今日の秀句/4月21日~30日


[4月30日]

★子の年を振り返り居て鯉幟/河野啓一
鯉幟が泳いでいるのを見て、人はいろいろ思うだろう。あの家には男の子が生まれたのだな。何人子供がいるのだろうか、など。啓一さんは、ご自分に男の子が生まれたころを思い出し、その子の今の歳を振り返った。短くはない歳月だ。(高橋正子)

[4月29日]

★葱ぼうず身じろぎもせず春送る/河野啓一
葱ぼうずとなった葱は愚直なほど直立。身じろぎもしない。そして春を見送っている。ユーモアとどこかペーソスがある。(高橋正子)

[4月28日]

★たんぽぽや日は榛名嶺へ近寄らず/小口泰與
「日は榛名嶺へ近寄らず」の表現から、太陽が榛名山よりもはるか高く昇っている真昼間を思う。その裾野にたんぽぽが輝いて咲いているのどかな、時を止めたような風景。(高橋正子)

[4月27日]

★花終わり天守の空の夕雲雀/河野啓一
天守を彩っていた桜が終わり、春もいよいよ酣。天守の空に雲雀が囀り、夕方の空が静かにも大いに楽しくなった。(高橋正子)

[4月26日]

★八時十五分の鐘や棕櫚の花/谷口博望 (満天星)
八時十五分は、広島に原爆が投下された時刻だが、今も八時十五分に鐘が鳴らされているのだろうか。棕櫚はヤシ科の常緑高木。初夏の空高くに、黄白色の肉穂花序の花を垂れる。美しい花ではないが、空に鳴り響く鐘の音と共に、時代を忍ばせる雰囲気がある。(高橋正子)

★鉄線の花も莟も空を向く/川名ますみ
鉄線の莟は、空を目指しているように思える。平らな花は空の中の花であろうとする。濃紫の鉄線は、春の空に似合う色であり、作者が投影された花であるように思う。(高橋正子)

[4月25日]

★山藤や木々に絡まり空へ揺れ/佃 康水
藤は、蔓を伸ばし花をつける。絡まる支柱がいるが、山藤はそばの木々に絡まり、力強く空へ向かい伸び花を付ける。意外にもたくましい藤の花は、目にさわやかで快い。(高橋正子)

[4月24日]

★竹の秋田川の水の豊かなる/小口泰與
竹は春に葉を降らす。田植えが始まるころ、田川には水が奔放に走り、水の豊かさを知る。それが竹の秋の季節だ。(高橋正子)

[4月23日]

★すかんぽの赤き穂の伸ぶ雨催い/桑本栄太郎
「スイバ」のことを「すかんぽ」と呼ぶ地方もある。スイバの赤い穂が野原に目立つころは、雨催いの天気が続く。曇り、時ににわか雨、曇りのち雨、などの天気予報も毎日のようだ。穀雨のころの季節がよく詠まれている。(高橋正子)

[4月22日]

★乳母車の通りゆく日や躑躅燃ゆ/桑本栄太郎
躑躅があかあかと燃え咲くところを乳母車が通り過ぎる。燃える躑躅の強さ、乳母車のやさしさ。その二つが生命の強さとやさしさを象徴している。(高橋正子)

[4月21日]

★火の国の地震を憂うや朧の夜/佃 康水
このたびの熊本の地震は一週間以上も続く、これまで経験のない地震。こんな地震災害がある夜でも、朧月が美しくかかっている。それを感じる心が、被災者や被災地を憂う心をなお深くしている。難しい題材だが、自然な詠みに心情がくみ取れる。(高橋正子)
 

4月21日~30日


4月30日(5名)

●谷口博望(満天星)
くれなゐの花とは言へず榛の花★★★
あちら向く瑠璃色深き翡翠かな★★★★
青鷺の長き口嘴遠眼鏡★★★

●迫田和代
春風と伴に競いて山歩き★★★
目をみはる鮮やか色新緑の★★★★
しゃぼん玉吹いてる心は空にあり★★★

●小口泰與
産土の浅間山雪解や農具市★★★★
ゆさゆさと千本桜雨の中★★★
初雷やいまだ目覚めぬ葡萄の木★★★

●桑本栄太郎
藁屋根の軒の深きや燕来る★★★★
曇りても眼に染む窓の若葉かな★★★
暮れなずむ西空赤く四月尽★★★

●河野啓一
子の年を振り返り居て鯉幟★★★★
鯉幟が泳いでいるのを見て、人はいろいろ思うだろう。あの家には男の子が生まれたのだな。何人子供がいるのだろうか、など。啓一さんは、ご自分に男の子が生まれたころを思い出し、その子の今の歳を振り返った。短くはない歳月だ。(高橋正子)

窓開けて涼風入れてドライブに★★★
藤棚に人影も見ず昼下がり★★★

4月29日(4名)

●谷口博望(満天星)
春惜しむ鴨の帰りし被爆川★★★
若葉風つがう椋鳥道連れに★★★
くれなゐの翼果飛び立つ若楓★★★★

●小口泰與
さえずりや雲に従う湖の色★★★★
山風や火の見櫓の烏の巣★★★
花楓二羽の雀の声高し★★★

●河野啓一
葱ぼうず身じろぎもせず春送る★★★★
葱ぼうずとなった葱は愚直なほど直立。身じろぎもしない。そして春を見送っている。ユーモアとどこかペーソスがある。(高橋正子)

陽光を青葉に貯めて柿若葉★★★
庭隅の紫蘭を摘んで活けてみる★★★

●桑本栄太郎
登校の児童一列花みづき★★★★
蕗を茹で灰汁(あく)か香りか匂い立つ★★★
学び舎の午後のチャイムや葱坊主★★★

4月28日(3名)

●谷口博望 (満天星)
銀杏咲き原爆像に日がこぼれ★★★★
マロニエ咲いて平和通りのど真ん中★★★
蝮より河童に見える蝮蛇草★★★

●小口泰與
たんぽぽや日は榛名嶺へ近寄らず★★★★
「日は榛名嶺へ近寄らず」の表現から、太陽が榛名山よりもはるか高く昇っている真昼間を思う。その裾野にたんぽぽが輝いて咲いているのどかな、時を止めたような風景。(高橋正子)

山頂や風に交りし花見鳥★★★
桃花菜小布施の里の繚乱と★★★

●桑本栄太郎
雨垂れの音を聞きつつ春惜しむ★★★★
惜別の音となりたる春の雨★★★
曇りても眼に染む窓の若葉かな★★★

4月27日(4名)

●谷口博望 (満天星)
ジャスミンの異国の匂い懐かしき★★★★
萎れたる展示のあとの牡丹かな★★★
道行の一人静は子を孕み★★★

●河野啓一
天守閣花終わりたる夕雲雀(原句)
花終わり天守の空の夕雲雀★★★★(正子添削)
天守を彩っていた桜が終わり、春もいよいよ酣。天守の空に雲雀が囀り、夕方の空が静かにも大いに楽しくなった。(高橋正子)

鴉追い子雀にやるパンの屑★★★
芦原に響くや淀の揚雲雀★★★

●小口泰與
雨後の庭白磁の如き落花かな★★★
畦塗や川沿い走る足尾線★★★
木の芽漬山家の壁の弓と槍★★★★

●桑本栄太郎
木斛の花や雨降る日もすがら★★★
緋と燃ゆる雨の霧島つつじかな★★★★
雲破れ日射し来にけり菜種梅雨★★★

4月26日(6名)

●谷口博望 (満天星)
八時十五分の鐘や棕櫚の花★★★★
八時十五分は、広島に原爆が投下された時刻だが、今も八時十五分に鐘が鳴らされているのだろうか。棕櫚はヤシ科の常緑高木。初夏の空高くに、黄白色の肉穂花序の花を垂れる。美しい花ではないが、空に鳴り響く鐘の音と共に、時代を忍ばせる雰囲気がある。(高橋正子)

遠くより離れて見たり朴の花★★★
花海桐患者行き交ふホスピタル★★★

●小口泰與
さらさらと坂駆け下る落花かな★★★
古草や榛名山(はるな)の入日はなやぎぬ★★★
若草や田川ぐいっと流れ来る★★★★

●河野啓一
家ごとの深き春見て戻り来る★★★
紅かなめ陽を反したる春ともし★★★
陽を集め水を集めて松葉独活★★★★

●桑本栄太郎
淀川の橋のあまたや春入日★★★★
みどり濃き河川公園芝青む★★★
緋と燃ゆる駅の霧島つつじかな★★★

●廣田洋一
海べりのビル霞みをるアルジェの朝★★★★
霞む海日を浴びて波光りけり★★★
海べりの道走りぬけ朝霞★★★

●川名ますみ
鉄線の花も莟も空を向く★★★★
鉄線の莟は、空を目指しているように思える。平らな花は空の中の花であろうとする。濃紫の鉄線は、春の空に似合う色であり、作者が投影された花であるように思う。(高橋正子)

莟より鉄線の花びらの端★★★
鉄線のつぼみの割れて濃紫★★★

4月25日(8名)

●廣田洋一
道の端ひと際高く薊咲く(原句)
道端にひと際高く花薊★★★(正子添削)

薊咲く工事現場の憂ひ顔(原句)
薊咲く工事現場を憂うかに★★★(正子添削)

タンポポの種ゆつくりと飛んでをり★★★★

●谷口博望 (満天星)
リュック背に鶯聞いて森に入る★★★★
ジャスミンや異国のホテル懐かしき★★★
花銀杏恋の成就は風まかせ★★★

●小口泰與
蒼天を映す水面や花林檎★★★★
ほろほろと桜散る朝鳥の声★★★
花楓新家の嫁の初々し★★★

●小川和子
道明寺菓子の香ほのと八重桜★★★
花吹雪舞うを行き交う人と愛づ★★★
まさしくも大地の匂う草を引く★★★★

●桑本栄太郎
乙訓の丘に夕日や花大根★★★
高槻の車窓過ぎゆくれんげ草★★★★
<熊本地震追悼句>
心せよ火の国雨のつつじ咲く★★★

●河野啓一
湖見ゆる丘の畑の梨の花★★★
朝風に揃いてそよぐ鯉幟★★★★
シャボン玉はかなき虹の美しき★★★

●佃 康水
菩提寺の牡丹や色を競い合い★★★ 
土塊を咥え反転つばくらめ★★★

山藤や木々に絡まり空へ揺れ★★★★
藤は、蔓を伸ばし花をつける。絡まる支柱がいるが、山藤はそばの木々に絡まり、力強く空へ向かい伸び花を付ける。意外にもたくましい藤の花は、目にさわやかで快い。(高橋正子)

●古田敬二
山の色映す田の面や初蛙★★★
美濃の山映す田の面や初蛙★★★★
青空の木の芽めがけて山斜面★★★

4月24日(4名)

●小口泰與
竹の秋田川の水の豊かなる★★★★
竹は春に葉を降らす。田植えが始まるころ、田川には水が奔放に走り、水の豊かさを知る。それが竹の秋の季節だ。(高橋正子)

朝礼や花吹雪舞う分教場★★★
みとりごの泣声は歌桃の花★★★

●谷口博望 (満天星)
ハンカチの花やいつかの夢の空★★★★
花筵弁当開く母と子と★★★
一木の花となるかに藤の花★★★

●河野啓一
キンセンカなお盛りなり春深き★★★★
チューリップ散り終え春を惜しみけり★★★
馬酔木また来る春を待つばかり★★★

●桑本栄太郎
時おりは母の恋しき春の雲★★★★
じゅりじゅりと歓喜の歌や燕来る★★★
大根の花や憂いの雨催い★★★

4月23日(6名)

●谷口博望(満天星)
遠足の女教師は子を叱り★★★
野遊びの金髪少年目立ちけり★★★
遠眼鏡見てて楽しき春小げら★★★★

●小口泰與
畑人へ鋭声発せし雉子かな★★★★
あけぼのの轍あふるる落花かな★★★
境内の足跡も無き花吹雪★★★

●迫田和代
白い雲ゆったり流れる春の空★★★
生まれた仔馬柔らそうに春の草★★★
葉桜の土手道ひかる緑色★★★★

●河野啓一
さわやかな緑の芽吹き朝の庭★★★
ゆたけくて玄関飾る君子蘭★★★
葉桜や若葉の風とともに伸び★★★★

●桑本栄太郎
すかんぽの赤き穂の伸ぶ雨催い★★★★
「スイバ」のことを「すかんぽ」と呼ぶ地方もある。スイバの赤い穂が野原に目立つころは、雨催いの天気が続く。曇り、時ににわか雨、曇りのち雨、などの天気予報も毎日のようだ。穀雨のころの季節がよく詠まれている。(高橋正子)

棚下にすわり眠気や虻の昼★★★
御衣黄の花の終いや紅乗せて★★★

●多田有花
深き頂を通り過ぎる風★★★
青き島浮かべ晩春播磨灘★★★
八重桜絶え間なく散る正午かな★★★★

4月22日(6名)

●河野啓一
チャイム鳴る届く朝の筍が
チャイム鳴り朝の筍届けらる★★★★(正子添削)
仔雀と親雀かなベランダに★★★
スイートピーそっと入れたる乳母車★★★

●谷口博望(満天星)
楪の若葉に花の咲きにけり★★★
竹の子の天をもにぎるきおいあり★★★★
緑立つアメリカ楓に昼の月★★★

●小口泰與
たんぽぽの開くや今朝の鳥の声★★★★
あけぼののあえかに雨の赤八汐★★★
山桜愛車に犬と妻を乗せ★★★

●桑本栄太郎
乳母車の通りゆく日や躑躅燃ゆ★★★★
躑躅があかあかと燃え咲くところを乳母車が通り過ぎる。燃える躑躅の強さ、乳母車のやさしさ。その二つが生命の強さとやさしさを象徴している。(高橋正子)

あおぞらの葉蔭にありぬ花楓★★★
御衣黄の花の終わりや紅乗せて★★★

●川名ますみ
白きまま葉を載せており八重桜★★★
麻服の皺まっすぐに母立ちぬ★★★
若芝にパンダの親子背を汚し★★★★

●古田敬二
一直線丘の上なる初燕★★★★
一直線鳥影引いて初燕★★★
自由という弧を描きつつ燕飛ぶ★★★

4月21日(7名)

●満天星
石楠花の葉は羽根となり宙を飛ぶ★★★
フルートの優しき音色花梨咲く★★★★
花咲きしアベマキの木に川鵜啼く★★★

●古田敬二
人待てば窓外春光美人過ぐ★★★★
大玻璃戸春の陽受けて美人行く★★★
美人過ぐ窓外春の陽受けて★★★

●小口泰與
ピィーと鳴く鳥の数多や朝桜★★★★
淡雪や子猫の肉球ぽにょぽにょと★★★
遅桜棚田へ水のごうごうと★★★

●廣田洋一
藤一樹塀の外まで房垂らす★★★★
参道を吹き抜く風に藤の花★★★
日を浴びて紫匂ふ藤の棚★★★

●佃 康水
火の国の地震を憂うや朧の夜★★★★
このたびの熊本の地震は一週間以上も続く、これまで経験のない地震。こんな地震災害がある夜でも、朧月が美しくかかっている。それを感じる心が、被災者や被災地を憂う心をなお深くしている。難しい題材だが、自然な詠みに心情がくみ取れる。(高橋正子)

蛇の目傘貰う大輪緋の牡丹★★★
トロ箱の苗運ばるる穀雨かな★★★

●桑本栄太郎
花みづき団地の窓をかざりけり★★★
生垣を越えて実の付くゆすらうめ★★★
わらわらと風の木蔭や花は葉に★★★★

●河野啓一
北摂の地は耀きてつつじ咲く★★★
藤の花今日は家内の誕生日★★★★
雨呑みて尾のしだるるや鯉幟★★★

●自由な投句箱/4月11日~20日●


※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
http://blog.goo.ne.jp/kakan02

今日の秀句/4月11日~20日


[4月20日]

★タンポポの種飛ぶ吾も旅支度/廣田洋一
タンポポの種も飛び立つから私もそろそろ旅へ。ひょうひょうとした軽さがいい。(高橋正子)

★子ら遊び踏みし跡ある蓮華草/祝 恵子
蓮華草が咲いている田や野を見つけると、入って遊んでみたくなるのは大人になっても変わらないだろう。子どもなら、実際に実行する。やっぱり入って遊んだのだという作者の思いと、子供たちのほほえましさ。(高橋正子)

[4月19日]

★森が鳴る音に包まれ春山路/多田有花
風のある日、春の山路に入ると、風がごうごうと吹いている。森が鳴っている。それほど山中に風が吹いているとは想像しにくいが、森を吹く風の量には驚く。(高橋正子)

[4月18日]

★紫雲英咲く畔道高き鳥の声/河野啓一
この句は、「紫雲英咲く畔道」と「高き鳥の声」に分かれ、いわゆる句またがりの句。紫雲英の花が畦道に咲き、鳥が元気よく鳴いている。半日をこんなところで過ごしたら、どんなに良いだろうか。日本の長閑な大切な風景。(高橋正子)

[4月17日]

★八重桜のつくる木陰に縦列駐車/多田有花
八重桜が咲くころは春の酣。気温も上がり、日の光も強くなる。八重桜が木陰を作るところへ車が縦列に並ぶ。気候条件だけでなく、人が八重桜の下に車を止めたい気持ちもあるだろう。それで、こんな光景になった。(高橋正子)

[4月16日]

★銀杏の芽已にその葉のかたちして/川名ますみ
銀杏の芽吹きはほかに木々に少し遅れる。桜が散るころになると、成長した銀杏の葉と同じ形の小さな葉が芽吹く。小さな葉が成長した葉そっくりで、かわいくほほえましい。(高橋正子)

[4月15日]

★ふらここを漕ぐ子らよ跳べ高みまで/小川和子
ふらここ、つまり、ぶらんこを子どもたちが漕いでいる。だんだんと勢いづくのを見ているうちに、高い空まで漕いでくれよ、空の中の子どもとなってくれよと、思いが膨らみ、やがて子どもは、幼いころの自分と重なる。(高橋正子)

[4月14日]

★花弁を浮かべて光る苗代田/廣田洋一
苗代に張られた水に桜の花びらが浮かび、陽を受けてまっ平らに光っている。散った花、太陽に光る苗代の水。季節の繊細な変わり目がよく表現されている。(高橋正子)

★谷深し桜一片散る速度/古田敬二
谷に散る桜の一片の行方を見ておれば、谷が深いことゆえの速度が面白い。一片の散る花びらに谷がますます深く、大きな自然が思える。(高橋正子)

[4月13日]

★ 鳥引くと便り来たれり薩摩より/河野啓一
「薩摩」という地名が効いた。鳥引くという「便り」であれば、南のくにの「薩摩」がいい。「春来る」のいい便りが届いたのだ。「鳥引く」は「鳥帰る」のこと。(高橋信之)

[4月12日]

★下りゆくだらだら坂や揚ひばり/桑本栄太郎
だらだらと長閑に下ってゆく坂道に、下って行く人とは逆に、ひばりが鳴きながら空へ揚がってゆく。揚げひばりの声は、西洋の詩人には歓喜の歌と聞こえる。よい洛西の散策だったと思われる。(高橋正子)

[4月11日]

★初つばめ畦川の水走り出す/小口泰與
つばめが来たうれしさが、生きいきとした季節が来たうれしさが、「畦川の水走り出す」によく表されている。畦川は田んぼを巡って流れている浅い小さな小川。田植えの準備が進んで、水が走り出している。
いい季節だ。(高橋正子)

4月11日~20日


4月20日(7名)

●谷口博望(満天星)
カラフルな雨傘さして牡丹咲く★★★
白牡丹めしべは紅の実を孕み★★★
松の花池に揺蕩う影に鯉★★★★

●小口泰與
里山の鳥を産み出す桜かな★★★
木のもとへ画布をたてけりしゃぼん玉★★★★
のどけさやチップスターのまるき筒★★★

●廣田洋一
花の毬ときに重たき八重桜★★★
校庭に子らの声湧く八重桜★★★

タンポポの種飛ぶ吾も旅支度★★★★
タンポポの種も飛び立つから私もそろそろ旅へ。ひょうひょうとした軽さがいい。(高橋正子)

●古田敬二
丘に来て蒲公英の絮街へ吹く★★★★
遠望のビルへ蒲公英の絮を吹く★★★
蒲公英の絮吹く平和の落下傘★★★

●河野啓一
春光の野山に街に煌めきて★★★
千里丘陵筍掘りの季節かな★★★
藤棚の花穂短くて少し揺れ★★★★

●祝恵子
子ら遊ぶ踏みし後あり蓮華草(原句)
子ら遊び踏みし跡ある蓮華草★★★★(正子添削)
蓮華草が咲いている田や野を見つけると、入って遊んでみたくなるのは大人になっても変わらないだろう。子どもなら、実際に実行する。やっぱり入って遊んだのだという作者の思いと、子供たちのほほえましさ。(高橋正子)

日の当たり蚕豆厚く膨らみぬ★★★
からまりて鉄線のぼり花を待つ★★★

●桑本栄太郎
詰草を手に園児等の散歩かな★★★★
木蔭なる三葉つつじや風の道★★★
丁度良き木蔭となりぬ藤の棚★★★

4月19日(8名)

●河野啓一
見上げれば燃え盛りいて樟若葉★★★
町並みを吹き抜けてゆく若葉風★★★★
草の芽の伸び極まりて春は逝く★★★

●小口泰與
星おぼろ百年続く銘菓かな★★★
遅き日や俳句俳句の我が時間★★★
揚ひばり農に昭和を生きし祖父★★★★

●満天星
花あけび紫色を実に託し★★★★
葉桜に椋鳥の群れ闊歩して★★★
さみどりのアメリカ楓に昼の月★★★

●廣田洋一
道の端赤く染めたる躑躅垣★★★★
道野辺の日陰に浮きし白躑躅★★★
たんぽぽの黄に染まりたる狭庭かな★★★

●多田有花
森が鳴る音に包まれ春山路★★★★
風のある日、春の山路に入ると、風がごうごうと吹いている。森が鳴っている。それほど山中に風が吹いているとは想像しにくいが、森を吹く風の量には驚く。(高橋正子)

春荒れに落ちたる枝を踏み歩く★★★
横笛を吹く人桜の下にあり★★★

●桑本栄太郎
青空の木洩れ日眩し藤の棚★★★★
御衣黄の八重の桜や女子寮に★★★
堰水の飛沫まぶしき春の昼★★★

●川名ますみ
ダリアの芽触れてみよとて差し出さる★★★
母が持つ鉢のダリアの芽を触る★★★★
ダリアの芽硬きが土の中にあり★★★

4月18日(5名)

●小口泰與
朝日差す渦巻く瀞へ落椿★★★★
初花の一房落とす鳥の声★★★
順光の桜の映ゆる空の色★★★

●谷口博望(満天星)
大島てふ白と緑の遅桜★★★★
初めての黄花木蓮かぐわしき★★★
ペンギンの吾子抱えたる水芭蕉★★★

●廣田洋一
葉に隠れひっそり咲きし灯台躑躅★★★
蕗の葉の裏返りおる露天風呂★★★★
川風に花弁の幕はためけり★★★

●河野啓一
紫雲英咲く畔道高き鳥の声★★★★
この句は、「紫雲英咲く畔道」と「高き鳥の声」に分かれ、いわゆる句またがりの句。紫雲英の花が畦道に咲き、鳥が元気よく鳴いている。半日をこんなところで過ごしたら、どんなに良いだろうか。日本の長閑な大切な風景。(高橋正子)

桜鯛跳ねる間もなし網の中★★★
夏めきて日ごと若葉の濃くなりぬ★★★

●桑本栄太郎
赤信号の交差点なり虻の昼★★★
エントランスに引越し荷物や花みづき★★★★
しべ降りて赤き地道の散歩かな★★★

4月17日(6名)

●小口泰與
揚ひばり長き裾野へ雲の影★★★★
山桜岩を越えゆく濁り水★★★
さえずりやキャンピングカーの展示会★★★

●河野啓一
能勢街道農産物盛る道の駅★★★
蚕豆をさっぱり茹でて缶ビール★★★★
いかなごのくぎ煮のかおり魚の棚★★★

●谷口博望 (満天星)
大いなる果実夢見る花梨かな★★★
蕾むまま黄心樹の花散り初みぬ★★★
矢返りを忘れし頃の初燕★★★★

●廣田洋一
葉桜や若き命の息吹かな★★★
葉桜や若かりし日々思い出す★★★★
葉桜やその葉に隠す恋心★★★

●桑本栄太郎
かさこそと春の落葉やうすみどり★★★
グランドの部活の声や花は葉に★★★
花みづき園児帰園のころとなる★★★★

●多田有花
八重桜のつくる木陰に縦列駐車★★★★
八重桜が咲くころは春の酣。気温も上がり、日の光も強くなる。八重桜が木陰を作るところへ車が縦列に並ぶ。気候条件だけでなく、人が八重桜の下に車を止めたい気持ちもあるだろう。それで、こんな光景になった。(高橋正子)

春荒れや地震襲いし地を思う★★★
春嵐去り白雲の疾走す★★★

4月16日(7名)

●廣田洋一
春深し二日がかりの地震生れる★★★
これは大地のテロなりや春の地震★★★
春寒し揺れる大地に夜を明かす★★★★

●迫田和代
葉桜になった土手道人まばら★★★★
囀りで地震の二ユース木の上で★★★
春野より明るく響く春の歌★★★

●小口泰與
花吹雪鯉のあぎとう夕まずめ★★★
里山の初花囃す風の中★★★
山里の田川や今朝の雪解風★★★★

●河野啓一
種まきや勿忘草の昔かな★★★
ようやくに萌え出すあかね樟若葉★★★★
故郷の庭遠くなり勿忘草★★★

●川名ますみ
銀杏の芽已にその葉のかたちして★★★★
銀杏の芽吹きはほかに木々に少し遅れる。桜が散るころになると、成長した銀杏の葉と同じ形の小さな葉が芽吹く。小さな葉が成長した葉そっくりで、かわいくほほえましい。(高橋正子)

よりひらき陽を浴びむとす白躑躅★★★
通院にカメラ携え木の芽晴★★★

●桑本栄太郎
<新山口駅前>
笠ふかき山頭火の像春愁う★★★★
其中庵の案内看板春の昼★★★
地酒とて”山頭火”とや春の駅★★★

●谷口博望(満天星)
著莪の花筧の音に震いたり★★★★
大輪のポピーの花や紙の様★★★
二年越しの再会やリラの花★★★

4月15日(5名)

●河野啓一
柿若葉きずな保ちつ空に伸び★★★
やわらかな朝の光や木々芽吹く★★★
雪柳門辺に揺らせ静かなる★★★★

●小口泰與
一輪の花の開花を見つけたり★★★
初花や今朝の赤城の彫り深し★★★★
肩に背負うギターケースや春の鳥★★★

●桑本栄太郎
<新山口駅にてS・L見学>
野に山に汽笛遠のく春思かな★★★
幼子の機関車見学春うらら★★★★
機関車の前でピースや春の昼★★★

●小川和子
ふらここを漕ぐ子らよ跳べ高みまで★★★★
ふらここ、つまり、ぶらんこを子どもたちが漕いでいる。だんだんと勢いづくのを見ているうちに、高い空まで漕いでくれよ、空の中の子どもとなってくれよと、思いが膨らみ、やがて子どもは、幼いころの自分と重なる。(高橋正子)

朝風に息づきおりし花林檎★★★
珈琲店出でて目に染む花みづき★★★

●多田有花
四手桜ふたたび雨となる気配★★★
桜散るころの一夜の雨嵐★★★★
心地よし霞桜に吹く風は★★★

4月14日(4名)

●小口泰與
畑人も知らぬ畷の雉子の巣★★★
春の夢のれんの紺の薄れけり★★★
揚ひばりテラスに二つ寝椅子かな★★★

●廣田洋一
花弁を浮かべて光る苗代田★★★★
苗代に張られた水に桜の花びらが浮かび、陽を受けてまっ平らに光っている。散った花、太陽に光る苗代の水。季節の繊細な変わり目がよく表現されている。(高橋正子)

苗代のさみどり清く伸びにけり★★★
懐かしや友の掻きたる苗代田★★★

●古田敬二
谷深し桜一片散る速度★★★★
谷に散る桜の一片の行方を見ておれば、谷が深いことゆえの速度が面白い。一片の散る花びらに谷がますます深く、大きな自然が思える。(高橋正子)

鳥影の梢に動けば桜散る★★★
雨あがる芽吹きの森のまぶしくて★★★

●桑本栄太郎
<京都から山口へ新幹線車窓>
草青む中洲さざれや吉井川★★★
岡山を出でてうす紅桃の花★★★★
トンネルを出でてトンネル山笑う★★★

4月13日(4名)

●谷口博望(満天星)
水色の蕊爽やかに花水木★★★★
八重桜白腹も来て見上げたる★★★
花蘇芳の向こうに翡翠ビデオ撮る★★★

●小口泰與
渡良瀬川(わたらせ)の菜の花明り蒼き空★★★★
もくれんの雀や朝の地震定か★★★
青柳を借景として桃の花★★★

●桑本栄太郎
麗かに街道ゆけば虫篭窓★★★
街道の郷倉(ごうぐら)白く桃の花★★★★
ふるさとは遠くになりぬ啄木忌★★★

●河野啓一
鳥引くと便り来たれり薩摩より★★★★
「薩摩」という地名が効いた。鳥引くという「便り」であれば、南のくにの「薩摩」がいい。「春来る」のいい便りが届いたのだ。「鳥引く」は「鳥帰る」のこと。(高橋信之)

先達の足跡踏んで芽吹き山★★★
落ち椿直ぐに鳥来る門辺かな★★★

4月12日(5名)

●谷口博望(満天星)
糸桜番う軽鴨睦みつつ★★★
美しきうなじを見たり花海棠★★★
晩鐘や桜蕊踏む散歩道★★★★

●小口泰與
あけぼのの風にほぐるる楓の芽★★★★
青柳や川瀬にまじる鳥の声★★★
朝寝せりもろ鳥の鳴く雑木山★★★

●河野啓一
さみどりの聖火や空の欅若葉★★★
保育園定数足りず柿若葉★★★
芽吹く木に眩しき朝日鳥の声★★★★

●廣田洋一
紅色の鈴垂れしごと花海棠★★★
海棠や読経の声に眼を覚まし★★★★
紅さして濁世受け入れ花海棠★★★

●桑本栄太郎
<同期四人による洛西散策>
数条の飛行機雲や花菜晴れ★★★
街道の辻の古木た桜散る★★★

下りゆくだらだら坂や揚ひばり★★★★
だらだらと長閑に下ってゆく坂道に、下って行く人とは逆に、ひばりが鳴きながら空へ揚がってゆく。揚げひばりの声は、西洋の詩人には歓喜の歌と聞こえる。よい洛西の散策だったと思われる。(高橋正子)

4月11日(4名)

●谷口博望(満天星)
烏来るメタセコイヤの巣の中へ★★★
蒲公英の綿毛さわれば風に飛ぶ★★★★
花曇朽木に今日も翡翠来る★★★

●小口泰與
初つばめ畦川の水走り出す★★★★
つばめが来たうれしさが、生きいきとした季節が来たうれしさが、「畦川の水走り出す」によく表されている。畦川は田んぼを巡って流れている浅い小さな小川。田植えの準備が進んで、水が走り出している。
いい季節だ。(高橋正子)

山風を含みあえかな牡丹の芽★★★
揚ひばり田川の流れらんらんと★★★

●廣田洋一
花びらの波を打ちつつ道渡る★★★★
ザリガニを捕りたる池や春惜しむ★★★
赤白黄整列しをるチューリップ★★★

●河野啓一
松原に句碑ある浜辺春の潮★★★
空高く伸び行く欅若葉かな★★★★
今は昔浜寺公園貝拾い★★★

●自由な投句箱/4月1日~10日●


※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
http://blog.goo.ne.jp/kakan02

今日の秀句/4月1日~10日


[4月10日]

★目の慣れて早や手に余る蕨狩り/佃 康水
蕨狩りに出かけてたが、はじめのうちは、蕨もなかなか見つからない。しばらくすると、辺りに目が慣れて、そこにも、ここにもと蕨が見つかる。あっという間に手に握れないほどになっている。楽しい蕨狩りだ。(高橋正子)

★鯉幟少し泳ぎて風を待つ/廣田洋一
鯉幟は、風を待って泳ぎだす。風が少し吹けば少し泳いで、さらに大きな風を待つ。大空を勇ましく泳ぎたい鯉幟。(高橋正子)

[4月9日]

★蘖の大地の力まのあたり/満天星
木の切り株や根元から緑の若芽がどんどんと芽生える様子を見ていると、木の力というよりも、木が水や栄養を吸い上げる大地の力をまのあたりに見る思いだ。(高橋正子)

[4月8日]

★いずこにも花びらのある山路かな/多田有花
山路を辿る。どこの山路を通っても、花びらが散っている。辺りのどこかに桜の花がさいているのだ。遠くから山桜を眺めれば、絵に描いたように山にピンクが点在するが、山路に入れば、花びらが散っているのだ。(高橋正子)

[4月7日]

★若者の闊歩するかな柿若葉/河野啓一
柿若葉が黄緑の柔らかな葉を広げるころ、若者たちの服装も軽快になり、新生活を踏み出すものもいて、街を闊歩する姿も多くみられる。すがすがしい青年らしさがあっていい。(高橋正子)

[4月6日]

★新調の軽ろきシューズや揚ひばり/桑本栄太郎
新調されたものを身に着けるのはうれしいものだが、「揚ひばり」がその気持ちをよく表していて、明るい実感が伴っている。(高橋正子)

[4月5日]

★母逝きて七回忌とう花に集う/小川和子
この句の季語は、「花」であり、俳句で「花」といえば、「桜の花」をさす。「桜の花」には、日本人特有の価値観、日本民族特有の美意識がある。「もののあはれ」などといった無常観で、「いっせいに咲いてすぐに散ってゆく桜の花」である。母の七回忌の供養に相応しい「花」となったことであろう。(高橋信之)

[4月4日]

★花菫低く咲かせて風清し/小川和子
「花菫」を上手く捉えた。「風清し」がいいのだ。作者の内面をいい風が吹きすぎた。(高橋信之)
(高橋信之)

[4月3日]

★咲き満ちる桜を鳥の枝移り/佃 康水
「咲き満ちる桜」と「枝移りする鳥」とのいい取り合わせだ。正に春爛漫の景である。(高橋信之)

[4月2日]

★海風と伴に匂えるミモザの香/迫田和代
「海風」と伴にあれば、「ミモザの香」に広がりがあり、深みがある。いい句だ。(高橋信之)

[4月1日]

★利根川の渦巻く瀞や花辛夷/小口泰與
とうとうと流れる利根川にも瀞があって、水流に渦巻いている。その渦からは、風もまいあがっているだろう。そこに辛夷が咲き、花びらを震わせている。瀞の渦の強さ、辛夷の花の繊細さがいい景色をなしている。(高橋正子)

4月1日~10日


4月10日(7名)

●谷口博望(満天星)
色恋うて土手に花咲く紫荊★★★
ツツピンと甘茶所望の四十雀★★★
花吹雪鴨の帰りし城の堀★★★★

●小口泰與
うぐいすやささら波たつ山上湖★★★
次次に雲影行くや木瓜の花★★★★
我を見て飛びつく犬や桃の花★★★

●古田敬二
合格の孫へ花束風光る★★★★
空に揺れ楢の梢に芽吹き風★★★
春遅き鈴鹿の風の強く吹く★★★

●廣田洋一
鯉幟少し泳ぎて風を待つ★★★★
鯉幟は、風を待って泳ぎだす。風が少し吹けば少し泳いで、さらに大きな風を待つ。大空を勇ましく泳ぎたい鯉幟。(高橋正子)

チューリップ花弁一つ残しをり★★★
口説かれて喜び顔や春の風★★★

●河野啓一
うす赤く芽吹きて庭のきんもくせい★★★
花冷えの名残りやタオル膝に掛け★★★
白蓮の旬日見ざるに散り果てし★★★★

●佃 康水
目の慣れて早や手に余る蕨狩り★★★★
蕨狩りに出かけてたが、はじめのうちは、蕨もなかなか見つからない。しばらくすると、辺りに目が慣れて、そこにも、ここにもと蕨が見つかる。あっという間に手に握れないほどになっている。楽しい蕨狩りだ。(高橋正子)

五橋へと誘う街道花の雲★★★
紅枝垂背にポーズとるランドセル★★★

●多田有花
さくらさくら散りやまず散りやまず★★★★
回り道して花びらの散る中を★★★
花びらを浴びたくて通る花の下★★★

4月9日(4名)

●河野啓一
しっかりと雨にも耐えて花満開★★★
柿若葉早も小鳥がやってきて★★★
渦潮をどんと乗り越え桜鯛★★★★

●小口泰與
畑人へ鋭声ひと声雉子かな★★★
山風の古墳を囃す蓬かな★★★
眼間は奇岩の山や蛙の子★★★★

●迫田和代
何となく思い出の寺仏生会★★★
風と雨土手の桜よさようなら★★★★
仏生会背中合わせの稚児の列★★★

●満天星
蘖の大地の力まのあたり★★★★
木の切り株や根元から緑の若芽がどんどんと芽生える様子を見ていると、木の力というよりも、木が水や栄養を吸い上げる大地の力をまのあたりに見る思いだ。(高橋正子)

姿なき鶯鳴いて天の声★★★
初蝶の音符のやうに飛び行けり★★★

4月8日(3名)

●河野啓一
雨風にしっかと耐えし花仰ぐ★★★★
畑隅に揺れて輝く花大根★★★
チューリップ次はこの色植えようか★★★

●小口泰與
小刻みに翅をふるいつ雀の子★★★
靴先に落花のせたる朝かな★★★
春蝉や湖曇れども波まぶし★★★★

●多田有花
いずこにも花びらのある山路かな★★★★
山路を辿る。どこの山路を通っても、花びらが散っている。辺りのどこかに桜の花がさいているのだ。遠くから山桜を眺めれば、絵に描いたように山にピンクが点在するが、山路に入れば、花びらが散っているのだ。(高橋正子)

満開の桜に別れを告げる雨★★★
春落葉踏んで城主の墓の前★★★

4月7日(6名)

●小口泰與
山独活や川瀬にまじる鳥の声★★★★
花の雲野点の人の紺がすり★★★
畑人も野良着を脱ぎて花の友★★★

●廣田洋一
躑躅花遠慮深げに咲きにけり★★★
雨空を明るくしをる躑躅かな★★★★
黒黴や黴の字の中入り込み★★★

●河野啓一
はんなりと霞める丘の花の雲★★★
曇り空背にし跳ねるや柿若葉★★★

若者の闊歩するかな柿若葉★★★★
柿若葉が黄緑の柔らかな葉を広げるころ、若者たちの服装も軽快になり、新生活を踏み出すものもいて、街を闊歩する姿も多くみられる。すがすがしい青年らしさがあっていい。(高橋正子)

●桑本栄太郎
初つばめ鳴いて祇園の軒端かな★★★★
むらむらと何か背筋に木の芽どき★★★
宇宙人と見ゆやマスクの花粉症★★★

●高橋秀之
机の上観葉植物新芽ふく★★★★
岸壁に春の嵐の波高く★★★
休み今日で終了ほっとする★★★

●満天星
山路来て羊歯の萌えたる茶屋の裏★★★
寄り添うて城の石垣菫草★★★
はなももやヒロシマの街展望す★★★★

4月6日(6名)

●古田敬二
春愁の理由の一つに戦争法★★★
山笑う飛騨川沿いに列車行く★★★
桜には青空似合うと妻がいう★★★★

●小口泰與
石仏の見えし棚田や春の鳥★★★★
熊ん蜂黄な粉を付けし顔とかお★★★
夜桜や相馬が原も静もれる★★★

●廣田洋一
街路樹を取り巻き咲けり犬ふぐり★★★★
隣家より広がり来たり犬ふぐり★★★
星空の青く光りていぬふぐり★★★

●河野啓一
チューリップ赤三本で庭の華★★★
日を溜めてスノーフレーク揺れており★★★★
深草にスノーフレーク埋まりそう★★★

●桑本栄太郎
新調の軽ろきシューズや揚ひばり★★★★
新調されたものを身に着けるのはうれしいものだが、「揚ひばり」がその気持ちをよく表していて、明るい実感が伴っている。(高橋正子)

鉄塔と競い居りたり花の雲★★★
うつすらと田中に淡き紫雲英かな★★★

●多田有花
佇んで散る花びらを見上げおり★★★
見上げれば天を覆いし楓の芽★★★★
側溝に飛び込むところ初燕★★★

4月5日(6名)

●小口泰與
茎立や咫尺の丘の夫婦松★★★★
針金を落とす鴉や春の昼★★★
水温む犬の蹠のあたたかき★★★

●小川和子
この花が山吹ですかと訊ねられ★★★
咲き満ちて雪積もるごと桜散る★★★

母逝きて七回忌とう花に集う★★★★
この句の季語は、「花」であり、俳句で「花」といえば、「桜の花」をさす。「桜の花」には、日本人特有の価値観、日本民族特有の美意識がある。「もののあはれ」などといった無常観で、「いっせいに咲いてすぐに散ってゆく桜の花」である。母の七回忌の供養に相応しい「花」となったことであろう。(高橋信之)

●河野啓一
花びらの透き通りたる雨上がり★★★★
堀端の桜花見んとて集まれり★★★
あちこちに花満開の天守閣★★★

●廣田洋一
雪柳雪崩のごとくなぞへ揺れ★★★
夜道にて白く浮かぶは雪柳★★★★
雪柳小さき笑顔連ねをり★★★

●桑本栄太郎
風に乗り風に彷徨い紋黄蝶★★★
茎の伸び春風纏う仏の座★★★★
たんぽぽの絮の旅立つ構えかな★★★

●古田敬二
夕暮れの風にゆらゆら雪柳★★★
まぶしさを風に揺らして雪柳★★★
鳩啼いて芽吹きの一日暮れにけり★★★★

4月4日(6名)

●小口泰與
菜の花や腰に付けたる万歩計★★★★
春出水工業団地すぐそこに★★★
黒塀をとんとんとんと春の禽★★★

●満天星
居残りの金黒羽白桜雨★★★
桜雨大きはなびら手のひらに★★★★
雨降れば、快い驚きがある。それも自身の五体での体験であれば、なおさらである。眼で見て、手のひらに触れての「大きはなびら」の快い驚きである。(高橋信之)

手のひらの睫毛の長き桜蕊★★★

●廣田洋一
はらはらと花弁の散るホームかな★★★
雨の朝桜降り止む並木道★★★
雨空に色濃くなりし桜かな★★★★

●小川和子
たおやかに瑞枝の揺るる糸ざくら★★★
花菫低く咲かせて風清し★★★★
「花菫」を上手く捉えた。「風清し」がいいのだ。作者の内面をいい風が吹きすぎた。(高橋信之)

花冷えの空へと深し樹木林★★★

●桑本栄太郎
白れんの朽ちて旅立つ芸大生★★★★
うぐいすの方言なるや”ホーケチョビー”★★★
東京の空の曇りや連翹忌★★★

●川名ますみ
壕端のしろつめくさの辺り浮く★★★
さくら撮るスーツそちこち昼休み★★★★
曇天へ辛夷の白のひいやりと★★★

4月3日(6名)

●古田敬二
白きものモンシロ木蓮雪柳★★★
新しき空へ広がり楢芽吹く★★★★
高山へ行く鉄路脇山桜★★★

●小口泰與
山茱萸へ太き雨脚斜にさせし★★★
花と桃声おろしたる小舟かな★★★★
中七の「おろしたる」は、主題の「花と桃」を楽しくさせている。作者の楽しい思いでもある。下五の「小舟」であるのも「花と桃」に似つかわしい。(高橋信之)

白石川(しらいし)の花見舟をや仕立てける★★★

●廣田洋一
目出度しや後期高齢者となりにけり★★★
ふらここや花弁留まりて風を待つ★★★★
ぶらんこや高く漕がんと地に向かふ★★★

●河野啓一
春風や河内平野の若ごぼう★★★★
春朝餉茶がゆでありし日曜日★★★
花の雨宴の日には上がれよと★★★

●桑本栄太郎
風に乗り風に流さる紋黄蝶★★★
座り込み畑の仕事や蝶の昼★★★
野道ゆく親子ふたりや春休み★★★★

●佃 康水
咲き満ちる桜を鳥の枝移り★★★★
「咲き満ちる桜」と「枝移りする鳥」とのいい取り合わせだ。正に春爛漫の景である。(高橋信之)

青き踏み広島城の鳥探る★★★ 
川堤さくらさくらへ人移る★★★

4月2日(4名)

●小口泰與
輪になりし赤白帽よ花の昼★★★★
下五の「花の昼」がいい。やさしさのある句だ。季語の「花」がこの句のしっかりとした主題となっている。(高橋信之)

園児らの駆け来る丘や花の昼★★★
餌台を襲う羽音や春火鉢★★★

●迫田和代
窓を開け眼でする散歩の艶やかさ★★★
人溢れ川土手の桜今見ごろ★★★
海風と伴に匂えるミモザの香★★★★
「海風」と伴にあれば、「ミモザの香」に広がりがあり、深みがある。いい句だ。(高橋信之)

●廣田洋一
纏振り春通り初め段葛★★★
巫女二人掃き清めける春の塵★★★
川沿いの桜並木を乳母車★★★★
「川」、「桜」、そこには乳飲み子もいて、みずみずしく、そして大きな句となった。(高橋信之)

●桑本栄太郎
ムスカリの花壇に憂う保育園★★★
大根の打ち棄てられて茎立ちぬ★★★★
「打ち棄てられて」いても、命のあるものには、勢いがあって、成長するのだ。(高橋信之)

韮の愁いを翳す野面かな★★★

4月1日(4名)

●小口泰與
利根川の渦巻く瀞や花辛夷★★★★
とうとうと流れる利根川にも瀞があって、水流に渦巻いている。その渦からは、風もまいあがっているだろう。そこに辛夷が咲き、花びらを震わせている。瀞の渦の強さ、辛夷の花の繊細さがいい景色をなしている。(高橋正子)

市中はシャッター街や鳥雲に★★★
近づきて見る雪しろの瀞の渦★★★

●廣田洋一
春四月見慣れぬ人の多き朝★★★★
四月馬鹿その前の日に入社式★★★
四月馬鹿笑い出すのがちと遅れ★★★

●谷口博望(満天星)
鯱の尾鰭は天へ鳥交る★★★
花曇城の石垣翡翠飛ぶ★★★★
囲碁の才なくてやめれぬ四月馬鹿★★★

●桑本栄太郎
身を寄する祇園の軒や花の雨★★★
花あはれ散るべくもなく雨しとど★★★★
万愚説かさね早くも孫三歳★★★

●自由な投句箱/3月21日~31日●


※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
http://blog.goo.ne.jp/kakan02

今日の秀句/3月21日~31日


[3月31日]

★髪切って初めの風は花の風/川名ますみ
髪を切って、最初に髪を吹いた風は、桜の花から吹いてきた風という。桜を吹く風はやわらかく、髪をふわっと吹いたことであろう。髪を切ってさわやかになった気持が女性らしい感性で明るく詠まれている。(高橋正子)

[3月30日]

★ここは雨彼方は晴れて春時雨/多田有花
春時雨の降り方。ここは雨、彼方は晴れている不思議な世界に、此岸と彼岸を想像して見る思いだ。(田吾橋正子)

[3月29日]

★初桜鈍行電車の停まる駅/桑本栄太郎
鈍行電車は、一駅ごと、丁寧に停まっていく。たとえ短い停車でもどこかゆったりとしている。咲き始めた桜が駅にあれば幸も多い。(高橋正子)

[3月28日]

★籾の芽の密に青めり苗代田/廣田洋一
はやも苗代が作られ、籾が芽を出している。「密に青めり」に実感と新鮮な感動がある。(高橋正子)

★女生徒ら朗読し合う桜樹下/佃 康水
往年の女生徒をみるようだが、今も楚々とした女生徒たちがいることがうれしい。桜の花の咲く下で朗読の声が重なり合い、響きあう。映画の一コマのようだ。(高橋正子)

[3月27日]

★雨後の朝おのおの木々の芽の盛ん/小口泰與
春の雨が降ったあと驚くことは、木々の芽がどんどん伸びてきていること。「おのおの」が力強く、またよい観察だ。(高橋正子)

[3月26日]

該当作品無し

[3月25日]

★山道を下りれば海へ犬ふぐり/谷口博望(満天星)
海と犬ふぐり(オオイヌノフグリ)の取り合わせが効いている。山道を下ると海が開ける。犬ふぐりはそんなところに咲いている。海の色を映したような花の色に、心がより広く明るくなった。(高橋正子)

[3月24日]

★逆潮へ被爆柳の芽のみどり/佃 康水
被爆柳は、広島に原爆が投下されたときに、その付近たくさん植えられていた柳のなかで一本だけ焼け残った柳。あれから70年余たったが、今年も淡い緑の芽が芽吹いた。見守り続けるものには、感慨深いものがあろう。この句の逆潮は、川を遡る潮。「逆潮」が効いた。(高橋正子)

[3月23日]

★藪を行き春の筍ごつと踏む/古田敬二
下五の「ごつと踏む」がいい。表現がリアルで、句が生きいきとしている。力強いのである。(高橋信之)

[3月22日]

★たんぽぽの絮やみどり児ひと月に/桑本栄太郎
ひと月のみどり児は、まるでたんぽぽの絮のよう。まんまるく、やわらかく、羽のような。そのように誰もが接する。(高橋正子)

[3月21日]

★風船や花の種下げ旅立ちぬ/廣田洋一
「花の種下げ」には、「旅立ち」の確かな目的がある。広く、そして遠くに「花の種を蒔き」子孫繁栄を願う。それは、子孫繁栄という生命の「根源の働き」なのだ。(高橋信之)