俳句
晴れ
○花冠11月号入稿。エックスパックで原稿を送る。メール、CD-ROM、USB、のどれでも原稿を送るのが可能だが、目下のところ、CD-ROMとプリントアウトした原稿、割付を揃えて送っている。
○水煙の割付や原稿、会計、NPOの書類などを、整理。捨てるものは捨てた。これまで、金は儲けず、使うばかりであったが、よく仕事をしたと振り返る。著名になるわけでも、金を儲けるでもなかったが、その時々に、自分のことはさておいて、すべきことはした。もうこれくらいで、よろしいのではないかと、結論づける。
○俳句界10月号が届く。秋の連休のせいか、いつもより早い発行。一通り読む。
特集「結社の継承」について。
「結社は一代限りは美徳か」の星野高士「玉藻」副主宰の話が、秀逸。
「俳諧の宗匠と世襲について」橋本直の文は、眠い。
「鷹」が「鷹」であるためにの小川軽舟は東大出身と聞くから、その理由で主宰に推されたのかもと思わせる。よくある結社の事情。
「真っ当な組織論の実現ーー「古志」検証」の岸本尚毅。東大出身者らしい記事。
理論と俳句の実際に乖離が感じられ、組織を意識すれば政治に。別世界。
「師系の継承ーー「青樹」終刊」野田禎男は、曲折ある継承に、継承という難しさが見える。
「にれ」終刊に思う事」椎名智恵子は、北海道という地方を支えた俳誌の終刊と主宰者の功績と称えたもの。地方の事情は文学とは違うもの。
○俳句界の2番目の特集。
「兜太ばかりがなぜもてる?」
「金子兜太さんの魅力」松澤昭、「兜太を肴に秋の夜をだべる」八木健、「拝啓 金子兜太様ー円熟とは肯いへの優しさでしょうか。」池田澄子、「俺が五七五そのものなんだ」金子兜太、と読んできて、漫画的なあまりに笑う。金子兜太については、兜太自身が語るものが、一番分かりやすい。真正面から話す方ではなさそうだ。本音から逸れている。これは、第一人者としての責任、また文学者としての大切なものの欠如と思えるのだが。草田男とよく論争しているようだが、草田男が突くそこが問題であろう。
兜太の近作鑑賞では、若手の神野紗希「一回性を生きること」は、もっともらしいテーマに兜太の俳句を結びつけただけの優等生の作文。鑑賞に感性がないと感じさせるのは、俳句が読めていないからであろう。。
若手の佐藤文香「生生しさを愛する」は、等身大で兜太を捉えて、ややひ弱だが、感性がある。「兜太先生が好き」という文句も忘れていなのが、しおらしい。
○俳句界時評「俗から造化へー俳句精神の自由」坂口昌弘が、『日常』(金子兜太著)、『夏至』(正木ゆうこ著)を採り上げる。句が採り上げられているが、どれも読みたくない句である。俳壇では、言語について、どの程度の認識があるのだろうか。言語への懐疑はないのだろうか。自然観はどうなのか。特にインテリたちの俳句に精神を含めた体験というものの不足、頭で操作されたものを感じる。詩はそういうものではないだろう。
○高屋窓秋の特集は、窓秋の俳句の詩性のせいであろうが、面白い。林桂らが書く。
俳句
秋祭りの近き空気がポストまで
新駅の広場に秋風よく通り
林檎食ぶそのあたたかき皮を剥き
曇り
○第35面「経済教室」。
「社会」意識した消費 一段と。質や絆重視鮮明に。
「いま、企業価値は経済的な面だけではなく、環境保護はもちろん、地域社会とのかかわり、人権や労働環境、情報公開など、さまざまな尺度から評価されるようになっている。企業による多様な取り組みは消費者の商品やサービスの選択基準となっており、そうした傾向は今後ますます強まっていくだろう。」「このように新しいマーケティングは「質」と「絆」を重視する新しい消費トレンドを後押ししている。経済危機を経て、こうした流れは一段と加速し、消費者との新たな関係の構築を企業に迫ることにもなるだろう。」
俳句
黄昏の一気に寄せて虫の声
虫の声鈴音のごときが地にころがり
鶏頭の立ったる土の乾ききる
ほうれん草お菜に茹でて暮れ早し
何事も思わず今夜の秋刀魚買う
晴れ
○11月号の原稿書きと編集。目次、後記、裏表紙、表紙を除いて出来上がり。日曜日に入稿の予定。
○わが子曰く。「首相になるのは、みんな年寄りだね。60過ぎないと、いろいろ分かってないことがあるから、首相になれないのか。」と。
○鳩山総理はじめ、閣僚の方々、さすがうれしそうで、緊張しておられる。総理も菅さんも私とは同じ年。戦後生まれの宰相は、初めてではないかと思うが、このことは、誰も話題にしない。戦後民主主義はどうか、明らかに問われるであろう。著名人のアメリカナイズした思考に、唖然とすることも多い。まるで、鹿鳴館時代、ジャポニスムの外国人の日本理解と同じなのだろうかと、思うこともしばしば。珍妙で、滑稽であるけれど、それを、珍妙で、滑稽と感じない世代があるところに、現代がある。
俳句
晴れ
○鳩山さんが首相となる。理系宰相に熱い視線、という見出しもある。菅さんも東工大の出身。理系の頭で、クリアな政治を行ってもらいたい。
○リチャード三世を見たいと思いネットで検索。リチャード三世を悪役にしすぎた劇団のメークに失望。意外とよさそうなのが、子どものためのシェークスピア。華のん(カノン)の企画したもの。パナソニックの後援を受けて活動しているようだ。チェーホフと、古典落語もある。良いものを、本物を、の精神のようだ。
○一昨日の続きだが、シェークスピアは、やはり面白い。原文と翻訳と比べながら、そのエッセンスが読める。リチャード三世に出てくるエリザベス王妃の話す言葉には大いに感心。短く、あまり難しくない言葉、心がぽつっと零れるような言葉は、決して男性の言葉ではない。若いときは、このようなことには気付かなかったが、年をとってわかものがあるので、年をとるのもよいことであろう。劇の台詞を少々覚えて、ロンドンにでも行って、イギリス人の芝居を見てみたくなった。宝くじにでも当たったら、そうしよう。
シェークスピアは、老後の楽しみによさそうだ。それにアガサなどの推理小説。漱石も。老後は古典を楽しむのがいいだろう。こういった人たちの御蔭で、人生の日々がたのしく送れる。クラッシクの音楽家の多くの楽しみを残してくれた。願わくば、俳句でも人生の楽しみとなるような句を遺して欲しいものだ。
俳句
曇り
○11月号の選句。ブログ句会の秀句のコメントを書き溜める。木曜日を編集などに当てる。
○こちら日吉の蟋蟀は、庭の木の上でも鳴く。これを今夜確認。そばに居た人にも確認してもらった。ひどく、力の強い鳴き方なので、種類の違う蟋蟀なのであろうかと思うが、どうか。興ざめた声。西洋では、蟋蟀(cricket)は、死を予告するものらしいが、木で鳴く蟋蟀はいただけない。虫は野の草に置け。
俳句
晴れ
○コンテストの授賞式兼打ち上げを11月22日(日)に早稲田のリーガロイヤルホテルで行う。午前11時から午後1時。会費4千円を設定。リーガロイヤルに予約を入れた。
○信之先生、論文執筆中につき、横浜の紀伊国屋に出かける。私用に、『シェイクスピア名詩名句100選』(関口篤訳編/2006・6・30発行/思潮社)を買ってくれた。用はどこかによいところがないかというわけだが、それよりも、これを読み、シェークスピア劇を見たくなった。今は『リチャードⅢ世』が見たいものだ。
「この口先だけのご立派な世間、色男で通らぬとなれば、手は一つしかない。あっぱれ、悪党になってやる。」の名台詞。これをどういう風に役者が言うのか。
もう一つ、気に留めて置くべき台詞。『真夏の夜の夢』の「詩人のペンはまったくの空無に一つの確固とした居場所と名を与える」。「名を与える」がシェークスピアらしい。ともかくも、この本は、実際に芝居を見てみたくさせる本。
俳句
秋芝のキャンパス少し坂の上
晴れ
○神奈川大学横浜キャンパスへ。東急線白楽下車。六角橋商店街を通り到着。
俳句
花の色みな澄み今朝の鶏頭は
冷やしおく葡萄に露の吹いており
秋夜電車の灯にみなケイタイ読む
曇り夜雨
○永田明正さんから「道の花」という川柳の冊子が送られてくる。返礼に花冠9月号と10月号を送る。
秋の星
高橋正子
朝顔の紺の仰向きがちな朝
朝顔の紺一輪を水に挿し
追悼 志賀泰次さん
北の大地を詠みて秋立つ頃逝きし
つまみ菜を洗えば濁る水の色
いつよりか燕無き空青澄める
秋の星寝に就く前の大きな宙
剥く梨にわが顔映りいたるかも
堰落ちる秋水朝日を満面に
朝顔の垣根解きて風透けり
一椀の汁に絞りきる酢橘
フェンスより見越す芙蓉の白すがし
葡萄食ぶ一つ一つの冷たさを
夕涼に花壇の花の吹かれけり
追悼 志賀泰次さん
北の大地を詠みて秋立つ頃に逝き
やわらかな朝のひかりに送り盆
送り盆しずかな鮨のきらきらと
つまみ菜を洗えば濁る水の色
人の死にベランダ秋の風が立ち
雑穀を食べるに菜で足る秋初め
日の色の午後は黄ばみて法師蝉
つくつく法師子らの宿題急かしける
朝顔の絡まる蔓を外に垂らす
家の灯のこぼれぬところ虫の声
ベランダの四角の隅の虫の声
青葡萄急ぎ冷やせる氷水
剥く梨にわが顔映りいたるかも
朝顔の初花空の色であり
朝顔の紺の仰向きがちな朝(信之選)
朝顔の紺一輪を水に挿し(信之・美保子選)
朝顔の紺一輪を食卓に
朝顔の一輪を剪る鋏音
朝顔にパソコン近く置いてあり
秋口の朝顔さすがあわれなり
路肩より聞こえ出したる鉦叩
台風来つつ選挙速報はじまれる
なでしこに月はうっすら照りいたり
月の暈の内のあかりの澄むばかり
ガラス戸を出て聞く虫音強かりし
朝顔のみな外光へ向きし花
花枯れの紫陽花秋冷まといけり
木々の葉も枝も平らに秋朝日
秋冷のわが身にしんと至りけり
秋冷の空の烏の山の声
いつよりか燕無き空青澄める
さびしさは秋の星より降り来る
葡萄一粒つまみ瞳の黒からむ
鶏頭の燃えておるなり大和し国
堰落ちる秋水朝日を満面に
朝顔の垣根の四角風透けり
晴れし夜は空にしろじろ鰯雲
一椀の汁に絞りきる酢橘
秋来たれども次々とハイビスカス
秋光に青き水なる隅田川
秋の星寝に就く前の大空に