★ひまわりの黄色澄みしを供花にもす 正子
供花にされるのですから、ミニサイズのひまわりです。あの明るい姿と色はそのままに、可愛らしく仏さまの前に飾られるのでしょう。(多田有花)
○今日の俳句
とりどりの浴衣の少女踏切に/多田有花
踏み切りの開くのを待っている浴衣を着た少女たち。これから、連れ立って、祭りに出かけるのであろう。涼しそうで、少女らしいかわいさがあって、大人には、幼い頃を思い出させてくれる光景である。(高橋正子)
○胡麻の花

[胡麻の花/横浜緑区北八朔]
★胡麻の花濡れしに思ひ至りけり/加藤楸邨
★足音のすずしき朝や胡麻の花/松村蒼石
胡麻の花はうすむらさきである。畑につっと立った胡麻の茎に直接に咲いて、9月ごろ実がなり、葉が枯れると、花の付き具合が一目瞭然となる。農家で畑の隅に自家用の胡麻をほんの数畝植えていた。生家では、さつま芋の隣に落花生、胡麻を植えていた記憶がある。最近では横浜の北八朔で栽培しているのを見た。結構広く植えていたので、自家用ばかりではないのかもしれない。
尾瀬にゆく途中でも山裾の小さい畑に植えてあったが、これは自家用だけと見受けた。
★尾瀬へゆくバスが見せたる胡麻の花/高橋正子
ゴマ(胡麻、学名:Sesamum indicum)は、ゴマ科ゴマ属の一年草。アフリカのサバンナに約30種の野生種が生育しており、ゴマの起源地はサバンナ地帯、スーダン東部であろうというのが有力である。ナイル川流域では5000年以上前から栽培された記録がある。日本列島では縄文時代の遺跡からゴマ種子の出土事例がある。室町時代に日明貿易での再輸入以降、茶と共に日本全国の庶民にも再び広まった。古くから食用とされ、日本には胡(中国西域・シルクロード)を経由して入ったとされる。西日本の暖地の場合、5月から6月頃、畦に二条まきする。発芽適温は20度から30度で、適当な水分と温度とがあれば容易に発芽する。本葉が二枚になり草丈が成長してきたら、2回程度間引きを行い、株間を開ける。収穫は9月頃。日本で使用されるゴマは、その99.9%を輸入に頼っている。財務省貿易統計によると、2006年のゴマの輸入量は約16万トン。一方、国内生産量は、約200トン程度に留まっている。全体の僅か0.1%に相当する国産ゴマのほとんどは鹿児島県喜界島で生産され、8~9月頃の収穫時期には、集落内、周辺にゴマの天日干しの「セサミストリート」(ゴマ道路)が出現する。草丈は約1mになり、葉腋に薄紫色の花をつけ、実の中に多数の種子を含む。旱魃に強く、生育後期の乾燥にはたいへん強い。逆に多雨は生育が悪くなる。鞘の中に入った種子を食用とする。鞘から取り出し、洗って乾燥させた状態(洗いごま)で食用となるが、生のままでは種皮が固く香りも良くないので、通常は炒ったもの(炒りごま)を食べる。また、剥く、切る(切りごま)、すりつぶす(すりごま)などして、料理の材料や薬味として用いられる。また、伝統的にふりかけに用いられることが多い。種皮の色によって黒ゴマ、白ゴマ、金ゴマに分けられるが、欧米では白ゴマしか流通しておらず、アジアは半々。金ゴマは主にトルコでの栽培。
◇生活する花たち「蛍袋・立葵・紅かんぞう」(横浜・四季の森公園)

★ひるがおのこの世に透ける日のひかり 正子
昼顔は散歩の途中でよく見かけます。あまり栽培しているというふうでもなく、道端や空き地の隅に咲いていることが多いような気がします。色も薄く何となくか細げです。そんな風情が「この世に透ける」との措辞によく表わされているように思います。(小西 宏)
○今日の俳句
緑濃き風に吹かれて書道展/小西 宏
緑濃き風が吹き抜け、心地よい会場の書道展。緑濃き風に、墨色もいきいきと浮き上がってくる。(高橋正子)
○向日葵(ひまわり)

[向日葵/横浜市港北区箕輪町] [向日葵/横浜日吉本町]
★日まはりの花心がちに大いなり 子規
★葉をかむりつつ向日葵の廻りをり 虚子
★日天やくらくらすなる大向日葵 亞浪
★向日葵や日ざかりの機械休ませてある 山頭火
★向日葵の月に遊ぶや漁師達 普羅
★向日葵やいはれ古りたる時計台 風生
★向日葵もなべて影もつ月夜かな 水巴
★向日葵や月に潮くむ海女の群 麦南
★日を追はぬ大向日葵となりにけり しづの女
★ひまはりのたかだか咲ける憎きかな 万太郎
★向日葵にとほき紺青の波の列 秋櫻子
★キリストに挿せし向日葵のみ新た 青邨
★向日葵の眼は洞然と西方に 茅舎
★向日葵のひらきしままの雨期にあり 汀女
★向日葵に天よりあつき光来る 多佳子
★ひまはりの昏れて玩具の駅がある 鷹女
★高原の向日葵の影われらの影 三鬼
★向日葵に澄む即興の子を守る唄 草田男
★われら栖む家か向日葵夜に立てり 誓子
★向日葵の蘂を見るとき海消えし 不器男
★塀出来て向日葵ばかり見ゆる家 立子
★向日葵や一本の径陰山へ 楸邨
★わだつみの辺に向日葵の黄ぞ沸きし 鳳作
★山畑に向日葵咲きて山よ濃し たかし
★向日葵にひたむきの顔近づき来 波郷
★ゴッホの向日葵切りとられ切口を見せ/高橋信之
昨年の日記より:
マンションに住んでからは向日葵を咲かせようと思ったこともなかったが、今年は、サカタのタネにミニ向日葵の種を注文した。注文する切っ掛けはあるにはあるのだが、小学生でも育てられる朝顔と向日葵を選んだ。まだ、今日のところはまだ葉っぱが成長中で蕾も見られない。よその向日葵はよく咲いている。町には青空をバックに並んだ向日葵のポスターもあって見るものに元気くれる。
わが家から東へ数軒先に毎年決まって向日葵を咲かせる家がある。小さな用事の外出に通りすがりに見上げて楽しむ。この家には、2年ほど続けて2メートル以上になる「木立ダリア」が咲いていたが、何の花だろうと、これも見上げて楽しんだ。背丈の高い花がお好きなようだ。
最近大輪の向日葵を見ることが少なくなった。子どものころの向日葵は大輪だった。種が実ると重くて頭を垂れた。この大輪が「ロシア向日葵」だということを、はるか昔、たぶん中学生のころだろうが、知った。ロシアンケーキ、マ-マレードを入れる紅茶、ロシア民謡など、ロシアのイメージの一つとして記憶していた。それを、今日ここで思い出した。
向日葵の原産地は北アメリカ西部で、ネイティブアメリカンの食用作物だったとのこと。食用向日葵に、ノースクイーンとか、アメリカンスナックという品種があるらしいが、もっともなこととうなづける。が、私のイメージは、向日葵は東欧かロシアの花のイメージが強い。食用向日葵の種子の生産の先進国は、ロシアとのこと。理由は、ロシア正教のものいみの食品制限で、油脂食品の禁止食品に向日葵が入っていなかったので、ロシアで盛んに栽培されたとのこと。こういうこともあるのか。
丘をなす一面の向日葵畑は、ロマンティックな叙情がある。ゴッホの向日葵も有名だ。ゴッホの向日葵は、向日葵とその背景の色彩が、さすがゴッホと思わせる素敵な色だ。これは大輪ではない。花瓶に活けられた向日葵もまたよい。
★向日葵に空の青さがあり余る 高橋正子
◇生活する花たち「あさざ・野萱草(のかんぞう)・山百合」(東京白金台・自然教育園)

★蕗の灰汁つきたる指のきしみがち 正子
蕗の葉や茎が大きく伸びて、料理に最適の季節なのでしょう。下ごしらえをする指に灰汁がついてきしむような感覚です。この時季の主婦の思いをさらりと詠まれました。(河野啓一)
○今日の俳句
隣家の窓に今朝より青簾/河野啓一
隣家の窓を見ると、今朝からは、青簾がかかって目にも涼しげ。隣家も夏支度が整って、夏本番を迎える。(高橋正子)
○金魚草

[金魚草/横浜日吉本町]
★金魚草よその子すぐに育ちけり/成瀬櫻桃子
★裏庭の色を集めて金魚草/稲畑汀子
★金魚草風に溺るることのあり/行方克巳
「金魚草」と聞くだけで、金魚を想像して、かわいらしく、涼しい思いになる。パフスリーブの夏服を着た小学2.3年生の女の子のようだとも思う。ビロードがかった口唇形の花の色も赤、白、黄色などシンプルだし。夏の花壇をかざってくれる、子ども時代の私にとっては、夏休みの花である。夏休みのもろもろを思い出す。絵日記、植物採集、夏休みちょう、海水浴、昼寝、アイスキャンデー、西瓜、まくわうり、井戸水、日向水、打ち水、縁側拭きなど。江戸末期に渡来したようだが、当時はハイカラな花だったに違いない。
★裏庭に洗濯物干し金魚草/高橋正子
★金魚草金魚鉢には金魚いて/高橋正子
キンギョソウ(金魚草 Antirrhinum majus)はゴマノハグサ科(APG分類体系ではオオバコ科に入れる)キンギョソウ属の植物。南ヨーロッパと北アフリカの地中海沿岸部を産地とする。その名の通り金魚のような花を穂状に数多く咲かせる。花の色は赤・桃 ・白 ・橙 ・黄 ・複色。種は微細だが性質は強健で、こぼれ種でよく殖える。一般的には秋蒔きの一年草で、寒冷地では春蒔きにする。本来は多年草の植物であり、年月が経つにつれて茎が木質化する。金魚の養殖で有名な愛知県弥富市の市の花にもなっている。
◇生活する花たち「蛍袋・時計草・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)

鎌倉街道
★竹林に夏の真青な水打たれ 正子
竹林」「真青」「水」という語句から涼しい夏の情景を思い浮かべることができました。日本ならではの夏の美しい景色です。(井上治代)
○今日の俳句
何かしら飛び出て楽し草取りも/井上治代
夏になると草が生い茂る。草取りの作業もたいへんだが、バッタがぴょんと飛び出したり、天道虫が飛び立ったりする。それが案外楽しいのだ。(高橋正子)
◆花冠編集長の高橋句美子さんの近作15句が昨日(7月9日)の朝日新聞夕刊に掲載されました。お読みいただければ幸いです。(花冠名誉主宰/高橋信之)
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○紅蜀葵(こうしょっき・もみじあおい)

[紅蜀葵(もみじあおい)/横浜日吉本町]
★紅蜀葵肘まだとがり乙女達/中村草田男
★沖の帆にいつも日の照り紅蜀葵/中村汀女
★黄蜀葵花雪崩れ咲き亡びし村/加藤楸邨
アメリカ芙蓉という花がある。芙蓉に似て、大ぶり赤い花色が華やかだ。芙蓉に少し似た紅蜀葵もその赤さは、日本の花ではないなと思わせる。調べると北米原産とあるから、さもありなん。近所では、市営アパートのわずかの空地に住人が植えたものがある。通りすがりにちらっと見て、紅蜀葵が咲いているな思うわけであるが、植えた人は昭和を生きた人であろうと想像する。
★市民アパート誰が咲かすか紅蜀葵
モミジアオイ(紅葉葵、学名:Hibiscus coccineus)は、アオイ科の宿根草。別名は、紅蜀葵(こうしょっき)。北米原産。背丈は1.5~2mくらいで、ハイビスカスのような花を夏に咲かせる。茎は、ほぼ直立する。触ると白い粉が付き、木の様に硬い。同じ科のフヨウに似るが、花弁が離れているところがフヨウと違うところ。和名のモミジアオイは、葉がモミジのような形であることから。
トロロアオイ(黄蜀葵、学名:Abelmoschu manihot )は、アオイ科トロロアオイ属の植物。オクラに似た花を咲かせることから花オクラとも呼ばれる。原産地は中国。この植物から採取される粘液はネリと呼ばれ、和紙作りのほか、蒲鉾や蕎麦のつなぎ、漢方薬の成形などに利用される。花の色は淡黄からやや白に近く、濃紫色の模様を花びらの中心につける。花は綿の花に似た形状をしており、花弁は5つで、朝に咲いて夕方にしぼみ、夜になると地面に落ちる。花びらは横の方向を向いて咲くため、側近盞花(そっきんさんか)とも呼ばれる。
◇生活する花たち「あさざ・野萱草(のかんぞう)・山百合」(東京白金台・自然教育園)

愛媛・久万中学校
★教室の窓に夏嶺の高々と 正子
前書きにある久万中学校は全て地元の檜や杉素材で造られているとか。それ程に自然に恵まれ緑溢れる環境に有るようですね。校舎の木の優しさと同時に教室の窓に高々と見える夏嶺はさぞかし清々しく、成長盛りの子供達を心身共に豊かに育んでくれることでしょう。 (佃 康水)
○今日の俳句
浴衣着の少女ら駅に待ち合えり/佃 康水
少女たちは駅で待ち合わせ、夏祭りに出かけるのだろう。浴衣をすがすがしく着て友達が来るのを待っている。楽しそうなこと。(高橋正子)
○合歓の花(ねむのはな)
[合歓の花/横浜・四季の森公園]
★そのすがた人にうつすやねぶの花/加賀千代女
★雨の日やまだきにくれてねむの花/与謝野蕪村
★山風の暁落ちよ合歓の花/芥川龍之介
★花合歓や凪とは横に走る瑠璃/中村草田男
★旅多くなりし合歓咲きそめし頃/稲畑汀子
★雲運び合歓の花吹き風飽きず/宮津昭彦
★合歓の花南瓜の花と呼び交す/大串章
★川の辺に潮上りくる合歓の花/能村研三
★花合歓の光あふるる下に居る/高橋信之
★梅雨出水しぶくをねむの木ねむの花/高橋正子
ネムノキ(合歓木、Albizia julibrissin)はネムノキ科(広い意味でマメ科)の落葉高木。別名、ネム、ネブ。葉は2回偶数羽状複葉。花は頭状花序的に枝先に集まって夏に咲く。淡紅色のおしべが長く美しい。香りは桃のように甘い。果実は細長く扁平な豆果。マメ科に属するが、他のマメ科の植物とは花の形が大きく異なる。イラン、アフガニスタン、中国南部、朝鮮半島、日本の本州・四国・九州に自生する。陽樹であり、荒れ地に最初に侵入するパイオニア的樹木である。河原や雑木林に生え、高さは10mにもなる。芽吹くのは遅いが、成長は他の木と比較すると迅速である。ネムノキ属は主として熱帯に150種ほどが分布するが、その中でネムノキは飛び抜けて耐寒性が強く高緯度まで分布する。温帯で広く栽培され、一部で野生化している。和名のネム、ネブは、夜になると葉が閉じること(就眠運動)に由来する。漢字名の「合歓木」は、中国においてネムノキが夫婦円満の象徴とされていることから付けられたものである。花言葉は「歓喜」。夏の季語であり、万葉集や松尾芭蕉、与謝蕪村の句に登場する。
◇生活する花たち「あさざ・山紫陽花・コアジサイ」(東京白金台・自然教育園)

★子が去りしことも静かや夏の歯朶 正子
帰省中のお子さまが帰られた後の静けさでしょうか。ふと目に映る夏の歯朶が鮮やかなみずみずしさです。一抹の寂しさの中に、母としての安らかな充実さが感じ取れます。(藤田洋子)
○今日の俳句
雨雲の山を離れて合歓の花/藤田洋子
合歓の花を的確に捉えている。愛媛の久万高原などに出かけると、垂れていた雨雲が山を離れていって、合歓の花があきらかに浮かびあがってくるが、このようなところに合歓は自生する。(高橋正子)
○ピーマンの花

[ピーマンの花/横浜市緑区北八朔]
ブログ「ベランダ菜園」より:
ピーマンの花咲く/2010/05/24 (月)
5月1日に定植したピーマン。風が強い日があったり寒くなったりとの散々の天候が続いていましたが、無事一番花が咲きました。支柱がなかったので、とりあえず割り箸で代用。一番花から下の脇芽は取るということなので、早めにせっせと取ました(葉もピーマンの香りがします)。今ピーマンのプランターの隣には、去年から育てている万能ねぎの収穫が次々と出来ます。食べた後の根をパックに植えただけなのに食べても食べてもどんどん収穫させてくれます(収穫のペースが落ちたら新しい根をまた植えます)。狭いベランダでも簡単に収穫できるし、節約にもなるし、万能ねぎはベランダ菜園のエースですね(でもアブラムシはよくつきます)。
話をピーマンに戻すと、その後残念ながら一番花は、黄色くなって落ちてしまいました。 でも、花が次々と咲きます。よく見ると白くてとても可憐な花です。もう中心には、ピーマンらしき緑色のものが見えます。
では、観察してみます。次々花が咲きます(5月17日)2日後には萎れます(5月19日) 4日後、花びらの下から小さなピーマンが出現 。ピーマンらしきものが(5月21日)。 7日後。あまり変化がないような…。ピーマンの大きさは、約1.5センチ。少し大きくなっているかなぁ??(5月24日)
心配なことは、若芽にアブラムシが付き養分を吸っているためなのか大きな立派な葉に成長しません。毎日アブラムシチェックはしているのですが、どこから来るのでしょう??また全体的に主枝が細くヨワヨワしいです。 定植してから24日目。約17センチ成長して、高さは40センチになりました。ピーマンの収穫は花が咲いてから15~20日。無事収穫出来て欲しいです。40センチに成長しました(5月24日)
ウィキペディアより:
ピーマンはナス科の一年草、およびその果実。学名はCapsicum annuum L. ‘grossum’ であり、トウガラシの栽培品種に分類される(’ ‘は栽培品種を表す)。果肉は種子以外ほとんど空洞である。日本の店頭で食用として販売されるものは、明治初頭にアメリカから伝わったイスパニア種を品種改良した中形で緑色のものが多いが、近年はカラーピーマンも出回っている。緑色は未成熟の果実のためであり、成熟すると一般的なものは赤色のほか黄色、橙色に変わるものもある。北米では大形の成熟した様々な色のものが流通する。その他に、未成熟で白色や、黒色(濃い紫色)、紫色のものもある。加熱すると緑色に変化し、熟すると橙色、赤色に変わる。英語では「Green pepper」、「Red pepper」、「Yellow pepper」などと呼ばれる。
日本語における「ピーマン」の由来は、フランス語の「piment」あるいはスペイン語の「pimiento」とされ、いずれも狭義のトウガラシを指す[要出典]。なお、ピーマンを意味するフランス語は「poivrons」である。
★学生食堂ひとりの顔に夏日あり 正子
学生食堂のお昼の光景なのでしょう。大勢いる中に一人だけ夏日が当たっている。ああ眩しいだろうなーと思い見ています。 (祝恵子)
○今日の俳句
目の慣れて生まれし目高の数を追う/祝恵子
目高の子は小さく透き通っているので、目を凝らして見る。しばらく目高のいる水を見て目が慣れてようやく目高の子が見つかる。見つかれば、5匹、6匹と目に見え、その数が増えるのだ。(高橋正子)
○半夏生(はんげしょう)

[半夏生/横浜日吉本町]
★湯沸かしてつかはずにゐる半夏生/能村登四郎
★鯉の口朝から強し半夏生/藤田湘子
★半夏生咲けばひろびろ空がある/高橋信之
俳句を始めてしばらくしたころ、「半夏生」という植物があると聞いた。句会では、その半夏生がどこにあるとか、見に行ったとか、見に行こうとかいう話で持ちきりだった。いったいどんな植物なのか、耳には「半化粧」と聞こえる。白粉の半分落ちたお化けでもあるまいが、ちょっと怖いもの見たさの気持ちを起こさせる植物であった。半夏に咲く植物から命名されたと聞いた。
日吉本町に引っ越して、近所を歩いているとき、ちらっと庭を見て、「もしや半夏生」と思った植物があった。帰って、ネットで検索して半夏生に間違いないと確信をもったが、都市の住宅の庭にも植えられている。日吉本町の古刹金蔵寺にも、半夏生がある。下の方の葉は緑だが、上の方の数枚は白い。そこにひも状の花がつく。花より、葉が白いところが面白い。6月24日に訪ねた大船植物園にも半夏生が群生していた。アマチュアカメラマンが半夏生の前に大勢たむろしていた。花菖蒲によりも、睡蓮によりも沢山カメラマンが集まっていた。いったいどんな写真を撮りたいのか、興味があるところだ。幻想的な写真か。
★睡蓮の池をかくして半夏生/高橋正子
半夏生(学名:Saururus chinensis)は、ドクダミ科ハンゲショウ属。 開花時期は、7/1頃~7/20頃。上の方の葉っぱが、ペンキをべったり塗ったように白くなるのがおもしろい。「半化粧」「半夏生」、両方の名前で呼ばれる。葉の半分ほどが白くなることからの別名「片白草」(かたしろぐさ)。「半夏生」の名前の由来は、夏至から数えて11日目頃の日を「半夏生」と呼ぶが、その頃に、花が咲くことからという。 花期に葉が白くなるのは、虫媒花であるために虫を誘う必要から、このように進化したのではないか、といわれている。花は葉と同じく白で、紐状。花が咲き終わって夏の盛りの頃になると、白い葉の白い部分は色落ちして、ふつうの緑色っぽくなる。山の水辺に群生することが多いが、都会でもときどき植えられてるのを見かける。
★明け易き時をラジオのミサ合唱 正子
夜明けが早くなってきた今朝、ラジオからミサの合唱曲が聞こえてきました。厳かな美しい歌声に心が洗われるようです。一日の始まりが、とても澄みきった爽やか気持ちになられたことと思います。(藤田裕子)
○今日の俳句
★この地なれば太き絹皮茄子の紺/藤田裕子
この地に住めばこそ食べられる「絹皮茄子」を絶賛する。絹のような肌理といい、太さといい、色といい、茄子として申し分ないのだ。(高橋正子)
○夕菅(ゆうすげ)

[夕菅/大船植物園]
★天が下万のきすげは我をつつむ/阿波野青畝
★夕菅は胸の高さに遠き日も/川崎展宏
★厩までユフスゲの黄のとびとびに/大野林火
★遠きほど夕菅の黄の満つる色/広瀬直人
★夕菅は實になってゐし花野かな/上野一考
★坪庭の暮れのはじめを花黄菅/本田日出登
★ゆうすげに月まだ淡くありにけり/高橋正子
「ゆうすげ」という名前に惹かれる人も多い。夏のまだ明るい夕方の空を背景に開花する黄色いの花は、人を少なからずロマンティックな想いにさせる。花の姿が野かんぞうにも似ているが、野かんぞうの赤みがかった黄色ではなく、レモンに近い黄色である。遠くまで、はかなげなレモン色のゆうすげが咲く高原は、乙女でなくとも魅惑的な風景と思う。
夕菅(ゆうすげ)は、ユリ科ワスレグサ属の種の一つ。山野などに生える。夏の夕方に開花し、翌朝にしぼむ。くっきりしたきれいなレモン色の花。香りあり。別名、黄菅(きすげ)。学名(Hemerocallis citrina var. vespertina)の由来は、Hemerocallisは、ワスレグサ属(ヘメロカリス属)、citrinaは、レモン色、vespertinaは、夕方の、西の、Hemerocallis(ヘメロカリス)は、ギリシャ語の「hemera(一日)+ callos(美)」が語源で、美しい花が一日でしぼむところから、といわれる。
★青田みな青嶺へ靡き吹かれける 正子
七月となり、稲が青く育ち風に吹かれるさまを見るのは気持ちのいいものです。その先に緑濃い山々があるならば、なおさらです。日本の夏の美しい光景を詠まれた御句です。 (多田有花)
○今日の俳句
★子を抱いて浴衣の父の祭かな/多田有花(姫路ゆかたまつり)
男の祭でも、村の祭でもない「父の祭」がいい。子を抱き、浴衣に寛いでささやかな祭を楽しんでいる父の姿さっぱりとして、涼しそうだ。(高橋正子)
○百日草

[百日草/横浜・四季の森公園]
★物陰や百日草の今もさく/正岡子規
★百日草ごうごう海は鳴くばかり/三橋鷹女
★心濁りて何もせぬ日の百日草/草間時彦
★百日草芯よごれたり凡詩人/草間時彦
★ああ今日が百日草の一日目/櫂未知子
★あかあかと百日草が百日を/高橋信之
百日草は百日も咲き続けるという意味だが、夏の間中咲き続いている。キク科の花なので、切り花にしても真夏の暑さに負けず花もちがいい。仏壇に立てる花がないとき、庭の百日草を立てていたが、花色もたくさんあって、全く庶民的な花だと思う。最近は花壇用に、丈が低く、小ぶりな花を付けるものが作成されている。そういう花は、呼び方もジニアと呼ばれることが多いが、私はあえてそれも「百日草」と呼んでいる。昔懐かしんだ花の呼び方がそうそう変えられてたまるか、という気持ちなのだ。向日葵、朝顔、松葉牡丹などと並んで百日草も誰でもが知っている夏の代表的な花が今も健在であるのがうれしい。
★供花に切る百日草の五六本/高橋正子
ヒャクニチソウ属(ヒャクニチソウぞく、学名:Zinnia)は、キク科の属。学名よりジニアとも呼ばれる。分布の中心はメキシコ。1769年にスペインのマドリードのマドリード植物園にもたらされたのがヨーロッパでの最初の紹介であった。この時には淡紫の一重咲きの花がついた。その後1829年に赤が、1832年に白が開花した。八重咲きはフランスで作り出された。一代交配種が作られたのは1963年にアメリカで作られた品種「ファイアー・クラッカー」が最初。属の学名はドイツ・ゲッティンゲン大学の植物学教授だったヨハン・ゴットフリート・ツィン(Johann Gottfried Xinn、1727 – 1759)に因んだものである。同属植物は20種近くあり、一年草・多年草と亜灌木のものがあるが、日本で作られているものは総て一年草である。草丈はヒャクニチソウでは60cmから1mくらいになるが、ホソバヒャクニチソウでは30cm足らずである。茎は直立し、葉は紡錘形で対生する。頭花は単生し、花色は非常に豊富で、赤・オレンジ・黄色・白・ピンク・藤色などがあり、複色花もある。
★蜜豆に夜の会話の間がありぬ 正子
食事時の会話とはまたちょっと変わって、家族揃ってのお夜食もまた、一層の家族団欒を感じさせてくれます。そのときどきの季節の味わいを楽しみつつ、スプーンの動きにある一時の沈黙も和やかです。 (小西 宏)
○今日の俳句
模様替えし部屋に藺草の匂い立つ/小西 宏
住まいは夏を旨とすべし、と言われるように、夏はことに部屋を夏向きに模様替えする。新しい花茣蓙を敷くと、藺草のいい匂いがする。開けた窓からの涼風とともに寛いだ気持ちになれる。(高橋正子)
○松葉牡丹

[松葉牡丹/大船植物園]
★おのずから松葉牡丹に道はあり/高浜虚子
★松葉牡丹玄関勉強腹這ひに/中村草田男
松葉牡丹は、夏にはどこの家にも植えてあった。朝顔、向日葵と並んで家庭に植える夏の花の定番だった。一重が多かったが、そのうちに八重の花も見られるようになった。花色も白、赤、黄色、ピンクなどはっきりしていて明るさを振りまいてくれる。茎を摘んで土に挿しておくと根が出て増やすことができるのも楽しみの一つだ。
松葉牡丹で思い出すのは、句美子が2歳ぐらいのときの話である。そのころは、前庭裏庭とあっって、裏庭では鶏や兎を飼ったりり、野菜畑にトマトを作ったり、夏になるとにビニールプールを置いて子どもたちを遊ばせた。花壇も少々作って松葉牡丹を植えた。裏庭で句美子を遊ばせながら洗濯物を干し、おとなしく遊んでいるので大丈夫と思って前庭の植木に水遣りをしてもどってみると、花壇ンの松葉牡丹をひとつのこらず丹念に摘んで大喜びしていた。あたりは松葉牡丹の花が一面に。一つ一つの花を摘む根気強さにおどろいて、呆れてしまった、とこういう話である。
★松葉牡丹その色明るく子が摘みぬ/高橋正子
マツバボタン(松葉牡丹、学名Portulaca grandiflora)とはスベリヒユ科の植物の一種。ヒメマツバボタン(P. pilosa)の亜種(P. pilosa subsp. grandiflora)とされることもある。学名のポルチュラーカはラテン語で門を意味するポルチュラに由来する。花が昼に開き、夜に閉じる様が門を彷彿とさせることからこの名がついたと解釈されている。日本ではホロビンソウ(不亡草)とも呼ばれ、年々種が零れて新たな花が生えだしてくるのでこう呼ばれている。南アメリカ原産の一年草。アルゼンチン、ブラジル南部、ウルグアイに自然分布する。葉は多肉で、高温と乾燥に対して非常に強い。世話のほとんど不要なくらい丈夫である。種子は非常に細かく、こぼれ種でもよく繁殖する。開花期は6~9月頃。美しい花を観賞するためによく栽培される。花弁の色は白、黄、赤、オレンジ、ピンクなどで、八重咲きの品種も作出されている。