今日の秀句/8月11日~8月15日

8月14日(3句)
 層雲峡
★底見えぬ峡の岩肌薄紅葉/土橋みよ
層雲峡の早い秋の気配を静かに伝えて、美しい余白がある。底の見えない深い峡に、岩肌を彩る薄紅葉が軽く置かれ、景色が目に見える。(髙橋正子)

★露けしや雨にぬれたるすべり台/小口泰與
雨にぬれたすべり台の確かな質感が伝わる句。「露けしや」が雨に濡れた金属をやわらかくしてくれている。子どものいない、静かな公園の朝が立ちあがっている。(髙橋正子)

★秋燕や代わる代わるに弧を描く/多田有花
「代わる代わるに弧を描く」は静かな燕の連続した動きを捉え、弧の形が読者の中で自然に描かれる。秋の空の広さが残る素直な気配の句。(髙橋正子)

8月13日(1句)
★枝豆や能登の荒塩一振りす/廣田洋一
枝豆の緑に振る「能登の荒塩」が荒さのなかにも抒情を生み出しています。また、一振りの仕草が能登の荒塩に合っています。固有名詞が繊細に扱われ、完成された句です。(髙橋正子)

8月12日(句)
★禊萩のはらりと散るや墓の道/廣田洋
禊萩はお盆に墓に立てる花ですが、墓への道にはらりと散っている。「はらり」の軽さのある一言が、盆花の儚さを感じさせてくれています。季節と行事がすぐさま気配として立ち上がっています。(髙橋正子)

8月11日(1句)
  大雪山黒岳5合目
★ロープウェイ着くや熊鈴山の秋/土橋みよ
★ロープウェイ着くや熊鈴着けて秋(正子添削)
「熊鈴」が浮いています。句の中でなにをしているのかわからないです。もう少し丁寧に言う必要があります。
ロープウェイを下りてすぐ「熊鈴」をつけたのでしょう。ロープウェイで上った山の高さが知れます。元の句は「山の秋」となっていますが、「熊鈴」がどうなのかを言っていません。それを言うために、「山の」を削りました。ロープウェイで上ったことですでに山がわかりますので、「山の」を省略できます。(髙橋正子)


コメント

  1. 土橋みよ
    2026年8月14日 17:28

    正子先生
    「ロープウェイ」の句にコメントを頂戴し感謝申し上げます。ロープウェイで黒岳5合目まで行き、家族がその先に登っていくのを見送り、長い時間ベンチで待っておりました。ロープウェイは20分ごとに5合目に着くのですが、着くと同時に熊鈴をぶら下げた登山客が20人程度やってきて、それを「黒岳の秋らしい」と感じ、俳句にしてみたいと思いました。原句では熊鈴が聴こえたのか着けたのか曖昧だったとわかりました。また、添削句のように、熊鈴を着けた情景に趣があることが分かりました。ご指導有難うございました。

    • 髙橋正子
      2026年8月15日 9:54

      熊鈴ですが、情景がよくわからなかったので、「着け」にしましたが、熊鈴の音も、両方が句になると思います。音の句も作ってみてください。

  2. 廣田洋一
    2026年8月14日 18:33

    高橋正子先生
    八月十ニ日の禊萩の句と八月十三日の枝豆の句を、其々の日の秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な選評を賜り、真に有難うございます。
    今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。

  3. 土橋みよ
    2026年8月15日 20:58

    正子先生
    どちらも句になること、わかりました。音の句については、「ロープウェイ着けば熊鈴鳴りて秋」としてみました。

  4. 土橋みよ
    2026年8月15日 21:10

    正子先生
    層雲峡の句にコメントを頂戴し有難うございます。黒岳ロープウェイから見る初めての層雲峡でした。層雲峡の岩には草木が生えても柱状節理のため雨風で岩とともに簡単にはがれ、岩肌が露出していると聞いておりましたが、実際に見てみますと、岩の上部からは一面とまでは言えないまでも薄紅葉がとてもきれいに見られました。一方、見えない川底を想像すると神秘的に感じられました。これから大きな台風などが来ると、また景色も一変するのかもしれませんが、この美しい瞬間にで会えたことに感謝いたしました。