今日の秀句/10月1日~10月10日

10月5日(1句)
★特急の加速に流るる曼珠沙華/上島祥子
特急の加速によって、視界に入る曼殊沙華が目を掠めるように流れ去る。時間の速さに抗えない曼殊沙華のあやうさは、生きているものすべてに言えることである。(髙橋正子)

10月4日(1句)
★仲秋の夜空へ花火大輪を/多田有花
元の句は、「仲秋の夜空へ大輪の花火」でした。見た通りですが、
読み手の感動が伝わってこないのが難点。仲秋と言えば、空気が澄んでくるとき。夏の花火と違って、色も澄み、鮮やかさが増す。それも大輪の花火を咲かせる。印象の強い花火となった。(髙橋正子) 

10月3日(1句)
★秋空に里遠く見せ琴平山/土橋みよ
琴平山から見た眺めがすっきり詠まれている。秋空が広がる下に、遠く人里が見える。なつかしいような広がりに、心が晴れやかになってくる。(髙橋正子)

10月2日(1句)
★川縁や刈田の匂い立ちにけり/廣田洋一
川のほとりの流れの音が聞こえる空間の広がりに、稲を刈った田んぼから立ちのぼる、土と稲のまじった匂いが秋の深まりを感じさせている。 その気づきを「立ちにけり」とほのかに詠嘆している。(髙橋正子)

10月1日(1句)
★曼殊沙華日を跳ね返す赤さかな/小口泰與
曼殊沙華は、花に近寄って見ると、花弁はつややかで、力強く、「日を跳ね返す」という表現そのままだ。曼殊沙華の持つ生命力や異界性を一瞬で切り取っているところがすばらしい。(髙橋正子)


コメント

  1. 小口泰與
    2025年10月2日 13:26

    高橋正子先生
    10月1日の投句「曼殊沙華」の句を秀句にお取り上げ頂き、そのうえ正子先生には素晴らしい句評を頂き有難う御座います。こんごともよろしくご指導の程お願い申し上げます。有難う御座いました。

  2. 廣田洋一
    2025年10月4日 8:34

    高橋正子先生
    10月2日の「川縁や刈田の匂い立ちにけり」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
    今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。

  3. 多田 有花
    2025年10月5日 15:53

    正子先生
    「仲秋の夜空へ大輪の花火」を
    「仲秋の夜空へ花火大輪を」に添削いただき、
    10月4日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
    感動を伝えるということの意味が少し理解できたように思います。

    大阪万博に行ってきました。
    パビリオンには入れませんでしたが大屋根リング歩きは素晴らしく、
    そこから見る大阪湾一帯の風景は印象的でした。
    夜は思いがけず(それまでは週末のみだったようです)
    花火を堪能することもできました。