今日の秀句/12月1日~12月10日

12月2日(3句)
★銀杏黄葉樹の膨らみて弾け散る/川名ますみ(正子添削)
もとの句は、膨らむの主語が曖昧になっていたので、「樹」を入れた。銀杏が葉を散らすぎりぎりまで黄葉を保ち、それから弾けるように散り急ぐ様が捉えられている。銀杏黄葉の樹の膨らみに注目したのは、あたらしい。(髙橋正子)

★かくれんぼ落葉の中に身一つ/上島祥子(正子添削)
もとの句は、「落葉に」としたったが、「に」だけでは弱いので、「中に」とした。「落葉」は冬の季語なので、もとの句にある「冬の」は削った。子どものかくれんぼを詠んだ句だが、象徴化されて
「身一つ」は、観察が鋭い。(髙橋正子)

★冬菊の紐あたらしく括られぬ(正子添削)
もとの句は、下五が「畑の隅」であったが、この意味はあまりない。添削は、冬菊を括る紐に注目した。冬菊が生き生きとして感じられるようになったと思う。(髙橋正子)

12月1日(1句)
★ひび割れし苅田に糠の山一つ/土橋みよ
苅田もすっかり乾いて、ひび割れが見られる。精米した後の糠が一山あるが、この糠は田んぼの肥料となるものだろう。収穫のあとの静かな田んぼの姿に注目した句。丁寧に見届ける姿勢がいい。(髙橋正子)


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