■11月ネット句会■
■清記/17名51句
01.冬ばらのみず枝をつつむ朝日かな
02.冬ざれの一朶の雲のはやきかな
03.山道の落葉にすべる小犬かな
04.日当たりの朝餉嬉しく冬に入る
05.切干の笊に日当たるテラスかな
06.初冬のメロディー報らす湯張りかな
07.誰も居ぬコート落ち葉の演舞場
08.銀杏黄葉ほとばしる色ここに在り
09.立冬や妙高山の仁王立ち
10 青い空紅葉紅葉の間から
11 香につられつましくおける菊花展
12 いきいきと立冬の朝の挨拶を
13 カルデラの裂け目に立ちて冬来る
14 小雨のち晴れの週末おでんの香
15 さらさらと湯と流る来る落ち葉かな
16 頂きし小さき種はハンカチに
17 我が街も銀杏並木の黄が続く
18 晶子の碑色づく落葉に囲まれて
19 神おわす山くっきりと今朝の冬
20 楯のごと湖面に迫る峡紅葉
21 池の面の黄のさ揺らぐや石蕗の花
22 雑木黄葉の窪地に鳥の声満つる
23 土柔らか黄金落ち葉に陽の眩し
24 道掃くも午後の楽しみ彩落葉
25 温室のブーベンビリアの楽園へ
26 冬はじめ一人紅茶の湯気たのしむ
27 山茶花の花はたとえば二年生
28 秋深む終着駅の箱根から
29 温泉に紅葉落ち浮く湯気の中
30 りんどうの一輪がよく陽にあたる
31 秋高し心が先に歩き出す
32 台風来つつありパソコン画面の緊張
33 台風の眼がある今日のパソコンに
34 初冬のマルシェに求むフランスパン
35 谷紅葉まっかに燃えて瀬音かな
36 立冬の湖を背にして彦根城
37 軒下に光集める吊るし柿
38 ちりじりに分かれることが鰯雲
39 蒼天に漆紅葉の鮮やかに
40 清純な空の青さに小鳥来る
41 秋天へ工事現場の音高し
42 いけばな展苔むす古木堂々と
43 枯れてゆくさまの残菊薫りけり
44 土手を歩く小春の風と陽をまとい
45 錦秋の雑木もみじに風どっと
46 落葉舞う音のかそけき後の月
47 柿熟れて背景の空よそよそし
48 萩の寺に句碑見に行かん今朝の冬
49 黄葉の真っ直ぐ連なる御堂筋
50 齧りかけの林檎がひとつ皿の上
51 箱買いのみかんを荷台に自転車漕ぐ
◆互選のご案内◆
①選句は、清記の中から5句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、11月11日(火)午後8時から始め、同日(11月11日)午後12時までに済ませてください。
③選句の投稿は、下のコメント欄にご投稿ください。
※1) 入賞発表は、11月12日(水)正午
※2) 伝言・お礼等の投稿は、11月12日(水)正午~11月13日(木)午後6時です。
★山茶花にこぼるる目白の声ばかり 正子
とても嬉しい光景です。目白が山茶花に群がっていて鳴いています。こぼるる声って、新鮮な句です。(祝恵子)
○今日の俳句
大根の白さを今日もまな板に/祝恵子
冬の間の食材として欠かせない大根の白が、目にみずみずしい。また今日の新しい白となって刻まれる。日々の新しさがさわやか。(高橋正子)
○木賊

[木賊/横浜日吉本町]
★ものいはぬ男なりけり木賊刈り/大島蓼太
★笠一ッ動いて行くや木賊刈/正岡子規
★子を負ふて木賊刈る里の女哉/正岡子規
★木の国は義仲育て木賊刈る/坂内康花
★深淵は空にありけり木賊刈る/八田木枯
★悪声の鳥来る木賊刈り頃に/三浦照子
★木賊刈るや雪のにほひの絶縁状/塚本邦雄
★こもれびを受けて木賊の青眩し/大津留公彦
木賊を見るときは、いつも、世の中には、面白い植物もあるものだなと思う。そして、いつも「けんけんぱ」の遊びを思い出す。庭の踏み石の端などに木賊が生えている。その踏み石の配置が、子供には、「けんけんぱ」の遊びに都合よいように思えた。正式の遊びは、地面にロウセキで丸を描いて遊ぶ。時には、薬缶に水を汲んできて、土に水で丸く輪を描いた。水が乾けば、また描きなおすのだ。
★木賊生う秋の日差しは斜めから/高橋正子
トクサ(砥草、木賊、学名:Equisetum hyemale L.)とは、シダ植物門のトクサ科トクサ属の植物。本州中部から北海道にかけての山間の湿地に自生するが、観賞用などの目的で栽培されることも多い。表皮細胞の細胞壁にケイ酸が蓄積して硬化し、砥石に似て茎でものを研ぐことができることから、砥草の名がある。地下茎があって横に伸び、地上茎を直立させる。茎は直立していて同じトクサ科のスギナやイヌドクサ、ミズドクサの様に枝分かれせず、中空で節がある。茎は触るとザラついた感じがし、引っ張ると節で抜ける。節の部分にはギザギザのはかま状のものがあって、それより上の節の茎がソケットのように収まっているが、このはかま状のぎざぎざが葉に当たる。茎の先端にツクシの頭部のような胞子葉群をつけ、ここに胞子ができる。その姿のおもしろさから、庭で栽培されることもある。
茎は煮て乾燥させたものを紙ヤスリのようにして研磨の用途に使う。また紙ヤスリが一般的な現代でも高級なつげぐしの歯や漆器の木地加工、木製品の作業工程などの磨き仕上げる工程に使用されていることや、音楽家の滝廉太郎は、身だしなみに気を遣ったため、常々トクサで爪を磨いていたことがよく知られている。クラリネットなどのリード楽器の竹製リードを磨いて調整するのにもトクサが用いられる。干した茎は木賊(もくぞく)と呼ばれる生薬で、その煎液を飲用すると目の充血や涙目に効果があるといわれている。小話に、明治時代の郵便夫が、わらじがあまりにすり減るのを嘆き、すり減らなさそうな材料としてトクサを使う話がある。その結果、足先からすり減って頭だけになった郵便夫は、頭を鞄に片づけて帰ったという落ちである。
「木賊刈る」は秋の季語。
◇生活する花たち「茶の花・柚香菊・実蔓(さねかずら)」(東京白金台・国立自然教育園)
