2月2日
●小口泰與
友去りて居間の広さや春隣★★★
電線に等間隔や寒雀★★★
白鳥の舞い下る影や夕日影★★★
●河野啓一
青空に一輪紅き蔓バラや★★★★
黄水仙大杯掲げ咲き初める★★★
春浅きキウイの輪切り口に入れ★★★
●桑本栄太郎
蒼天の楽譜となりぬ冬芽かな★★★
ぱつちりと土手にちりばめ犬ふぐり★★★★
この句の問題点は、「ちりばめ」の主語が何かということ。犬ふぐりが主語なら、「ちりばめられ」、「ちらばり」になる。
犬ふぐりの花は、ぱっちりと開いた小さな青い瞳のようだ。土手に散らばって咲く姿がまた可憐である。(高橋正子)
末黒野と言うにほどなき土手の跡★★★
●下地鉄
春宵や止めた喫煙欲しくなり★★★
囀りの止まり足音また聞こえ★★★★
囀っている鳥が足音を聞きつけたのか、ぴたりと鳴き止んだ。するとその静寂に足音がまた聞こえる。「また聞こえ」に鳥と人間の関わり読み取れて面白味がある。(高橋正子)
すたすたと足取り軽く春の風★★★
2月1日
●小口泰與
白菜や黒雲かずく榛名富士★★★
寒暁の鴇色の空禽の声★★★★
寒の終わりが近づくと、寒暁の空が鴇色の美しい色に染まるときがある。それに禽の声が加わって、春の間近さが思われる。(高橋正子)
寒暁の夥しけれ明烏★★★
●多田有花
新しきレインウェアに春隣★★★★
晴れ晴れと神前結婚春隣★★★
漆喰の白きに山茶花の赤し★★★
●下地鉄
春立つや空の青さに海の色★★★★
「春立つ」の声を聞けば、空の色、海の色に春らしい明るさを感じるのも人の心。春は空の色、海の色から始まる。(高橋正子)
麗らかや老いも若きも軽やかに★★★
料峭や老婦の急ぐ帰り道★★★
●桑本栄太郎
<洛西、正法寺の梅林>
琴の音の寺苑に流れ寒ゆるむ★★★
探梅や堅きつぼみの風の谷★★★
ほころびの一つ二つや梅二月★★★
★大寒の真青な空の実栴檀 正子
空は青空、そこに栴檀の実が高く沢山の実を付け残っている。大寒の空にも栴檀の実をみつけた楽しさ。 (祝恵子)
○今日の俳句
賑わいの境内冬芽あちこちに/祝恵子
賑わいは、前掲句「境内に人の溢れて初弘法」から初弘法と知れるが、そうした境内の賑わいの中に、冬芽もあちこちの木に育っている。冬芽も賑わいのひとつである。(高橋正子)
○立寒椿
[立寒椿/大船フラワーセンター]
★立寒椿花の真中に日を受けし/高橋正子
★寒椿というや雪の公園に/高橋正子
寒椿(カンツバキ)は、ツバキ科ツバキ属の常緑低木で、山茶花(サザンカ)を母種としたカンツバキ群の園芸品種である。枝が横に広がる傾向がある。これに対して枝が上に伸びるものは、立寒椿(タチカンツバキ)といって区別をする。学名:Camellia x hiemalis cv. Tachikantsubaki(=Camellia sasanqua cv. Hiemalis)
サザンカとカンツバキの見分け方。(「ガーデニング – 教えて!goo」より):
どちらもかなりの近隣種ですので、これですという区別は難しいですね。というのも寒椿には二種類の系統があり、現在の主流は本来の寒椿(中国原産)とサザンカの交雑種である「寒椿群」という系統が一般に流通しています。交雑種ですのでどちらの血も流れていますのでますます見分けにくくなっているのは仕方がないことですね。さらに「寒椿群」はサザンカの一種として認知されています。 これはその学名からも理解できます。「Camellia sasanqua」です。この寒椿群はすべて立ち性(椿系)で通称はあなたがいうように立ち寒椿と言われています。 その品種の一つに「勘次郎」があります。一方、中国原産の「カンツバキ」は学名を「Camellia hiemalis」という冬咲きという名が学名についているとおり冬咲きで、その特徴は矮性であることです。種類は少なく、主に「獅子頭」というものが出回っているようです。 さらにこの「獅子頭」が前述した「寒椿群」のもとになったという複雑さがあります。つまりサザンカもカンツバキも同じ仲間と認識したほうが間違いありません。その違いはと言われれば、次のようにまとめることができます。<花の咲く時期>サザンカ→寒椿群(勘次郎)→カンツバキ(獅子頭)。*注意:サザンカにも春咲きが例外として存在します。<樹木の特徴>*サザンカ・寒椿群は、立ち性で、別名タチカンツバキ。*カンツバキは、矮性。サザンカと椿(春咲きの一般種)との顕著な違いは「毛の有無」です。 サザンカにのみ子房と新葉の葉と枝に微毛があります。これが見分け方ですね。
◇生活する花たち「寒牡丹」(鎌倉・鶴岡八幡宮)