■8月月例ネット句会/入賞発表■

■8月月例ネット句会/入賞発表■
■2021年8月月例ネット句会■
■入賞発表/2021年8月9日
【金賞】
23.靴ひもを緩めて食らうかき氷/西村友宏
青年らしいフレッシュな句。靴ひもを緩めるのは、暑い中を長く歩いて来たため。かき氷は、「食らう」というほどに、体のほてりを冷ますように、がっつり口に放り込む。使われた言葉も身体感覚をよく捉えて、吟味され使われている。(髙橋正子)
【銀賞】
09.森遠ければ蝉音涼しき風となり/吉田晃
遠い森に蝉が鳴いている。その声は蝉音とは思えぬような、森から吹く風と混然一体となって涼しさを運んでくる。(髙橋正子)
22.改札を抜けて空には天の川/西村友宏
無人駅のようなところか。改札を抜けると、たちまち天の川が空から落ちそうに流れている。天の川の永遠さ。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
11.海風のことに涼しき部屋にいる/多田有花
なししろ暑いときは、涼風がなにより。海風の涼しいことは承知のこと。窓を開け,海風を入れて部屋にいる。避暑のごとき気分。(髙橋正子)
13.苦瓜にコツンと触れて水運ぶ/祝恵子
狭いながらも楽しい菜園のいろんな野菜が目に見える。苦瓜もよく太って、水を運ぶときには、コツンと当たって、水がこぼれたりする。なにげないことなのだが、俳句の良さが知れる句。(髙橋正子)
35.雨上がり夏の森より雫落ち/髙橋句美子
雨を防ぐほど茂った夏の森からは、雨が上がると雨雫が盛んに落ちる。夏の雨らしい降り方が、夏の森をみずみずしく生き返らせている。(髙橋正子)
【高橋信之特選/7句】
22.改札を抜けて空には天の川/西村友宏
都会では光の影響でなかなか天の川を眺めることはできません。改札を抜けてすぐのところに天の川が見えるとは、どこか人家の少ない田舎へお出かけになったのでしょうか。 (多田有花)
15.子メダカをバケツに入れて渡しくる/祝恵子
メダカを入れて渡されたのは小さなお子さんでしょうか。その動作まで目に見える様で優しい視線が感じられます。 (多田有花)
01.大利根の八十瀬の瀬尻鮎を掛く/小口泰與
09.森遠ければ蝉音涼しき風となり/吉田晃
23.靴ひもを緩めて食らうかき氷/西村友宏
24.うたた寝し弁当箱に夏の蝶/西村友宏
35.雨上がり夏の森より雫落ち/髙橋句美子
【髙橋正子特選/7句】
13.苦瓜にコツンと触れて水運ぶ/祝恵子
猛暑続きの野菜畑に水やりをするのは大変な仕事ですね。丹精の甲斐あって苦瓜も立派な実をつけ、充実の音をさせてくれました。何気ない詠みに惹かれます。(柳原美知子)
26.播磨灘はも漁の船に朝の星/柳原美知子
播磨灘の夜明け。鱧漁が操業しているその上に朝の星が見える。穏やかな自然の一コマです。(高橋秀之)
09.森遠ければ蝉音涼しき風となり/吉田晃
11.海風のことに涼しき部屋にいる/多田有花
22.改札を抜けて空には天の川/西村友宏
23.靴ひもを緩めて食らうかき氷/西村友宏
35.雨上がり夏の森より雫落ち/髙橋句美子
【入選/12句】
04.金メダル獲りて引退夏の果て/桑本栄太郎
卓球の混合ダブルスで優勝した水谷選手を詠んだ句ですが、名前は読者に想起させるのが上手い。季語も動かない。 (廣田洋一)
07.地を這うて西瓜の花の黄が伸びる/吉田晃
朝の散策の時の光景であろうか?概して瓜類などの果菜類の黄色の花は、先の収穫の楽しみもあり格別に美しく思えるものである。所々に西瓜の玉も見え、涼やかで瑞々しい景色が嬉しい。(桑本栄太郎)
08.和蝋燭溶ける匂いの夏座敷/吉田晃
蝋燭の匂いが涼しげな座敷に広がっていく風情豊かな光景が浮かびました。(西村友宏)
12.鉄塔を離るる雲や夏終わる/多田有花
夏が終わる寂しさが、鉄塔の無機質なイメージと重なります。 (髙橋句美子)
17.今日はよく揚羽と出会う散歩道/高橋秀之
森を散歩したりしていると特にこういう日があります。揚羽は大きいのでよく目立ちます。何かいいことがありそうです。 (多田有花)
27.原爆忌家居の猫と黙祷す/柳原美知子
黙祷の句なのに何かくすっと笑ってしまうような楽しさがあります。猫と一緒に哀悼の意を表す、猫好きの方なら「あるある」ではないでしょうか。 (多田有花)
02.八千草の雨上がりたる草いきれ/ 小口泰與
10.夕焼けや明日も良き日となりそうな/多田有花
20.あの人も見ているかしら大夕焼/廣田洋一
21.晴天にぐいと伸びたる花カンナ/廣田洋一
34.法師蝉森のアーチに響く音/髙橋句美子
36.蒲の穂の静かに立ちて池真ん中/髙橋句美子
■選者詠/高橋信之
33.冷茶飲む机上の写真に孫も居て
 もうこんなに月日が過ぎたのだと感慨深いものがある。句美子ちゃんが中学生の頃、先生のマンションで句会を開いていたが、先生がこんな句を詠まれることを想像したこともなかった。お孫さんの写真に話しかけながら冷茶を飲む、好好爺の先生を思い浮かべると嬉しくなる。その句美子ちゃんも立派な人の親になり、花冠を背負って立つ年齢になった。36番の句を鑑賞して、先生の雰囲気を感じる。先生は理論的な指導はなさらない。後ろ姿を見せて我々に自ら学ばせるのが先生のご指導。先生の句をみて育った句美子ちゃんの句には、先生の雰囲気を強く感じる事ができて楽しい。 (吉田晃)
31.扇風機ひとり立ち居て横向きに
32.夏終わる机上の写真の孫の顔
■選者詠/高橋正子
29.百日紅咲き継ぐ花に塵もなし
7月から9月に紅、桃、紅紫、白色などの花が、枝の先端に群がり咲く、花期が長いため百日紅の漢名がある。その百日紅の咲き継ぐ花には塵ひとつ無く綺麗に咲いている。百日紅を毎日愛でている作者がいる素敵な景です。 (小口泰與)
30.台風一過雨水甕をあふれけり
台風過ぎて、甕の水が溢れるほど、いかに雨が大量に降ったのかが分かりますね。(祝恵子)
28.布袋草花あわあわと浮きにける
■互選高点句
●最高点(7点)
22.改札を抜けて空には天の川/西村友宏

■8月月例ネット句会清記■

■8月月例ネット句会清記■
2021年8月8日
12名(36句)
01.大利根の八十瀬の瀬尻鮎を掛く
02.八千草の雨上がりたる草いきれ
03.みんみんや朝の浅間の褪せゆける
04.金メダル獲りて引退夏の果て
05.炎天と云えば忘れじ草田男忌
06.八月や哀しきことの多かりき
07.地を這うて西瓜の花の黄が伸びる
08.和蝋燭溶ける匂いの夏座敷
09.森遠ければ蝉音涼しき風となり
10.夕焼けや明日も良き日となりそうな
11.海風のことに涼しき部屋にいる
12.鉄塔を離るる雲や夏終わる
13.苦瓜にコツンと触れて水運ぶ
14.採れるものみな青物ばかり夏野菜
15.子メダカをバケツに入れて渡しくる
16.真っ青な空がくっきり夏の山
17.今日はよく揚羽と出会う散歩道
18.夏休み家族が揃う夕餉どき
19.老先の短しと知る秋来たる
20.あの人も見ているかしら大夕焼
21.晴天にぐいと伸びたる花カンナ
22.改札を抜けて空には天の川
23.靴ひもを緩めて食らうかき氷
24.うたた寝し弁当箱に夏の蝶
25.渦の花間近に潮の香あび凉し
26.播磨灘はも漁の船に朝の星
27.原爆忌家居の猫と黙祷す28.
28.布袋草花あわあわと浮きにける
29.百日紅咲き継ぐ花に塵もなし
30.台風一過雨水甕をあふれけり
31.扇風機ひとり立ち居て横向きに
32.夏終わる机上の写真の孫の顔
33.冷茶飲む机上の写真に孫も居て
34.法師蝉森のアーチに響く音
35.雨上がり夏の森より雫落ち
36.蒲の穂の静かに立ちて池真ん中
※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。選句は<コメント欄>にお書きください。