。(高橋秀之)

13 無骨なる冬の荷よりのラ・フランス/祝恵子
コメント2019-12-09 14:32:23無骨なる冬の荷よりのラ・フランス/祝恵子
故郷からの荷物でしょうか。ラ・フランスは見栄えは悪いですが、完熟させたものは甘くて絶品。食べるのが待ち遠しいですね。 (多田有花)
05 初氷園児の声の一段と/小口泰與

16 妻の忌の近づく日々や冬夕焼/廣田洋一
21 大阪湾一気に染める冬夕焼/高橋秀之
31 湧水飲む雑木落葉をぬらしつつ/柳原美知子
35 鬼怒川の山は初雪空晴れて/高橋句美子

【入選/10句】
07 水きりの石の飛び行く小春かな/古田敬二
良く晴れて穏やかな暖かい小春日和の日差しです。余りの心地良さに、近くの川面に石きりを試みた所、跳ねあがって何度も水面を踊り上がりました。厳冬を迎える前の、穏やかさが嬉しい景色です。(桑本栄太郎)
小春は陰暦十月の異称であるが、その頃は雨風も少なく暖かい日和が続く、水切りの石も気持ち良く五段七段と飛んでゆく気持ちの良い景ですね。素晴らしい対比の景ですね。 (小口泰與)

20 北風が落ち葉を増やす風が鳴る/高橋秀之
リズムよく、本格的な冬の到来が表され、新たな季節を楽しまれているようで素敵です。 (柳原美知子)

33 無人市箱に冬菜とミニポスト/柳原美知子
何となく通り過ぎてしまいそうな無人市、気づけば買っていまいそうです。ミニポストにお代を入れて。 (祝恵子)

15 ドイツ菓子売り娘はサンタの服を着て/祝恵子
世の中クリスマスモードで至る所クリスマスが溢れてますが、ドイツ歌詞となれば、なおさらサンタ娘がよく似合ってたことでしょう。(高椅秀之)

03 綿虫の舞いて祇園に浮き沈み/桑本栄太郎
綿虫は雪国では雪の来る頃に飛ぶため「雪虫」といわれます。京都は雪国ではありませんが、盆地の底冷えは独特の京の冬。祇園に舞う綿虫に、本格的な京都の冬の訪れを感じておられます。 (多田有花)

06 朝焚火高き声沸く飯場かな/小口泰與
冷え込む早朝の焚火を囲めば、自然と笑顔がこぼれ、笑い声が沸き起こる飯場。よい一日となりそうです。 (柳原美知子)

08 雪蛍高きへ飛べば見失う/古田敬二
14 軒先の冬日浴びおり吊るし柿/祝恵子
23 日光の紅葉はらいて写経する/西村友宏
24 東照宮拝む夫婦の息白し/西村友宏
34 吊り橋を揺らし渡れば色紅葉/高橋句美子

■選者詠/高橋信之
25 銀杏黄葉が明るい丘の樹に残る
銀杏は光を浴びると黄金のような明るい黄色になります。爽やかな句です。 (高橋句美子)

26 冬晴れて朝日差し来るわが書斎
晴れた冬の朝は最も日差しが輝きます。その日差しが書斎の奥まで差し込んできます。短い冬の一日の始まり、気を引き締めて向かわれます。 (多田有花)

27 冬陽さんさん病室の窓広き
窓が広い病室に燦燦と冬陽が差し込んで来る。病室に一人で寝ていると寂しくもあり、この先どうなるか不安でもある。その様な時に冬陽が部屋一杯に 差し込んでくると気持ちが明るくなり、心が温まる。患者さんを思う気持ちのこもった句です。 (廣田洋一)

■選者詠/高橋正子
29 どんぐりを落としきったり樫青樹
どんぐりと共に、葉も落として裸木となっている櫟などの雑木の中、どんぐりを落としきってもなお青々と葉を茂らせ、青空に伸びている樫の木の姿に清々しさを感じます。 (柳原美知子)

28 風花のごとくかるがる冬桜
30 今年また辛夷冬芽のりんりんと

■互選高点句
●最高点(8点)
07 水きりの石の飛び行く小春かな/古田敬二

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も一点として加算されています。
(集計/高橋正子)
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12月月例ネット句清記


■12月月例ネット句清記
2019年12月8日
12 名36句

01 せせらぎの落葉散り敷く高瀬川
02 顔見世のまねき上がりて撮りにゆく
03 綿虫の舞いて祇園に浮き沈み
04 露天湯や続けて嚏聞えける
05 初氷園児の声の一段と
06 朝焚火高き声沸く飯場かな
07 水きりの石の飛び行く小春かな
08 雪蛍高きへ飛べば見失う
09 茶の花の咲く石垣の苔むして
10 冬苺摘む子に声をかけにけり

11 誕生日ホットワインをいただきぬ
12 犬連れて冬の紅葉の下歩く
13 無骨なる冬の荷よりのラ・フランス
14 軒先の冬日浴びおり吊るし柿
15 ドイツ菓子売り娘はサンタの服を着て
16 妻の忌の近づく日々や冬夕焼
17 底冷えの空に瞬く星まばら
18 買い物のメモ忘れずに十二月
19 もふもふのコート嬉しき顔の友
20 北風が落ち葉を増やす風が鳴る

21 大阪湾一気に染める冬夕焼
22 鬼怒川のせせらぎ沁みる冬銀河
23 日光の紅葉はらいて写経する
24 東照宮拝む夫婦の息白し
25 銀杏黄葉が明るい丘の樹に残る
26 冬晴れて朝日差し来るわが書斎
27 冬陽さんさん病室の窓広き
28 風花のごとくかるがる冬桜
29 どんぐりを落としきったり樫青樹
30 今年また辛夷冬芽のりんりんと

31 湧水飲む雑木落葉をぬらしつつ
32 谷紅葉踏み仰ぎ入るコーヒー店
33 無人市箱に冬菜とミニポスト
34 吊り橋を揺らし渡れば色紅葉
35 鬼怒川の山は初雪空晴れて
36 落葉踏み東照宮へ石段登る

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