今日の秀句/10月11日~20日


[10月20日]

★助手席に葉も実も青き蜜柑載せ/川名ますみ
助手席に枝ごと捥いだ青蜜柑が載せてあって、今しがた採られたばかりの匂いがする。すっきりとした新鮮な気持ちだ。句の鮮度がいい。(高橋正子)

[10月19日]

★川沿いの稲穂明かりや上越線/小口泰與
上越線が通る川沿いを詳しくは知らないが、利根川や信濃川に沿うのだろう。川があれば水があり、田がある。熟れ稲の明かりを車窓に見ながらの心落ち着く旅であったであろう。(高橋正子)

[10月18日]

★夕映えの秋の田をゆく郵便車/佃 康水
牧歌的な夕映えの風景。日本の風景でありながらヨーロッパのような印象がある。郵便車には、いい便りが乗っていることだろう。(高橋正子)
 
[10月17日]

★道ばたに野菊の花よ空をむき/迫田和代
野菊の花は、ぱっと開いて咲いている。空にあこがれているように、空に向いて咲いている花がいっそう可憐に思える。「空をむき」は、作者の気持ちでもある。(高橋正子)

[10月16日]

★秋高し今日はらからの集いける/河野啓一
年齢を重ねて、はらからが集いあえるのは、いっそうの幸せ。健康で、睦まじいはらからの集いを「秋高し」がよく象徴している。(高橋正子)

[10月15日]

★木犀の匂う通りや風の道/谷口博望(満天星)
木犀の花の匂いは、風を伝わってくるといってよいほど。歩いてゆく道に風が通り、風には木犀の匂いがある。快い句。(高橋正子)

[10月14日]

★天と地の冷気あふるや鬼やんま/小口泰與
天と地に冷気があふれるころになった。その冷気を、鬼やんまがさっそうと飛ぶ。天と地のスケールを飛ぶ鬼やんまに冷気が逞しさを加えた。(高橋正子)

[10月13日]

★コスモスの野に充つ光身に受けり/小川和子
コスモスが咲き乱れる野は、やわらかな光が充ちている。その野に立つと、全身に、天国からのような、安らかな明るい光が降り注いでくる。(高橋正子)

[10月12日]

★日の出づや畦一列の曼殊沙華/小口泰與
夜を経た曼殊沙華の一列が日の出に浮かび上がって、あらたな朝を向けた花として輝く凛とした姿がいい。(高橋正子)

[10月11日]

※該当作品無し

10月11日〜20日


10月20日(3名)

●小口泰與
菊膾子等集うこと稀になり★★★
夕暮れの落穂を拾う鴉かな★★★
新走り湖風含み届きけり★★★★

●桑本栄太郎
せせらぎの桜紅葉や又はらり★★★
柿灯る寺の狭庭となりにけり★★★
新藁のロール転がる田面かな★★★★

●川名ますみ
桜紅葉樹下に絵を描く人座せり
(添削)桜紅葉樹下に絵を描く人座り★★★

助手席に葉も実も青き蜜柑載せ★★★★
助手席に枝ごと捥いだ青蜜柑が載せてあって、今しがた採られたばかりの匂いがする。すっきりとした新鮮な気持ちだ。句の鮮度がいい。(高橋正子)

十月の蜜柑を三つ手のひらに★★★

10月19日(2名)

●谷口博望(満天星)
秋の夜やワイン片手にネット囲碁★★★
一つずつ思い出よぎる木の実かな★★★★
秋天や権現山の毘沙門堂★★★

●小口泰與
日照雨長き脚立の松手入★★★
雨上がり毒茸径を輝かせ★★★

川沿いの稲穂明かりや上越線★★★★
上越線が通る川沿いを詳しくは知らないが、利根川や信濃川に沿うのだろう。川があれば水があり、田がある。熟れ稲の明かりを車窓に見ながらの心落ち着く旅であったであろう。(高橋正子)

10月18日(4名)

●佃 康水
雲去りて日差しあまねし稲田かな★★★
夕映えの秋の田をゆく郵便車★★★★
牧歌的な夕映えの風景。日本の風景でありながらヨーロッパのような印象がある。郵便車には、いい便りが乗っていることだろう。(高橋正子)
 
姫は早や手先は狐秋神楽★★★

●小口泰與
木犀の香や境内の夜の黙★★★
水澄むや赤城榛名の彫深し★★★★
芬芬の金木犀や日は山へ★★★

●谷口博望(満天星)
運動会団地に響く拡声器★★★★
運動会山の守護神毘沙門天★★★
斬新な応援合戦運動会★★★

●桑本栄太郎
秋冷や朝の芦屋の静寂に★★★
さざ波の朝日煌めく秋の潮★★★
秋潮を眼下に臨みモノレール★★★★

10月17日(4名)

●小口泰與
花芒同じ方へと皆傾ぐ★★★
すすき野や雲を映せし水溜り★★★
方円に従う水や草の花★★★★

●迫田和代
銀鮭や黄色い黄色い旅続く★★★
細い枝先で揺れてる新松子★★★

道ばたに野菊の花よ空をむき★★★★
野菊の花は、ぱっと開いて咲いている。空にあこがれているように、空に向いて咲いている花がいっそう可憐に思える。「空をむき」は、作者の気持ちでもある。(高橋正子)

●桑本栄太郎
残り香のほのと積み居り金木犀★★★
引き込みの線路交叉や秋入日★★★
黄金となりて入日やいわし雲★★★★

●河野啓一
送迎車秋の団地を経巡りて★★★
道端の空き地あかるき秋桜★★★★
歓声と嬌声デイの「運動会」★★★

10月16日(3名)

●谷口博望(満天星)
榧(カヤ)の実の緑のナッツ拾ひけり★★★★
榠樝(カリン)の実匂い嗅ぎつつ金亀子★★★
皮剥いて三日つづきの栗ごはん★★★

●小口泰與
はらからと蜩を聴く山の宿★★★★
木杯の会津の塗りのさやけしや★★★
いざ行かん赤城の月に雲の脚★★★

●河野啓一
秋高し今日はらからの集いける★★★★
年齢を重ねて、はらからが集いあえるのは、いっそうの幸せ。健康で、睦まじいはらからの集いを「秋高し」がよく象徴している。(高橋正子)

元気よくはらから集う柿日和★★★
柿ちぎる高切りの刃のままならず★★★

10月15日(2名)

●小口泰與
夕寒や肌寄せ合いし子猫達★★★★
冷まじや�訶の牙の凄まじき★★★
秋霖や骨の節節変調よ★★★

●谷口博望(満天星)
霧の海祖父と眺めし月日かな★★★
鉈の実や項羽かかげる支那の剣★★★

木犀の匂う通りや風の道★★★★
木犀の花の匂いは、風を伝わってくるといってよいほど。歩いてゆく道に風が通り、風には木犀の匂いがある。快い句。(高橋正子)

10月14日(2名)

●小口泰與
天と地の冷気あふるや鬼やんま★★★★
天と地に冷気があふれるころになった。その冷気を、鬼やんまがさっそうと飛ぶ。天と地のスケールを飛ぶ鬼やんまに冷気が逞しさを加えた。(高橋正子)

間引菜のおちこちの籠満杯に★★★
うそ寒や座布団に寄る小犬達★★★

●谷口博望(満天星)
木の下に精霊宿る悟桐の実★★★
高々と黄心樹の実や鰯雲★★★★
寂しきや色なきあとの破蓮★★★

10月13日(2名)

●小口泰與
爽やかな僧の念仏響きけり★★★★
念仏に稚児のあくびや赤とんぼ★★★
水切りの石の水没秋の暮★★★

●小川和子
川風に吹かるる空よ小鳥来る★★★
さみどりの畝軟らかに貝割菜★★★

コスモスの野に充つ光身に受けり★★★★
コスモスが咲き乱れる野は、やわらかな光が充ちている。その野に立つと、全身に、天国からのような、安らかな明るい光が降り注いでくる。(高橋正子)

10月12日(1名)

●小口泰與
コスモスや一朶の雲の千切れける★★★
日の出づや畦一列の曼殊沙華★★★★
夜を経た曼殊沙華の一列が日の出に浮かび上がって、あらたな朝を向けた花として輝く凛とした姿がいい。(高橋正子)
名月や四つ連なる串団子★★★

10月11日(1名)

●小口泰與
安曇野の装う山を歩みおり★★★★
思い出も全て失せしや秋出水★★★
山容の赤城ややわき朝顔よ★★★

●自由な投句箱/10月1日~10日●


■□デイリー句会は、お休みですが、今まで通りの投句は、許されます。選者の選句・コメントは、不規則となります。

※当季雑詠3句(秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

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今日の秀句/10月1日~10日


[10月10日]
作業中!

[10月9日]
作業中!

[10月8日]
作業中!

[10月7日]
作業中!

[10月6日]
※該当作品無し

[10月5日]

★どんぐりを踏み行く道や美術館/小口泰與
どんぐりを踏みながら辿る美術館への道が、はやも心楽しいものになっている。(高橋正子)

★遠き山のその先までも秋澄めり/福田ひろし
秋になると不思議なほど大気が澄んでくる。大陸から乾燥した冷たく新鮮な空気が流れ込むためという。遠い山のその先までも冴え渡った大気に、心までも澄んでくる。(高橋正子)

[10月4日]

★秋の渓落鮎の棲む水ゆたか/河野啓一
落鮎は、夏上流の清冽な水で過ごした鮎が産卵のために川を下ってくるのをさす。秋の渓川は下流となるに従って水量も増える。落鮎にゆたかな水がやさしい。(高橋正子)

★壺に差す秋明菊の華やかさ/満天星
秋明菊は、静かな花ながら華やかさも持ち合わす。壺に差された秋明菊が辺りを華やかに和ませる。(高橋正子)

[10月3日]

★新生姜葉先するりと丸まりぬ/川名ますみ
新生姜は、初秋から出始め、食用部分だけでなく葉をつけて売られることも多い。葉先がするりと丸まっている姿形は、目にも爽やかで、清々しい。(高橋正子)

[10月2日]

★数珠玉や幼な子の手にほかほかと/福田ひろし
生っている数珠玉を採ったのだろう。大事にしっかりと手に握られた数珠玉は、あたたかく「ほかほか」になっている。草の実や木の実は子供の大事な宝物だ。(高橋正子)

[10月1日]

★雨上がり忽とあふるる赤とんぼ/小口泰與
雨上がりのさわやかさに、辺りに急に赤とんぼがあふれるように飛び交い始めた。雨の間潜まっていた赤とんぼが秋気を満喫している。(高橋正子)

10月1日〜10日


10月10日(3名)

●満天星
木瓜の実やそぞろ歩きの異邦人★★★
白鷺を凝視してゐる異邦人★★★
石蕗の花色なき園に咲き初めぬ★★★★

●桑本栄太郎
バスを待つ間にももみずる並木かな★★★★
爽籟や高き梢の散歩道★★★
まどろみて窓の茜や秋の暮れ★★★

●小口泰與
料理屋の二階にいるや秋祭★★★
山風にうなずく稲や入日中★★★
草ひばり掴みし草の吹かれおり★★★★

10月9日(2名)

●小口泰與
幼子の頭にねじり棒秋祭★★★
秋蝶の忽と南へ立つ日かな★★★★
秋蝶のはや一閃の旅路かな★★★

●河野啓一
金木犀香り降り立つ垣根かな★★★
スズメ蜂もくせいの庭を行き来して★★★
秋冷の丹波高原空澄みて★★★★

10月8日(2名)

●小口泰與
旅鳥の見ゆる二階や山頭火★★★
鹿肉をもみじと言いて秋高し★★★
山にまだ日の残りけり渡り鳥★★★★

●桑本栄太郎
石垣のはざまに草の紅葉かな★★★
想い出を辿る日差しや秋の蝶★★★★
池の面に映える錦や櫨紅葉★★★

10月7日(2名)

●小口泰與
水引きて冠水の稲吼ゆるかな★★★
耳打ちを素早くさるや猫じゃらし★★★
信州の香の満つ林檎手の内に★★★★

●桑本栄太郎
泣きじゃくる園児を宥む秋の朝★★★
青空にこれ見よがしや花梨の実★★★
隅刈りのもんぺの腰や秋の色★★★

10月6日(2名)

●小口泰與
秋彼岸僧の白足袋よごれたり★★★
外に出づや川風浴びる秋の朝★★★★
冷やかや遠山へ日の走り行く★★★

●桑本栄太郎
大鯉の堰に寄り来る秋日かな★★★★
仕舞い居る鴨川店や秋すだれ★★★
秋光や古墳の杜に赤鳥居★★★

10月5日(2名)

●小口泰與
楢林どんぐり落つる音すなり★★★
どんぐりを踏み行く道や美術館★★★★
どんぐりを踏みながら辿る美術館への道が、はやも心楽しいものになっている。(高橋正子)

面白し朝晩変わる芙蓉かな★★★

●福田ひろし
遠き山のその先までもやはり秋
(添削)遠き山のその先までも秋澄めり★★★★
秋になると不思議なほど大気が澄んでくる。大陸から乾燥した冷たく新鮮な空気が流れ込むためという。遠い山のその先までも冴え渡った大気に、心までも澄んでくる。(高橋正子)

秋高し地球の青と同じ青★★★
風吹けば耳元寂し芒原★★★

10月4日(4名)

●河野啓一
ベゴニアの花を満たせりビアジョッキ★★★
朝の日に庭の落葉を掻きよせる★★★

秋の渓落鮎の棲む水ゆたか★★★★
落鮎は、夏上流の清冽な水で過ごした鮎が産卵のために川を下ってくるのをさす。秋の渓川は下流となるに従って水量も増える。落鮎

にゆたかな水がやさしい。(高橋正子)

●小口泰與
天も地も瑞穂の国や秋気澄む★★★★
松籟の森の中なる暁の虫★★★
流星の虚空に滅ぶ声聞こゆ★★★

●満天星
したたかに命をつなぐ煙茸★★★
花は黄に鬼灯はまだ緑なり★★★

壺に差す秋明菊の華やかさ★★★★(正子添削)
秋明菊は、静かな花ながら華やかさも持ち合わす。壺に差された秋明菊が辺りを華やかに和ませる。(高橋正子)

●桑本栄太郎
終活の心算未だし秋芽吹く★★★
コスモスの揺れ止まざるやファインダー★★★★
地上など出ずとも良けれ蚯蚓鳴く★★★

10月3日(6名)

●小口泰與
温め酒湯呑へ注ぐ音すなり★★★
酢橘の香めでて会話の弾みける★★★★
白粉花(おしろい)の香に夕映の畷かな★★★

●迫田和代
思い出す登る山道薄紅葉★★★
好きな道桜紅葉の散歩道★★★★
秋風の吹ける広島ビルの影★★★

●河野啓一
秋深む日向ぼっこやデイの朝★★★
稲の秋案山子の顔も元気よく★★★★
萩の風白く舞いおり古寺の庭★★★

●桑本栄太郎
藁にほの爆ぜて乾びる田中かな★★★
銀杏(ぎんなん)の地響き立つや風に落つ★★★★
鳥翔てばわらわら降りぬ榎の実★★★

●高橋秀之
残業を終え御堂筋の初紅葉★★★
航跡に合わせて揺れる月の影★★★★
週末の事務所に差し込む月明り★★★

●川名ますみ
不死鳥を象る自由秋の雲★★★
秋雲に見惚れ一日を過ごし居り★★★

新生姜葉先するりと丸まりぬ★★★★
新生姜は、初秋から出始め、食用部分だけでなく葉をつけて売られることも多い。葉先がするりと丸まっている姿形は、目にも爽やかで、清々しい。(高橋正子)

10月2日(4名)

●河野啓一
露の玉湛えて薔薇の新芽かな★★★
朝露の結ぶ狭庭の金木犀★★★
もくせいの香りほのかに朝の空★★★★

●小口泰與
ひさびさの三山定か水澄めり★★★
利根川の色なき風を身の内に★★★★
爽籟や犬の蹠の香の残る★★★

●桑本栄太郎
道の辺にベビー帽子やくぬぎの実★★★
乾びきて開ききつたる椿の実★★★
コスモスの風の行方を定めけり★★★★

●福田ひろし
数珠玉や幼な子の手にほかほかと★★★★
生っている数珠玉を採ったのだろう。大事にしっかりと手に握られた数珠玉は、あたたかく「ほかほか」になっている。草の実や木の実は子供の大事な宝物だ。(高橋正子)

今日の月松陰の書の重さかな★★★
名月やいずこの窓もにぎわいて★★★

10月1日(3名)

●小口泰與
鶏鳴の猛嘗君や天高し★★★
秋霖や川沿い走る足尾線★★★

雨上がり忽とあふるる赤とんぼ★★★★
雨上がりのさわやかさに、辺りに急に赤とんぼがあふれるように飛び交い始めた。雨の間潜まっていた赤とんぼが秋気を満喫している。(高橋正子)

●河野啓一
九月尽柿の実少し色付けど★★★
初紅葉垣根の色の床しさよ★★★
木犀の花零れ初め香り待つ★★★★

●桑本栄太郎
買物をあまた小脇に九月尽★★★
一夜果て想い極めり酔芙蓉★★★
西山の峡の深さや秋気澄む★★★★

●自由な投句箱/9月20日~30日●


■□デイリー句会は、お休みですが、今まで通りの投句は、許されます。選者の選句・コメントは、不規則となります。

※当季雑詠3句(秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

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■お休みのお知らせ■


■□デイリー句会は、9月20日から今年いっぱいをお休みと致します。ご了解ください。
■□お休み中の投句は、<自由な投句箱>に、今まで通りに、毎日できますので、ご利用ください。
高橋正子(主宰)・高橋信之(管理)

今日の秀句/9月20日~30日

[9月30日]

★月光の夜のコーラスに妻出かけ/河野啓一
月の光に照らされた夜妻はコーラスに出かけた。妻たちのコーラスの澄んだ歌声を月夜に思い重ねて、作者もまた、月光の夜をひとり楽しんでいる。(高橋正子)
 
★乗る船の真向こう大き今日の月/佃 康水
乗船する船の真向こうに大きな月が昇った。海に昇る月であろうが、大きな今宵の月に純粋に感嘆する作者
が思えて、感嘆を分けてもらった。(高橋正子)

[9月29日]

★笊にとり濯ぐ零余子やおとこ飯/桑本栄太郎
笊にとり集めた零余子は零余子飯となる。ざっと洗って炊かれた素朴な零余子飯は、たしかに「おとこ飯」と言えよう。(高橋正子)

[9月28日]

※該当句無し

[9月27日]

★車椅子今宵門辺の良夜かな/河野啓一
「門辺の良夜」がいい。車椅子で門辺まで月を見に出ると、明るい大きな月が昇ったところ。車椅子ながらも門辺の良夜を楽しんだ。(高橋正子)

[9月26日]

★秋晴れの空を仰いで父想う/迫田和代
秋晴れの澄み渡った空の偽りのない力強さ、大きさが父を思わせたのだろう。娘にとっての父の在り様は秋晴れの空のようなものだ。(高橋正子)

★産着干す新居の庭へ小鳥来る/佃 康水
「新居の庭」、「産着干す」、「小鳥来る」と幸せなものが重なった。幸せな小さな家庭がさらりと詠まれて好感が持てる。(高橋正子)

[9月25日]

★秋冷や嫗達者と文来る/河野啓一
秋も本格的になる。きりっと引き締まる気持ちになる秋冷のころだが、風邪も引きやすくなる。嫗が達者であると便りが来て、めでたい。(高橋正子)

[9月24日]

★秋分やバスに供花持つ家族連れ/高橋秀之
秋分の日のバスに乗ると供花を持つ家族連れに出会った。家族揃って墓参りをする人の温かさが「供花」を通して伝わる。(高橋正子)

[9月23日]

★あたたかな色して畔の曼珠沙華/河野啓一
畔の曼珠沙華を「あたたかな色」と見る、穏やかな心優しさがいい。(高橋正子)

★澄む秋の空より蝶の舞い降りる/多田有花
空も澄むなら、それ以上に澄んだ色の蝶が舞い降りた感動。(高橋正子)

[9月22日]

<奥祖谷かずら橋>
★秋嶺を下りかずら橋を渡る/多田有花
事実を飾らずに散文的に表現した句だ。秋嶺も、かずら橋も奥祖谷そのもの。(高橋正子)

[9月21日]

★真直ぐな魁夷の「道」や天高し/小口泰與
魁夷は、東山魁夷。魁夷が描いた「道」は真直ぐで天高しである。(高橋正子)

★参道に群れてほぐれて蜻蛉飛ぶ/河野啓一
お参りの道すがら、蜻蛉が群れたり、またほぐれたりして飛ぶ。寺社へのお参りが楽しくなる。(高橋正子)

[9月20日]
※該当作なし

9月20日〜30日


9月30日(4名)

●小口泰與
前山へ昇る朝日や露の玉★★★
新そばや碓氷峠の空深し★★★★
止めどなくピーナツ食むや三国志★★★

●河野啓一
いわし雲朝空埋めて耀ける★★★
月光の夜のコーラスに妻出かけ★★★★
月の光に照らされた夜妻はコーラスに出かけた。妻たちのコーラスの澄んだ歌声を月夜に思い重ねて、作者もまた、月光の夜をひとり楽しんでいる。(高橋正子)

居待月窓のひかりのやわらかき★★★

●佃 康水
土手草と共に刈られし曼珠沙華★★★
青空へ粒ふくよかな銀杏の実★★★
 
乗る船の真向こう大き今日の月★★★★
乗船する船の真向こうに大きな月が昇った。海に昇る月であろうが、大きな今宵の月に純粋に感嘆する作者
が思えて、感嘆を分けてもらった。(高橋正子)

●桑本栄太郎
さるすべり終(つい)の色見せ京町家★★★
孤高とはかくも寂しき夜半の月★★★
一枚を羽織りさがすや居待月★★★★

9月29日(3名)

●小口泰與
糠雨の竹伐る響き包みける★★★
手を入れて水の痛さや女郎花★★★
奥利根の宿の持て成し新豆腐★★★★

●河野啓一
遍路道豊かに舞える秋の蝶★★★★
秋澄める雲ひとつなき蒼さかな★★★
立待の月のしずくや芒原★★★

●桑本栄太郎
笊にとり濯ぐ零余子やおとこ飯★★★★
笊にとり集めた零余子は零余子飯となる。ざっと洗って炊かれた素朴な零余子飯は、たしかに「おとこ飯」と言えよう。(高橋正子)

群雲を掻き分け早し月今宵★★★
十六夜の無月となりし夜半かな★★★

9月28日(2名)

●小口泰與
白粉花(オシロイ)の休耕田を艶めかせ★★★
山風の畷おちこち暁の虫★★★★
山にまだ日の残りけり白芙蓉★★★

●桑本栄太郎
実水木の緋色隠れる葉蔭かな★★★
友よりの土の色せる零余子届(つ)く★★★★
さみどりの虚実あはれや萩は実に★★★

9月27日(3名)

●小口泰與
雨上がり墓のおちこちあぶれ蚊ぞ★★★
碧落を一朶の雲や小鳥来る★★★★
稲穂波蛇行豊かな魚野川★★★

●河野啓一
車椅子今宵門辺の良夜かな★★★★
「門辺の良夜」がいい。車椅子で門辺まで月を見に出ると、明るい大きな月が昇ったところ。車椅子ながらも門辺の良夜を楽しんだ。(高橋正子)

葉隠れに光るまあるい秋の月★★★
中秋の味覚丹波の栗ご飯★★★

●高橋秀之
中秋の月を探して大空を★★★★
寝る前に我が家の窓から月を見る★★★
実家からもらった柿はまだ固し★★★

9月26日(4名)

●小口泰與
葛の花生まれし子馬起ちにける★★★★
流の岩の飛沫や沢桔梗★★★
虫の音や肌に染み入る暁の風★★★

●迫田和代
秋晴れの空を仰いで父想う★★★★
秋晴れの澄み渡った空の偽りのない力強さ、大きさが父を思わせたのだろう。娘にとっての父の在り様は秋晴れの空のようなものだ。(高橋正子)

歌人読む里山に揺れる吾亦紅★★★
爽やかな朝風に揺れるコスモスや★★★

●佃 康水
産着干す新居の庭へ小鳥来る★★★★
「新居の庭」、「産着干す」、「小鳥来る」と幸せなものが重なった。幸せな小さな家庭がさらりと詠まれて好感が持てる。(高橋正子)

種茄子やぽつんと一つ太るまま★★★
コスモスの坂に応援ごっこかな★★★

●桑本栄太郎
はらり落つ桂黄葉や朝の雨★★★★
推敲に倦むや窓見る秋霖雨(あきついり)★★★
ひと雨にもみずり来たる日暮れかな★★★

9月25日(3名)

●小口泰與
良平の着物の女花カンナ★★★
玲瓏の声の届きしおみなえし★★★★
桔梗や雨に濡れたる無人駅★★★

●河野啓一
秋冷や嫗達者と文来る★★★★
秋も本格的になる。きりっと引き締まる気持ちになる秋冷のころだが、風邪も引きやすくなる。嫗が達者であると便りが来て、めでたい。(高橋正子)

秋雨の止めば鴉は森の上★★★
谷筋に沿いて楓のうす紅葉★★★

9月24日(3名)

●小口泰與
長き夜や大史公書の置かれける★★★
秋雲や忠治歩きし山の道★★★★
早稲の香や暁の鴉のかまびすし★★★

●河野啓一
秋野を行けばしとどに濡れし草の花★★★★
松茸はカナダ産かな茸めし★★★
嬉しさよ林檎の季節巡りきて★★★

●高橋秀之
実家へと立ち寄り大きな栗を食う★★★
栗茹でる母は実家の台所★★★

秋分やバスに供花持つ家族連れ★★★★
秋分の日のバスに乗ると供花を持つ家族連れに出会った。家族揃って墓参りをする人の温かさが「供花」を通して伝わる。(高橋正子)

9月23日(4名)

●小口泰與
日のゆがむ入日の中の稲穂かな★★★
白粉花(オシロイ)や堂の畳に松の影★★★★
買ってきし小犬の匂い秋うらら★★★

●桑本栄太郎
高塀の天の高きや建仁寺★★★★
せせらぎの水澄み光る高瀬川★★★
つり人のみな魚籠(びく)の下り秋の川★★★

●河野啓一
あたたかな色して畔の曼珠沙華★★★★
畔の曼珠沙華を「あたたかな色」と見る、穏やかな心優しさがいい。(高橋正子)

彼岸花田の灯りかなほのぼのと★★★
蕎麦の花いかるがの夢はるかなる★★★

●多田有花
澄む秋の空より蝶の舞い降りる★★★★
空も澄むなら、それ以上に澄んだ色の蝶が舞い降りた感動。(高橋正子)

鳥取より最後の梨を売りに来る★★★
快晴の萩咲く道を登りけり★★★

9月22日(1名)

●小口泰與
稲の穂の茎に一列雨しずく★★★
田の中の無数の騒ぎ虫も居や★★★
飛蝗跳び影も跳びたる畷かな★★★★

●多田有花
<奥祖谷かずら橋>
秋嶺を下りかずら橋を渡る★★★★
事実を飾らずに散文的に表現した句だ。秋嶺も、かずら橋も奥祖谷そのもの。(高橋正子)

秋澄むや豆仏像をケータイに★★★
バス停の脇に咲き初め彼岸花★★★

9月21日(2名)

●小口泰與
枝毎の弓なり違う富有柿★★★
稲の香も畷にぎわすかと思う★★★

真直ぐな魁夷の「道」や天高し★★★★
魁夷は、東山魁夷。魁夷が描いた「道」は真直ぐで天高しである。(高橋正子)

●河野啓一
秋晴れや天平の夢法隆寺★★★
参道に群れてほぐれて蜻蛉飛ぶ★★★★
お参りの道すがら、蜻蛉が群れたり、またほぐれたりして飛ぶ。寺社へのお参りが楽しくなる。(高橋正子)

斑鳩や柿の実遠く眺められ★★★

9月20日(1名)

●小口泰與
秋の雲友の見舞いに参るのみ★★★
忽然と逝きし墓前や水懸草★★★★
線香の煙り消えけり思草★★★

●デイリー句会投句箱/9月13日~19日●


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