12月14日(4名)
多田 有花
鹿肉を下ごしらえする師走かな★★★
仲冬の叢透けて烏瓜★★★
「仲冬」の季語が問題です。(髙橋正子)
鹿肉のローストうまし十二月★★★
「うまし」は直截すぎるので、例えば「食うや」とか、「食ぶや」のほうが、句に余韻と奥行きがでます。(髙橋正子)
小口泰與
朝日差し窓の氷の動きけり★★★
あえかなる冬ばら選りし山の婆★★★
空風に幼の足音(あおと)消えにけり★★★
桑本栄太郎
裸木の並木通りやバスのゆく★★★
呼び交わす番ありたり浮寝鳥(原句)
呼び交わす番の声や浮寝鳥(正子添削)
さざ波の揺らぎきらめく冬日さす★★★
廣田洋一
湯豆腐の崩れぬうちに酒を足す★★★
香煙の雨に打たれて討ち入りの日★★★
義士会のあれこれ話題昼餉時★★★
12月13日(4名)
多田 有花
冬の朝目覚めて足に触れてみる★★★
凩の夜明けて木々の一変す(原句)
凩の夜が明け木々の一変す(正子添削)
冬菊の群れ咲く庭の明るさよ★★★
廣田洋一
夜番より戻りてすぐに熱き酒★★★
冬の雲合間にのぞく青き空★★★
地の果ての海を照らせる冬の月★★★★
小口泰與
鴨の居て幼のああと指を指し(原句)
鴨の居て幼のああと鴨を指し(正子添削)
水仙や風の中にて首を振り★★★
この冬を越え行く吾の足裏かな★★★
桑本栄太郎
冬日背の我が影ながき散歩かな★★★
歩みゆく背ナのぽかぽか冬日燦★★★
青き背を見せて綿虫浮かび居り★★★
12月12日(3名)
多田 有花
はふはふと朴葉みそ焼忘年会★★★
極月の待合室に胡蝶蘭★★★
冬ぬくき姫路や細葉百日草★★★
桑本栄太郎
北西風列島南下寒到来★★★
満天星の緋色厳しく寒波来る★★★
雲間よりみずいろ空や寒波急★★★
小口泰與
小止みなき風の上州冬の利根★★★
森の中冬啄木鳥の嘴の音(原句)
冬啄木鳥森の中なる嘴の音(正子添削)
もとの句は、「嘴の音」を提示しただけになっています。俳句では、上五は大事です。添削句は、「冬啄木鳥」で季語を立ち上げました。また、森と嘴の音の関連を印象付ける必要があります。(髙橋正子)
寒菊や地を打つ嘴の雀二羽★★★
12月11日(4名)
多田 有花
冬の日や名物ホルモン焼うどん★★★
冬晴の織姫星はダイヤモンド★★★
クォークと宇宙の果てと冬の我★★★
廣田洋一
冬の雲一片浮かぶ青き空★★★
湯豆腐や女将自慢の薬味添え★★★
ともかくも捨てることより年用意★★★
桑本栄太郎
階段にいろは紅葉の落葉かな★★★
南天とピラカンサスに冬日差す★★★
莢の実の川辺に垂れる枯木かな★★★
小口泰與
風も無き日向の沼の鴛鴦の沓★★★
おとついの事も忘れし山眠る★★★
冬の雲尾上にまとい離れざる★★★
コメント
御礼
高橋正子先生
12月12日の(冬啄木鳥)の句を今日の秀句にお取り上げ頂き、正子先生には素晴らしい句評を頂き有難う御座います。大変うれしいです。こんごともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
御礼
高橋正子先生
12月13日の投句「鴨の居て」の句を秀句にお取り上げいただき、素晴らしい句評を賜わり有難う御座います。大変うれしいです。
今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
正子先生
「凩の夜明けて木々の一変す」を
「凩の夜が明け木々の一変す」に添削いただきありがとうございます。
日本語の並びとして、詩として良い姿になったことを感じました。