自由な投句箱/1月21日~1月31日(2024年)

※当季雑詠3句(新年・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

今日の秀句/1月21日~1月31日

1月30日(1句)

★晴れ続く播磨に水仙咲き誇る/多田有花
句の内容は、「水仙咲き誇る」で特に難しい表現も、テクニックもない。その中で、「播磨」が効いている。「播磨」の地名から想像が広がり、「は・り・ま」の音が晴れやかで、力もあって、咲き誇る水仙の姿が目に浮かぶ。(髙橋正子)
1月29日

該当句無し

1月28日(2句)

★ほろほろと星の光や凍て凍る/小口泰與
「凍て」を繰り返さなければいけないほどの凍てる夜。星の光も「ほろほろ」と崩れるような光。凍てる夜の星の美しさがいい。(髙橋正子)

★レコードに針を落とした冬の夜/多田有花

レコードに針を落とす始まりの音がジッという針の音。冬の夜のしじまのレコード針の音があたたかく思える。レコードの音が好まれるのはここではないか。(髙橋正子)

1月27日(1句)

★寒林やうしろは青空あるばかり/多田有花
「うしろ」がいい。寒林は、冬木の林。冬木立ではあるが、音の響きが強く、凛とした趣がある。冬木立のうしろは、ただ青空だけ。凛とした空気があかるいのがいい。(髙橋正子)

1月26日(1句)

★かの人の榾速やかに燃え移り/小口泰與
炉を囲んで、それぞれが榾をくべている。かの人がくべた榾の火がすぐに燃え移った。それに意味があるわけではなく、そういうことの事実に、穏やかな円居がある。(髙橋正子)
1月25日(1句)

★風あれど寒晴いっぱいわが頭上/多田有花
風が強いのに、素晴らしい寒晴の空が頭上に広がっている。すべて自分のものにしたいほどの青いっぱいの寒晴れの空だ。(髙橋正子)

1月24日(2句)

★青空に赤き花穂立て花アロエ/廣田洋一
色がくっきりしていながら、しみじみとして、静謐な画のような句。「花アロエ」の音が句をやさしく収めていて、すばらしい。(髙橋正子)

★雪しまく墨絵のような在所かな/桑本栄太郎 
今週の寒波で都も、在所も、雪に見舞われた京都。わが住むところも、雪に凍りながら、墨絵のような雪景色に。めずらしく、美しく思えた。(髙橋正子)

1月23日(1句)

★少女たる日々は隣に冬銀河/多田有花
冬銀河の下に立つと、少女であった日々が、昨日のことのように、すぐ隣にあるように思われるというのだ。冬銀河の光に少女の純真な心になれた。感傷的でない、のがよい。(髙橋正子)

1月22日(1句)

★ぐんぐんと岸の白梅ふくらめり/ 川名ますみ
白梅のある場所は、「岸」。この「岸」の白梅は、「ぐんぐん」というほど、力強く蕾が膨らんでいる。率直な思いがいい。(髙橋正子)

1月21日(1句)

★春を待つピアノの音の軽やかに/多田有花
外は寒いが、家にはピアノがあって、楽しくピアノが弾ける。春を待ちつつ弾くピアノの音が軽やかに出る。思いが素直に隠すところなく表現されていい。(髙橋正子)

1月21日~1月31日(2024年)

1月31日(4名)

小口泰與
老夫婦落葉焚きせる腰まげて
八十路にて未だ楽しき冬籠り
躍動の女性美きや初雪よ

多田有花
寒中やどろりとしたるごま油
人参と牛蒡を入れて五目豆
春隣る水の流れの軽やかに

弓削和人
冬鳥のうしれを水輪従えり
寒茜農道の果開かれり
閉店のまぎわ駆け込む寒波かな

桑本栄太郎
嶺の端に忽と集いぬしぐれ雲
一月の雲一月の空模様
哀しみと怒りの果てや一月尽
1月30日(3名)

小口泰與
鉛筆をまさぐりおるや冬句会★★★
冬温し暁ける間際の天赤し★★★
機関車の雪巻き上げて喘ぎおり★★★

多田有花
晴れ続く播磨に水仙咲き誇る★★★★
晩冬の驟雨が街を濡らしおり★★★
排水口の流れ回復日脚伸ぶ★★★

桑本栄太郎
燦々と日差し明るく春近し★★★
たそがれの在所となりぬ寒夕焼け★★★★
<京都市長選挙>
寒中の夜の立ち合い演説会 ★★★
1月29日(3名)

小口泰與
目陰して野鳥見さだむ冬の朝★★★
寒雀鉄砲玉の如きかな★★★
パソコンのぷっと壊れし冬の夜★★★

多田有花
しばらくは寒晴続くとの予報★★★
春近し手すりを濡らす朝の雨★★★
洗濯す背に当たる陽の春隣★★★
桑本栄太郎
たそがれの嶺の茜や寒入日★★★
もの種の網の下げらる草城忌★★★
寒中に集う立会演説会★★★

1月28日(2名)

小口泰與
ほろほろと星の光や凍て凍る★★★★
塊の降り来る空や雪の夜★★★
避難所の燃ゆる灯や冬の夜★★★

多田有花
レコードに針を落とした冬の夜★★★★
疼痛に起こされている寒夜かな★★★
曇り空なれど明るく春近し★★★
1月27日(3名)
小口泰與
湖風にほつるる氷波の秀ぞ★★★
猟犬の飛び出す丘や夜のほどろ★★★
月影に吠ゆる寒犬いたずらに★★★★
多田有花
春を待つモーツァルトを聴きながら★★★
寒林やうしろは青空あるばかり★★★★
狼は滅びて久し寒満月★★★

桑本栄太郎
遠峰のしろきちぢれや春遠し★★★
枝先のうすきみどりや日脚伸ぶ★★★
室内のラジオ体操春待たる★★★

1月26日(3名)
小口泰與
かの人の榾速やかに燃え移り★★★★
短日の上枝に鳥の影を見し★★★
ほぞの緒を仕舞忘れし齢かな★★★
多田有花
流れ来し雲の一片雪降らす★★★★
歩数計の歩数確かめ春を待つ★★★
BGMには向かぬ寒のベートーヴェン★★★

桑本栄太郎
凍て風やうす氷張るにはたずみ★★★
雨雲の峰に途切れや日脚伸ぶ★★★
ふるさとの海鳴り想う寒波かな★★★★

1月25日(3名)

小口泰與
寒雀家を震わす山の風★★★
風の穂に尖りて氷柱露見せり★★★
「風の穂」の比喩が、おしいです。(髙橋正子)
冬の沼自由気ままに稚魚乱舞★★★

多田有花
昼の風おさまり星の冴ゆるなり★★★
風あれど寒晴いっぱいわが頭上★★★★
奥山は雪にて候よく晴れて★★★

桑本栄太郎
しんしんと夜の静寂や雪の闇★★★
ちりちりと山膚凍つる山河かな★★★
積もる雪載せて走れりバスの屋根★★★
1月24日(4名)

小口泰與
冬鵙の群れて電線囃子けり★★★
この雪は降るべからずや下校時★★★★
雪掻きの終わりし妻の割烹着★★★

多田有花
寒くなる寒くなるぞと寒茜★★★★
ごうごうと音立て進軍冬将軍★★★
霜は無し夜中に風の吹き荒れて★★★

廣田洋一
枝打ちの電線よけて枝落とす★★★
青空に赤き花穂立て花アロエ★★★★
池の縁波平らかに浮寝鳥★★★

桑本栄太郎
風花やおもい出今も躍り居り★★★
あおぞらにぽつぽつ青き冬木の芽★★★
雪しまく墨絵のような在所かな ★★★★
1月23日(名)

小口泰與
初雪のばらの葉っぱにちょんと乗り★★★
麦の芽や朝日映えゆく上州路★★★★
頻繁な地震に冬月揺れており★★★

廣田洋一
寒鯉の川上を向きひしめける★★★
柳葉魚焼く北の海の香流れけり★★★
寒鰤の身を光らせて売られけり★★★

桑本栄太郎
寒晴や枝のきらめき風に揺れ★★★★
冬日さす影の寒さの団地かな★★★
雲途切れ冬日燦々あおぞらに★★★

多田有花
少女たる日々は隣に冬銀河★★★★
マエストロ次々現る霜夜かな★★★
陽は明るし寒風窓を揺らせども★★★

1月22日(5名)

小口泰與
古びたる屏風納戸へ春近し★★★
朝日浴ぶ浅間見事と寒見舞★★★
あけぼのの一羽の雀雪に舞う★★★★

廣田洋一
また一羽目白飛び来る早梅かな★★★
早梅や白さ際立つ法の庭★★★
蠟梅の香の立ち込めし城の跡★★★★

多田有花
そのむかし綿の布団は重かりし★★★
日脚伸ぶ塔の右手へ陽が沈み★★★★
足早に駆けゆく一月追いかける★★★

桑本栄太郎
雪雲の地図に在りたる天気予報★★★
峰の端に雲昇りゆき春を待つ★★★
しつとりと山河濡れゆき春近し★★★

川名ますみ
聖堂に冬木大きく陽を抱く★★★
凩や書類つぎつぎ青空へ★★★
ぐんぐんと岸の白梅ふくらめり ★★★★

1月21日(4名)

小口泰與
片雲や里に粉雪残しける★★★
枯草の穂が磨きける夕日かな★★★
我が町は坂の町なり寒椿★★★★

多田有花
春を待つピアノの音の軽やかに★★★★
安売りの白菜たっぷり鍋物に★★★
寒中に三日続きの雨が降る★★★

廣田洋一
厳寒の川に佇む鷺一羽★★★
寒の雨水嵩増したる街の川★★★
枯草のしきりに流れ街の川★★★★

桑本栄太郎
大寒を過ぎてゆるびぬ今朝の雨★★★
身ほとりの濡れて西山しぐれかな★★★★
久女忌の雨に濡れ居り枯芙蓉★★★

自由な投句箱/1月11日~1月20日(2024年)

※当季雑詠3句(新年・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

今日の秀句/1月11日~1月20日

1月20日(2句)

★凍星や昨日のメールはや古ぶ/小口泰與
星も凍る寒い夜、昨日のメールは、それがいつのメールかと思えるように、日が過ぎた思いがする。(髙橋正子)

★日の温みふわり抱へて福寿草/廣田洋一
「ふはり(ふわり)」に作者の優しさと、冬の日ざしの温みがよく読み取れる。(髙橋正子)

1月19日(2句)

★風防ぐビニール強し冬いちご/小口泰與
下に参考にあげた句は、同じ作者の句で、発想に似通うところがあるが、冬苺の句に新しさがあるように思う。「ビニール強し」には、作者の思いが素直に出ている。現実をよく写生していると言える。
(参考:霜防ぐわら束数多星の夜/小口泰與)
(髙橋正子)

★葱青々ところどころは折れながら/多田有花

畑に青々としている葱も、どれもがまっすぐではなく、ところどころに葉が折れている。折れた原因は風の仕業か、栄養状態なのかはわからないが、自然さがいい。(髙橋正子)
1月18日(2句)

★松過の夕刻にある明るさよ/多田有花
松過、松明は、関西では十五日、関東では七日と慣習的に言われている。冬至をすぎ、2,3週間のころで、日ごと昼間が長くなっていく。夕刻にも明るさが見えるようになった。夕刻の明るさに希望が見えるようだ。(髙橋正子)

★駅降りてどちらに行くか探梅行/廣田洋一
探梅に行く。初めての土地か、右に行っても左に行っても、北に行っても南に行っても、梅園はあるのだろう。どちらへ行くかは、あたりを見回して、勘に頼ってきめるのかもしれない。ちょっと迷って、それも楽しい探梅行だ。(髙橋正子)

1月17日(1句)

★ぽつぽつと朝日に目立つ冬木の芽/桑本栄太郎
冬木の枝に朝日が差すと、小さな冬木の芽が「ぽつぽつ」と浮かぶ。一番に朝日に目立つのである。小さい冬木の芽なが鋭い様子がうかがえる。(髙橋正子)
1月16日(1句)

★風花の光り溜めつつ躍りけり/桑本栄太郎
風花は遠くの峰などから吹かれてきた雪が、花びらのように舞うのを言うが、すぐに葉や地上に降りないで、ゆっくりと舞い落ちる。ゆっくり落ちる間に「光を溜め」ている。観察の細やかさによって、風花に光が生まれた。(髙橋正子)
1月15日(1句)

★茶の花や赤城颪に吹かれける/小口泰與
赤城颪の冷たい空っ風にきよらかな茶の花が吹かれている。愛おしさしきりである。(髙橋正子)

1月14日(2句)

★再びは会う事も無き冬の街/小口泰與
一度きて、再びは来ることもない街は人生経験を積むと意外とあるものだ。「来る」ではなく、「会う」としたことにその思いが深い。(髙橋正子)

★コーヒーに寒九の水を沸かすかな/廣田洋一
コーヒーは、水次第。一年で最も清らかで服薬によいとされる寒中九日間に汲まれる水で、コーヒーを沸かす。「沸かすかな」に待ち遠しさ、嬉しさがでている。すっきりとした味わい深いコーヒーが出来上がったであろう。(髙橋正子)


1月13日(1句)

★焚火たく地域バザーや土曜日に/桑本栄太郎
土曜日に地域のバザーがある。広場では、暖をとるために焚火が焚かれて、大鍋には湯気もたっているであろう。色とりどりの物も売られているだろう。地域コミュニティの賑わいが見える。(髙橋正子)

1月12日(2句)

★淑気満つ秋田訛りの行き交うて/弓削和人
秋田には秋田の正月がある。淑気が満ちるなか、秋田訛りで新年の挨拶が交わされる。それを見ているのは秋田訛りをめずらしく思う作者。おのずと秋田人となっていく。(髙橋正子)

   兵庫県立あわじ石の寝屋緑地
★大観覧車見下ろせば冬の海/多田有花
大観覧車の下は冬の海。観覧車の立地として海の近くが選ばれる。上空に上れば、海の真上に出た感じがする。冬の海を真下にする感覚が実感できる。(髙橋正子)

1月11日(1句)

★島に来て八幡宮へ初詣/多田有花
八幡宮は、八幡神をまつる、宇佐八幡を総社とする神社。全国には大きな神社から地域の小さい神社を数えると何万となるであろう。島には島の八幡宮があり、島の住人にもなったように気軽に参詣した。そこが数ある神社のよさ。(髙橋正子)

1月11日~1月20日(2024年)

1月20日(名)
小口泰與
風に咲く侘助ひとつ日暮れかな★★★
凍星や昨日のメールはや古ぶ★★★★
白鷺の嘴を大きく振舞うぞ★★★
多田有花
大寒やピアノソナタを聴き比べ★★★
珍しやこぬか雨降る大寒に★★★
この冬は雪無きままに過ぎゆくか★★★
廣田洋一
大寒の鯛焼き食べる親子かな★★★
日の温みふはり抱へて福寿草★★★★
街角の花屋を覗き春隣★★★
桑本栄太郎
露凝るや愛しき人の名を窓に★★★
しぐれ降る黒雲嶺を被いけり★★★
しつとりと身ほとり雨に寒雷忌★★★
1月19日(4名)

小口泰與
足出でて衾取り合う真夜の風★★★
霜防ぐわら束数多星の夜★★★★
風防ぐビニール強し冬いちご★★★★

多田有花
葱青々ところどころは折れながら★★★★
寒暁や珈琲豆を挽き淹れる★★★
寒さやや弛みおりけり雨の朝★★★

廣田洋一
マフラーをぐるぐる巻きて顔埋もれ★★★
寒紅葉丸めたる葉の光りをり★★★
白き雲群なし走る寒の空★★★

桑本栄太郎
山茶花の散り敷く中をバス停へ★★★
照る降る何れか知れず雪しぐれ★★★
マスク子の目線に気付く友の顔★★★
1月18日(4名)

小口泰與
山峡の九十九折なる霜の朝★★★
左義長や赤城の裾野賑やかす★★★
児の時のいまだ懐かし根深汁★★★

多田有花
ハイドンの旋律明るし日脚伸ぶ★★★
大霜に湯を用意して車へと★★★
松過の夕刻にある明るさよ★★★★

廣田洋一
駅降りてどちらに行くか探梅行★★★★
探梅や甘き香りに群がれり★★★
厳寒の共通テスト始まりぬ★★★

桑本栄太郎
竹づつの祈る灯りや阪神忌★★★
いつせいに屋根の現るしづり雪★★★★
干し物をためらい軒に雪しぐれ★★★
1月17日(3名)

小口泰與
電線に群並びたる寒雀★★★
古びたる写真機愛でて寒の内★★★
麦の芽や浅間へ落ちし夕日影★★★

多田有花
タイマーをかけて運動寒の内★★★
緩く巻くマフラーに顎を埋めおり★★★
立働く事こそよけれ寒の朝★★★

桑本栄太郎
「ともに」との祈る想いや阪神忌★★★
ぽつぽつと朝日に目立つ冬木の芽★★★★
霜朝のちりちり萎れ枯むぐら★★★
1月16日(4名)

小口泰與
雪被る地蔵のありて通学路★★★
「ありて」、あるいは、「通学路」のところを工夫されるといいと思います。(髙橋正子)
電線に群並びたる霜の朝★★★
新年会古き交わり今年また★★★

多田有花
ここもまた宅地となりぬ冬深し★★★
シートより薬押し出し小正月★★★
初えびすベビーカステラ売る屋台★★★

廣田洋一
寒稽古太極拳の息白し★★★
一輪また一輪と水仙花★★★★
水仙の花の並びし日向かな★★★

桑本栄太郎
うつすらと嶺に初雪被いをり★★★
風花の光り溜めつつ躍りけり★★★★
寒禽の翔つや花びら零れ居り★★★
 
1月15日(4名)

小口泰與
角巻や水輪沸き立つ沼の淵★★★
茶の花や赤城颪に吹かれける★★★★
降り出して雨仕切りにり枯芝へ★★★

廣田洋一
残りたる餅を焼きたり小正月★★★
ヘルパーさん頬紅付けて小正月★★★
鴨一羽ぱっと飛び立ち追ふ二羽や★★★★

多田有花
冬の山おりて食べたりしらす丼★★★
ゆっくりと昔の映画松の内★★★★
そぞろ歩く寒九快晴のなかを★★★

桑本栄太郎
黒雲の嶺につどいぬ雪催い★★★★
お隣と妻は語らい焚き上げに★★★
寒柝の闇夜にひびく団地かな★★★
 
1月14日(3名)

小口泰與
光無き待合室や冬の暁★★★
冬翡翠目の炯炯と水中へ★★★
再びは会う事も無き冬の街★★★★

廣田洋一
寒九の水を沸かせしコーヒーかな(原句)
コーヒーに寒九の水を沸かすかな(正子添削)
雪吊りのからりと晴れて神の庭★★★
熱き湯を車窓にかける霜の朝★★★

桑本栄太郎
あおぞらの日射し明るく冬日燦★★★
寒晴や遥か彼方に奥比叡★★★★
<JR嵯峨野線花園駅ホーム>
メロディーの鳴りて列車や寒晴るる★★★

1月13日(4名)

小口泰與
節節の痛みに寒の病かな★★★
翔つ前にふと我を見し鳰★★★
忽然と鳴きて飛び立つ二羽の鴨★★★

廣田洋一
買物籠下げたる道や日脚伸ぶ(原句)
買物籠提げて行く道日脚伸ぶ(正子添削)

露天湯に長く浸かりて日脚伸ぶ★★★
水仙の並び立ちたる門の前★★★

多田有花
<兵庫県立あわじ石の寝屋緑地三句>
大橋を背後から見て冬の雲★★★
山おりる傍らにあり帰り花★★★
水はられし日陰の田んぼ凍りおり★★★

桑本栄太郎
焚火たく地域バザーや土曜日に★★★★
山茶花の散りて襤褸や坂の道★★★
山間をのぼる道路や寒晴るる★★★

1月12日(5名)

小口泰與
人出でて沼の普請や冬の午後★★★
寒暁や待合室に光無き★★★
眼間の雪の浅間のふすぼるる★★★★

廣田洋一
冬の薔薇蕾の一つ膨らみぬ★★★
早梅や走り寄りたる枝の下★★★
早梅の蕊金色に光りをり★★★★

弓削和人
淑気満つ秋田訛りの行き交うて★★★★
除雪音の空の白妙響きけり(原句)
白妙の空に響けり除雪音(正子添削)
雪沓の底にしみいる羽後の風★★★★

桑本栄太郎
燦々と団地明るく寒晴るる★★★★
<能登半島地震>
倒壊の家屋微塵や能登寒波★★★
寒晴や婆のため息なゐの地に★★★

多田有花
<兵庫県立あわじ石の寝屋緑地三句>
冬景色あれは淡路か徳島か★★★
大観覧車見下ろせば冬の海★★★★
冬の風発電風車を回しおり★★★

1月11日(4名)

小口泰與
着ぶくれてよたよた歩む鳥の如★★★
冬更けて樹木の諸鳥定かなり★★★
冬深み鳥声いまだ盛んなり★★★

廣田洋一
レトルトのしるこ買ひたり鏡割★★★
濃ゆく日向に立ちし冬薔薇★★★
冬薔薇の棘は控へめ人を呼ぶ★★★

多田有花
島に来て八幡宮へ初詣★★★★
津波避難経路を辿りゆく寒★★★
<兵庫県立あわじ石の寝屋緑地>
ひさびさの寒中登山大展望★★★

桑本栄太郎
倒壊の能登の微塵に寒の雨★★★
避難所のビニールハウス寒の雨★★★
孤立せる村に無情や寒波来る★★★

自由な投句箱/1月1日~1月10日(2024年)

※当季雑詠3句(新年・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

今日の秀句/1月1日~1月10日(2024年)

1月10日(2句)

★金色の夢ふくらます福寿草/廣田洋一
路地に植えた福寿草は正月を過ぎるころからようやく花を開く。地面近く花を開く福寿草は金色といってよいほどの黄色。日差しを受けて、上等な金色の夢をふくらませているようだ。(髙橋正子)

★人ひとり浜へ投石寒夕焼/弓削和人
「投石」と聞いて、なにごとかと思うが、「投石」もいろいろ。この句の投石は遊びであろう。人がひとり、寒夕焼けの広がる浜辺で石を投げている。男であろう。なにか心に思うところがあるのか、単に投げてみているのか、それはどちらでもいい。こういう景色があった事実。(髙橋正子)

1月9日(2句)

★松の内淡路へ渡る船に乗る/多田有花
松の内の小さな旅。本州を離れ、淡路島へ船で渡る。島は淑気に満ちている感じさえする。「松の内」がいい。(髙橋正子)

★松納屋根より落つる雪溜/弓削和人

松納の日、屋根よりどさりと雪の塊が落ちた。危ないことであるが、松の内は雪下ろしも休んだのであろうか。屋根に雪溜ができて、どさりと落ちたとき、正月が終わったという意味に。(髙橋正子)
1月8日(2句)

★露凝るや一画見ゆるガラス窓/桑本栄太郎
「露凝る」が美しい。窓の露の結露を言っているのではなく、ガラス窓から露凝る草の葉がある一画が見えるのである。それをガラス窓のある暖かい室内から覗き見たのだ。(髙橋正子)

★成人の日髪結ひ上げて清楚なり/廣田洋一

髪を結い上げて、清楚な印象の成人。「清楚」なりと断定して迷いがないのは、そこに「若さ」と「初々しさ」を見たからであろう。成人を寿ぎたい。(髙橋正子)
1月7日(1句)

★七草の粥の土鍋の息吹かな/桑本栄太郎
七草粥を炊く土鍋が噴いている様子を「息吹」と見た。比喩の「息吹」に嫌味がないのは、あおあおとした「七草」の命を思うからである。(髙橋正子)
1月6日(2句)

★福笑最後に笑ふ子のをりて/廣田洋一
福笑をしてみんなが笑った後に笑う子がいる。みんなが笑うのがおかしくて笑ったのかもしれないが、マイペースというか、福を招くような面白い子である。(髙橋正子)

★ともがらと火の粉を払うとんどかな /弓削和人
同輩と話ながらどんどの火を囲んでいたのだろう。燃やすものが時に爆ぜて火の粉が飛ぶ。その火の粉を払いながら、どんどを見守る。捉えてかたにうまさがある。(髙橋正子)

1月5日(1句)

★被災者の消息知りぬ五日かな/桑本栄太郎
今年の新年は元日夕方の能登半島地震に始まった。地震が起きてすぐは、情報はばらばらで、何がどうなっているのわからない。5日になって消息もほぼ知れるようになった。生活も普段にもどるころ。5日間という時の経過。(髙橋正子)
1月4日(1句)

★新春の川に魚影の豊かなり/多田有花
新春の川をのぞき込むといろんな魚影が元気に動くのが見える。「豊かなり」は、新春だからこそ思えることだろう。(髙橋正子)
1月3日(1句)

★わずかずつ盛られてうれし節料理/多田有花
有花さんは旅の宿で大晦日から新年を過ごされたようだ。その宿でのお節。わずかずつ盛られて、色とりどりで、にぎやかで、かわいくて、まず目から楽しだ。(髙橋正子)
1月2日(2句)

★初笑い静かな男のヘルパーと/川名ますみ
いつもはもの静かな男性のヘルパーだが、ちょっと冗談めいたことを言ったののだろうか、それとも反対にますみさんが言ったか。思わずそれが初笑いとなった。明るい新年となった。(髙橋正子)

★歩み行く恵方詣りや大原野/桑本栄太郎

恵方詣は、その年の恵方にあたる神社に詣ることだが、今もそのしきたりがあるのか。大原野は今は住宅地になって淋しさはそれほどないのだろうが、歌に詠まれてきた「大原野」のイメージは拭えない。その大原野を歩いて初詣にでかけた。「歩み行く」がいい。(髙橋正子)
1月1日(5句)

★渓流の流れ清らや年新た/小口泰與
年が新しくなってみると、いつもの渓流もいや増して清らかな流れとなっている。すがしいことだ。(髙橋正子)

★初春や早咲きの梅光りをり/廣田洋一
初春の早咲きの梅の光が小さくも凛としている。さきがけの生命力がいい。(髙橋正子)

★日はすでに高く昇りぬ初御空/桑本栄太郎
「日はすでに高く昇りぬ」は、うらうらと春のような様子。初御空に春らしさを見た。(髙橋正子)

★去年今年伊豆里山の温泉に/多田有花
伊豆の里山の温泉の去年今年。太くどっしりと年があらたまった印象がする。
(髙橋正子)

★羽後国(うごのくに)に馴染みてはやき去年今年/弓削和人

和人さんは、去年田沢湖のある市に転勤され、美しい田沢湖を巡ったり眺めたり、仕事をし、すっかり「羽後国」に住み慣れて新年を迎えられた。俳句を作ることで、土地への愛着も早く湧くのではと私は思っているが、どうであろうか。(髙橋正子)

1月1日~1月10日(2024年)

1月10日(5名)

小口泰與
声のみの挨拶みんなマスク越し★★★
高音して冬翡翠の機先かな★★★
空風や腑に落ちぬ日も数多あり★★★

廣田洋一
金色の夢ふくらます福寿草★★★★
会長に折句捧げる初句会★★★
冬ぬくし買物をする幼き子★★★

多田有花
海峡ゆく寒の空気の澄む中を★★★★
寒晴の岩屋みなとに船が入る★★★
寒晴の絵島のうしろ大橋や★★★

桑本栄太郎
雨雲の峡駆け上る寒の雨★★★
松過ぎの荒涼たりぬ山河かな★★★
登校の児童一列寒九雨★★★

弓削和人
人ひとり浜へ投石寒夕焼★★★★
看板を照らす灯に風花す★★★★
踏み入りて一語こぼるる樹氷林★★★
1月9日(6名)

小口泰與
里人は雪の峠を越えにけり★★★
ひそやかに足の指より寒さ來る★★★
忽然と仏頂面の寒犬ぞ★★★

多田有花
松の内淡路へ渡る船に乗る★★★★
寒晴の明石海峡船でゆく★★★
寒の海峡八百隻の船ゆけり★★★

弓削和人
松納屋根より落つる雪溜★★★★
御降りに傘の新たに濡れにけり★★★
白き野や鳥居も見えで寒の入★★★

廣田洋一
書斎の隅々掃きて初箒★★★
掃初めやはたきの音を軽く立て★★★★
終活を始めし友や冬薔薇★★★

桑本栄太郎
山茶花の花びら散らし鳥翔てる★★★
冬日差す車内明るきバスの中★★★
あおぞらにオブジェとなりぬ冬木立★★★
川名ますみ
あまやかに香る株あり冬菫★★★
冬菫ひときわ甘き香に気づく★★★
人日や手のひらに載る門松も ★★★
1月8日(4名)

小口泰與
水鳥の広げし羽の光ける★★★
近づくや沼の片隅二羽の鴛★★★
飛び來る影を率いて冬欅★★★

桑本栄太郎
松過ぎの初雪降りぬ我が団地★★★★
初句会ネットにしるす選句かな★★★
露凝るや一画見ゆるガラス窓★★★★

廣田洋一
成人の日髪結ひ上げて清楚なり★★★★
松過ぎて弁財天に参りけり★★★★
年新た鳶が輪を描く五つ六つ★★★

多田有花
冬の朝餌場に向かう水鳥たち★★★
風の音朝より強し寒波来る★★★★
しぐれ雲去れば寒晴れ広がりぬ★★★
1月7日(5名)

多田有花
犬連れて枯田に遊ぶ男かな★★★
朝もやの流れゆくかな寒の入★★★
小寒やココアにマシュマロを溶かす★★★

小口泰與
令和六年一月七日
水面へ突入せしや冬翡翠★★★
目の前の日うら日おもて雪浅間★★★
冬翡翠の日影を避けて飛び込みし★★★

廣田洋一
昼食は七種祝ふ粥とせり★★★
正月七日約束したる食事会★★★
ささやかな願いを込めて福引す★★★

桑本栄太郎
まな板に七草そろへ我に見す★★★
七草の粥の土鍋の息吹かな★★★★
葉書きでは足りず鳴らすや初電話★★★

弓削和人
初春の川瀬はひそと流れけり★★★
連山は霞みたりけり年新た★★★
半島や陽光疾くと射して来よ★★★
1月6日(6名)

多田有花
散りつくす梢に来たり千代の春★★★
初晴の広がる熱海人の波★★★
初富士や三島駅北口を出れば★★★

小口泰與
思い出の山を遠見や霜の朝★★★★
山風と日を賜われる蜜柑かな★★★
遥かなる浅間すっぽり雪纏う★★★

廣田洋一
福笑最後に笑ふ子のをりて★★★★
友と二人喫茶店にて初句会★★★
読初や使ひ慣れたる電子辞書★★★

桑本栄太郎
裏白のちりちり枯るる馬日かな★★★
どんよりとしぐれ催いや峰の奥★★★
立ち昇るけぶり数多や冬の畑★★★

川名ますみ
年越や石鹸の泡光り過ぎ★★★★
初日影睫毛の毛先まで降りぬ★★★
初日影睫毛の先に降りそそぐ★★★

弓削和人
年賀状紀州の海を渡りけり★★★
恥じらいて会釈をしたり晴着の子★★★
ともがらと火の粉を払うとんどかな ★★★★
1月5日(4名)

小口泰與
三山のいまひたすらに枯れにけり★★★
初春の森の中より鳥の声★★★
空風を賜わる吾や赤城山★★★

多田有花
<伊豆急行三句>
初乗は真っ赤なキンメ電車かな★★★
はるかなる伊豆七島や初景色★★★
初凪に房総半島横たわり★★★

桑本栄太郎
いつまで正月気分や寝過ごしぬ
被災者の消息知りぬ五日かな★★★★
牛日の濯ぎも干し布団干す★★★

廣田洋一
待ちわびし賀状届きて4日かな★★★
食卓の旧に戻りて4日かな★★★
新調の革靴おろし5日かな★★★
1月4日(4名)
小口泰與
指ひしと寒さ迫りし小鮒釣★★★
雨樋に潜みて鳴くや寒雀★★★
山間に冬の夕日のひた走り★★★

多田有花
新春の川に魚影の豊かなり★★★★
初晴や竹の動けば影動き★★★
ゆったりと初湯に木々の影浮かべ★★★★

弓削和人
空澄んで沓新しく三ヶ日★★★
菜の煮込み過ぎし大鍋三ヶ日★★★
熊笹の葉筋のいのち御用始★★★★

廣田洋一
診察の前に交わせる御慶かな★★★
旗立てて初荷の届く薬局かな★★★
宛先不明戻り来たれる年賀状★★★

桑本栄太郎
羊日のエンジン高き駐車場★★★
買初めの妻いそいそと化粧かな★★★
推敲の果ての投句や初句会★★★
1月3日(4名)

小口泰與
三日はや浅間くつきり青空へ★★★
初春や柾目ただしき桐箪笥★★★
三日はやほかほかしたる風の中★★★★

多田有花
わずかずつ盛られてうれし節料理★★★★
注連飾に今年の朝日さしてくる★★★
一点の雲なく晴れし初御空★★★

廣田洋一
長髪をきっちり束ね初詣★★★
朱の椀に三つ葉を添へて雑煮餅★★★
黒豆にちょろぎを乗せて節料理★★★

桑本栄太郎
親族へ掛け回り居り初電話★★★
三日早やパンとコーヒー朝餉摂る★★★
注連縄のゆずり葉広ぐ団地ドア★★★
1月2日(5名)

川名ますみ
雨晴れて大つごもりの日暮れなり★★★
初笑い静かな男のヘルパーと★★★★
雑煮椀鉢の三つ葉を少し摘み★★★

小口泰與
念念の時の流れや年守る
白白と浅間暁行く二日かな★★★
晴れ渡り噴煙も無き二日かな★★★★

多田有花
海の幸山の幸あり年を越す★★★
年の夜の風の音きく露天の湯★★★★
湯上りに年越蕎麦をいただきぬ★★★

桑本栄太郎
初夢の懐かしき人見たりけり★★★
二日早や濯ぎもの干す団地かな★★★
歩み行く恵方詣りや大原野★★★★

廣田洋一
元日や大地震える辰の年★★★
神殿の玉砂利白く淑気満つ★★★
墓道を紅く染めたり山茶花かな(原句)
墓道を山茶花紅く染めいたり(正子添削)
1月1日(5名)

小口泰與
大歳の二年詣りや山の径★★★
渓流の流れ清らや年新た★★★★
元旦の雀色時浅間山★★★

廣田洋一
初富士や白き光を放ちをり★★★
ご神木の赤き実光る初詣★★★
初春や早咲きの梅光りをり★★★★

桑本栄太郎
日はすでに高く昇りぬ初御空★★★★
御降のありしや路面濡れ光る★★★
日の本は地震(ない)の国とや元旦に★★★

多田有花

去年今年伊豆里山の温泉に★★★★
元朝にはや蝋梅の香りおり★★★★
快晴や富士を仰げるお元日★★★

弓削和人
羽後国(うごのくに)馴染みてはやき去年ことし(原句)
羽後国に馴染みてはやき去年今年(正子添削)★★★★

窓透きて眩しき湖面や初御空(原句)
「初御空」を切れ字の「や」でくっつける手法はいけません。「切れ字」は、繋がっているものを切るのが働きです。(髙橋正子)

食積の加減どうかと厨より★★★