2019年12月月例句会が終わりました。今年の月例句会からは多くの秀句が生まれ、うれしく思っています。
ささやかですが、月例句会の銅賞以上に入賞された方々(結果として全員になりました)に、賞品を送らせていただきましたので、ご笑納ください。2019年に、その方がとられた最高位の賞に対して送らせていただきました。
なお、受け取られましたら、下のコメント欄にその旨お書きください。よろしくお願いします。(花冠主宰 高橋正子)
2019年12月月例句会が終わりました。今年の月例句会からは多くの秀句が生まれ、うれしく思っています。
ささやかですが、月例句会の銅賞以上に入賞された方々(結果として全員になりました)に、賞品を送らせていただきましたので、ご笑納ください。2019年に、その方がとられた最高位の賞に対して送らせていただきました。
なお、受け取られましたら、下のコメント欄にその旨お書きください。よろしくお願いします。(花冠主宰 高橋正子)
2019年 月例ネット句会金賞俳句
〇2019年は、令和元年となり、豪雨や台風による甚大な被害
があり、気候についてこれほど広く世界でも問題になった年はなかったように思います。
月例ネット句会の各月の金賞をまとめました。まとめてお読みになったご感想はいかかでしょうか。
〇今年一年の月例ネット句会を振り返ってのご感想があれば、下のコメント欄にお書きください。また、金賞俳句の中で、特にお好きな句を一つ、句の前の番号でお書きください。
[1月]
①七草の真白きものより刻みゆく/祝恵子
七草は正月七日、七種類の若菜を粥に炊きものとは、菘かすずしろのことであろう。真白き゜ものを先に刻むことで、なにかしら神事めいた気持ちになる。新年の始めの清潔感のある句だ。(高橋正子)
[2月]
②豆を撒く雨の匂いの闇やわらか/柳原美知子
豆撒きの夜は、節分の夜は、雨である。その雨の匂いがやわらかい。立春となる前夜の雨の闇。雨の匂いのする闇に、いち早く春の匂いを感じ取った。(高橋正子)
[3月]
③遅き日や暮れて賑わう一輪車/桑本栄太郎
春になると、日暮れの遅さを感じるようになる。放課後、広場などに小学生が集まってきて、一輪車を賑やかに楽しんでいる。華麗に乗りこなす子もいれば、初歩の子もいる。日が伸びてくれば子どもたちの外での生活が楽しくなる。(高橋正子)
[4月]
④花見船声もろ共に降ろしけり/小口泰與
「花見」のいい風景を捉えた句だ。上五の「花見船」が一句の主題で、「声もろ共に降ろしけり」と一気に詠み終えたところが見事で、本人の日頃の精進を称えたい。(高橋信之)
[5月]
⑤麦秋の車窓となりぬ近江富士/桑本栄太郎
詠まれた景色がすばらしい。近江富士は、三上山の愛称で、東海道新幹線の車窓からも眺められる。平野の中の独立峰は標高432mの低山。麦秋の野が広がる向こうに近江富士はなだらかな山稜をもって立っている。車窓が額縁になり、爽やかな麦秋の景色が楽しめる。(高橋正子)
[6月]
⑥茹でたての淡竹真白くさくさく食む/柳原美知子
淡竹(はちく)は、竹の一種であるが、孟宗竹よりも灰汁が少なく、皮を剥くと白、或いは薄い緑の幹が現れる。白いものほど若く柔らかい。真白く茹でた淡竹は、初夏、さくさくと爽やかに食べたいものだ。(高橋正子)
[7月]
⑦蓮池に雲間の空の青ひろげ/柳原美知子
蓮池の葉の隙間に空が映っている。その空は、青空に小さな雲が浮かんでいて、雲が流れて次第に青い空がひろがる。それが、モネの睡蓮の画のようになる。睡蓮画を見ているようだ。(高橋正子)
[8月]
⑧稲穂出て朝の光に総立ちに/柳原美知子
稲穂が出始める季節。出穂のときは、穂はまだまっすぐだ。朝の光に、われもわれもと背伸びをするかのように、総立ちになる。歓喜で朝を迎えている。これからの実りが楽しみだ。(高橋正子)
[9月]
⑨爽やかや渓流の音身の内に/小口泰與
渓流にしばらく佇むと、渓流の音が身の内に沁みこんで来るような気がする。自身が渓流と一つになったような感覚。無理なく素直に爽やかさが詠まれた。(高橋正子)
[10月]
⑩秋燕や朝の光に群れて飛ぶ/多田有花
夏の間、巣を作り、子育てに忙しかった燕も秋には、大海をわたり南へと旅立つ。旅立ちの前に、集まり群れ飛ぶ姿が、朝の光に眩しい。間もなく去ってゆくことを思うと淋しい。(高橋正子)
[11月]
⑪大空に星の輝き冬立てる/高橋秀之
冬立つ日。大空に星が輝き、なんとも晴れやかな冬立つ日となった。厳しい寒さが訪れる冬に向かう第一日が曇りなく大らかであるのがいい。(高橋正子)
[12月]
⑫湧水飲む雑木落葉をぬらしつつ/柳原美知子
雑木落葉の季節が「湧水飲む」という人との関わりで、あたたかく深いものになっている。「ぬらしつつ」は臨場感がある。(高橋正子)
■2019年12月月例ネット句会■
■入賞発表/2019年12月8日
【金賞】
31 湧水飲む雑木落葉をぬらしつつ/柳原美知子
雑木落葉の季節が「湧水飲む」という人との関わりで、あたたかく深いものになっている。「ぬらしつつ」は臨場感がある。(高橋正子)
【銀賞/2句】
16 妻の忌の近づく日々や冬夕焼/廣田洋一
妻を亡くされ幾年が過ぎておられるのだろう。冬夕焼が美しい日、妻の忌日が近づく日々が静かに、懐かしく詠まれている。(高橋正子)
32 谷紅葉踏み仰ぎ入るコーヒー店/柳原美知子
上五の「谷紅葉」が主題だが、下五の「コーヒー店」がいい。作者の姿が見える。(高橋信之)
【銅賞/3句】
05 初氷園児の声の一段と/小口泰與
初氷を見つけた園児たちの喜びよう。喜々として氷を掴んだりしているのだろう。真っ赤になった手や一段と高い声に園児のかわいい姿を思う。(高橋正子)
21 大阪湾一気に染める冬夕焼/高橋秀之
冬は瞬く間に日が落ちる。夕焼も一気に空を、大阪湾を染める。「一気に」の勢いが、圧倒されるような冬夕焼を想像させてくれている。(高橋正子)
35 鬼怒川の山は初雪空晴れて/高橋句美子
鬼怒川は日光の山を流れる川。山は雪が来るのが早い。鬼怒川の流れる山々は初雪を冠っているが、空は良く晴れている。晴れた夜の冷えがいかに強かったかが想像できる句だ。(高橋正子)
【高橋信之特選/7句】
10 冬苺摘む子に声をかけにけり/多田有花
声をかけたのは作者であろうか。あるいは親御さんであろうか。いずれにしても一心に冬苺を
05 初氷園児の声の一段と/小口泰與
16 妻の忌の近づく日々や冬夕焼/廣田洋一
21 大阪湾一気に染める冬夕焼/高橋秀之
31 湧水飲む雑木落葉をぬらしつつ/柳原美知子
32 谷紅葉踏み仰ぎ入るコーヒー店/柳原美知子
35 鬼怒川の山は初雪空晴れて/高橋句美子
【高橋正子特選/7句】
22 鬼怒川のせせらぎ沁みる冬銀河/西村友宏
夜空には大きく広がる冬銀河。その一方で足元には鬼怒川のせせらぎ。大いなる冬銀河が普段通りのせせらぎを心に染みる存在にしてくれてました。(高橋秀之)
13 無骨なる冬の荷よりのラ・フランス/祝恵子
コメント2019-12-09 14:32:23無骨なる冬の荷よりのラ・フランス/祝恵子
故郷からの荷物でしょうか。ラ・フランスは見栄えは悪いですが、完熟させたものは甘くて絶品。食べるのが待ち遠しいですね。 (多田有花)
05 初氷園児の声の一段と/小口泰與
16 妻の忌の近づく日々や冬夕焼/廣田洋一
21 大阪湾一気に染める冬夕焼/高橋秀之
31 湧水飲む雑木落葉をぬらしつつ/柳原美知子
35 鬼怒川の山は初雪空晴れて/高橋句美子
【入選/10句】
07 水きりの石の飛び行く小春かな/古田敬二
良く晴れて穏やかな暖かい小春日和の日差しです。余りの心地良さに、近くの川面に石きりを試みた所、跳ねあがって何度も水面を踊り上がりました。厳冬を迎える前の、穏やかさが嬉しい景色です。(桑本栄太郎)
小春は陰暦十月の異称であるが、その頃は雨風も少なく暖かい日和が続く、水切りの石も気持ち良く五段七段と飛んでゆく気持ちの良い景ですね。素晴らしい対比の景ですね。 (小口泰與)
20 北風が落ち葉を増やす風が鳴る/高橋秀之
リズムよく、本格的な冬の到来が表され、新たな季節を楽しまれているようで素敵です。 (柳原美知子)
33 無人市箱に冬菜とミニポスト/柳原美知子
何となく通り過ぎてしまいそうな無人市、気づけば買っていまいそうです。ミニポストにお代を入れて。 (祝恵子)
15 ドイツ菓子売り娘はサンタの服を着て/祝恵子
世の中クリスマスモードで至る所クリスマスが溢れてますが、ドイツ歌詞となれば、なおさらサンタ娘がよく似合ってたことでしょう。(高椅秀之)
03 綿虫の舞いて祇園に浮き沈み/桑本栄太郎
綿虫は雪国では雪の来る頃に飛ぶため「雪虫」といわれます。京都は雪国ではありませんが、盆地の底冷えは独特の京の冬。祇園に舞う綿虫に、本格的な京都の冬の訪れを感じておられます。 (多田有花)
06 朝焚火高き声沸く飯場かな/小口泰與
冷え込む早朝の焚火を囲めば、自然と笑顔がこぼれ、笑い声が沸き起こる飯場。よい一日となりそうです。 (柳原美知子)
08 雪蛍高きへ飛べば見失う/古田敬二
14 軒先の冬日浴びおり吊るし柿/祝恵子
23 日光の紅葉はらいて写経する/西村友宏
24 東照宮拝む夫婦の息白し/西村友宏
34 吊り橋を揺らし渡れば色紅葉/高橋句美子
■選者詠/高橋信之
25 銀杏黄葉が明るい丘の樹に残る
銀杏は光を浴びると黄金のような明るい黄色になります。爽やかな句です。 (高橋句美子)
26 冬晴れて朝日差し来るわが書斎
晴れた冬の朝は最も日差しが輝きます。その日差しが書斎の奥まで差し込んできます。短い冬の一日の始まり、気を引き締めて向かわれます。 (多田有花)
27 冬陽さんさん病室の窓広き
窓が広い病室に燦燦と冬陽が差し込んで来る。病室に一人で寝ていると寂しくもあり、この先どうなるか不安でもある。その様な時に冬陽が部屋一杯に 差し込んでくると気持ちが明るくなり、心が温まる。患者さんを思う気持ちのこもった句です。 (廣田洋一)
■選者詠/高橋正子
29 どんぐりを落としきったり樫青樹
どんぐりと共に、葉も落として裸木となっている櫟などの雑木の中、どんぐりを落としきってもなお青々と葉を茂らせ、青空に伸びている樫の木の姿に清々しさを感じます。 (柳原美知子)
28 風花のごとくかるがる冬桜
30 今年また辛夷冬芽のりんりんと
■互選高点句
●最高点(8点)
07 水きりの石の飛び行く小春かな/古田敬二
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も一点として加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。
■12月月例ネット句清記
2019年12月8日
12 名36句
01 せせらぎの落葉散り敷く高瀬川
02 顔見世のまねき上がりて撮りにゆく
03 綿虫の舞いて祇園に浮き沈み
04 露天湯や続けて嚏聞えける
05 初氷園児の声の一段と
06 朝焚火高き声沸く飯場かな
07 水きりの石の飛び行く小春かな
08 雪蛍高きへ飛べば見失う
09 茶の花の咲く石垣の苔むして
10 冬苺摘む子に声をかけにけり
11 誕生日ホットワインをいただきぬ
12 犬連れて冬の紅葉の下歩く
13 無骨なる冬の荷よりのラ・フランス
14 軒先の冬日浴びおり吊るし柿
15 ドイツ菓子売り娘はサンタの服を着て
16 妻の忌の近づく日々や冬夕焼
17 底冷えの空に瞬く星まばら
18 買い物のメモ忘れずに十二月
19 もふもふのコート嬉しき顔の友
20 北風が落ち葉を増やす風が鳴る
21 大阪湾一気に染める冬夕焼
22 鬼怒川のせせらぎ沁みる冬銀河
23 日光の紅葉はらいて写経する
24 東照宮拝む夫婦の息白し
25 銀杏黄葉が明るい丘の樹に残る
26 冬晴れて朝日差し来るわが書斎
27 冬陽さんさん病室の窓広き
28 風花のごとくかるがる冬桜
29 どんぐりを落としきったり樫青樹
30 今年また辛夷冬芽のりんりんと
31 湧水飲む雑木落葉をぬらしつつ
32 谷紅葉踏み仰ぎ入るコーヒー店
33 無人市箱に冬菜とミニポスト
34 吊り橋を揺らし渡れば色紅葉
35 鬼怒川の山は初雪空晴れて
36 落葉踏み東照宮へ石段登る
※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。
●12月月例ネット句会投句ご案内●
①投句:当季雑詠(冬の句)3句
②投句期間:2019年12月2日(月)午前6時~2019年12月8日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:12月8日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:12月9日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、12月9日(月)正午~12月12日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之
■2019年11月月例ネット句会■
■入賞発表/2019年11月11日
【金賞】
08.大空に星の輝き冬立てる/高橋秀之
冬立つ日。大空に星が輝き、なんとも晴れやかな冬立つ日となった。厳しい寒さが訪れる冬に向かう第一日が曇りなく大らかであるのがいい。(高橋正子)
【銀賞/2句】
10.わが町に陽はさんさんと今朝の冬/多田有花
「わが町」の明るさがうれしい句だ。有花さんのわが町は白鷺城に象徴される、さんさんとした陽の明るさが届く町だ。「今朝の冬」に新しさと緊張感がある。(高橋正子)
25.林檎もぎ高原の陽を手に移す/柳原美知子
高原に遊ぶ日。林檎の木から林檎をもぎ取る。高原の陽に育まれ熟れた林檎は、まさに高原の陽と言えるほど。それを宝物のように大切に手に取ったのだ。(高橋正子)
【銅賞/3句】
30.桔梗咲く蕾を次々弾けさせ/祝恵子
桔梗は、小さな風船のような蕾を付ける。咲く時は、ふっくらした蕾を弾かせる。桔梗の花の愛らしさが、秋の空気にきれいに詠まれている。(高橋正子)
26.猫抱けば秋日の匂う草匂う/柳原美知子
なんと自由な猫なんだろう。秋草の中で遊んで、遊びあきて家に帰る。その猫を抱くと、秋の日の匂い、草の匂いがついている。秋の日だまりのようなほっこりとした猫。(高橋正子)
24.風強しセーターの柄の明るさに/高橋句美子
セーターを選んで着るのも冬の楽しみ。明るい柄のセーターを選んで着た日、風が強くて体を風が抜ける。今冬が確かに来ている。(高橋正子)
【高橋信之特選/7句】
26.猫抱けば秋日の匂う草匂う/柳原美知子
屋外から帰ってきたばかりなんでしょう。秋の匂いを一緒に持ち帰ってきてくれて、ほっこりします。 (高橋秀之)
12.山寺に冬の紅葉の鮮やかに/多田有花
山寺を訪れると周りが鮮やかな紅葉に包まれている。本格的な秋を感じるひとこまです。
(高橋秀之)
08.大空に星の輝き冬立てる/高橋秀之
10.わが町に陽はさんさんと今朝の冬/多田有花
18.通帳をめくる右手のあかぎれや/西村友宏
25.林檎もぎ高原の陽を手に移す/柳原美知子
30.桔梗咲く蕾を次々弾けさせ/祝恵子
【高橋正子特選/7句】
24.風強しセーターの柄の明るさに/高橋句美子
いよいよセーターを着る季節となり、お気に入りの明るい柄のものを選んで着てきたけれど、思いのほか、風が強い。新たな季節を楽しむ弾む心持ちが感じられ素敵です。 (柳原美知子)
17.寒空へ鳩舞い朝のホットティー/西村友宏
しんしんと冷気を感じる朝。朝食のホットティーで温まりながら、青空に力強く舞う鳩を見上げると初冬の始まりの活力を感じ、励まされるようです。(柳原美知子)
25.林檎もぎ高原の陽を手に移す/柳原美知子
26.猫抱けば秋日の匂う草匂う/柳原美知子
30.桔梗咲く蕾を次々弾けさせ/祝恵子
【入選10句】
05.秋草や塩田平の無言館/小口泰與
無言館は1997年5月、信州上田市に戦没画学生慰霊美術館として竣工しました。世の中が平和であれば、もっと生きて絵を描き続けたかったであろう戦没画学生の絵画が展示されています。秋草との季語、塩田平、無言館との名詞のみの句の持つ哀しみは、深くて重いのです。(桑本栄太郎)
29.秋祭り鉦や太鼓や子等の声/祝恵子
太鼓は子らの担当とか、最近の秋祭りは子らの役割がきちんと決められている。そのお蔭で家族のみならず近所の人も楽しむ祭になっている様を上手く詠んだ。(廣田洋一)
03.汁物の夕餉うれしき冬隣る/桑本栄太郎
ついこの間まで暑い暑いとこぼしていたのに、気がつけば冬です。
寒さを覚える頃は温かい汁物が恋しくなります。(多田有花)
04.雨筋の定かや森の蔦紅葉/小口泰與
色づく蔦紅葉に雨がふりかかっています。彩りがまっすぐな雨の筋目を際立たせています。情景がはっきり浮かぶ絵画的な御句です。(多田有花)
23.青と白の光流れる冬の樹々/高橋句美子
街路樹のイルミネーションなんでしょうか。冬の澄んだ空気の夜の光は、きっと鮮やかに流れていたことでしょう。 (高橋秀之)
15.百合鴎源平池に陣なせり/廣田洋一
いつの間にか北方から百合鴎が飛来し、池の景色が一変した。きらきらと初冬の光を帯びた百合鴎
の白い姿が静かな池に浮かび上がるようです。(柳原美知子)
01.山里の夕の小径や石蕗の花/桑本栄太郎
06.里山の清し冷気や干大根/小口泰與
09.船橋で秋の夜明けて瀬戸の海/高橋秀之
27.かがり火の煙流るる里神楽/柳原美知子
■選者詠/高橋信之
19.卓上の甘納豆に冬が来る
20.冬が来る隣の部屋のテレビの声
21.食卓のバナナ五本へ冬灯
■選者詠/高橋正子
31.桜紅葉散りしあとには雲ゆたか
色を極めた桜紅葉も風雨にいためられて凋落する。その後の葉の無い桜の木の上に初冬の雲が豊かに浮かんでいる素敵な景ですね。 (小口泰與)
桜は花の時期には一斉に咲きますが、紅葉のころはいつのまにかちらほらと色づきいつのまにかまばらに散っています。散ったあとの枝の間に見える雲。冬の始まりを感じつつそれを見上げます。 (多田有花)
33.がまずみの赤色しずむ陽がかげり
がまずみの真っ赤な色が陽が落ちてゆけば、色がしずむ。美しい言葉ですね。(祝恵子)
がまずみの深い赤茶と夕方の色合いが重なる様子が秋を感じさせます。 (高橋句美子)
32.椋鳥の逃げて椋の実黒かりき
■互選高点句
●最高点(同点2句/5点)
08.大空に星の輝き冬立てる/高橋秀之
25.林檎もぎ高原の陽を手に移す/柳原美知子
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も一点として加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。
■11月月例ネット句清記
2019年11月10日
11名33句
01.山里の夕の小径や石蕗の花
02.たそがれの頃の燈火や秋没日
03.汁物の夕餉うれしき冬隣る
04.雨筋の定かや森の蔦紅葉
05.秋草や塩田平の無言館
06.里山の清し冷気や干大根
07.休日に嵐山で見る初紅葉
08.大空に星の輝き冬立てる
09.船橋で秋の夜明けて瀬戸の海
10.わが町に陽はさんさんと今朝の冬
11.返り花に蝶が飛び来る正午かな
12.山寺に冬の紅葉の鮮やかに
13.冬日燦祝賀パレードの日和かな
14.散紅葉色重ね居る道の端
15.百合鴎源平池に陣なせり
16.信号が赤に変われば秋夕焼
17.寒空へ鳩舞い朝のホットティー
18.通帳をめくる右手のあかぎれや
19.卓上の甘納豆に冬が来る
20.冬が来る隣の部屋のテレビの声
21.食卓のバナナ五本へ冬灯
22.十一月半月明るい目黒川
23.青と白の光流れる冬の樹々
24.風強しセーターの柄の明るさに
25.林檎もぎ高原の陽を手に移す
26.猫抱けば秋日の匂う草匂う
27.かがり火の煙流るる里神楽
28.黄の花はオンブバッタを止まらせて
29.秋祭り鉦や太鼓や子等の声
30.桔梗咲く蕾を次々弾けさせ
31.桜紅葉散りしあとには雲ゆたか
32.椋鳥の逃げて椋の実黒かりき
33.がまずみの赤色しずむ陽がかげり
※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。
●11月月例ネット句会投句ご案内●
①投句:当季雑詠(秋の句・冬の句)3句
②投句期間:2019年11月4日(月)午前6時~2019年11月10日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:11月10日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:11月11日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、11月11日(月)正午~11月14日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之
■2019年10月月例ネット句会■
■入賞発表/2019年10月14日
【金賞】
07.秋燕や朝の光に群れて飛ぶ/多田有花
夏の間、巣を作り、子育てに忙しかった燕も秋には、大海をわたり南へと旅立つ。旅立ちの前に、集まり群れ飛ぶ姿が、朝の光に眩しい。間もなく去ってゆくことを思うと淋しい。(高橋正子)
【銀賞/2句】
10.秋日和花に触れられ触れてゆく/祝恵子
秋の日和に外を歩くと、咲き乱れる花が触れてくる。触れられれば、また、花に触れてみる。花々のやさしい触感が身に伝わる。花に触れられ、触れる優しい時間だ。(高橋正子)
25.水一杯さらりと鉢のコスモスに/川名ますみ
鉢植えのコスモスに、水を一杯、まるで、人に飲ませるように、さらりと移した。「さらりと」が、さわやかで、優しい。コスモスの花がうれしくて揺れ出しそうだ。(高橋正子)
【銅賞/3句】
13.稲刈機規則正しき音一日/柳原美知子
稲刈機の規則正しい音が休みなく聞こえ、稲は刈り取られて刈田となってゆく。稲刈機の確かな音に豊かな稔りが重なる。(高橋正子)
16.虫の音が夜風と共に流れくる/高橋秀之
日ごと細くなる虫の声。涼しい夜風にのって、窓から聞こえてくるのだ。夜風に乗てくる虫の綴れる声がさびしさを誘う。(高橋正子)
21.富士山の青々そびゆ野分あと/廣田洋一
野分が塵をすっかり払い、富士山は青々として聳えている。長く裾を引く富士の優美な姿をあらためて、日本一の山と思う。私は、四国に住んでいた頃、富士山を日頃見ている人たちは富士山は彼らにどのように思える山なのであろうかと、妙な疑問をもったが、少し、疑問がとけたように思えた。(高橋正子)
【高橋信之特選/7句】
10.秋日和花に触れられ触れてゆく/祝恵子
秋の快晴の日は空気が澄み渡って、天高くピクニックや遠足に最適で、コスモス畑でしょうか、その畑の中をコスモスに触れられ触れて歩く素敵な景ですね。(小口泰與)
07.秋燕や朝の光に群れて飛ぶ/多田有花
燕が飛ぶ綺麗な光景が目に浮かびます。(西村友宏)
16.虫の音が夜風と共に流れくる/高橋秀之
夜風にもやや寒さを覚えるころになり、虫の音を楽しめるのも後わずか。秋の深まりを感じ、その秋を愛でておられる様子が伝わってきます。(多田有花)
31.太鼓の音を空へ響かせ子供神輿/高橋正子
秋晴れの抜けるような青空へ響く太鼓の音、子供神輿の元気のよい掛け声、秋祭りならではの爽やかな心和む光景ですね。(柳原美知子)
15.拾いたての栗山の気配をいただきぬ/柳原美知子
21.富士山の青々そびゆ野分あと/廣田洋一
25.水一杯さらりと鉢のコスモスに/川名ますみ
【高橋正子特選/7句】
13.稲刈機規則正しき音一日/柳原美知子
黄金に稔った稲田が次々と刈田へと姿を変えていきます。その中で一日中響いている稲刈機の音。現代的な稲刈り風景がそこにあります。 (多田有花)
04.山柿へ山の光の重なれり/小口泰與
柿のつやつやした表面に光が重なる様子がきれいです。 (高橋句美子)
07.秋燕や朝の光に群れて飛ぶ/多田有花
10.秋日和花に触れられ触れてゆく/祝恵子
16.虫の音が夜風と共に流れくる/高橋秀之
21.富士山の青々そびゆ野分あと/廣田洋一
25.水一杯さらりと鉢のコスモスに/川名ますみ
【入選13句】
24.帰郷バス降車ボタンに秋夕焼/西村友宏
久しぶりの帰郷でしょうか。夕焼けてゆく中の降車ボタン、待ち人達の姿が見えてくるようです。 (祝恵子)
35.朝寒の早起きすれば太陽眩し/高橋句美子
秋になり日の出も遅くなってきましたが、それでも朝日の眩しさを感じるためには早起きが必要である。そして、早起きしてみる太陽の眩しさ爽やかな一日の始まりでもあります。 (高橋秀之)
27.幼名で耳澄まし待つ大颱風/川名ますみ
大型颱風の予報に、子供の頃の怖かったり、どきどきした記憶が呼び覚まされます。刻々と変わる風雨の音にも耳を澄まし待つ緊張感がうかがえます。 (柳原美知子)
09.秋晴れを眺めつついるベッドかな/多田有花
病院のベッドであろう。秋晴れを眺めつつ、その秋晴れの下へ外出したいという思いが伝わってきます。 (高橋秀之)
11.招き猫の切手貼り付け秋便り/祝恵子
切手の図柄が招き猫なんでしょう。その縁起よさげな切手を貼りつけての秋便りは、先方への温かい思いが詰まっていそうです。 (高橋秀之)
12.萩咲けり仏日和の寺の庭/祝恵子
「仏日和」というのが秋晴れの日のお寺の庭を象徴しています。柔和な仏像の笑みのような穏やかな日和、お参りしたお寺の庭には萩が咲きそろっていました。(多田有花)
26.列車の響き次第に減りて颱風来/川名ますみ
最近では、台風の襲来に備えてあらかじめ計画運休する交通機関が増えています。台風19号に備え、首都圏でも電車が次々運休していったのでしょう。それを敏感な耳でとらえておられます。(多田有花)
02.溝蕎麦や細川(ほぞ)を流るる水の音/桑本栄太郎
澄んだ細川の水音もやさしく、秋光にきらめく雫を帯びた溝蕎麦の可憐さが眼に浮かぶようです。(柳原美知子)
08.点滴の始まりを待つ秋の朝/多田有花
14.朝空へ畦を描ける曼珠沙華/柳原美知子
22.見送りし列車のドアに赤蜻蛉/西村友宏
34.秋晴れの光眩しくガラス窓/高橋句美子
35.朝寒の早起きすれば太陽眩し/ 高橋句美子
■選者詠/高橋信之
30.今日をたのしみに秋刀魚焼く匂い
今日一日のたのしみを思われる生活、季節のたのしみを思われ、秋刀魚を焼く匂いに満足感を覚えられる充実したお暮しぶりに心惹かれます。(柳原美知子)
28.さわやかな今日の始まる朝日の部屋
29.卓上の薄が風もなく揺れる
■選者詠/高橋正子
32.子供神輿小さき街の街筋を
子供神輿は、色々と支援してくれる家を回る。故に小さき街の街筋を、と言う12文字が良く実態を表しているのが上手い。 (廣田洋一)
31.太鼓の音を空へ響かせ子供神輿
33.台風の風雨の音に林檎剥く
■互選高点句
●最高点(同点3句/4点)
10.秋日和花に触れられ触れてゆく/祝恵子
21.富士山の青々そびゆ野分あと/廣田洋一
25.水一杯さらりと鉢のコスモスに/川名ますみ
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も一点として加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。
■10月月例ネット句清記
2019年10月13日
12 名36句
01.赤き実の屋根に垂れ居りからす瓜
02.溝蕎麦や細川(ほぞ)を流るる水の音
03.吟行の月の名残りや御所の庭
04.山柿へ山の光の重なれり
05.谷川の水押す風や秋の湖
06.桔梗やゲイトボールの打球音
07.秋燕や朝の光に群れて飛ぶ
08.点滴の始まりを待つ秋の朝
09.秋晴れを眺めつついるベッドかな
10.秋日和花に触れられ触れてゆく
11.招き猫の切手貼り付け秋便り
12.萩咲けり仏日和の寺の庭
13.稲刈機規則正しき音一日
14.朝空へ畦を描ける曼珠沙華
15.拾いたての栗山の気配をいただきぬ
16.虫の音が夜風と共に流れくる
17.秋晴れに神戸の海は煌めいて
18.朝晩は涼しくなりて黄葉す
19.底紅や女子高生の笑ひ声
20.このところジムに来ぬ人秋の風
21.富士山の青々そびゆ野分あと
22.見送りし列車のドアに赤蜻蛉
23.部屋干しの服連なりて台風来る
24.帰郷バス降車ボタンに秋夕焼
25.水一杯さらりと鉢のコスモスに
26.列車の響き次第に減りて颱風来
27.幼名で耳澄まし待つ大颱風
28.さわやかな今日の始まる朝日の部屋
29.卓上の薄が風もなく揺れる
30.今日をたのしみに秋刀魚焼く匂い
31.太鼓の音を空へ響かせ子供神輿
32.子供神輿小さき街の街筋を
33.台風の風雨の音に林檎剥く
34.秋晴れの光眩しくガラス窓
35.朝寒の早起きすれば太陽眩し
36.昼休みの鞄を重く栗蒸し羊羹
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