■12月例ネット句会ご案内■

■12月例ネット句会ご案内■
①投句:当季雑詠
12月4日(月)午前6時~2023年12月10日(日)午後5時

②投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:12月10日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:12月11日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、12月11日(月)正午~12月14日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏

ご挨拶/11月月例ネット句会を終えて

ご挨拶
例年になく暖かい立冬でしたが、しぐれがちな日のあとは、暦どおりに急に寒くなってまいりました。11月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。13名の方にご参加いただきました。選とコメントをありがとうございました。入賞の皆様おめでとうございます。
皆様の日々の俳句精進のお陰でしょうか、このところ、総合俳誌から皆さんへの俳句の原稿依頼が続いております。ご自分のための俳句ですが、発表すれば、俳句はひとり歩きを始めます。ひとり歩きを始めた俳句を読むこともまた楽しみなことです。
これで、11月月例ネット句会を終わります。来月のネット句会は12月10日(日)になります。楽しみにお待ちください。

■11月月例ネット句会入賞発表■

■11月月例ネット句会入賞発表■
2023年11月12日

【金賞】
33.谷水を啄み鶺鴒水の上/柳原美知子
鶺鴒には、セグロセキレイ、ハクセキレイの二種類がよく見られるが、水辺を好むのは、セグロセキレイ。きれいな谷の水を餌を啄むかのように、啄んで飲んでいる。鶺鴒がいる場所は、水の上。どこまでも水に近い。それはセグロセキレイの習性であろうが、清冽な印象の句である。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
08.雲も陽も富士へと沈む秋夕焼/川名ますみ
富士山は大いなる山。雲も陽も、富士山へと移り、富士山の向こうへ沈む。そのとき、空には大きな秋の夕焼けが広がる。雄大な景色を句に詠みとどめた手柄。(髙橋正子)

31.鰯雲下校の子の声よく聞こえ/柳原美知子
鰯雲は秋を代表する雲。秋晴れの日が続き鰯雲が広がると、空気はより澄んで、乾いてくる。下校の子供たちの楽し気な話声もよく聞こえる。何事もない晴れやかな日常が続くことは嬉しいことだ。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
14.花野ゆれ花影やわらかくゆれる/吉田 晃
花野に風が吹くと、花野は揺れる。花影も綾に、やわらかくゆれる。やさしい景色を柔らかい言葉で詠んでいる。「花」「影」「野」「ゆれる」からは、やさしいイメージが喚起される。(髙橋正子)

21.日の落つる速さよ冬の散歩道/祝 恵子
散歩をしていると、急に日暮れが迫ってきて、日の落ちる速さに、一抹の不安さえ覚える。日常の散歩にも、自然の微妙な巡りを感じる時がある。(髙橋正子)

37.酉の市縁起熊手に手締め鳴る/髙橋句美子
酉の市はもともとは大鳥神社で行われる行事。十一月の酉の日に市が立ち縁起物の熊手が売られる。中には高額な大きな熊手もあって、商売繁盛を願う人たちの買われていく。商談成立の手締めの拍手が高らかに鳴る。歳晩らしい賑わいである。(髙橋正子)


【髙橋正子特選/7句】
12.冬立の朝も定刻電車に乗る/高橋秀之
冬の兆しが見え始める、空気がぐっと冷たくなる時期。いつもの定刻通りに電車が来ている。作者を含めた通勤通学の人びとが季節の移り変わりを感じるか否かの瞬間に立ち合っている。 (弓削和人)

15.紫蘇を引く軽き力に実のはじけ/吉田 晃
紫蘇もいよいよ枯れ、始末をしようとすっと引き抜くと思いがけず枯色の実の中から黒々とした種が弾け飛んだ。植物の生命力に感動し、育てた野菜を最後まで見守られる温かい眼差しを感じます。 (柳原美知子)

21.日の落つる速さよ冬の散歩道/祝 恵子
立冬を過ぎれば日は益々短くなり、夕暮れ時の散歩も「あれよあれよ」と云う内に暮れて来ます。歩いているうちに足下が暗くなることを実感しています。 (桑本栄太郎)

08.雲も陽も富士へと沈む秋夕焼/川名ますみ
31.鰯雲下校の子の声よく聞こえ/柳原美知子
33.谷水を啄み鶺鴒水の上/柳原美知子
37.酉の市縁起熊手に手締め鳴る/髙橋句美子

【髙橋句美子特選/7句】
03.大木へ日の退くや芋嵐/小口泰與
秋の暴風の吹く中、太陽も押されるかのように大木の向こうへ沈もうとしています。「日の退くや」が面白いですね。 (柳原美知子)

09.みずいろの朝顔空へ向き揺るる/川名ますみ
朝顔の花びらの繊細な揺れる様子が綺麗な風景です。(髙橋句美子)

14.花野ゆれ花影やわらかくゆれる/吉田 晃
柔らかな水彩画のような御句です。花野全体が穏やかな風に揺れ、それにあわせて影もゆれています。それを見つめておられるまなざしに優しい思いを感じます。 (多田有花)

23.初冬の空へ広々椋大樹/多田有花
初冬の冷や冷やとした青空へ勢いよく枝を広げる椋の大樹の存在感に心もひろびろと新たな季節への希望が感じられます。 (柳原美知子)

29.歓声が夜空へ響く酉の市/西村友宏
これは、横浜南区にある金刀比羅大鷲神社の酉の市ですね。11月11日が一の酉、毎年10万人以上が訪れる大変大きなお祭りどか。その様子が「夜空へ響く」でよくわかります。 (多田有花)

33.谷水を啄み鶺鴒水の上/柳原美知子
日に当たり七色に変わる素晴らしい翡翠の姿を的確に捉えています。素敵な御句ですね。 (小口泰與)
※33番の句は、翡翠(かわせみ)ではなく、鶺鴒(せきれい)を詠んでいます。(髙橋正子)

08.雲も陽も富士へと沈む秋夕焼/川名ますみ

【入選/13句】
01.枝折戸を押せば隣家や青蜜柑/小口泰與
ご自宅の庭に蜜柑の木があるのですね。確か薔薇もたくさん栽培しておられました。蜜柑の木の下にある枝折戸を押せばすぐにお隣、蜜柑が甘く熟れれば採ってお隣におすそわけなどされるのでしょうか。 (多田有花)

04.女子会の妻の遠出や冬ぬくし/桑本栄太郎
「女子会」という今風の言葉が御句に楽しさを与えています。冬とは名ばかりのまだあたたかな一日奥様はお友達との「女子会」に。その間、詠者はどう過ごされたのでしょうか。しばし自由を満喫? (多田有花)

07.夕月夜世代それぞれ友二人/川名ますみ
世代が違う友人がいらっしゃるというのはいいですね。話題が広がって思いがけない情報が入ったりします。そういう人たちと過ごす夕月夜のひととき、貴重ですね。 (多田有花)

11.うっすらと色づく紅葉陽に映える/高橋秀之
詠者は大阪在住でしたね?関西では紅葉は立冬のあたりからきれいになってきます。紅葉の美しさは日差しがあってこそ。そのさまをさらりと詠んでおられます。 (多田有花)

19.冬に入る子の残したる千羽鶴/祝 恵子
快癒を祈る千羽鶴、秋に子供が持ってきてくれたものだが早いものでもう冬になる。この千羽鶴を見て元気にこの冬を乗り切ろう。(想像でしかないですが、そのように感じました。(友田修)

22.芳醇に香りぬ冬のチョコレート/多田有花
ケーキに使うチョコレートを溶かしているのだろう。温め溶かされたチョコレートが厨房のみならず、居間まで香っていて、そこに冬の暖かさが感じられる。冬の日の満ち足りた香りでもあるのだろう。 (吉田 晃)

24.木枯に少年たちの駆けてゆく/多田有花
木枯らしが吹いて冬本番がやってきた。その木枯らしに向かって少年たちは駆けてゆく。少年たちの寒さをものともしない元気の良さが伝わってきます。(高橋秀之)

27.中天へ茎まっすぐや曼珠沙華/弓削和人
曼珠沙華の茎は花が咲いている時も、枯れてからもいつもまっすぐ天をさしていて、不思議ですね。 (柳原美知子)

30.焼きたてのワッフル温し文化祭/西村友宏
子どもたちが模擬店で焼いて売っているのでしょうか。アツアツのワッフルを買い求めほおばりながらいろいろ展示を見て回るのも楽しいものです。準備、計画、実行を友人たちとわいわい言いながらやるのもいい思い出ですよね。(多田有花)

32.塀越しに物々交換甘藷・柿/柳原美知子
  塀越しの物々交換、うらやましいことです。 (祝 恵子)

05.どうだんの躑躅もみづる夕日かな/桑本栄太郎

垣根にもされる満天星躑躅は、花も可愛いが、紅葉も好まれる。夕日があたると、紅葉がてらてらと映えるのがいい。(髙橋正子)

13.室閉じて今年の甘藷(いも)を眠らせる/吉田 晃
収穫したさつま芋は、寝かせると甘みが加わる。私の知るさつま芋の保存には、気温が下がるとさつま芋は腐りやすいので、土を掘った家の床下の穴にもみ殻に入れて保存していた記憶がある。(髙橋正子)

28.幾つもの熊手連なる宮参り/西村友宏
友宏さんは大鳥神社の酉の市に行ったとのこと。酉の市には、福をかき集められるように大小の熊手が売られる。商売繁盛を願い大きな熊手を買ってゆくのは商売繁盛を願う人。参道にずらりと並んだ熊手は縁起物を飾って賑やかである。(髙橋正子)

■選者詠/髙橋正子
6.霧のなか啄木鳥ここよと木を叩く
霧に覆われて姿がはっきりしない中、啄木鳥があたかも自分の居場所を教えていうように木を叩く様は何とも可愛らしいです。(西村友宏)

18.枇杷の花日本アルプス遥かにす
咲き始めた枇杷の凛とした白い花の先に、遥かに雄大な日本アルプスが影をなし、しんしんと身の引き締まるような感動を覚えます。冬の到来が感じられ、新たな季節への勇気が湧いてくるようです。(柳原美知子)

17.小学校の桜の幹にけらつつき

自解:5丁目の丘の突き当りにある小学校の50年は経っているだろう桜の幹に啄木鳥が木を叩いていた。独特のドラミングに、びっくりしてみると二羽いた。コゲラだと思う。(髙橋正子)

■選者詠/髙橋句美子
39.老夫婦に手に取る柿の重すぎる/髙橋句美子
干し柿用の袋入りの柿でしょうか。日常生活の中で、ふと目にされる高齢者への温かい眼差し、優しさが感じられます。 (柳原美知子)

37.酉の市縁起熊手に手締め鳴る
38.街の色木枯し吹いて変わりゆく

互選高点句
●最高点句(同点3句/5点)
08.雲も陽も富士へと沈む秋夕焼/川名ますみ
21.日の落つる速さよ冬の散歩道/祝 恵子
37.酉の市縁起熊手に手締め鳴る/髙橋句美子

集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

■11月月例ネット句会清記■

■11月月例ネット句会清記■
2023年11月12日
39句(13名)

01.枝折戸を押せば隣家や青蜜柑
02.寂寞の沼の水面や秋の声
03.大木へ日の退くや芋嵐
04.女子会の妻の遠出や冬ぬくし
05.どうだんの躑躅もみづる夕日かな
06.冬立つといえど早くも落暉かな
07.夕月夜世代それぞれ友二人
08.雲も陽も富士へと沈む秋夕焼
09.みずいろの朝顔空へ向き揺るる
10.蟋蟀の鳴き声微か夜明け前

11.うっすらと色づく紅葉陽に映える
12.冬立の朝も定刻電車乗る
13.室閉じて今年の甘藷(いも)を眠らせる
14.花野ゆれ花影やわらかくゆれる
15.紫蘇を引く軽き力に実ははじけ
16.霧のなか啄木鳥ここよと木を叩く
17.小学校の桜の幹にけらつつき
18.枇杷の花日本アルプス遥かにす
19.冬に入る子の残したる千羽鶴
20.走り書き歩いてくるね冬の夕

21.日の落つる速さよ冬の散歩道
22.芳醇に香りぬ冬のチョコレート
23.初冬の空へ広々椋大樹
24.木枯に少年たちの駆けてゆく
25.疾く澄みつつ川瀬のいまや冬に入る
26.冬の夜や明けたる街を待ちわびて
27.中天へ茎まっすぐや曼珠沙華
28.幾つもの熊手連なる宮参り
29.歓声が夜空へ響く酉の市
30.焼きたてのワッフル温し文化祭

31.鰯雲下校の子の声よく聞こえ
32.塀越しに物々交換甘藷・柿
33.谷水を啄み鶺鴒水の上
34.朝寒や蹴った布団を手繰り寄せ
35.一葉ずつ落ちてようやく冬来たる
36.冬ざれの黒き瓦に雨が降る
37.酉の市縁起熊手に手締め鳴る
38.街の色木枯し吹いて変わりゆく
39.老夫婦に手に取る柿の重すぎる

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

■11月例ネット句会ご案内■

■11月例ネット句会ご案内■

①投句:当季雑詠
11月6日(月)午前6時~2023年11月12日(日)午後5時
②投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:11月12日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:11月13日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、11月13日(月)正午~11月16日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏

ご挨拶/10月月例ネット句会を終えて

 10月の月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。句会の日の10月8日はちょうど「寒露」にあたり、秋は来るのだろうかと心配した暑さも収まり、秋らしい冷涼な日でした。これから深まりゆく秋の風物がいろいろ楽しめることでしょう。

 花冠もお陰様で創刊40周年を迎えることができました。40年は長いという印象なのでしょう、いろんな方から、お祝いを言っていただきました。皆様には、40周年記念の合同句集の「50句」と「四十周年に寄せて」の短文をお願いしています。そのまとめでご苦労しておられることとは思いますが、10月句会に12名の方がご参加くださいまして、うれしいことです。選とコメントもありがとうございました。

 世の中、新聞テレビ、あるいはネットなどで、驚くような事件を報じていますが、こうした複雑な世の中を生きるには、感覚が大事だとしきりに言われております。自分の感覚を信じて、正しい方向へ歩むことは、五感を大事にする俳句を作っている限りは大丈夫なのではと思うこの頃です。

どの句にもコメントはつけてありますが、ご自由に追加のコメントをお書きください。よろしくお願いします。これで、
10月月例ネット句会を終わります。
10月10日
髙橋正子
 
 

■10月月例ネット句会入賞発表■

■10月月例ネット句会入賞発表■
2023年10月8日

【金賞】
26.苦瓜の最後の重さもいでおり/祝恵子
苦瓜は夏の間は、日よけのグリーンカーテンになったり、花が咲き実をつけると、料理されて食卓にのぼる。秋になるといよいよ最後の苦瓜を収穫するようになる。一つ一つもぎながら、その重さを手に感じる。秋もこれから本格的になる。季節へのやさしい思いが感じられる。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
13.曼珠沙華美しきまま初月忌/多田有花
有花さんのお母さんは、天寿を全うされて亡くなられたと聞いた。亡くなられて初めての月命日、秋を彩る曼殊沙華もまだ美しく咲いている。一か月たってもまだ美しいままは、却って切ない思いにさせられる。(髙橋正子)

31.音高く潮の満ちくる虫の闇/柳原美知子
虫の闇が広がるなかへ、潮がざざー、ざざーと音高く満ちてくる。潮が満ちる音を聞くと、不思議なほど、潮は心に深く満ちてくるようにも感じられる。真っ暗い夜に虫の音が鋭くいhびいている。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
15.よく晴れて風縦横にコスモスへ/多田有花
「よく晴れて」は、空気もさらりとして、気持ちを軽くしてくれる天気。風が縦横に吹いて、コスモスを揺らすが、縦横な風は自由。開放的で、軽く、自由な世界がいい。(髙橋正子)

17.風さらに軽くなり十月の蜻蛉/吉田晃
「風がさらに軽くなり」は、晴れの日が続いて、空気がより乾いてくること。朝寒の日もある十月。動きが鈍い蜻蛉もいる。風が軽くなって、蜻蛉を飛ばしている。(髙橋正子)

34.かりんの実見上げるたびに空の青/髙橋句美子
かりんの実は、初めは緑色だが、熟れてくると黄色い色が印象的になる。緑のときは、緑の葉のなかで、黄色く熟れれば、葉が落ちて、やけに黄色い実が目につく。そんなかりんを見上げるときは、いつも青い空が背景にある。空の青が目に残る。(髙橋正子)


【髙橋正子特選/7句】
29.名月や足取り軽くビルを抜け/西村友宏
大都会でビルの間に昇る名月は、山の上に昇ってくるものとは一味異なる趣があるものでしょう。名月だと思うと思わず足取りも軽くなり心うきうきとする、そういう気持ちが伝わってきます。 (多田有花)

31.音高く潮の満ちくる虫の闇/柳原美知子
虫の声と闇となる海から聞こえる潮の音。それらが混じりあっての海のそばならではの御句です。(多田有花)

13.曼珠沙華美しきまま初月忌/多田有花
15.よく晴れて風縦横にコスモスへ/多田有花
17.風さらに軽くなり十月の蜻蛉/吉田晃
26.苦瓜の最後の重さもいでおり/祝恵子
34.かりんの実見上げるたびに空の青/髙橋句美子

【髙橋句美子特選/7句】
13.曼珠沙華美しきまま初月忌/多田有花
身内や親しくしていた方がみまかわれ、その一月後が、初命日の忌日ですね。ひと月経った今でも彼岸花はまだ美しく咲いて居り、未だに信じられず受け入れられないでいる作者の心情が垣間見えます。 (桑本栄太郎)

16.秋の日をさらさら落ちる砂時計/吉田晃
いつのまにか季節が巡り秋になった日を砂時計と共に時間の経過を楽しんでいる様子を感じます。 (髙橋句美子)

26.苦瓜の最後の重さもいでおり/祝恵子
最後のひとつとなった苦瓜も見事に育ってくれた。名残り惜しさと感謝をこめて、ずっしりとした苦瓜をもぐひととき。丹精こめた菜園の作物を収穫し終える充実感と安堵感が思われ、ひとつの季節の終わりへの
愛惜が感じられます。(柳原美知子)

03.青空に透けて黄色や銀杏黄葉/桑本栄太郎

銀杏黄葉を一番美しいと感じるのは、青空にそびえているとき。「透けて黄色」に、銀杏黄葉の透明感のある黄色が表現されて、この色に感嘆するのだ。(髙橋正子)
33.田を発てる鳩きらきらと秋天へ/柳原美知子
田んぼで啄んでいた鳩の群れが、何かに驚いたのか、秋天へと飛び発った。秋天の光を浴びた鳩は、きらきらと輝いている。それほどに秋天の光は透明にがきらきらしているのだ。(髙橋正子)

15.よく晴れて風縦横にコスモスへ/多田有花
19.引き潮の返す木の実のまだし/髙橋正子

【入選/9句】
02.ぷちぷちと木の実踏みゆく足裏かな/桑本栄太郎
ぷちぷちという音、足の裏の木の実の感触を楽しんでおられるのがわかります。秋の楽しいひとこまです。こちらも楽しくなりますね。(多田有花)

14.熟れ初めし柿を包める空の青/多田有花
熟れはじめたばかりの柿が赤黄色にななり、秋空の青さがどこまでも広がっている景が目に浮かぶ。青色の背景に橙色の点が増えていきながら秋めいていく。(弓削和人)

28.名月を友と見上げる高架下/西村友宏
一年中でこの月が最も澄んで美しいとされる名月を仲の良い友と見上げる高架下の素晴らしいひと時です。(小口泰與)

30.朝寒に被る布団の柔らかき/西村友宏
理屈抜きに共感します。この季節、柔らかき布団で二度寝が幸せのひとときです。(高橋秀之)

32.名月へ湯の沸く音も湯けむりも/柳原美知子
名月の夜に入る温泉やお風呂はいやされるひとときですね。湯けむりと一緒に気持ちも軽くなるような心地よい空間を感じました。(西村友宏)

01.その中の一本黄色や曼珠沙華/桑本栄太郎

人の手によって白い曼殊沙華も植えられるが、曼殊沙華と言えば、赤い色。その中に一本、白でもなく、赤でもなく、黄色が一本ある。めずらしいが、そうだった。(髙橋正子)

05.秋天や雲脚とみに形を変え/小口泰與
「雲脚」は、垂れさがった雲。あるいは、雲の流れ。この句は垂れ下がったように見える雲だろう。秋の天気は変わりやすいというが、雲脚が急に形を変え
た。急に天気が変わりそうな予感がする。(髙橋正子)

09.爽やかに海から風が吹き抜ける/高橋秀之
海から吹いてきた風が爽やかなのは、海もいい天気ということだろう。海からふく秋風が颯爽としている。(髙橋正子)

11.新蕎麦の香り味はふそば湯かな/廣田洋一
新蕎麦には、蕎麦の香りがあり、味とともに香りも楽しめる。蕎麦を頼むと蕎麦をゆでた蕎麦湯も一緒に供されるが、ほっこりとした蕎麦湯のほうに、一層の香りがある。(髙橋正子)

22.新米を運ぶ軽トラ風新た/弓削和人
新米を運ぶ軽トラックが走っている。新米を軽トラックで運ぶ人の喜びを表すように、走っていく先々の秋風が新しくなっている。(髙橋正子)

■選者詠/髙橋正子
19.引き潮の返す木の実のまだ青し/髙橋正子
熟れて落ちたわけではなさそうな木の実。時々こういう木の実をみかけます。それが潮の間で揺り戻されています。木の実の青さを思いつつそれでもこれも間違いないひとつの秋の景色です。(多田有花)

20.飛び出でて露けきことよ草の虫
暑さが去り、この日を待っていたのだろう。まるで飛び出したように虫が集く。露に喉を潤しながら鳴き競う様を想像する。「露けきことよ」が、秋をいっそう強調していて、読み手はこの景色に引き込まれてゆく。(吉田晃)

21.彼岸花黒蝶来ては撮られけり
赤い彼岸花に黒揚羽が来て暫くとどまったのを見たことが有る。赤と黒の対比が美しいので、写真を撮った。こう言う景色を撮られけりと上手く詠んだ。 (廣田洋一)
黒蝶さんどこにも行かずとまっててと、離れていくまで撮っていることでしょう。 (祝恵子)

■選者詠/髙橋句美子
34.かりんの実見上げるたびに空の青
35.街中の彼岸花はひっそりと

彼岸花は畦道や川土手や野道のほとりに、急に燃え立つように花を咲かせる。また、街中の樹の根元や公園の片隅に数本あるのを見かける。街中の彼岸花は、ひっそりとして、陽にかがやくこともないさびしい彼岸花である。(髙橋正子)

36.茄子の花萎む夕日の差す中に
生き生きと咲いていた茄子の花も萎むときがきた。茄子の木に夕日が差して、そのことがよくわかるのだ。それにしても茄子に差す夕日がきれいだ。(髙橋正子)

■互選高点句
●最高点句(同点2句/5点)
26.苦瓜の最後の重さもいでおり/祝恵子
31.音高く潮の満ちくる虫の闇/柳原美知子

集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

■10月月例ネット句会清記■

■10月月例ネット句会清記■
2023年10月8日
36句(12名)

01.その中の一本黄色や曼珠沙華
02.ぷちぷちと木の実踏みゆく足裏かな
03.青空に透けて黄色や銀杏黄葉
04.と見かう見鵙は高音を発しけり
05.秋天や雲脚とみに形を変え
06.山の沼紅葉の色を散りばめて
07.蟋蟀の鳴き声届く帰り道
08.鳥が行く先に大きな秋の空
09.爽やかに海から風が吹き抜ける
10.鷺一羽首を折り曲げ秋思かな

11.新蕎麦の香り味はふそば湯かな
12.自信作誰も選ばず秋の暮
13.曼珠沙華美しきまま初月忌
14.熟れ初めし柿を包める空の青
15.よく晴れて風縦横にコスモスへ
16.秋の日をさらさら落ちる砂時計
17.風さらに軽くなり十月の蜻蛉
18.カジュアルの色爽やかなウインドウ
19引.き潮の返す木の実のまだ青し
20.飛び出でて露けきことよ草の虫

21.彼岸花黒蝶来ては撮られけり
22.新米を運ぶ軽トラ風新た
23.熊笹の茎や並びて秋日さし
24.すれ違う車両は秋の西日連れ
25.自転車も吾も見ており曼珠沙華
26.苦瓜の最後の重さもいでおり
27.秋祭り神社の案内掲示板
28.名月を友と見上げる高架下
29.名月や足取り軽くビルを抜け
30.朝寒に被る布団の柔らかき

31.音高く潮の満ちくる虫の闇
32.名月へ湯の沸く音も湯けむりも
33.田を発てる鳩きらきらと秋天へ
34.かりんの実見上げるたびに空の青
35.街中の彼岸花はひっそりと
36.茄子の花萎む夕日の差す中に

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

■10月例ネット句会ご案内■

■10月例ネット句会ご案内■
①投句:当季雑詠
10月2日(月)午前6時~2023年10月8日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:10月8日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:10月9日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、10月9日(月)正午~10月12日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏

お知らせ

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「俳壇10月号」(本阿弥書店/10月1日発行)「俳壇プレミアシート」生活の部「種採」の題で祝恵子さんの俳句5句が掲載されました。書店などで、ご覧ください。恵子さん、おめでとうございます。
                    2023年9月15日
                          髙橋正子
※9月15日ネット短信No.397を発信しました。祝恵子さんの俳句のご案内についてです。
  
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