※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
◆俳句日記/高橋正子◆は、下記のアドレスです。
http://blog.goo.ne.jp/kakan02
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[3月10日]
★山風や花のむきむき黄水仙/小口泰與
やっと咲き出した黄水仙に山風は容赦なく花を乱して吹く。その荒々しい山風の吹くまま咲く黄水仙が健気にも可憐だ。(高橋正子)
★我が狭庭光りのごとくメジロ来る/古田敬二
メジロは小さい体で、すばやく庭にやって来て枝移りするその気配や様子は、さながら「光り」のようだ。明るい日差しにあふれた庭の光景。(高橋正子)
[3月9日」
★サンシュユの黄色鮮やか開花前/古田敬二
サンシュユの黄色い蕾は、開花前は特に澄んだ鮮烈な黄色を見せる。咲いてしまえばその黄色は幾分柔らかな色合いになるが、咲く力が集約された開花前の蕾は、色にそのことが見て取れるのだ。(高橋正子)
★風光る部屋のみどりの色新た/川名ますみ
部屋に置かれた観葉植物などのみどりに、日が深く差し込んで来ると、葉が光を返し、みどりの色が新鮮に見える。明るい光が差すと気持ちが弾む。(高橋正子)
[3月8日]
榛名湖の波高ぶるや柳の芽/小口泰與
柳が芽吹くころは、風が強い日がよくある。榛名湖の波が高ぶり芽柳の薄緑の枝が揺れ、春寒い季節がイメージとしてくっきり捉えられている。(高橋正子)
★嬰児を抱いてあやして雛祭り/祝恵子
雛祭に招かれ、初節句の嬰児を抱いて、あやして楽しい時を過ごしたのであろう。愛情あふれる雛祭りが
詠まれている。(高橋正子)
[3月7日]
★川土手の桜並木の芽が円い/迫田和代
川土手を行きながら、今日は桜の芽が円く育っているのに気づき、また嬉しくもなった。桜の咲く季節が、日ごと近づいている。(高橋正子)
★囀りの朝の団地に目覚めけり/桑本栄太郎
「団地」が効いている。同じような建物が並ぶ団地は生活の場。朝には囀りが聞こえ、野にいるようなのどかさ。春の朝の目覚めがすがすがしい。(高橋正子)
[3月6日]
★風光る菜花の揺れて昼下がり/河野啓一
菜の花の季節は、また「風光る」季節。やわらかな菜の花の黄色と緑の葉の色。昼下がりの長閑さに、うっとりとしそうだ。(高橋正子)
★(正子添削)紙雛の浮かれ踊れる屏風前/祝恵子
この紙雛は、すまして座っている雛ではなく、いろんな仕草がつけられて、浮かれ踊っているような楽しい雛なのだろう。金屏風の前で繰り広げられる宴が目に見えるようだ。(高橋正子)
[3月5日]
★啓蟄や支流支流の水集う/小口泰與
地中の虫も動き出す季節、暦の上だけでなく春を実感するような日もある。支流の水も雪解けや度々の雨に水嵩を増やし、本流へと集まって流れる。水の嵩や色、流れ方に春の到来が知れる。(高橋正子)
★たらの芽やはるか沖には白き波/桑本栄太郎
たらの芽を摘む山から海を眺めれば、沖に白い波が立っている。故郷、鳥取の早春の記憶の景色が、鮮明に詠まれている。(高橋正子)
[3月4日]
★雪柳互生の蕾を正確に/古田敬二
雪柳は小さな花を枝に密生させて開く。開いてしまえば白い花のかたまりとして捉えるのが一般的だが、蕾をよく観察して、蕾が「互生」していることを発見した。「自然の意」を思わせるリアルさが力強い。(高橋正子)
[3月3日]
★鶯の囀り近く干し物を/多田有花
よい日和。干し物をしていると鶯が近くで鳴いてくれた。洗ったばかりの衣類の湿り具合がよい感じで、鶯がごく身近な鳥となったのも、愉快なことだ。(高橋正子)
[3月2日]
★せせらぎの桜芽木張る高瀬川/桑本栄太郎
せせらぎに差し伸びた桜の芽木が、咲く時へと力を溜めている。「張る」という言葉がその力強さをよく表現している。「高瀬川」の固有名詞が句の情景を広げている。(高橋正子)
[3月1日]
★紀の川の靄に包まれ旅にいる/古田敬二
紀の川緩やかな流れに生まれる霞が、旅情をゆたかにしてくれる。霞に包まれた身があたりに溶け入ったような、紀の川の自然がゆったりと身に馴染む。(高橋正子)
★客を待つ咲き遅れたる水仙花/河野啓一
春の花が咲くまでをつないでくれる咲き遅れた水仙の花。花好きは、花で客を迎えたいものだが、そんな気持ちがよく出ている。(高橋正子)
3月10日(3名)
●小口泰與
山風や花のむきむき黄水仙★★★★
やっと咲き出した黄水仙に山風は容赦なく花を乱して吹く。その荒々しい山風の吹くまま咲く黄水仙が健気にも可憐だ。(高橋正子)
早蕨を三和土に干せし媼かな★★★
また二人早蕨とりに現れり★★★
●桑本栄太郎
<京都祇園小路>
芽柳や四条の橋の川風に★★★
外つ人のあまた祇園や春しぐれ★★★
建仁寺の塀の高きや落椿★★★★
●古田敬二
我が狭庭光りのごとくメジロ来る★★★★
メジロは小さい体で、すばやく庭にやって来て枝移りするその気配や様子は、さながら「光り」のようだ。明るい日差しにあふれた庭の
光景。(高橋正子)
曇天へ芽吹きの細枝シルエット★★★
春筍を地中に秘めて竹真直ぐ★★★
3月9日(6名)
●小口泰與
湖明けて白鳥帰る鋭声かな★★★
整然と名草の芽の出でにけり★★★
からからと笑う童やしゃぼん球★★★★
●桑本栄太郎
さえずりや口笛吹いて応え居り★★★
さみどりをふふみ芽吹きや土佐みづき★★★
少年の野球チームや草青む★★★★
●多田有花
初蝶や我が山行の足元に★★★
春の海浮かぶ家島小豆島★★★
春の陽のあふれる頂に座る★★★★
●古田敬二
サンシュユの黄色鮮やか開花前★★★★
サンシュユの黄色い蕾は、開花前は特に澄んだ鮮烈な黄色を見せる。咲いてしまえばその黄色は幾分柔らかな色合いになるが、咲く力が集約された開花前の蕾は、色にそのことが見て取れるのだ。(高橋正子)
傘軽し春の深まる雨なれば★★★
梅満開校庭溢れる子らの声★★★
●川名ますみ
多摩川に春日ひとしく流れけり★★★
風光る部屋のみどりの色新た★★★★
部屋に置かれた観葉植物などのみどりに、日が深く差し込んで来ると、葉が光を返し、みどりの色が新鮮に見える。明るい光が差すと気持ちが弾む。(高橋正子)
春の街花の写真を手土産に★★★
●高橋秀之
コンテナ船入るを隠すは春の雨★★★
白梅が木々にいっぱい河川敷★★★★
啓蟄を過ぎて目覚めの夜明けかな★★★
3月8日(6名)
●小口泰與
うすずみの榛名十峰雪やなぎ★★★
榛名湖の波高ぶるや柳の芽★★★★
柳が芽吹くころは、風が強い日がよくある。榛名湖の波が高ぶり芽柳の薄緑の枝が揺れ、春寒い季節がイメージとしてくっきり捉えられている。(高橋正子)
また一輪今朝湧き出でし梅の花★★★
●祝恵子
嬰児を抱いてあやして雛祭り★★★★
雛祭に招かれ、初節句の嬰児を抱いて、あやして楽しい時を過ごしたのであろう。愛情あふれる雛祭りが詠まれている。(高橋正子)
ひなあられ赤子の前で封を切る★★★
浅蜊汁若い夫婦のおもてなし★★★
●多田有花
シリアルはシナモンの味春の雨★★★
鶯を足下に晴れし稜線を★★★★
春の山眼下を走る新幹線★★★
●桑本栄太郎
ぎらぎらと葉面光り風光る★★★★
暮れなずむ山すそ村や春燈★★★
春北風の真夜のおらびや窓の闇★★★
●高橋秀之
御殿雛思わず中を覗き見る★★★
真ん前を見つめる享保雛の顔★★★
旧邸が狭きと七段雛並ぶ★★★★
●小西 宏
暖かや重なる亀の砂埃★★★
空高く卵が割れて白木蓮★★★
春風に足でジャンケン姉弟★★★★
3月7日(4名)
●迫田和代
川土手の桜並木の芽が円い★★★★
川土手を行きながら、今日は桜の芽が円く育っているのに気づき、また嬉しくもなった。桜の咲く季節が、日ごと近づいている。(高橋正子)
太陽のご機嫌の良い日いぬふぐり★★★
蕗の薹庭石の陰からのっそりと★★★
●小口泰與
あけぼのの畦淡きかな初蛙★★★
芽柳や川瀬の波の響きける★★★
いっせいに里彩るや孕鳥★★★★
●佃 康水
何時になく立花(りっか)華やぐ雛の間★★★★
倉敷川のほとり
芽柳や花嫁乗せし舟浮かべ★★★
蔵町を映す川辺や柳の芽★★★
●桑本栄太郎
囀りの朝の団地に目覚めけり★★★★
「団地」が効いている。同じような建物が並ぶ団地は生活の場。朝には囀りが聞こえ、野にいるようなのどかさ。春の朝の目覚めがすがすがしい。(高橋正子)
人にある遅速のように丘の梅★★★
春北風の真夜におらぶや窓の闇★★★
3月6日(7名)
●小口泰與
梅の香や野点の人の黄八丈★★★
麦踏や長き裾野を鳶の笛★★★
ひろごれる青空深し揚ひばり★★★★
●河野啓一
風光る菜花の揺れて昼下がり★★★★
菜の花の季節は、また「風光る」季節。やわらかな菜の花の黄色と緑の葉の色。昼下がりの長閑さに、うっとりとしそうだ。(高橋正子)
薔薇の芽の風に揺れおり曇り空★★★
小鳥呼ぶ紅い椿の蕾かな★★★
●多田有花
三月の風が玻璃戸を鳴らし過ぐ★★★
春寒の満月昇るテニスコート★★★
啓蟄の空幾本の飛行機雲★★★★
●小川和子
梅に蜜吸いおり鵯の枝の揺れ★★★★
せせらぎの煌めき流る春の水★★★
ふらここを漕ぎ上ぐ子らの宙に舞う★★★
●祝恵子
和紙人形展
指先も和紙で細やか段の雛★★★
(正子添削)紙雛の浮かれ踊れる屏風前★★★★
この紙雛は、すまして座っている雛ではなく、いろんな仕草がつけられて、浮かれ踊っているような楽しい雛なのだろう。金屏風の前で繰り広げられる宴が目に見えるようだ。(高橋正子)
座す吾を紙雛たちに見おろされ★★★
●桑本栄太郎
故郷の春追憶
緋色敷く屋敷まわりや落椿★★★★
鄙なればまだらに搗きぬよもぎ餅★★★
季(とき)なれど吾は覚えず母子草★★★
●小西 宏
啓蟄の朝日明るい窓ガラス★★★
春風にクシャミ窓超え谺する★★★
桜芽の紅が膨らみ空いっぱい★★★★
3月5日(3名)
●小口泰與
啓蟄や支流支流の水集う★★★★
地中の虫も動き出す季節、暦の上だけでなく春を実感するような日もある。支流の水も雪解けや度々の雨に水嵩を増やし、本流へと集まって流れる。水の嵩や色、流れ方に春の到来が知れる。(高橋正子)
舎利殿の龍の眼光風光る★★★
白梅や堂の柱の黒光★★★
●桑本栄太郎
<故郷の春追憶>
竹籠のそれぞれ持つや蓬摘む★★★
背なにある吾の記憶や二日灸★★★
たらの芽やはるか沖には白き波★★★★
たらの芽を摘む山から海を眺めれば、沖に白い波が立っている。故郷、鳥取の早春の記憶の景色が、鮮明に詠まれている。(高橋正子)
●上島祥子
左手に持てるだけの土筆かな★★★★
満開の梅に導く道普請★★★
大伯母の句集写して二月尽★★★
3月4日(4名)
●小口泰與
春暁の紫紺の山や鳶の笛★★★
百千鳥渓へ日の差す木の間かな★★★★
山襞の残雪光り鳥の声★★★
●河野啓一
梅の枝満開なれば空青し★★★★
焼き穴子載せて節句の散らし寿司★★★
猫の恋いつもの場所に姿なし★★★
●桑本栄太郎
春雨の湾処に杭の並びけり★★★★
医科大の樟の大樹や春落葉★★★
ハイウェイの灯火つづくや春の夕★★★
●古田敬二
独り居の子に作り置く菜花和え★★★
雪柳互生の蕾を正確に★★★★
雪柳は小さな花を枝に密生させて開く。開いてしまえば白い花のかたまりとして捉えるのが一般的だが、蕾をよく観察して、蕾が「互生」していることを発見した。「自然の意」を思わせるリアルさが力強い。(高橋正子)
堰落ちる水白々春寒し★★★
3月3日(6名)
●小口泰與
五色豆かりっと噛むや風光る★★★★
根無し雲浮かべる湖や柳の芽★★★
風光る旅の準備のあれやこれ★★★
●多田有花
満開に梅咲いて今日よき日和★★★
花それぞれつけて梅枝のすっと伸び★★★
鶯の囀り近く干し物を★★★★
よい日和。干し物をしていると鶯が近くで鳴いてくれた。洗ったばかりの衣類の湿り具合がよい感じで、鶯がごく身近な鳥となったのも、愉快なことだ。(高橋正子)
●桑本栄太郎
桃の日や妻は母訪い故郷へ★★★★
降る雨の風に流さる三月に★★★
雨つぶのきらりと紅やしだれ梅★★★
●河野啓一
朝靄と黄砂の中の生駒山★★★★
雛まつり夕餉の膳に散らし寿司★★★
桜鯛渦潮越えてやって来る★★★
●福田ひろし
老梅や裂けて曲がりて花咲かす★★★
筑後なる鄙びた町の雛飾り★★★
振り返りまた振り返る梅の里★★★★
●高橋信之
ひな祭り朝暗がりの窓外よ★★★
ひな祭りわが娘に幼な日のありぬ★★★
もの書くに窓外春の暗がりに★★★★
3月2日(3名)
●小口泰與
忽然と湖広がるや鳥雲に★★★★
湖暮れて騒めきおさむ木の芽山★★★
天土の潤いたしか名木の芽★★★
●多田有花
広々とコンテナヤードに春朝日★★★
石段を駆ける少年梅開く★★★★
青龍殿春の京都を一望す★★★
●桑本栄太郎
外に出れば音なき雨や春野道★★★
せせらぎの桜芽木張る高瀬川★★★★
せせらぎに差し伸びた桜の芽木が、咲く時へと力を溜めている。「張る」という言葉がその力強さをよく表現している。「高瀬川」の固有名詞が句の情景を広げている。(高橋正子)
句帳手に眼を凝らし居る春野かな★★★
3月1日(6名)
●小口泰與
まるまると膨れし川や未紅梅★★★
観梅や酒一杯の着所寝★★★
菜の花や空広広と鳶の笛★★★★
●古田敬二
紀の川の靄に包まれ旅にいる★★★★
紀の川緩やかな流れに生まれる霞が、旅情をゆたかにしてくれる。霞に包まれた身があたりに溶け入ったような、紀の川の自然がゆったりと身に馴染む。(高橋正子)
(信之添削)旅にいて紀伊には早き豆の花★★★
石垣残る峠の村は春遅し★★★
●多田有花
ころころと屋根を転がる春霰★★★
淀川の波にまかせて残る鴨★★★
下萌や少年野球の声響く★★★★
●桑本栄太郎
紅梅の雨の滴や昼下がり★★★★
細枝の赤くときめく春の雨★★★
せせらぎの沈丁宿す高瀬川★★★
●河野啓一
春風に頬なぶらせて車椅子★★★
客を待つ咲き遅れたる水仙花★★★★
春の花が咲くまでをつないでくれる咲き遅れた水仙の花。花好きは、花で客を迎えたいものだが、そんな気持ちがよく出ている。(高橋正子)
雪解けを待ちて出掛ける北の国★★★
●内山富佐子
靴下の親指の穴二月尽★★★
病床の友に絵手紙雛人形★★★★
老い払へ雛いくつも飾る母★★★
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[2月28日]
★芽柳とわれ川風に吹かれいる/小川和子
やわらかに柳が萌え、川風がやさしく吹く。川風にやさしく吹かれる「芽柳」も「われ」も同じ存在。「われ」は、芽柳にでもなったような、緩やかで、やさしい季節だ。(高橋正子)
[2月27日]
★園庭の青きを踏んで一輪車/古田敬二
木々が芽吹き、草が萌えると園庭の仕事も一気に増える。枯草や枯葉を集めたり、徒長した枝を剪定したり。作業用の一輪車が活躍する。園庭の作業に弾みが付くのは、「青きを踏んで」であること。季節の新鮮さがい。(高橋正子)
桜の芽越してまっすぐ陽の来たる/川名ますみ
桜の芽の向こう側から太陽が差してくる。力強い光だ。桜の芽が光を力強くさせる。桜が咲くころも、同じようにまっすぐに陽が差すだろう。(高橋正子)
[2月26日]
★雨上がり梅のきりりとなお白し/福田ひろし
雨上がりの梅の花は、雨に散るどころか、雨に洗われていっそう白さ、清潔さを増している。きりりとした姿は梅の花の魅力だ。(高橋正子)
[2月25日]
★春の草風の中なる明るさよ/小口泰與
少し草丈の伸びた春の草が、風にそよぎ、光りを返している。風が吹けば光る春の草があたりに明るさを広げているよい季節だ。(高橋正子)
★青き香に天ぷら揚げて蕗のとう/河野啓一
蕗のとうは春の到来を告げるもの。「青き香」には、蕗のとうの生き生きとした香りはもちろん、作者の生き生きとした暮らしの喜びが表現されている。(高橋正子)
[2月24日]
★山焼いて後の黒から芽が動く/迫田和代
山焼きのあと、いくたびか雨が降り、黒々とした焼けあとから、草の芽が出始めた。「芽が出る」ではなく、「芽が動く」。芽の力強さに驚く季節だ。(高橋正子)
★初音して後は静かな山の中/多田有花
初音を聞いたあと、また聞こえるかと耳を澄ますけれど、それきり。山の中の静かさが一層思われるが、山はもう春の匂いがし始めているのだろう。(高橋正子)
★芽柳やバス待つ風のゆるび居り
梅が香の香りほのかに教会へ/桑本栄太郎
教会への道すがら、梅のほのかな香りが漂っている。礼拝へ向かう気持ちも梅の香りに清められている。(高橋正子)
[2月23日]
春野菜散らして寿司の昼餉かな/河野啓一
春は寿司が美味しい季節。寿司に散らした春野菜には、菜の花などもあるのだろう。春野菜の華やいだ寿司に明るいたのしい昼餉となった。(高橋正子)
[2月22日]
★蕗の薹利根の流れのごうごうと/小口泰與
利根川が雪解け水を集め、ごうごうと流れるほとりに蕗の薹が顔を出す。蕗の薹と利根川の関係に自然の摂理が感じられる。(高橋正子)
★梅日和里から里へ歩きけり/福田ひろし
「里から里へ歩く」がいかにも梅日和らしい。里に咲く梅を訪ねてというのも、何かの用事で里から里を歩いたというのもいい。(高橋正子)
[2月21日]
★春日浴び妙高山(みょうこう)ぐいと迫り来る/内山富佐子
雪の妙高山が春の日を力強く反射し、「ぐいと迫り来る」のだ。曇りがちな、雪がちな日々の妙高山とは違って、春の日に生き生きと有様を突き出している。(高橋正子)
★六甲を登れば春の汽笛かな/多田有花
春といえばのどかさ。六甲の山に登り、はるか海から汽笛が聞こえてくる。「春の汽笛」は「のどか」そのもの。人の心に郷愁をも呼んで鳴る汽笛だ。(高橋正子)
[2月20日]
★菜の花や海あおあおと響きける/小口泰與
菜の花の黄色と海のあおの色彩的な美しさに加え、「あおあおと響く」の詩情が素晴らしい。「海のあお」に海の音が聞こえる。(高橋正子)
[2月19日]
★シクラメン靴紐結べば花近し/上島祥子
靴紐をしっかりと結んで出かけるところ。靴紐を結びながら、足元のシクラメンが目に入る。どきっとするほどシクラメンの花が自分に近い。靴とシクラメンが大きくクローズアップされた。若々しい句。(高橋正子)
★山焼きていよよ目覚める阿蘇の里/福田ひろし
雄大な阿蘇が山焼きによって、それを区切りに「いよよ目覚める」。焼きあとから草が萌え出る春もすぐそこまで来ている。人間生活にも良いことがあり、よい春が来そうな予感がする。(高橋正子)
2月28日(4名)
●小口泰與
参拝の拍手打つや二月尽★★★
眼間の榛名十峰霞立つ★★★
雲版を打つ作務衣の僧や若緑★★★★
●古田敬二
紀見峠を歩く
人住まぬ家の戸に触れ咲く紅梅★★★
春寒し一人も会わぬ峠道★★★
走り根の春の大地をしかと掴む★★★★
●小川和子
芽柳とわれ川風に吹かれいる★★★★
やわらかに柳が萌え、川風がやさしく吹く。川風にやさしく吹かれる「芽柳」も「われ」も同じ存在。「われ」は、芽柳にでもなったような、緩やかで、やさしい季節だ。(高橋正子)
風に揺れ柳遠目に青みけり★★★
草光る川辺一面いぬふぐり★★★
●桑本栄太郎
梅が香の木々のときめく丘の風★★★★
さざ波のわらわら光る春の池★★★
腰痛の不意に来たるや二月尽★★★
2月27日(7名)
●小口泰與
利根川のあまねく水や犬ふぐり★★★★
揚雲雀一羽翔ちけり数羽翔つ★★★
谷川岳(たにがわ)の岩もろ共に雪崩けり★★★
●河野啓一
山里の友の便りや麦青む★★★★
二月尽冬水仙の満開に★★★
ジャスミンの白い蕾が顔を出し★★★
●古田敬二
園庭の青きを踏んで一輪車★★★★
木々が芽吹き、草が萌えると園庭の仕事も一気に増える。枯草や枯葉を集めたり、徒長した枝を剪定したり。作業用の一輪車が活躍する。園庭の作業に弾みが付くのは、「青きを踏んで」であること。季節の新鮮さがい。(高橋正子)
色づいて芽吹きの予感紀伊の山★★★
県境は桜の蕾まだ固し★★★
●小西 宏
老農の休んではまた畑を打つ★★★
鍬ひとつ梅咲く下で畝起こす★★★★
白梅の夕暮淡き雪のごと★★★
●桑本栄太郎
日輪と云う明かりかなよな曇り★★★
芽木蓮の曰くありそにときめける★★★
遠野火や瓦の屋根の遠くより★★★★
●多田有花
竹林に囲まれ静か梅を見る★★★★
春の夢困ったところで目が覚める★★★
春の夜や繕い物をふたつする★★★
●川名ますみ
椎の葉のつやに等しき桜の芽★★★
桜の芽越してまっすぐ陽の来たる★★★★
桜の芽の向こう側から太陽が差してくる。力強い光だ。桜の芽が光を力強くさせる。桜が咲くころも、同じようにまっすぐに陽が差すだろう。(高橋正子)
白梅と石垣映す壕の水★★★
2月26日(4名)
●小口泰與
赤城嶺へあまねく朝日揚ひばり★★★★
受験子へ阿弥陀唱えし翁かな★★★
あめつちの神に願うや受験生★★★
●桑本栄太郎
春風のテラスのカフェに憩いけり★★★★
映画果て新京極の遅日かな★★★
地下を出で阪急電車の春入日★★★
●多田有花
いかなごのくぎ煮の季節始まりぬ★★★
遠い日のこと思い出す風車★★★★
春雨にパソコン相手の家居かな★★★
●福田ひろし
雨上がり梅のきりりとなお白し★★★★
雨上がりの梅の花は、雨に散るどころか、雨に洗われていっそう白さ、清潔さを増している。きりりとした姿は梅の花の魅力だ。(高橋正子)
コンビニの幟ばたばた春一番★★★
卒業式浅葱の風の吹き抜けし★★★
2月25日(5名)
●小口泰與
春の草風の中なる明るさよ★★★★
少し草丈の伸びた春の草が、風にそよぎ、光りを返している。風が吹けば光る春の草があたりに明るさを広げているよい季節だ。(高橋正子)
遠山は今だ白きや揚雲雀★★★
山風の今だ硬きや葦の角★★★
●河野啓一
若ごぼう生駒山麓盛りかな★★★
お水取り若狭の水は二月堂★★★
青き香に天ぷら揚げて蕗のとう★★★★
蕗のとうは春の到来を告げるもの。「青き香」には、蕗のとうの生き生きとした香りはもちろん、作者の生き生きとした暮らしの喜びが表現されている。(高橋正子)
●桑本栄太郎
せせらぎの木の芽雨降る高瀬川★★★★
芽柳の川端通りの細枝(ほそえ)かな★★★
リール巻く水面まぶしき春日かな★★★
●上島祥子
日脚伸ぶ散歩の距離も伸ばしたり★★★★
辞書を繰る部屋の静けさ春の夜★★★
流行歌流れる混んだスケート場★★★
●小西 宏
金縷梅(まんさく)にならび梅咲く日の明かり★★★
白梅の開き初めたる日和かな★★★★
樹洞ありて空に小さな梅の花★★★
2月24日(5名)
●迫田和代
春の花胸一杯に揺れている★★★
山焼いて後の黒から芽が動く★★★★
山焼きのあと、いくたびか雨が降り、黒々とした焼けあとから、草の芽が出始めた。「芽が出る」ではなく、「芽が動く」。芽の力強さに驚く季節だ。(高橋正子)
窓叩く激しい音の春時雨★★★
●小口泰與
支流より水集いけり蕗の薹★★★★
青空へ飛行機雲や未開紅★★★
しじみ汁鳥語に眼覚む朝かな★★★
●多田有花
梅が枝を携え坂を下る人★★★
山隠し海も隠してよなぐもり★★★
初音して後は静かな山の中★★★★
初音を聞いたあと、また聞こえるかと耳を澄ますけれど、それきり。山の中の静かさが一層思われるが、山はもう春の匂いがし始めているのだろう。(高橋正子)
●桑本栄太郎
芽柳やバス待つ風のゆるび居り★★★
梅が香の香りほのかに教会へ★★★★
教会への道すがら、梅のほのかな香りが漂っている。礼拝へ向かう気持ちも梅の香りに清められている。(高橋正子)
礼拝を終えてふたたび梅見かな★★★
●古田敬二
春の陽の白き水底まで届く★★★
縁側に優しき光江戸の雛★★★★
春の海島へ寄せ来る波の音★★★
2月23日(4名)
●小口泰與
菜の花や青空深く鳶の笛★★★
榛名富士今朝むらさきや水温む★★★★
麦踏の翁の影の長きかな★★★
●河野啓一
春野菜散らして寿司の昼餉かな★★★★
春は寿司が美味しい季節。寿司に散らした春野菜には、菜の花などもあるのだろう。春野菜の華やいだ寿司に明るいたのしい昼餉となった。(高橋正子)
枝挿して開き切ったる白い梅★★★
春雨にけぶりて河内平野かな★★★
●小川和子
日を抱き向き気ままなる紅椿★★★
料峭や球根の芽の尖り出ず★★★★
余寒なお友読み止しのソローの書★★★
●桑本栄太郎
一間の川幅占めて春の鴨★★★★
下萌の句帳片手の車窓かな★★★
高槻の駅ビル跨ぎ春の虹★★★
2月22日(6名)
●小口泰與
蕗の薹利根の流れのごうごうと★★★★
利根川が雪解け水を集め、ごうごうと流れるほとりに蕗の薹が顔を出す。蕗の薹と利根川の関係に自然の摂理が感じられる。(高橋正子)
里山の社へ集う百千鳥★★★
クロッカスここのみ日矢の芝生かな★★★
●河野啓一
春大根白く輝くその太さ★★★★
雛あられ並ぶ店先袋詰め★★★
野良猫も路傍に伸びして春の朝★★★
●小西 宏
うたた寝の犬の顔ある春日かな★★★
早春の枝を過ぎゆく白い雲★★★★
妻と呑み腹ゆらゆらと浅き春★★★
●福田ひろし
麦踏や大地に緑の縞模様★★★
主人なき庭に今年も梅白し★★★
梅日和里から里へ歩きけり★★★★
「里から里へ歩く」がいかにも梅日和らしい。里に咲く梅を訪ねてというのも、何かの用事で里から里を歩いたというのもいい。(高橋正子)
●桑本栄太郎
<六甲アイランド埠頭>
港湾のクレーンゆるく春の海★★★★
岸壁の荷揚げクレーンや春の波★★★
台船のコンテナ満載春の海★★★
●多田有花
早春の沖に並びしコンビナート★★★
水菜入れ山頂で作るラーメン★★★
誕生日春の苺のホールケーキ★★★★
2月21日(4名)
●小口泰與
冴返る寺の廊下の蹠かな★★★
観梅や常に写真機首にかけ★★★
下萌や乾ぶる畑の風の道★★★★
●内山富佐子
春日浴び妙高山(みょうこう)ぐいと迫り来る★★★★
雪の妙高山が春の日を力強く反射し、「ぐいと迫り来る」のだ。曇りがちな、雪がちな日々の妙高山とは違って、春の日に生き生きと有様を突き出している。(高橋正子)
水鳥のそれぞれの舞春の濠★★★
軒先の雪解雫の速さかな★★★
●桑本栄太郎
<神戸六甲アイランド埠頭>
さざ波の河口を遡る春の潮★★★
台船の揺るぎも見せず春の波★★★
ぎらぎらと春日煌めく運河かな★★★★
●多田有花
紅梅に白梅に陽の当たりたる★★★
紅梅の匂う六甲縦走路★★★
六甲を登れば春の汽笛かな★★★★
春といえばのどかさ。六甲の山に登り、はるか海から汽笛が聞こえてくる。「春の汽笛」は「のどか」そのもの。人の心に郷愁をも呼んで鳴る汽笛だ。(高橋正子)
2月20日(3名)
●小口泰與
菜の花や海あおあおと響きける★★★★
菜の花の黄色と海のあおの色彩的な美しさに加え、「あおあおと響く」の詩情が素晴らしい。「海のあお」に海の音が聞こえる。(高橋正子)
紅梅や竹林空を奪いあい★★★
湯煙とともに香りし夜の梅★★★
●佃 康水
梅の香や少女茶席へ髪を結い★★★
春火鉢据えて籠編む竹工房★★★
竹林の弧を描き撓う春疾風★★★★
●桑本栄太郎
菜の花や乙訓郡の黄明かりに★★★
冴返る風に降り立つバス路かな★★★
雨音を聞きつつ午後の目借時★★★★
2月19日(7名)
●多田有花
播磨灘沖には春の光満つ★★★★
冬物のシーツを洗う雨水かな★★★
山の端より雲流れ出る雨水かな★★★
●小口泰與
梅園や人の集いし鳥の声★★★
伊豆に居り南ざくらの睦月かな★★★
そよ風や南ざくらとせせらぎと★★★★
●上島祥子
遠望の鈴鹿の峰は春の青★★★
自らの起す波間に鴨の居ぬ★★★
シクラメン靴紐結べば花近し★★★★
靴紐をしっかりと結んで出かけるところ。靴紐を結びながら、足元のシクラメンが目に入る。どきっとするほどシクラメンの花が自分に近い。靴とシクラメンが大きくクローズアップされた。若々しい句。(高橋正子)
●桑本栄太郎
ふり仰ぐ天王山の霞みけり★★★★
遠霞はるか彼方へ摂津峡★★★
嶺の端の仄と赤きや春しぐれ★★★
●小西 宏
春浅き朝の布団を繭のごと★★★
雨止んで小鳥揺らせる梅蕾★★★★
駅頭の風に書を抱く二月かな★★★
●福田ひろし
山焼きていよよ目覚める阿蘇の里★★★★
雄大な阿蘇が山焼きによって、それを区切りに「いよよ目覚める」。焼きあとから草が萌え出る春もすぐそこまで来ている。人間生活にも良いことがあり、よい春が来そうな予感がする。(高橋正子)
高々と枝に一輪ヤブツバキ★★★
春雨を越して越されて田舎道★★★
●川名ますみ
整いし樹形二月の空に立つ★★★★
冴返る朝よ樹形の正確に★★★
細き樹の二月の窓の正しさに★★★
※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
◆俳句日記/高橋正子◆は、下記のアドレスです。
http://blog.goo.ne.jp/kakan02
[2月18日]
★走りつつ凧ふり返る大野原小西 宏
「凧揚げ」は新年の季語となっているが、単に「凧」と言えば春の季語。凧揚げは地方の行事でもあったので、地方行事として四月や五月に行うところも多い。そういった行事とは別に、遊びで、広い野原で凧の糸をもって走りつつ揚げると、凧は風に乗って、ぐんぐん糸を伸ばしてゆく。凧の上がり具合をふり返りながら走るのは、やはり小学生の中・高学年ぐらいであろう。凧揚げの少年を活写。(高橋正子)
[2月17日]
★菜の花や信濃川(しなの)の流れほんわかと/小口泰與
日本一長い信濃川。流域の雪解水を集めて延々と流れる。その雄大な信濃川も菜の花に彩られれば、ほんわかとやさしい流れに変わる。信濃川の水と菜の花の親和力が素晴らしい。(高橋正子)
[2月16日]
★春浅き笹薮にふと動くもの/小西 宏
春浅いころ笹薮を通りすがると、動くものがいることに気付く。小鳥であろう。雀か、鶯か。小さな音、小さな影に、カサカサと動くものを認めた。いかにも、早春の笹薮らしい。(高橋正子)
[2月15日]
★春きざす快晴の阿蘇正面に/多田有花
快晴の空の下で阿蘇と向き合う。その姿に対峙すれば、胸を張るような気分だ。阿蘇の草原らしき所に心なし緑が見える。自然の素晴らしさだ。(高橋正子)
[2月14日]
★白梅の花と香りと青い空/迫田和代
青空を背景に咲く白梅は、花の姿がくっきりと見え、清潔感があって、香りが気高い。それを表すように、句がシンプルなのがよい。「青空」と「白梅」の二つがあれば十分だ。(高橋正子)
★菜園の早やもときめき豆の花/桑本栄太郎
豆の花が咲くと「春はすでに」という気持ちになるものだ。菜園は冬野菜も終わりに近いが、豆の花が咲くと菜園はうきうきと、ときめいてくる。(高橋正子)
[2月13日]
★エンジン始動白波立てて春の旅/古田敬二
エンジンを始動させ、エンジン音も快調に海へ乗り出してゆく。春寒いころは、このエンジンの音がよく響き、船も白波を立てて軽やかに進んで行く。楽しい春の旅。(高橋正子)
[2月12日]
★日を浴びて雪合戦の砦跡/内山富佐子
雪合戦の踏みしだかれた砦の跡が、きらきらと日を浴びている。存分に戦った雪合戦の跡が明るくて、子どもたちへのあたたかい眼差しが読み取れる。(高橋正子)
★雲雀野を些事に憂いて行き過ぎし/福田ひろし
空からは雲雀の声がほがらかに降ってくる野だというのに、些細なことに気が病んで、それを心底楽しむことができないで行き過ぎた。世の中些事に、心は常に動いて揺れる。それにしても、雲雀野の明るいことよ。(高橋正子)
[2月11日]
★礼拝を終えて隣家の梅見かな/桑本栄太郎
礼拝を終え、さやかな気持ちで隣家の梅の花を楽しむ。遠出の梅見でなはく、日常生活のなかでの梅見に、梅により親しい気持ちが寄せられている。(高橋正子)
★蕗の薹摘み採る土の温さかな/佃 康水
蕗の薹を摘み採るとき土に触れた手が、思わず土の温かさを感じ取った。日当たりのよいところに出た蕗の薹であろう。この柔らかな日が蕗の薹を育てたと思える。(高橋正子)
[2月10日]
★早春の朝日鉢花いきいきと/河野啓一
鉢植えの花に朝日が刺すと、花は一度に輝く。早春の朝日となれば、空気は冷たくても、光の明るさは増して人の気持ちまで明るくしてくれる。花々の表情が見えるようだ。(高橋正子)
★おはようの声も大きく今日受験/高橋秀之
子どもの受験には、親は子ども以上に心配かもしれない。受験の日、元気よく「おはよう」の声が聞けたことは、体調もよくて、緊張しすぎていないと、安心だ。よい結果が待っているのは確か。(高橋正子)
[2月9日]
★二月来る庭の光りの濃くなりぬ/古田敬二
二月は暦の上だは春。気温が低いけれど、日の光は真冬よりも明るく強くなって「春」を真っ先に思わせてくれる。「光の濃さ」が思われる。この句の問題は、「二月来る」と「濃くなりぬ」と一句に切れが2か所にあること。これは解消していただきたい。(高橋正子)
★残雪の凹凸に影松林/川名ますみ
松林の残雪が美しいイメージで詠まれている。急に小動物が出てきそうで、楽しい雰囲気がある。(高橋正子)
[2月8日]
★膨れくる潮や河口に春の鴨/佃 康水
「膨れくる潮」が春らしい。河口や港に立っていると、穏やかな日には、潮が膨れるように満ちてくるのがわかる。河口にはまだ帰らない鴨が生き生きと泳いでいる。春への期待が高まる。(高橋正子)
★今朝赤城山(あかぎ)良く見え畦の犬ふぐり (小口泰與)
遠くに赤城山、足元を見れば小さな紫、いぬふぐり。私の畑の畔にも2~3週間前からいぬふぐりが咲き始めています。間違いなく春が近づいています。(古田敬二)
2月18日(5名)
●河野啓一
春浅き狭庭の草を踏みて立つ★★★★
春近し和泉山脈黒々と★★★
春めいて朝日優しく森の辺に★★★
●小口泰與
菜の花や嫗にお茶を賜りし★★★★
天霧らう榛名山(はるな)や湖の春の波★★★
天離る風の上州遠蛙★★★
●多田有花
梅林にある青空と風の音★★★
春の川きらきら蛇行して海へ★★★
春めきぬ揺れる梢の上の空★★★★
●桑本栄太郎
降りつつも天(そら)の明るき雨水かな★★★★
下萌の色濃くおもう雨の土手★★★
あちこちを向いて木蓮」ときめきぬ★★★
●小西 宏
ブランコの鎖に映る余寒かな★★★
梅枝に薄き緑の蕾立つ★★★
走りつつ凧ふり返る大野原★★★★
「凧揚げ」は新年の季語となっているが、単に「凧」と言えば春の季語。凧揚げは地方の行事でもあったので、地方行事として四月や五月に行うところも多い。そういった行事とは別に、遊びで、広い野原で凧の糸をもって走りつつ揚げると、凧は風に乗って、ぐんぐん糸を伸ばしてゆく。凧の上がり具合をふり返りながら走るのは、やはり小学生の中・高学年ぐらいであろう。凧揚げの少年を活写。(高橋正子)
2月17日(5名)
●小口泰與
利根川を煽ぐ山風蕗の薹★★★
鳶舞いし長き裾野の雪間かな★★★
菜の花や信濃川(しなの)の流れほんわかと★★★★
日本一長い信濃川。流域の雪解水を集めて延々と流れる。その雄大な信濃川も菜の花に彩られれば、ほんわかとやさしい流れに変わる。信濃川の水と菜の花の親和力が素晴らしい。(高橋正子)
●桑本栄太郎
下萌の京大農場うすみどり★★★
春めいて河川コートのテニスかな★★★
下萌やジャージー走るグランドに★★★
●多田有花
列島の春の灯りの上を飛ぶ★★★★
春めきて歩く人やら走る人★★★
音も無く降りだしやみぬ春の雨★★★
●小川和子
早春のオレンジに照る入日かな★★★
笹鳴の頭上を過ぐる森閑か★★★★
回想
野蒜摘むことも遊びの一つとて★★★
●高橋秀之
潮風も頬に優しく春の朝★★★★
春の海光る日差しが明るくて★★★
春浅し船は行き交い鳥は舞う★★★
2月16日(6名)
●小口泰與
夕ぐれの榛名十峰斑雪かな★★★★
山風に対うばらの芽あえかなり★★★
青空を奪いあいたる揚雲雀★★★
●古田敬二
里言葉優しく夫婦若布干す★★★
佐久島の夫婦自慢の若布干す★★★
若布干す光りを揺らす浜の風★★★★
●河野啓一
春めきて箕面の山も青くなり★★★
春浅し北海道バターをパンに塗り★★★
かいつぶり一直線に泳ぎけり★★★★
●桑本栄太郎
しつとりと路面濡れ居り春の雪★★★★
山裾の白亜のビルや春寒し★★★
春霞かさね彼方へ摂津峡★★★
●小川和子
愛餐の卓に添えらる雪割草★★★★
愛餐とはキリスト教の教会内での食事会の事。兄弟姉妹達が一緒に食事を摂りながら、お互いに交わりのひと時を持つことですね?その卓上花として雪割草が飾られている光景を想えば、主の豊かな恵みにより春の訪れを心から実感している作者です。 (桑本栄太郎)
苗木市に百合の球根選るすがら★★★
二ン月の空の淡さよ枝垂れ梅★★★
●小西 宏
浅春の風に寄り来る池の紋★★★
春浅き笹薮にふと動くもの★★★★
春浅いころ笹薮を通りすがると、動くものがいることに気付く。小鳥であろう。雀か、鶯か。小さな音、小さな影に、カサカサと動くものを認めた。いかにも、早春の笹薮らしい。(高橋正子)
空き部屋に見る空少し春の色★★★
2月15日(4名)
●小口泰與
春風や小犬は我と歩を合せ★★★★
ばらの芽と棘を甚振る雨の糸★★★
晩酌はうぐいす餅を頬張りて★★★
●河野啓一
春浅く朝の会釈も雪のこと★★★★
手作りのバレンタインや縁結び★★★
牡丹雪消えず狭庭の模様かな★★★
●多田有花
春きざす快晴の阿蘇正面に★★★★
快晴の空の下で阿蘇と向き合う。その姿に対峙すれば、胸を張るような気分だ。阿蘇の草原らしき所に心なし緑が見える。自然の素晴らしさだ。(高橋正子)
二月の高原阿蘇がしだいに近く★★★
振り向けば九重連山春の雪★★★
●桑本栄太郎
駅前に菜の花飾り菜の花忌★★★★
紅梅の紅のふくらみ蕾みけり★★★
春めくやスマホ自撮りの女子高生★★★
2月14日(6名)
●迫田和代
春雪の朝厚着厚着の食堂や★★★
草萌える道のあちこち食べた跡★★★
白梅の花と香りと青い空★★★★
青空を背景に咲く白梅は、花の姿がくっきりと見え、清潔感があって、香りが気高い。それを表すように、句がシンプルなのがよい。「青空」と「白梅」の二つがあれば十分だ。(高橋正子)
●小口泰與
御朱印の墨痕淋漓風光る(信之添削)★★★★
足裏に芝火を踏みし戯れに★★★
ばらの芽や妙義山(みょうぎ)の奇岩眼間に★★★
●桑本栄太郎
背伸びせし首の青さや春大根★★★
菜園の早やもときめき豆の花★★★★
豆の花が咲くと「春はすでに」という気持ちになるものだ。菜園は冬野菜も終わりに近いが、豆の花が咲くと菜園はうきうきと、ときめいてくる。(高橋正子)
春耕のマルチ手繰れる老夫婦★★★
●多田有花
肥後名物馬刺しを食ぶや春の宵★★★
黒川の湯より仰ぎし春の星★★★
早春の日の出を待ちぬ露天風呂★★★★
●福田ひろし
宇宙まで見ている春の夕焼かな★★★
野を焼けば里には草の灰が降る★★★
冴え返る会議室から白き峰★★★
●小西 宏
山風の送れる花か春の雪★★★
白壁に身を屈め行き蕗の薹★★★
早春の谷透き通る竹の青★★★★
2月13日(3名)
●古田敬二
エンジン始動白波立てて春の旅★★★★
エンジンを始動させ、エンジン音も快調に海へ乗り出してゆく。春寒いころは、このエンジンの音がよく響き、船も白波を立てて軽やかに進んで行く。楽しい春の旅。(高橋正子)
白波の水脈引き島へ春の旅★★★
落椿蕊まだ新しき島の道★★★
●小口泰與
さえずりや浅間山(あさま)夕日を近づけず★★★★
犬ふぐり朝日を乗せし波頭★★★
あな白き浅間山(あさま)や裾野未紅梅★★★
●桑本栄太郎
蝋梅の訪なう人なき門扉かな★★★
下萌や草の香いまだ調わず★★★★
竹幹の楽を奏すや余寒風★★★
2月12日(9名)
●小口泰與
大利根の岩打つ波や揚雲雀★★★★
山風に影も揺れけり黄水仙★★★
早春の露天湯の床渇きおり★★★
●内山富佐子
雪解風瓦の屋根を市松に★★★
日を浴びて雪合戦の砦跡★★★★
雪合戦の踏みしだかれた砦の跡が、きらきらと日を浴びている。存分に戦った雪合戦の跡が明るくて、子どもたちへのあたたかい眼差しが読み取れる。(高橋正子)
ほろ苦き蕗の芽天下一品なり★★★
●上島祥子
現より優しい仕草春の影★★★
餅を焼く転んだ膝をかばいつつ★★★
針仕事終えて座敷に寒気満つ★★★★
●河野啓一
シンフォニー春を奏でるデイの午後★★★
水取りの行事を思い春を待つ★★★
さわらびを探さむ小川の音聞けば★★★★
●多田有花
梅が香の中に一歩を踏み入れる★★★★
夕陽浴び今まどろみの春の山★★★
春の雪抜けてやまなみハイウェイ★★★
●桑本栄太郎
校庭のブラスマーチや建国日★★★
犬ふぐり尖りて強き土手の風★★★
振り込みのルアー伸びゆく春の池★★★★
●小西 宏
ジムに泳ぎ二月の風に火照り帰る★★★
早春の堅く芽を張る枝々よ★★★★
ひかり跳ぶ空の青さや辛夷の芽★★★
●福田ひろし
雲雀野を些事に憂いて行き過ぎし★★★★
空からは雲雀の声がほがらかに降ってくる野だというのに、些細なことに気が病んで、それを心底楽しむことができないで行き過ぎた。世の中些事に、心は常に動いて揺れる。それにしても、雲雀野の明るいことよ。(高橋正子)
初午のセピアの写真父若し★★★
落ちてなお赤く輝く椿かな★★★
2月11日(6名)
●河野啓一
庭に立ち春の浅きを嘆きけり★★★
一輪の椿八十路の誕生日★★★★
春の雨待たるる頃や薄日差す★★★
●小口泰與
太鼓打つ半被のおみな風光る★★★★
湯煙の磴の斑雪の夕べかな★★★
鍋割山(なべわり)の在るべき所霞けり★★★
●多田有花
稜線を走る春雪舞う中を★★★★
風花や日ごとに開く坂の梅★★★
窓ガラスかたかた鳴らし寒戻り★★★
●桑本栄太郎
針供養今日は木綿の豆腐買う★★★
礼拝を終えて隣家の梅見かな★★★★
礼拝を終え、さやかな気持ちで隣家の梅の花を楽しむ。遠出の梅見でなはく、日常生活のなかでの梅見に、梅により親しい気持ちが寄せられている。(高橋正子)
山河早やうすきみどりの建国日★★★
●小西 宏
早春に堅く芽を張る枝々よ★★★★
ひかり跳ぶ空の青きに辛夷の芽★★★
ジムに泳ぎ初春(しょしゅん)の風に火照り帰る★★★
●佃 康水
一輪へ日差して雨後の梅真白★★★
飛び交える鳥へ紅白梅ひらく★★★
蕗の薹摘み採る土の温さかな★★★★
蕗の薹を摘み採るとき土に触れた手が、思わず土の温かさを感じ取った。日当たりのよいところに出た蕗の薹であろう。この柔らかな日が蕗の薹を育てたと思える。(高橋正子)
2月10日(5名)
●小口泰與
摘草や貨車過ぎ行ける足尾線★★★
あけぼのの畷を駆ける雉子かな★★★★
釣人を襲いし虻の唸りかな★★★
●河野啓一
春雪は止まず列島冴え返る★★★
早春の朝日鉢花いきいきと★★★★
鉢植えの花に朝日が刺すと、花は一度に輝く。早春の朝日となれば、空気は冷たくても、光の明るさは増して人の気持ちまで明るくしてくれる。花々の表情が見えるようだ。(高橋正子)
恐竜の化石も埋まる春の雪★★★
●桑本栄太郎
春障子二度寝の夢の目覚め居り★★★
せせらぎの枝に降り積む春の雪★★★
高槻のうすきみどりの春田かな★★★★
●古田敬二
菜を洗う蛇口の水も温みけり★★★
竹鳴らす風に乗り来て梅香る★★★★
白木蓮蕾踊らす青空に★★★
●高橋秀之
早朝のバスに受験の中学生★★★
受験の子表情普段と変わりなく★★★
おはようの声も大きく今日受験★★★★
子どもの受験には、親は子ども以上に心配かもしれない。受験の日、元気よく「おはよう」の声が聞けたことは、体調もよくて、緊張しすぎていないと、安心だ。よい結果が待っているのは確か。(高橋正子)
2月9日(7名)
●小口泰與
あけぼのの手に掬いたる春の水★★★
春霜や噴煙南(みな)へ流れける★★★
上州の三山笑う朝かな★★★★
●多田有花
山走る春北風の吹く中を★★★★
風よけて座す早春の頂に★★★
枝々の間に浅き春の空★★★
●桑本栄太郎
グランドの部活の声や春きざす★★★
十字架の峰に日差しや春の山★★★
菜園の採りあと白く茎立ちぬ★★★★
●河野啓一
白きもの被りて門辺の紅椿★★★
冴え返る昭和の軍歌を声揃え★★★
春雪は止まず畿内の過ごし良さ★★★★
●福田ひろし
春の雪触れる間もなくやみにけり★★★
湯けむりにふわりと消ゆる春の雪★★★★
ランナーを待ちわびる子の冷たき手★★★
●古田敬二
二月来る庭の光りの濃くなりぬ★★★★
二月は暦の上だは春。気温が低いけれど、日の光は真冬よりも明るく強くなって「春」を真っ先に思わせてくれる。「光の濃さ」が思われる。この句の問題は、「二月来る」と「濃くなりぬ」と一句に切れが2か所にあること。これは解消していただきたい。(高橋正子)
見上げれば木蓮蕾の踊りけり★★★
青空の主役つぼみの白木蓮★★★
●川名ますみ
残雪の凹凸に影松林★★★★
松林の残雪が美しいイメージで詠まれている。急に小動物が出てきそうで、楽しい雰囲気がある。(高橋正子)
春隣女僧侶の声たゆたう★★★
七七日障子に過ぎる猫の影★★★
2月8日(5名)
●小口泰與
今朝赤城山(あかぎ)良く見え畦の犬ふぐり★★★★
異例なき鍋割り山も春の雨★★★
たんぽぽや榛名山(はるな)の上の根無し雲★★★
●小西 宏
立春の空に橙色月上る★★★
春風に行く道犬の主張する★★★
朝からの雨が形に春の雪★★★★
●古田敬二
黒牛の乳房揺らして青き踏み来る★★★★
牛の背の春の光りに黒光り★★★
放牧の牛の足跡薄氷★★★
●桑本栄太郎
春北風を真夜に聞き居る寝床かな★★★
白梅を見上げ青空どこまでも★★★★
さざ波の岸を小打ちや春の池★★★
●佃 康水
膨れくる潮や河口に春の鴨★★★★
「膨れくる潮」が春らしい。河口や港に立っていると、穏やかな日には、潮が膨れるように満ちてくるのがわかる。河口にはまだ帰らない鴨が生き生きと泳いでいる。春への期待が高まるころだ。(高橋正子)
木の芽吹く丘やせせらぐ音高し★★★
和服着る人らそぞろに梅見かな★★★
花冠発行所は、現在、活動を休止していますが、<デイリー句会>は、従来通りに活動を続けていますので、ご投句などをお願いいたします。高橋正子(主宰)・高橋信之(管理)◆
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