9月7日(火)

★心すずしあらたな虫の鳴き始め  正子
秋の虫の声はいつもあたらしく、聞いている内に、耳でなく心身すべてに響いてきます。気持ちのよい夜です。(池田加代子)

○今日の俳句
山晴れて竜胆の青濃き道を/池田加代子
竜胆の咲くころの晴れた空は青く深い。その空の下の山道を行くと、それ以上に青の濃い竜胆に出会った。空にも地の花にも心が通じる気持ちがいい。(高橋正子)

◇生活する花たち「イグサ」(尾瀬ヶ原)

9月6日(月)

★揺れもせず夕日当れる青稲穂  正子
青稲穂がみずみずしく、静かに広がる稲田一面に差す夕日。温かく懐かしい田園の光景に包まれて、一日を終える安堵感が感じられます。 (柳原美知子)

○今日の俳句
朝空を翅に映して銀やんま/柳原美知子
朝空のすずしい青をそっくり翅に映して飛ぶ銀やんま。静と動の対比、朝の景色全体の中の一つの銀やんま、また逆に、銀やんまにある景色全体が詠まれている。これが俳句の「まこと」である。(高橋正子)

◇生活する花たち「サワギキョウ」(尾瀬ヶ原)

9月5日(日)

★娘の秋扇たたまれ青き色の見ゆ  正子
お嬢さまの扇がたたまれてそこにあります。その青さ、それが若さであり、同時に新しい秋の涼しさをも感じさせてくれます。(多田有花)

○今日の俳句
日々すべきことをなしつつ新涼に/多田有花
作者が、モンブランへ発つ直前の句であるから、その準備のための、「日々すべきこと」であろう。用意周到な計画と準備があって、初めて登頂は成功する。日々成し終えていく内に、季節も新涼へと移り変わっていった感慨がおおきい。(高橋正子)
あの年、ヨーロッパは今年の日本のように記録的な猛暑でした。氷河が溶け出して危険になり、モンブランをあきらめて、モンテローザに変更したのを思い出します。(多田有花)

○花冠10月号発送。正午前。

○八月月間賞と、ブログ句会無欠詠賞を発送。
○ネット短信No.77号発信。

○暑さがなかなか収まらない。京都では39.9度だった。今年の敬老の日は9月20日(月)となっている。こう、暦が動いては、暦にならないではないか。

◇生活する花たち「エゾリンドウ」(尾瀬ヶ原)

9月4日(土)

★朝は深し露草の青が育ち  正子

○今日の俳句
湧水のふちの露草汚れなし/迫田和代
「汚れなし」ときっぱりと詠んで、力のある句となった。こんこんと湧く水のほとりに、水に触れんばかりの露草の青い花。全く汚れのない世界である。(高橋正子)

◇生活する花たち「キツネノカミソリ」(横浜四季の森公園)

9月3日(金)

★草は花を娘の誕生日の空の下  正子
子供が何歳になろうとも、親の自分がいくつになろうとも子供の誕生の時の様子は鮮明に覚えているもの。又今年も季節が巡り来て、九月に入り身ほとりの草は娘の誕生日に併せるかの如く秋の花を咲かせ出した・・。秋の景の到来とともに子の誕生日に思いを馳せる親心が思われて素晴らしい。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
さざめける稲穂の風の中に居る/桑本栄太郎
稲穂の上を風が渡ると、稲穂はさざめくような、快い音を立てる。吹く風も稲穂のさざめく音も、自然体で受け止められている。(高橋正子)

◇生活する花たち「蒲の穂」(横浜四季の森公園)

9月2日(木)

★しろじろと穂芒空にそよぐなり  正子
夏に見る青芒とはまた違い、秋空にそよぐ芒はよく長けて、ふんわりとした趣が感じられます。青く澄んだ空に溶けこむような穂芒が、しろじろとによく詠われていて、一幅の画をみるようでもあります。(小川和子)

○今日の俳句
機関車の蒸気噴きゆく秋風よ/小川和子
「蒸気噴きゆく」に機関車の生きいきとした走りを見る。冷涼な秋風となってゆく蒸気に、秋の季をとらえた。(高橋正子)

○晴れ。相変わらず暑いが、明け方はすこし空気が冷えてきた。
○久しぶりに農協の野菜市場に出かける。来週からは、改築のために、場所を移転するとのこと。
いちぢく、さつまいも、大根葉、なす、お花を買う。

◇生活する花たち「キバナコスモス」(横浜日吉本町)

9月1日(水)

★台風来つつある夜の卓の丸い梨  正子
テレビがしきりに、台風の接近を伝えている。卓に置かれた梨の丸さが、不安な気持ちを紛らわせてくれる。 (山中啓輔)

○今日の俳句
コスモスや花舗に漂う野の風情/山中啓輔
花屋には、コスモスの花があふれるほど売られている。野にさきがけて咲く花屋のコスモスに、さわやかな秋風の吹く野の風情を見た。「野の風情」の措辞があっさりしてよい。(高橋正子)

◇生活する花たち「ヨウシュヤマゴボウ」(横浜四季の森公園)

8月31日(火)

★白萩の奥なる門の半開き  正子
白萩に、その家に住まわれる人の清楚な暮らしぶりが思われます。半開きには住人の動きが見えるようです。(黒谷光子)

○今日の俳句
萩咲くを乱して山に供花を切る/黒谷光子
仏様へお花をお供えするのも作者のお勤め。山に花を取りにでかけることもある。心ならずも美しく咲いている萩の姿をみだすこともある。萩の花を含めて季節の花を用意される暮らしがゆかしい。(高橋正子)

◇生活する花たち「萩」(横浜日吉本町)

8月30日(月)

★青穂田の密なるそよぎ一面に  正子
ずーと広がる青穂田に初秋の風が吹き渡っています。青い波のそよぎが一面に連なり、稲穂の匂いも漂ってきて、美しい田園風景に心和まされます。(藤田裕子)

○今日の俳句
ちちろ鳴く裏庭の夜の澄みてきし/藤田裕子
静かな裏庭にちちろが鳴くと、夜が澄んでくる感じがする。夜が澄んでくると、ちちろがいっそう声高く鳴く。研ぎ澄まされてゆく秋の夜である。(高橋正子)

◇生活する花たち「百合」(横浜日吉本町)

8月29日(日)

★剥く梨にわが顔映りいたるかも  正子
梨をむきながら、その瑞々しさに、自分の顔が映っているかも、という可愛い発想の句ですね。 (祝恵子)

○今日の俳句
箱の荷の泥付き芋は地方紙に/祝恵子
届いた箱の荷を開けると、地方紙にくるまれた畑から掘り起こしたばかりの泥つきの芋が入っている。地方の便りも、合わせて届き、懐かしい思いだ。(高橋正子)

◇生活する花たち「小豆の花」(横浜日吉本町)