自由な投句箱/7月1日~7月10日

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子

今日の秀句/7月1日~7月10日

7月10日(1句)

★那智の滝注連縄揺らし落ちにけり/廣田洋一
滝は夏の季語。滝の冷気は特別である。那智の滝は、滝自体がご神体なので、その前に注連縄が張られている。落差133mの滝が落ちると、水飛沫や冷気の動きで風が起こる。(髙橋正子)

7月9日(1句)

★孫ら来る祇園祭のあといくつ/桑本栄太郎
遠く離れて住む孫が祇園祭にやってくる。あといくつ寝たら会えるのか、と素直な気持ちが詠まれているのがいい。孫たちも京都行を楽しみにしていることだろう。(髙橋正子)

7月8日(1句)

★冷麦の赤を取り合ひ昭和の日/廣田洋一
白い冷麦に赤や緑、黄色の色がついたのが、少し交じっていて、昭和の子供は色のついたのを当たりくじのように欲しがった。やっぱり赤が人気だったか。大勢で暮らした昭和が懐かしく思い出される。(髙橋正子)

7月7日(1句)

★青空へ紐を結びぬ竹簾/川名ますみ
竹簾を吊るすときに、実際は、窓枠の出っ張りなどに紐を結んで吊るすが、青空を見ながら吊るすと、「青空へ」紐を結んでいるかのように見える。夏の青空と簾が絵のように思える。(髙橋正子)

7月6日(1句)

★のっぱらやさやかに揺らぐ花菖蒲/弓削和人
「のっぱら」に切字「や」がついて、アンバランスな感じがしないでもないが、野原に花菖蒲が揺れているのが、目にさやかに映る。これは、箱根の仙石原にあるようなノハナショウブなのか。(髙橋正子)
7月5日(1句)

★あき缶の口に滲み入る岩清水/弓削和人
飲み干したあき缶に、岩清水を入れて飲もうというのだ。あき缶の小さい飲み口から滲みいる清水のつめたさは感激もの。岩清水のあたりの涼気が想像できる。(髙橋正子)
7月4日(1句)

★あおぞらの視界ぐるりと梅雨の晴れ/桑本栄太郎
ぐるりと見まわす視界のかぎり、青空が広がる。梅雨の晴れ間の力強く、涼し気な空の青。元気がでる。(髙橋正子)

7月3日(1句)

★終電の駅に降り立ち夏の星/廣田洋一
「夏の星」は、すずしそうな輝きが特徴である。終電まで乗り、疲れ気味に駅に降り立つと、空には涼しそうな星が輝いている。涼しそうな星の美しさに心が洗われる思いだ。(髙橋正子)
7月2日(1句)

★雨に似て水輪のひとつ糸蜻蛉/弓削和人
糸蜻蛉はあまりに姿がかすかなので、水面に生まれている水輪は、小さい雨の作る水輪と思ったが、よく見ると雨ではなく糸蜻蛉がいて出来た水輪だったということ。率直な見方に詩情がある。(髙橋正子)
7月1日(3句)

★一時の風の中なる油蝉/小口泰與
いかにも暑そうに鳴く「油蝉」と「風」の取り合わせがよく、一服の清涼剤のような風が吹き抜け、心まで涼しくなる句。(髙橋正子)

★丹沢の雲の晴れたり梅雨夕焼/廣田洋一

丹沢の山々にかかる雲が晴れて夕焼けが広がる。晴れ晴れとした梅雨夕焼に、新しい世界が目の前に広がるようだ。(髙橋正子)

★七月や早やも祇園を想う朝/桑本栄太郎
葵祭から祇園祭へと京都の夏は祭で賑わう。七月になれば、コンチキチが耳に聞こえ、やきらびやかな鉾や山車の姿が目に浮かぶということだろう。「祇園を想う」に祇園の街の華やぎや祭を心待ちにする京都人の思いをみる(髙橋正子)

7月1日~7月10日

7月10日(4名)
小口泰與
満緑や雲ひとはけの妙義山★★★
猫車芋いっぱいや夏の朝(原句)
涼しそうな句ですね。この句の主題は「芋」で「芋」の季語は秋で、「夏の朝」とは季重なりです。(髙橋正子)
日を返す咫尺の沼や時鳥★★★
廣田洋一
那智の滝注連縄揺らし落ちにけり★★★★
旅人の滝の行者と変身す★★★
冷麦をすいすい啜る真昼かな★★★
桑本栄太郎
初蝉の鳴き初めすぐに止みにけり★★★
舞い来ては躊躇い居りぬ揚羽かな★★★
坂道の石垣つづき苔茂る★★★
弓削和人
濃紫雨後に栄えたる鉄線花★★★
夏がすみ展望台の湖畔かな★★★
蜻蛉生まる野芥子に六肢つかまれリ★★★
7月9日(3名)
小口泰與
突然の雨や忽と雹となり ★★★
噴煙の棚引く先や二重虹★★★
郭公や丈夫の妻の頼もしく★★★★
廣田洋一
草取るや庭の黒土甦る★★★
鍔広の帽子かぶりて草を取る★★★
堰落ちる川に虹立つ朝かな★★★★
桑本栄太郎
雨上がり溽暑となりぬ河原町★★★
くちなしの花の朽ち来てなほ匂う★★★
孫ら来る祇園祭のあといくつ★★★★
7月8日(3名)
小口泰與
雷鳴や家ぬちの音絶ちにける★★★
草草や沼の谷蟇日を受けて★★★
翡翠の一亥だにも来ぬ小沼★★★
廣田洋一
冷麦の赤を取り合ひ昭和の日★★★★
なだらかな坂を下りて沙羅の花★★★
焼酎で乾杯したる夕べかな★★★
桑本栄太郎
涼風の吹き抜けるいたる雨の午後★★★
黒蟻の慌て走りぬ雨催い★★★
ひと仕事ごとに水飲む溽暑かな★★★
7月7日(5名)
小口泰與
上州の山の蒼さや鮎遡上★★★
あけぼのの只中の声翡翠よ★★★
忽然と蝦蟇の合唱沼の朝★★★
桑本栄太郎
日盛りやホースの水に鴉どち★★★★
くちなしの花の朽ちたる垣根かな★★★
星合の夕となれども雨催い★★★
廣田洋一
揚羽蝶晴れたる空を低く飛び★★★★
七夕や子らの健康願ひたり★★★
駅出でて短冊飾る七夕かな★★★
川名ますみ
①青空へ紐を結びぬ/竹簾★★★★
「竹簾を掛けようとして紐を結ぶときに、青空に簾を掛けるかのように高いところに紐を結んだ。」という行為の楽しさが詠まれている。
②青空へ紐を結びし竹簾
「高い青空に紐を結んだ竹簾」ですよ。竹簾が主題。
①と②とどちらが面白いですか。技術的にはどちらも同じようですが、読んで①と②とどちらが面白い、楽しそう、ですか。(髙橋正子)
窓拭けば遠き万緑迫りくる★★★★
受診日や寝間着にレース羽織り出づ★★★
青空へ紐を結びし竹簾
弓削和人
湖や街灯うるむ夕すずみ★★★
風青し無人のままのコンバイン★★★
石仏の背をおおいたる雲の峰(原句)
「おおう」は適切でしょうか。(髙橋正子)
石仏の背より湧きたる雲の峰(正子添削)
7月6日(3名)
廣田洋一
千切りの野菜を添へて冷し麦★★★
冷麦に一本の赤妻は亡く★★★
梅雨晴間草花香る楸邨忌★★★
桑本栄太郎
梅雨晴れや草の匂いと土匂う★★★
硝子戸の向こうに舞いぬ揚羽蝶(原句)
硝子戸の向こうを舞いぬ揚羽蝶(正子添削)
みどり為す龍田川とや夏の川★★★
弓削和人
遊泳のしきりのさきや黄泉の湖★★★
一息と床をしとねに午睡かな★★★
のっぱらやさやかに揺らぐ花菖蒲★★★★
7月5日(4名)
小口泰與
日を受けし翡翠沼の指呼に居り★★★
裂帛の鴉の鋭声夏木立★★★
沼の樹や翡翠の声聞こえきし★★★
廣田洋一
ビーチパラソル砂浜埋める家族連れ★★★
汗流れ拭ひもせずに鉾廻し★★★
ナイターや終わらぬうちに帰宅せり★★★
桑本栄太郎
午後よりの雨模様なる梅雨深し★★★
昨日とは嘘のようなり梅雨寒し★★★
荒梅雨や樋より垂るる音激し★★★
弓削和人
あき缶の口に滲み入る岩清水★★★★
桑の実の紅口つけてなつかしや★★★
遊覧船さゆらぐ旗の夏の湖★★★
7月4日(5名)
小口泰與
ご先祖へ朝の誦経や明易し★★★★
夕涼や祖母の手ずれの黄八丈★★★
翡翠の魚を獲りしやたまさかに★★★
多田有花
飛ぶために生まれし吾ぞ夏燕★★★
とうきびの花の仲良く背くらべ★★★
蓮咲けばそこに極楽浄土あり★★★
廣田洋一
鱧見つけ直ぐ注文の小料理屋★★★
山裾に枝を広げし合歓の花★★★
親水公園出水後しばし閉ざされぬ★★★
桑本栄太郎
朝なれば花びら赤く月見草★★★
あおぞらの視界ぐるりと梅雨の晴れ★★★★
耳奥の音の微かや初蝉に★★★
弓削和人
海開く埃を払う着替え小屋★★★
白き花アヤメの筋に黄ちらり★★★
垣の苔滴るたびにてかりけり★★★
7月3日(5名)

小口泰與
電線をつつと駆ける夏雀★★★
日盛や沼は黄金の面を持ち★★★
日を受けし翡翠沼の指呼にあり★★★

廣田洋一
夕焼けの残れる空に一番星★★★
終電の駅に降り立ち夏の星★★★★
松葉菊なだれ咲きたる門の前★★★

桑本栄太郎
バンザイの小枝両手に今年竹★★★
若竹の節の白さよ天を衝く(原句)
原句では、「天を衝く」の主語が「若竹の節の白さ」となっています。(髙橋正子)
天と衝く若竹節の真白さよ(正子添削)

山裾の鉄砲百合や山の畑★★★

多田有花
ほととぎす遠く近くに繰り返し★★★★
ひまわりやすっと背筋を伸ばし見る★★★
造成地に公園新し夏の朝★★★

弓削和人
キブシより小さき木漏れ日梅雨曇★★★
県民の森を標すは紫蘭かな★★★
朽ち果つる橋の新緑なりにけり ★★★
7月2日(5名)
小口泰與
確かなる山女の影や峡の子等(原句)
俳句の形式としては問題ないですが、「山女の影」と「峡の子等」の関係がわからないのが問題です。意味が通じることがまず大事です。(髙橋正子)
確かなる山女の影に峡の子等(正子添削)

羅を無造作に着て確かなり★★★
時鳥田は蒼蒼と風を呑む★★★

廣田洋一
海紫陽花水辺の岩間に咲きにけり★★★
群をなし透き通りをり海月かな★★★★
黒潮に乗りて来たれる海月かな★★★

桑本栄太郎
藻の花やせせらぎ浅き高瀬川★★★
街角に祇園囃しの四条かな★★★★
日盛や外つ人ならぶラーメン店★★★

多田有花
雨上がりの靄の晴れゆく半夏生★★★★
七月や韓国料理を食ぶ夕べ★★★
夏の夕ぴりりと辛きキムチかな★★★

弓削和人
やわらかき羽出し発ちぬ天道虫★★★

雨に似せ水輪のひとつ糸蜻蛉(原句)
「似せ」と糸蜻蛉に主体をもたせるより、情景の写生の方が、イメージがはっきりし、句に品も生まれると思います。(髙橋正子)

雨に似て水輪のひとつ糸蜻蛉(正子添削)

青すすき揺れぬばかりの風吹きぬ★★★
7月1日(5名)

小口泰與
一時の風の中なる油蝉★★★★
会議終う麻の背広の皴の数★★★★
逞しき利根の流れや鮎育つ★★★

廣田洋一
七月や雨音高く始まりぬ★★★
七変化待ちたる雨を吸込みぬ★★★
丹沢の雲の晴れたり梅雨夕焼★★★★

多田有花
ねずみもちの花やまわりの田は失せて★★★
百合の香の庭の外まであふれ出す★★★
のうぜん花焼き板壁の家の前★★★

桑本栄太郎
いつまでも夢のつづきや夜立来る★★★
七月や早やも祇園を想う朝★★★★
降り止みて又も降りだす梅雨荒るる★★★

弓削和人
梅雨寒や熱き珈琲求めたり(原句)
「求めたり」とした下五は大事です。コーヒーを飲んだ時の感じが伝わるとよいと思います。(髙橋正子)
梅雨寒や熱き珈琲胃に落とす(正子添削例)

水切ってはや食膳の冷奴★★★★
香水をのこす車両や人の去り(原句)
「香水をのこす」では、香水瓶を残す意味になりかねません。正しくは「香水の香(り)」です。(髙橋正子)
香水の香りのこるや車両無人(正子添削例)

自由な投句箱/6月21日~6月30日

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子

今日の秀句/6月21日~6月30日

6月30日(1句)

★ピーマンのつやつやと生り夏の朝/多田有花
「つやつやと」は、生きいき、みずみずしい様子。明けの早い夏の朝、緑の色も濃いピーマンがつやつやとしているのを目にして、野菜の「元気」を見た。(髙橋正子)
6月29日(1句)

★水打って空へはじける飛沫かな/弓削和人
「水打つ」は長く使われている季語だが、「空へはじける飛沫」は、若々しい感覚で、打水がより涼しく感じられる。(髙橋正子)

6月28日(1句)

★ひもすがら湖周を巡り夏あざみ/弓削和人
一日をかけて、湖周を巡ったのであろう。湖周の野の草に夏あざみを見つけ、ゆかしく、心惹かれた。「夏あざみ」の象徴性が生かされた句。(髙橋正子)

★水清きふるさとありて額の花/多田有花
ふるさとの水が清らかであるのは、一番うれしいことかもしれない。清らかな水を吸ったかのような額の花の水色。ふるさとの水の循環が思われる。(髙橋正子)

6月26日(1句)

★開け放つ窓辺の雲や夏なりき/弓削和人
開け放った窓によると雲が見える。その雲はまぎれもなく、夏の雲。確かに夏が来ていることを実感するときだ。(髙橋正子)
6月25日(2句)

★あじさいの川面に浸かる高瀬川/桑本栄太郎
高瀬川沿いのあじさいが川面の水に浸かって、あじさいも水も涼やかに思われる。(髙橋正子)

★水洗ひしたる網戸の風新た/廣田洋一
水洗いしてきれいなった網戸。その網戸を抜ける風はまた、風が新しくなったような涼しさ。さっぱりと涼し気な句。(髙橋正子)
6月24日(1句)

★打水に幟小さくはためけり/廣田洋一
この句の前に打水の句があるので、場所は神楽坂だろうと思う。打水をすると小さな風が立つ。坂を風が流れる。そんなときに、幟が小さくはためいて、路地も涼しくなる。(髙橋正子)
6月23日(1句)

★紫陽花の青かがやけり雨の橋/弓削和人
「青かがやけり」でこの句は決まった。その感動がはっきりしているのがいい。(髙橋正子)

6月22日(1句)

★渓流のつり橋ゆれて水涼し/小口泰與
渓流にかかるつり橋の下を流れる水が、「水涼し」で目に見えるようになった。景色がすばらしい。(髙橋正子)
6月21日(1句)
★山頂へいたる新樹の鮮やかに/弓削和人
「新樹」はみずみずしい若葉をもった木のこと。山頂を目指す路に明るく、鮮やかな若葉が見られて、山登りの喜びがすっきりと詠まれている。(髙橋正子)

6月21日~6月30日

6月30日(5名)
小口泰與
夕焼や高処の奇岩雲拒む★★★
篁を染めし夕焼鳥の声★★★
雨蛙轍の中を進みけり★★★
廣田洋一
アスファルト継目に生えし草むしる★★★
乾杯や三年振りの暑気払★★★
夏帽子朝の気分で色を変え★★★★
桑本栄太郎
雨雲の峡駆け上がる六月尽★★★
底紅や日射し明るく雨上がる★★★
妻もどり田舎みやげの李((すもも)かな★★★
多田有花
青濃き紫陽花小さく裏庭に★★★
茄子紺をそのはじめより茄子は持ち★★★
ピーマンのつやつやと生り夏の朝★★★★
弓削和人
白鷺のますます細し夕の湖★★★
夏の虫いつのまにかの湯船かな★★★
丘陵を見渡しうなずく花菖蒲★★★
6月29日(5名)
小口泰與
雲の峰絶えず形を変えており★★★
沛然の名残りの薔薇のくびを下げ
「沛然の名残り」は無理があります。
翡翠や頭より魚を飲み込めり★★★
 廣田洋一
人知れず青梅育つ川辺かな★★★
川床の踊りを愛でつ舌鼓★★★
海外旅行4年振りの夏帽子★★★
多田有花
雨上がりうつむいて咲く茄子の花★★★
ほつほつと花南天の白咲けり★★★★
芋の葉やこぼし受けつつ梅雨の露★★★
桑本栄太郎
川べりのうたげ華やぐ合歓の花★★★
からももや故郷遠くなりぬべし★★★
手土産のすもも食べたり田舎より★★★
弓削和人
干し物に重なる蜘蛛の糸ひかり★★★
緑陰へ開けし道や通り雨★★★
水打って空へはじける飛沫かな★★★★
6月28日(5名)

小口泰與
青簾風のあわいに雀逃げ★★★

薫風や小沼の水輪二つ三つ(原句)
薫風や沼の水輪の二つ三つ(正子添削)
「小沼」の「小」は必要ですか。

利根川の岩の滑りや夏の雨★★★
「岩の滑り」の「滑り」が抽象的でわかりにくいです。(髙橋正子)
利根川の岩の滑るや夏の雨(正子添削)

廣田洋一
玄関前長靴干され梅雨晴間★★★
競ひては紅勝ちぬ立葵★★★
竹林の外に一本今年竹★★★

多田有花
廃屋に花の黄色き梅雨の朝★★★
青トマトこれより解毒して熟す★★★
夏の野へたんぽぽ旅立ちの準備★★★

桑本栄太郎
想い出のふるさと遠く杏の実★★★
梔子の花の朽ち居り八重の白★★★
メロディーの報らす濯ぎや梅雨晴間★★★

弓削和人
夏の灯や照らされたるは雨のいと★★★
ひもすがら湖周を巡り夏あざみ★★★★
夕蝉の鳴き嗄らしけり山の奥★★★
 
6月27日(4名)
小口泰與
河骨や沼をにぎわすがま蛙★★★
ぴちぴちとうぐい跳ねたる岸の上★★★
短夜や樋から水の溢れける★★★★
多田有花
ベゴニアの庭抜けだして路地に咲く★★★
水清きふるさとありて額の花★★★★
芋の葉や露こぼしまた露受けて★★★★
廣田洋一
駅前の幟はためく甘酒屋★★★
空の青共に食べたりさくらんぼ★★★★
毬の外一枚跳ねて額の花★★★
桑本栄太郎
カーテンを開けて茜の夏の空★★★
梅ジュース飲みて梅の実かじりけり★★★
雨上がり出入りしきりや蟻の穴★★★
6月26日(5名)

小口泰與
翡翠や狙い定めて一直線★★★
赤白黄と薔薇咲き揃う朝かな★★★
雨含みぽちっと落ちし庭の薔薇★★★

廣田洋一
ねじればなひょろひょろと伸びあがりけり★★★
木陰にて雨を待ちたる濃紫陽花★★★
六月なれど早くも咲きし凌霄花★★★

多田有花
紫陽花の小道抜ければ造成地★★★
青田面わずかに家を映しけり★★★
家々の裏路地をゆく夏の朝★★★★

桑本栄太郎
梅雨冷えや白き筋見せ青すすき★★★
くちなしの花の垣根や八重の白★★★
荒梅雨や慌て取り込む濯ぎもの★★★

弓削和人
開け放つ窓辺の雲や夏なら来
「夏なら来」の意味は?「夏なりき」ですか。(髙橋正子)
開け放つ窓辺の雲や夏なりき★★★★

老鶯や泉のありかを教えたり(原句)
老鶯や声は泉のあたりから(正子添削)

緋鯉の尾ゆるりたゆたう禅の寺★★★
6月25日(4名)

多田有花
玄関の空間広し梅雨の晴れ★★★
青柿や陽を照り返す葉の中に★★★★
梅雨晴や蜂蜜かけてチーズピザ★★★

廣田洋一
水洗ひしたる網戸の風新た★★★★
網戸より良き風入る夕間暮★★★
草刈りて空晴れ渡る丘の上★★★

小口泰與
滝音に鳥声まざる山の沼★★★
「山の沼」をもってきたので、内容が多すぎる結果になりました。「滝音に鳥声まざる」がよいです。(髙橋正子)

紫陽花や空さま弾け至りける★★★
夏めくや芭蕉俳句を諳んずる★★★★

桑本栄太郎
せせらぎを涼風渡る高瀬川★★★
あじさいの川面に浸かる高瀬川★★★★
叡山の遥か彼方に夏がすみ★★★
6月24日(4名)

小口泰與
雀来て木葉に隠る朝曇★★★
五月晴雀つぎつぎ餌台へ★★★
渓谷の木道二本四十雀★★★

廣田洋一
打水の神楽坂行く下駄の音★★★
打水に幟小さくはためけり★★★★
さくらんぼ匂ひ立つごと光りをり★★★

桑本栄太郎
集会へ急ぐ朝や夾竹桃★★★
凌霄花の火炎と云うも疑わず★★★
推敲の途中に寝落つ昼寝かな★★★

弓削和人
かきつばた赤むらさきに雨上がり★★★
滝落ちる音の遠くや杉木立★★★★
見上げると夏空ばかり日照り雨★★★★
6月23日(5名)

小口泰與
大沼へ忽と日照雨や蟇蛙★★★
出るやいな蚯蚓は鳥に啄ばまれ★★★
雷鳴や小犬は居場所定まらず★★★

多田有花
雨強くのうぜんかずらの朱を打てり★★★
病む人に癒えたる人に百合大輪★★★
梅雨冷やエスプレッソの豆を挽く★★★

桑本栄太郎
水滴の白き葉筋や青すすき★★★
あじさいの色褪せ来たる小雨かな★★★
凌霄花の火炎と云うも疑わず★★★

廣田洋一
雀鳴くキューガーデンや青葉風★★★
青葉して異国の旅や老二人★★★
川べりの公園散歩梅雨晴間★★★

弓削和人
もてあますときに寄る寺青葉雨★★★
傘もてどささず夕べの夏時雨★★★
紫陽花の青かがやけり雨の橋★★★★

6月22日(4名)

小口泰與
渓谷の大吊橋や時鳥★★★
犬の子の三匹生まれ明け急ぐ★★★
渓流のつり橋ゆるる水涼し(原句)
渓流のつり橋ゆれて水涼し(正子添削)

多田有花
鮨を食ぶ四方山話に花咲かせ★★★★
銀の匙添え食後のアイスクリーム★★★
夏至の日の曇りて午後より降り始む★★★

桑本栄太郎
夜立ち来るトイレの窓の音激し★★★
白雨止み午後より日差し来たりけり★★★
凌霄花の火炎と云うも疑わず★★★

弓削和人
みるみると点から一面梅雨走り★★★
紫陽花や街角はやと雨曇★★★
すもももぐ幸のこりたる指のさき★★★
6月21日(4名)

小口泰與
柿の花上毛三山雲の中★★★
樹洞よりひこと顔出しし四十雀★★★
老鶯やへら鮒釣の漆竿★★★

桑本栄太郎
夏至の日の程なく雨の午後となる★★★
つぶつぶの色香を囲み四葩咲く★★★
凌霄花の火炎と云うも疑わず★★★

弓削和人
玉苗の水田雲や浮くばかり(原句)
玉苗の水田や雲の浮くばかり(正子添削)

山頂へいたる新樹の鮮やかに★★★★
さくらんぼぎゅっとかたまり柄ははじけ★★★

多田有花
わが城はいつも白亜や万緑に★★★★
紫陽花に足止め城を仰ぎおり★★★
箸揃え小さき茄子の前菜に★★★

自由な投句箱/6月11日~6月20日

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子

今日の秀句/6月11日~6月20日

6月20日(1句)
★今年竹雨を貫く若みどり//弓削和人

6月19日(1句)
★蓮の花亀水中へ消えいたり/小口泰與

6月18日

※該当句無し

6月17日(1句)

★真青なる団地の空に鳧鳴けり/桑本栄太郎

6月16日(1句)

★暮れぬ日を見つつビールを汲みかはす/廣田洋一

6月15日(1句)

★琅玕の山女の影や渓の川/小口泰與

6月13日/6月14日

※該当句無し

6月12日(1句)

★朝日受く翡翠の色変りけり/小口泰與

6月11日(1句)

★寛ぎの土曜日さかんにほととぎす/多田有花
今、さえずりがよく聞こえるのはホトトギスとウグイスです。ホトトギスはウグイスの巣に托卵すると言われています。どのウグイスが托卵されているのか、これも自然の摂理ではありますが 。(自句自解:多田有花)

6月11日~6月20日

6月20日(4名)

小口泰與
釣糸のみとめに魚信雲の峰★★★
応接の山女の魚拓古りにけり★★★★
翡翠の一直線に水面へ★★★

桑本栄太郎
梅雨冷えや何度も空と予報見る★★★
濯ぎもの干して確かむ梅雨晴間★★★
いそいそと妻の出掛けや梅雨晴間★★★

多田有花
雨を受け睡蓮咲きぬ寺の池★★★
書類整理それでも汗の薄っすらと★★★
ベランダのペンキ塗り替え香りおり★★★

弓削和人
蟇水面をつかみ浮かびたり★★★

今年竹雨や風やを貫けり(原句)
今年竹が「風を貫く」が分かりにくい、(髙橋正子)
今年竹雨を貫く若みどり(正子添削)

六月の花の澄みけり朝の池★★★
「六月の花」は、具体的に述べるほうがいいと思います。(髙橋正子)
河骨(こうほね)の花の澄みけり朝の池(正子添削)

6月19日(3名)

小口泰與
忽然と亀の消えけり蓮の花★★★
忽然と消えた時の前後の様子を丁寧に思い出して、具体的に表現されるといいと思います。(髙橋正子)
蓮の花亀水中へ消えいたり(正子添削)

一点を翡翠凝視いたしけり★★★
夏霧や裾野の沼の迷い浮子★★★

多田有花
風吹けば風鈴草の鳴るごとし★★★
梅雨晴間窓全開に風入れる★★★
夢うつつに聞く真夜中のほととぎす(原句)
真夜中に聞くほととぎす夢うつつ(正子添削)

桑本栄太郎
あじさいの鉢を並べて雨を待つ(原句)
あじさいの鉢の並べば雨を呼ぶ(正子添削)

雨蛙雨の催いに鳴き合わす★★★
緑蔭と云うはみどりや風の道★★★

6月18日(3名)

小口泰與
河骨や小沼の水面小糠雨★★★
翡翠の一番鳴きや山の沼★★★
夕涼や湖畔の木木の枝の揺れ★★★

多田有花
あじさいの隣に松明花の赤★★★
青りんご実らせ喫茶「りんごの木」★★★
川べりに額の花咲くティールーム★★★

桑本栄太郎
父の日や癖ある父の所作想ふ★★★
父の日の言い残したき父ありて★★★
父の日と云えど母無き我が身かな★★★

6月17日(5名)

小口泰與
時鳥鳴きて釣人はやしけり★★★
急流に長竿操作鮎遡上★★★
焼夷弾次次降りし百日紅★★★

弓削和人
夏の湖闇の黒きに灯りけり★★★
緑陰の誘うさきや記念館★★★
老鶯の一声鳴けり霧の中★★★

多田有花
紫陽花を見てのち古刹に詣でけり★★★
梅雨時の午後にアフタヌーンティー★★★
紫陽花のさまざまカフェの庭園に★★★

廣田洋一
薔薇の蔓二階の窓を覗き込み★★★
彩りを戸毎に違へ薔薇の花★★★
水清くして魚の見えぬ夏の川★★★

桑本栄太郎
真青なる団地の空に鳧鳴けり★★★★
カラカラと音の虚しく小判草★★★
日もすがら砂を搔い出すあとずさり★★★

6月16日(5名)

廣田洋一
鴨に混じりカヌー漕ぎたり光る湖★★★
白と紅石楠花光る庭の径★★★
暮れぬ日を見つつビールを汲みかはす★★★★

弓削和人
短か夜のまくろき湖の平らかな★★★
五月雨のポプラ通りや真の闇★★★
田沢湖や朝の曇りを引き連れぬ★★★

小口泰與
くだかけを茂りの原へ放ちけり★★★
甲羅干す亀の甲羅へ川蜻蛉★★★
山雀や姦しく鳴く丘の径★★★

多田有花
<都麻乃郷あじさい園三句>
紫にピンクに青に四葩咲く★★★
額の花ダンスパーティー華やかに★★★
角とれてお多福紫陽花笑み咲けり★★★

桑本栄太郎
青梅雨や水の匂いと土匂う★★★★
カラカラと風に虚しき小判草★★★
尺蠖のただ今曲がり休憩中★★★

6月15日(5名)

弓削和人
根無草つかむ影さえなく浮かび★★★
室外機いまかと構え夏来たり★★★
かびにおう古書をめくるや想う父★★★

小口泰與
翡翠へ忽と日照雨や山の沼★★★
琅玕の山女の影や渓の川★★★★
山雀の手の餌を側む朝かな★★★

廣田洋一
万緑の光浴びつつバスの旅★★★★
牛の群れ草はむ野原風薫る★★★
燦々と日を受け光るステンドグラス★★★

桑本栄太郎
黒蟻の慌てふためく砂場かな★★★
梅雨晴間日射し明るき曇り空★★★
青梅雨や水の匂いと土匂う★★★★

多田有花
<都麻乃郷あじさい園三句>
住む人の気持ち集めてあじさい園★★★
紫陽花に残る水滴雨あがる★★★★
七変化色づき初めしなかをゆく★★★

6月14日(2名)

小口泰與
翡翠の鋭き眼水面撃つ★★★
牛蛙げぼと一声それっきり★★★
鬣のそばだつ馬や夏の牧★★★

桑本栄太郎
青梅雨や峰より雨脚走り来る★★★
跳びうつり足を整のふ雨蛙★★★
心中は愛なき沙汰よ桜桃忌★★★

6月13日(4名)

小口泰與
忽然と蛮声あげし牛蛙★★★
静寂なる沼に抱かれて昼寝かな★★★
明け六つの静寂割りたる牛蛙★★★

多田有花
<古民家ピザ店Shima365三句>
丹波焼に六月のピザ載せられて★★★
さつき咲く庭眺めつつピザを食ぶ★★★
カプチーノの泡を楽しむ梅雨の卓★★★

廣田洋一
多摩川の浅瀬煌めき鮎来たる★★★
異国の人築地に溢れ獅子祭★★★
リフトにて高階に行く蚊の有りて★★★

桑本栄太郎
けりけりと団地の空に鳧鳴けり★★★
梅雨晴間今日の入日の茜かな★★★
梅雨晴れの鈍き茜の日暮れ居り★★★

6月12日(4名)

小口泰與
尺蠖の尺を取りたり忽と鳥★★★
かなぶんや昼は葉裏に死んだふり★★★
朝日受く翡翠の色変りけり★★★★

多田有花
あけぼのの光に目覚め燕の子★★★
<古民家ピザ店Shima365二句>
古民家で本格ピザを食ぶ仲夏★★★
さみだれや違い棚前でピザを食ぶ★★★

桑本栄太郎
青梅雨やみどりに光る庭の木々★★★
葛の蔓勢いつきぬ梅雨ぐもり★★★
植込みの上にすいすい青すすき★★★

弓削和人
夕凪の連山映す湖面かな★★★
八方へ顔より広き秋田蕗★★★
万緑や山の裾野の白き棟★★★

6月11日(4名)

小口泰與
夕虹や明日の撮影描きつつ★★★★
足音にくるり逃げおり蜥蜴かな★★★
釣人の浮子の沈むや翡翠よ★★★

廣田洋一
明早し目覚まし未だ鳴らざるに★★★
短夜や下五を詠めぬ夢の中★★★
街角に明るき波や山法師★★★★

桑本栄太郎
雨音に目覚めて気付く明易し★★★
鳥からす鳴かぬ静寂や梅雨ぐもり★★★
夕暮れの梅雨雲少し茜かな★★★

多田有花
鉄線花老人ホームを彩りぬ★★★
梅雨時にアカンサス立ち咲き上がる★★★
寛ぎの土曜日さかんにほととぎす★★★★

自由な投句箱/6月1日~6月10日

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主宰:高橋正子・管理:高橋信之