ご挨拶/12月月例ネット句会を終えて

12月月例ネット句会にご参加くださいまして、ありがとうございました。今年最後の句会となりました。選とコメントをありがとうございました。
新型コロナも、新たなオミクロン株現れて、水際対策によって今のところ抑えられておりますが、また、いつ感染が広がるかと言う心配もあります。なんとかこのままで新年を迎えたいものです。
今年は、花冠365号を出すことができました。この号を読まれた現代俳句協会の水野事務局長さんから、「花冠のみなさん、真摯に、一生懸命俳句に取り組んでおられる。」とお誉めいただきました。部外のかたに評価をいただくことは稀ですが、嬉しいことでした。日々の皆様のご精進のおかげです。来年もひきつつき、よろしくお願いいたします。皆さま、よいお年をお迎えください。
これで、12月月例ネット句会を終わります。
髙橋正子 
12月17日

■□12月月例ネット句会/入賞発表■□

■12月月例ネット句会/入賞発表
■2021年12月月例ネット句会■
■入賞発表/2021年12月13日

【金賞】
10.花野枯れ薄き匂いの風の野へ/吉田 晃
いろんな草草がある野が枯れると、枯れの薄くあわい匂いが立つ。その匂いが風が吹くと野に広がり、野はせつなくも優しい野となる。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
07.路地が好き郵便ポスト曲がれば冬/祝 恵子
庶民の生活がたのしく詠まれている。日々暮らす路地。その路地を曲がると郵便ポストがある。ちょっと開けた空間なのだろう。「冬」がそこにあるのを感じた。(髙橋正子)

02.匂い立つ早や柊の蕾より/吉田 晃、
柊の白い花は、金木犀とはまた違って、つんとした清らかな匂いがする。花が咲けばもちろん匂いは流れてくるが、小さな蕾のうちからも、はや。匂っている。そこがいい。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
26.夫在りし日のごとたっぷりおでん煮る/柳原美知子
家族の一人がいなくなっても、毎日の食事の支度で身についていた量の感覚というのは、恐ろしいもので、なかなか按配できない。一人、二人になっても感覚的には三人なのである。(髙橋正子)

31.蜜柑買い二人で運ぶ空が晴れ/髙橋句美子
蜜柑を箱で買ったのか、重いので二人で協力して運ぶと、空が青々と晴れて、カラッとした空気が快い。明るい蜜柑の色、晴れた空の青が印象に残る。(髙橋正子)

09.足場組み巡らす網より冬夕焼け/祝 恵子
組まれた足場に巡らされる安全の網。その網から夕焼が見える。無味乾燥とも思える建築現場も、冬夕焼の一景に収まった。冬夕焼が効いている。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】
07.路地が好き郵便ポスト曲がれば冬/祝 恵子
日当たりのよい路地、生活の匂いがし、郵便ポストにも温かみが感じられる。そこを曲がれば吹きさらし。ドラマのワンシーンのようで、楽しく、若々しい句ですね。(柳原美知子)

05.明滅や冬の日差しの絶え間なく/桑本栄太郎
小さな冬雲が行き過ぎるたびに気温の違いを肌に感じる。冬の薄い日差しだからこその感覚であろう。作者はその薄い明滅を視覚のみならず、肌でも感じておられる。(吉田晃)

08.手渡しでハトに餌をやる冬の土手/祝 恵子
09.足場組み巡らす網より冬夕焼け/祝 恵子
10.花野枯れ薄き匂いの風の野へ/吉田 晃
12.匂い立つ早や柊の蕾より/吉田 晃
26.夫在りし日のごとたっぷりおでん煮る/柳原美知子

【髙橋正子特選/7句】
16.花屋には赤の溢れて十二月/廣田洋一
クリスマスの時期にはポインセチアなどの赤が目につきます。あの赤は十二月だな、と思わせてくれる赤ですね。(多田有花)

22.冬もみじ教室の朗読の声聞こえ/西村友宏
学校の横を通られたのでしょう。聞こえた朗読の声にふと顔を上げられたら冬紅葉が目につきました。朗読の聴覚、冬紅葉の視覚、その二つが出会った御句です。(多田有花)

31.蜜柑買い二人で運ぶ空が晴れ/髙橋句美子
蜜柑を箱で買われました。段ボールを両側から二人で持って運ばれたのでしょうか。箱買いの蜜柑はお正月が近いことを感じさせてくれます。(多田有花)

07.路地が好き郵便ポスト曲がれば冬/祝 恵子
12.匂い立つ早や柊の蕾より/吉田 晃
21.日を透かし軽くなりたる冬紅葉/髙橋信之
26.夫在りし日のごとたっぷりおでん煮る/柳原美知子

【入選/12句】
01.谷川の水は鋼や十二月/小口泰與
寒さの厳しいシーズンに入ってきました。川の水の冷たさも一段と増します。その冷たさ、厳しさを「鋼」という言葉で的確に表現されています。(多田有花)

03.麦の芽や我が産土は風の里/小口泰與
蒔かれた麦が風に吹かれている風景を目にすると、懐かしくふる里を思い起こされるのだろう。賑やかなものが一切ない、麦の芽と風だけの場所は詠者の大切な原風景になっているのでしょう。(吉田晃)

14.塩蒸しの冬の南瓜の甘きこと/多田有花
南瓜の甘さに嬉しくなった率直な気持ちが伝わってくる素敵な句と感じました。「の」が続くことでリズムも軽快です。 (西村友宏)

18.実千両垣をはみ出す古き家/廣田洋一
千両の実、垣根、古い家。これらが揃った風景は、懐かしさを思い起こしてくれます。冬の日差しが暖かいことを想像させてくれていいですね。 (吉田晃)

23.冬籠り下校のチャイムに夕支度/西村友宏
一日の日差しがすっかり短くなり、午後4時頃の下校時ともなれば薄暗くなります。我が家でも下校のチャイムの鳴る時間ともなれば夕餉の支度を行っています。小学校、中学校とも直ぐ近くあり、同じような冬の生活リズムにとても共感です。 (桑本栄太郎)

25.すっと開く小春の引き戸に猫の顔/柳原美知子
ふとした日常のゆったりとした光景が思い浮かびました。 (髙橋句美子)

27.窓暮れて山際淡き冬茜/柳原美知子
窓辺から見る夕焼け、今日も一日が暮れてゆく安堵感でもあります。 (祝恵子)

13.裏庭に小さき大根育ちおり/多田有花
冬の日差しを受けて、生き生きと育つ緑の大根葉。その下に小さいながらも大根のまっさらな白がみえてきたうれしさ。裏庭での日々の農作業の喜びが伝わってきます。 (柳原美知子)

32.水仙の白を見つけて公園へ/髙橋句美子
樹々も落ち葉し、花も少なくなった散歩道。清々しい香りがほんのりと漂ってくる水仙の白さに、新たな季節を迎える喜びが感じられます。 (柳原美知子)

11.熱き湯に身を沈めれば神無月/吉田 晃
15.銀杏落葉表通りを一色に/多田有花
33.贈り物を待つ日々長くアドベント/髙橋句美子
26.夫在りし日のごとたっぷりおでん煮る/柳原美知子

■選者詠/髙橋信之
21.日を透かし軽くなりたる冬紅葉
冬に残り映える紅葉も日の経つうちに葉を落として梢も軽くなり、月が良く見えるようになった。寒い冬が来た景が良く見えてきます。 (小口泰與)

19.冬椿の白に解放され正午
20.?梅の花と香りと青空に

■選者詠/高橋正子
30.眠るまで聞けり冬の夜のラジオ
 あれこれと多忙だった一日が終わり、心身ともに寛げる時間を得た。床に就いたのであろうか。枕元に置かれたラジオの声が、心地よい冬の夜の眠りに誘ってくれる。豆電球の部屋に流れているラジオに向けられた意識がいいと感じた。 (吉田晃)

29.職辞してオリオン星座ひんがしに
最後のお勤めを終え、東の空に輝きはじめたオリオン座を仰ぎながら、安堵感と解放感、新たな季節への感慨を深められたことでしょう。お疲れ様でした。 (柳原美知子)

28.橋塔の灯の明滅を冬の霧

■互選高点句
●最高点(同点2句/5点)
16.花屋には赤の溢れて十二月/廣田洋一
26.夫在りし日のごとたっぷりおでん煮る/柳原美知子

※コメントの無い句にコメントをお願いいたします。

■12月月例ネット句会清記■

■12月月例ネット句会清記■
2021年12月12日
11名(33句)
01.谷川の水は鋼や十二月
02.寒菊や風の放埓今日もまた
03.麦の芽や我が産土は風の里
04.綿虫の記憶点ずる浮遊かな
05.明滅や冬の日差しの絶え間なく
06.吾輩の名前は要らず漱石忌
07.路地が好き郵便ポスト曲がれば冬
08.手渡しでハトに餌をやる冬の土手
09.足場組む巡らす網より冬夕焼け
10.花野枯れ薄き匂いの風の野へ

11.熱き湯に身を沈めれば神無月
12.匂い立つ早や柊の蕾より
13.裏庭に小さき大根育ちおり
14.塩蒸しの冬の南瓜の甘きこと
15.銀杏落葉表通りを一色に
16.花屋には赤の溢れて十二月
17.ブロッコリー球を開きて歌唱せり
18.実千両垣をはみ出す古き家
19.冬椿の白に解放され正午
20.?梅の花と香りと青空に

21.日を透かし軽くなりたる冬紅葉
22.冬もみじ教室の朗読の声聞こえ
23.冬籠り下校のチャイムに夕支度
24.歳末セールカード幾枚も備え
25.すっと開く小春の引き戸に猫の顔
26.夫在りし日のごとたっぷりおでん煮る
27.窓暮れて山際淡き冬茜
28.橋塔の灯の明滅を冬の霧
29.職辞してオリオン星座ひんがしに
30.眠るまで聞けり冬の夜のラジオ

31.蜜柑買い二人で運ぶ空が晴れ
32.水仙の白を見つけて公園へ
33.贈り物を待つ日々長くアドベント

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

■12月月例ネット句会ご案内■

■12月月例ネット句会ご案内■
①投句:当季雑詠(冬の句)3句
②投句期間:2021年12月6日(月)午前6時~2021年12月12日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:12月12日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:12月13日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、13月13日(月)正午~12月16日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

ご挨拶/11月月例ネット句会を終えて

11月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。継続してご参加いただいている皆様には、本当に感謝でございます。入賞の皆さまおめでとうございます。選やたくさんのコメントをありがとうございました。

一か月ごとの区切りに季節の進み具合をご投句から確かめることができるのも、月例句会の魅力です。先師の川本臥風先生から「俳句は季節の微妙な移り変わりを捉えているのが良い句だ」お聞ききしたことがあります。それに間違いはないことを今回の句会でも感じました。日々のご精進の結果でしょう。

新型コロナの感染もいまのところ収まっているようで、このまま収束することを願わずにおれません。今年も来月1か月と少しを残して終わります。「終わりよければすべてよし」、としたいものです。寒さに向かいます。お体に気を付けて、ご健吟ください。これで11月月例ネット句会を終わります。
髙橋正子

■11月月例ネット句会/入賞発表■

■11月月例ネット句会/入賞発表
■2021年11月月例ネット句会■
■入賞発表/2021年11月15日
【金賞】
★建つ家の槌音高く冬に入る/藤田洋子
「冬に入る」に重みがある。ほかの季節でなく厳しい季節である冬が始まるとき、建築中の家の柱を打つ槌音がきりっとした空気を響かせて弾んでいる。高い槌音は喜びとして聞こえる。(髙橋正子)

【銀賞】
★小鳥来て金柑黄に輝ける/吉田 晃
小鳥が来ることは、生活に楽しさが加わること。金柑の実は黄色が輝き、小鳥が来て、羽音や鳴き声を立てる。小さきものへの優しいまなざしの句。(髙橋正子)

★秋深し残業帰りの駅の椅子/高橋秀之
残業を終えて電車を待つために座る駅の椅子。疲れの深さとともに、秋の深さ、時の深さが否応なく寄せて来る。そんな感覚をうまく詠んだ。(髙橋正ko 子)
【銅賞/3句】
★秋の日に尾を燦めかせ猫過ぎる/川名ますみ
猫が尾を巻きあげて通り過ぎるのであろう。その尾に秋の日が当たって、尾の毛が燦めく。通り過ぎる猫によって、「秋の日」という日の燦めきを見ることができた。(髙橋正子)
★グラタンの煮え立つ音や秋の暮/西村友宏
秋の暮は、そぞろ寒く、あたたかいところが恋しい。グラタンが煮え立つ生活の音に秋の深まりを感じたのがよい。(髙橋正子)
★服を畳む小春日和の明るき窓/髙橋句美子
小春日和の窓脇は、あたたかくて快い。その窓際に寄り、服を畳んで整える。ゆっくりと流れる時間は、まさに小春日和そのもの。(髙橋正子)
【高橋信之特選/7句】
★建つ家の槌音高く冬に入る/藤田洋子
寒気をふるわせ、立冬の青空へと音高く響く槌音。新築の家への期待と新たな季節と生活への希望に満ちた力強い句です。(柳原美知子)

★小鳥来て金柑黄に輝ける/吉田晃
★秋深し残業帰りの駅の椅子/高橋秀之
★木の実降るはっしと森に鋭き音を/髙橋正子
★グラタンの煮え立つ音や秋の暮/西村友宏
★服を畳む小春日和の明るき窓/髙橋句美子

【髙橋正子特選/7句】
★秋雲の掃かれし先の青ばかり/川名ますみ
漂う雲が形を変えて消えていく様を「掃かれ」と表現するのは美しいと感じましたし、「青ばかり」という言葉で空気の澄んだ気持ちのよい秋晴れが鮮明に浮かびました。 (西村友宏)
秋の雲が掃かれるように、それはそれはゆっくりと風に流れる。薄い雲が流れた後には、秋独特の薄く青い空が高く広がっていて、詠者はそこに秋の美しさを見つけたのだろう。(吉田 晃)

★小鳥来て金柑黄に輝ける/吉田晃
★秋深し残業帰りの駅の椅子/高橋秀之
★建つ家の槌音高く冬に入る/藤田洋子
★グラタンの煮え立つ音や秋の暮/西村友宏
★服を畳む小春日和の明るき窓/髙橋句美子
★空青ければ銀杏黄葉を輝かす/髙橋信之

【入選/23句】
★束の間の没日差しけり石蕗の花/小口泰與
日陰に咲く石蕗の花に入り日が差し、しばらく幻想的な黄の色に染められ、静かで心やすらぐ夕暮れとなりました。(柳原美知子)
★松籟の神在り月の大社かな/桑本栄太郎
旧暦10月は全国の神様が松風の優しく吹く出雲の大社にあつまります。これを出雲では神存月と呼び、神と人の神秘的な伝統伝統行事「神在祭」が行われます。 (小口泰與)
★山里の坂を巡ればお茶の花/桑本栄太郎
坂を巡り歩いて、お茶の花を見つけたときのうれしい気持ちが感じられます。(髙橋句美子)
★冬うらら堤防に座しお弁当/祝 恵子
風もなく穏やかな日、背中に日差しを浴びながらお弁当をいただくひとときは至福ですね。ひとりで食べても美味しいし、他愛も無い事をしゃべりながら親しい者が集まって食べるのもいいものです。 (多田有花)

★大空の雲は素早し冬立てる/高橋秀之
冬に入った日、まだ暖かさが残っていますが、空を行く雲の流れは速く上空の風の強さを思います。町に北風がやってくるのももうすぐ。 (多田有花)

★枯すすき風吹くたびに空を掃く/多田有花
 枯れすすきが風に揺れている様が良く見える。揺れるのを空を掃くとしたのが上手い。 (廣田洋一)

★高きより地上に降らす木の葉雨/多田有花
天上から光とともに降ってくるような色とりどりの木の葉雨。その音と風に包まれて、自然の懐にいる充足感が感じられます。(柳原美知子)

★木枯しを独り聞きたる厨かな/廣田洋一
あれ程暖かった初冬も過ぎ、11月も中旬ともなれば木枯し一番の吹く頃である。今夜は鍋料理であろうか?色々食事の支度を行いながら、木枯しの音を聞いています。 (桑本栄太郎)

★棟上げの朝新米の封を切る/藤田洋子
気持ちのいい句です。棟上げ、新米、気持ちが浮き立ち「さあ」という勢いを感じます。ありありとその瞬間の光景が見えてきます。(多田有花)
棟上げ、新米、新しいものへの喜びが感じられます。今年もあと二か月足らず。新たな年が幸多いものであることを願う詠者の願いがあるのでしょう。(吉田 晃)

★柿紅葉添えて熟柿をいただきぬ/柳原美知子
熟柿が好きな方にはたまらない美味しさでしょう。柿だけでなくそこに柿紅葉を添えられるあたり、粋ですね。 (多田有花)

★田の鋤かれ畝整然と冬に入る/柳原美知子
冬に入った日に、草一本無く鋤かれていて、冬の用意が調いました。 (祝恵子)

★まっ新なセーター羽織って演奏会/西村友宏
演奏会に出演されたのでしょうか?楽器は何を演奏されたのか?どんな曲だったのかなどと想像が膨らみます。 (多田有花)

★活気づく赤提灯と冬の月/西村友宏
たまたまですが、今日の仕事帰り、赤提灯行ってきました。そして、月もきれいな夜でした。活気づく赤提灯、今の世相を感じます。 (高橋秀之)

★裸木の枝伸びのびと風ほふる/小口泰與
★玄関へ挿し置く棉の実の白さ/吉田晃
★いましばし石燈籠に冬紅葉/多田有花
★枯すすき風吹くたびに空を掃く/多田有花
★木枯しを独り聞きたる厨かな/廣田洋一
★玄関に朝を待ちたる落葉かな/廣田洋一
★芽水仙日の廻り来る庭の隅/藤田洋子
★水仙のはがきを選び筆が乗る/髙橋句美子
★水遣れば土の吸う音秋の風/川名ますみ

■選者詠/髙橋信之
★冬黄葉今日を輝く一日に
ずっと昔から変わらず、今日を前向きに生きておられる。ただ生きるだけなら今日は輝かない。先生の俳句への日々の精進があって、今日を輝かせたいとh日々取り組んでおられるのだ。(吉田 晃)

★空青ければ銀杏黄葉を輝かす
★皇帝ダリア咲いて空のあやうさよ

■選者詠/高橋正子
★届きたる芋に田泥のほろほろと
土のついた芋。洗わずに泥のついたままを送ってきた。洗わなかったのは送り主の心遣いであり、詠者はその心遣いを嬉しく感じ、句にしたためたのだと思う。泥のついた芋は、土の手触りと匂いがして田舎を思い起こさせてくれたのだろう。 (吉田晃)
★青空のさいはてなりき雪の富士
雪の富士山の圧倒的な存在感と身の引き締まるようなひろびろとした青空が想像されます。新たな季節の到来が喜びをもって感じられます。(柳原美知子)
★木の実降るはっしと森に鋭き音を
■互選高点句
●最高点(5点)
★建つ家の槌音高く冬に入る/藤田洋子

■11月月例ネット句会清記■

11月月例ネット句会清記■
2021年11月14日
14名(42句)

01.束の間の没日差しけり石蕗の花
02.裸木の枝伸びのびと風ほふる
03.溶岩道の豁然とあり雪浅間
04.松籟の神在り月の大社かな
05.山里の坂を巡ればお茶の花
06.時雨るるや錆び色まさるプラタナス
07.小菊並ぶ横には豆に吊るす藁
08.冬うらら堤防に座しお弁当
09.冬地蔵尼寺の玄関は開く
10.掃き寄せる落葉の枯れのやわらかき

11.玄関へ挿し置く棉の実の白さ
12.小鳥来て金柑黄に輝ける
13.きらきらと揺れる水面に差す冬陽
14.大空の雲は素早し冬立てる
15.秋深し残業帰りの駅の椅子
16.いましばし石燈籠に冬紅葉
17.枯すすき風吹くたびに空を掃く
18.高きより地上に降らす木の葉雨
19.木枯しを独り聞きたる厨かな
20.玄関に朝を待ちたる落葉かな

21.老先の長さ測りて木の葉髪
22.棟上げの朝新米の封を切る
23.建つ家の槌音高く冬に入る
24.芽水仙日の廻り来る庭の隅
25.叢の峡のひだまり野菊咲く
26.柿紅葉添えて熟柿をいただきぬ
27.田の鋤かれ畝整然と冬に入る
28.届きたる芋に田泥のほろほろと
29.木の実降るはっしと森に鋭き音を
30.青空のさいはてなりき雪の富士

31.グラタンの煮え立つ音や秋の暮
32.まっ新なセーター羽織って演奏会
33.活気づく赤提灯と冬の月
34.水仙のはがきを選び筆が乗る
35.服を畳む小春日和の明るき窓
36.休みの日こたつ布団を洗う朝
37.冬黄葉今日を輝く一日に
38.空青ければ銀杏黄葉を輝かす
39.皇帝ダリア咲いて空のあやうさよ
40.秋雲の掃かれし先の青ばかり

41.水遣れば土の吸う音秋の風
42.秋の日に尾を燦めかせ猫過ぎる

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。選句は<コメント欄>にお書きください。

■11月月例ネット句会ご案内■

■11月月例ネット句会ご案内■
①投句:当季雑詠(秋の句・冬の句)3句
②投句期間:2021年11月8日(月)午前6時~2021年11月14日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:11月14日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:11月15日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、11月15日(月)正午~11月18日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

ご挨拶

まだ所によっては、30度をこえる暑さとなる日もあるようですが、皆様のところは、実際いかかでしょうか。
10月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。入賞の皆さまおめでとうございます。今回は、コメントの無い句に私がコメントをつけました。一人が書きますと、似たようなコメントが並びはしないかと思いますが、率直な感想を書きました。コメントを入れたい方がおられましたら、句会は終わりとしますが、いつでも、お書込みください。
ここ数日は、急に秋が深まってきています。皆様のご投句からも、秋の深まりを詠んだ佳い句に出会い、四季の移り変わりのある日本のよさを感じたりしまうぃた。近所の庭の柿の実が熟れたり、鉦叩がよく鉦を打ったり、丘にのぼれば、横浜のランドマークタワーまで鱗雲やすじ雲が広がっている景色が楽しめます。新型コロナの感染を心配して、まだ不自由感はありますが、気持ちだけでも、自由に、リラックスして俳句に向かいたいと思います。これで、10月月例ネット句会を終わります。来月を楽しみに、ご健吟ください。
10月14日
主宰 髙橋正子

■10月月例ネット句会/入賞発表■

■2021年10月月例ネット句会■
■入賞発表/2021年10月11日
【金賞】
20.草の実の簡素な色が野にあふれ/吉田晃
「簡素な色」は、抽象的なようだが、草の実の実物に触れたものには、リアルな色として感じ取れる。「簡素な色」が野にあふれ、やさしくも確かかな花野の景色を生んでいる。(髙橋正子)

【銀賞】
07.朝歩き穂架(ほざ)に輝く稲の粒/祝恵子
朝、田んぼのほとりを歩くと、稲架に掛けられた稲穂が朝日に当たって、一粒一粒が輝いている。実りの豊かさが直に喜びとして伝わる。(髙橋正子)

23.湧水をバケツに汲んで芒採る/柳原美知子
湧水を汲みに来て、傍にある芒の穂を折りとったのであろう。こんこんと湧く澄んだ水と、芒の出合いが自然の懐の深さを思わせてくれる。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
10.天高しショパンコンクール始まる/川名ますみ
世界の注目を集めるショパンコンクールは、今年10月3日から20日までショパンの祖国ワルシャワで開催されている。コンクールの模様はYouTubeなどで配信され、遠く離れている日本でもネットを通して聞くことができる。「天高し」の空はつながり、ショパンコンクールが身近になった。ピアニストでもある作者の、ショパンコンクールに寄せる期待と高揚感が率直な表現で読み取れる。(髙橋正子)

31.稜線の上に広がる空高き/高橋秀之
「稜線」という言葉の音が、山並の伸びやかさを感じさせてくれる。きっかりと引かれた稜線の上に、かぎりなく広く高い空がある。大きな句に悠久の自然を感じる。(髙橋正子)

36.新米をずしりと抱え急ぐ帰路/髙橋句美子
新米を買って家路を急ぐ。夕飯となる新米だろうか。ずしりと重い。「ずしりと」の一語が、米の意外な重さを表している。(髙橋正子)

【高橋信之特選/7句】
20.草の実の簡素な色が野にあふれ/吉田晃
野に咲いていた色とりどりの草花もいつの間にか実となり、素朴で簡素な色合いの野となったけれど、それぞれの実もまた愛おしい。季節の移り変わりを実感し、生き物への優しい視線を感じます。 (柳原美知子)

07.朝歩き穂架(ほざ)に輝く稲の粒/祝恵子
10.天高しショパンコンクール始まる/川名ますみ
23.湧水をバケツに汲んで芒採る/柳原美知子
30.秋夕べ芋の葉半分ずつ陰り/髙橋正子
31.稜線の上に広がる空高き/高橋秀之
36.新米をずしりと抱え急ぐ帰路/髙橋句美子

【髙橋正子特選/7句】
25.平らかに畝を盛り上げ大根蒔く/廣田洋一
初秋の爽やかな季節に蒔く大根です。畝を丁寧に盛り上げ、芸術品とも思える程の綺麗な畝に、大根の種を丁寧に蒔いて行きます。如何にも心地よさそうな初秋の畑が想われます。(桑本栄太郎)

07.朝歩き穂架(ほざ)に輝く稲の粒/祝恵子
10.天高しショパンコンクール始まる/川名ますみ
20.草の実の簡素な色が野にあふれ/吉田晃
23.湧水をバケツに汲んで芒採る/柳原美知子
31.稜線の上に広がる空高き/高橋秀之
36.新米をずしりと抱え急ぐ帰路/髙橋句美子

【入選/16句】
01.一天の雲の無き日や秋高し/桑本栄太郎
秋の空には、一点の雲のない空があくまで青く広がる日が有る。本当に天が高く底知れぬ感じをうまく詠まれた。(廣田洋一)

08.芙容咲く朝日とすずめ降りてくる/祝恵子
芙蓉の花がひらくところに、朝日が注ぎ、すずめ達も舞い降りる。色も光も動きも、爽やかな秋の朝ですね。朝日とすずめが「降りてくる」という表現に、幸せな心地を感じます。(川名ますみ)

19.川漁の魚籠をこぼれる秋の水/吉田晃
獲れた魚は何だったのでしょう?川で漁をするくらいですから、それなりの大河で水のきれいなところかと想像しました。 (多田有花)
魚籠いっぱいに釣り上げた魚に利刀の例えにも言われている澄みわたった水が魚籠からこぼれている。満足の釣果である。(小口泰與)

27.参道の風白く見せ萩の花/廣田洋一
参道を行くと白萩が揺れている。揺らしている風が白く見えている風情がいいですね。 (祝恵子)

32.秋の海フェリーの揺れが心地よき/高橋秀之
穏やかな海をゆっくりと進むフェリーののんびりとした雰囲気が感じられます。 (髙橋句美子)

35.秋晴の洗濯物に陽の香り/髙橋句美子
まさに今日の洗濯物で感じたところでした。夏でもなく冬でもなく、秋の陽の香りが幸せを感じるひとときです。 (高橋秀之)
02.白壁の民家背に入れ秋桜/桑本栄太郎
白壁と秋桜の取り合せ。いつ見ても心和む日本の風景が詠まれいる。(髙橋正子)

03.山里の早やも灯の点く秋入日/ 桑本栄太郎
山里の暮れは早い。秋の日が山に入るころには、もう人家に灯が点る。人恋しい山里の夕暮れの灯が暖かい。(髙橋正子)
05.紅葉や日向日影の山分かつ/小口泰與
紅葉した山が、日当たるところと、日影のところと明暗が分かれてはっきりしている。日当たれば輝き、日影になれば、落ち着いた色になる紅葉。どちらもあっていい。(髙橋正子)

09.新米を抱き上げ持ちく荷台より/祝恵子
新米を運んできたのは、何なんだろう。自転車、バイク、軽トラ。荷台から持ち上げ、抱きかかえて重そうに運んでくれた嬉しい新米の到着。(髙橋正子)

11.ワルシャワに灯火親しむノクターン/川名ますみ
今ちょうど、5年に一度開催されるショパンコンクールの真っ最中。ライブ配信もされ、コンクールの曲が聞けるようになった。灯の下に聞こえてくるノクターンに、演奏者への思い、またショパンへの思いを馳せる。(髙橋正子)

13.氏神の社に朝日豊の秋/多田有花
里に祀られる氏神の社を朝日が包むように差して、今スポットライトが当たっている。氏神を据え田んぼにも、畑にも、豊かな実りの秋となっている。(髙橋正子)

15.廃屋に始まる蔦の紅葉かな/多田有花
廃屋となった家に蔦がからんだ。けれど、まずその蔦が紅葉し始め、廃屋も存在感を増し、画になりそうな景色となっている。(髙橋正子)

16.やや寒し上着と共に朝散歩/ 西村友宏
少し寒くなった。朝の散歩に、上着を抱えて歩いた。上着は着なかったであろうが、ずっと一緒に歩いた。愛着上着。(髙橋正子)

18.お地蔵に紅葉がひらり朝の風/ 西村友宏
朝の風がさっと吹いてきて、紅葉がひらりとお地蔵に載った。ひらりと地蔵に舞い落ちる紅葉に「小さい秋」を見つけた。(髙橋正子)

21.風さやか薔薇の花びらゆれるとき/吉田晃
秋薔薇の花びらが揺れると、風のさやかさにはっと気づかされる。やや細い花茎の薔薇の花が揺れる姿が思われる。(髙橋正子)

■選者詠/高橋信之
37.金水引きらきら森の時しずか
小さく黄色い花が集まって咲いている様が、森の静家さによって一層きらきらとかんじられる美しい光景が浮かびました。(西村友宏)

38.かまずみの実の赤鳥の眼に吾に
先生の句「こおろぎ鳴く同じ地面にわが両足」を思い出す。こおろぎも先生も同じ地面にいる。鳥の目に映るがまずみの実は、同じ色で先生の目にも映っている。命が大切だとは一言も言っていないが、これらの句の中に流れているのは、平等な命に対する先生の思いなのだ。 (吉田晃)

39.大盛りの零余子ご飯の団欒に

■選者詠/高橋正子
30.秋夕べ芋の葉半分ずつ陰り
日の入りも早くなり、里芋畑も暮れつつある中、雲の動きで、日が差したりかげったりしている。遥かな空にはうっすらと夕焼けがひろがっている秋の山里の美しい夕景が目に浮かびます。(柳原美知子)

28.流れ吹く風に流され花芒
29.駅前に白がゆかしき貴船菊

■互選高点句
●最高点(6点)
27.参道の風白く見せ萩の花/廣田洋一