今日の秀句/6月1日~6月10日

6月10日(1句)

★ビル街にゆかた祭りを待つ神社/多田有花

ゆかた祭りは1742年に藩主榊原政岑が城内にあった長壁神社を庶民も気軽に参拝できるようにと長源寺の境内に移して夏至の日に遷座祭を行ったことに始まります。当時は下着とみなされていたゆかたで参拝することを許したのも画期的なことでした。コロナで3年連続中止になっていたゆかた祭りが今年は開催されます。長壁神社はいまでは市街地の中心部、高いビルの谷間になっていますが、きちんと守られています。(自句自解:多田有花)
 
6月9日(1句)

★早乙女の植うる手元や柔き風/廣田洋一
6月8日(1句)

★集落も雲も代田に映りけり/多田有花
田植えを前にしてそれまで乾いていた田に水が入れられ、「水田」に変わります。ほんのひととき、まるで集落のまわりに大きな湖が出現したようです。
(自句自解:多田有花)

6月7日(1句)

★友よりの報せのありぬ山開き/桑本栄太郎

6月6日(1句)

★水田に水満たされし芒種かな/多田有花
早稲の田植えはGWのころに終わっていると思いますが、私の住む兵庫県の播磨地域ではヒノヒカリ、キヌヒカリを主に作っており芒種の頃が田植え時です。周囲の水路を流れる水が水嵩を増し、それが田に満たされ、その中を田植え機が動いています。(自句自解:多田有花)
6月5日(1句)

★あじさいの中庭のある待合室/桑本栄太郎

6月4日(1句)

★荒梅雨に採り立て野菜届けらる/多田有花
先日の豪雨は各地で大変な被害を出しました。姫路も避難勧告寸前でしたが、その雨の中友人が昨日採った野菜を届けてくれました。「雨が降る前にと思って昨日採っておいた」とのこと。大変ありがたくいただきました。(自句自解:多田有花)
 
6月3日(1句)

★夏服の透ける青さや朝の風/廣田洋一

6月2日(1句)

★紫陽花の早も咲き初むうすみどり/桑本栄太郎

6月1日(1句)

★朝の庭ばらそこはかと匂いけり/小口泰與

6月1日~6月10日

6月10日(4名)

小口泰與
夕虹や明日の撮影楽しみに★★★
足音にくるり走りし蜥蜴かな★★★
釣人の浮子の沈むや翡翠よ★★★

多田有花
ひと隅に残りの早苗まとめられ★★★
梅雨空を戴き立てり姫路城★★★
ビル街にゆかた祭りを待つ神社★★★★

廣田洋一
外国の人と茅の輪を潜りけり★★★
神輿蔵開け放たれて神々し★★★★
梅の実のつやつや光り店の先★★★

桑本栄太郎
サングラス取れば優しきパパの顔★★★
時の日や漏刻祭の近江宮★★★★
しらぬ間に一日暮れゆく梅雨ぐもり★★★

6月9日(5名)

小口泰與
雨のごと木木の雫や五月闇★★★
丘に降り沼に降りたる緑雨かな★★★
忽然と白雨に遭いしサイドカー★★★

廣田洋一
風呂上り襲ひ来る蚊をはたきけり★★★
殺虫剤壁に塗り込み蚊を入れず★★★
早乙女の植うる手元や柔き風★★★★

桑本栄太郎
黒南風や水の匂いの窓の風★★★
軽鴨の子の水に落つ初体験★★★
梅雨ぐもり天気痛なる頭痛かな★★★

弓削和人
緑陰のキャンプは遠き湖畔かな★★★
清流の葉に葉重なり青蛙★★★
夏の朝熊笹の丈のびるとき★★★

6月8日(5名)

多田有花
十薬の静かに咲けり空き家前★★★
集落も雲も代田に映りけり★★★★
道の辺に柏葉紫陽花傾ぎ咲く★★★

小口泰與
翡翠や水面割りたる急降下★★★
山蚕やテグスは太き鯉釣り用★★★
かの昔下宿の壁に守宮かな★★★

廣田洋一
鳰の子や浮くたびに親鳥離れ★★★
倒れても上を向きたる百合の花★★★
唐黍の花ほのかに赤く色付きぬ★★★

桑本栄太郎
かたつぶり誹謗中傷なんのその★★★
でで虫の蝸牛のあゆみ何処までも★★★
退屈と云うは幸せ梅雨きのこ★★★

弓削和人
くし焼やぬるき風吹く夏の浜★★★
汗ばみて砂浜駆ける犬に人★★★
新緑のサイクリングや当てもなし★★★

6月7日(4名)

小口泰與
翡翠やそぞろに波立つ池の面★★★
夫婦とも同じ道具や若葉風★★★
山雀や羽音を立てて手の餌さへ★★★

多田有花
栗の花いま青空を独占す★★★
濃き色の百合や日輪中天に★★★
早苗積む軽トラ停まる倉庫前★★★

桑本栄太郎
塵出しの朝の静寂や梅雨きのこ★★★
友よりの報せのありぬ山開き★★★★
花柘榴葉陰明るき日差しかな★★★

弓削和人
短夜や遠くに一軒灯りあり★★★

老鶯や湖にひびける山かなた
着眼はとてもいいです。「(湖に)ひびける」が言いたいのか、「山かなた」が言いたいのか。どちらか一つに絞る必要があります。(髙橋正子)

緑陰のつづく小径の静けさよ★★★
 
6月6日(4名)

小口泰與
偉大なる我が師は星に閑古鳥★★★
牛蛙赤城鍋割従えし★★★
薫風や利根の流れに長竿を★★★

廣田洋一
風薫る丘の上なる観音像★★★
公園の実梅日毎に膨らみぬ★★★
葉の影に未だ潜める実梅かな★★★

桑本栄太郎
芒種はや早稲の田圃の青田波★★★
峰よりの雨雲降りぬ芒種かな★★★
高らかに団地の庭に豆まはし★★★

多田有花
水田に水満たされし芒種かな★★★★
山法師咲く新築の家の庭★★★
そぞろゆけば水音高し田植時★★★

6月5日(5名)

小口泰與
水面よりくいっと伸びし夏の鯉★★★
翡翠や水面に姿映しける★★★
蛙沼を震わせ愛唄う★★★

廣田洋一
大雨を流し切れずに夏の川★★★
さくさくと新玉葱のカレーかな★★★★
遊水池水の残りて五月晴★★★

多田有花
明早し曙の雲輝かせ★★★
夏燕いま巣作りの真最中★★★
梅雨晴間公園に響く子らの声★★★

桑本栄太郎
花卯木咲いて病院前の植込みに★★★
あじさいの中庭のある待合室★★★★
午後よりの水の匂いや梅雨ぐもり ★★★

弓削和人
熊除けの鈴をたよりに夏の宵★★★
夜歩く山の寂しさ朴の花★★★★
濃紫あやめの凛と咲きにけり ★★★

6月4日(5名)

廣田洋一
雨止みて友と見上ぐる夏の月★★★
夏服や派手目の色を選びたり★★★
短夜の滑り落ちたる枕かな★★★

多田有花
荒梅雨に採り立て野菜届けらる★★★★
首揃え鳴き続けたり燕の子★★★
田植え機や今年の仕事前にして★★★

小口泰與
山の沼ぐわんぐわんと蟾蜍★★★
雨の中翡翠枝を動かざる★★★
鳥影を映す水面や若葉風★★★

柳原美知子
髙橋信之先生追悼3句
ガラス器に卯の花満たし鎮魂歌
音高き瀬を師の魂か初蛍
山法師白を天へと捧げおり
心よりご冥福をお祈り致します。

ありがとうございます。短冊に書いて供えます。(髙橋正子)

桑本栄太郎
でで虫の今日は日射しに殻を閉ず★★★
蟷螂生る後からあとへ斧構え★★★★
遠き日の想い出はこね卯木咲く★★★

6月3日(4名)

多田有花
梅天に響けりサッカー教室の声★★★
ぽつぽつと植田の増えし街道筋★★★
道沿いに薔薇を咲かせしこども園★★★

廣田洋一
夏服や赤の似合ひし老女居り★★★
夏服の透ける青さや朝の風★★★★
羽斑蚊尻を上げたら叩くべし★★★

小口泰與
合唱の声姦しや牛蛙★★★
高らかに縄張り示す蝦蟇★★★
渓流を翡翠の影踊りけり★★★

桑本栄太郎
師の訃報知りて驚愕梅雨寒し
ありがとうございます。(髙橋正子)
木々の枝のみどり躍りぬ青嵐★★★★
万緑や窓の明るき空の青★★★

6月2日(4名)

小口泰與
山雀や飛ぶ羽見えず速さ見ゆ★★★
葉裏よりちょこと顔見ゆ雨蛙★★★
新緑や沼を震わす鳥の声★★★

廣田洋一
羽抜鶏少し歩みて座り込み★★★
いらいらと走りまわれる羽抜鶏★★★
梅雨はじめ共に来たれり暴風雨★★★

多田有花
夜もすがら鳴き続けたりほととぎす★★★
時鳥いずこに狙い定めしか★★★
紫陽花の色づき初めし通勤路★★★

桑本栄太郎
紫陽花の早も咲き初むうすみどり★★★★
雨音を聞きつつ眠る夏の風邪★★★
荒梅雨や緊急情報鳴りやまず★★★

6月1日(5名)

廣田洋一
大鯉の背びれの見えて夏の川★★★★
苺売場大粒小粒揃ひをり★★★
ふはふはのいちご大福茶を汲めり★★★

小口泰與
追いすがり手の餌に来る四十雀★★★
大利根の雀色時川蝉よ★★★
朝の庭ばらそこはかと匂いけり★★★★

多田有花
はつ夏の古民家喫茶で飲む珈琲★★★
皐月咲く日差し眩しき庭に出る★★★
梁太き古民家初夏の水彩画★★★

桑本栄太郎
南天の花の小つぶや雨誘う★★★
紫陽花の早も咲き初むうすみどり★★★★
前ふれの大きな報らせ夏台風★★★

弓削和人
ヤマホウシ昼日の差して白さまし★★★★
忍冬の花かれんなり能登小路★★★
降りぬ駅葉に隠れたる蓮二輪★★★

おことわり

★投句の★印の評価や秀句の選出、コメントが今以上に遅れる場合がありますが、ご容赦ください。

★自由な投句箱へは、ご自由にご投句くださって結構です。

主宰 髙橋正子
2023年4月9日

自由な投句箱/5月21日~5月31日

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/5月21日~5月31日

お願いとおことわり
髙橋正子の秀句へのコメントは、時間的な余裕がありませんので、当分休ませていただきます。よろしくお願いいたします。
5月21日から5月31日の秀句の好きな句へのコメント、自句自解を<コメント>欄にお書きください。それらの句数は自由です。
5月23日 髙橋正子
5月31日(2句)

★古民家の壁に涼しき水彩画/多田有花
知人が古民家喫茶で水彩画の展覧会を開くという知らせをいただき、見に行ってきました。築100年の農家を改築して一部を喫茶店にされているようでした。味のある土壁に近くの風景を描いた水彩画がかけられていてそれが素敵でした。(自句自解:多田有花)

★薫風の京都みやげに阿闍梨餅/桑本栄太郎

5月30日(1句)

★朝日差す待合室や若葉風/小口泰與

5月29日(1句)

★天つ日と翡翠共にやって来し/小口泰與

5月28日(1句)

★一瀑の白きや若葉燃え立ちぬ/小口泰與

5月27日(1句)

★鎌倉や海の青さを鯖寿司に/廣田洋一

5月26日(1句)

★木の椅子の一つ置かれて緑立つ/廣田洋一

5月25日(1句)

★田沢湖の白き砂浜夏来る/弓削和人

5月24日(2句)

★まさおなる空や二階へ枇杷実る/弓削和人

★新じゃがをつややかに煮て独り住い/廣田洋一


5月23日(句)

★山女釣り青天井に握飯/小口泰與

<F. ナイチンゲール像>
★若葉してナイチンゲールは救苦観音/多田有花
川西池田駅から少し行ったところにナイチンゲール像が立っています。
「福田海」という宗教団体の創立者が晩年大病をして大阪日赤に入院しました。そのとき受けた看護に感激しこの像の創立を思い立ちました。
ロンドンにあるナイチンゲール像をそのまま写し取ったもので世界に二体しかないものだそうです。ナイチンゲールの博愛の精神を仏教の慈悲の心になぞらえて台座には「救苦観世音」と記されています。 (自句自解:多田有花)

5月22日(2句)

★朝なさな初夏の野原の鳥の声/小口泰與

★ハイキングに向かう日曜明早し/多田有花
小満の日曜日、兵庫県川西市の多田丘陵をハイキングしてきました。ここは清和天皇の曾孫である源満仲が源氏武士団を形成して土着したところです。
川西市は清和源氏発祥の地としてPRしており、川西池田駅前には源満仲の騎馬像が立っています。(自句自解:多田有花)
 
5月21日(1句)

★麦嵐赤城の裾野くっきりと/小口泰與

5月21日~5月31日

5月31日(4名)

小口泰與
黄鶲や枝よりひょいと黄を点ず★★★
樹洞より気配見せたり四十雀★★★
翡翠の狙い定かや一直線★★★

廣田洋一
神の水溢れて滝となりにけり★★★
宗像社のお守り飾る青葉風★★★★
白玉や一口食べる昼餉時★★★

多田有花
雨音を聞きつつ五月の梅雨の入り★★★
初ほととぎす黎明の静寂に★★★
古民家の壁に涼しき水彩画★★★★

桑本栄太郎
薫風の京都みやげに阿闍梨餅★★★★
来京のおとうと帰途に五月尽★★★
好きな子に殊更つよく草矢打つ★★★

5月30日(2名)

多田有花
<三ツ矢サイダー発祥地>
赤き屋根新緑に映え工場跡★★★
卯の花の咲く道ハイキングを終える★★★
夏空へ大きく飛び立つ航空機★★★

小口泰與
朝日差す待合室や若葉風★★★★
郭公や利根源流の水清し★★★
朝の日の射すや紅ばら美しく★★★

5月29日(5名)

小口泰與
天つ日と翡翠共にやって来し★★★★
あめんぼうひょいひょい水面けりにけり★★★
川蝉を待てど小沼の静寂に★★★て

多田有花
<多田神社二句>
サイダーや放たれし矢は時を越え★★★
若葉して一千年の拝殿に★★★
五月空しなさわぐるみの果穂透かし★★★

桑本栄太郎
十薬やワクチン接種の朝の庭★★★
木蔭行く地道濡れ来る緑雨かな★★★
梅雨入りや出入り激しき濯ぎもの★★★

廣田洋一
紫陽花の色とりどりに池の端★★★
万緑の風吹き渡る大宰府跡★★★
紫陽花や変化の旅を始めたり★★★


弓削和人
花アヤメ紺の滲むる小雨かな(原句)
「滲む」の変化を辞書でご確認ください。(髙橋正子)
花あやめ紺を滲ます小雨かな★★★★(正子添削)

駒ケ岳たなびく夏の霞かな★★★
「夏霞たなびく〇〇〇駒ヶ岳」のようにまとめるとよいと思います。「何がどうだ(である)」を言うことが先です。(髙橋正子)

田沢湖を一湖に呑むる夏の山★★★

5月28日(3名)

多田有花
<多田神社三句>
薫風や欄干赤き橋渡る★★★★
夏の川白き波たて流れゆく★★★
人が神になる国の夏多田神社★★★

小口泰與
翡翠や沼の水面を凝視せる★★★
川風や聳つ葦よ翡翠よ★★★
一瀑の白きや若葉燃え立ちぬ★★★★

廣田洋一
白き塔すつくと立ちて街薄暑★★★
潮風に香り振り撒くラベンダー★★★
黒揚羽紅き花より離れずに★★★★

5月27日(3名)

小口泰與
五六羽の翡翠木より垂直に★★★
青鷺やひと目我見て動かざる★★★
天泣の沼へ川蝉来て居りし★★★

廣田洋一
鎌倉や海の青さを鯖寿司に★★★★
出会ひたる鯖寿司ひょいと買ひにけり★★★
段葛屋根の如くに葉桜かな★★★

多田有花
初夏の花それぞれ咲かせ丘の街★★★★
はつ夏や標識頼りにハイキング★★★
薄紅の薔薇咲く家の角を曲がる★★★

5月26日(4名)

廣田洋一
十薬や家の周りを白く染め★★★
紫陽花の毬の膨らむ雨上がり★★★
木の椅子の一つ置かれて緑立つ ★★★★

小口泰與
雲の峰赤城の嶺嶺を隠しけり★★★
郭公や山の露天湯ただ一人★★★
翡翠や沼の小魚ゆったりと★★★

多田有花
<清和源氏祈願所・満願寺三句>
緑さす笹竜胆と三つ巴★★★
はや赤きプロペラをつけ若楓★★★
九重の石塔幾度の新緑を★★★

弓削和人
飛燕草祈れる人を迎えけり★★★★
碧放つ飛燕草もて講話会★★★

言の葉のいきいき飛ぶる夏料理(原句)
言の葉のいきいき飛べる夏料理★★★(正子添削)

5月25日(4名)

小口泰與
牛蛙コントラバスの響きあう★★★
釣人も写真家も居る初夏の沼★★★
翡翠や聳つ葦へはんなりと★★★

廣田洋一
新玉葱市役所にて売られけり★★★
手分けして薔薇の手入れや園芸部★★★
初夏の夕旅行気分のロマンスカー★★★

桑本栄太郎
昼顔の盛りとなりぬ停留所★★★
午後よりの雨の催ひや茅花の穂★★★
大ぶりな蚕豆届く田舎より★★★

弓削和人
たつこ像夏の夕日の赤衣★★★
田沢湖の白き砂浜夏来る★★★★
美女柳かしづく宵の雨雫★★★
 
5月24日(5名)

小口泰與
駄菓子屋の猫瓶の菓子走り梅雨★★★
庭の木木囃す若葉へ朝の雨★★★
翡翠や一直線に水面へと★★★★

弓削和人
まさおなる空や二階へ枇杷実る★★★★
薔薇の紅菜園隅に照りありぬ★★★
草取りや家宅に張りし根を剥がむ★★★

廣田洋一
音たてて吸い切りしたる新茶かな★★★
新じゃがをつややかに煮て独り住い★★★★
新じゃがやバターを塗りてほくほくと★★★

多田有花
<F.ナイチンゲール像>
野萱草ナイチンゲールの足元に★★★
<清和源氏祈願所・満願寺二句>
山門のアーチを抜けて新緑へ★★★
若楓古刹の空に展開す★★★

桑本栄太郎
あおぞらの雲奔り居り青あらし★★★
若竹の木洩れ日目指す青き空★★★
青嵐や木々の枝風に躍り居り★★★

5月23日(4名)

小口泰與
白鷺や輪を描きつつ上枝にと★★★
峡田より飛び立つ柄長藁咥え★★★

山女釣り青天井の握飯(原句)
山女釣り青天井に握飯★★★★(正子添削)

多田有花
<川西池田駅前・源満仲像>
清和源氏ここに始まる天清和★★★
<川西市ご当地マンホール>
小満や市花は源氏の旗印★★★
<F. ナイチンゲール像>
若葉してナイチンゲールは救苦観音★★★★

廣田洋一
初夏のプラネタリウムや子らの夢★★★
ノーネクタイで出勤したる初夏の朝★★★
門前に赤き薔薇咲く古き家★★★

桑本栄太郎
テレビ見てラヂオ体操青あらし★★★
風に揺れつぼみふふめり金枝梅★★★
嶺の端の光り輝く夏入日★★★

5月22日(5名)

小口泰與
利根川へ草木も揺るる青嵐★★★
妙義嶺の奇岩にまとう夏の雲★★★
朝なさな初夏の野原の鳥の声★★★★

多田有花
山遠くはるかに咲ける椎の花★★★
夕暮れて早くも焚きぬ蚊遣り香★★★
ハイキングに向かう日曜明早し★★★★

弓削和人
ゆきゆきて覚えなき駅昼寝覚★★★
葉や風やてんとう虫の黒びかり★★★★
湖の色なる雫月見草★★★

廣田洋一
竹林や筍掘りの跡点々★★★★
筍の掘る人もなく伸びにけり★★★
サングラス運転用は色違へ★★★

桑本栄太郎
苜蓿のあつけんからんと風を受く★★★
雄叫びのこの世を糾す青嵐★★★
子供らの庭ではしゃぐや青あらし★★★

5月21日(3名)

小口泰與
爺様に見え婆様にとも夏の雲★★★
麦嵐赤城の裾野くっきりと★★★★
八十路にて血気盛んや雲の峰★★★

廣田洋一
捩花や何に拗ねるか青き空★★★
捩花や回り道して天を指し★★★
久し振り横綱の勝つ五月場所★★★

桑本栄太郎
少し間の信号待ちの片かげり★★★
すかんぽの赤き穂の伸ぶ植込みに★★★
西空の嶺に入日や新樹光★★★

自由な投句箱/5月11日~5月20日

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/5月11日~5月20日

願いとおことわり
髙橋正子の秀句へのコメントは、時間的な余裕がありませんので、当分休ませていただきます。よろしくお願いいたします。

5月11日から5月20日の秀句の好きな句へのコメント、自句自解を<コメント>欄にお書きください。それらの句数は自由です。
5月23日 髙橋正子


5月20日(2句)

★麦秋や坂東太郎水清ら/小口泰與

★子つばめの手すりに止まる朝かな/多田有花
姫路周辺ではツバメが渡ってきたのは3月下旬でした。そろそろ一番子が巣立ちの時期を迎えています。巣を離れた子はしばらくはまだ巣の近くにいて親から餌をもらいつつ飛ぶ練習をしています。すぐに上手に飛べるようになり、若鳥の集団だけで飛び回るようになります。(自句自解:多田有花)

5月19日(2句)

★聖五月聖母マリアの空の色/多田有花

5月に入って以降、週末は二週連続雨でした。この日は久しぶりに快晴の青空が広がりました。五月は聖母マリアの月、聖母マリアの衣の色のような美しい色でした。(自句自解:多田有花)
 
★上りサイクリングに新樹晴れ/弓削和人

5月18日(1句)

★涼しさや利根源流の清清し/小口泰與

5月17日(1句)

★神田祭鮨を奢れる昼餉かな/廣田洋一

5月16日(1句)

★滔滔と坂東太郎田植えにて/小口泰與

5月15日(1句)

★半開のバス窓茅花流し吹く/桑本栄太郎

5月14日(1句

<平成中村座姫路城公演>
★終幕は五月の城を借景に/多田有花

今年は姫路城世界遺産登録三十周年でさまざまなイベントが行われています。平成中村座姫路城公演もそのひとつで三の丸広場に特設会場を設けて行われています。
演目は「播州皿屋敷」と「鰯売戀曳網」でした。「鰯売戀曳網」の最後の場面で舞台後ろの幕が開かれ、姫路城大天守がそのまま借景として現れました。
この演出は、さすがと誰もが大歓声でした。(自句自解:多田有花)
 
5月13日(2句)

★夏つばめ甍の上を飛び渡る/多田有花
住んでいる部屋は5階にあります。周囲は二階か平屋建てが多く、部屋からは甍の波が見渡せます。ベランダから眺めているとその上をツバメがすいすいと飛んでいきました。(自句自解:多田有花)
 
★花袋忌のそろそろ欲しき夏ぶとん/桑本栄太郎

5月12日(2句)

★新樹光女子高生の二人連れ/廣田洋一

★ざく切りのリズム弾ける春きゃべつ/川名ますみ

5月11日(2句)

★渓流の流れ素直や初夏の色/小口泰與

★紅薔薇やすでに木陰の慕わしく/多田有花
今年は急に暑くなりました。薔薇の美しい初夏。気持ちのいい季節ですが、日差しが強く早くも木陰が恋しく思われます。(自句自解:多田有花)

5月11日~5月20日

5月20日(5名)
小口泰與
翡翠や小沼賑わす風の音★★★
鳥飛んで沼を囃すや夏の朝★★★
麦秋や坂東太郎水清ら★★★★
多田有花ほ
子つばめの手すりに止まる朝かな★★★★
新しき講義始める薄暑かな★★★
生垣のピンクの薔薇を切るふたり★★★
廣田洋一
雨浴びてぽとりぽとりとさつきかな★★★
若楓紅き光を零しをり★★★★
屈みけりカメラ構えて捩り花★★★
桑本栄太郎
枝しなり勝どき挙げる山法師★★★
種あまた散らす鋪道や桜の実★★★
こんなにも日射し眩しく片かげり★★★
弓削和人
更衣渚を駆ける白き犬★★★★
茅花流し隆隆とある杉林★★★
新緑の果てのにわかや湖の紺★★★★
5月19日(6名)
友田修
木洩れ日に揺れる葉陰に初夏の風★★★
多摩川の水増す初夏の白き雲(原句)
切れをいれるとよいです。(髙橋正子)
多摩川の水増す初夏や白き雲★★★★(正子添削)
揺れる薔薇ミツバチここぞと潜り込む★★★
小口泰與
他の鳥を頼るほかなし時鳥★★★
薫風や利根源流の魚の数★★★
夏の雨芝の青さの馥郁と★★★
廣田洋一
万緑の風やはらかに古寺の庭★★★
墓の前紅く燃え立つさつきかな★★★★
大銀杏の若葉そよげる九品仏★★★
桑本栄太郎
山法師雨に濡れゐて勝どきを★★★
前梅雨やテールランプの交差点★★★
飛ぶものの姿見せざる緑雨かな★★★
多田有花
群れ咲いてリズムを生みし綾目かな★★★
聖五月聖母マリアの空の色★★★★
夏の風邪保湿ティシュのありがたし★★★
弓削和人
県民の森の牡丹や朱をふくみ★★★
雨上がりサイクリングの新樹晴れ(原句)
雨上りサイクリングに新樹晴れ★★★★(正子添削)
遠山の幽かなりけり夏霞★★★
 
5月18日(3名)
廣田洋一
北へ行き西に飛び行く旅五月★★★
対面の授業始まり五月病★★★
とれたての筍香る無人店★★★
小口泰與
綿雲を頂く浅間利根の初夏★★★
涼しさや利根源流の清清し★★★★
鳥鳴くや利根の流れの初夏の色★★★
桑本栄太郎
パソコンのトラブル回避若葉晴れ★★★
午後よりは曇り筍流しかな★★★
木の陰に隠れあの娘に草矢打つ★★★
5月17日(3名)
小口泰與
頬白や庭の芝生をつんつんと★★★
山雀の手の餌にすいと森の径★★★★
川蝉の狙い定める梢かな★★★
廣田洋一
捩花何に拗ねたか青き空★★★
捩花や蜂も捩れて飛びにけり★★★
神田祭鮨を奢れる昼餉かな★★★★
桑本栄太郎
ほほえみて葵祭りの両陛下★★★
若竹の万歳したる薮の空★★★
真夏日の枝の輝く入日かな★★★
5月16日(4名)
小口泰與
滔滔と坂東太郎田植えにて★★★★
川蝉の魚咥え出づ水鏡★★★
ばら咲くや庭の木木のふっくらと★★★
廣田洋一
天を突く銀杏並木の若葉かな★★★
一畝の丸く太りて莢豌豆★★★★
実桜や川の流れに逆らはず★★★
桑本栄太郎
みどりさす窓の明かりに推敲す★★★
新緑や妻の出掛けは大丸へ★★★★
真夏日の更に明るく庭の木々★★★
弓削和人
夏風に森の静けさ増しにけり★★★
水鳥のつがい遠しや夏きざし★★★★
夏の湖憩う露天の味噌たんぽ★★★
5月15日(4名)
小口泰與
新緑に包まる沼や鳥の声★★★
躑躅咲くけふの小沼の水鏡★★★
初夏の沼水輪つくるる鯉の口★★★★
廣田洋一
松落葉色鮮やかに潦★★★
傘傾げ牡丹ひらけり池の風★★★
新緑に沸き立つ声や鴉かな★★★
桑本栄太郎
半開のバス窓茅花流し吹く★★★★
水滴の窓に卯の花腐しかな★★★
雨あがりつとに明るくみどりさす★★★
弓削和人
白亜なるホテルや山の夏霞★★★★
ふと寄りて山女魚を焼くる湖の茶屋★★★
せせらぎて澄みし浅瀬の浮葉かな★★★
5月14日(5名)
小口泰與
三艘の手漕ぎボートや初夏の風★★★
雨の中若葉かがやく楓かな★★★★
川蝉や水面を割りて飛翔せる★★★
多田有花
<平成中村座姫路城公演三句>
はつ夏の白鷺城に初歌舞伎★★★
天清和するする曳かる定式幕★★★
終幕は五月の城を借景に★★★★
友田修
切株に苔むす春の日差しかな(原句)
「春の日差しが切株に苔むす」の意味になっています。「苔むす」のは、「切株」ではないでしょうか。(髙橋正子)
苔むせし切株春の日差し受け(添削例)
春の宵人もまばらな増上寺★★★
春の日に歴史を辿る浜離宮★★★
桑本栄太郎
母の日の母はなけれど母偲ぶ★★★
峰上の雨雲竹の子流しかな★★★
雨止めば風の出でをり青嵐★★★
廣田洋一
母の日や苦労の程を思ひ知る★★★
若葉雨すぐに止みたる散歩道★★★
白き帯棚引きたるや花水木★★★
5月13日(5名)
廣田洋一
噴水やしぶきを浴びる図書館前★★★
母の日や亡母の年にまだ足らず★★★
良き風の墓原に満ち若楓(原句)
「満ち」の切れが少し弱い感じです。「若楓」を活かすために添削例をあげました。(髙橋正子)
墓原に良き風満つや若楓(添削例)
小口泰與
炎帝や醜草はやも反り返る★★★
夏浅き川の流れの穏やかに★★★
雨後の庭若葉かがやく木木の色★★★
多田有花
柿若葉朝餉の匂い流れ来る★★★
夏つばめ甍の上を飛び渡る★★★★
初夏の朝自転車でゆくセーラー服★★★★
桑本栄太郎
花袋忌のそろそろ欲しき夏ぶとん★★★★
午後からの茅花流しや雨予報★★★
新緑の庭木かんばし午後の雨★★★
弓削和人
更衣腕さすりたる降車かな(原句)
降車して腕寒かりき更衣★★★★(正子添削)
余花の朱に映えたる水面朝の湖★★★
母の日を忘れむばかり笑う母★★★
5月12日(4名)
廣田洋一
公園の坂道辿り新樹光★★★
新樹光女子高生の二人連れ★★★★
竹林に声響かせてほととぎす★★★
小口泰與
川蝉の水音高し吾子の顔★★★
醜草の反り返りける露涼し★★★
夏の色なり大利根の水のごと★★★
桑本栄太郎
リハビリの身の上話し若葉寒む★★★
薫風の蛇腹カーテン隙間より★★★
女子会の昼餉手抜きや若葉晴れ★★★
川名ますみ
春きゃべつリズム明かにざく切りす★★★
ざく切りのリズム弾ける春きゃべつ★★★★
車椅子速めに走り五月来る(原句)
五月来ぬ速めに走る車椅子★★★★(正子添削)
5月11日(5名)
小口泰與
渓流の流れ素直や初夏の色★★★★
夏川を魚遡上せり魚籠は空★★★
夏川や浅間の煙流れ行く★★★
多田有花
快晴の五月の川は翡翠色★★★
紅薔薇やすでに木陰の慕わしく★★★★
葉の下に苺熟れゆくひとつひとつ★★★
桑本栄太郎
緑蔭の天の高きや青き空★★★
歩みゆく程に匂いぬ栗の花★★★
夏日とていつか入日や嶺の奥★★★★
廣田洋一
昼食はビーフカレーの薄暑かな★★★
雨に濡れ色鮮やかに松落葉★★★★
癌一つ寛解となり風薫る★★★★
弓削和人
待ち合わせ揺るる紫苑の昼下がり
物干しの竿の影なる花茨
夏めくや動物園の園の帽

自由な投句箱/5月1日~5月10日

※当季雑詠3句(春の句・夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之