5月14日(3名)
小口泰與
夏の野の牛にしざるる小犬かな★★★
時鳥鳴くや湖畔の笹林★★★
郭公や蔦の乱舞の森の中(原句)
郭公や蔦の茂れる森の中(正子添削)
蔦に対して「乱舞」はどうでしょうか。(髙橋正子)
廣田洋一
赤々と光を放つ桜の実★★★
昼顔や横一列に並びおり(原句)
昼顔や横一列に吹かれおり(正子添削)
「並びおり」は写生ですが、句に動きがないので、添削しました。
金鶏菊の句のときに申し上げたことと同じです。(髙橋正子)
鯉の群小さくなりし夏の川★★★
目の付けどころは、とてもいいです。(髙橋正子)
多田有花
<長湯温泉・大丸旅館三句>
芹川の対岸に揺れる藤の花★★★
「芹川」の固有名詞の効果が少し薄いのが惜しいです。(髙橋正子)
夏浅き流れを見やる部屋に座す(原句)
夏浅き流れを見やる部屋に座し(正子添削)
対岸は新緑さらに青き空★★★
5月13日(3名)
多田有花
<豊後竹田駅三句>
阿蘇へ行く列車見送り初夏のホーム★★★
阿蘇へ発つ列車見送り初夏ホーム
阿蘇へ発つ列車見送り初夏の駅(正子添削②)
瓦光る五月の豊後竹田駅★★★
はつなつの静けさ駅前ロータリー★★★
小口泰與
孕み雀トタンの屋根をとんとんと★★★
鴨引くやしじに波立つ山の沼★★★
春蝉や園児の網の届かざる★★★
廣田洋一
松蝉やギーギーと舟漕ぎており★★★
紅空木雨に打たれて光りおり★★★
紅空木雨に打たれて紅光り(正子添削)
金鶏菊高々揺れる土手の道★★★
金鶏菊高々揺れる土手行けば(正子添削)
元の句は写生が安定して問題はないのですが、どの言葉も同じ深度で平板に感じられます。(髙橋正子)
5月12日(3名)
小口泰與
濃い緑淡きみどりや春の森(原句)
濃き緑淡きみどりも春の森(正子添削)
沼の波荒立ち立つや春の朝★★★
つやつやの柿の葉数多春日差す(原句)
日の差してつやつや数多の柿若葉(正子添削)
多田有花
<大分駅三句>
夏きざす大分駅に降り立ちぬ(原句)
降り立ちし大分駅に夏きざす(正子添削)
降り立って、はじめて「夏きざす」を感じたのではないでしょうか。体験の順序と時間の関係は大いに大切です。逆になると説明になります。(髙橋正子)
はつなつやコンコースゆくミニトレイン★★★
風薫る九州横断特急に乗れば★★★
廣田洋一
祭提灯連なり揺れる大通り★★★
朴の花向こうに見ゆる青き空(原句)
朴の花向こうに見ゆる空の青(正子添削)
「青き空」とすると、朴の花と並べて置いただけという、平面的な句になります。(髙橋正子)
卯の花や花弁こぼす雨の中(原句)
卯の花や花弁雨にこぼれけり(正子添削)
元の句は「卯の花」が「花弁こぼす」と説明寄りの句になっています。(髙橋正子)
5月11日(2名)
小口泰與
妙義山(みょうぎ)へと春の日刻刻しざりゆく★★★
春の森しじに泡立つ炭酸水(原句)
春の森にしじに泡立つ炭酸水(正子添削)
春の森と炭酸水の句材はよいですが、原句は、「春の森」と「炭酸水」を置いてあるだけで関係がわかりません。助詞を使うことも一つの方法です。(髙橋正子)
大沼の大きな静寂翁草★★★
廣田洋一
女子衆も声を合わせて三社祭(原句)
女子衆の声を合わせて三社祭(正子添削)
男衆に対して女子衆と言う意味合いが「も」にありますが、これは説明になります。男衆の子とは考えず、女子衆のその場をしっかり詠んで、ほかは、読み手に想像してもらいます。(髙橋正子)
伸び来たる枝の先なり朴の花(原句)
青空に伸びたる枝に朴の花(正子添削)
朴の花が美しく(あるいは、大らかなど)見えるような句材を情景から選び取ることが大事です。(髙橋正子)
紅白の鐘を並べて釣鐘草(原句)
紅も白もありけり釣鐘草(正子添削)
「鐘を並べて」が説明になっています。「紅も白も
という気づきです。写生というのは、見えないところを見る、気づかないところに気づくことです。(髙橋正子)